JP2005238181A - 廃水の処理及び有価金属の回収方法並びにメッキ溶液の製造方法 - Google Patents

廃水の処理及び有価金属の回収方法並びにメッキ溶液の製造方法 Download PDF

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幾雄 実原
Hii-Don Chon
ヒィ−ドン チョン
Sonku Park
ソンク パク
Sankyo Che
サンキョ チェ
Jeyon Lee
ジェヨン イー
Jonmun Park
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Donhiii Park
ドンヒィー パク
Hyon Park
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Abstract

【課題】 重金属を含む廃水を効率的且つ安定して処理すると同時に、廃水から有価金属を回収し廃棄スラッジの発生量を削減する。
【解決手段】 金属含有廃水を処理する場合に、活性汚泥から、2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化できる従属栄養細菌を主として含有する鉄酸化細菌群を培養し、この鉄酸化細菌群を利用して2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化すると同時に鉄の水酸化物を形成することによって鉄の水酸化物を回収する。その後、pHを9〜10に調整し他の金属の水酸化物を形成・回収する。また、イオン交換樹脂を利用し、pHを上昇させることなく、金属イオンを回収可能であり、製造した金属溶液はメッキ溶液として再使用したり、電解採取法を使用して金属塊を製造する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、メッキ廃水のような2価鉄イオンを含有する廃水を、鉄酸化細菌群を利用して効率的且つ安定して処理すると同時に、廃水に含有された鉄や有価金属を回収し、再利用し、そして金属を含む廃棄スラッジ(sludge)の発生量を削減する方法に関する。
金属を含有する廃水には、鉱山廃水、化学工場廃水、製錬所廃水、製鉄所廃水、メッキ工場廃水、ごみ焼却場廃水などがある。
これらの中で、製鉄所から発生する電気メッキ工場廃水は、pHが2〜4と低く、メッキの種類に応じて2価鉄イオン以外に、ニッケル、亜鉛、錫、クロム、銅などの金属イオンを複合的に含有している場合が多い。このような金属イオンは、有害金属として廃水規制の適用を受けるため、放流前に法的規制値以下に除去しなければならない。しかしながら、金属として分離回収できれば、資源としての価値を創出することができる。また、メッキ工場廃水などには界面活性剤やメッキ用添加剤などの有機物が含有されている場合があり、更なるCOD(化学的酸素要求量)処理を必要とする場合もある。
まず、従来のメッキ廃水の処理方法および有価金属の回収方法について以下に説明する。
従来から幅広く使用されているメッキ廃水の代表的な処理法は、中和凝集沈殿法である。
1)中和凝集沈殿法は、水酸化カルシウムのように安価なアルカリ剤を投与して廃水のpHを9〜10まで上昇させ、廃水中に含有された金属イオンを水酸化物化して沈殿池などで沈殿分離するものである。
図1は、各種金属の溶解度を示しており、pHが9〜10の条件で、鉄イオン、ニッケル・イオン、亜鉛イオンなどは溶解度が減少し水酸化物化する。しかしながら、このようなpH調整沈殿法では、多様な水酸化金属を含有するスラッジが発生し、このように発生したスラッジは、再利用が不可能であって特殊廃棄物として区分されるため、法に規定された埋め立てなどの方法によって処理されている。当該方法のみではメッキ廃水のように多種類の金属イオンを含む廃水の場合、有価金属の回収はできない。
この他、電気メッキ廃水の処理方法および有価金属の回収方法としては、硫化物沈殿法、イオン交換樹脂法、キレート樹脂法、膜分離法、溶媒抽出法、生物濃縮法、活性炭吸着法などがある。以下にそれぞれの特徴について簡単に説明する。
2)硫化物沈殿法:廃水に硫化ソーダ(Na2S)を投与し、重金属イオンを硫化物の形態で沈殿させる方法である。硫化物の溶解度は水酸化物の溶解度より相当に低いため、低濃度の重金属イオンも沈殿させることができる。しかしながら、硫化物沈殿法は、生成された沈殿物がコロイド化しやすいために分離が難しく、また、有害な硫化水素ガスが発生しやすいという短所がある。さらに、当該方法のみではメッキ廃水のように多種類の金属イオンを含む廃水の場合、分離された沈殿物は各種金属の混合物であるため、再利用が不可能であり、特殊廃棄物として区分し処理せざるを得ない。
3)イオン交換樹脂(Ion−exchange resin)法:イオン交換樹脂法は、浄水処理に幅広く使用されている方法である。廃水の処理に適用する場合、陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂に金属イオンを吸着させて分離回収することになるが、一般的に廃水はイオン濃度が非常に高いため、交換樹脂の吸着・再生が煩雑になるという問題がある。また、交換樹脂の原理上、特定金属成分を選択的に分離することは不可能である。さらに、交換樹脂の吸着・再生性能は浮遊物質(SS:Suspended Solids)に弱いため、事前に浮遊物質を除去しておく工程が必要である。当該方法のみではメッキ廃水のように多種類の金属イオンを含む廃水の場合、樹脂から再生された液は各種金属の混合物であるため、再利用が不可能であり、特殊廃棄物として区分し処理せざるを得ない。
4)キレート樹脂法:キレート樹脂法は、特定の金属イオンに対して強い選択性を有する樹脂(架橋構造を有する高分子に金属イオンと錯体を形成するキレート形成基を導入した樹脂)を利用したものであって、廃水中に含有される微量の重金属イオンも吸着除去することができる。ごみ焼却場の廃水中に含有される水銀イオンの除去などに主に使用されている。しかしながら、廃水中のイオン濃度が高い場合には、樹脂の吸着・再生が煩雑になり、樹脂が浮遊物質に弱いため、事前に浮遊物質を除去しておく工程が必要である。当該方法では、ある程度、金属の分離回収が可能となる場合がある。しかしながら、メッキ廃水のように多種類の金属イオンを高濃度に含む廃水の場合、完全な分離回収は困難である。
5)膜法:膜法は、浸透圧を利用して溶媒のみを膜を介して移動させるため、清澄な処理水を得ることができ、海水の淡水化や工場廃水の再利用などに幅広く使用されている。しかしながら、塩類が高濃度に濃縮された液が同時に発生する。又、膜の煩雑な洗浄や事前処理及び高圧力が必要である。さらに、膜法の原理上、特定金属イオンの選択的な分離回収は不可能である。
6)生物濃縮法:生物濃縮法は、特定の金属イオンを微生物に摂取させ、微生物の体内に濃縮させる方法であるが、未だ研究段階にある。
7)事前鉄酸化−鉄分離回収法:低pHのメッキ廃水に含有される2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化した後に、pH3〜5で水酸化鉄化して、鉄を分離・回収する方法である(図1参照)。2価鉄イオンを酸化する方法としては、オゾン、塩素、過マンガン酸カリウム、過酸化水素などの化学酸化剤を利用する方法と鉄酸化細菌を活用する生物学的な方法が知られている。このような生物学的方法は、薬品酸化法と比較し、ランニング・コストが低い長所がある。また、図1に示すように3価鉄イオンは、他の金属イオンと比較し、低pHで溶解度が小さいため、分離回収が可能である。
次にメッキ溶液の製造方法について説明する。例えば、製鉄所の連続電気メッキ工程における亜鉛−鉄合金メッキ溶液の組成は、一般的に亜鉛70〜80g/L、鉄10〜15g/L、塩素250〜300g/L、pH1〜3程度である。通常、これらのメッキ溶液は、水溶性・純度の高い塩酸塩を購入し、pH調整の上、生成している。廃液処理から発生するスラッジは、鉄や亜鉛を高濃度に含んでいるが、前述したように、通常、各金属が分離回収されていないため、メッキに対して不純物となる金属も含有している。このため、スラッジを再溶解させてもメッキ溶液として用いることができない。
和田洋六、「逆浸透法によるメッキ廃水の再利用」PPM、p16〜p27、1986 井上義道、「水処理における限外濾過膜・精密濾過膜の利用 廃水の処理への適用事例−メッキ廃水」水質汚濁研究、10、3、p153−p154、1987 大島泰朗監修、「極限微生物ハンドブック」フォーラム(forum)、1991、5月20日、p223−232 井出哲夫,「第2版水処理工学」、技報堂、p59〜p67 水道技術センター、「水道用凝集剤の多様化検討調査」、p23〜p48、2000年 和田廠六、「水のリサイクル」、地人書館、p112〜p114、1992年 矢沢彬、江口元徳、「湿式精錬と廃水処理」、共立出版、pp190-199、1980年 亀山秀雄、「エネルギー・資源再活用」、倍風館、p44〜p45、1996年 特公昭47−38981号公報(第137−138頁、第1図) 特公昭55−18559号公報(第195−204頁) 特開昭59−116385号公報(第429−433頁) 特許第3136458号 特許第3227554号
現在までに知られているメッキ廃水の処理方法が有する問題点は次のとおりである。
