JP5930312B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。詳しくは、容量維持率が向上しかつ抵抗低減効果を有する非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池その他の二次電池は、既存の電池に比べ、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度に優れる。このため、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、ハイブリッド車両等の車両駆動用電源として好ましく用いられている。
この種の二次電池に具備される電解液の溶媒として、該電解液が水の分解電圧と同程度以上の電圧を受ける場合には、上記溶媒として水を用いることができないため、非水溶媒(非プロトン性溶媒ともいう。)が用いられる。例えば、従来、リチウムイオン二次電池の電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒(非水溶媒)に、電荷担体となる化学種(ここではリチウムイオン)を供給可能な電解質(支持電解質、典型的にはリチウム塩)を溶解させた非水電解液が用いられている。非水電解液に関する従来文献として、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1には、サイクル特性を向上させるために液状有機溶媒を電解液に添加することが記載され、実施例では、液状有機溶媒としてメチルフェニルカーボネートが用いられている。
特開平09−022722号公報
しかしながら、特許文献1のようにメチルフェニルカーボネートを電解液に添加すると、メチルフェニルカーボネートは電池の抵抗成分として働くため、添加量が増すと電池性能に悪影響(例えば容量の劣化や抵抗増大)があり好ましくない。従って、サイクル特性向上を図るとともに、容量劣化や抵抗増大を回避し得る技術が求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来に比べ電池性能が向上した非水電解液二次電池を提供することである。
本発明者は、非水電解液に少量のオキサラト錯体化合物および芳香族カーボネート化合物を添加することにより、該電解液を備えた電池の容量維持率および出力特性を大きく改善し得ることを見出した。さらに、かかるオキサラト錯体化合物および芳香族カーボネート化合物によると、容量維持率および出力特性のいずれにおいても、それぞれを単独で添加するよりも組み合わせて添加した方がより高い改善効果が実現されることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明により、正極と負極と非水電解液とを備える非水電解液二次電池が提供される。上記非水電解液は、非水溶媒とオキサラト錯体化合物と芳香族カーボネート化合物とを含む。上記オキサラト錯体化合物および上記芳香族カーボネート化合物を除いた他の電解液構成成分100質量部に対して、上記オキサラト錯体化合物の含有量は、0.5質量部以上2質量部以下(好ましくは0.5質量部以上1.5質量部以下)であり、上記芳香族カーボネート化合物の含有量は、0.5質量部以上4質量部以下(好ましくは1質量部より多く且つ4質量部未満、より好ましくは2質量部以上3質量部以下)である。
換言すれば、非水電解液は、オキサラト錯体化合物と芳香族カーボネート化合物とを除いた他の電解液構成成分の合計質量を100wt%として、0.5wt%以上2wt%以下(好ましくは0.5wt%以上1.5wt%以下)の質量に相当する量のオキサラト錯体化合物を含み、かつ、0.5wt%以上4wt%以下(好ましくは1wt%以上4wt%以下、より好ましくは1wt%より大きく4wt%未満、さらに好ましくは2wt%以上3wt%以下)の質量に相当する量の芳香族カーボネート化合物を含む。好ましい一態様では、オキサラト錯体化合物として、少なくともリチウムビスオキサレートボレートを含む。また好ましい一態様では、芳香族カーボネート化合物として、少なくともメチルフェニルカーボネートを含む。
かかる非水電解液二次電池によると、オキサラト錯体化合物および芳香族カーボネート化合物を上記含有量で含むことにより、該電解液を用いて構築される非水電解液二次電池(例えばリチウム二次電池、典型的にはリチウムイオン二次電池)の容量維持率および出力特性を向上させることができる。典型的には、オキサラト錯体化合物および芳香族カーボネート化合物が添加されていない若しくはそれらが単独で添加されている組成の電解液を用いて構築された電池に比べて、高温保存耐久後における抵抗増加率を低下させつつ、より大きな容量維持率向上効果が発揮される。このことによって、電池の耐久性能を効果的に改善することができる。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解液)を備えた二次電池をいう。また、「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電する二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。また、電極活物質とは、電荷単体となる化学種(リチウムイオン二次電池においてはリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料をいう。
