JP5945682B2 - シアン含有廃水の処理方法 - Google Patents

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本発明は、簡便な操作でシアンを確実に除去して、処理後の廃水のシアン濃度が排水基準を満たし得る、各種工場から排出されるシアン含有廃水の処理方法に関する。
シアン化物(以下「シアン」ともいう)は生態系に強い悪影響を及ぼすため、シアン含有廃水(以下「シアン廃水」ともいう)を自然界にそのまま放出することはできない。シアンについては水質汚濁防止法に基づき排水基準が定められており、この基準(1mg/L以下)を満たすようにシアン除去処理を行い、無害化した廃水でなければ下水などに排出できないことになっている。また、地域によっては、条例により、上記の排水基準値よりもさらに低い上乗せ排水基準が定められている。
シアン廃水中のシアンの除去処理方法としては、主として次のような方法が挙げられる(例えば、三好康彦著、「化学の基礎と排水処理技術」、株式会社情報総合研究所、1996年11月10日第2刷発行、p.152〜158:非特許文献1参照)。
(1)シアン廃水をアルカリ性に調整した後、塩素を注入してシアンを酸化分解するアルカリ塩素法
(2)強力なオゾンの酸化力でシアンを窒素ガスと炭酸水素塩に酸化分解するオゾン酸化法
(3)非溶解性の電極を用いてシアンを電気分解し、酸化反応を行う電解酸化法
(4)シアン廃水中に、鉄イオンの供給化合物として、例えば硫酸第一鉄を加え、難溶性のフェリフェロシアン化物を生成させ、これを沈殿除去する紺青法
(5)シアンに対して馴養させた微生物(シアン分解菌)にシアンを分解させる生物処理法
しかしながら、上記の方法はそれぞれ次のような欠点を有している。
方法(1)のアルカリ塩素法は、最も一般的なシアンの除去処理方法であるが、二段階処理であり、各段階の反応に適したpH値(第一反応:pH10以上、第二反応:pH7.5〜8.0)に維持する必要があり、しかも酸化剤の添加量、残留塩素量などを常時監視しなければならず、シアン錯塩を除去し難い傾向がある。
方法(2)のオゾン酸化法は、この処理により有害な化合物が生成せず、用いるオゾン自体が分解しても無害の酸素しか生成しないなどの利点を有するが、気液反応であるので、複雑かつ大掛かりな設備を必要とする。また、オゾンの製造コストが高いので、オゾンを有効に反応させるための装置上の工夫が必要である。例えば、2塔の酸化塔を設け、第一の酸化塔内に充填物を入れて、シアン廃水とオゾンとを向流的に効率よく接触させ、第一の酸化塔からの排気を第二の酸化塔で使用して、残留オゾンを完全に利用する。さらに、シアンの分解により生じた金属水酸化物の凝集沈澱処理を行う必要がある。
方法(3)の電解酸化法は、シアンの高濃度廃液を効率よく、かつ経済的に処理できるという利点を有するが、大量の電力が必要になり、処理コストが高くなる。また、電解酸化法と他の処理法とを併用してシアンを除去する方法もあるが、いずれにしても処理が複雑になり、処理コストが高くなる。
方法(4)の紺青法は、他の処理法ではシアンの酸化分解が困難なシアン廃水の処理に適しているが、鉄イオンが少ないと、生成した錯塩が可溶性の状態でシアン廃水中に残り、処理水が着色する問題点があるため、多量の鉄イオン供給化合物の添加を必要とし、生成する錯塩(廃棄物)の量が膨大となる。また、処理水のpHが6より高い場合や生成した錯塩が空気中の酸素で容易に酸化された場合には、フェリフェロ型となり再溶解するので、紺青法で処理水のシアン濃度を排水基準値以下にすることは困難である。
方法(5)の生物処理法は、微生物反応特有の欠点である微生物処理に適したpHの維持、栄養物質(窒素、リンなど)の添加、活性汚泥濃度(MLSS)の調節、余剰汚泥の処理などの煩雑な操作が必要であり、その上、処理時間(シアンと微生物との接触時間)が長く、シアン廃水中のシアン濃度が高い場合には、処理すべき廃水を予め希釈しなければならない。
また、本発明の出願人は、次のようなシアン廃水の処理方法を提案してきた。
(A)鉄シアン錯イオン含有廃水をpH6.0以上に調整し、これにマンガン化合物を添加して水不溶性の鉄シアン錯化合物のマンガン塩を生成させ、廃水系から除去する方法(特公昭62−24157号公報:特許文献1参照)
(B)シアン廃水に、予めアルカリ条件下で塩素ガスを導入するか、次亜塩素酸塩を添加して、シアン化合物を酸化分解する第1段処理を行い、次いで廃水中に残存するシアン化合物を、ホルムアルデヒド、マンガン化合物および/または銅化合物、ならびに塩素ガスまたは次亜塩素酸塩の三成分系で処理して、シアン化合物を分解物および/または水不溶性塩として除去する第2段処理を行う方法(特開2005−279571号公報:特許文献2参照)
