JP5921580B2 - プラズマ処理方法 - Google Patents

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本発明は、磁気抵抗メモリ等に用いられる磁性膜等の被処理体のプラズマ処理方法に関する。
近年の情報量の増加に伴い、電子機器は低消費電力であることが、メモリは高速動作であるとともに不揮発であることが望まれている。現在使われているメモリとしては電荷の蓄積を利用したDRAM(Dynamic Random Access Memory)とフラッシュメモリ等が挙げられる。DRAMはコンピューターのメインメモリとして使用されているが、電源を切ると記憶を失う揮発性メモリである。
また、動作中もデータを保持するため一定時間置きに再書き込みが必要であり消費電力が大きくなる。一方、フラッシュメモリは不揮発性メモリであるが、情報の書き込み時間がμ秒オーダーと遅い。これらの欠点なく、低消費電力かつ高速に動作する不揮発性メモリとしてMRAM(Magnetic Random Access Memory)の適応が期待されている。
MRAMは磁化の向きによる抵抗値の変化を利用したメモリであり、その製造においてはリソグラフィーにより生成したマスクを用い、基板上に形成されたFe・Co・Ni等の磁性膜及び、それらの元素を含む不揮発性金属をドライエッチングにより微細加工する技術が必要である。また、同様の技術は磁性材料を使った磁気ヘッドの加工でも需要が高まっている。
ドライエッチングの方法としては、イオンビームエッチングを用いる方法とプラズマエッチングを用いる方法がある。特にプラズマエッチングは半導体デバイスの製造で広く用いられており、大口径基板を均一に加工できることから、量産性に優れている。しかし、従来用いられてきたF・Cl・Br等のハロゲン系のガスを使用したプラズマエッチングにより磁性膜に微細加工を施す場合、磁性膜のハロゲン化合物の蒸気圧が低いため、加工が困難になる。また、磁性膜に付着したハロゲン化合物が大気中の水分に触れると腐食が発生するため、別途防蝕処理を行う必要がある。
上記問題点を解決する方法として、炭素C、酸素Oを含有成分とするCOを含有するガスを用いたエッチング方法が注目されている。この方法は、磁性膜などの金属材料MとCOが反応することで、蒸気圧の高い金属カルボニルM(CO)x(xは任意の数)が生成されることを利用したものであり、腐食等も発生しないことから磁性膜の加工に適している。
しかし、一般に、COはプラズマ中で下記の反応等により容易に解離してしまう。
CO → C + O
2CO → C + CO
これらの反応により、COが減少し、金属カルボニルが効率よく生成されないことと、解離により発生したCが磁性膜上に堆積することでエッチングを阻害することが問題になっている。
上記問題を解決するにはプラズマ中でCOの解離を抑制しつつ、磁性膜とCOの反応を促進するためCOの励起活性種を生成することが必要である。
特許文献1では装置上部にAr等のプラズマ生成ガスを導入することで高密度プラズマ領域を作製し、それにより装置下部に発生したアフターグロー領域にCOガスを導入することでCOの解離を抑制する方法が開示されている。
また、下記非特許文献1、2には、それぞれ、COの解離エネルギー、COの振動励起エネルギー及び電子励起エネルギーについての報告がなされており、下記非特許文献3には、アンテナ電力のオンオフとプラズマ密度との関係についての報告がなされている。
特開2004−356179号公報 特開2005−294747号公報 特開平07−263353号公報 特開2007−266522号公報 特開2009−071321号公報 特開2005−072491号公報
Electron-impactdissociation of carbonmonoxide (P. C. Cosby、J. Chem. Phys. 98 (10)、1993) The Theory of RotatingDiatomic Molecules(edited by M. Mizushima(Willy、 NewYork、 1975) Pramod Subramonium et.al :J.Vac.Sci.Technol.A 20(2)、 2002
COガスを用いたプラズマエッチングにより磁性膜を効率よくエッチングするためには、プラズマ中でCOの解離を抑制しつつ、磁性膜とCOの反応を促進するための励起活性種を生成することが必要である。
