JP4261857B2 - 金属含有排水中の有価金属の回収方法および利用方法 - Google Patents

金属含有排水中の有価金属の回収方法および利用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属含有排水を効率的かつ安定して処理するとともに、金属含有排水に含まれる有価金属を回収・再利用することにより、スラッジの発生量を削減する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属含有排水には、鉱山排水、化学工場排水、製練所排水、製鉄所排水、メッキ工場排水、ごみ焼却場排水などがある。この中で、例えば、メッキ工場排水は、pHが2〜3と低く、メッキの種類にもよるが、鉄の他に、ニッケル、亜鉛、錫、クロム、銅などの金属イオンを含有している場合が多い。これらの金属は、排水規制の適用を受ける有害金属であるため、排水中から、排水規制値以下となるまで除去される。
【0003】
まず、従来の金属含有排水の処理方法について説明する。従来の金属含有排水の処理方法としては、大別すると以下のような方法がある。
(1)中和凝集沈殿法
(2)硫化物沈殿法
(3)イオン交換樹脂法
(4)キレート樹脂法
(5)膜分離法(RO膜)
(6)生物濃縮法
(7)溶媒抽出法
(8)活性炭吸着法
中和凝集沈殿法は、従来から広く用いられている金属含有排水の代表的な処理法である。この方法は、排水のpHを水酸化カルシウム等のアルカリ剤により上昇させ、排水中の金属イオンをすべて水酸化物とした後、該金属水酸化物を沈殿池で沈殿させることにより、水中から金属を除去するものである。この方法は以下のような課題がある。
【0004】
1)金属水酸化物のフロックは微細であるため、沈殿池での沈殿分離が安定しない。これを防ぐために、アルカリ剤に加え、凝集剤および/または高分子凝集剤を投入する必要がある。
【0005】
2)発生するスラッジは各種金属の混合物であるため、再利用が困難であり、大半が埋立て処分されている。
【0006】
3)アルカリ剤としては、通常、消石灰(Ca(OH)2)が用いられている。消石灰は、水酸化ナトリウムよりも安価で、水に対する溶解度も比較的大きく、反応性に富むが、発生するスラッジは含水率が99%と高く、脱水機処理を行っても含水率は70〜80%にしか低下しない。また、未溶解のカルシウム成分が含まれるため、沈殿物の質量・容積が大きくなり、保管・運搬・廃棄処分費が増加する。
【0007】
4)中和凝集沈殿法単独では、排水中の有機物削減の効果をほとんど期待できないため、COD(化学的酸素要求量)として計測される有機物は、別途除去する必要がある場合がある。
【0008】
硫化物沈殿法は、排水に硫化ソーダ(Na2S)を注入し、重金属を硫化物として沈殿させる方法である。水酸化物と硫化物の溶解度積を比較すると、硫化物の方が非常に低く、より低濃度の金属を得ることができる。しかし一方で、硫化物沈殿法は、生成沈殿物の分離が難しい点(コロイド化しやすい)や安全性(硫化ソーダは酸性物質との接触により、有害な硫化水素ガスが容易に発生する)の観点から使用実績は少ない。また、沈殿物は、各種金属の混合物であるため、中和凝集沈殿法と同様で廃棄処分せざるを得ない。
【0009】
イオン交換樹脂法は、従来から火力発電用のボイラー給水や半導体用の超純水製造等に広く用いられている方法である。処理対象とする原水は、イオン濃度が1000mg/l以下のものであるため、この方法を排水処理に適用する場合には、陽イオン交換樹脂および/または陰イオン交換樹脂に金属イオンを吸着させることになるため、排水処理のように排水中のイオン濃度がかなり高い場合には、樹脂の吸着・再生が繁雑になり、処理コストも高くなる。さらに、長時間使用すると、イオン交換樹脂が金属水酸化物、有機物、バクテリア等で汚染され、樹脂が劣化し、通常の樹脂の再生操作では回復が困難となる。金属成分も、陽イオン、陰イオン以外の選択的分離は原理上困難である。また、イオン交換樹脂の再生液は、樹脂から溶離した各種重金属イオンの混合物であるため、再利用が困難である。
【0010】
