JP6511040B2 - 銅含有酸性廃液の処理方法及び銅含有酸性廃液からの銅の回収装置 - Google Patents

銅含有酸性廃液の処理方法及び銅含有酸性廃液からの銅の回収装置 Download PDF

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Description

本発明は、銅含有酸性廃液の処理方法に関し、更に詳細には、例えば銅プリント基板を塩化第二銅エッチング液でエッチングする際に生じるエッチング廃液、電解銅箔製造におけるメッキ浴液の更新廃液、多層プリント基板を生産する際の積層工程において基板表面の粗化処理で発生するエッチング廃液などの高濃度の銅イオンを含有する銅含有酸性廃液を中和処理し、銅含有酸性廃液から銅を酸化銅として除去し回収する方法及びそのための装置に関する
銅イオンを高濃度で含有する酸性の廃液(以下、「銅含有酸性廃液」という)としては、銅プリント基板を塩化第二銅エッチング液でエッチングする際に生じるエッチング廃液や、電解銅箔製造におけるメッキ浴液の更新廃液、多層プリント基板生産の積層工程において基板表面の粗化処理で発生するエッチング廃液などが知られている。これらの廃液は、銅イオン濃度が5〜20質量%(以下、単に「%」で示す)程度と高い一方で、共存する塩化物イオンや硫酸イオンの濃度も通常5〜30%と高い。
銅含有酸性廃液を対象にした銅の回収処理としては、イオン化傾向の差を利用し、例えば鉄スクラップと反応させて金属銅を析出させて回収する方法が一部で行われている。しかしながら、この方法では廃液からの銅回収率が低いという問題がある。また、銅イオンとの反応により溶出した鉄イオンと残留した銅イオンが含まれる廃液が残るため、この廃液の処理が別途必要になり効率的な処理方法とは言いがたい。
また、銅含有酸性廃液の一般的な処理方法として、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を添加することにより重金属類を水酸化物として沈殿除去する処理方法が知られているが、この方法は生成するスラッジの嵩が高く、また含水率が高いため取り扱いにくく、銅イオン濃度の高い銅含有酸性廃液の処理には適さない。
更に、エッチング廃水については、例えば、特開2004−50096号公報(特許文献1)に開示されているようにアルカリを添加して銅イオンを銅水酸化物として不溶化し、更に酸化剤を添加して酸化銅にして回収する処理方法が試みられている。しかしながら、酸化剤として次亜塩素酸塩やさらし粉などの塩化物イオンを含む酸化剤を使用した場合には、添加後の液中の塩化物イオン濃度が更に濃くなることで塩化銅と酸化銅との複塩の生成やスラッジへの塩分の混入が懸念されるなどの問題点があり、また、高濃度廃液を処理対象にした場合には回収される酸化銅への不純物含有量が多くなるなど、改善すべき点が多い。
銅含有酸性廃液を対象にした銅の回収処理方法では、例えば特許4323668号公報(特許文献2)に示すように、銅含有酸性廃液から塩基性炭酸塩を回収し、銅含有酸性廃液中に大量に含まれる硫酸イオンや塩化物イオンなどの陰イオン類が回収した塩基性炭酸銅へ混入しないようにする技術が開発されている。回収した銅化合物を再利用するに当たり、不純物濃度の低い銅化合物の方が再利用の用途が広がるため、高純度の塩基性炭酸銅を回収するものである。
本発明者らは先に、特許4199821号公報(特許文献3)にて銅含有酸性廃液と酸化剤を混合した後、アルカリ溶液に添加することで、酸化銅を効率よく回収できる方法を見出した。この方法によれば、銅含有酸性廃液と酸化剤の混合液をアルカリ溶液中に滴下することで、酸化銅を主成分とする固形物が得られる。これは、銅含有酸性廃液を酸化剤と共に、少量ずつアルカリ剤に混合することで、適切な希釈効果を得ながら銅含有酸性廃液を中和し、銅含有酸性廃液に含まれる銅イオンを酸化し、酸化銅とすることができる。しかし、発明者らの試験によればこの方法で回収された酸化銅中の塩素含有率は200mg/kg程度になる場合があり、回収酸化銅の用途によってはさらなる塩素含有率の低減が求められる場合があった。
特開2004−50096号公報 特許4323668号公報 特許4199821号公報
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、銅含有酸性廃液を処理し酸化銅を効率よく回収するとともに、回収した酸化銅中の陰イオン含有率を低減することができる銅含有酸性廃液の処理方法、銅含有酸性廃液からの酸化銅の回収方法および装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の銅含有酸性廃液の処理方法は、銅含有酸性廃液と酸化剤を混合後、この混合液をアルカリ剤に、混合液注加後のアルカリ剤溶液のpHが一時的にでも7以下に下がらないように管理しつつ添加し、生成する酸化銅を主成分とする固形物を回収する銅含有酸性廃液の処理方法において、あらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節してから前記混合液をアルカリ剤に添加するか、またはあらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節し、希釈したアルカリ剤を加温してから前記混合液をアルカリ剤に添加し、アルカリ剤として水酸化ナトリウム溶液を用い、水酸化ナトリウム溶液の濃度を6質量%以下とすることを特徴とする。