図7に、上記特許文献1に記載されたCOの解離を抑制し、磁性膜等をエッチングする装置の概略構成図を示す。この装置は真空容器1001の下部中央に基板1002を設置する基板ホルダ1003を設けており、誘導結合プラズマ法により真空容器1001の上部にアンテナ1004により生成した高密度のプラズマ領域1005を形成し、Ar等のプラズマ生成ガスが該高密度プラズマ領域に流入するように第一のガス導入口1006を設置してある。また、第一のガス導入口1006と基板1002の中間の位置に第二のガス導入口1007を設け、アフターグロー領域1008に第二のガス導入口1007からCOを含有したガスを導入できる構成にしている。かかる構成とすることでCOは低密度のアフターグロー領域に導入され、高温・高密度のプラズマガスによる衝突を受けることが少なく、解離する前に基板1002に運ばれる。加えて、アンテナ1004にパルス変調プラズマを用いることで電子温度を低減し、解離を抑制する方法も明記されている。
しかしながら、通常のプラズマエッチングに用いられる処理圧力0.1Paから13Paの領域では気体の拡散係数が大きく、例えば、処理圧力1Pa、ガス温度300KにおけるArとCOの相互拡散係数を計算すると1.93m/sと非常に大きい値を持つ。そのため、下部のアフターグロー領域にのみ導入するはずのCOが上部の高温・高密度のプラズマ領域まで拡散しやすく、そこで解離したCによりエッチングが阻害されることになる。
また、特許文献1ではアンテナに印加する電力を特定の間隔でON・OFFするパルス変調にすることで、プラズマ密度を維持しつつ電子温度を低減し、COの解離を抑制する方法が明記されている。
図2にアンテナ電力をパルス変調した際のアンテナ電力と電子温度とプラズマ密度の時間変化を示す。
パルス変調を用いることで、たしかにプラズマ密度を維持しつつ電子温度の時間平均値を減少することが可能であるが、図2に示したとおり、アンテナ電力をONにした状態では電子温度も上昇する。
そのため、高温・高密度のプラズマ領域にCOが導入された場合、ICP電力をパルス変調したとしても、ONにした際のCOの解離により、同様にエッチングが阻害されることになる。
以上のことから、COの解離を抑制しつつ、COの励起活性種を生成するためには、真空容器内でプラズマの状態を高密度プラズマ領域とアフターグロー領域といった二つの状態に空間的に分離する方法だけでは、COガスの高密度プラズマ領域への拡散から、COの解離を抑制することが非常に困難であることが分かる。このことは、COガスのみならず、例えば、CHOH、COH、COH、CO等C及びOを成分とするガスを用いた場合に共通する課題である。
そこで、本発明の目的は、C及びOを成分とするガスを用いたプラズマエッチングにより、磁性膜を効率よく加工するために、プラズマ状態を空間的に分離する以外の方法で、プラズマ中でC及びOを成分とするガスの解離を抑制し、かつ磁性膜とC及びOを成分とするガスの反応を促進するための励起活性種を生成するプラズマ処理方法を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明のプラズマ処理方法においては、次のような技術的手段を講じた。すなわち、パルス変調されたプラズマにより被エッチング膜をエッチングするプラズマ処理方法において、前記パルス変調の振幅が第一の振幅値である期間にガスを前記被エッチング膜がエッチングされる処理室内に供給し、前記パルス変調の振幅が前記第一の振幅値より小さい第二の振幅値である期間は、第一の期間と前記第一の期間後の期間である第二の期間を有し、前記第一の期間は、化学反応による前記被エッチング膜のエッチングに寄与するエッチング用ガスが前記処理室内に供給されない期間であり、前記第二の期間は、前記エッチング用ガスが前記処理室内に供給される期間とした。
本発明によれば、パルス変調されたプラズマにより被エッチング膜をエッチングする際、パルス変調の振幅が第一の振幅値である期間にプラズマ生成用ガスを処理室内に供給し、パルス変調の振幅が前記第一の振幅値より小さい第二の振幅値である期間にエッチング用ガスを前記処理室内に供給することで、C及びOを成分とするガスの解離を抑制しつつ、磁性膜とC及びOを成分とするガスの反応を促進するための励起活性種を生成することができ、基板上に形成された磁性膜を効率よくエッチングすることができる。