ここに開示される技術は、前記非水溶媒のうち50体積%以上が一種または二種以上のカーボネート系溶媒からなる非水電解液に好ましく適用され得る。かかる組成の非水電解液では、オキサラト錯体化合物および芳香族カーボネート化合物を含有させることが特に有意義である。例えば、上記非水電解液を用いて構築された非水電解液二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)において、該電池の耐久性能(例えば高温保存耐久後の抵抗増加率および容量維持率)が効果的に改善され得る。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す図である。 図2は、リチウムイオン二次電池に内装される捲回電極体を模式的に示す図である。 図3は、各例の抵抗増加率を示すグラフである。 図4は、各例の容量維持率を示すグラフである。 図5は、MPhC添加量と抵抗増加率との関係を示すグラフである。 図6は、MPhC添加量と容量維持率との関係を示すグラフである。 図7は、非水電解液二次電池を搭載した車両を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の構成では、正極と負極と非水電解液とが電池ケース内に収容されており、上記非水電解液は、非水溶媒とオキサラト錯体化合物と芳香族カーボネート化合物とを含む、各種の非水電解液二次電池に広く適用され得る。以下、リチウムイオン二次電池である場合を典型例としてより詳しく説明する場合があるが、本発明の適用対象をかかる電池に限定する意図ではない。
《非水電解液》
ここに開示される二次電池に用いられる非水電解液は、非水溶媒中にオキサラト錯体化合物と芳香族カーボネート化合物とを含むことによって特徴づけられる。
《芳香族カーボネート化合物》
芳香族カーボネート化合物としては、少なくとも芳香族基を有するカーボネート(炭酸エステル)化合物であれば、本願の効果を発揮し得る範囲において特に限定せず一種または二種以上を適宜用いることができる。例えば、芳香族カーボネート化合物としては、ベンゼン系芳香族カーボネート化合物、複素芳香族カーボネート化合物、非ベンゼン系芳香族カーボネート化合物の何れであってもよい。芳香環(典型的にはベンゼン環)においては、芳香環を構成する原子(例えば炭素原子)に結合した水素原子が、それぞれ独立して、脂肪族アルキル基(炭素原子数1〜10の直鎖または分岐)、脂環式アルキル基(炭素原子数1〜10の飽和または不飽和)、酸素原子(ヒドロキシル基(OH)であり得る)、ハロゲン原子(例えば、F,Cl,Br)等で置換された化合物を用いてもよい。かかる芳香環(複素芳香環を含む)がカーボネート基(OCOO)に直接結合した化合物であることが好ましい。例えば、上記芳香環と、炭素数1〜4(好ましくは1または2)のアルキル基とがカーボネート基に直接結合した化合物を好適に用いることができる。ここに開示される技術にとり好ましい芳香族カーボネート化合物の具体例として、アルキルフェニルカーボネート(ROCOOPh、ここでRはアルキル基を示し、Phはフェニル基を示す。)が挙げられる。かかるアルキルフェニルカーボネートは、炭素原子数1〜4(好ましくは1または2)のアルキル基を有しているとよい。特に好ましい例として、メチルフェニルカーボネート(MPhC)およびエチルフェニルカーボネートが挙げられる。なかでもMPhCの使用が好ましい。
ここに開示される二次電池に用いられる非水電解液の一態様において、芳香族カーボネート化合物の含有量X(二種以上の芳香族カーボネート化合物を含む場合には、それらの合計量)は、他の電解液構成成分の合計量100質量部当たり、0.5質量部以上4質量部未満(すなわち、0.5≦X≦4)とすることが好ましい。例えば、後述する実施例のように、非水溶媒に支持電解質が適当な濃度で溶解した基準電解液を用意し、その基準電解液100質量部当たりX質量部(ここで、0.5≦X≦4)の芳香族カーボネート化合物を添加して均一に混合することにより、ここに開示される非水電解液を好ましく調製することができる。通常は、他の電解液構成成分100質量部に対する芳香族カーボネート化合物の含有量Xを0.5質量部以上4質量部以下(すなわち、0.5≦X≦4)とすることが適当であり、好ましくは1質量部より多く且つ4質量部未満(すなわち、1<X<4)とすることが適当であり、より好ましくは2質量部以上3質量部以下であり、特に好ましくは2.2質量部以上2.8質量部以下である。
《オキサラト錯体化合物》
オキサラト錯体化合物としては、公知の方法により作製したもの、あるいは市販品の購入等により入手したもののなかから、特に限定せず一種または二種以上用いることができる。例えば、オキサラト錯体化合物は、構成原子として少なくともホウ素原子(B)を含有することが好ましい。例えば、オキサラト錯体化合物として、少なくとも下記式(I)で表されるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含むとよい。あるいは、下記式(II)または(III)で表されるような、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)がホウ素原子(B)に配位した構造部分を有するオキサラト錯体化合物(B原子含有オキサレート塩)であってもよい。
Figure 0005930312