キレート樹脂法は、特定の金属に対して特に選択性の強い樹脂(架橋構造を有する高分子に特定の金属イオンと錯体を形成するキレート形成基を導入した樹脂)を用いるもので、排水中から特定の重金属イオンを極めて低濃度まで除去できる。このため、ごみ焼却場排水中の水銀の除去などに広く用いられている。しかし、キレート樹脂法についてもイオン交換樹脂法と同様の課題を有しており、有価金属の回収を目指した排水処理への適用は困難である。また、排水中のイオン濃度が高い場合には、樹脂の吸着・再生が繁雑になる課題がある。さらに、排水中に非溶存態の物質や金属水酸化物が存在する場合、樹脂の劣化が激しくなる。
【0011】
膜分離法(RO膜)は、浸透圧を利用して溶媒のみを膜を介して移動させ、清澄な処理水を得るものであるが、一方で、同時に塩類が濃縮した液が発生する。逆浸透膜(RO:Reverse Osmosis)を使用した海水の淡水化、工場排水の再利用、塩類濃度が1000〜10000mg/l程度の原水の処理などに広く用いられており、メッキ排水の再利用に適用された例もある(例えば、逆浸透法によるメッキ排水の再利用、和田洋六、PPM、16〜27、1986)。
【0012】
排水処理にRO膜を用いると、重金属ばかりでなく無機イオン等も原水から除去できるため、膜透過水を工業用水として再利用できる利点があるが、同時に少量の濃縮液が発生する。この濃縮液は、重金属イオンばかりでなく、各種の無機イオンも含有しているため、再利用が困難である。なお、金属イオンの選択的な分離・濃縮は困難である。さらに、排水に非溶存態の物質や金属水酸化物が存在する場合には、事前に除去する必要がある。RO膜は、膜径が極めて小さく、高圧力(1〜6MPa)が必要であり、排水処理のランニングコストが増大する課題がある。また、膜の繁雑な洗浄や事前処理および高圧力が必要である。
【0013】
また、メッキ排水処理に関しては、UF膜(UF:Ultra Filtration)、MF膜(MF:Micron Filtration)は、単独ではほとんど用いられていない(例えば、排水処理における限外ろ過膜・精密ろ過膜の利用 排水処理への適用事例−メッキ排水、光上義道、水質汚濁研究、10、3、153−154、1987)。メッキ排水処理に関して、高分子凝集剤とUF膜を組み合わせた検討事例があるが、実用化には至っておらず、これは、UF膜の透過水量が小さいことが要因と考えられる。
【0014】
生物濃縮法は、特定の金属イオンを微生物に摂取させ、微生物の体内に特定の重金属を濃縮させる方法である。現在、研究段階にあるが、生物による重金属取り込み速度がまだ小さく不安定であり、現段階では実用化は困難である。さらに、生物体内に濃縮された重金属を分離・回収する課題があると思われる。
【0015】
その他、重金属を含有したスラッジから重金属イオンを回収する方法として、バクテリアリーチングや溶媒抽出方法が提案されている。
【0016】
【特許文献1】
特開2002−30352号公報
【特許文献2】
特開2002−18485号公報
【非特許文献1】
逆浸透法によるメッキ排水の再利用、和田洋六、PPM、16〜27、1986
【非特許文献2】
排水処理における限外ろ過膜・精密ろ過膜の利用 排水処理への適用事例−メッキ排水、光上義道、水質汚濁研究、10、3、153−154、1987
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
現在の知見されている処理方法は、金属含有排水に含有される有害金属が規制値以下になるまで除去する、あるいは、処理水を有効利用するという視点からのみ構築されており、排水から有価金属資源を回収して再利用することにより、発生するスラッジを削減しようとする視点に基づく処理方法は少ない。すなわち、上記従来法には、金属含有排水中の有害金属が排水規制値以下となるまで除去でき、さらに、有害金属が分離回収できる処理方法は少ない。
【0018】
結局のところ、金属含有排水処理は中和凝集沈殿法が最も広く用いられており、発生するスラッジは、含有される有害金属が排水から分離回収可能であれば、資源としての価値が生じる可能性があるものの、埋め立て廃棄されている。
【0019】