本発明によるアンテナ電力とプロセスガス供給の時間変化を示すシーケンス図。 アンテナ電力をパルス変調した際のプラズマ密度と電子温度の変化を示すグラフ。 各電子温度における電子のエネルギー分布を示すグラフ。 本発明の第一の実施例である、本発明を用いたプラズマエッチング装置の概略構成図。 本発明の第二の実施例である、本発明を用いたプラズマエッチング装置の概略構成図。 本発明の第三の実施例である、本発明を用いたプラズマエッチング装置の概略構成図。 従来のCOガスを用いたプラズマエッチング装置の概略構成図。
以下、C及びOを成分とするガスとして、CO(一酸化炭素)ガスを用いた場合の実施例を、図面を参照しつつ説明する。
COの解離を抑制しつつ、磁性膜とCOの反応を促進するための励起活性種を生成するためには、プラズマ中の電子エネルギーの大部分をCOの励起エネルギーより大きく、かつCOの解離エネルギー未満にする必要がある。
上記非特許文献1によると、COの解離エネルギーは11.2eV、上記非特許文献2によるとCOの振動励起エネルギーは0.266eV、電子励起エネルギーは5.898eVとの報告がある。したがって、電子エネルギーの大部分を0.266eVより大きく、11.2eVより小さくすれば、COの解離を抑制しつつ、COの励起活性種を生成することが可能になることが分かる。
図3にプラズマ中での各電子温度における電子のエネルギー分布を計算した値を示す。図3において横軸は電子のエネルギー値を、縦軸は全電子数を100としたときの各エネルギーにおける電子の割合を対数で表したものを示す。
この計算によると、通常のプラズマプロセスで用いる電子温度が2〜3eVのときは11.2eVより大きい電子が全体の1〜5.5%を占めるが、電子温度が1eV以下のときは11.2eVより大きい電子が全体の0.006%以下となり、ほぼ消滅する。
したがって、電子温度が1eV以下であれば、COの解離を抑制しつつ、COの励起活性種を効率よく生成可能となる。
次にアンテナ電力供給法と真空容器へのプラズマ生成ガス供給法と真空容器へのCOガス供給法を示したシーケンス図の代表例を示す図1と、アンテナ電力をパルス変調した際のアンテナ電力と電子温度とプラズマ密度の時間変化を示した図2のグラフを用い、本発明のシーケンスについて説明する。
図2に示したとおり、アンテナ電力をパルス変調すると、アンテナ電力をONにした瞬間に電子温度が急激に上昇するが、すぐに一定の電子温度になり、アンテナ電力をOFFにすると、すぐに電子温度が低下するという挙動を周期的に繰り返す。
一方、アンテナ電力をパルス変調してもプラズマ密度は大きく変化しない。
すなわち、上記非特許文献3におけるPramod Subramonium等の計算結果によると、Arガスを用い、処理圧20mTorr・ICP電力300W・パルス周波数10kHz・デューティー比30%でパルス放電した場合、プラズマ密度はアンテナ電力がONの状態では1.0×1012cm−3、アンテナ電力がOFFの状態でも2.0×1011cm−3にしか減少しないことが報告されており、エッチングに必要と考える1.0×10cm−3以上のプラズマ密度はすべての状態で維持されていることが確認されている。
一方、この計算結果において、電子温度はアンテナ電力をONにした瞬間に4.7eVに上昇した後、2.8eVで安定し、アンテナ電力をOFFにした後、0.15eVまで減少すると報告されている。
そのため、電子温度が1eV以下と低くなるアンテナ電力がOFFのときのプラズマにCOガスを供給した場合、COの解離を抑制しつつCOを励起することができるが、電子温度が1eVより高くなるアンテナ電力がONの状態にCOガスを供給した場合、COの解離を抑制することは困難になる。
一方、アンテナ電力をOFFにしたときの電子温度とプラズマ密度の緩和時間に注目すると、装置や放電様式、ガス種によっても異なるが、一般的に電子温度は1μsから10μsのオーダーですぐに緩和するのに対し、プラズマ密度は1msから10msのオーダーでゆっくり緩和する。
つまり、アンテナ電力をOFFにした直後(アンテナ電力をOFFにしてから1μsから10μs経過した後)からアンテナ電力をONにするまでの間は、プラズマ密度の減少が少なく、電子温度が1eV以下と低く、COの解離を抑制しつつ、COを励起するのに適したプラズマ状態が維持されることになる。
そのため、図1のシーケンス図に示すように、COガスを用いたプラズマエッチングにより磁性膜を微細加工する方法において、プラズマを生成するためにアンテナに印加する電力をパルス変調し、さらにアンテナ電力がONのときには真空容器内にプラズマを生成するためのプラズマ生成ガスを、アンテナ電力がOFFのときには真空容器内に磁性膜と反応するためのCOガスを導入することで、COの解離を抑制しつつ、COを励起する上で適した状態でエッチングができ、磁性膜を効果的に加工することができる。