(C)シアン廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の第二鉄塩および第一銅塩を添加した後、該廃水のpHを6〜8に調整し、生成した水不溶性塩を廃水から除去して、廃水中のシアンを除去する方法(特開2005−313112号公報:特許文献3参照)
さらに、シアンを含有する被処理水に、2価の銅塩および還元剤を添加して難溶性塩を生成させて分離する分離工程と、該分離工程の処理水にアルカリ性条件下にて酸化剤を添加して該処理水中のシアンを酸化する酸化工程とを有する方法が提案されている(特開2008−36608号公報:特許文献4参照)
しかしながら、上記の先行技術では、煩雑な工程や操作が必要であり、それに伴い複数の反応槽が必要となる場合もある。また、廃水の種類によってはシアン除去の効果が十分でなく、処理後の廃水のシアン濃度を排水基準(1mg/L以下)、さらには環境への影響を考慮した上乗せ排水基準を満足する濃度にすることができず、処理廃水をそのまま下水などに排出することができない。
また、水質汚濁防止法に基づき水素イオン濃度(pH)の排水基準は、海域では5.0〜9.0、海域外では5.8〜8.6と定められている。上記の先行技術において、廃水のpHを酸性やアルカリ性に調整した場合には、下水などに排出する前に、廃水のシアン濃度だけではなく、pHも排水基準範囲内に調整する中和処理が必要になる場合もある。
特公昭62−24157号公報 特開2005−279571号公報 特開2005−313112号公報 特開2008−36608号公報
三好康彦著、「化学の基礎と排水処理技術」、株式会社情報総合研究所、1996年11月10日第2刷発行、p.152〜158
本発明は、処理後の廃水のシアン濃度が排水基準よりもさらに低い上乗せ排水基準をも満足する濃度となるように、簡便な操作でシアンを確実に除去し得ると共に、処理後の廃水を中和処理なしに、そのまま下水などに排出し得るシアン廃水の処理方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、シアン廃水に含まれるシアンを除去し得る量のマンガン化合物、および銅化合物またはアルミニウム化合物を添加した後、該廃水を特定のpHの条件下で、調整し廃水中のシアンを除去することにより、意外にも、該廃水中のシアン濃度を、排水基準(1mg/L以下)を超え、上乗せ排水基準を満たし得る濃度にまで低下させ得る事実、およびその効果が広いpH領域で得られる事実を見出し、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量のマンガン化合物、および銅化合物および/またはアルミニウム化合物を添加した後、該廃水をpH6〜9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去することからなり、
前記マンガン化合物と前記銅化合物との添加割合が重量割合で1:10〜10:1であり、かつ前記マンガン化合物と前記アルミニウム化合物との添加割合が重量割合で1:10〜10:1であることを特徴とするシアン含有廃水の処理方法が提供される。
本発明によれば、処理後の廃水のシアン濃度が排水基準よりもさらに低い上乗せ排水基準をも満足する濃度となるように、簡便な操作でシアンを確実に除去し得ると共に、処理後の廃水を中和処理なしに、そのまま下水などに排出し得るシアン廃水の処理方法を提供することができる。よって、本発明の方法で処理した廃水をそのまま自然界に放出しても、環境に対する影響が非常に少なく、また処理後に発生する水不溶性塩(廃棄物)の量も少なくできることから、本発明の方法は産業上極めて有用である。
また、本発明の方法は、マンガン化合物が塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、硼酸マンガンおよび酢酸マンガンから選択される場合に、銅化合物が塩化第一銅、フッ化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、フッ化第二銅、硝酸銅および硫酸銅から選択される場合に、アルミニウム化合物がポリ塩化アルミニウム、塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウムから選択される場合に、マンガン化合物と銅化合物との添加割合が重量割合で1:10〜10:1である場合に、マンガン化合物とアルミニウム化合物との添加割合が重量割合で1:10〜10:1である場合に、またはマンガン化合物および銅化合物と、アルミニウム化合物との添加割合が重量割合で1:5〜5:1である場合に、上記の効果がさらに発揮される。