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ここで、式(II)中のRおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例えば、F,Cl,Br。好ましくはF)および炭素原子数1〜10(好ましくは1〜3)のパーフルオロアルキル基から選択される。式(I)、(II)中のAは、無機カチオンおよび有機カチオンのいずれでもよい。無機カチオンの具体例としては、Li,Na,K等のアルカリ金属のカチオン;Li,Na,K等のアルカリ金属のカチオン;Be,Mg,Ca等のアルカリ土類金属のカチオン;その他、Ag,Zn,Cu,Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Pb,Cr,V,Ru,Y、ランタノイド、アクチノイド等の金属のカチオン;プロトン;等が挙げられる。有機カチオンの具体例としては、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウイオン;トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン;その他、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン;等が挙げられる。好ましいカチオンの例として、Liイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンおよびプロトンが挙げられる。
ここで開示される好ましい一態様としては、上記オキサラト錯体化合物として、式(III)で表されるB原子含有オキサレート塩(例えば、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート)を好ましく用いることができる。なかでも好ましい例として、式(I)で表されるLiBOBが挙げられる。
ここに開示される二次電池に用いられる非水電解液の一態様において、オキサラト錯体化合物の含有量Y(二種以上のオキサラト錯体化合物を含む場合には、それらの合計量)は、他の電解液構成成分の合計量100質量部当たり、0.5質量部以上2質量部以下(すなわち、0.5≦Y≦2)とすることが好ましい。例えば、後述する実施例のように、非水溶媒に支持電解質が適当な濃度で溶解した基準電解液を用意し、その基準電解液100質量部当たりY質量部(ここで、0.5≦Y≦2)のオキサラト錯体化合物を添加して均一に混合することにより、ここに開示される非水電解液を好ましく調製することができる。通常は、他の電解液構成成分100質量部に対するオキサラト錯体化合物の含有量Yを0.5質量部以上2質量部未満(すなわち、0.5≦Y<2)とすることが適当であり、好ましくは0.5質量部以上1.5質量部以下であり、より好ましくは0.8質量部以上1.2質量部以下であり、例えば0.5質量部以上1質量部以下である。
ここに開示される二次電池に用いられる非水電解液における非水溶媒としては、一般に非水電解液(例えば、リチウムイオン二次電池用の電解液)の溶媒として使用し得ることが知られている各種の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の各種の非プロトン性溶媒を、単独で、あるいは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。上記非水溶媒は、全体として(複数の化合物を含む場合には、それらの混合物として)、室温(例えば25℃)において液状を呈することが好ましい。
《非水溶媒》
ここに開示される技術における非水溶媒の好適例として、一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の50体積%以上を占める非水溶媒(カーボネート系溶媒)が挙げられる。例えば、カーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水電解液が好ましい。
《支持電解質》
ここに開示される二次電池に用いられる非水電解液は、典型的には、上記非水溶媒、芳香族カーボネート化合物およびオキサラト錯体化合物に加えて、さらに支持電解質(支持塩)を含有する。かかる支持電解質としては、LiPF,LiBF,LiN(SOCF,LiN(SO,LiCFSO,LiCSO,LiC(SOCF,LiClO等の、リチウムイオン二次電池の支持電解質として機能し得ることが知られている各種のリチウム塩から選択される一種または二種以上を用いることができる。なかでもLiPFが好ましい。支持電解質の濃度は特に制限されず、例えば従来のリチウムイオン二次電池と同程度とすることができる。通常は、支持電解質の濃度を凡そ0.1mol/L〜5mol/L(例えば凡そ0.8mol/L〜1.5mol/L)とすることが適当である。
ここに開示される二次電池に用いられる非水電解液は、必要に応じてさらに他の成分を含むことができる。かかる任意成分の一例として、当該非水電解液をゲル化させるためのポリマー前駆体(モノマー、オリゴマー、これらの混合物等であり得る。)、上記ゲル化反応を開始または促進するための開始剤や架橋剤が挙げられる。他の一例として、電解液中に存在する水分あるいは電解液に混入し得る水分と反応して該水分を消失させる水分除去剤が挙げられる。一方、実質的に非水溶媒(典型的にはカーボネート系溶媒)、非水電解質、芳香族カーボネート化合物およびオキサラト錯体化合物からなる非水電解液であってもよい。