図1において、アンテナ電力をOFFにしてから10μs後(区間(a))に、COガスを導入しているが、これは電子温度が十分低下し、1eV以下になった状態でCOガスを導入するためである。前述したように電子温度の緩和時間は1μsから10μsと考えられている。
そのため、区間(a)は電子温度の緩和時間より大きい、つまり1μs以上であることが望ましい。
また、図1においてプラズマ生成ガスの導入時間(区間(b))及びCOガスの導入時間(区間(c))は2msに設定されているが、区間(a)及び区間(c)の値は、装置構成やプロセス条件に合わせて、適切な値に設定する。ただし、真空中にプロセスガスを導入するバルブの制御時間が500μs以上であることから、区間(b)及び区間(c)は500μs以上であることが望ましい。
加えて、図1ではCOガスの導入後、アンテナ電力をONにするまでの時間(区間(d))は10msに設定されているが、これはプラズマ内にCOガスが残留していない状態でアンテナ電力をONにすることでCOの解離を抑制するためである。つまり、区間(d)の長さはプラズマ中のCOの滞在時間に依存する。プラズマ中でのCOの滞在時間は、プラズマの体積・処理圧力・プロセスガス流量により、下記の式で決定される。
滞在時間 = プラズマの体積 × 処理圧力 / プロセスガス流量
例えばプラズマの体積を0.02m−3、処理圧力を0.5Pa、プロセスガス流量を600ccmとした場合、滞在時間は約10msになる。
区間(d)の長さが50ms以上だと、プラズマ密度が減少し、エッチングに必要な1.0×10cm−3以上のプラズマ密度の維持が困難になる。そのため、区間(d)の長さは50ms以下であることが望ましい。加えて、導入されたガスが真空容器内に拡散し安定するまでの時間は真空容器の大きさや圧力にも依存するが、約1ms程度と考えられる。そのため区間(d)が1ms未満だとCOガスをプラズマ中に十分導入することができなくなる。つまり、区間(d)の長さは1ms以上50ms以下であることが望ましい。
また、図1ではアンテナ電力をONとOFFにすることでアンテナ電力に高低差を作り、パルス変調していたが、アンテナ電力がパルス的に低い状態においても多少の電力を印加しても構わない。このとき、COの解離を抑制しつつCOを励起した状態を維持できると考えられる、電子温度1eV以下にするためには、アンテナ電力がパルス的に低いときの電力はアンテナ電力がパルス的に高いときの1/10以下の電力を印加することが望ましい。
本方法において、プラズマ生成ガスとしては、使用するアンテナ電力でプラズマが生成・維持できるガスであれば何を用いてもかまわないが、特にプラズマ中で化学的な反応を起こしにくく、かつプラズマを生成しやすいHe、Ar、Xe等の希ガス及びそれらの混合ガスを用いることが望ましい。
また、図1のシーケンス図において、アンテナ電力をOFFにした際に、真空容器内にプラズマ生成ガスを導入せず、COガスのみを導入してもよいが、COガスのみではプラズマの維持が難しいため、図1に記載したようにプラズマ生成ガスとCOガスを混合して導入する方が望ましい。
加えて、プラズマ生成ガスの流量はアンテナのパルス変調に依存せず一定とし、COガスのみをアンテナに合わせて変調してもよいが、プロセス中にガスの流量が急激に変化することで、真空容器内の処理圧力が急激に変動するのを防ぐため、COガスとプラズマ生成ガスを合わせた総ガス流量がほぼ一定になるようにCOガスに合わせて、プラズマ生成ガスも変調した方が望ましい。
本発明のシーケンスを用いたプラズマエッチング装置の具体例を、第一の実施例として図4の概略構成図を用いて説明する。
真空容器401の下部中央には上面に磁性膜が形成された基板402を設置するための可動式電極403が設けられている。該電極は真空ベローズ404を通して基板の外に突出した構造をしており、該可動式電極が矢印(a)の方向に可動することで、可動式電極403及び可動式電極に設置された基板402の高さをプロセス条件に合わせて任意の値に設定できる。
装置上部の第一のガス導入口405より導入されたプラズマ生成ガス及び第二のガス導入口406より導入されたCOガスは排気口407を通してプロセス中は真空容器401の外に常に排気されている。この際、排気口407上部に設置された調圧バルブ408により真空容器401内が所定の圧力になるように制御される。
