JP5943696B2 - 帯電部材、帯電部材の製造方法、電子写真装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

帯電部材、帯電部材の製造方法、電子写真装置およびプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は電子写真装置等に用いられる帯電部材、帯電部材の製造方法、電子写真装置およびプロセスカートリッジに関する。
電子写真装置には、感光体の表面に接触して該表面を帯電させる帯電部材、該感光体の表面に形成された静電潜像にトナー像を形成させる為の現像部材、該感光体に付着したトナーを除去するクリーニング部材等の電子写真用部材が使用されている。
帯電部材としては、感光体と当接ニップを十分に確保する観点から、支持体および該支持体の外周に設けられた弾性層(導電性弾性層)を有するものがある。一般的に、弾性層(導電性弾性層)は、低分子量成分を比較的多量に含むことが多く、この低分子量成分のブリードアウトを抑制するために、弾性層の外周に表面層を設けている。
特許文献1は、バインダーに粒子を添加した表面層形成用のコーティング剤を用いて形成された表面層により、凹凸形状を形成し、帯電部材からの異常放電による細かな横スジ状の画像不良(帯電横スジ)を抑制する技術を開示している。この帯電横スジは、帯電部材から感光体に付与される電荷が不充分であることが原因で生じているものである。しかしながら、種々の粒子を添加したコーティング剤は、粒子の凝集による沈降などにより、保存安定性に課題を有する。
特許文献2は、上記コーティング剤の保存安定性に関わる課題を回避するために、粒子を添加していない絶縁性の表面層を薄膜化する技術を開示している。また特許文献2は、帯電横スジを抑制するために、表面層の電気抵抗値を上げ、且つ薄膜化することで表面層の電気容量を上げ、更に弾性体層の電気抵抗値を下げることで帯電部材の表面層への電荷供給を増加させて、感光体に充分な電荷を付与できるようにしている。
特開2005−345801号公報 特開2009−086263号公報
しかしながら、特許文献2に係る帯電部材を検討した結果、電子写真装置において、クリーニング不良に起因する縦スジ画像が発生する場合があった。この縦スジ画像はクリーニング工程において、転写残の廃トナーがクリーニング部材をすり抜けることによって発生する画像である。この廃トナーのすり抜けはクリーニング部材である弾性ブレードと感光体との摩擦係数が、プリント枚数を重ねることによって徐々に上昇し、弾性ブレードにビビリが生じることにより発生すると考えられる。そして、この摩擦係数の上昇に帯電部材が寄与していることが判明した。
帯電部材は感光体との接触ニップ付近のギャップに発生する放電によって、感光体表面を帯電しており、わずかではあるがO、NO等の放電生成物が発生する。これらの放電生成物や感光体表面の摩耗粉等の物質を帯電部材が感光体表面に圧接、固着させることで、感光体とクリーニング部材との摩擦係数が上昇していると考えられる。そして、この様な感光体表面の摩擦係数の上昇は、特許文献2に記載された帯電部材において顕著に現れた。その原因として、特許文献2に記載された帯電部材は、その表面硬度が低いことにより、帯電部材と感光体との接触面積が大きくなり、感光体表面に摩擦上昇物質を固着させ易いことが考えられた。
そこで本発明の目的は、クリーニング不良の発生しにくい帯電部材およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置およびプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明の一態様によれば、支持体、弾性層および表面層を有している帯電部材であって、該表面層は、Si−O−M結合およびSi−O−Ta結合から選ばれる少なくとも一方の結合、M−O−Ge結合およびTa−O−Ge結合から選ばれる少なくとも一方の結合、並びに、Si−O−Ge結合、を有している高分子化合物を含み、MはTi、ZrおよびHfの群から選ばれるいずれかの元素であり、該高分子化合物は、下記式(1)で示される構成単位と、下記式(2)で示される構成単位と、下記式(3)で示される構成単位および下記式(4)で示される構成単位から選ばれる少なくとも一方の構成単位と、を有し、該帯電部材は、その表面から該弾性層に至る亀裂を有し、該亀裂はその縁部が凸状に盛り上がり、それによって該帯電部材は、該表面が粗面にされていることを特徴とする帯電部材が提供される。
式(1)中、RおよびRは、各々独立に以下の式(5)〜(8)のいずれかを示す。
式(5)〜(8)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25およびR26は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24およびR29〜R32は、各々独立に水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R21、R22、R27およびR28は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基、または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4以上12以下の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0または1を示す。「*」および「**」は、各々、式(1)中のケイ素原子および酸素原子との結合位置を示す。
式(3)中、Mは、Ti、ZrおよびHfの群から選ばれるいずれかの元素を表す。
また、本発明の他の態様によれば、前記帯電部材の製造方法であって、
(i)下記式(13)で示される加水分解性化合物と、下記式(14)〜(17)で示される加水分解性化合物の少なくとも1種と、下記式(18)で示される加水分解性化合物とから合成される加水分解縮合物を含むコーティング剤の塗膜を、支持体の外周に配置された弾性層の外周に形成する工程と、
(ii)該加水分解縮合物のエポキシ基を開裂させて、該加水分解縮合物を架橋させて前記高分子化合物を製造する工程とを有し、
該工程(ii)において前記塗膜が硬化収縮して亀裂を有する表面層を生成させることを特徴とする帯電部材の製造方法が提供される。
式(13)中、R33は、エポキシ基を有する、式(19)〜(22)のいずれかを示し、R34〜R36は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。式(14)〜(18)中、R37〜R57は、各々独立に炭素数1〜9のアルキル基を示す。
式(19)〜(22)中、R58〜R60、R63〜R65、R70、R71、R76およびR77は、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R61、R62、R66〜R69、R74、R75およびR80〜R83は、各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R72、R73、R78およびR79は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n’、m’、l’、q’、s’およびt’は、各々独立に1以上8以下の整数を示す。p’およびr’は、各々独立に4以上12以下の整数を示す。また、「*」は、式(13)中のケイ素原子との結合位置を示す。
更に、本発明の他の態様によれば、前記帯電部材の製造方法であって、
(i)前記式(13)で示される加水分解性化合物と、下記式(23)で示される加水分解性化合物と、前記式(14)〜(17)で示される加水分解性化合物の少なくとも1種と、前記式(18)で示される加水分解性化合物とから合成される加水分解縮合物を含むコーティング剤の塗膜を、支持体の外周に配置された弾性層の外周に形成する工程と、
(ii)該加水分解縮合物のエポキシ基を開裂させることにより、該加水分解縮合物を架橋させて前記高分子化合物を製造する工程とを有し、
該工程(ii)において前記塗膜が硬化収縮して亀裂を有する表面層を生成させることを特徴とする帯電部材の製造方法が提供される。
式(23)中、R84は、アルキル基またはアリール基を示し、R85〜R87は、各々独立に炭化水素基を示す。
