JP7353619B2 - シアン含有廃水の処理方法 - Google Patents
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シアンは、廃水の由来にも因り、含有量の多少はあるが、難分解性シアン錯体およびそのイオン、易分解性シアン錯体およびそのイオン、シアン化物イオンの3種の形態で廃水中に存在している。
例えば、(1)シアン含有廃水をアルカリ性に調整した後、塩素を注入してシアンを酸化分解するアルカリ塩素法、(2)強力なオゾンの酸化力でシアンを窒素ガスと炭酸水素塩に酸化分解するオゾン酸化法および(3)非溶解性の電極を用いてシアンを電気分解し、酸化反応を行なう電解酸化法(電解法)などの酸化分解法;(4)シアン含有廃水中に、鉄イオンの供給化合物として、例えば硫酸第一鉄を添加し、難溶性のフェリ/フェロシアン化物を生成させ、これを沈殿除去する紺青法、(5)塩化亜鉛と還元剤とを添加し、生成した不溶錯体を沈殿除去する亜鉛白法および(6)2価の銅塩と還元剤とを添加し、生成した不溶錯体を沈殿除去する還元銅塩法などの不溶錯体法;(7)シアンに対して馴養させた微生物(シアン分解菌)にシアンを分解させる生物処理法;(8)シアン含有廃水を高温に保持してシアン化合物をアンモニアと蟻酸に加水分解させ、共存する重金属類を単体または酸化物として析出させる熱加水分解法および(9)シアンの分解以外に有機汚濁物をも酸化分解させる湿式酸化法などの熱水反応などがある。
さらに、本発明の出願人は、シアン含有廃水に、次亜塩素酸塩および過酸化水素を同時または別々に添加して、該廃水中のシアンの分解および/またはシアンとの水不溶性の化合物の生成を生じさせて該廃水からシアンを除去する、シアン含有廃水の処理方法を提案してきた(国際公開第WO2016/190108号:特許文献3参照)。
また、水質汚濁防止法に基づき水素イオン濃度(pH)の排水基準は、海域では5.0~9.0、海域外では5.8~8.6と定められている。上記の先行技術において、廃水のpHを酸性やアルカリ性に調整した場合には、下水などに排出する前に、廃水のシアン濃度だけではなく、pHも排水基準範囲内に調整する中和処理が必要になる場合もある。
すなわち、本発明によれば、各種形態で廃水中に含有するシアンを、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で処理することができる。
また、廃水中のシアン濃度が排水規制(1mg/L以下)を満たすことで、周辺へのシアン化水素ガスの拡散も抑えられ、作業環境の改善も期待できる。
よって、本発明の方法で処理した廃水をそのまま自然界に放出しても、環境に対する影響が非常に少なく、また処理後に発生する懸濁物質(廃棄物)の量も少なくできることから、本発明の方法は産業上極めて有用である。
(1)亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物がシアン含有廃水中のシアン含有量に対してモル比で少なくとも0.2倍の濃度であり、かつ金属化合物がシアン含有廃水中において0.1~1000mg/Lの濃度である。
(2)シアン含有廃水中のシアン含有量および金属化合物濃度を予め測定し、測定したシアン含有量に応じた亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物と、測定した金属化合物濃度に応じた金属化合物とを、同時または別々に該廃水に添加する。
(3)シアン含有廃水が、pH6~9である。
(4)亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物が亜塩素酸ナトリウムであり、かつ金属化合物が塩化第一銅、塩化第二銅または硫酸第二銅である。
本発明において用いられる亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物は、水中で亜塩素酸イオンを形成して、併用する金属化合物の金属イオンと共に、本発明のシアン化合物の除去効果を発揮するものと考えられる。
本発明においては、上記の亜塩素酸塩の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、上記の亜塩素酸塩の中でも、シアン化合物の除去効果の点や工業的に入手し易いなどのコストの点で、亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸マグネシウムが好ましく、亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
亜塩素酸塩は、公知の方法により製造することができ、例えば、工業的には次のような反応により亜塩素酸ナトリウムを製造することができる。