また、第一の高周波電源409から出力された13.56MHzの高周波電力はパルス変調器410によりパルス変調された後アンテナ411に印加され、第一のガス導入口405よりプラズマ生成ガス及び第二のガス導入口406よりCOガスを導入することで、プラズマ414が生成される。この際、第一のガス導入口405及び第二のガス導入口406より導入されるプラズマ生成ガス及びCOガスは、ガスコントローラー412が各導入口に設けられた流量制御バルブを制御することで任意の時間だけ、真空容器401内に導入することができる。また、パルス変調器410とガスコントローラー412は同期回路413により結ばれており、アンテナ411に印加される高周波電力に合わせて、第一のガス導入口405及び第二のガス導入口406より導入される各ガスを制御することが
できる。
かかる構成とすることで、上記したシーケンスに従って、真空容器401両側に配置された第一のガス導入口405より導入されるプラズマ生成ガスのガス流量と、真空容器401中央に配置された第二のガス導入口406より導入されるCOガスのガス流量、そしてアンテナ電力411に印加される高周波電力を制御し、プラズマ414内でCOの解離を抑制しつつ、磁性膜とCOの反応を促進するための励起活性種を生成することができる。
また、該プラズマ中ではプラズマ生成ガスがプラズマ化することで生成された正イオンが可動式電極403に印加された400kHzから13.56MHzの高周波電力415により、基板402に引き込まれる。これにより、基板上に形成された磁性膜はCOガスにより生成された励起活性種による反応と該正イオンによる衝撃により効果的にエッチングすることができる。
図4ではアンテナ411は真空容器401の上方と下方に2ターン巻かれた構成にしているが、1ターン以上10ターン以下であれば、このターン数は特に問わない。また、ターン数を3ターン以上にした場合は真空容器内のプラズマ分布を任意の分布に制御するため、アンテナ同士の間隔が等間隔でなくてもよい。
また、上記では真空容器上方の第一のガス導入口405からプラズマ生成ガスを第二のガス導入口406からCOを導入する方法を記載したが、第一のガス導入口405からCOを、第二のガス導入口406からプラズマ生成ガスを導入してもよい。ただし、生成されたCOの励起活性種が真空容器401との衝突により減少するのを低減するため、両側の第一のガス導入口405からプラズマ生成ガスを、真空容器401中央に配置された第二のガス導入口406からCOを導入した方が望ましい。
また、第一のガス導入口405のみを設置し、該ガス導入口からCOとプラズマ生成ガスの両方を導入してもよいが、ガス導入口に残留したCOがプラズマ生成ガスの導入時間に混入して真空容器内に流入するのを防ぐために、第一のガス導入口405と第二のガス導入口406は分離した方が望ましい。
さらに、第一のガス導入口405と第二のガス導入口406は、真空容器401の壁側に設置してもよいが、ガス導入口から導入されたガスを周方向に均一な分布で拡散させ、プラズマの周方向の均一性をよくするために、真空容器401の上方から導入した方が望ましい。
なお、図4ではICPを用いたプラズマエッチング装置について記載したが、本発明を用いたシーケンスはCCP・ECRプラズマ・ヘリコン波プラズマ・表面波プラズマなどを用いた他の放電方式を用いてもよい。
本発明のシーケンスを用いたプラズマエッチング装置の他の例を、第二の実施例として図5の概略構成図を用いて説明する。
真空容器401の下部中央には上面に磁性膜が形成された基板402を設置するための可動式電極403が設けられている。該電極は真空ベローズ404を通して基板の外に突出した構造をしており、該可動式電極が矢印(a)の方向に可動することで、可動式電極403及び可動式電極に設置された基板402の高さをプロセス条件に合わせて任意の値に設定できる。装置上部の第一のガス導入口405より導入されたプラズマ生成ガス、及び基板402の上面近傍に延びる第二のガス導入口501より導入されたCOガスは排気口407を通して真空容器401の外に常に排気されている。この際、排気口407上部に設置された調圧バルブ408により真空容器401内が所定の圧力になるように制御される。
また、第一の高周波電源409から出力された13.56MHzの高周波電力はパルス変調器410によりパルス変調された後アンテナ411に印加され、第一のガス導入口405及び第二のガス導入口501よりプロセスガスを導入することでプラズマ414が生成される。この際、第一のガス導入口405及び第二の長孔ガス導入口501より導入されるプロセスガスはガスコントローラー412が、第一のガス導入口405及び第二の長孔ガス導入口501のそれぞれに設けられた第一、第二の流量制御バルブを制御することで任意の時間だけ、真空容器401内に導入することができる。