ここに開示される非水電解液は、リチウムイオン二次電池その他の各種非水二次電池に広く適用されて、該電池の性能向上に役立ち得る。例えば、該電池の高温保存耐久後における抵抗増加や容量劣化が効果的に改善され得る。ここに開示される技術を実施するにあたり、かかる効果が得られる理由を明らかにする必要はないが、例えば以下のことが考えられる。すなわち、芳香族カーボネート化合物およびオキサラト錯体化合物は、初期充電等の際に電解液成分(非水溶媒、支持塩等)とともに分解し、それらの分解生成物からなる混合皮膜、すなわち芳香族カーボネート化合物とオキサラト錯体化合物との混合皮膜が電極(正極および/または負極)表面を覆うことにより、電解液成分のさらなる分解を抑制し、電池の特性向上に寄与し得る。かかる混合皮膜は、芳香族カーボネート化合物あるいはオキサラト錯体化合物を単独で用いたときに形成される皮膜に比べて、強固で壊れにくいため、その皮膜を良好に維持し得る(例えば、充放電に伴って電極活物質が膨張収縮したり、高温状態で長時間保持したりしても、電極表面から皮膜が剥落しにくい)。そのため、該電池の耐久後における抵抗増加や容量劣化が効果的に改善されるものと考えられる。
なお、ここに開示される非水電解液は、電池の構築時(組立て時)には芳香族カーボネート化合物およびオキサラト錯体化合物を含む組成であっても、上述のように、初期充放電あるいはその後の充放電により、芳香族カーボネート化合物およびオキサラト錯体化合物の一部または全部が分解し得る。かかる状態の電池において、電池構築時に使用した非水電解液中に芳香族カーボネート化合物およびオキサラト錯体化合物が含まれていたことは、例えば、該電解液または電極のNMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)分析や質量分析(例えばMALDI−MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析)や、TOF−SIMS(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:飛行時間型二次イオン質量分析)装置を用いた質量分析)において確認され得る。さらに、初期充放電後(あるいはさらに充放電を行った後)の電池から、電池構築時に使用した非水電解液中に含まれていたMPhCおよびLiBOBの各量を把握する手法としては、例えば、電池構成要素(電解液、電極等)のNMR分析、質量分析、IR分析等が挙げられる。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成として、捲回タイプの電極体(以下「捲回電極体」という。)と非水電解液とを角形(ここでは、直方体の箱形状)のケースに収容した形態のリチウムイオン二次電池(単電池)を例とし、図1および図2にその概略構成を示す。なお、電池構造は、図示例に限定されず、特に、角形電池に限定されない。
図1は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の断面図である。図2は、当該リチウムイオン二次電池100に内装される捲回電極体200を示す図である。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、図1に示すような扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)300に構成されている。リチウムイオン二次電池100は、図2に示すように、扁平形状の捲回電極体200が、非水電解液90とともに、電池ケース300に収容されている。
《電池ケース300》
電池ケース300は、一端(電池100の通常の使用状態における上端部に相当する。)に開口部を有する箱形(すなわち有底直方体状)のケース本体320と、その開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ矩形状プレート部材からなる封口板(蓋体)340とから構成される。
電池ケース300の材質は、従来の密閉型電池で使用されるものと同じであればよく、特に制限はない。軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース300が好ましく、このような金属製材料としてアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。本実施形態に係る電池ケース300(ケース本体320および封口板340)はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。
図1に示すように、封口板340には外部接続用の正極端子420および負極端子440が形成されている。封口板340の両端子420、440の間には、電池ケース300の内圧が所定レベル(例えば設定開弁圧0.3〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成された薄肉の安全弁360と、注液孔350が形成されている。なお、図1では、当該注液孔350が注液後に封止材352によって封止されている。
《捲回電極体200(電極体)》
捲回電極体200は、図2に示すように、長尺なシート状正極(正極シート220)と、該正極シート220と同様の長尺シート状負極(負極シート240)とを計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータ262,264)とを備えている。
《正極シート220》