更に、本発明の他の態様によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置されている帯電部材とを有する電子写真装置であって、該帯電部材が、上記の帯電部材である電子写真装置が提供される。
更に、本発明のさらに他の態様によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部材とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、該帯電部材が、上記の帯電部材であるプロセスカートリッジが提供される。
本発明によれば、クリーニング不良の発生しにくい帯電部材を得ることができる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置およびプロセスカートリッジを得ることができる。
本発明に係る帯電部材の表面の亀裂の状態を示す模式断面図である。 本発明に係る帯電部材の構成の一例を示す模式図である。 本発明に係る電子写真装置の構成の一例を示す概略図である。 本発明に係る帯電部材の表面に存在する亀裂の断面形状の一例を示す図である。 本発明に係る帯電部材の表面層に使用する材料の粒度分布と弾性率の関係の一例を示す図である。 本発明に係る縮合物の硬化物の29Si−NMRによるスペクトルの一例を示す。 本発明に係る縮合物の硬化物の13C−NMRによるスペクトルの一例を示す。
<帯電部材>
本発明に係る帯電部材は、支持体、該支持体の外周に形成された弾性層、および、該弾性層の外周に形成された表面層を有し、帯電部材の表面が粗面化されたものである。即ち、該帯電部材は、その表面から弾性層に至る亀裂を有し、該亀裂はその縁部が凸状に盛り上がり、それによって帯電部材は、その表面が粗面化されている。
図1は帯電部材の表面が粗面化された一例を示す。図1に示すように、帯電部材は表面層103の表面から弾性層102に亘って亀裂部104を有し、亀裂部の縁部105において表面層および弾性層が共に盛り上がった形状となっている。帯電部材は、感光体に当接した場合、この縁部105が感光体との接触点となり、感光体との接触面積を低減できる。これにより、本発明に係る帯電部材は、感光体表面への摩擦上昇物質の圧接、固着を抑制し、縦スジ画像を抑制していると考えられる。
本発明に係る帯電部材の最も簡単な構成は、支持体の外周に弾性層(導電性弾性層)および表面層の2層を設けた構成であるが、支持体と弾性層との間や弾性層と表面層との間に別の層を1つまたは2つ以上設けてもよい。帯電部材の代表例であるローラ形状の帯電ローラの断面を示した図2において、101は支持体であり、102は弾性層であり、103は表面層である。
図4に、本発明に係る帯電部材の表面形状の一例を示す。図4に示すように、帯電部材の表面に亀裂が存在している。図4上図は、表面層の上方から見た図である。図4下図は、図4上図中の破線部の位置における厚さ方向断面の凹凸状態を示す図である。このときの表面層の厚さは2μmである。亀裂のプロファイルを観察すると、表面から厚さ方向に2μmを超える亀裂が生じており、亀裂が弾性層まで発達していることが分かる。
〔支持体〕
帯電部材の支持体としては、導電性を有していればよく(導電性支持体)、以下のものが挙げられる。鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルで形成されている金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理などの表面処理を施してもよい。
〔弾性層〕
弾性層には、従来の帯電部材の弾性層(導電性弾性層)に用いられているゴムなどの弾性体を1種または2種以上用いることができる。ゴムとしては以下のものが挙げられる。ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、アクリロニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびアルキルエーテルゴム。
また、弾性層には、導電剤を適宜使用することによって、その導電性を所定の値にすることができる。弾性層の電気抵抗値は、導電剤の種類および使用量を適宜選択することによって調整することができ、その電気抵抗値の好適な範囲は10〜10Ωであり、より好適な範囲は10〜10Ωである。
また、弾性層用の導電剤として、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、および、熱分解カーボンなどの導電性のカーボンを用いることもできる。ゴム用カーボンとして以下のものが挙げられる。Super Abrasion Furnace(SAF:超耐摩耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF:準超耐摩耗性)、High Abrasion Furnace(HAF:高耐摩耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF:良押し出し性)、General Purpose Furnace(GPF:汎用性)、Semi Reinforcing Furnace(SRF:中補強性)、Fine Thermal(FT:微粒熱分解)およびMedium Thermal(MT:中粒熱分解)。
また、弾性層用の導電剤として、天然グラファイトおよび人造グラファイトの如きグラファイトを用いることもできる。
弾性層には、無機または有機の充填剤や架橋剤を添加してもよい。充填剤としては、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウムおよび硫酸アルミニウムが挙げられる。架橋剤としては、イオウ、過酸化物、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤が挙げられる。
弾性層の硬度は、帯電部材と被帯電体である感光体とを当接させた際の帯電部材の変形を抑制する観点から、MD−1で50度以上85度以下であることが好ましく、特には60度以上80度以下であることがより好ましい。MD−1が上記範囲内であれば、表面層用塗膜の硬化収縮を利用して、弾性層の亀裂深さをより制御し易くなる。またMD−1が85度より大きいと、帯電部材と感光体を当接した際の当接圧が高過ぎるために、長期間の使用中において、トナーや外添剤等が感光体に押し付けられて固着が生じ易くなる。
弾性層の表面粗さ(Rz)も表面層用塗膜を硬化収縮させて亀裂を形成する際に影響を及ぼす。この表面粗さ制御は、研磨工程を経て達成される。また、この表面粗さ制御は、上述したように弾性層の硬度でも制御可能であり、また研磨条件(砥石回転数、ワーク回転数、切り込み速度、研削時間等)、砥石の種類でも制御可能である。一般的に、同一条件で研磨すると、MD−1が小さいとRzが大きくなる傾向にあり、逆にMD−1が大きいとRzが小さくなる傾向にある。
この表面粗さRzは、3.0μm以上12.0μm以下が好ましい。更に5.0以上10.0μm以下が好ましい。表面粗さRzを前記範囲とすることで、表面層用塗膜の硬化収縮による亀裂をより安定に形成することができる。
弾性層は、上記の弾性体の原料を密閉型ミキサー等で混合して、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形等の公知の方法により支持体の外周に形成される。尚、弾性層は必要に応じて接着剤を介して支持体の外周に接着される。形成された弾性層は必要に応じて加硫処理される。加硫温度を急速に立ち上げると、加硫反応による加硫促進剤等の揮発性副生成物がガス化してボイドの要因となる。従って、加熱ゾーンを2つに分けて、第1ゾーンを加硫温度より低い状態に保持する事で、ガス成分を十分抜いた後に、第2ゾーンで加硫を行うことが好ましい。
〔表面層〕
表面層は、Si−O−M結合とSi−O−Ta結合の少なくとも一種の結合と、M−O−Ge結合とTa−O−Ge結合の少なくとも一種の結合と、Si−O−Ge結合とを有している高分子化合物を含む。また、当該高分子化合物は、下記式(1)及び式(2)で示される構成単位を有すると共に、式(3)及び式(4)で示される構成単位の少なくとも一種の構成単位を有している。尚、Mは、Ti、ZrおよびHfの群から選ばれるいずれかの元素である。
式(1)中、RおよびRは、各々独立に以下の式(5)〜(8)のいずれかを示す。