ここで、あらかじめアルカリ剤を希釈するとは、混合液をアルカリ剤に添加する前であれば、いつ、どこで、どのような形態のアルカリ剤(液体状又は固体状のアルカリ剤)を希釈しても良いことを意味する。すなわち、アルカリ剤購入時に希釈しても良いし、固体状アルカリ剤の溶解時に希釈しておいても良いし、所定濃度に希釈済みのアルカリ剤を入手して使用してもよい。
さらに、本発明の銅含有酸性廃液の処理方法は、銅含有酸性廃液と酸化剤を混合後、この混合液をアルカリ剤に、混合液注加後のアルカリ剤溶液のpHが一時的にでも7以下に下がらないように管理しつつ添加し、生成する酸化銅を主成分とする固形物を回収する銅含有酸性廃液の処理方法において、あらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節してから前記混合液をアルカリ剤に添加するか、またはあらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節し、希釈したアルカリ剤を加温してから前記混合液をアルカリ剤に添加し、アルカリ剤として水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムを含む溶液を用い水酸化ナトリウム溶液の濃度を0.2質量%以下かつ炭酸ナトリウムの濃度を1.1質量%以下とすることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、アルカリ剤の温度を70℃以上とすることを特徴とする。
本発明の銅含有酸性廃液からの銅の回収装置は、銅含有酸性廃液配管からの銅含有酸性廃液、酸化剤供給配管からの酸化剤とを混合し混合液を得る混合槽と、前記混合液とアルカリ剤溶液を反応させて酸化銅を主成分とする固形物を生成する反応槽と、前記混合槽から前記反応槽に、混合液注加後のアルカリ剤溶液のpHが一時的にでも7以下に下がらないように混合液を注加する混合液供給配管、アルカリ剤を前記反応槽またはアルカリ剤加温槽に供給するアルカリ剤供給配管と、前記反応槽で生成した固形物を分離回収する固液分離装置とを備え、前記反応槽と前記固液分離装置とは固形物を含む液を移送可能に連通されている銅含有酸性廃液からの銅の回収装置において、前記アルカリ剤として水酸化ナトリウム溶液を用い、水酸化ナトリウム溶液の濃度を6質量%以下とし、前記アルカリ剤を希釈水で希釈して濃度を調節するための希釈水供給配管と、前記反応槽又は前記アルカリ剤供給配管、前記アルカリ剤加温槽のいずれかに設けられ、前記希釈したアルカリ剤を加温するヒータと、を有し、前記希釈液供給配管からの希釈水であらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節してから前記混合液供給配管で前記混合液をその希釈したアルカリ剤に添加するか、または、前記希釈水供給配管からの希釈水であらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節し、希釈したアルカリ剤を前記ヒータにより加温してから前記混合液を前記混合液供給配管でその加温されたアルカリ剤に添加することを特徴とする。
本発明によれば、複塩や水酸化銅の生成により処理が困難であった銅イオンの含有濃度が5〜20%という高濃度の銅含有酸性廃液を希釈することなく直接処理することができる。また、銅含有酸性廃液からの回収物は酸化銅を主成分とするため、複塩や水酸化銅と異なり脱水性が良く、回収した酸化銅に含まれる不純物の濃度を低減することができる。さらに、回収物の塩素含有率が低いことから、再利用がしやすい形態の酸化銅を得ることができる。
図1は、本発明の銅の回収装置の一態様を示す図面である。 図2は、本発明の銅の回収装置の別の態様を示す図面である。 図3は、本発明の銅の回収装置のさらに別の態様を示す図面である。
本発明による処理プロセスは、最初にアルカリ剤を希釈する。次に、銅含有酸性廃液と酸化剤を混合し、得られた混合液を希釈したアルカリ剤に注加して、固形物を生成させるものである。
本発明で処理対象となる銅含有酸性廃液は、イオン状の銅を10000mg/L以上の濃度で含み酸性であればよい。銅イオン濃度が10000mg/Lより低くても本発明による処理は可能であるが、銅イオン濃度が低い場合には得られる酸化銅の量が少なくなる。このため、得られる回収物の量を考慮し、経済的に見合う廃液に対し適用することが好ましい。また、高濃度のイオン状の銅を含んでいても液性が中性やアルカリ性である場合には、銅イオンを沈殿させないようにキレート剤が含まれていることがある。このようなキレート剤を含む廃液はキレート剤が銅の酸化を阻害することが考えられるため、本発明には適さない。