また、パルス変調器410とガスコントローラー412は同期回路413により結ばれており、アンテナ411に印加される高周波電力に合わせて、第一のガス導入口405及び第二のガス導入口501より導入されるプロセスガスを制御することができる。かかる構成とすることで、第一の実施例で記載したシーケンスに従って、第一のガス導入口405より導入されるガス流量と、基板402の上面近傍に延びる第二のガス導入口501より導入されるガス流量そしてアンテナ電力411に印加される高周波電力を制御し、プラズマ414内でCOの解離を抑制しつつ、磁性膜とCOの反応を促進するための励起活性種を生成することができる。
さらに、該プラズマ中ではプラズマ生成ガスがプラズマ化することで生成された正イオンが可動式電極403に印加された400kHzから13.56MHzの高周波電力415により、基板402に引き込まれる。これにより、基板上に形成された磁性膜はCOガスにより生成された励起活性種による反応と該正イオンによる衝撃により効果的にエッチングすることができる。
図5ではアンテナ411は真空容器401の上方と下方に2ターン巻かれた構成にしているが、1ターン以上10ターン以下であれば、このターン数は特に問わない。また、ターン数を3ターン以上にした場合は真空容器内のプラズマ分布を任意の分布に制御するため、アンテナ同士の間隔が等間隔でなくてもよい。
図5に示したとおり、第二のガス導入口501を基板402の上面近傍に延ばすことで、第二のガス導入口501とウェハとの距離を縮めることができ、第二のガス導入口501から導入されたCOがウェハに到達するまでに真空容器401との衝突で減少するのを抑制し、ウェハに効率よくCOガスを供給することができる。
なお、図5ではICPを用いたプラズマエッチング装置について記載したが、本発明のシーケンスとして、CCP・ECRプラズマ・ヘリコン波プラズマ・表面波プラズマなどを用いた他の放電方式を用いてもよい。
本発明のシーケンスを用いたプラズマエッチング装置の他の例を、第三の実施例として図6の概略構成図を用いて説明する。
真空容器401の下部中央には上面に磁性膜が形成された基板402を設置するための可動式電極403が設けられている。この可動式電極403は、真空ベローズ404を通して基板の外に突出した構造をしており、可動式電極403が矢印(a)の方向に可動することで、可動式電極403及び該可動式電極403の上面に設置された基板402の高さをプロセス条件に合わせて任意の値に設定できる。装置上部の上部ガス導入口601より導入されたプラズマ生成ガス及び下部ガス導入口602より導入されたCOガスは、排気口407を通して真空容器401の外に常に排気されている。
この際、排気口407上部に設置された調圧バルブ408により真空容器401内が所定の圧力になるように制御される。また、第一の高周波電源409から出力された13.56MHzの高周波電力はパルス変調器410によりパルス変調された後アンテナ411に印加され、上部ガス導入口601及び下部ガス導入口602より、プラズマ生成及びCOガスからなるプロセスガスを導入することでプラズマ414が生成される。
上部ガス導入口601及び下部ガス導入口602より導入されるプロセスガスは、ガスコントローラー412が各々のバルブを制御することで任意の時間だけ、真空容器401内に導入することができる。また、パルス変調器410とガスコントローラー412は同期回路413により結ばれており、アンテナ411に印加される高周波電力に合わせて、上部ガス導入口601及び下部ガス導入口602より導入されるプロセスガスを制御することができる。
かかる構成とすることで、本発明のシーケンスに従って、上部ガス導入口601より導入されるガス流量と下部ガス導入口602より導入されるガス流量そしてアンテナ電力411に印加される高周波電力を制御し、プラズマ414内でCOの解離を抑制しつつ、磁性膜とCOの反応を促進するための励起活性種を生成することができる。
また、該プラズマ中ではプラズマ生成ガスがプラズマ化することで生成された正イオンが可動式電極403に印加された400kHzから13.56MHzの高周波電力415により、基板402に引き込まれる。これにより、基板上に形成された磁性膜はCOガスにより生成された励起活性種による反応と該正イオンによる衝撃により効果的にエッチングすることができる。