式(5)〜(8)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25およびR26は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24およびR29〜R32は、各々独立に水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R21、R22、R27およびR28は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基、または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4以上12以下の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0または1を示す。「*」および「**」は、各々、式(1)中のケイ素原子および酸素原子との結合位置を示す。
式(3)中、Mは、Ti、ZrおよびHfの群から選ばれるいずれかの元素を表す。
前記高分子化合物において、式(1)中のR及びRは、以下の式(9)〜(12)のいずれかで示されるものであることが好ましい。この場合、有機鎖があることで、表面層の弾性率の制御が可能となる。また、有機鎖の構造として、エーテル部位が存在すると、弾性層との密着性が向上するため、好ましい。
式(9)〜(12)中、N、M、L、Q、SおよびTは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。x’およびy’は、各々独立に0または1を示す。「*」および「**」は、各々、式(1)中のケイ素原子および酸素原子との結合位置を示す。
前記高分子化合物における、M、Ta及びGeの総和とケイ素との原子数比(M+Ta+Ge)/Siは、0.10以上12.50以下であることが好ましい。0.50以上10.00以下であることがより好ましい。0.10以上12.50以下であれば、表面層を高弾性にすることができる。また、前記範囲において、MもしくはTaとGeの原子数比を調整することにより、表層の高弾性率化と、フレキシビリティーとのバランスをとることができる。MもしくはTaの比率を高くした場合、弾性率の高い表面層となり、感光体との接触面積をより低減できる。さらに、Geを含むことにより、靭性が向上するため、感光体との当接、回転の繰り返しにより受ける応力に起因する表面層の強度の低下を抑制し、長期使用においても感光体との接触面積を制御することができる。
前記高分子化合物が、式(13)で示される構造を有する加水分解性化合物、式(14)〜(17)で示される構造を有する加水分解性化合物の少なくとも1種、及び式(18)で示される加水分解性化合物との架橋物であることが好ましい。このような架橋物は、架橋物の生成時の硬化収縮によって表面層に亀裂を生じさせることができる。また、帯電部材の表面の材料組成は充填材や粒子を含まない単一系で構成可能である。さらには、表面層の厚さを薄くすることが可能である。
式(13)中、R33は、エポキシ基を有する、式(19)〜(22)のいずれかを示し、R34〜R36は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。式(14)〜(18)中、R37〜R57は、各々独立に炭素数1〜9のアルキル基を示す。
式(19)〜(22)中、R58〜R60、R63〜R65、R70、R71、R76およびR77は、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R61、R62、R66〜R69、R74、R75およびR80〜R83は、各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R72、R73、R78およびR79は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n’、m’、l’、q’、s’およびt’は、各々独立に1以上8以下の整数を示す。p’およびr’は、各々独立に4以上12以下の整数を示す。また、「*」は、式(13)中のケイ素原子との結合位置を示す。
以下に、式(14)で示される構造を有する加水分解性チタン化合物の具体例を示す。チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウムn−プロポキシド、チタニウムi−プロポキシド、チタニウムn−ブトキシド、チタニウムt−ブトキシド、チタニウムi−ブトキシド、チタニウムn−ノニルオキシド、チタニウム2−エチルヘキソキシド。
以下に、式(15)で示される構造を有する加水分解性ジルコニウム化合物の具体例を示す。ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムi−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウム2−エチルヘキソキシド。
以下に、式(16)で示される構造を有する加水分解性ハフニウム化合物の具体例を示す。ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−プロポキシド、ハフニウムi−プロポキシド、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムt−ブトキシド、ハフニウム2−エチルヘキソキシド。
以下に、式(17)で示される構造を有する加水分解性タンタル化合物の具体例を示す。タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルi−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルt−ブトキシド、タンタル2−エチルヘキソキシド。
以下に、式(18)で示される構造を有する加水分解性ゲルマニウム化合物の具体例を示す。ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムi−プロポキシド、ゲルマニウムn−ブトキシド。
以下に、式(19)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。4−(1,2−エポキシブチル)トリメトキシシラン、4−(1,2−エポキシブチル)トリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリメトキシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシラン、8−オキシラン−2−イルオクチルトリメトキシシラン、8−オキシラン−2−イルオクチルトリエトキシシラン。
以下に、式(20)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
以下に、式(21)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン。
以下に、式(22)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルオキシプロピルトリエトキシシラン。
更に、前記高分子化合物が、式(13)で示される構造を有する加水分解性化合物と、式(14)〜式(17)で示される構造を有する加水分解性化合物の少なくとも1種、式(18)で示される加水分解性化合物、及び下記式(23)で示される構造を有する加水分解性化合物との架橋物であることが好ましい。
式(23)中、R84は、アルキル基またはアリール基を示し、R85〜R87は、各々独立に炭化水素基を示す。
以下に、式(23)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン。
式(23)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合、R84が炭素数6〜10の直鎖状のアルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、R84がフェニル基を有する加水分解性シラン化合物を組み合わせることが好ましい。この場合は、加水分解・縮合反応によりモノマー構造が変化しても溶媒への相溶性が良好である。