正極シート220は、帯状の正極集電体221と正極活物質層223とを備えている。正極集電体221には、例えば、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、正極集電体221として、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔が用いられている。正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。図示例では、正極活物質層223は、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に保持されている。正極活物質層223には、正極活物質が含まれている。
≪正極活物質≫
正極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。ここに開示される正極活物質の例としては、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物の粒子が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiO或いはLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
正極活物質層223は、正極活物質のほか、一般的なリチウムイオン二次電池において正極活物質層223の構成成分として使用され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、導電材が挙げられる。該導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材粒子から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。あるいは、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いてもよい。その他、正極活物質層の成分として使用され得る材料としては、正極活物質の結着剤(バインダ)として機能し得る各種のポリマー材料(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))が挙げられる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70〜95質量%であることが好ましい。導電剤を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2〜15質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、正極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10質量%とすることができ、通常は凡そ2〜5質量%とすることが適当である。
上記正極活物質層223の形成方法としては、正極活物質(典型的には粒状)その他の正極活物質層形成成分を適当な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン(NMP)等の非水溶媒)に分散したペースト状の正極活物質層形成用組成物を、正極集電体221の片面または両面(ここでは両面)に帯状に塗布して乾燥させる方法を好ましく採用することができる。正極活物質層形成用組成物の乾燥後、適当な圧延処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。)を施すことによって、正極活物質層223の厚みや密度を調整することができる。
《負極シート240》
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241と負極活物質層243とを備えている。負極集電体241には、例えば、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、負極集電体241には、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電体241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に保持されている。負極活物質層243には、負極活物質が含まれている。
《負極活物質》
負極活物質としては、黒鉛材料が用いられる。該黒鉛材料としては、例えば、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、天然黒鉛、天然黒鉛表面に非晶質炭素コートを施した材料が含まれる。中でも天然黒鉛もしくは人造黒鉛を主成分とする負極活物質(典型的には、実質的に天然黒鉛もしくは人造黒鉛からなる負極活物質)への適用が好ましい。かかる黒鉛は、扁平な鱗片形状の黒鉛であり得る。あるいは、該鱗片状黒鉛を球状化した球状化黒鉛であってもよい。
負極活物質層243は、負極活物質のほか、一般的なリチウムイオン二次電池において負極活物質層243の構成成分として使用され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、負極活物質の結着剤(バインダ)として機能し得るポリマー材料(例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR))、負極活物質層形成用組成物の増粘剤として機能し得るポリマー材料(例えばカルボキシメチルセルロース(CMC))等が挙げられる。