まず、塩素酸ナトリウムNaClO3に塩酸または硫酸と還元剤とを共に反応塔に入れ、二酸化塩素ClO2を発生させる。次いで、発生した二酸化塩素ガスを洗浄塔で洗ったのち吸収塔に入れ、水酸化ナトリウムと反応させる。この際、還元剤の添加は、ClO2が再びNaClO3に戻ることを防止し、収率を高めるためである。この還元剤には、過酸化水素、過酸化物、Znなどの金属粉末、炭素、PbOなどの金属酸化物、硫黄アマルガムなどがある。次いで、吸収塔から回収した水溶液を濾過、乾燥して亜塩素酸ナトリウムの製品とする。また亜塩素酸ナトリウムは液状でも市販されている。
本発明において用いられる金属化合物は、マンガン化合物、鉄化合物、亜鉛化合物および銅化合物から選択される1種以上であり、併用する、亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物の亜塩素酸イオンと共に、本発明のシアン化合物の除去効果を発揮するものと考えられる。
以下に各金属化合物について説明するが、これらの金属化合物の中でも、シアン除去効果の点で銅化合物が特に好ましい。
本発明において用いられるマンガン化合物は、水に可溶であり、水中でマンガンイオンを形成し得る化合物であれば特に限定されず、例えば、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガンなどが挙げられる。これらの中でもシアン化合物の除去効果の点では、塩化マンガンおよび硫酸マンガンが特に好ましく、さらにシアン含有廃水の処理コストの点では、塩化マンガンが特に好ましい。
本発明において「水に可溶」とは、化合物が水100gに対して約1g以上の溶解度を有することを意味する。
本発明において用いられる鉄化合物は、水に可溶であれば特に限定されず、例えば、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、酢酸第一鉄などの水中で2価の鉄イオンを形成し得る化合物が挙げられる。これらの中でもシアン化合物の除去効果の点では、塩化第一鉄および硫酸第一鉄が特に好ましく、さらにシアン含有廃水の処理コストの点では、塩化第一鉄が特に好ましい。
上記の還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが挙げられる。
本発明において用いられる亜鉛化合物は、水に可溶であり、水中で亜鉛イオンを形成し得る化合物であれば特に限定されず、例えば、塩化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、過酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などが挙げられる。これらの中でもシアン化合物の除去効果の点では、塩化亜鉛および硫酸亜鉛が特に好ましく、さらにシアン含有廃水の処理コストの点では、塩化亜鉛が特に好ましい。
本発明において用いられる銅化合物は、水に可溶または易分散であり、水中で銅イオンを形成し得る銅化合物であれば特に限定されず、第一銅化合物および第二銅化合物が挙げられ、それらは有機銅化合物、無機銅化合物のいずれであってもよい。
有機銅化合物としては、例えば、酢酸第二銅、安息香酸第二銅、クエン酸第二銅、ナフテン酸銅、オレイン酸第二銅などの第二銅化合物が挙げられる。
有機銅化合物は処理後のシアン含有廃水中のCODを上昇させることがあるため、上記の銅化合物の中でも、無機第一銅化合物および無機第二銅化合物が好ましく、シアンの除去効果およびシアン含有廃水の処理コストの点で、無機第一銅化合物がより好ましく、塩化第一銅および硫酸第一銅がさらに好ましく、塩化第一銅が特に好ましい。
本発明の方法では、銅化合物として、第二銅化合物を還元剤と共にシアン含有廃水に添加するか、または還元性のシアン含有廃水に第二銅化合物を添加して、該廃水中で第二銅化合物を還元させて生成した第一銅イオン供給化合物を含む。
上記の還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、二価の鉄塩、チオ硫酸塩などが挙げられる。
本発明のシアン含有廃水の処理方法では、シアン含有廃水に、亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物と、マンガン化合物、鉄化合物、亜鉛化合物および銅化合物から選択される1種以上の金属化合物とを併用する。
シアン含有廃水に上記の化合物を併用するためには、例えば、シアン含有廃水に、亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物と、金属化合物とを添加すればよく、それらの添加順序は特に限定されず、両化合物を同時に、上記の記載順またはその逆順で別々に添加してもよい。
また、添加には、上記の各化合物を水溶液の形態で用いるのが好ましい。
なお、過剰の金属化合物が残存するような場合には、金属捕集剤による処理を用いてもよい。また、工業用水などの水で希釈または溶解して用いてもよい。
上記の金属捕集剤としては、例えば、液体キレート剤などが挙げられる。