金属元素Mは、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれるいずれかの元素である。金属アルコキシドの金属原子の種類と帯電部材の表面粗面化の程度との関係を比較すると、Ti<Zr<Hf<Taの順に大きくなる傾向にあることがわかった。また、金属アルコキシドの金属原子の種類と表面層の弾性率との関係を比較すると、Ti<Zr<Hf<Taの順に大きくなる傾向にあることがわかった。まだ明確になっていないが、金属アルコキシドの反応速度の差、あるいは金属原子の価数が反映しているものと推測している。例えば、各金属アルコキシドとSiアルコキシドの加水分解縮合物からなる微粒子、及びその膜物性を比較したところ、図5に示すように、合成中に生じる微粒子の大きさが金属種により異なっており、Hf<Ta<Zr<Tiの順に大きくなる傾向にあることがわかった。これは、塗膜の硬化過程の際に、微粒子の大きさが膜(表面層)の緻密性を決定し、これがそのまま膜の弾性率へ影響しているものと推測される。つまり、緻密になる程、塗膜の硬化収縮の程度が大きく、この大小関係がそのまま表面割れ、つまり硬化収縮への影響を示しており、亀裂の縁部の凸状の盛り上がり方に影響を及ぼすことが考えられる。
また、Taの微粒子に関しては5価のアルコキシドから調製するため、Ti、Zr、Hf等の4価のアルコキシドに比べて、硬化収縮の反応点が多いため、膜の緻密性が高く、弾性率が高くなっていると考察している。一方、Geは微粒子の大きさが、Tiなどの微粒子と比較して大きいことから、表面層に適度なフレキシビリティーを付与していることが考えられる。
よって、Ti、Zr、HfおよびTaの微粒子の少なくとも一種とGeの微粒子を含む塗膜が硬化収縮した表面層は、帯電部材の表面を粗面化し、かつ感光体との当接および回転による繰り返しの応力による強度の低下を抑制したものとなる。これにより、長期使用においても感光体との接触面積を制御できるものと考えている。
表面層の膜厚としては、弾性層からの低分子量成分のブリードアウトの抑制、および、表面層における亀裂に由来する表面の粗面化の促進の観点から、0.10〜2.50μm、特には0.15〜2.00μmとすることが好ましい。
本発明の帯電部材は、塗膜の硬化収縮によって生じた、その表面から弾性層に至る亀裂を有し、該亀裂はその縁部が凸状に盛り上がり、それによって帯電部材は、表面が粗面にされている。
帯電部材の表面粗さRz、Ryは亀裂の大きさを反映した値となる。帯電部材による感光体表面への固着を抑制することと、感光体を均一に帯電することを両立させる観点から、帯電部材の表面粗さRzは5μm以上25μm以下であることが好ましい。7μm以上22μm以下であることがより好ましく、更に10μm以上20μm以下であることがより一層好ましい。
また、架橋反応の際、架橋効率の向上の観点から、光重合開始剤であるカチオン重合開始剤を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合開始剤としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
その他のカチオン重合開始剤としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物が挙げられる。
各種カチオン重合開始剤の中でも、感度、安定性および反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記化学式(24)で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、(株)アデカ製)や、下記化学式(25)で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)が好ましい。
また、光重合開始剤であるカチオン重合開始剤の添加量は、加水分解性縮合物100質量部に対して、1.0〜3.0質量部添加することが好ましい。この範囲内であれば硬化特性、光重合開始剤の溶解性が良好となる。
〔帯電部材の製造方法〕
以下に、本発明の帯電部材の製造方法を例示する。本発明の帯電部材の「製法例1」は、式(13)の化合物、式(14)〜(17)の化合物の少なくとも1種、及び式(18)で示される化合物を用いて製造する方法である。また本発明の帯電部材の「製法例2」は、式(13)の化合物、式(23)の化合物、式(14)〜(17)の化合物の少なくとも1種、及び式(18)で示される化合物を用いて製造する方法である。
前記製法例1においては、
(i)前記式(13)で示される加水分解性化合物と、前記式(14)〜(17)で示される加水分解性化合物の少なくとも1種と、前記式(18)で示される加水分解性化合物から合成される加水分解縮合物を含むコーティング剤の塗膜を、支持体の外周に配置された前記弾性層の外周に形成する工程と、
(ii)該加水分解縮合物のエポキシ基を開裂させて、該加水分解縮合物を架橋させて前記高分子化合物を製造する工程を有し、
該工程(ii)において前記塗膜が硬化収縮して亀裂を有する表面層を生成させる。尚、製法例2の場合は、前記工程(i)において一般式(13)の加水分解性化合物の代わりに、前記一般式(13)と(23)の加水分解性化合物の混合物が使用される。
工程(i)においては、加水分解性シラン化合物に水とアルコールを添加し、加熱還流により加水分解・縮合を行って縮合物中間体を得る(第1段階反応)。得られた縮合物中間体(液体)に対して、前記式(14)〜(17)で示される構造を有する加水分解性化合物の少なくとも1種、及び前記式(18)で示される加水分解性化合物を添加して加水分解・縮合を行って最終的な縮合物を得る(第2段階反応)。
このように、2段階の合成反応を経るのは、式(13)の加水分解性化合物、あるいは式(13)と式(23)の加水分解性化合物との組み合わせによる反応速度と、式(14)〜(18)の加水分解性化合物の反応速度が異なるためである。前記式(14)〜(18)の化合物の反応速度は非常に速い。(M+Ta+Ge)/Si比が0.10〜0.30程度であれば、加水分解・縮合反応を2段階に分割しなくても反応は円滑に進行する。しかし、(M+Ta+Ge)/Si比が0.30を超えると、前述した反応速度の差により前記式(14)〜(18)の加水分解性化合物のみが選択的に反応し、白濁・沈殿が生じ易い。そのため、上記したように、2段階の合成反応を経ることが好ましい。
次に、第2段階反応で得られた縮合物(液体)に対して、前記光重合開始剤を添加する。その後、上記工程(ii)を経て、本発明に係る表面層を形成することができる。
上記工程(i)において、縮合物中間体を調製する際の加水分解性シラン化合物に対する水の添加量の割合WR(モル比)は、3以上6.0以下であることが好ましい。
WRの値は1.2以上3.0以下がより好ましい。水の添加量が上記範囲内であれば、合成時の縮合の程度を制御し易くなる。また縮合速度も制御し易く、コーティング剤のライフの安定化にも効果がある。
また、表面層形成用塗料を調製する際のアルコールとして、第1級アルコールのみ、第1級アルコールと第2級アルコールの混合系、または第1級アルコールと第3級アルコールの混合系を用いることが好ましい。特にエタノール単独系、メタノール/2−ブタノール混合系、エタノール/2−ブタノール混合系が好ましい。
次に、得られた表面層形成用塗料を適正な粘度に調整し、支持体の外周に形成された弾性層を有する部材の外周に塗布する。表面層形成用塗料を調製する際は、塗布性の向上のために、合成に使用した溶剤以外に、揮発性を考慮した適当な溶剤を用いても良い。適当な溶剤としては、2−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。
また、表面層形成用塗料を弾性層上に塗布する際には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布などを採用することができる。特にリング塗布は、短時間で塗工可能で、周方向、長手方向の表面層の膜厚の均一性が高い。また、表面層形成用塗料の使用量を少なくすることが可能であるため、環境負荷軽減の観点からも好ましい。
次に、弾性層上に塗布された表面層形成用塗料の塗膜に対して活性エネルギー線を照射して、塗膜中に含まれるカチオン重合可能な基、例えば、エポキシ基等を開裂させる。これによって、該塗膜中の縮合物同士が架橋し、塗膜が硬化して、本発明に係る表面層が形成される。
活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。架橋反応を紫外線によって行えば、熱履歴による弾性層の劣化を抑制し、弾性層の電気的特性の低下を抑制することができる。紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、又はエキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150〜480nmの光を豊富に含む紫外線源が用いられる。なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm]=紫外線強度[mW/cm]×照射時間[s]