特に限定するものではないが、負極活物質層243全体に占める負極活物質(黒鉛)の割合は凡そ80質量%以上(例えば80〜99質量%)とすることができ、凡そ90質量%以上(例えば90〜99質量%、より好ましくは95〜99質量%)であることが好ましい。バインダを使用する組成では、負極活物質層243全体に占めるバインダの割合を、例えば、凡そ0.5〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1〜5質量%とすることが好ましい。
《セパレータ262、264》
セパレータ262、264は、図2に示すように、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層243の幅b1は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
なお、図2に示す例では、セパレータ262、264は、シート状の部材で構成されている。セパレータ262、264は、正極活物質層223と負極活物質層243とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。従って、シート状の部材に限定されない。セパレータ262、264は、シート状の部材に代えて、例えば、正極活物質層223または負極活物質層243の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。
《捲回電極体200の取り付け》
この実施形態では、捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電体221の未塗工部222と負極集電体241の未塗工部242は、それぞれセパレータ262、264の両側においてらせん状に露出している。この実施形態では、図1に示すように、未塗工部222(242)の中間部分は、寄せ集められ、電池ケース300の内部に配置された電極端子420、440(内部端子)の集電タブ420a、440aに溶接されている。
かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、例えば、ケース300の開口部から電極体200を内部に収容し、該ケース300の開口部に封口板340を取り付けた後、封口板340に設けられた注液孔350から電解液90を注入する。かかる電解液90は、捲回軸WLの軸方向から捲回電極体200の内部に浸入する。次いで上記注液孔350を塞ぐことによってリチウムイオン二次電池100を構築することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
(試験例1)
<例1>
ECとDMCとEMCとの混合溶媒(体積比3:4:3)中にLiPFを1mol/Lの濃度で含む溶液を基準電解液NAとし、これを例1の電解液サンプルとした。
<例2〜例6>
基準電解液NAに、MPhCを添加して溶解させた。100質量部の基準電解液NAに対するMPhCの添加量を、0.5質量部、1質量部、2質量部、3質量部および4質量部の5水準とすることにより、MPhCの含有量が異なる5種類の電解液サンプルを調製した。以下、これらの電解液サンプルを、MPhCの含有量が少ない方から順に、例2〜例6と表記する。
<例7>
100質量部の基準電解液NAに、1質量部のLiBOBを添加して溶解させ、これを例7の電解液サンプルとした。
<例8〜例12>
基準電解液NAに、LiBOBとMPhCとを添加して溶解させた。100質量部の基準電解液NAに対するLiBOBの添加量を1質量部とした。また、100質量部の基準電解液NAに対するMPhCの添加量を、0.5質量部、1質量部、2質量部、3質量部および4質量部の5水準とすることにより、MPhCの含有量が異なる5種類の電解液サンプルを調製した。以下、これらの電解液サンプルを、MPhCの含有量が少ない方から順に、例8〜例12と表記する。
<例13、例14>
基準電解液NAに、プロパンスルトン(PS)を添加して溶解させた。100質量部の基準電解液NAに対するPSの添加量を、0.3質量部および0.5質量部の2水準とすることにより、PSの含有量が異なる2種類の電解液サンプルを調製した。以下、これらの電解液サンプルを、PSの含有量が少ない方から順に、例13、例14と表記する。
<例15、例16>
基準電解液NAに、MPhCとPSとを添加して溶解させた。100質量部の基準電解液NAに対するMPhCの添加量を3質量部とした。また、100質量部の基準電解液NAに対するPSの添加量を、0.3質量部および0.5質量部の2水準とすることにより、PSの含有量が異なる2種類の電解液サンプルを調製した。以下、これらの電解液サンプルを、PSの含有量が少ない方から順に、例15、例16と表記する。
<例17、例18>
基準電解液NAに、MPhCとPSとを添加して溶解させた。100質量部の基準電解液NAに対するMPhCの添加量を4質量部とした。また、100質量部の基準電解液NAに対するPSの添加量を、0.3質量部および0.5質量部の2水準とすることにより、PSの含有量が異なる2種類の電解液サンプルを調製した。以下、これらの電解液サンプルを、PSの含有量が少ない方から順に、例17、例18と表記する。
各例の電解液サンプルの添加物の添加量を表1に示す。表1の「%」は、基準電解液NAを100wt%としたときの各添加物の添加量(wt%)を示している。
Figure 0005930312
≪リチウムイオン二次電池の作製≫
例1〜例18で作製した各電解液を用いて、以下のようにして評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