各水溶液の濃度は、それらをシアン含有廃水に添加する際の作業性、シアンと添加した化合物との反応性などを考慮して決定すればよい。
亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物は、シアン含有廃水中のシアン含有量に対してモル比で少なくとも0.2倍の濃度であるのが好ましい。
亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物の濃度は、シアン含有廃水に含まれるシアンの種類およびその濃度のほかに、シアン含有廃水に含まれる金属イオンの種類およびその濃度などの影響を受けるので、これらの条件に応じて適宜決定すればよい。具体的には、処理前(処理直前から約3時間前まで)のシアン含有廃水のシアン濃度などを予め測定しておき、この測定値に基づいて、濃度を決定すればよい。
亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物の濃度がシアン含有廃水中のシアン含有量に対してモル比で0.2倍未満では、シアン除去の効果が不十分になることがある。
具体的な好ましい亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物の濃度の下限値は、0.2倍、0.4倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10倍である。
上記の下限値を超える濃度で亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物を用いても、濃度に見合う効果が得られないことがあり、薬剤使用量が多くなることで経済的に好ましくない。
亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物を過剰量添加することで、後段の処理に悪影響を及ぼすおそれがある場合には、亜硫酸塩、二価の鉄塩、チオ硫酸塩などの還元剤を用いて処理してもよい。
金属化合物の濃度は、シアン含有廃水に含まれるシアンの種類およびその濃度のほかに、シアン含有廃水に元々含まれる金属イオンの種類およびその濃度などの影響を受けるので、これらの条件に応じて適宜決定すればよい。具体的には、処理前(処理直前から約3時間前まで)の金属化合物濃度などを予め測定しておき、この測定値に基づいて、濃度を決定すればよい。
金属化合物の濃度が0.1mg/L未満では、シアン除去の効果が不十分になることがある。一方、金属化合物の濃度が1000mg/Lを超えると、環境に悪影響を与えるだけでなく、経済的にも好ましくない。
シアン含有廃水がマンガンイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンを含有する場合には、その含有量を考慮して、マンガン化合物、鉄化合物、亜鉛化合物、銅化合物の添加量を設定すればよい。
また、本発明のシアン含有廃水の処理方法は、シアン含有廃水中のシアン含有量および金属化合物濃度を予め測定し、測定したシアン含有量に応じた亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物と、測定した金属化合物濃度に応じた金属化合物とを、同時または別々に該廃水に添加するのが好ましい。
本発明において処理対象となるシアン含有廃水としては、製鉄工場、化学工場、メッキ工場、コークス製造工場、金属表面処理工場などから排出される金属のシアン化合物、シアンイオン、シアン錯体、シアノ錯イオン、チオシアン酸イオンなどを含むシアン含有廃水、放射能汚染水の処理工程において排出されるシアン含有廃水、土壌の処理装置から排出されるシアン含有廃水が挙げられる。特に、本発明のシアン含有廃水の処理方法は、コークス炉廃水のような、緩衝作用の強いシアン含有廃水、すなわちアンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水の処理に好適である。
また。本発明のシアン含有廃水の処理方法は、シアン含有廃水がシアン化物イオン、易分解性シアン錯体および難分解性シアン錯体のうちの少なくとも1種を含有する廃水である場合の処理に好適である。
シアン含有廃水は、併用する金属化合物に相当する金属イオンを含有していてもよく、マンガンイオン、鉄イオン、亜鉛イオンおよび銅イオンから選択される1種以上の金属イオンを元々含有するのが好ましい。
シアン含有廃水が添加する金属化合物に相当する金属イオンを元々含有する場合には、廃水中のシアンとの反応によってマンガン塩、鉄塩、亜鉛塩および銅塩のような金属塩をそれぞれ生成して本発明のシアンの除去効果を促進することになり、その含有量を考慮して、金属化合物の添加量を設定すればよい。
金属イオンは、金属種によって種々の価数を取り得るが、本発明では、マンガンイオンは2価、鉄イオンは2価および3価、亜鉛イオンは2価、銅イオンでは1価および2価であるのが好ましい。