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離で行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254を用いて測定することができる。エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172を用いて測定することができる。
<電子写真装置およびプロセスカートリッジ>
図3に、本発明の帯電部材を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。この電子写真装置は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される円筒状の感光体1を有する。感光体は支持体、支持体上に形成された感光層、電荷注入層、表面層等を有するものであってもよい。
回転駆動される感光体の表面は、帯電部材3により、正又は負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光の露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受け、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。
帯電部材による感光体の表面の帯電の際、帯電部材には、電圧印加手段(不図示)から直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。
感光体の表面に形成された静電潜像は、現像手段5に設けられる現像ローラにより現像剤が供給され反転現像又は正規現像されてトナー像となる。次いで、感光体の表面のトナー像は、転写ローラ6に印加される転写バイアスによって、感光体と転写ローラとの間に感光体の回転と同期して搬送された紙等の転写材Pに順次転写される。転写材Pに転写されたトナー像は、定着手段8によって転写材P上に定着される。また、トナー像を転写材Pに転写させた後の感光体の表面は、クリーニングブレード等のクリーニング手段7によって転写残りの現像剤(トナー)が除去され清浄面化され、さらに前露光手段からの前露光光により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。帯電手段が接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
感光体、帯電部材、現像手段、及びクリーニング手段を一体化してプロセスカートリッジ9とし、電子写真装置本体のレール等の案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱可能な構造としている。上記部材の他、転写手段等から適宜選択してカートリッジ化し、電子写真装置本体に着脱可能とすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。先ず、実施例に先立って、導電性弾性ローラの作製及び評価ついて説明する。
<1.導電性弾性ローラ1の作製>
表1に示す量の成分(1)を6Lニーダーで20分間混練し、次いで表1に示す量の成分(2)を加え、オープンロールでさらに8分間混練することによって、未加硫ゴム組成物を得た。
次に、直径6mm、長さ252mmの円柱形の鋼製の支持体(表面をニッケルメッキ加工したもの)の円柱面の軸方向中央を挟んで両側115.5mmまでの領域(あわせて軸方向幅231mmの領域)に、金属およびゴムを含む熱硬化性接着剤(商品名:メタロックN−33、(株)東洋化学研究所製)を塗布し、これを30分間、温度80℃で乾燥させた後、さらに1時間、温度120℃で乾燥させた。
次に、クロスヘッド押出機を使用して、上記接着層付き支持体上に未加硫ゴム組成物を同軸状に外径8.75〜8.90mmの円筒形に押出し、端部を切断して、支持体の外周に未加硫ゴム組成物の層(長さ252mm)を形成した。押出機はシリンダー径70mm、L/D=20の押出機を使用し、押出時の温度条件はヘッドの温度を90℃とし、シリンダーの温度を90℃とし、スクリューの温度を90℃とした。
次に異なる温度設定にした2つのゾーンをもつ連続加熱炉を用いて加硫した。第1ゾーンを温度80℃に設定して30分間で通過させ、第2ゾーンを温度160℃に設定して30分間で通過させ、未加硫ゴム組成物の層を加硫し、弾性層とした。
次いで、弾性層の両端を切断し、弾性層の軸方向幅を232mmとした。その後、弾性層の部分の表面を回転砥石で研磨して、端部直径8.26mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状を有する導電性弾性ローラ1を得た。
〔評価1:導電性弾性ローラの評価〕
導電性弾性ローラ1について、その表面の十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(Ry)、及び硬度(MD−1)を評価した。結果を表2に示す。十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(Ry)は、JISB0601(1994)に準拠して測定した。測定条件は、評価長さ8.0mm、カットオフ値0.8mm、送り速度0.5mm/s、フィルター特性2CRを用いた。
<2.導電性弾性ローラ2及び3の作製及び評価>
RzおよびRyを表2に示す値となるように弾性層の研磨条件を変更したこと以外は、導電性弾性ローラ1と同様にして弾性ローラ2及び3を作製した。得られた導電性弾性ローラを評価(1)に供し、所定のRzおよびRyとなっていることを確認した。
<3.導電性弾性ローラ4の作製及び評価>
表1に記載の成分(1)を、表1に記載の成分(3)に変更したこと以外は導電性弾性ローラ1と同様にして導電性弾性ローラ4を作製し、評価(1)に供した。
<4.導電性弾性ローラ5の作製及び評価>
表1に記載の成分(1)を、表1に記載の成分(4)に変更したこと以外は導電性弾性ローラ1と同様にして導電性弾性ローラ5を作製し、評価(1)に供した。
導電性弾性ローラ1〜5について、評価(1)の結果を表2に示す。
(実施例1−1)
<1.縮合物1−1の調製>
〔第1段階反応〕
縮合物の合成に使用した原料の一覧を表7に示す。エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(EP−1)[商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製]11.56g(0.049mol)、ヘキシルトリメトキシシラン(He)[商品名:KBM−3063、信越化学工業(株)製]62.11g(0.301mol)を300mlのナスフラスコに入れた。次にエタノール(EtOH)、[キシダ化学(株)特級]91.87gをナスフラスコに追加した。
更にフットボール型攪拌子(全長45mm、径20mm)を入れ、室温で、回転数500rpmで1分間スターラー上で攪拌し、内容物を混合した。更にスターラーの回転数を900rpmに変更し、イオン交換水(pH=5.5)11.34gを滴下しながら添加した。合成時の固形分は、28.00質量%であった。
温度暴走防止機構付きスターラー上に、120℃に設定したオイルバスを設置し、このオイルバス中に上記フラスコを置き、回転数750rpmとした。フラスコ内容物は20分後に120℃に到達し、20時間加熱還流を行うことによって、第1段階反応を行い、縮合物中間体1を得た。
〔第2段階反応〕
縮合物中間体1を167.39g、300mlのナスフラスコに入れた。更にチタニウムi−プロポキシド(Ti−1)[(株)高純度化学研究所製]4.25g、ゲルマニウムエトキシド[(株)Gelest製]4.62gを300mlのナスフラスコに入れ、室温で3時間攪拌して、縮合物1−1を合成した。
<2.表面層形成用塗料1−1の調製及び評価>