本発明のシアン廃水の処理方法に用いられるシアン廃水の処理装置の一例を示す概略模式図である。
本発明のシアン廃水の処理方法は、シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量のマンガン化合物、および銅化合物および/またはアルミニウム化合物を添加した後、該廃水をpH6〜9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去することを特徴とする。
本発明において処理対象となるシアン廃水としては、製鉄工場、化学工場、メッキ工場、コークス製造工場、金属表面処理工場などから排出される金属のシアン化合物、シアンイオン、シアン錯塩、シアノ錯イオンなどを含むシアン廃水、放射能汚染水の処理工程において排出されるシアン廃水、汚染土壌の処理装置から排出されるシアン含有廃水が挙げられる。特に、本発明のシアン廃水の処理方法は、コークス炉廃水のような、緩衝作用の強いシアン廃水の処理に好適である。
本発明において用いられるマンガン化合物は、水に可溶な中性塩であれば特に限定されず、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、硼酸マンガンおよび酢酸マンガンなどが挙げられる。これらの中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、塩化マンガンが特に好ましい。
本発明において用いられる銅化合物は、水に可溶であり、水中で1価または2価の銅イオンを形成し得る化合物で特に限定されず、塩化第一銅、フッ化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、フッ化第二銅、硝酸銅および硫酸銅などが挙げられる。これらの中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、塩化第一銅および硫酸銅が特に好ましい。また、後述するように、銅化合物は溶液の形態でシアン廃水に添加するのが好ましいが、銅化合物が第一銅塩である場合には、塩化水素水、ハロゲン化アルカリ金属水溶液またはエタノールを溶媒とする第一銅塩溶液とするのが、第一銅塩の安定性の点から好ましい。
本発明において用いられるアルミニウム化合物は、水に可溶であり、水中で3価のアルミニウムイオンを形成し得る化合物であれば特に限定されず、ポリ塩化アルミニウム、塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、ポリ塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウムが特に好ましい。
本発明の方法によれば、シアン廃水に含まれるシアンを除去し得る量のマンガン化合物、および銅化合物および/またはアルミニウム化合物を同時にまたは別々にシアン廃水に添加する。
マンガン化合物、銅化合物およびアルミニウム化合物はそれぞれ溶液、特に水溶液の形態で添加するのが好ましい。各溶液の濃度は、それらをシアン廃水に添加する際の作業性、シアンと添加した化合物との反応性などを考慮して適宜決定すればよい
マンガン化合物および、銅化合物および/またはアルミニウム化合物の添加量は、シアン廃水に含まれるシアンの種類およびその濃度などの影響を受けるので、これらの添加量は条件に応じて適宜決定すればよい。具体的には、処理前のシアン廃水のシアン濃度などを予め測定しておき、この測定値に基づいて、各薬剤の添加量を決定すればよい。
本発明において処理対象となるシアン廃水におけるシアンの含有量は、特に限定されないが、全シアン濃度で2〜100mg/Lの廃水を好適に処理することができる。
このようなシアン廃水を処理する場合には、マンガン化合物をマンガン濃度として0.1〜1000mg/L、好ましくは0.5〜500mg/Lとなるように、銅化合物を銅濃度として0.1〜1000mg/L、好ましくは0.5〜500mg/Lとなるように、アルミニウム化合物をアルミニウム濃度として0.1〜500mg/L、好ましくは0.5〜50mg/Lとなるようにシアン廃水に添加するのが好ましい。