まず、中和凝集沈殿法及び硫化物沈殿法は、発生したスラッジが各種金属の混合物であるため、再利用が極めて困難であるのみならず、特殊廃棄物として規定され、法に規定される埋め立てなどの方法で処理しなければならないという問題点がある。従来のイオン交換樹脂法は、火力発電用のボイラ給水や半導体用の高純度水製造などに幅広く使用されているが、この場合、イオン濃度が1000mg/L以下であった。従って、一般的にイオン濃度がこれよりも高い廃水に適用するのが困難である。また、イオン交換樹脂の前処理及び脱着などの操作が煩雑であり、イオン交換樹脂の再生液は各種重金属イオンの混合液であるため、再利用が困難である。さらに、長期間の運転時にイオン交換樹脂がSS成分(金属水酸化物、有機物、微生物など)で汚染された場合、樹脂の再生操作によっては回復が困難となる。キレート樹脂法もやはりイオン交換樹脂法と似た問題点を有しており、有価金属の回収を目標とする廃水処理に適用するのは難しいと考えられる。
膜法は、塩類濃度が1,000〜10,000mg/L程度の廃水を対象とした海水の淡水化のために幅広く使用されている。また、メッキ廃水の再利用に適用された場合もある(例えば、非特許文献1を参照のこと)。この場合には、重金属のみならず無機物イオンなども廃水から除去できるため、膜透過水を工業用水として再利用することができる。しかしながら、同時に少量の濃縮液が発生し、各種重金属イオンと無機物イオンを含有しており再利用が困難である。さらに、膜法は、膜径が極めて小さく、高圧力(1〜6MPa)が必要なため、維持費が高い。また、メッキ廃水の処理に、UF(Ultra−Filtration)膜、MF(Micro−Filtration)膜は単独ではほとんど使用されていない(例えば、非特許文献2を参照のこと)。高分子凝集剤とUF膜を組み合わせた検討事例があったが、実用化することはできなかった。UF膜の透過水量が小さいことが要因と考えられる。
最後に生物濃縮法があるが、生物によって重金属が蓄積される速度が小さく不安定であり、現段階では実用化が困難である。また、生物体内に濃縮された重金属を分離・回収しなければならないという問題点が残っている。
このように、現在知られている廃水の処理方法は、メッキ廃水に含有される重金属を法的規制値以下に除去するか又は処理水を再利用することにのみ焦点を当てており、廃水に含有された有価金属資源を回収・再利用してスラッジの発生量を削減することが考慮されていなかった。結局、現在の重金属含有廃水の処理方法としては、中和凝集沈殿法が最も幅広く使用されており、発生したスラッジは埋め立て廃棄されている。
しかしながら、各種の金属の分離回収が可能となった場合、その含有量にもよるが、さまざまな利用価値が生ずるのである。例えば、水酸化鉄(III)は、以下のような利用が考えられえる。
まず、溶鉱炉での鉄原料としての利用が考えられる。しかしながら、実際には、メッキ廃液の場合、亜鉛などの不純物が含まれるため、発生するスラッジを鉄源として利用することが忌避されてしまう。
また、メッキ工程のメッキ溶液としての再利用も考えられるが、各種の不純物の存在のため、使用できない。さらに、水処理用鉄系凝集剤や活性汚泥の膨化防止剤としての利用も考えられるが、やはり不純物の存在のため、水質基準に抵触しやすく、用いることができない。
本発明者らは、事前鉄酸化−鉄分離回収法、特に、鉄酸化細菌を活用した生物学的酸化方法を継続して研究してきた。例えば、メッキ工場廃水は、通常、pHが低く、2価鉄イオンが主に含まれている。前述のとおり、2価鉄イオンと比較し、3価鉄イオンは低pHにおいても溶解度が非常に低い(図1を参照のこと)。このため、事前に鉄を分離回収するためには、低pH領域において2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化しなければならない。メッキ廃水に含まれている2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する方法としては、オゾン、塩素、過マンガン酸カリウム、過酸化水素などの化学酸化剤を利用して酸化する方法及び鉄酸化細菌を活用した生物学的酸化方法が考えられる。しかしながら、化学的酸化法は、酸化剤の費用のために不経済であり、廃水の濃度変動が大きい場合には制御が難しい。特に、過剰に酸化剤を添加した場合には、更に還元剤を投与しなければならない。
これに対して、鉄酸化細菌を利用した生物学的酸化方法は経済的に有利である。これまで広く知られている鉄酸化細菌としては、酸性条件において活性を有する独立栄養細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)がある。チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)を利用して廃水中に含有される2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する生物学的な鉄酸化方法は、非特許文献3、特許文献1、特許文献2、特許文献3などから公知である。
チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)を、2価鉄イオンを含有する低pHの廃水処理に適用する場合、pHが低い条件下でも、2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化できるという長所がある。しかしながら、独立栄養の鉄酸化細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)を大量に入手することは容易ではない。そこで本発明者らは、下水の有機物質を分解している中性(pH:6〜8)の活性汚泥から1〜3のpHで活性を有する鉄酸化細菌を、窒素・リンを添加した条件下で培養することに成功している(特許文献4を参照のこと)。また、膜を併用し、このような鉄酸化細菌を反応槽内で高濃度化する方法を提案している(特許文献5を参照のこと)。
このような方法によれば、メッキ廃水処理水の水質を廃水規制値以下にすることができ、同時に、メッキ廃水から鉄と他の有価金属を分離して回収することが可能になる。
しかしながら、これまでの知見では、2価鉄イオンを酸化する主たる細菌は、CO2から菌体を合成する独立栄養の鉄酸化細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)であると考えられていた。以下の表1に、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)の特性を示す。このような独立栄養の鉄酸化細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)は、CO2から菌体を合成する。しかしながら、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)は、廃水中に存在する有機物を分解・資化できないだけでなく、有機物によってその成長が阻害され、廃水中にメッキ添加剤などの有機物が存在すると2価鉄イオンの酸化速度も低下するという問題がある。すなわち、独立栄養の鉄酸化細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス)のみの処理では、2価鉄イオンの酸化効率が低下しやすく、実際の廃水の処理が不安定化しやすいという課題がある。すなわち、鉄酸化細菌の生物反応槽の高効率化、処理の安定化が強く要求されているのが実情である。2価鉄イオンの酸化が不安定となると金属の分離回収が困難となり、従来法と同様に、廃棄スラッジの量が増加してしまう。このように、鉄酸化細菌の反応槽をどのようにして高効率化・安定化するかが非常に重要な課題である。また、一般に、微生物はその生育のため、窒素、リンを必要とするが、必要量が明確でなく、過剰に添加しているのが実状である。
本発明の要旨は、金属を含む廃水を処理する際に、水質を浄化すると同時に有価金属を回収し、同時にスラッジ発生量を格段に削減できる工程を開発したものであって、以下の(1)〜(21)に示す通りのものである。
(1)鉄酸化細菌群が存在する反応槽の中に2価鉄イオンを含む廃水を投入し、該2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、該廃水をpH制御して水酸化鉄(III)を形成し、固液分離して有価金属を回収する、廃水の処理及び有価金属の回収方法において、該鉄酸化細菌群が、都市下水、製鉄所安水又は有機性産業廃水を処理する活性汚泥から培養した、2価鉄イオンの酸化機能を有する従属栄養細菌を含む混合微生物系、又は2価鉄イオンの酸化機能を有する独立栄養細菌と従属栄養細菌とを含む混合微生物系であることを特徴とする、前記方法。
(2)前記従属栄養細菌としてコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)を含むことを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)前記独立栄養細菌としてチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)を含むことを特徴とする、(1)に記載の方法。