本発明は、上記課題に応えるべく、金属含有排水の処理に際し、水質浄化と有価金属の回収を同時に計れ、さらに、スラッジ発生量を格段に削減する処理方法を提供することを課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特開2002−30352号公報、および、特開2002−18485号公報において、金属含有排水からの有価金属の回収方法を開示している。特開2002−30352号公報で開示している処理方法は、事前鉄酸化槽にてpH3〜5に維持しながら、化学酸化剤を用いて2価鉄イオンおよび有機物を酸化し、第一の膜分離槽にて鉄の水酸化物を濃縮し、次に、第二の膜分離槽にて排水をpH8〜10に調整してニッケルおよび亜鉛の水酸化物を濃縮する方法である。また、特開2002−18485号公報で開示している処理方法は、事前鉄酸化槽にてpH1〜3に維持しながら、通性独立栄養の鉄酸化細菌を用いて2価鉄イオンおよび有機物を酸化し、第一の膜分離槽にて排水をpH3〜5に調整して鉄の水酸化物を濃縮し、次に、第二の膜分離槽にて排水をpH8〜10に調整してニッケルおよび亜鉛の水酸化物を濃縮する方法である。
【0021】
しかし、これらの方法は、膜分離装置を用いて金属水酸化物を回収することを基本としている。膜分離装置として径の大きな膜を用いているものの、目詰まり頻度が多くなり再生操作が煩雑となる課題を有している。
【0022】
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決して、金属含有排水中の金属水酸化物等の浮遊物質(以下、SSと表示する。Suspended Solidsの略語。)を簡易に捕捉し、これを金属原料として再利用することについて更に検討を行った。
【0023】
一般に、河川水や排水中のSSを除去するには、ろ過装置が広く用いられている。しかし、SS濃度が高くなると、ろ過装置の充填剤の閉塞が進行しやすく、水で逆洗する頻度や量が増大するために、沈殿池の後処理装置としての位置付けが多く、ろ過装置を単独で用いることは少ない。
【0024】
金属含有排水が鉄分を多く含む場合、pHが中性付近では、SSとしては、金属水酸化物の中でも3価の鉄水酸化物であるFe(OH)3を含有する場合が多い。これは、3価の鉄イオンは、pHが4以下では溶解度が他の金属と比較して極めて小さいためであり、例えば、pHが4での3価の鉄イオンの溶解度は0.05mg/l以下である。このような鉄水酸化物は、コロイド状で極めて沈降しにくく、このままでは、沈殿池での沈殿分離が困難である。
【0025】
まず、本発明者は、ろ過装置に必要とされる性能について検討した結果、以下の点が重要であるとの知見を得た。
【0026】
1)金属水酸化物等のSSに対して所定の分離性能を継続して得られること。
【0027】
2)透過水量が大きい、すなわち、ろ過速度が大きいこと。
【0028】
3)ろ過装置の目詰まり頻度が小さいこと。
【0029】
4)充填剤の適用pH範囲が広く、高温の水の使用が可能であること。
【0030】
これらのことから、ろ過装置の充填剤は、所定のSSの分離性能が得られる範囲内で、排水量を確保するために、極力大きなサイズのものを使用する必要があることがわかった。
【0031】
本発明者が、鉄水酸化物のフロックの大きさを測定したところ、0.1〜50μmの範囲で、大半は1〜10μmであり、ろ過実験の結果、充填剤の直径が1mm以上20mm以下であれば、金属水酸化物の99〜100%が分離できることがわかった。さらに、充填剤の直径が100mmであっても、90%以上の分離が可能であることがわかった。多くの水酸化物は、充填剤近傍を通過する際に、充填剤に付着し除去されるものと思われる。
【0032】
ろ過装置の充填剤は、逆洗後再度利用するのが通常であるが、鉄のような金属水酸化物は、ろ過装置の充填剤の表面に強固に付着するため、水で逆洗しようとしても排出が困難となる場合があり、この対策として、水と空気で同時逆洗する方法などが考えられるものの、限界があった。
【0033】
そこで、本発明者は、充填剤として製鉄所の高炉で用いられているコークスペレットあるいは焼結ペレットあるいは鉄鉱石を使用した結果、ろ過装置の充填剤が閉塞し逆洗が困難となった場合には、逆洗せずに鉄水酸化物が付着した充填剤をそのまま高炉の鉄原料として用いることができるとの知見を得た。
【0034】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)製鉄所から発生するメッキ工場排水を酸化処理して、得られた鉄水酸化物を形成した溶液を、コークスペレットを充填したろ過装置でろ過した後前記鉄水酸化物が付着したコークスペレット回収し、当該回収したコークスペレットを高炉の鉄原料として使用することを特徴とする金属含有排水中の有価金属の回収方法。