また、マンガン化合物と銅化合物との添加割合は、重量割合で1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、マンガン化合物とアルミニウム化合物との添加割合は、重量割合で1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1であり、特に銅化合物およびアルミニウム化合物を併用する場合には、マンガン化合物および銅化合物と、アルミニウム化合物との添加割合は、重量割合で1:5〜5:1、好ましくは2:5〜5:2とするのが好ましい。
マンガン化合物、銅化合物および/またはアルミニウム化合物の添加時、およびこれらの添加された化合物とシアンとの反応時には、シアンの除去効果の点で、混合溶液を撹拌するのが好ましい。
また、撹拌時の反応を促進する意味で混合溶液はある程度加温された状態が好ましいが、その液温は20〜60℃程度で十分である。
さらに、撹拌時の反応に要する時間は、シアン廃水の量、シアンの種類およびその濃度、処理装置の形態およびその規模などにより異なるが、シアンと添加した化合物とが十分に接触するように適宜決定すればよい。通常、撹拌時間は10分以上であればよく、20〜30分とするのがより好ましい。
本発明の方法においては、シアン廃水にマンガン化合物、および銅化合物および/またはアルミニウム化合物を添加した後、pH6〜9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を除去する。廃水のpHが6〜9.5の範囲内にない場合には、公知の方法により処理廃水のpHを6〜9.5、好ましくは7〜9に調整する。
pH調整には、本発明の処理における反応を妨げない酸またはアルカリ、例えば硫酸または水酸化ナトリウムを処理廃水に添加すればよい。
水不溶性塩の除去には、図1に示すようなシックナーおよび徐濁沈殿池などの公知の装置を用いることができ、本発明の効果を妨げない範囲で、処理廃水に界面活性剤を添加してもよい。
本発明のシアン廃水の処理方法を、該廃水の処理装置の一例を示す概略模式図(図1)を用いて具体的に説明するが、この説明は本発明を限定するものではない。
まず、反応処理槽2の手前において、処理対象となるシアン廃水1(図中、その流れを矢印で示す)のシアン濃度などを測定した後、シアン廃水1を反応処理槽2に送水する。シアン濃度などの測定値に基づいて、第1添加剤槽3および第2添加剤槽4から、それぞれマンガン化合物および銅化合物を添加する。次いで、pH計5で測定したシアン廃水のpHが6.0〜9.5の範囲にない場合には、第3添加剤槽6および第4添加剤槽7からpH調整用の酸またはアルカリを適宜添加する。次いで、シアン廃水のpHが6.0〜9.5の範囲であることを確認した後、反応処理槽2内のシアン廃水を所定時間撹拌しながら滞留させる。
次いで、生成した水不溶性塩を含むシアン廃水を、反応処理槽2の下方からシックナー8に送り、水不溶性塩の生成をさらに促進してSS凝集処理を行なうために、シアン廃水を所定時間滞留させる。その後、シックナー8上方から上澄液を除濁沈殿池9に送り、シックナー下方から沈降汚泥10を回収する。除濁沈殿池9でSS凝集処理をさらに促進させて水質の安定化を図った後、除濁沈殿池9内の上澄液のシアン濃度を測定し、測定値が排水基準値以下であることを確認した後、上澄液を排出する。シアン濃度の測定値が排水基準値以上の場合には、除濁沈殿池9内の上澄液を上流の工程(例えば、反応処理槽2)に送水し、再び処理するか、あるいは他の排水と混合希釈して排出すればよい。なお、排出した水を再利用することもできる。図番11は再利用水または排水を示す。
以上の処理により、処理前のシアン濃度(全シアン含有量(mg/L))を、排水基準値以下であって上乗せ排水基準をも満たし得る濃度にまで顕著に低減させることができ、処理後の廃水を中和処理なしに、そのまま下水などに排出または再利用することができる。
本発明を試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例により限定されるものではない。
下記の各試験例では、次のようにして調製した2種類の鉄シアン錯イオン含有水をシアン廃水として用いた。
フェロシアン化カリウム溶液0.047g/リットルを水で希釈して、全シアン濃度として20mg/リットルを含有するpH6.5の鉄シアン錯イオン含有水Aを得た。
フェロシアン化カリウム溶液0.188g/リットルを水で希釈して、全シアン濃度として80mg/リットルを含有するpH6.7の鉄シアン錯イオン含有水Bを得た。
試験例では、次の薬剤A〜Eを用いた。薬剤A〜Dは本発明において用いられる薬剤であり、薬剤Eは従来からシアン廃水の処理で用いられている薬剤である。
薬剤A:塩化マンガン水溶液(濃度31.2重量%)
薬剤B:塩化第一銅の塩化水素水溶液(濃度20重量%)