(4)前記反応槽中の廃水のpHを3.0以上4.0以下に制御し、前記廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化すると同時に、3価の水酸化鉄(III)を形成することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記反応槽の後段にpH調整槽、続いて沈殿池を設けたプロセスからなる廃水の処理及び有価金属の回収方法であって、該反応槽の中に、ポリウレタン・フォームを投入し、事前にpHを1.5〜2.0の範囲に調整した前記廃水を反応槽に投入し、該廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、該反応槽内の処理水を排出して該pH調整槽へ投入し、該調整槽内で該処理水をpH4〜5に中和処理して水酸化鉄(III)を形成した後、沈殿池へ投入して沈降させ、上澄みと水酸化鉄(III)を含む沈殿物に分離し、該沈殿物を回収することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(6)前記反応槽の中に中空糸膜からなる膜モジュールを設け、その後段にpH調整槽、続いて沈殿池を設けたプロセスからなる廃水の処理及び有価金属の回収方法であって、事前にpHを1.5〜2.0の範囲に調整した前記廃水を該反応槽に投入し、該廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、該反応槽内の処理水を該膜モジュールを通して排出して該pH調整槽へ投入し、該調整槽内で該処理水をpH4〜5に中和処理して水酸化鉄(III)を形成した後、沈殿池へ投入して沈降させ、上澄みと水酸化鉄(III)を含む沈殿物に分離し、該沈殿物を回収することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(7)前記鉄酸化細菌群の栄養元素である窒素及びリンは、廃水中に含有されている1mg/L以上10mg/L以下の該窒素、及び0.1mg/L以上5mg/L以下の該リンのみを使用することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)前記反応槽の後段に沈殿池を設置し、該反応槽の処理水を該沈殿池に投入し、水酸化鉄(III)及び水酸化鉄(III)に付着した鉄酸化細菌群を該沈殿池にて沈降させ、上澄みと水酸化鉄(III)を含む沈殿物に分離し、該沈殿物を回収するとともに一部を反応槽に返送することを特徴とする、(1)〜(4)、及び(7)のいずれかに記載の方法。
(9)前記反応槽の後段に沈殿池を設置し、該反応槽の処理水を該沈殿池に投入し、該処理水のpHを4〜5に調整し、形成した水酸化鉄(III)を沈澱池で分離濃縮して回収することを特徴とする、(1)〜(4)、及び(7)のいずれかに記載の方法。
(10)前記反応槽内のMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:活性汚泥混合液浮遊物質)濃度を3質量%以上10質量%未満にすることを特徴とする、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)前記反応槽と前記沈殿池を一体化したことを特徴とする、(1)〜(4)、(7)、及び(10)のいずれかに記載の方法。
(12)前記沈殿池の後段に設置した濾過装置又は膜分離装置により、該沈殿池の処理水に残存する水酸化鉄(III)の分離・回収を行うことを特徴とする、(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)前記廃水から回収した水酸化鉄(III)を溶鉱炉原料として再利用することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)廃水から回収した水酸化鉄(III)を、電気メッキ酸洗工程で廃液として排出される酸洗廃液に投入して溶解した後に、電気メッキ工程の廃棄物である廃亜鉛陽極チップを投入し、3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元すると同時に遊離酸濃度を減少させ、亜鉛に対する鉄の濃度を0.12〜0.21質量%に調節することを特徴とする、メッキ溶液の製造方法。
(15)廃水から回収した水酸化鉄(III)を、酸洗工程で廃液として排出される酸洗廃液に投入して溶解した後に、圧延工程で廃棄物として排出される鉄片を徐々に投入して3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元すると同時に遊離酸濃度を減少させ、塩酸又は硫酸の濃度が30〜40g/L、鉄濃度が190〜200g/Lになるように調節することを特徴とする、メッキ溶液の製造方法。
(16)前記廃水から回収した水酸化鉄(III)を酸洗廃液に投入して溶解し、オゾン、過酸化水素などの不純物が残らない酸化剤を徐々に投入して2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化することにより、水処理凝集剤として使用する塩化第二鉄水溶液又は硫酸第二鉄水溶液を製造することを特徴とする、請求項(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(17)前記廃水から回収した水酸化鉄(III)を、コークス廃水処理工程における廃水処理反応槽中のMLSS濃度に対して、1〜10質量%混合し、該反応槽中の活性汚泥の膨化を防止することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(18)亜鉛イオン及び/又はニッケル・イオンを更に含有する前記廃水を処理し、その後該処理水のpHを9以上10以下に制御して亜鉛及び/又はニッケルの水酸化物を形成し、該水酸化物を沈殿池又は濾過装置又は膜分離装置にて固液分離して回収することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(19)前記処理水をキレート樹脂及び/又は強酸性陽イオン交換樹脂に通水し、亜鉛イオン又はニッケル・イオンを該樹脂に吸着し、その後該樹脂に硫酸又は塩酸にて溶出し、亜鉛又はニッケルの濃縮イオンとして回収することを特徴とする、(18)に記載の方法。
(20)前記(18)又は(19)に記載の方法によって回収したニッケル及び/又は亜鉛の水酸化物又は濃縮イオンを、非鉄原料又はメッキ溶液として再利用することを特徴とする、廃水の処理及び有価金属の回収方法。
(21)前記(20)に記載の方法によって濃縮回収された亜鉛又はニッケル・イオン溶液から電解採取法の定電流法を利用して亜鉛又はニッケル金属塊を製造することを特徴とする、廃水の処理及び有価金属回収方法。
本発明を利用すれば、2価鉄イオンを含有する廃水を効率的且つ安定して処理すると同時に、廃水に含有される有価金属成分を分離・回収し、再利用することができるため、廃棄スラッジとして処理される量をほとんど皆無にすることができる。
以下、本発明の作用を詳細に説明する。
本発明者らは、鉄酸化細菌群を利用して金属を含有する廃水を処理し、有価金属を分離・回収する方法において、以下のことを新たに発明した。
まず、本発明の第1の特長は、活性汚泥から培養した鉄酸化細菌群が、2価鉄イオンの酸化機能を有する従属栄養細菌からなる混合微生物系、又は2価鉄イオンの酸化機能を有する独立栄養細菌と従属栄養細菌の混合微生物系から成り立っている点にある。
前述したように、これまでの知見では、2価鉄イオンを酸化する主たる細菌は、CO2から菌体を合成する独立栄養の鉄酸化細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)と考えられていた。しかしながら、発明者らは、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)は、廃水中に存在する有機物を分解・資化できないだけでなく、有機物によってその成長が阻害され、廃水中にメッキ添加剤などの有機物が存在すると2価鉄イオンの酸化速度も低下するという問題があり、実際の廃水の処理に適用しても、2価鉄イオンの酸化効率が低下しやすく、実際には、廃水の処理が困難であることを発見した。
すなわち、反応槽に、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)だけでなく、従属栄養細菌を同時に培養すれば、従属栄養細菌が廃水中に存在するメッキ液添加剤などの有機物を分解するため、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)の成長が阻害されず、2価鉄イオンの酸化速度が低下しない利点があることが判明した(図2を参照のこと)。
更に、今般、発明者らは、反応槽にチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)が存在しなくても、2価鉄イオンが3価鉄イオンに容易に酸化される場合があることを新たに発見した。すなわち、反応槽に従属栄養細菌であるコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)が存在すれば、独立栄養のチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)が存在しなくても、2価鉄イオンが3価鉄イオンに酸化されたのである。すなわち、1年以上の長期間の運転後にもコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)のDNAが検出された一方で、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)のDNAは全く検出されなかったのである(図3を参照のこと)。