このリチウムイオン二次電池用の正極は、次のようにして作製した。すなわち、正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、結着材としてのPVDFとを、それらの材料の質量比が90:8:2となるようにNMP中で混合して正極活物質層形成用組成物を調製した。この組成物を厚さ15μmのアルミニウム箔(正極集電体)に片面当たり塗布量25mg/cm塗布し乾燥することにより、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された正極シートを得た。
上記リチウムイオン二次電池用の負極は、次のようにして作製した。すなわち、 負極活物質としての天然黒鉛と、結着材としてのSBRと、増粘材としてのCMCとを、それらの材料の質量比が98:1:1となるように水中で混合して負極活物質層形成用組成物を調製した。この組成物を厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の片面に塗布量15mg/cmで塗布し乾燥することにより、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極シートを得た。
上記正極シート及び負極シートを2枚のセパレータシート(厚さ10μmの多孔質ポリエチレン製の単層構造のものを使用した。)を介して捲回し、この捲回体を側面方向から押しつぶすことにより扁平状の捲回電極体を作製した。このようにして得られた捲回電極体を各例の非水電解液とともに金属製の箱型の電池ケースに収容し、電池ケースの開口部を気密に封口した。このようにして評価試験用リチウムイオン二次電池を組み立てた。
次に、上記のように構築した評価試験用リチウムイオン二次電池について行われるコンディショニング工程、定格容量の測定、SOC調整および初期抵抗の測定を順に説明する。
≪コンディショニング≫
各評価用セルに対して、1/10C(1Cは、1時間で満充放電可能な電流値)のレートで3時間の定電流(CC)充電を行い、次いで、1/3Cのレートで4.1Vまで充電する操作と、1/3Cのレートで3Vまで放電させる操作とを3回繰り返すことで、コンディショニング処理を行った。
≪定格容量の測定≫
コンディショニング後の各評価用セルに対し、正負両端子間電圧4.1Vに初期充電させ、温度25℃にて、1Cのレートで両端子間電圧が3VとなるまでCC放電させ、次いで同電圧で2時間定電圧(CV)放電させた。10分休止後、0.33Cのレートで両端子間電圧が4.1VとなるまでCC充電し、次いで同電圧で2.5時間CV充電した。10分休止後、0.33Cのレートで両端子間の電圧が3VとなるまでCC放電させ、次いで同電圧で2時間CV放電させ、このCCCV放電時に測定された総放電容量を初期容量とした。
≪SOC調整≫
SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量測定の後で、25℃の温度環境下にて次の1、2の手順によって行った。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、初期容量の凡そ40%の充電状態(SOC60%)にする。ここで、「SOC」は、State of Chargeを意味する。
手順2:40%以上のSOCに調整する場合には、手順1の後、所望の充電状態に到達するまで定電圧で充電する。
≪初期抵抗の測定≫
SOC40%(定格容量の凡そ40%の充電状態)に調整した評価用電池を恒温槽に入れ、−30℃まで冷却し、交流インピーダンス測定を行った。そして、得られたインピーダンスのCole−Coleプロット(ナイキスト・プロットともいう。)から半円の直径を読み取り、初期の反応抵抗(初期抵抗)(Ω)とした。装置は、Solartron社製「1287型ポテンショ/ガルバノスタット」および株式会社東陽テクニカ製「Frequency Response Analyzer(FRA)」を使用した。また、測定周波数は、0.001〜100000Hzとした。
≪高温保存耐久試験≫
SOC90%(定格容量の凡そ90%の充電状態)の電池を60℃の環境下に30日間保存した。保存後の電池の反応抵抗(耐久後抵抗)を、上記初期抵抗と同様にして測定した。そして、次式:(耐久後抵抗/初期抵抗);により抵抗増加率を算出した。また、保存後の電池容量(耐久後容量)を、上記定格容量と同様にして測定した。そして、次式:(耐久後容量/定格容量)×100;により容量維持率(%)を算出した。例1〜例14に係る評価用電池について得られた抵抗増加率および容量維持率を図3および図4に示す。
図3および図4に示すように、LiBOBおよびMPhCの双方を添加した例8〜例12の非水電解液を用いた電池によると、60℃で30日間保存した高温保存試験後における抵抗増加率はいずれも0.6以下(容量維持率はいずれも92.5%以上)と良好であり、極めて高い耐久性性能を示した。一方、添加剤を添加していない若しくはMPhCを単独で添加した例1〜例6の非水電解液を用いた電池では、上記高温保存試験後における抵抗増加率が1.0を上回り(容量維持率が92%を下回り)、耐久性に欠けるものであった。また、LiBOBを単独で添加した例7の非水電解液を用いた電池では、上記高温保存試験における抵抗増加率が低下(容量維持率が増大)傾向を示したものの、例8〜例12の非水電解液を用いた電池ほどは改善効果が認められなかった。このことから、LiBOBおよびMPhCをそれぞれ単独で使用するよりも、それらを組み合わせて使用することの方がより高い改善効果が実現されることが確認された。換言すると、LiBOBとMPhCとを組み合わせて使用することにより、かかる組み合わせによる相乗効果として、耐久性能が大きく向上したリチウム二次電池が得られると云える。耐久性能を向上させる観点からは、MPhCの含有量Xを0.5≦X≦4とすることが適当であり(例8〜例12)、好ましくは1質量部以上4質量部以下であり(例9〜例12)、より好ましくは2質量部以上3質量部以下である(例10、例11)。