銅含有酸性廃液として具体的には、プリント基板のエッチング処理工程において生じる塩化銅エッチング廃液や、電解銅めっき処理工程において生じる硫酸銅めっき浴液廃液が挙げられる。これらの廃液はイオン状の銅を10〜150g/L程度含んでおり、pHが1以下であるので本発明に適している。また、廃液中の銅イオン濃度が高いので回収できる酸化銅の量が多くなる。
本発明において使用する酸化剤としては、二価の銅イオンを酸化銅とすることができるものであれば特に限定されないが、回収後の酸化銅の性状に悪影響を及ぼさない酸化剤として、過酸化水素が適している。
本発明において使用するアルカリ剤として、銅含有酸性廃液を中和するものであれば特に限定されるものではないが、反応後に残る陰イオンが不溶性の塩を形成すると、回収する酸化銅の純度が低下する原因となることを考慮して、アルカリ金属の水酸化物をアルカリ剤として用いることが望ましい。具体的には安価で入手しやすい水酸化ナトリウムの水溶液が挙げられる。
また、アルカリ金属の水酸化物とアルカリ金属の炭酸塩を混合してアルカリ剤として用いることもできる。また、アルカリ金属の水酸化物の代わりにアルカリ金属の炭酸塩をアルカリ剤として用いてもよい。回収物の不純物濃度の低減に有効なため、例えば炭酸ナトリウムの水溶液を使用することも可能である。
本発明においては、高濃度の銅含有酸性廃液を希釈することなく処理するため、上述した手順で反応させることが重要である。そこで、酸化剤溶液として過酸化水素水を、アルカリ剤として水酸化ナトリウムを用いる場合を例にとり、本発明における処理の手順、混合・反応順序の重要性を以下に説明する。
まず、従来の一般的な処理方法である銅含有酸性廃液にアルカリ剤を注加する方式では、銅イオンを高濃度で含有する銅含有酸性廃液を処理する場合、銅含有酸性廃液にアルカリ剤を注加する。しかし、高濃度の銅含有酸性廃液にアルカリ剤を注加するという順序では、複塩CuCl・3Cu(OH)や水酸化銅が生成してしまう。このうち、複塩は含水率が高く脱水が困難であり塩素を含んでいるため、複塩を含有する酸化銅は回収後そのままでは再利用しにくい。また、水酸化銅も高濃度で生成した場合、含水率が高く取り扱いが困難で、再利用には適さない。
また、銅イオンを高濃度で含有する銅含有酸性廃液をアルカリ剤に注加した後に過酸化水素水を添加する場合は、最初にアルカリ剤中に含水率の高い汚泥状の複塩や水酸化銅が析出・蓄積する。そしてこれに過酸化水素水を注加すると、液中に析出した複塩や水酸化銅は汚泥状の固体で分散しにくいため、過酸化水素により複塩や水酸化銅の表面は酸化されるものの複塩や水酸化銅内部の酸化が遅くなったり、複塩や水酸化銅内部まで均一に酸化されないため、過酸化水素による酸化反応の効率が低下する。
また、塩化銅エッチング廃液はエッチング処理の過程で、エッチング液内の二価の銅イオンが一価に還元され、第一銅イオンを含有する場合がある。このようなエッチング廃液をそのままアルカリ剤に注加した場合、水酸化銅に加えて溶解度が低い塩化第一銅(CuCl)も析出する。この状態で過酸化水素水を注加しても、この塩化第一銅(CuCl)は過酸化水素の分解触媒として作用するため、酸化銅の生成への寄与が不十分な状況で過酸化水素が消費されてしまい、過酸化水素による酸化反応の効率が更に低下する。
以上のような問題を回避するために、本発明による処理プロセスにおいては、アルカリ剤溶液(希釈したアルカリ剤溶液)と混合、反応させるに先立ち、銅含有酸性廃液と過酸化水素水とを混合させることが重要である。これにより、廃液に含まれる第二銅イオンの酸化銅への酸化反応が、銅含有酸性廃液と過酸化水素水との混合液をアルカリ剤に注加した際に速やかに進行する。また、廃液に第一銅イオンが含まれている場合には、アルカリ剤と接触させる前に過酸化水素と混合することで、過酸化水素の酸化作用により第一銅イオンが第二銅イオンに酸化されるため、溶解度が低い塩化第一銅(CuCl)などの第一銅塩の析出を回避出来る。
本発明において、銅含有廃液と過酸化水素水とを混合させるために必要な時間は、混合する両者の濃度にもよるが、両者が高濃度の場合は、第一銅イオンは5秒程度の短時間でもかなりの割合で酸化され、20秒間程度では酸化反応が十分に進行する。
その一方で、銅含有酸性廃液と過酸化水素水を混合すると、銅イオンを触媒として過酸化水素の分解反応が進行する。その分解反応は、両者を混合後約60秒経過した時点から顕在化し、7分間〜10分間経過後には顕著な発泡を伴いながら激しく進行する。混合する両者の濃度にもよるが、例えば銅イオンに対してモル濃度で2倍量の過酸化水素を混合した場合、過酸化水素の分解に伴う発泡は20分間経過後には減少し、25分間経過後には僅かなものになり、この時点でアルカリ剤に注加した場合には酸化銅よりも水酸化銅を多く含む沈殿物が生成する。
このようなことから、アルカリ剤への注加に先立ち、銅含有酸性廃液と過酸化水素水との混合、反応時間として、5秒間〜20分間程度、望ましくは20秒間〜7分間程度の時間を取ることが好ましい。