縮合物1−1を用いて以下の手順で、表面層形成用塗料1−1を調製した。初めにアルミニウム製の計量カップの質量(A)を測定した。この計量カップを用いて、縮合物1−1を精密天秤で秤量した。このときの値を質量(B)とする。次いで、縮合物1−1が入った上記計量カップを、温度200℃のオーブン中に30分間入れ、縮合物1−1の水分を蒸発させた。その後、精密天秤を用いて、計量カップの質量を測定した。このときの値を質量(C)とする。上記質量(A)〜(C)を用いて、下記(数式2)により、縮合物1−1の固形分を算出した。
次に、光カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩[商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業(株)製]を、エタノール中の濃度が10質量%となるように調製した。また、縮合物1−1にエタノールを加えて、固形分濃度を7.2質量%に調整した。そこに、上記光カチオン重合開始剤のエタノール希釈液を、縮合物1−1の固形分100質量部に対して、光カチオン重合開始剤の液量が3.0質量部となるように添加した。これを表面層形成用塗料1−1とした。
〔評価(2):表面層形成用塗料1−1の安定性評価〕
表面層形成用塗料1−1を透明なビーカーに入れて放置し、当該塗料の白濁、沈殿の状態を目視にて観察し、下記表3の基準に基づき評価した。
〔評価(3):縮合物1−1の硬化膜の化学構造評価〕
縮合物1−1の硬化膜中に式(1)で示される構造の有無の確認を以下の方法により行った。
まず、厚さが100μmのアルミニウム製シートの脱脂した表面に、表面層形成用塗料1−1をスピンコートした。スピンコート装置としては、1H−D7(商品名、ミカサ(株)製)を用いた。スピンコートの条件としては、回転数を300rpm、回転時間を2秒間とした。表面層形成用塗料1−1の塗膜を乾燥させた後、当該塗膜に対して、波長が254nmの紫外線を照射し、当該塗膜を硬化させた。当該塗膜が受ける紫外線の積算光量は、9000mJ/cmとした。なお、紫外線の照射には、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製)を用いた。
次いで、硬化膜をアルミニウム製シートから剥離し、メノウ製の乳鉢を用いて粉砕し、NMR測定用試料を調製した。この試料を核磁気共鳴装置(商品名:JMN−EX400、JEOL社製)を用いて29Si−NMRスペクトル、および、13C−NMRスペクトルを測定した。
29Si−NMRスペクトルを図6に示す。同図内にスペクトルを波形分離したピークを同時に示した。−64ppm〜−74ppm付近のピークがT成分を示す。ここでT成分とは、有機官能基との結合を1つ有するSiが、Oを介して他の原子(Si、B)との結合を3つ有する状態、つまり−SiO3/2を示す。図6より、エポキシ基を含む有機鎖を持つ加水分解性シラン化合物が縮合し、−SiO3/2の状態で存在する種があることを確認した。
また13C−NMRスペクトルを図7に示す。開環前のエポキシ基を示すピークは44ppm、51ppm付近に現れ、開環重合後のピークは69ppm、72ppm付近に現れる。図7より未開環のエポキシ基がほとんど残存せずに重合していることを確認した。
以上の29Si−NMR測定および13C−NMR測定により、式(1)の構造が縮合物1−1の硬化物中に存在していることを確認した。
〔評価(4):縮合物1−1の硬化膜の弾性率〕
以下の方法によって、弾性率測定用のサンプルを調製した。すなわち、厚さ100μmのアルミニウム製シート上に、表面層形成用塗料1−1をスピンコート装置(1H−D7、ミカサ(株))を用い、回転数300rpm、2秒間で膜を形成した。表面層形成用塗料1−1中の固形分濃度が、約7質量%の場合、上記の方法によって、約5.0μmの厚さの塗膜を形成することが出来る。なお、硬化膜の膜厚を、後述する物性試験に供し得るための十分な厚さとするために、スピンコートを複数回行っても良い。
当該塗膜を乾燥させた後、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射することによって、硬化させて、膜物性測定用のサンプルを調製した。なお、紫外線の照射には、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製)を用いた。
表面被膜物性試験機(商品名:フィッシャースコープH100V;フィッシャーインストルメンツ社製)を用い、圧子を上記サンプルの表面から0.5μm/7sで進入させたときに測定される値を、縮合物1−1の硬化膜の弾性率とした。
<3.帯電ローラ1−1の作製および評価>
導電性弾性ローラ1の導電性弾性層の周面に、表面層形成用塗料1−1をリング塗布(吐出量:0.120ml/s、リング部のスピード:85mm/s、総吐出量:0.130ml)した。これに、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射し、硬化(架橋反応による硬化)させることによって表面層を形成した。紫外線の照射には低圧水銀ランプ[ハリソン東芝ライティング(株)製]を用いた。こうして帯電ローラ1−1を得た。
〔評価(5):表面層形成用塗料1−1の塗工性の評価〕
帯電ローラ1−1の表面の外観状態を目視にて下記表4の基準で判断し、表面層形成用塗料1−1の塗工性を評価した。
〔評価(6):表面層の膜厚〕
表面層の膜厚を以下のようにして測定した。すなわち、表面層の膜厚の測定には、帯電ローラ1−1の軸方向の中央部において、周方向の4箇所をサンプリングし、表面層の深さ方向の断面を、走査型電子顕微鏡(商品名:HD−2000、(株)日立製作所製)を用いて、加速電圧5kV〜20kV、倍率10000倍で観察し、計測した。
〔評価(7):帯電ローラ表面の亀裂の評価〕
カラー3Dレーザー顕微鏡(商品名:VK−8700(株)キーエンス製)を用いて、倍率1000倍(対物レンズ50倍)で帯電ローラ1−1の表面を観察した。表面粗さ(Rz、Ry)に関しては、解析ソフト VK Analzerを用いて評価した。
〔評価(8):Si−O−Ti結合、Si−O−Ge結合、およびTi−O−Ge結合の確認〕
帯電ローラ1−1の表面層内のSi−O−Ti結合等の存在をESCA(商品名:Quantum2000、アルバックファイ社)を用いて確認した。すなわち、帯電ローラの表面にX線が照射されるようにし、表面層内の結合様式を評価した。検出されたO1sスペクトルより、帯電ローラの表面層内にSi−O−Ti結合、Si−O−Ge結合、およびTi−O−Ge結合の存在が確認された。
〔評価(9):画像評価〕
電子写真装置として、レーザービームプリンター(商品名:HP LaserJet P1505 Printer、HP社製)を用意した。このレーザービームプリンターは、A4サイズの紙を縦方向に出力可能である。また、このレーザープリンターのプリントスピードは23枚/分であり、画像解像度は600dpiである。上記レーザービームプリンター用のプロセスカートリッジ(商品名:「HP 36A(CB436A)」、HP社製)に帯電ローラ1−1を組み込み、そのプロセスカートリッジを上記レーザービームプリンターに装填した。
このレーザービームプリンターを用いて、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)環境の下で、A4サイズの紙上にサイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字を、印字率が1%となるように印字する画像を1000枚形成した。なお、電子写真画像の形成は、1枚出力する毎に7秒間かけて電子写真感光体の回転を停止させる、いわゆる、間欠モードで行った。こうして得られた1000枚目の電子写真画像を目視で観察し、下記表5の基準で評価した。
(実施例1−2)〜(実施例1−36)
<1.縮合物中間体2〜7の調製>
下記表6に記載の組成としたこと以外は実施例1−1に係る縮合物中間体1と同様にして縮合物中間体2〜7を調製した。なお、表6において、記号「EP−1」〜「EP−4」、「He」および「Ph」は、各々表7に記載の化合物を表している。
<2.縮合物1−2〜1−31の調製>
表8−1に記載の組成としたこと以外は実施例1に係る縮合物1−1と同様にして縮合物1−2〜1−31を合成した。
<3.表面層形成用塗料1−2〜1−31の調製及び評価>
縮合物1−2〜1−31を用いたこと以外は、表面層形成用塗料1−1と同様にして表面層形成用塗料1−2〜1−31を調製した。これらを評価(2)〜(4)に供した。表面層形成用塗料1−1〜1−31について、評価(2)〜(4)の結果を表8−2に示す。
<4.帯電ローラ1−2〜1−30の作製及び評価>