メッキ廃液処理に用いる鉄酸化細菌群は、独立栄養細菌と従属栄養細菌の両方を含有している細菌群、あるいは、従属栄養細菌であるコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)を含む従属栄養細菌のみの系でも、2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化できることが明らかになった。
本発明の第2の特長は、廃水中に含有される微量の窒素成分やリン成分だけで鉄酸化細菌群が増殖可能であることを発見した点である。実際、窒素とリンを人為的に添加しなくても、廃水中に含まれる微量の窒素とリンだけで鉄酸化細菌群の培養は可能であった。廃水の溶解性窒素濃度は1mg/Lから10mg/L程度、溶解性リン濃度は0.1mg/Lから5mg/L程度と毎日大きく変動した。窒素とリンを更に添加しないのは、薬品費削減の観点から経済的である。なお、従来の方式(特許文献4を参照のこと)では、窒素とリンを外部から添加していた。
本発明の第3の特長は、pH制御方式である。すなわち、反応槽のpHが独立栄養の鉄酸化細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)の最適pHからはずれていても(pH=1〜3)都市下水又は製鉄所安水又は有機性産業廃水を処理する活性汚泥から、2価鉄イオンを3価イオンに酸化できる鉄酸化細菌群を培養できることにある。これは、2価鉄イオンを酸化できる細菌が必ずしもチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)に限らないことと一致している。従来の方式(特許文献4を参照のこと)では、反応槽で培養する鉄酸化細菌は、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)とみなし、pHが1以上3未満の条件で培養を行っていた。また、反応槽のpH制御を厳密に行わず、廃水のpHを制御することも可能となる。今般、反応槽のpHを3以上4未満に制御する方式、又は廃水のpHを1.5以上2未満に制御する方式を試み、いずれの方式でも、鉄酸化細菌群の培養は可能であった。従属栄養細菌群は、2価鉄イオン活性のあるpH範囲が広く培養が極めて容易である。
次に、本発明において、高効率反応槽としての以下の3プロセスを提案する。以下、当該プロセスについて説明する。
第1のプロセスは、鉄酸化細菌群が存在する反応槽のpHを3.0以上4.0未満に制御、廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化すると同時に、生成した3価の水酸化鉄(III)に鉄酸化細菌群を付着させることを特徴とする。まず、活性汚泥から鉄酸化細菌群を、廃水を利用した連続培養によって培養する。鉄酸化細菌群が存在する反応槽に、窒素及びリンを添加せず、pHを3〜4の領域で制御しつつ、電気メッキ廃水(平均2価鉄イオン濃度:100〜200mg/L)を流入させる。反応槽に空気を流入させ、空気量は、DO(溶存酸素)及び/又はORP(酸化還元電位)値によって制御する。反応槽のHRT(水理学的滞留時間)は、連続培養が十分に進行した後には、30分から1時間程度に維持する。廃水中の2価鉄イオンは反応槽内で鉄酸化細菌群によって3価鉄イオンに容易に酸化される。また、反応槽内のpHが3〜4であるため、酸化した3価鉄イオンは、直ちに水酸化鉄(III)を形成して析出し、スラリー化し、90%以上が反応槽から回収される。又、生成した水酸化鉄(III)のスラリーは、反応槽内で鉄酸化細菌群の担体としても作用し、鉄酸化細菌群が反応槽内に長く留まれるようになった。更に、pHが2〜3の条件と比較すれば、3〜4の条件で水酸化鉄(III)の析出比率が急激に増加するため、反応槽内に存在する鉄酸化細菌群の量および種類も増加した。このような理由から、本発明では、鉄酸化細菌の回分式培養が不要であり、また、HRTが30分から1時間の条件でも2価鉄イオンを効率的に酸化することができた。従来法(特許文献4を参照のこと)の実施例ではHRT=2時間であり、処理効率を2倍から4倍に上昇させることができた。
鉄酸化細菌群を活用した反応槽の後段には沈殿池を設置し、水酸化鉄(III)及び水酸化鉄(III)に付着した鉄酸化細菌群を分離濃縮した後に、反応槽内に返送する。反応槽のMLSS濃度は、反応槽中のMLSS濃度を測定し、沈殿池又は反応槽から水酸化鉄(III)を引き抜くことにより、3質量%以上10質量%未満に維持する。反応槽のMLSSが3質量%未満の場合には、2価鉄イオンの酸化速度が不安定化しやすく、10質量%以上の場合には、沈殿池での固液分離が困難になるためである。また、反応槽と沈殿池を一体化してもよい。この場合、設備費の削減が可能となる。実際の形式としては、上下水道で広く使用されている濁度除去用の高速凝集沈殿池や下水・廃水処理で用いられている高速エアレーション沈殿池(活性汚泥分離)を利用すればよい(非特許文献4を参照んこと)。
第2の高効率反応槽のプロセスは次の通りである。固定化反応槽(IBR:Immobilized Bio−Reactor)と呼称する。図5に示す反応槽を用いる。まず、活性汚泥から、鉄酸化細菌群を、廃水を用いた連続培養によって培養する。このように培養した鉄酸化細菌群を、微生物固定化用の担体となるポリウレタン・フォームが投入されている固定化反応槽に投入し、ポリウレタン・フォームに固定化する。ポリウレタン・フォームは、5mmから20mm角の大きさであり、反応槽容積あたり、5から20V/V%投入する。この後、鉄酸化細菌群をウレタン・フォームに固定化した反応槽に、窒素及びリンを更に添加することなく、pHを1.5以上2.0以下に制御した電気メッキ廃水を通水する。廃水は、固定化反応槽の下部又は上部から流入させる。空気はブロアを利用して固定化反応槽の下部から供給し、HRTは、30分から1時間以内に維持する。
反応槽で担体として使用したポリウレタン・フォームは、鉄酸化細菌群をよく固定化するため、1時間のHRT条件でも鉄酸化細菌群の流失(wash out)がほとんど発生せず、2価鉄イオンを3価鉄イオンまで効率的に酸化することができる。
3価鉄イオンは、図1に示すようにpH=2以下の条件では溶解度が高く、反応槽内のpHがこの条件下では水酸化鉄(III)をほとんど形成しないため、大半が溶存態、すなわち3価鉄イオンのままで反応槽から流出するはずである。但し、極めて微細な3価鉄の沈殿物であるジャロサイト(jarosite:RFe3(SO4)2(OH)6 :RはNa又はK等)が廃水中で生成する可能性がある。ジャロサイトは、直径1μm以下の球状あるいはフロック状の形態を示す。廃水中で形成されたジャロサイトが微量であれば、鉄酸化細菌群の固定化率を向上させる効果があるが、大量の生成は反応槽から流出しやすく好ましくない。微生物固定化用の担体となるポリウレタン・フォームにも悪影響を及ぼす。ポリウレタン・フォームを反応槽に用いる場合は、ジャロサイトの生成を抑制する必要があり、廃水中でのジャロサイト生成を極力防止する観点から廃水のpHを1.5以上2.0以下に制御することが望ましい。反応槽のpHも1.5以上2.0以下であることが望ましい。
反応槽から流出する処理水に含有される3価鉄イオンは、調整槽を利用してpH4〜5とし水酸化鉄(III)を形成させた後に、沈殿池によって上澄み液と水酸化鉄(III)に分離し、水酸化鉄(III)を回収する。
第3の高効率の反応槽プロセスは次の通りである。膜分離型微生物反応槽(MBR:Membraine Bio−Reactor)と呼称する。図6に示す反応槽を用いる。まず、活性汚泥から、鉄酸化細菌群を廃水を利用した連続培養によって培養する。このように培養した鉄酸化細菌群を孔径が0.1μmから1μmの中空糸膜(Hollow Fiber:中空の円管が細くなった膜)からなる膜モジュールを設置した反応槽に投入する。膜モジュールとは,多くの中空糸膜を集積して収納した容器であり、この容器が反応槽の中に浸漬される。この後、膜を充填した反応槽に、窒素及びリンを添加することなく、pHを1.5以上2.0未満に制御した電気メッキ廃水を通水する。空気はブロアを利用して膜モジュール下部から供給する。これは、反応槽内に存在する鉄酸化細菌群及び微量の浮遊物質(SS)による膜モジュールの詰まり(fouling)を減らすためである。反応槽内の処理水は膜モジュールを通して排出される。反応槽のHRTは、従来法より短縮でき、30分から1時間以下である。これは、反応槽内に存在する鉄酸化細菌群は、1μm程度の大きさがあり、中空糸膜を通過できないため、反応槽内に鉄酸化細菌群を高濃度で維持することができ、従来よりも処理の効率化が可能となる。また、処理水のSS(浮遊物質濃度)は非常に低くなる。このような理由から、30分から1時間以内のHRTでも2価鉄イオンの効率的な酸化が可能である。