また、反応に供する銅含有酸性廃液の全量に対し、必要量の過酸化水素水の全量を一度に添加すると、両者の液量が多いこともあり、過酸化水素が急激に分解し、混合液は激しく発泡しながら液温も急激に上昇する。このような場合には過酸化水素の急激な分解反応に起因する事故も起こりうるため、銅含有酸性廃液と過酸化水素水は1回の注加操作で使用する量のみを混合し、発泡が激しくなる前に注加操作を完了することが必要である。
上述した銅含有廃液と過酸化水素水との混合方法としては、例えば、混合槽内に両液を注加して撹拌する方法や、銅含有廃液と過酸化水素水とを合流させて混合する方法等が適用可能である。
このうち、混合用の槽内に両液を注入して撹拌する方法では、注入量の確認と調整が容易である。また、槽内にオーバーフロー管を設けておけば、混合時に発泡しても開放系となるため槽の爆発などの装置上の問題を防ぐことができるというメリットがある。
また、銅含有廃液と過酸化水素水とを合流させて混合する方法では、両溶液の配管をY字管等で接続して合流させる方法、どちらかの配管内に他方の液を注入して混合する方法などが使用できる。さらに合流後にスタティックミキサーを通すことで両液を撹拌混合することもできる。この方法では、発泡への対処のために装置の耐圧性、もしくは発生した気体を排出できる機構が必要になるが、両液を混合してから供給するまでの時間を均一に保ち、かつ連続的に供給できるというメリットがある。
次に、銅含有廃液と過酸化水素水との混合液(以下、「混合液」と略称する)とアルカリ剤との反応であるが、複塩の生成を回避するためには、銅イオンの濃度が希薄な条件下で反応させることが必要である。また、銅イオンの酸化反応を速やかに進行させるためには、過酸化水素の反応性が高くなる強アルカリ性条件下で反応させることが望ましい。
これらの条件を実現するため、本発明技術においては、操作性の良い溶液状のアルカリ剤を用い、このアルカリ剤溶液を撹拌しているところに前記の混合液を適切な速度で注加してゆくことが必要である。この注加速度は、注加後のアルカリ剤溶液中において、そのpHが一時的にでも7以下に下がらないように、管理しながら注加、混合して逐次反応を進行・完結させてゆくことが必要である。
本発明において使用するアルカリ剤を予め希釈することが重要である。アルカリ剤として水酸化ナトリウムを使用する場合、水酸化ナトリウム溶液は一般には25質量パーセント濃度以上の高濃度で販売されている。本発明ではアルカリ剤をそのまま使用せず、希釈してから反応に供する。希釈したアルカリ剤を反応に用いることで回収した酸化銅を主成分とする固形物(以下、回収酸化銅と略称する)中の塩素含有率を低減することができる。
例えば、25質量パーセント濃度の水酸化ナトリウム溶液を使用する場合であれば、容積比で5倍に希釈し、約6質量パーセント濃度とすることで、回収酸化銅の塩素含有率が約4割程度低下する。
アルカリ剤の希釈は、反応槽にアルカリ剤を供給しアルカリ剤をいれた反応槽に希釈水供給管から水を供給して希釈してもよいし、反応槽とは別の貯槽でアルカリ剤を希釈してもよいし、市販のアルカリ剤を調整する際に所定の希釈度になるように濃度を調整してもよい。希釈に用いる水は塩素濃度が低い水であることが必要であり水道水、イオン交換処理水を使用することができる。また、回収した酸化銅を主成分とする固形物を洗浄する工程で発生する塩素濃度の低い洗浄排水を再利用してもよい。洗浄排水をイオン交換処理や逆浸透膜処理により脱塩して希釈水として利用してもよい。洗浄排水の再利用では、酸化銅を主成分とする固形物への不純物の混入などの再汚染を防ぐため、有機物や塩素、金属類などの不純物を除いた再生水を希釈水として利用することができる。
また、アルカリ剤として25質量パーセント濃度の水酸化ナトリウム溶液と15質量パーセント濃度の炭酸ナトリウム溶液の混合液を用いると、水酸化ナトリウム溶液を単独で用いた場合よりも回収した酸化銅を主成分とする固形物中の塩素含有率がさらに低下する。低塩素含有率の酸化銅が必要な場合に有効な手法となる。水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合液を用いる場合でも、アルカリ剤を希釈することで回収酸化銅の塩素含有率が低下する。このため、回収した酸化銅に求められる品質に応じて希釈倍率を決めることが望ましい。
本発明において、アルカリ剤をあらかじめ加温しておくことで回収した酸化銅を主成分とする固形物中の塩素含有率が低下する。一般に水酸化銅は60℃以上で自己酸化により酸化銅に変化することが知られている。このため、廃液中の銅イオンが処理反応過程で水酸化銅の形態になったとしても、アルカリ剤の温度が60℃以上であれば、酸化銅に自己酸化されやすくなり、反応液中に存在する塩化物イオンを取り込みにくくなるためと考えられる。また、実験の結果、アルカリ剤を加熱することにより回収した酸化銅の塩素含有率を低下させることが可能であり、その効果はアルカリ剤の温度が70℃以上で顕著に認められたことから、本発明ではアルカリ剤を70℃以上に加熱することが望ましい。