(2)前記充填剤の大きさが、長辺の長さが1〜20mmであることを特徴とする前記()に記載の金属含有排水中の有価金属の回収方法。
)前記金属含有排水に鉄系凝集剤、高分子凝集剤から選ばれる1種または2種以上を添加することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の金属含有排水中の有価金属の回収方法。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明は、ここで引用する諸条件に限定されるものではない。
【0036】
ろ過装置に用いる本発明の充填剤としては、製鉄所の高炉で用いられているコークスペレット、焼結ペレット、鉄鉱石が好ましく、このほかに、砂、石炭系原料のアンスラサイト、粒状活性炭、あるいはプラスチックスのリサイクル品も使用可能である。
【0037】
ただし、金属含有排水のpHによって使用できる充填剤が異なり、前記pHが4以上であれば前記充填剤の何れも使用できるが、前記pHが4未満では焼結ペレットや鉄鉱石は、鉄などの重金属が水中に溶解してくるため使用が困難であり、これら以外の充填剤の使用が好ましい。
【0038】
本発明の充填剤の形状は、いかなる形状でも使用可能である。また、多くの水酸化物は、充填剤近傍を通過する際に、充填剤に付着し除去されると思われるため、従って、充填剤の大きさは、所定のSSの分離性能が得られる範囲内で、極力大きなサイズのものを使用することが好ましく、具体的には、長辺の長さが1〜100mmのものが好ましく、1〜20mmが特に好ましい。
【0039】
また、本発明法では、金属含有排水に鉄系凝集剤、高分子凝集剤を添加してフロック形成を促進してもよい。鉄系凝集剤としては塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄を用いることができる。高分子凝集剤としてはアニオン系の高分子凝集剤を用いればよい。本発明者が、鉄水酸化物のフロックの大きさを測定したところ、0.1〜50μmの範囲であり、大半は1〜10μmであるとの知見を得ているが、前記凝集剤を添加すると、フロックの大きさは通常50μm以上となる。この場合、使用するろ過装置の充填剤としては、50mm以下の径があればよい。
【0040】
上述のように、多くの水酸化物は、充填剤近傍を通過する際に、充填剤に付着し除去されるものと思われる。特に、鉄のような金属水酸化物は、ろ過装置の充填剤の表面に強固に付着するため、水で逆洗しようとしても排出が困難となる場合があるが、上記本発明の充填剤であれば、ろ過装置の充填剤が閉塞し逆洗が困難となった場合は、逆洗せずに鉄水酸化物が付着した充填剤をそのまま製鉄所の高炉の鉄原料として用いることが可能である。
【0041】
図1には、浮遊状態の鉄水酸化物を含有する金属含有排水の処理を行うための本発明の処理プロセスフロー図を示す。該処理プロセスの主な構成は、排水タンク1、送水ポンプ2、本発明の充填剤5を充填したろ過装置3からなる。金属含有排水は、送水ポンプ2を介して、排水タンク1からろ過装置3に送られ、SSが除去され処理水4が得られる。ろ過速度は、100m/日以上400m/日未満が適当である。100m/日未満では、装置仕様が大きくなり、400m/日以上になるとSSが処理水4に流出しやすくなる。
【0042】
なお、ろ過装置3への通水の水流の方向は上部からでも下部からでもかまわないが、下部から上部に流す上向流方式がより望ましい。下向流の場合、ろ過速度を速めると鉄水酸化物のフロックがろ過装置3の下部から流出しやすくなるためである。
【0043】
上述のように、ろ過装置3の充填剤5に付着して除去された鉄水酸化物は、充填剤5に付着した状態で、そのまま製鉄所の高炉の鉄原料として用いることが可能である。
【0044】
なお、金属含有排水の中でも、メッキ工場排水等の金属含有排水は、通常、pHが2〜4と低く、含まれる鉄はSS体のものは少なく、溶解性の2価鉄イオンが主であるため、前述のようなろ過装置の単独処理では、排水から鉄イオンを除去することは難しい。
【0045】