3価鉄イオンは、図1に示すようにpH=2以下の条件では溶解度が高く、反応槽内のpHがこの条件下では水酸化鉄(III)をほとんど形成しないため、大半が溶存態、すなわち3価鉄イオンのままで反応槽から流出するはずである。但し、極めて微細な3価鉄の沈殿物であるジャロサイト(jarosite:RFe3(SO4)2(OH)6 :RはNa又はK等)が廃水中で生成する可能性がある。ジャロサイトは、直径1μm以下の球状あるいはフロック状の形態を示す。ジャロサイトは直径が1μm以下であり、膜の孔の閉塞を助長するため、その生成は好ましくない。中空糸膜を反応槽に用いる場合は、廃水中のジャロサイトの生成を抑制する必要があり、廃水中でのジャロサイト生成を防止する観点からpHを1.5以上2.0以下に制御することが望ましい。反応槽のpHも1.5以上2.0以下であることが望ましい。
処理水に含有される3価鉄イオンは、調整槽を利用してpH4〜5とし水酸化鉄(III)を形成させた後に、沈殿池によって分離回収する。
これらの3プロセスは、それぞれ、沈澱池を有しているが、沈殿池を設けても、沈殿池の処理水(上層液)にわずかに微細な水酸化鉄(III)が残留する場合がある。水酸化鉄は、大半が1μmから10μm程度であるが、これを完全に除去しなければならない場合には、沈殿池の後段に濾過装置又は膜分離装置を設置し、微細な水酸化鉄(III)を分離回収することができる。濾過装置としては、砂(砂径1mm〜2mm)を充填した砂ろか装置、または、膜分離装置としてはセラミックスを素材とした分離径が1μm〜10μmのセラミック膜分離装置を用いればよい。
次に、発明した方法で回収した水酸化鉄(III)の利用方法について説明する。
まず、本発明を利用してメッキ廃水から回収した水酸化鉄(III)は、鉄の不純物である亜鉛を含んでいないため、脱水後、鉄鉱石と混合し、製鐵所の鉄源として再利用することができる。
さらに、亜鉛−鉄合金メッキ溶液としての利用がある。これには以下の2つの方法がある。
第1の方法は、亜鉛−鉄合金電気メッキ溶液そのものを製造する方法である。すなわち、電気メッキ工程では酸洗廃液と廃亜鉛陽極が廃棄物として排出される。これらを上記プロセスから発生する純度の高い水酸化鉄(III)と混合し、3価鉄イオンとして酸で溶解させた後、亜鉛で2価鉄イオンに還元すれば、亜鉛−鉄合金電気メッキ溶液を製造することができる。製鉄所の連続電気メッキ工程における亜鉛−鉄合金メッキ溶液組成は、一般的に、亜鉛イオン70〜80g/L、2価鉄イオン10〜15g/L、塩素イオン250〜300g/L、pH1〜3である。従って、水酸化鉄(III)を廃酸に溶解し、廃亜鉛陽極チップで還元する際には、亜鉛イオンに対する2価鉄イオンの濃度を0.12〜0.21質量%に調節しなければならず、かつ、亜鉛イオン70g/L、2価鉄鉄イオン10g/L以上を含有するように調節すれば、亜鉛−鉄合金電気メッキ溶液として使用することができる。この結果、遊離酸濃度が減少してpHが増加する。このときのpHは普通1以上になり、廃亜鉛陽極の投入量が相対的に多い場合には3以上になる可能性もあるが、この場合には若干の塩酸を投入しpHを1〜3に調整すればよい。塩素濃度が上記適正範囲より低い場合があるが、このときには塩化カリウムを投入し濃度を調整すればよい。塩化カリウムは、電気メッキにおける電気伝導度を向上する補助剤として使用しているため、別途の問題を引き起こすことはない。上記の溶解と還元段階で反応を定量的に調節し自動制御しようとする場合には、酸化還元電位(ORP)を連続的に測定することによって可能となる。
第2の方法は、亜鉛−鉄合金メッキ溶液の製造に用いられる塩化第一鉄水溶液(又は硫酸第一鉄水溶液)として用いる方法である。従来、亜鉛−鉄合金電気メッキ工程では、メッキ原液として高濃度の塩化亜鉛水溶液(又は硫酸亜鉛水溶液)と塩化第一鉄水溶液(又は硫酸第一鉄水溶液)を混合して製造している。この場合、塩化第一鉄水溶液(又は硫酸第一鉄水溶液)の鉄濃度は190〜200g/L、塩酸(又は硫酸)濃度は30〜40g/Lである。上記回収した水酸化鉄(III)を再活用する目的で、酸洗工程で廃棄物として排出される廃酸に溶解し、圧延工程で廃棄物として排出される鉄片を徐々に投入し、3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元すると同時に遊離酸濃度を減少させ、塩酸(又は硫酸)濃度が30〜40g/Lになり鉄濃度が190〜200g/Lになるように調節することにより、塩化第一鉄(又は硫酸第一鉄)水溶液を製造する。鉄片で還元する際には、水素ガスが発生し、これによって遊離酸濃度が減少する。酸洗廃液の場合、塩酸(又は硫酸)濃度は、普通150〜200g/Lである。このときに鉄片と水酸化鉄(III)の量を適正量に調節し、塩酸(又は硫酸)濃度を30〜40g/Lまで減少させる。このような溶解と還元段階における反応を定量的に調節して自動制御しようとする場合には、酸化還元電位(ORP)を連続的に測定することによって可能となる。
さらに、本発明で回収した水酸化鉄(III)は、極めて鉄の純度が高いため、高品質の凝集剤を製造できる。以下、具体的に説明する。一般的に廃水の凝集沈澱処理プロセスでは、中和工程の次に凝集沈殿工程がある。凝集沈殿効果を向上させるため、高濃度の塩化第二鉄水溶液(又は硫酸第二鉄水溶液)が利用される。このような凝集剤は、一般的に3価鉄イオン濃度が100〜200g/Lの溶液である。具体的には以下の方法により製造する。上記方法で回収した水酸化鉄(III)を、酸洗工程で廃棄物として排出される廃酸に、3価鉄イオンとして溶解させる。続いて、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸(HOCl)、塩素酸(HClO3)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、又は二酸化塩素(ClO2)を適正量投入し、廃酸中に含まれる2価鉄イオンを3価鉄イオンに完全に酸化する。例えば、塩化第二鉄の日本の1種工業薬品としての基準(JISK1447)では、塩化第二鉄が37%以上、塩化第一鉄が0.30%以下、遊離酸0.50%以下と決められている。鉄濃度を上記適正範囲に調節するためには、水酸化鉄(III)の投入量を調節し、遊離酸の濃度が多過ぎる場合には、圧延工程の廃棄物である鉄片を投入して遊離酸を適正量減少させる。なお、生物酸化はpHが低すぎるため、用いることができない。また、このような溶解と還元段階における反応を定量的に調節して自動制御しようとする場合には、酸化還元電位(ORP)を連続的に測定することによって可能となる。
前記廃水から回収した水酸化鉄(III)は、下水や廃水の処理に広く用いられている活性汚泥の膨化現象(バルキングと称され、沈澱池で活性汚泥を処理水と分離できなくなる)の対策として用いることもできる。例えば、下水や廃水の活性汚泥反応槽中のMLSS濃度(Mixed Liquor Suspended Solids)に対して、1〜10質量%混合すれば、活性汚泥の沈降性が著しく改善され、該反応槽中の活性汚泥の膨化を容易に防止することができる。鉄の純度が高いため、活性汚泥に対する阻害も全く見られない。
次に、廃水が鉄以外の金属(亜鉛イオン及び/またはニッケル・イオン)を含んでいる場合の亜鉛及び/またはニッケルの回収と再利用方法について説明する。鉄を水酸化鉄(III )として除去した沈殿池処理水又は濾過装置処理水又は膜分離装置処理水には、亜鉛イオン及び/又はニッケル・イオンが残留しており、そのまま放流することはできない。
回収方法には、大別して以下の2種類の方法がある。
まず、水酸化物として回収する方法である。処理水のpHを9以上10未満に制御すれば、図1のように、亜鉛イオン及び/又はニッケル・イオンは容易に水酸化物を形成する。生成したニッケル及び/又は亜鉛の水酸化物は、粒径が1〜10μmであり、沈殿池又は濾過装置又は膜分離装置で分離回収が可能である。濾過装置としては、砂(砂径1mm〜2mm)を充填した砂ろか装置、または、膜分離装置としてはセラミックスを素材とした分離径が1μm〜10μmのセラミック膜分離装置を用いればよい。回収したニッケルの水酸化物及び/又は亜鉛の水酸化物は、ニッケル精錬又は亜鉛精錬などの非鉄原料として利用するか、あるいは塩酸又は硫酸で容易に溶解できるため、塩化亜鉛(または硫酸亜鉛)や塩化ニッケル(または硫酸ニッケル)の代替として再利用すればよい。
次に、亜鉛及び/又はニッケルを濃縮イオンとして回収する方法がある。
亜鉛イオン及び/又はニッケルイオンを回収するために、公知のキレート法及び/又は強酸性陽イオン交換樹脂を適用することができる(非特許文献6を参照のこと)。すなわち、事前に水酸化鉄(III)や微細なSS成分は完全に事前に除去されているため、樹脂の劣化が小さく長寿命化の利点がある。処理水をpHが酸性下のまま、イオンの状態でキレート樹脂及び/又は強酸性陽イオン交換樹脂に通水し、亜鉛イオン/及び又はニッケル・イオンを樹脂に吸着させ、その後、硫酸又は塩酸で濃縮回収すればよい。回収した亜鉛イオン及び/又はニッケル・イオンは、塩化亜鉛(または硫酸亜鉛)や塩化ニッケル(または硫酸ニッケル)の代替として再利用が可能である。
濃縮回収された亜鉛及び/又はニッケル・イオン溶液から、公知の電解採取法の定電流法を利用して金属亜鉛やニッケルを回収することも可能である(非特許文献7を参照のこと)。
なお、非鉄原料として再利用が可能なニッケル及び/又は亜鉛の純度については、非特許文献8などに記載されている。
本発明を利用し、独立栄養細菌である鉄酸化細菌と従属栄養細菌の混合微生物系を利用した廃水処理、又は2価鉄イオンの酸化機能を有する従属栄養細菌の混合微生物系を利用した廃水処理は、従来の方式よりも、鉄酸化細菌群の培養が簡単で、生物反応槽の高効率化が可能ありで処理コストが低下する。また、有価金属の回収、再利用が容易となる。