シアン含有廃水がマンガンイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、銅イオンを元々含有しない場合、もしくは含有しても低濃度である場合には、上記のようにシアン含有廃水に金属化合物を添加すればよい。その際、金属イオン濃度と金属化合物濃度とは、化合物により換算すればよい。
マンガンイオン濃度が0.1mg/L未満では、シアン除去の促進効果が十分に得られないことがある。一方、マンガンイオン濃度が1000mg/Lを超えると、環境に悪影響を与えるだけでなく、経済的にも好ましくない。
具体的なマンガンイオン濃度(mg/L)は、例えば、0.1、0.5、1.0、2.0、5.0、10、25、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000である。
好ましいマンガンイオン濃度は、0.1~150mg/Lであり、より好ましくは5~100mg/Lである。
鉄イオン濃度が0.1mg/L未満では、シアン除去の促進効果が十分に得られないことがある。一方、鉄イオン濃度が1000mg/Lを超えると、環境に悪影響を与えるだけでなく、経済的にも好ましくない。
具体的な鉄イオン濃度(mg/L)は、例えば、0.1、0.5、1.0、2.0、5.0、10、25、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000である。
好ましい鉄イオン濃度は、0.1~150mg/Lであり、より好ましくは2~100mg/Lである。
亜鉛イオン濃度が0.1mg/L未満では、シアン除去の促進効果が十分に得られないことがある。一方、亜鉛イオン濃度が1000mg/Lを超えると、環境に悪影響を与えるだけでなく、経済的にも好ましくない。
具体的な亜鉛イオン濃度(mg/L)は、例えば、0.1、0.5、1.0、2.0、5.0、10、25、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000である。
好ましい亜鉛イオン濃度は、0.1~150mg/Lであり、より好ましくは5~100mg/Lである。
銅イオン濃度が0.1mg/L未満では、シアン除去の促進効果が十分に得られないことがある。一方、銅イオン濃度が1000mg/Lを超えると、環境に悪影響を与えるだけでなく、経済的にも好ましくない。
具体的な銅イオン濃度(mg/L)は、例えば、0.1、0.5、1.0、2.0、5.0、10、25、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000である。
好ましい銅イオン濃度は、0.1~150mg/Lであり、より好ましくは2~100mg/Lである。
シアン含有廃水は、pH6~9であるのが好ましい。
シアン含有廃水がpH6未満またはpH9を超えると、シアンと併用する化合物との反応が不完全になり、効率的にシアンを除去できないことがある。
処理対象のシアン含有廃水は、通常、pH6~9程度であることからpH調整の必要はないが、必要に応じて、本発明の処理における反応を妨げない酸またはアルカリ、例えば硫酸または水酸化ナトリウムを処理廃水に添加して、pH調整をすればよい。
亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物および金属化合物の添加時、およびこれらの添加された化合物とシアンとの反応時には、シアンの除去効果の点で、混合溶液を撹拌するのが好ましい。この撹拌は、各化合物の添加毎に実施するのが好ましい。
また、撹拌時の反応を促進する意味で、混合溶液は、添加した化合物が分解されない、ある程度加温された状態であるのが好ましく、その液温は20~50℃程度である。
さらに、撹拌時の反応に要する時間は、シアン含有廃水の量、シアンの種類およびその濃度、処理装置の形態およびその規模などにより異なるが、シアンと添加した化合物とが十分に接触するように適宜決定すればよい。通常、撹拌時間は10分以上であればよい。
本発明のシアン含有廃水の処理方法では、本発明の効果を阻害しない範囲で、防錆剤、腐食防止剤、スケール分散剤、スライムコントロール剤などの公知の薬剤を併用してもよい。
また、沈降分離においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、凝集剤を添加してもよい。
本発明の方法において、処理排水をそのまま放流する場合には、全シアン濃度を排水基準値以下に低下させるのに必要な量の化合物を添加すればよいが、処理排水を他の排水で希釈して放流する場合には、希釈後の排水が上記の排水基準値以下になるように化合物を添加すればよい。
試験例1では、表1に示す水質を有するシアン含有廃水A(全シアン30mg/L、錯シアン5mg/L含有、pH8.2)を用いた。