表面層形成用塗料1−2〜1−30を用いたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ1−2〜1−30を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<5.帯電ローラ1−31、及び1−32の作製及び評価>
表面層形成用塗料1−31を用いたこと、および、表面層の膜厚を2.00μmまたは0.50μmとしたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ1−31および1−32を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<6.帯電ローラ1−33〜1−36の作製及び評価>
導電性弾性ローラ−2、3、4または5を用いたこと以外は帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ1−33〜1−36を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
実施例1−1〜1−36に係る帯電ローラ1−1〜1−36について、評価(5)〜(9)の結果を表8−3に示す。
(実施例2−1)〜(実施例2−36)
<1.縮合物2−1〜2−31の調製>
表9−1に記載の組成としたこと以外は実施例1に係る縮合物1−1と同様にして縮合物2−1〜2−31を合成した。
<2.表面層形成用塗料2−1〜2−31の調製及び評価>
縮合物2−1〜2−31を用いたこと以外は、表面層形成用塗料1−1と同様にして表面層形成用塗料2−1〜2−31を調製した。これらを評価(2)〜(4)に供した。評価結果を表9−2に示す。
<2.帯電ローラ2−1〜2−30の作製及び評価>
表面層形成用塗料2−1〜2−30を用いたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ2−1〜2−30を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<3.帯電ローラ2−31、2−32の作製及び評価>
表面層形成用塗料2−31を用いたこと、および、表面層の膜厚を2.00μmまたは0.50μmとしたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ2−31および2−32を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<4.帯電ローラ2−33〜2−36の作製及び評価>
導電性弾性ローラ−2、3、4または5を用いたこと以外は帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ2−33〜2−36を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
実施例2−1〜2−36に係る帯電ローラ2−1〜2−36について、評価(5)〜(9)の結果を表9−3に示す。
(実施例3−1)〜(実施例3−36)
<1.縮合物3−1〜3−31の調製>
表10−1に記載の組成としたこと以外は実施例1に係る縮合物1−1と同様にして縮合物3−1〜3−31を合成した。
<2.表面層形成用塗料3−1〜3−31の調製及び評価>
縮合物3−1〜3−31を用いたこと以外は、表面層形成用塗料1−1と同様にして表面層形成用塗料3−1〜3−31を調製した。これらを評価(2)〜(4)に供した。その評価結果を表10−2に示す。
<3.帯電ローラ3−1〜3−30の作製及び評価>
表面層形成用塗料3−1〜3−30を用いたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ3−1〜3−30を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<4.帯電ローラ3−31、3−32の作製及び評価>
表面層形成用塗料3−31を用いたこと、および、表面層の膜厚を2.00μmまたは0.50μmとしたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ3−31および3−32を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<5.帯電ローラ3−33〜3−36の作製及び評価>
導電性弾性ローラ−2、3、4または5を用いたこと以外は帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ3−33〜3−36を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
実施例3−1〜3−36に係る帯電ローラ3−1〜3−36について、評価(5)〜(9)の結果を表10−3に示す。
(実施例4−1)〜(実施例4−36)
<1.縮合物4−1〜4−31の調製>
表11−1に記載の組成としたこと以外は実施例1に係る縮合物1−1と同様にして縮合物4−1〜4−31を合成した。
<2.表面層形成用塗料4−1〜4−31の調製及び評価>
縮合物4−1〜4−31を用いたこと以外は、表面層形成用塗料1−1と同様にして表面層形成用塗料4−1〜4−31を調製した。これらを評価(2)〜(4)に供した。その評価結果を表11−2に示す。
<3.帯電ローラ4−1〜4−30の作製及び評価>
表面層形成用塗料4−1〜4−30を用いたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ4−1〜4−30を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<4.帯電ローラ4−31、4−32の作製及び評価>
表面層形成用塗料4−31を用いたこと、および、表面層の膜厚を2.00μmまたは0.50μmとしたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ4−31および4−32を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
<5.帯電ローラ4−33〜4−36の作製及び評価>
導電性弾性ローラ−2、3、4または5を用いたこと以外は帯電ローラ1−1と同様にして帯電ローラ4−33〜4−36を作製し、評価(5)〜(9)に供した。
実施例4−1〜4−36に係る帯電ローラ2−1〜2−36について、評価(5)〜(9)の結果を表11−3に示す。
(比較例1)
<1.表面層形成用塗料C−1の調製及び評価>
縮合物1−1を、縮合物中間体4に変更したこと以外は、表面層形成用塗料1−1と同様にして表面層形成用塗料C−1を調製し、評価(2)〜(4)に供した。評価結果を表12−1に示す。
<2.帯電ローラC−1〜C−3の作製および評価>
また、表面層形成用塗料C−1を用いたこと以外は、帯電ローラ1−1と同様にして表面層の膜厚が0.5μm、1.00μmおよび2.00μmである帯電ローラC−1〜C−3を作製し、評価(5)〜(9)に供した。評価結果を表12−2に示す。
(比較例2)〜(比較例6)
下記表13に記載の組成としたこと以外は、実施例1に係る第1段階反応と同様にして加水分解、縮合反応を行って、比較例2〜6に係る縮合物C−2〜C−6を調製した。なお、実施例1に係る第2段階反応は行っていない。その結果、いずれの縮合物も、調製中に白濁・沈殿が生じた。次に、得られた各縮合物を用いたこと以外は、表面層形成用塗料1−1と同様にして表面層形成用塗料C−2〜C−6を調製しようとしたところ、縮合物に生じた白濁・沈殿のために、表面層形成用塗料の調製ができなかった。なお、表13において、記号「Ti−1」、「Zr−1」、「Hf−1」、「Ta−1」および「Ge」は、各々表7に記載の化合物を表している。
101 支持体
102 弾性層
103 表面層
104 亀裂
1 感光体
2 軸
3 帯電部材
4 像露光手段
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (10)

  1. 支持体、弾性層および表面層を有している帯電部材であって、
    該表面層は、
    Si−O−M結合およびSi−O−Ta結合から選ばれる少なくとも一方の結合、
    M−O−Ge結合およびTa−O−Ge結合から選ばれる少なくとも一方の結合、並びに、
    Si−O−Ge結合、を有している高分子化合物を含み、