図6ではアンテナ411は真空容器401の上方と下方に2ターン巻かれた構成にしているが、1ターン以上10ターン以下であれば、このターン数は特に問わない。また、ターン数を3ターン以上にした場合は真空容器内のプラズマ分布を任意の分布に制御するため、アンテナ同士の間隔が等間隔でなくてもよい。
図6に示したとおり、COガスを導入するための下部ガス導入口602をウェハ近傍に設置することで、下部ガス導入口602とウェハとの距離を縮めることができ、下部ガス導入口601から導入されたCOがウェハに到達するまでに真空容器401との衝突で減少するのを抑制し、ウェハに効率よくCOガスを供給することができる。
なお、図6ではICPを用いたプラズマエッチング装置について記載したが、本発明を用いたシーケンスはCCP・ECRプラズマ・ヘリコン波プラズマ・表面波プラズマなどを用いた他の放電方式に用いてもよい。
第一から第三の実施例ではアンテナ電力をパルス変調し、アンテナ電力がOFFまたはパルス的に低くなったときにCOガスを導入する方法を記載したが、COガスにNHやHを混合して導入することで、さらに解離を抑制することができる。
また、有毒なCOガスの代わりにCHOHやCOHやCOHやCOを用いることでより安全に加工できる。そこで、より安全性を高めるために、C及びOを成分とするガスとして、COのみならず、CHOHやCOHやCOHやCOを用いてもよい。
ただし、COの代わりにCHOHやCOHやCOHやCOを用いた場合、解離を抑制しすぎるとCOの励起活性種が発生しない可能性があるため、アンテナ電力がパルス的に低いときの電力値をプロセスに合わせて調整する必要がある。
以上説明したように、本発明によれば、C及びOを成分とするガスの解離を抑制しつつ、磁性膜とC及びOを成分とするガスの反応を促進するための励起活性種を生成することができ、基板上に形成された磁性膜を効率よくエッチングすることができ、磁気抵抗メモリ等に用いられる磁性膜の生産効率を著しく高めることができる。
401…真空容器、402…基板、403…可動式電極、404…真空ベローズ、405…第一のガス導入口、406…第二のガス導入口、407…排気口、408…調圧バルブ、409…第一の高周波電源、410…パルス変調機、411…アンテナ、412…ガスコントローラー、413…同期回路、414…プラズマ、415…第二の高周波電源、501…第二の長孔ガス導入口、601…上部ガス導入口、602…下部ガス導入口1001…真空容器、1002…基板、1003…基板ホルダ、1004…アンテナ、1005…高密度のプラズマ領域、1006…第一のガス導入口、1007…第二のガス導入口、1008…アフターグロー領域。

Claims (4)

  1. パルス変調されたプラズマにより被エッチング膜をエッチングするプラズマ処理方法において、
    前記パルス変調の振幅が第一の振幅値である期間に希ガスを前記被エッチング膜がエッチングされる処理室内に供給し、
    前記パルス変調の振幅が前記第一の振幅値より小さい第二の振幅値である期間は、第一の期間と前記第一の期間後の期間である第二の期間を有し、
    前記第一の期間は、化学反応による前記被エッチング膜のエッチングに寄与するエッチング用ガスが前記処理室内に供給されない期間であり、
    前記第二の期間は、前記エッチング用ガスが前記処理室内に供給される期間であり、
    前記第一の期間の時間は、電子温度の緩和時間に基づいて規定された時間であることを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理方法において、
    前記パルス変調の振幅が前記第一の振幅値より小さい第二の振幅値である期間は、さらに前記エッチング用ガスが前記処理室内に供給されない期間であり、かつ、前記第二の期間後の期間である第三の期間を有し、
    前記第三の期間の時間は、前記エッチング用ガスの滞在時間に基づいて規定された時間であることを特徴とするプラズマ処理方法。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理方法において、
    前記第二の期間にさらに前記希ガスを前記処理室内に供給することを特徴とするプラズマ処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法において、
    前記第一の期間の時間は、1μs以上であることを特徴とするプラズマ処理方法。
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