具体的には、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、シアン化カリウム水溶液、塩化カルシウム2水和物、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウムおよび炭酸水素ナトリウムを用いてシアン含有廃水Aを調製した。
一部の試験水には、硫酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を添加して、試験水のpHが表2に示す値になるように調整した。
試験水の調製時に2種の化合物を2段階で添加する場合には残りの1種の化合物を、30分間撹拌後、直ちに添加し、同様に回転数200rpmで30分間撹拌した(実施例1~7、比較例3)。
試験水の調製時に2種の化合物を1段階で(同時に)添加する場合、または1種の化合物のみ添加する場合には、30分間撹拌後、引き続いて同様に回転数200rpmで30分間撹拌した(実施例8、比較例1~2)。
合計60分間の撹拌終了後、試験水中の懸濁物質を濾別し、濾液中の全シアン濃度(T-CN)をJIS K0102に準拠して測定し、各試験水におけるシアン化合物の除去効果を評価した。
この試験においては、亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物を添加しないブランク試験(比較例4)を同時に行った。
得られた結果を、添加化合物、その添加量および添加方法と共に表2に示す。
・pH6~9における亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物としての塩化第一銅もしくは、塩化第二銅もしくは硫酸第二銅の併用処理(実施例1~8)では、亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物の添加順序に関係なく、十分なシアン除去効果が得られること
・これに対して、pH6.5における亜塩素酸ナトリウムまたは金属化合物としての塩化第一銅を用いた単剤処理(比較例1~2)では、十分なシアン除去効果が得られないこと
・亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物としての塩化第一銅の併用処理(実施例1および4~8)では、pH6~9の範囲で十分なシアン除去効果が得られること
・pH6.5における亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物としての塩化第一銅の併用処理(実施例1、5および6)では、金属化合物の濃度が7.8~156mg/Lの範囲で十分なシアン除去効果が得られること
・次亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物としての塩化第一銅の併用処理(比較例3)では、亜塩素酸ナトリウムおよび金属化合物としての塩化第一銅の併用処理(実施例8)と比べて低添加量では十分なシアン除去効果が得られないこと
Claims (5)
- シアン含有廃水に、亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物と、水中でマンガンイオンを生じ得るマンガン化合物、水中で鉄イオンを生じ得る鉄化合物、水中で亜鉛イオンを生じ得る亜鉛化合物および水中で銅イオンを生じ得る銅化合物から選択される1種以上の金属化合物とを併用して、該廃水からシアンを除去することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
- 前記亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物が前記シアン含有廃水中のシアン含有量に対してモル比で少なくとも0.2倍の濃度であり、かつ前記金属化合物が前記シアン含有廃水中において0.1~1000mg/Lの濃度である請求項1に記載のシアン含有廃水の処理方法。
- 前記シアン含有廃水中のシアン含有量および金属化合物濃度を予め測定し、測定したシアン含有量に応じた前記亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物と、測定した金属化合物濃度に応じた前記金属化合物とを、同時または別々に該廃水に添加する請求項1または2に記載のシアン含有廃水の処理方法。
- 前記シアン含有廃水が、pH6~9である請求項1~3のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。
- 前記亜塩素酸塩または該廃水中で亜塩素酸イオンを発生し得る化合物が亜塩素酸ナトリウムであり、かつ前記金属化合物が塩化第一銅、塩化第二銅または硫酸第二銅である請求項1~4のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。
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