アルカリ剤を加温するには、アルカリ剤を入れた反応槽にヒータを設けてもよいし、アルカリ剤の加温槽として反応槽とは別に設け反応槽での反応中に次の反応のためのアルカリ剤を準備・加熱してもよいし、アルカリ剤の供給配管にヒータを設けても良い。
銅含有酸性廃液と酸化剤の混合液のアルカリ剤への注加方法としては、例えば、アルカリ剤が入れられた反応槽に混合液を滴下する方法や配管を通して混合液をアルカリ剤液中に注入する方法等の方法が適用可能である。
銅含有酸性廃液と酸化剤の混合液を反応槽へ滴下する方法では、供給状況を目視で確認でき、供給状況が不調の際に対応しやすいメリットがある。一方、配管を通して液中に供給する方法では、液表面から供給する場合に比べて良好に混合できる位置に供給できるメリットがある。銅含有酸性廃液と酸化剤を混合する混合槽が反応槽に比べて十分に小さい場合には、混合槽1回分ごとを分注することで、簡単な設備で行うことができる。なお、配管を通して液中に注入する方法では、銅含有廃液と過酸化水素溶液とを合流させて作成した混合液を連続して添加する方法が好適に使用できる。
更に、アルカリ剤溶液内に、pHが一時的にでも7以下に下がらないように混合液を管理しながら注加、混合する方法としては、たとえば撹拌混合状態にあるアルカリ剤溶液中に、少量の混合液を、間隔をあけて断続的に注加する方法や、混合液を少量ずつ連続的に注加する方法を挙げることができる。このとき、アルカリ剤溶液に対する、混合液の注加量は、最終的な反応終了時のpHが7以上であれば、後述の一定の範囲内で任意に調節できる。しかし、銅含有酸性廃液をアルカリ剤に注加し、pH7に近いところまでpHを低下させると、回収した酸化銅を主成分とする固形物中の塩素含有率が高くなる場合があり、要求される酸化銅の品質に合わせ反応終点となるpHを調整することが好ましい。
本発明において、処理に用いられる過酸化水素水の濃度は特に限定されないが、例えば、濃度30%のものを直接使用することが出来る。
以上説明した本発明技術によれば、銅含有酸性廃液の処理後に得られる固形物は酸化銅を主成分とするものであり、固液分離が比較的し易く、脱水性も比較的良好な性状のものである。しかしながら、高濃度の銅イオンを含む銅含有酸性廃液の場合には、濃厚な酸とアルカリを混合して処理しているため、反応完了時の固形物には中和反応により生じた高濃度の塩類も共存している。そこで、再利用を目的とした固形物の回収に際しては、水洗を複数回繰り返すことでこれらの塩類を洗い流し、回収物の純度を上げる対応が有効である。この場合の固液分離方法としては例えば、ろ過分離、遠心分離、沈降分離等が適用可能である。
また、塩類を洗い流すための洗浄水としては、塩類含有量が少ない清澄な水、例えば水道水や工業用水などを用いても良いが、これに代えて、処理された液を固液分離して得られた分離液、固形物を水洗で洗い流した洗浄排水、及び/又は固液分離して得られた分離液などを脱塩処理して得られた処理水を再利用することも有効である。なお、この場合の脱塩処理方法としては例えば、膜ろ過法や減圧蒸留法、電気透析法等が適用可能である。
次に、図面を参照して、本発明方法を実施するために使用する回収装置について説明する。
図1は本発明を実施する場合の銅の回収装置の一態様を示す系統図である。図中、11は混合槽、12は反応槽、13は固液分離装置、14は銅含有酸性廃液配管、15は酸化剤供給配管、16は混合液供給配管、17はアルカリ剤供給配管、18は希釈水供給配管、19は撹拌機、20は洗浄水供給配管、21は弁、22は脱水装置、23は温度計、24はヒータをそれぞれ示す。図2及び図3においても同一の構成要素には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1に示す銅回収装置1は、攪拌機19を備えた反応槽12と、反応槽12に連通される固液分離装置13を備えている。反応槽12の上部には、混合槽11が設けられ、混合液供給配管16によって反応槽12と接続されており、混合槽11内の銅含有酸性廃液と酸化剤の混合液が反応槽12に注加可能な構造となっている。混合槽11には銅含有酸性廃液配管14と、酸化剤供給配管15が接続され、混合槽11内で銅含有酸性廃液と酸化剤を混合できる構造となっている。混合液供給配管16には弁21が設けられ、混合液の供給を任意に制御できる構造となっている。
反応槽12には、アルカリ剤供給配管17からアルカリ剤が供給される。また、希釈水供給配管18からアルカリ剤を希釈するための水が供給される。反応槽12には温度計23とヒータ24とが備えられており、供給されたアルカリ剤の希釈液を加温し、所定の温度に維持できる構造となっている。アルカリ剤を70℃以上の任意の温度に加温するため、温度を一定に保つようにヒータ24には温度調節機能を備えることが望ましい。また、液温の低下を防ぐため、必要に応じて反応槽12に断熱材をまいて保温構造にすることも可能である。反応槽12ではアルカリ剤に酸が供給されるので中和反応も並行して起こる。中和反応は発熱反応のため、温度が上昇し過ぎることも考えられる。このため、反応槽12の加温装置にはウォータージャケットを用い、温度が上昇し過ぎた場合は冷却水の供給が可能な構造としても良い。なお、アルカリ剤供給配管17よりあらかじめ希釈されたアルカリ剤が反応槽12に供給される場合には希釈水供給配管18の設置を省略することが可能である。