この場合には、本発明の充填剤を用いたろ過装置による処理の前段で、まず、鉄酸化反応槽による2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する処理を行えばよい。この鉄酸化処理方法としては、鉄酸化細菌を用いた生物酸化法、あるいは過酸化水素を用いた化学酸化法を行えばよい。その後、pH調整槽に前記排水を移し、さらにNaOHを添加して金属含有排水のpHを4に調整すれば、鉄水酸化物主体のSSを得ることができる。
【0046】
【実施例】
ここで本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例で用いた条件に限定されるものではない。
(実施例)
金属含有排水として、製鉄所から発生する表1のメッキ排水に対して、鉄酸化細菌を用いた鉄酸化反応槽にて2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する処理を行った後、pH調整槽にて金属含有排水のpHを4に調整する処理を行ったものを使用した。
【0047】
【表1】
Figure 0004261857
【0048】
前記排水を用いて、図1に示す処理フローに従って、ろ過装置による処理を行った。充填剤には、粒径が10〜20mmのコークスペレットを使用した。
【0049】
排水は、送水ポンプ2を介して、排水タンク1からろ過装置3の下部へ、200m/日のろ過速度で供給した。鉄の水酸化物は、ほぼ完全にコークスペレットに捕捉され、上部からはSS濃度が1mg/l以下の清澄な処理水が得られた。
【0050】
コークスペレットが次第に閉塞し、処理水のSSが5mg/l以上となった段階で、排水の供給を中止し、水酸化鉄が付着したコークスペレットを取り出し、新たなコークスペレットを補充した。水酸化鉄が付着したコークスペレットは、鉄鋼原料として使用した。
【0051】
水酸化鉄が付着したコークスペレットは、通常のコークスペレットと混合された後、製鉄所の高炉に投入され、問題なく処理された。
【0052】
処理水4はpH=8に制御し、ニッケル・亜鉛系スラッジを沈殿池で濃縮した。
【0053】
コークスペレットに付着した鉄系スラッジ、及び沈殿池で濃縮されたニッケル・亜鉛系スラッジを乾燥した後の成分分析の平均値を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004261857
【0055】
コークスペレットに付着した鉄系スラッジには、亜鉛、ニッケルはほとんど含まれておらず、一方、沈殿池から得られたスラッジは、亜鉛、ニッケルが主体で、鉄はほとんど含まれていない。この結果から、本発明の充填剤を使用したろ過装置による処理を行うことにより、排水中の鉄とニッケル・亜鉛はほぼ完全に分離できるものと思われる。
【0056】
従って、本発明法により、メッキ排水中の鉄イオンと、亜鉛およびニッケルイオンは、分離回収でき、さらに水酸化鉄が付着したコークスペレットは、鉄鋼原料として使用できることが明らかになった。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、金属含有排水を効率的かつ安定して処理するとともに、金属含有排水から有価金属を回収・再利用でき、スラッジの発生量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浮遊状態の金属水酸化物を含有する金属含有排水の処理を行うための本発明の処理フロー図である。
【符号の説明】
1…排水タンク
2…送水ポンプ
3…ろ過装置
4…処理水
5…充填剤

Claims (3)

  1. 製鉄所から発生するメッキ工場排水を酸化処理して、得られた鉄水酸化物を形成した溶液を、コークスペレットを充填したろ過装置でろ過した後前記鉄水酸化物が付着したコークスペレット回収し、当該回収したコークスペレットを高炉の鉄原料として使用することを特徴とする金属含有排水中の有価金属の回収方法。
  2. 前記充填剤の大きさが、長辺の長さが1〜20mmであることを特徴とする請求項に記載の金属含有排水中の有価金属の回収方法。
  3. 前記金属含有排水に鉄系凝集剤、高分子凝集剤から選ばれる1種または2種以上を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属含有排水中の有価金属の回収方法。
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