実施例として、鉄イオン(II)、ニッケル・イオン(II)、亜鉛イオン(II)を含む電気メッキ工場廃水を対象に遂行した結果を、以下に示す。
実施例1:鉄酸化細菌群の培養と遺伝子解析
実際のメッキ廃水を利用し、下水処理場の活性汚泥からの鉄酸化細菌群を、以下の方法で培養した。更に、鉄酸化細菌群を以下の方法で遺伝子解析した。
(1)遺伝子解析の原理
供試汚泥から抽出したDNAを鋳型(複製の基礎になるDNA分子)とし、PCR法(Polymerase Chain Reaction)を利用して増幅した。増幅したDNA断片は、個別の微生物種に応じた固有の塩基配列を有しているため、DGGE(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis:変性剤濃度差ゲル電気泳動)で分析すると、互いに異なる移動度を示し、分別が可能である。これを利用し、供試汚泥を構成する重要な微生物種に関する情報を得ることができる。また、ゲル上の個別のDNA断片を回収し塩基配列を解析した後に、既存の遺伝子データベースと比較すれば、どのような微生物であるかを知ることができる。
(2)培養
2種類のメッキ廃水を用い、2系列の装置で培養を行ない、鉄酸化細菌群を比較した。1種類のメッキ廃水は、溶解性のTOC(全有機炭素)濃度が2〜5mg/Lで推移し、もう1種類のメッキ廃水は、同TOC濃度が0〜2mg/Lで推移した。2価鉄イオン濃度は、両方とも100〜200mg/Lで推移した。
下水処理場から採取した活性汚泥を反応槽に投入し、反応槽内のpHを少量のNaOHを投与して3.5狙いで調整した。その後、2時間静置して上澄液を捨てた後に、鉄酸化細菌群の回分式培養を行わず、2種類のメッキ廃水をそれぞれの反応槽に24時間のHRTで連続通水した。この際に、窒素とリンは更に供給しなかった。空気は、反応槽内のDOが2mg/L以上になるようにブロア(blower)で供給した。その後、反応槽の酸化還元電位(ORP)を測定し、+500mV(銀/塩化銀基準)になれば、DO制御による空気供給をORP制御による空気供給に切り替えた。
(3)連続運転
約2週間後に、反応槽のHRTが24時間の条件で2価鉄イオンを90%以上酸化することができた。その後、1週間ごとに、HRTを12h、6h、3h、2hと短縮した。また、HRTが2時間の条件で長期間運転し、2価鉄イオンの酸化性能を評価した。処理が順調に進行した時期(2価鉄の酸化効率が95%以上)の汚泥を採取して遺伝子解析を行った。
(4)遺伝子解析
2種類のメッキ廃水から培養した鉄酸化細菌群の微生物群集構造を解析した。PCR−DGGEを利用した微生物群集構造解析結果が図2と図3に示されている。活性汚泥に存在する各種微生物(厳密にいえば、真正細菌)がDNAバンドとして検出された。また、金属含有廃水の活性汚泥の微生物群集構造も解析した。メッキ廃水の種類により、独立栄養細菌である鉄酸化細菌チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)を培養できる場合とできない場合があった。
(4)−1:図2の結果(TOC濃度が0〜2mg/Lのケースで、チオバチラス・フェロオキシダンスを培養可能。)
上記廃水を用いて培養した微生物に対応するDNAバンドを取り出してDNA配列を解析した結果、独立栄養細菌である鉄酸化細菌と従属栄養細菌群が培養されていることを確認した。
バンドa:チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)と分類された。独立栄養性細菌である本菌株は、最も一般的な鉄酸化細菌である。
バンドd:コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)と分類された。本細菌は、従属栄養性細菌であって有機物質を分解する。2価鉄イオンの酸化性能を有している。
バンドf:独立栄養の硫黄酸化細菌の一種である。Thiomonas種に近縁の細菌であるものと推定された。廃水中に若干含まれている硫黄成分の酸化に関与したものと推定される。
バンドb、c、e:塩基配列としては、完全に一致する微生物種はなかった。しかしながら、廃水中に有機成分や硫黄成分などが少量存在するという点を考慮すれば、Pseudomonas、Burkhorderia、Alishewanellaなど活発な有機物代謝に関与する微生物(従属栄養細菌)に近接したものと推定される。また、上記のバンドa、d、fなどの他の微生物の代謝産物などの酸化に関与し、微生物生態系を安定化させる共生菌である可能性もある。
(4)−2:図3の結果(TOC濃度が2〜5mg/Lのケースでチオバチラス・フェロオキシダンスは培養されない。)
上記廃水を用い培養した微生物に対応するDNAバンドを取り出してDNA配列を解析した結果、独立栄養細菌である鉄酸化細菌は観察されず、従属栄養細菌群のみが培養されていることを確認した。特にバンドcは、コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)と分類された。本細菌は、従属栄養性細菌であって有機物質を分解する。さらに、本細菌は、本培養結果ならびに鉱山廃水中に存在し、硫黄代謝やバイオ・リーチングに関与していることが多数報告されていることから2価鉄イオンの酸化活性も有していることが強く推定された。1年以上の長期間の運転後においても本菌株のDNAが検出されたが、独立栄養細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)のDNAは全く検出されなかった。
また、バンドaは、Ralstonia菌、バンドbは、Herbaspillum菌、バンドdは、Acidsphaerera菌ないしはその近縁菌と同定された。これらの細菌は、直接、2価鉄イオンを酸化しないが、廃水中の有機成分の分解や他の微生物の代謝産物などの酸化に関与し、微生物生態系を安定化させる共生菌である可能性がある。
これらの結果から、従属栄養細菌であるコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)のみが2種類のメッキ廃水から培養した細菌群に共通しており、実際のメッキ廃水の2価鉄イオンを安定して酸化する上で極めて重要な細菌であることが考えられた。独立栄養細菌であるチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)は、メッキ廃水中のTOC中のある種の有機物の阻害を受けやすく、メッキ廃水の種類によっては培養できないケースがあると推定された。
実施例2:鉄酸化細菌群を用いた実廃水の処理と有価金属の回収・再利用
以下、本発明の方法を製鉄所から発生するメッキ廃水の処理に適用した例について説明する。図4は処理フロー図の1例である。メッキ廃水は、2価鉄イオン(100〜200mg/L)、亜鉛イオン(平均200mg/L)、ニッケル・イオン(平均50mg/L)を含有している。
処理工程は、鉄酸化細菌を利用する反応槽(2)、沈殿池(3)、濾過装置(4)、pH調整槽(5)、沈殿池(6)から構成されている。反応槽(2)とpH調整槽(5)のpHは、硫酸及びNaOHを用いて、3以上4以下に制御した(比較実験時は、2.7)。反応槽(2)は、ブロア(8)によって常時、空気が供給されている。以下の表3に各槽の機能を整理する。
工程は以下の方法で運転した。反応槽(2)のHRTが1hになる条件でメッキ工場廃水(1)を、ポンプを利用して反応槽(2)に通水した。沈殿池(3)で沈降した水酸化鉄(III)は、返送ポンプ(12)を用い反応槽(2)へ返送した。この返送率は、廃水量に対し100V/V%にした。反応槽(2)のpH(7)は、10%H2SO4水溶液及び10%NaOH水溶液を用い、薬注ポンプを利用して制御した。
RUN1は、比較用に運転したものであって、pH(7)は、2.5以上3.0以下(平均:2.7)に制御した。RUN2は、pH(7)を3.0以上3.5以下(平均3.2)に制御した。RUN3は、pH(7)を3.5以上4.0以下(平均:3.7)に制御した。また、メッキ廃水(1)には、1〜10mg/Lの窒素と0.1〜5mg/Lのリンが含まれているため、栄養元素として窒素とリンを反応槽(2)に添加しなかった。
1)鉄酸化細菌によるFe2+酸化
各RUNにおける2価鉄イオンの酸化率(平均値)を表5に示す。2価鉄イオンの酸化率は90%以上であった。メッキ廃水(1)の負荷変動が小さい場合には、処理水の2価鉄イオンの濃度は0.1mg/L以下であった。極端なメッキ廃水(1)の負荷変動時を除けば、本廃水程度の平均2価鉄イオン濃度では、1時間のHRT条件で十分に2価鉄イオンを3価鉄イオンまで酸化できるものと考えられた。また、RUN2以降、反応槽のpH(7)を3.2から3.7に上昇させたが、このpH(7)でも2価鉄イオンの酸化率は低下しなかった。
2)反応槽における水酸化鉄(III )の生成と回収
図7は、RUN1(pH平均値:2.7)とRUN2(pH平均値:3.2)の運転の際の反応槽内でのMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)及びT−Feの変化を示したものである。MLSS濃度は、水酸化鉄(III)と鉄酸化細菌の生成の和であるが、大半は水酸化鉄(III)起因である。RUN2以降、MLSS及びT−Feは急増した。これは、pH(7)を2.7から3.2へ上昇させたため、3価鉄イオンが容易に水酸化鉄(III)となったためと考えられる。