図2は本発明を実施する場合の銅の回収装置の別の一態様を示す系統図である。図2においては、反応槽12の部分が図1に示す形態と異なっている。アルカリ剤を加温するために反応槽12にアルカリ剤加温槽25を設置し、アルカリ剤を反応槽12に供給する前にあらかじめアルカリ剤を加温する。アルカリ剤加温槽25においてアルカリ剤供給配管17から供給されたアルカリ剤と希釈水供給配管18から供給された希釈水を混合しながら設定した温度に加温する。設定した温度に加温されたアルカリ剤は反応槽12に供給される。
図2に示すようにアルカリ剤加温槽25を設けると、反応槽12での反応中にアルカリ剤の加温を並行して行うことができる。このため、反応終了後、生成した酸化銅スラリーを反応槽12から移送した後、直ちに加温したアルカリ剤を新たに反応槽12に供給することができ、処理設備の稼働率を上げることができる。
図3は本発明を実施する場合の銅の回収装置のさらに別の一態様を示す系統図である。図3においては、反応槽12の部分が図1、図2に示す形態と異なっている。アルカリ剤を加温するために、アルカリ剤供給配管17と希釈水供給配管18が接続され1本になった配管にヒータ24が設置され、アルカリ剤を加温できる構造となっている。図3に示す回収装置1においては、アルカリ剤加温槽25(図2参照)を設置することなく、アルカリ剤を加温できるが、アルカリ剤や希釈水の流量に応じたヒータ24の能力が必要となる。
この反応槽12中において生成する酸化銅を主体とする固形物は、移送ポンプ26を介して固液分離装置13に移され、固液分離装置13において固形物と上澄水に分離される。そして更に、洗浄水供給配管20から供給される洗浄水により洗浄され、再利用に供される。
図1乃至図3に示す装置では、銅含有酸性廃液配管14と、酸化剤供給配管15がそれぞれ混合槽11の上部に設けられており、この混合槽11内で、十分に混合されてから、混合液配管16を通って反応槽12に注加される。なお、混合槽11を設けず銅含有酸性廃液配管14と酸化剤供給配管15を連結し、連結した配管から直接反応槽12に混合液を供給することも可能である。
上記混合槽11は、酸化剤の酸化力が長く保持できないという理由から、処理すべき銅含有酸性廃液とこれに加えられる酸化剤を一度に収容できる容量である必要はなく、分割して処理される銅含有酸性廃液とこの廃液に対して加えられる分量の酸化剤を収容できる容量であれば良い。
図1乃至図3に示す装置の利用に当たっては、1回の反応に供する銅含有酸性廃液量に対し、適切な量の酸化剤量とアルカリ剤量を用いる必要がある。酸化剤量は銅含有酸性廃液中の銅量に対し、モル比で当量以上となるような量に設定することが好ましい。また、アルカリ剤量は反応終了時点でのpHを7以上とする必要があるため、あらかじめ小スケールの試験で一定量の銅含有酸性廃液を中和するために必要なアルカリ剤量を決めておき、この量比を基にアルカリ剤量を決めることが望ましい。
また、本発明によれば予めアルカリ剤を希釈し濃度を調節してからアルカリ剤を反応に供する。このような手順を採用することで、回収酸化銅の塩素含有率を低下させることができるが、後述する実施例で示すように希釈の度合いにより回収酸化銅の塩素含有率が変化する。このため、あらかじめ小スケールでの試験で要求される塩素含有率を満たすようなアルカリ剤の希釈倍率またはアルカリ剤濃度を決定しておくことが望ましい。
上述したように本発明では、銅含有酸性廃液と酸化剤の混合液を少量ずつ希釈済アルカリ剤に添加することで希釈効果を得ながら銅を酸化させる。このため、混合液を間欠的にアルカリ剤に供給することが好ましい。この場合、例えば1回の反応に供する銅含有酸性廃液量の1/8量とそれに見合う酸化剤を混合槽11に供給し、混合した後、弁21を開け、反応槽12に供給する。この場合、あらかじめ反応前に反応槽12にアルカリ剤を供給し、所定の希釈倍率に希釈した後、70℃以上に加温しておくことで、混合液を希釈・加温されたアルカリ剤に供給することができる。
銅含有酸性廃液と酸化剤の混合液の注加操作を繰り返し、所定量の銅含有酸性廃液をすべて処理すると反応が終了となる。反応槽12で生成した酸化銅は固液分離装置13に供給され、酸化銅と高濃度の塩を含む液に分離される。酸化銅はそのまま固液分離装置13内に残し、純水を通じて洗浄操作を行うことで酸化銅の純度を高めることができる。洗浄後の酸化銅は脱水装置22に供給され、脱水されて酸化銅として回収される。
本発明における銅の回収装置において、洗浄水としては一般的に塩類の含有量が少ない清澄な水、例えば水道水や工業用水などを用いるが、これに代えて、あるいはその一部として反応で得られた上澄水や、洗浄排水及び脱水装置からの脱水ろ液を脱塩装置で処理して得られた脱塩処理水を用いることができるので、後続の廃水処理を考慮した場合に有効である。