なお、PSを単独で添加した例13および例14の非水電解液を用いた電池は、無添加の例1の非水電解液を用いた電池に比べて抵抗増加率および容量維持率は改善されていたものの、PSおよびMPhCの双方を添加した例15〜例18の非水電解液を用いた電池はいずれも抵抗増加率が1.0以上(容量維持率が92%未満)であり、MPhCとの併用による更なる改善効果は認められなかった。このことから、LiBOBおよびMPhCの双方を添加した非水電解液を用いることによる耐久性改善効果については、PSおよびMPhCの双方を添加した非水電解液を用いた場合では同程度の効果が得られないことが確認された。つまり、耐久性改善効果のある添加剤同士を単純に組み合わせるだけでは更なる改善効果は期待できず、LiBOBとMPhCとの組み合わせによる相乗効果として、耐久性能が大きく向上したリチウム二次電池が得られると云える。
(試験例2)
100質量部の基準電解液NAに対するLiBOBの添加量を、0.5質量部および2質量部の2水準に変えたこと以外は例7、例10および例11と同様にして電解液サンプルを作製し、試験用リチウム二次電池を構築した。そして、高温保存耐久試験を行い、耐久後の抵抗増加率および容量維持率を算出した。結果を図5および図6に示す。図5はMPhC添加量と抵抗増加率との関係を示すグラフである。図6はMPhC添加量と容量維持率との関係を示すグラフである。
図5および図6に示すように、LiBOBの添加量にかかわらず、LiBOBおよびMPhCの双方を添加した非水電解液を用いた電池は、LiBOBを単独で添加した非水電解液を用いた電池に比べて、高温保存試験後における抵抗増加率および容量維持率が改善されることが確かめられた。また、MPhCの添加量が同じ場合、LiBOBの添加量が1%に近づくほど、より高い耐久性改善効果が得られることが分かった。耐久性能を向上させる観点からは、LiBOBの含有量Yを0.5≦Y≦2とすることが適当であり、好ましくは0.5≦Y≦1.5であり、より好ましくは0.8≦Y≦1.2である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
ここに開示されるいずれかの非水電解液二次電池は、高温保存後容量および出力性能が良好である。例えば耐久後においても高容量と低抵抗とを比較的よく維持することができる。かかる高性能を発揮し得ることから、例えば、図7に示すように、車両1に搭載される電源1000として好適である。したがって、ここに開示される非水電解液二次電池(典型的には該電池(単一セル)を複数個直列に接続してなる組電池)は、ハイブリッド自動車、電気自動車のように電動機を備えた車両1に搭載されるモーター用の電源(典型的には駆動用電源)として好適に使用され得る。
90 非水電解液
100 リチウムイオン二次電池
200 捲回電極体
220 正極シート
240 負極シート
262,264 セパレータ
300 電池ケース
350 注液孔

Claims (6)

  1. 正極と負極と非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、
    前記非水電解液は、非水溶媒と、オキサラト錯体化合物と、芳香族カーボネート化合物とを含み、
    前記非水溶媒のうち50体積%以上は、一種または二種以上のカーボネート系溶媒からなり、
    前記オキサラト錯体化合物および前記芳香族カーボネート化合物を除いた他の電解液構成成分100質量部に対して、
    前記オキサラト錯体化合物の含有量は、0.5質量部以上2質量部以下であり、
    前記芳香族カーボネート化合物の含有量は、0.5質量部以上4質量部以下である、非水電解液二次電池。
  2. 前記オキサラト錯体化合物の含有量は、前記他の電解液構成成分100質量部に対して、0.5質量部以上1.5質量部以下である、請求項1に記載の水電解液二次電池。
  3. 前記芳香族カーボネート化合物の含有量は、前記他の電解液構成成分100質量部に対して、2質量部以上3質量部以下である、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記オキサラト錯体化合物として、少なくともリチウムビスオキサレートボレートを含む、請求項1〜3の何れか一つに記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記芳香族カーボネート化合物として、少なくともメチルフェニルカーボネートを含む、請求項1〜4の何れか一つに記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記非水溶媒中にリチウム含有化合物を含むリチウム二次電池として構築された、請求項1〜の何れか一つに記載の非水電解液二次電池。
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