以下の表6は、RUN1(pH平均値:2.7)、RUN2(pH平均値:3.2)、RUN3(pH平均値:3.7)の運転の際のメッキ廃水及び処理水の溶解性鉄イオンの変化を示したものである。
RUN1の運転の際には、処理水に溶解性鉄(D−T−Fe)が3価鉄イオンの形態で存在しており、20%程度が水酸化鉄(III)であった。一方、RUN2とRUN3の運転の際には、処理水の溶解性鉄(D−T−Fe)濃度は急激に減少した。これはpH上昇による3価鉄イオンが水酸化鉄(III)となったためである。即ち、反応槽のpH平均値を3.2あるいは3.7に制御すると、溶解性の鉄イオンを、90%以上水酸化鉄(III)化できた。
このように、RUN2以降、反応槽のpHを3.2から3.7に上昇させ、反応槽内で2価鉄イオンの3価鉄イオンへの酸化とほぼ同時に水酸化鉄(III)を生成することができた。この結果、反応槽のpHを3以上4以下に制御すると、反応槽の後段に新たに水酸化鉄(III)生成槽を作る必要がなくなる。また、生成した水酸化鉄(III)は、鉄酸化細菌群の担体として作用するため、鉄酸化細菌群を高濃度で反応槽内に維持でき、2価鉄イオンの3価鉄イオンへの酸化を効率化できる。
3)セラミック膜を利用した微細な水酸化鉄(III)の除去
前述したように、RUN2以降、反応槽(2)の処理水の溶解性鉄イオンは、10mg/L前後と極めて低い。しかし、沈殿池(3)の処理水には、浮遊物(SS)状態の水酸化鉄(III)が存在した。これは、水酸化鉄(III)は、大半が直径が1〜10μmの粒子であり、沈殿池のみで完全に沈澱させるのは困難であったためである。
このため、沈殿池(3)では分離が困難な微細な水酸化鉄(III)をセラミック膜ろ過装置(4)に通水し、その除去を試みた。この結果、セラミック膜ろ過装置(4)が、セラミック膜径=1μm、濾過速度=50m/日の条件の場合において、水酸化鉄(III)を99質量%以上分離することができた。
4)反応槽におけるニッケル・イオン、亜鉛イオンの挙動
メッキ廃水(1)と鉄酸化細菌反応槽処理水に含有されるニッケル・イオン(Ni2+)と亜鉛イオン(Zn2+)の濃度を表7と表8に示す。反応槽のpH平均値(7)を2.7、3.2、3.7に制御したRUN1-RUN3の運転において、ニッケル・イオン(Ni2+)と亜鉛イオン(Zn2+)の濃度は、メッキ廃水(1)と鉄酸化細菌反応槽処理水の間で明確な差異は認められなかった。換言すれば、このような低pH領域では、ニッケル・イオン(Ni2+)と亜鉛イオン(Zn2+)の水酸化物の生成は生じなかったと考えられる。この結果は、図1の溶解度曲線に準ずるものであった。
5)沈殿法による亜鉛及びニッケルの水酸化物の回収
鉄酸化細菌反応槽処理水から亜鉛イオン及びニッケル・イオンを除去するために、pH調整槽(5)を設け、図1の溶解度曲線を参考にして、pH調整槽(5)のpH(7)を9に調整し、亜鉛及びニッケルの水酸化物を形成した。この際、pH調整槽(5)に高分子凝集剤を添加すると亜鉛及びニッケルの水酸化物の初期沈降速度は若干上昇したが、高分子凝集剤を添加しなくても沈降性は良好で、沈殿池(6)の上澄液(11)には微細なフロック(floc)もほとんど見られなかった。すなわち、pH調整槽(5)で形成したニッケルと亜鉛の水酸化物は沈降分離によって十分に回収可能であった。
6)イオン交換樹脂及び/又はキレート樹脂を利用した亜鉛又はニッケルの回収及び電解採取法を利用する亜鉛又はニッケル金属塊の製造
沈澱池(6)の代わりに、イオン交換樹脂及び/又はキレート樹脂を充填した反応槽を設置し、鉄酸化細菌反応槽処理水から亜鉛イオンとニッケル・イオンの分離回収を検討した。弱酸性キレート樹脂であるDiaion CR11及び/又は強酸性陽イオン交換樹脂TRILITE SPC320Hを利用し、亜鉛イオン及びニッケル・イオンと水素イオン又はナトリウム・イオンとの交換によって金属イオンを吸着除去する。このときに透過処理水の流速(Space velocity=flow rate/resin volume)は5〜15/hrとした。この処理効率は99.99%であった。イオン交換能を失った樹脂は、再生溶液である硫酸又は塩酸で容易に再生できた。濃縮液が硫酸の場合、濃縮液はZnSO4とNiSO4であり、このときの適正溶液濃度は3〜5Mであった。
さらに、イオン交換樹脂及び/又はキレート樹脂を充填した反応槽により、濃縮回収された亜鉛イオンまたはニッケル・イオン溶液を利用し、亜鉛またはニッケル金属塊を製造する電解採取法を検討した。陽極としては、白金又は黒鉛又はIrO2電極を使用し、陰極として用いたチタニウム又はSUS又は亜鉛を用いた。印加電流密度の範囲が100〜200A/m2、適正電流印加時間が0.5〜2時間の条件で、陰極表面上に、亜鉛、ニッケル金属塊を製造することができた。本方法で製造した亜鉛またはニッケル金属塊は98%の純度を示した。
実施例3:回収水酸化鉄(III)のコークス工場活性汚泥処理への適用
コークス廃水処理工程は、一般に活性汚泥処理プロセスから構成されている。活性汚泥処理プロセスは、流量調整槽と反応槽、沈殿槽から構成されており、反応槽の曝気方式は、空気曝気法と表面曝気法が状況に応じて選択的に使用される。本実施例においては、P製鉄所内のコークス廃水を対象に、既存の活性汚泥法と、本発明による回収水酸化鉄(III)を活性汚泥槽微生物濃度(MLSS濃度)の約5%投入し、微生物濃度を高く維持し、水酸化鉄(III)の凝集力によって活性汚泥のバルキング(膨化し、沈澱池で沈降分離が困難となる)を防止できる。高効率活性汚泥工程を利用して同一条件で処理した結果を説明する。
まず、図8には、一般活性汚泥法と本発明によるコークス廃水の処理水のCOD(化学的酸素要求量)を示している。本発明により、15日経過後の処理水のCODは180ppmから110ppm程度へと、安定して約40%以上低下した結果を示している。以下の表9では、一般活性汚泥法と高効率活性汚泥法による処理結果を同様に比較している。コークス廃水の場合、シアンの濃度が問題視され、活性汚泥処理後に化学的凝集沈殿を再度遂行した後に放流している。しかしながら、本発明を適用すれば、シアンを大部分除去できることが判明した。また、曝気槽の微生物濃度は、既存よりも約2.2倍以上高く維持されており、このように高い濃度でも活性汚泥のバルキング現象はまったく発生しなかった。更に、最終的に活性汚泥の発生量は、単位有機物の濃度当たりのスラッジ廃棄量で計算することができ、有機物の濃度はCODによって表示されるため、これを計算すれば、既存の場合が0.43であるのに対して、本発明によれば0.18に減少し、全体的な剰余汚泥の発生量は58%以上低減できることが判明した。
実施例4:高効率微生物反応槽の検討
以下の表10は、図5のポリウレタン・フォーム(14)を担体として使用した固定床型反応槽(IBR:Immobilized Bio−Reactor)と図6の膜分離型反応槽(MBR:Membraine Bio−Reactor)を従来の連続攪拌反応槽(CSTR:Continuous Stirred Tank Reactor)と比較運転し、それぞれの反応槽での2価鉄イオンの酸化効率を比較したものである。
まず、CSTRは3.33hのHRT条件では99%の鉄酸化効率を示したが、HRTが減少するほど反応槽内に存在していた鉄酸化菌株群が流失(wash out)し、鉄酸化効率が急激に低下した。低いHRTにおける鉄酸化菌株群の流失は、CSTR運転の最も大きな問題点として知られている。一般的に鉄酸化菌の増殖速度は、時間当たり0.2から0.5(1/hr)程度であるとされている。即ち、理論的には、増殖速度の逆数が必要なHRTであり、0.5(1/hr)の数値を用いれば、鉄酸化菌をCSTRに適用する場合、HRTが2h以下になれば鉄酸化菌の流失(wash out)が発生すると考えられる。
これに反し、IBRは、1時間以内のHRTで99%の鉄酸化効率を示した。これは、担体として使用したポリウレタン・フォーム(14)に鉄酸化菌群が固定化され、低いHRTでも流失(wash out)せず、高濃度に維持されるためであると管が得られた。 MBRの場合も、1時間以内のHRTで99%の鉄酸化効率を示した。これは、鉄酸化菌株群は膜モジュール(15)を通過できず、処理水のみが通過できるため、低いHRTでも反応槽内で鉄酸化菌群が高濃度に維持されるためであった。
反応槽内に存在する鉄酸化菌群及び浮遊物(SS)は、膜モジュールの詰まり(fouling)を引き起こした。膜モジュール(15)の詰まり(fouling)を減少させるため、空気を膜モジュールの下部から過量に供給した。空気を供給しない運転時と比べ、膜モジュールの詰まりが格段に減少した。鉄酸化菌株群の成長のためにも空気の供給は必須の要素である。しかしながら、膜分離型反応槽の長期間運転時には、膜モジュール(15)の詰まり(fouling)が少しずつ加重され、再生過程が必要になった。この際に一般的に使用する方法は、逆洗浄(back washing)である。又、1MのH2SO4を使用して再生することもできる。この場合、再生液は微生物反応槽に流入する廃水のpH調節用として使用可能である。