(実施例1)
実施例1ではプリント基板製造工程から排出された塩化銅エッチング廃液を処理した。この廃液は銅イオン濃度が約140g/Lの塩酸酸性の性状であった。また、アルカリ剤として25質量パーセント濃度の水酸化ナトリウム溶液、酸化剤に30質量パーセント濃度の過酸化水素水を用いた。廃液の添加量は、使用したアルカリ剤1000mLを中和するのに必要な廃液量を1当量としたときに、0.9当量、0.8当量、0.5当量になるような量を用いた。
回収した酸化銅を主成分とする固形物中の塩素含有率と生成したスラリー中の溶解性銅イオン濃度を表1に示す。
Figure 0006511040
アルカリ剤量に対する廃液の注加量を減らすことで回収酸化銅の塩素含有率が低下する傾向があることを確認できた。一方、生成スラリー中の溶解性銅イオン濃度は、廃液の注加量が0.5当量である場合に約24mg/L残留しており、生成スラリー中に溶解して残留する銅の濃度を減らすという観点から、廃液の注加量は0.8当量でとどめておくことが良い。
(実施例2)
実施例2ではプリント基板製造工場から排出された塩化銅エッチング廃液を処理した。この廃液は銅イオン濃度が約140g/Lの酸性廃液であった。また、アルカリ剤として25質量パーセント濃度の水酸化ナトリウム溶液、酸化剤に30質量パーセント濃度の過酸化水素水を用いた。廃液の添加量は、使用したアルカリ剤1000mLを中和するのに必要な廃液量を1当量としたときに、0.8当量になるような量を用い、反応開始温度を25℃、60℃、70℃,80℃に設定した。
回収した酸化銅を主成分とする固形物中の塩素含有率を表2に示す。
Figure 0006511040
回収した酸化銅の塩素含有率は60℃では157mg/kgであるが、70℃、80℃では100mg/kg以下に低下している。このように反応開始温度を上げることにより塩素含有率が低下することが確認され、反応開始温度は70℃以上が適している。
表2の結果から明らかなように、反応開始温度が上昇するにつれて塩素含有率は減少するが、反応開始温度の上限としては、装置の制限や安全性を考慮し90℃が妥当である。
(実施例3)
実施例3においては、実施例1や実施例2と異なるプリント基板製造工程から排出された塩化銅エッチング廃液を処理した。この廃液は銅イオン濃度が約126g/Lの酸性廃液であった。また、アルカリ剤として25質量パーセント濃度の水酸化ナトリウム溶液、酸化剤に30質量パーセント濃度の過酸化水素水を用いた。処理条件を表3に示す。
Figure 0006511040
実施例3においては、アルカリ剤480mLを希釈しないで使用した対照系と、容積比でそれぞれ2倍、5倍、10倍になるように希釈した希釈系で処理を行った。
希釈系での水酸化ナトリウム濃度はそれぞれ約14、6、3質量パーセント濃度に相当する。また、塩化銅エッチング廃液の供給量は、使用した480mLのアルカリ剤を中和するのに必要な塩化銅エッチング廃液量を1当量としたときに、0.8当量分の塩化銅エッチング廃液を反応に供した。注加操作1回あたりの塩化銅エッチング廃液の供給量は62.5mL、酸化剤量は約15mLに設定した。アルカリ剤はあらかじめ80℃に加温してから反応を開始した。塩化銅エッチング廃液と酸化剤は混合後約3分かけてアルカリ剤に注加し、注加後3分間撹拌した。この注加操作を合計8回繰り返した。
得られた黒色の酸化銅スラリーを分析した結果を表4に示す。生成スラリーSSはスラリー中の固形物濃度を示す。回収酸化銅の塩素含有率は、対照系が145mg/kgであるのに対し、5倍希釈系では98mg/kgまで、10倍希釈系では82mg/kgまで低下したことから、アルカリ剤を希釈し、アルカリ剤濃度を低く調整することで回収酸化銅の塩素含有率を低減させることができるという効果が認められた。
Figure 0006511040
本発明においては、アルカリ剤の希釈倍率が高い程すなわちアルカリ剤濃度が低くなる程、回収酸化銅の塩素含有率が低くなると考えられ、希釈倍率が10倍を超えても回収酸化銅の塩素含有率が低くなることが期待できる。しかし希釈倍率を高くすると装置の大きさの制約や排水量の増加を招くという観点から希釈倍率の上限は決められる。
(実施例4)
実施例4において、処理する廃液として実施例1や実施例2で使用したものと同じ塩化銅エッチング廃液(銅イオン濃度が約140g/L)を用いた。またアルカリ剤には25質量パーセント濃度の水酸化ナトリウム溶液と15質量パーセント濃度の炭酸ナトリウム溶液を容積比が25:75となる割合で混合した混合アルカリ剤を用いた。処理条件を表5に示す。処理手順は実施例1と同様に行った。
Figure 0006511040
表5に示す処理条件で行った結果を表6に示す。実施例4では実施例3と比較して、回収酸化銅の塩素含有率が全体的に低いことから水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合アルカリ剤は塩素含有率低減に有効であることが確認された。また、アルカリ剤の希釈倍率が増加するに従い、回収酸化銅の塩素含有率が低下しており混合アルカリ剤を使用する場合もアルカリ剤の希釈効果があることが認められた。