    該高分子化合物は、
    下記式(1)で示される構成単位と、
    下記式(2)で示される構成単位と、
    下記式(3)で示される構成単位および下記式(4)で示される構成単位から選ばれる少なくとも一方の構成単位と、を有し、
    該帯電部材は、その表面から該弾性層に至る亀裂を有し、該亀裂はその縁部が凸状に盛り上がり、それによって該帯電部材は、該表面が粗面にされていることを特徴とする帯電部材:
    [式(1)中、RおよびRは、各々独立に下記式(5)〜(8)のいずれかを示す;
    [式(5)〜(8)中、R〜R、R10〜R14、R19、R20、R25およびR26は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R、R、R15〜R18、R23、R24およびR29〜R32は、各々独立に水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R21、R22、R27およびR28は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基、または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n、m、l、q、sおよびtは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。pおよびrは、各々独立に4以上12以下の整数を示す。xおよびyは、各々独立に0または1を示す。「*」および「**」は、各々、式(1)中のケイ素原子および酸素原子との結合位置を示す。]]、
    [式(3)中、Mは、Ti、ZrおよびHfの群から選ばれるいずれかの元素を表す。]。
  2. 前記高分子化合物において、前記式(1)中のR及びRが、各々独立に下記式(9)〜(12)のいずれかで示される請求項1に記載の帯電部材:
    [式(9)〜(12)中、N、M、L、Q、SおよびTは、各々独立に1以上8以下の整数を示す。x’およびy’は、各々独立に0または1を示す。「*」および「**」は、各々式(1)中のケイ素原子および酸素原子との結合位置を示す。]。
  3. 前記高分子化合物における、M、TaおよびGeの総和とケイ素の原子数比(M+Ta+Ge)/Siが0.10以上12.50以下である請求項1または2に記載の帯電部材。
  4. 前記帯電部材の表面粗さRzが、5μm以上25μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材。
  5. 前記高分子化合物が、
    下記式(13)で示される構造を有する加水分解性化合物、
    下記式(14)〜(17)で示される構造を有する加水分解性化合物の少なくとも1種、及び
    下記式(18)で示される加水分解性化合物、の架橋物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電部材:
    [式(13)中、R33は、下記式(19)〜(22)のいずれかを示し、R34〜R36は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    式(14)〜(18)中、R37〜R57は、各々独立に炭素数1〜9のアルキル基を示す;
    [式(19)〜(22)中、R58〜R60、R63〜R65、R70、R71、R76およびR77は、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R61、R62、R66〜R69、R74、R75およびR80〜R83は、各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R72、R73、R78およびR79は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n’、m’、l’、q’、s’およびt’は、各々独立に1以上8以下の整数を示す。p’およびr’は、各々独立に4以上12以下の整数を示す。また、「*」は、式(13)中のケイ素原子との結合位置を示す。]]。
  6. 前記高分子化合物が、
    下記式(13)で示される構造を有する加水分解性化合物と、
    下記式(14)〜(17)で示される構造を有する加水分解性化合物の少なくとも1種、
    下記式(18)で示される加水分解性化合物、及び
    下記式(23)で示される構造を有する加水分解性化合物、の架橋物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電部材:
    [式(13)中、R 33 は、下記式(19)〜(22)のいずれかを示し、R 34 〜R 36 は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    式(14)〜(18)中、R 37 〜R 57 は、各々独立に炭素数1〜9のアルキル基を示す;
    [式(19)〜(22)中、R 58 〜R 60 、R 63 〜R 65 、R 70 、R 71 、R 76 およびR 77 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を示す。R 61 、R 62 、R 66 〜R 69 、R 74 、R 75 およびR 80 〜R 83 は、各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R 72 、R 73 、R 78 およびR 79 は、各々独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルコキシル基または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。n’、m’、l’、q’、s’およびt’は、各々独立に1以上8以下の整数を示す。p’およびr’は、各々独立に4以上12以下の整数を示す。また、「*」は、式(13)中のケイ素原子との結合位置を示す。]]。
    [式(23)中、R84は、アルキル基またはアリール基を示し、R85〜R87は、各々独立に炭化水素基を示す。]。
  7. 請求項5に記載の帯電部材の製造方法であって、
    (i)前記式(13)で示される加水分解性化合物と、前記式(14)〜(17)で示される加水分解性化合物の少なくとも1種と、前記式(18)で示される加水分解性化合物とから合成される加水分解縮合物を含むコーティング剤の塗膜を、支持体の外周に配置された弾性層の外周に形成する工程と、
    (ii)該加水分解縮合物のエポキシ基を開裂させて、該加水分解縮合物を架橋させて前記高分子化合物を製造する工程とを有し、
    該工程(ii)において前記塗膜が硬化収縮して亀裂を有する表面層を生成させることを特徴とする帯電部材の製造方法。
  8. 請求項6に記載の帯電部材の製造方法であって、
    (i)前記式(13)で示される加水分解性化合物と、前記式(23)で示される加水分解性化合物と、前記式(14)〜(17)で示される加水分解性化合物の少なくとも1種と、前記式(18)で示される加水分解性化合物とから合成される加水分解縮合物を含むコーティング剤の塗膜を、支持体の外周に配置された弾性層の外周に形成する工程と、
    (ii)該加水分解縮合物のエポキシ基を開裂させることにより、該加水分解縮合物を架橋させて前記高分子化合物を製造する工程とを有し、
    該工程(ii)において前記塗膜が硬化収縮して亀裂を有する表面層を生成させることを特徴とする帯電部材の製造方法。
  9. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電可能に配置されている帯電部材とを有する電子写真装置であって、該帯電部材が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置。
  10. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部材とを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、該帯電部材が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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