微生物反応槽に流入する廃水のpHは、事前に1.5以上2.0以下に調整した。理由は、廃水に存在する3価鉄イオンがジャロサイト(jarosite)という沈殿物を形成し、鉄の回収率が低下することを懸念したためである。実際に廃水のpHを1.5以上2以下(目標値:1.8)に調整して運転した場合、ジャロサイトはほとんど形成されず、廃水内に含有されていた大部分の鉄イオンは、微生物反応槽の後段に設置されたpH調整槽と沈殿池を利用して水酸化鉄(III)の形態で回収することができた。
金属の溶解度曲線図である。 PCR−DGGEによる遺伝子解析結果を示す電気泳動図である。 PCR−DGGEによる遺伝子解析結果を示す電気泳動図である。 本発明の処理フロー図である。 固定化反応槽(IBR:Immobilized Bio−Reactor)を示す模式図である。
膜分離型反応槽(MBR:Membraine Bio−Reactor)を示す模式図である。 pHの上昇による水酸化鉄の生成、MLSS濃度の上昇を示すグラフである。 一般活性汚泥法及び水酸化鉄(III)添加活性汚泥法によるコークス廃水の処理結果を示すグラフである。
符号の説明
1…廃水
2…反応槽
3…沈殿池
4…濾過装置又は膜分離装置
5…pH調整槽
6…沈殿池
7…pH計
8…ブロア(blower)
9…鉄系スラッジ
10…ニッケル・亜鉛系スラッジ
11…処理水
12…返送ポンプ
13…処理水
14…ポリウレタン・フォーム
15…膜モジュール
16…吸引ポンプ

Claims (21)

  1. 鉄酸化細菌群が存在する反応槽の中に2価鉄イオンを含む廃水を投入し、該2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、該廃水をpH制御して水酸化鉄(III)を形成し、固液分離して有価金属を回収する、廃水の処理及び有価金属の回収方法において、該鉄酸化細菌群が、都市下水、製鉄所安水又は有機性産業廃水を処理する活性汚泥から培養した、2価鉄イオンの酸化機能を有する従属栄養細菌を含む混合微生物系、又は2価鉄イオンの酸化機能を有する独立栄養細菌と従属栄養細菌とを含む混合微生物系であることを特徴とする、前記方法。
  2. 前記従属栄養細菌としてコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記独立栄養細菌としてチオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記反応槽中の廃水のpHを3.0以上4.0以下に制御し、前記廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化すると同時に、3価の水酸化鉄(III)を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記反応槽の後段にpH調整槽、続いて沈殿池を設けたプロセスからなる廃水の処理及び有価金属の回収方法であって、該反応槽の中に、ポリウレタンフォームを投入し、事前にpHを1.5〜2.0の範囲に調整した前記廃水を反応槽に投入し、該廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、該反応槽内の処理水を排出して該pH調整槽へ投入し、該調整槽内で該処理水をpH4〜5に中和処理して水酸化鉄(III)を形成した後、沈殿池へ投入して沈降させ、上澄みと水酸化鉄(III)を含む沈殿物に分離し、該沈殿物を回収することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記反応槽の中に中空糸膜からなる膜モジュールを設け、その後段にpH調整槽、続いて沈殿池を設けたプロセスからなる廃水の処理及び有価金属の回収方法であって、事前にpHを1.5〜2.0の範囲に調整した前記廃水を該反応槽に投入し、該廃水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化し、該反応槽内の処理水を該膜モジュールを通して排出して該pH調整槽へ投入し、該調整槽内で該処理水をpH4〜5に中和処理して水酸化鉄(III)を形成した後、沈殿池へ投入して沈降させ、上澄みと水酸化鉄(III)を含む沈殿物に分離し、該沈殿物を回収することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記鉄酸化細菌群の栄養元素である窒素及びリンは、廃水中に含有されている1mg/L以上10mg/L以下の該窒素、及び0.1mg/L以上5mg/L以下の該リンのみを使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記反応槽の後段に沈殿池を設置し、該反応槽の処理水を該沈殿池に投入し、水酸化鉄(III)及び水酸化鉄(III)に付着した鉄酸化細菌群を該沈殿池にて沈降させ、上澄みと水酸化鉄(III)を含む沈殿物に分離し、該沈殿物を回収するとともに一部を反応槽に返送することを特徴とする、請求項1〜4、及び7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記反応槽の後段に沈殿池を設置し、該反応槽の処理水を該沈殿池に投入し、該処理水のpHを4〜5に調整し、形成した水酸化鉄(III)を沈澱池で分離濃縮して回収することを特徴とする、請求項1〜4、及び7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記反応槽内のMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:活性汚泥混合液浮遊物質)濃度を3質量%以上10質量%未満にすることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記反応槽と前記沈殿池を一体化したことを特徴とする、請求項1〜4、7、及び10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記沈殿池の後段に設置した濾過装置又は膜分離装置により、該沈殿池の処理水に残存する水酸化鉄(III)の分離・回収を行うことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記廃水から回収した水酸化鉄(III)を溶鉱炉原料として再利用することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 廃水から回収した水酸化鉄(III)を、電気メッキ酸洗工程で廃液として排出される酸洗廃液に投入して溶解した後に、電気メッキ工程の廃棄物である廃亜鉛陽極チップを投入し、3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元すると同時に遊離酸濃度を減少させ、亜鉛に対する鉄の濃度を0.12〜0.21質量%に調節することを特徴とする、メッキ溶液の製造方法。
  15. 廃水から回収した水酸化鉄(III)を、酸洗工程で廃液として排出される酸洗廃液に投入して溶解した後に、圧延工程で廃棄物として排出される鉄片を徐々に投入して3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元すると同時に遊離酸濃度を減少させ、塩酸又は硫酸の濃度が30〜40g/L、鉄濃度が190〜200g/Lになるように調節することを特徴とする、メッキ溶液の製造方法。
  16. 前記廃水から回収した水酸化鉄(III)を酸洗廃液に投入して溶解し、オゾン、過酸化水素などの不純物が残らない酸化剤を徐々に投入して2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化することにより、水処理凝集剤として使用する塩化第二鉄水溶液又は硫酸第二鉄水溶液を製造することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記廃水から回収した水酸化鉄(III)を、コークス廃水処理工程における廃水処理反応槽中のMLSS濃度に対して、1〜10質量%混合し、該反応槽中の活性汚泥の膨化を防止することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  18. 亜鉛イオン及び/又はニッケル・イオンを更に含有する前記廃水を処理し、その後該処理水のpHを9以上10以下に制御して亜鉛及び/又はニッケルの水酸化物を形成し、該水酸化物を沈殿池又は濾過装置又は膜分離装置にて固液分離して回収することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記処理水をキレート樹脂及び/又は強酸性陽イオン交換樹脂に通水し、亜鉛イオン又はニッケル・イオンを該樹脂に吸着し、その後該樹脂に硫酸又は塩酸にて溶出し、亜鉛又はニッケルの濃縮イオンとして回収することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 請求項18又は19に記載の方法によって回収したニッケル及び/又は亜鉛の水酸化物又は濃縮イオンを、非鉄原料又はメッキ溶液として再利用することを特徴とする、廃水の処理及び有価金属の回収方法。
  21. 請求項20に記載の方法によって濃縮回収された亜鉛又はニッケル・イオン溶液から電解採取法の定電流法を利用して亜鉛又はニッケル金属塊を製造することを特徴とする、廃水の処理及び有価金属回収方法。
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