薬剤C:硫酸銅水溶液(濃度12.5重量%)
薬剤D:ポリ塩化アルミニウム水溶液(濃度(アルミナ換算値)10重量%)
薬剤E:塩化第二鉄水溶液(濃度38重量%)
試験例1(鉄シアン錯イオンの除去効果確認試験)
容量500mLのビーカーに、それぞれ鉄シアン錯イオン含有水A500mLを分注し、表1に示す濃度になるように各薬剤A〜Eを添加し、表1に示すpHになるように硫酸または水酸化ナトリウムを添加して試験水を得た。次いで、得られた試験水を30分間撹拌し、試験水中の水不溶性の生成物を濾別した。次いで、得られた濾液中の全シアン濃度(T−CN)をJIS K0102に準拠して測定し、各試験水における鉄シアン錯イオンの除去効果を評価した。
得られた全シアン濃度(mg/L)の結果を、添加した薬剤とその添加量および調整した試験水のpH値と共に表1に示す。
表1の測定結果から、実施例1〜8の薬剤を添加した後、pHを6.0〜9.5に調整した場合には、すべてのpH領域において全シアン濃度を1mg/リットル以下、殆どの場合において、さらに1桁または2桁低い濃度にまで低減させ、シアンを確実に除去し得ることがわかる。これに対して、比較例1〜11の薬剤を添加した後、pHを6.0〜9.5に調整した場合には、すべてのpH領域において全シアン濃度を1mg/リットル以下に低減させることができないことがわかる。
試験例2(鉄シアン錯イオンの除去効果確認試験)
鉄シアン錯イオン含有水Aの代わりに鉄シアン錯イオン含有水Bを用い、表2に示す濃度になるように各薬剤A〜Dを添加し、表2に示すpHになるように硫酸または水酸化ナトリウムを添加すること以外は、試験例1と同様にして試験を行った。
得られた全シアン濃度(mg/L)の結果を、添加した薬剤とその添加量および調整した試験水のpH値と共に表2に示す。
表2の測定結果から、初期シアン濃度が高いシアン廃水においても、実施例9〜17の薬剤を添加した後、pHを7または9に調整した場合には、全シアン濃度を1mg/リットル以下、殆どの場合において、さらに1桁または2桁低い濃度にまで低減させ、シアン化合物を確実に除去し得ることがわかる。
1 シアン廃水
2 反応処理槽
3 第1添加剤槽(マンガン化合物)
4 第2添加剤槽(銅化合物)
5 pH計
6 第3添加剤槽(酸)
7 第4添加剤槽(アルカリ)
8 シックナー
9 沈降汚泥
10 除濁沈殿池
11 再利用水または排水

Claims (5)

  1. シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量のマンガン化合物、および銅化合物および/またはアルミニウム化合物を添加した後、該廃水をpH6〜9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去することからなり、
    前記マンガン化合物と前記銅化合物との添加割合が重量割合で1:10〜10:1であり、かつ前記マンガン化合物と前記アルミニウム化合物との添加割合が重量割合で1:10〜10:1であることを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  2. 前記マンガン化合物が、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、硼酸マンガンおよび酢酸マンガンから選択される請求項1に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  3. 前記銅化合物が、塩化第一銅、フッ化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、フッ化第二銅、硝酸銅および硫酸銅から選択される請求項1または2に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  4. 前記アルミニウム化合物が、ポリ塩化アルミニウム、塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウムから選択される請求項1〜3のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。
  5. 前記マンガン化合物および前記銅化合物と、前記アルミニウム化合物との添加割合が、重量割合で1:5〜5:1である請求項1〜のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。
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