Figure 0006511040
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことはいうまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、銅含有酸性廃液の処理方法に関し、更に詳細には、例えば銅プリント基板を塩化第二銅エッチング液でエッチングする際に生じるエッチング廃液、電解銅箔製造におけるメッキ浴液の更新廃液、多層プリント基板を生産する際の積層工程において基板表面の粗化処理で発生するエッチング廃液などの高濃度の銅イオンを含有する銅含有酸性廃液を中和処理し、銅含有酸性廃液から銅を酸化銅として除去し回収する方法及びそのための装置に利用可能である。
1 銅回収装置
11 混合槽
12 反応槽
13 固液分離装置
14 銅含有酸性廃液配管
15 酸化剤供給配管
16 混合液供給配管
17 アルカリ剤供給配管
18 希釈水供給配管
19 撹拌機
20 洗浄水供給配管
21 弁
22 脱水装置
23 温度計
24 ヒータ
25 アルカリ剤加温槽
26 移送ポンプ

Claims (4)

  1. 銅含有酸性廃液と酸化剤を混合後、この混合液をアルカリ剤に、混合液注加後のアルカリ剤溶液のpHが一時的にでも7以下に下がらないように管理しつつ添加し、生成する酸化銅を主成分とする固形物を回収する銅含有酸性廃液の処理方法において、
    あらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節してから前記混合液をアルカリ剤に添加するか、またはあらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節し、希釈したアルカリ剤を加温してから前記混合液をアルカリ剤に添加し、
    アルカリ剤として水酸化ナトリウム溶液を用い、水酸化ナトリウム溶液の濃度を6質量%以下とすることを特徴とする銅含有酸性廃液の処理方法。
  2. 銅含有酸性廃液と酸化剤を混合後、この混合液をアルカリ剤に、混合液注加後のアルカリ剤溶液のpHが一時的にでも7以下に下がらないように管理しつつ添加し、生成する酸化銅を主成分とする固形物を回収する銅含有酸性廃液の処理方法において、
    あらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節してから前記混合液をアルカリ剤に添加するか、またはあらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節し、希釈したアルカリ剤を加温してから前記混合液をアルカリ剤に添加し、
    アルカリ剤として水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムを含む溶液を用い、水酸化ナトリウム溶液の濃度を0.2質量%以下かつ炭酸ナトリウムの濃度を1.1質量%以下とすることを特徴とする銅含有酸性廃液の処理方法。
  3. アルカリ剤の温度を70℃以上とすることを特徴とする請求項1または2記載の銅含有酸性廃液の処理方法。
  4. 銅含有酸性廃液配管からの銅含有酸性廃液と、酸化剤供給配管からの酸化剤とを混合し混合液を得る混合槽と、
    前記混合液とアルカリ剤溶液を反応させて酸化銅を主成分とする固形物を生成する反応槽と、
    前記混合槽から前記反応槽に、混合液注加後のアルカリ剤溶液のpHが一時的にでも7以下に下がらないように混合液を注加する混合液供給配管
    ルカリ剤を前記反応槽またはアルカリ剤加温槽に供給するアルカリ剤供給配管と、
    前記反応槽で生成した固形物を分離回収する固液分離装置とを備え、
    前記反応槽と前記固液分離装置とは固形物を含む液を移送可能に連通されている銅含有酸性廃液からの銅の回収装置において、
    前記アルカリ剤として水酸化ナトリウム溶液を用い、水酸化ナトリウム溶液の濃度を6質量%以下とし、前記アルカリ剤を希釈水で希釈して濃度を調節するための希釈水供給配管と、
    前記反応槽又は前記アルカリ剤供給配管、前記アルカリ剤加温槽のいずれかに設けられ、前記希釈したアルカリ剤を加温するヒータと、
    を有し、
    前記希釈液供給配管からの希釈水であらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節してから前記混合液供給配管で前記混合液をその希釈したアルカリ剤に添加するか、または、前記希釈水供給配管からの希釈水であらかじめアルカリ剤を希釈し濃度を調節し、希釈したアルカリ剤を前記ヒータにより加温してから前記混合液を前記混合液供給配管でその加温されたアルカリ剤に添加することを特徴とする銅含有酸性廃液からの銅の回収装置。
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