次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の第一実施形態に係るコンバイン100の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。なお、図1の矢印A方向を進行方向として定義する。コンバイン100は、走行部2と、穀稈を刈り取る刈取部3と、脱穀部4と、穀稈を脱穀部へと搬送する搬送部5と、グレンタンク6と、排出オーガ7と、運転操作部8と、エンジン9と、を具備する。走行部2は、左右一対のクローラ11・11から構成される。左右一対のクローラ11・11は、走行機体1を支持する。刈取部3は、穀稈を刈り取る部分であり、走行機体1の前部に設けられている。本実施形態では、四条刈の刈取部3を設けている。脱穀部4は刈取部3において刈り取られた穀稈を脱穀する部分であり、走行機体1の上部に設けられている。搬送部5は、刈取部3から送られる穀稈を脱穀部4へと搬送する部分であり、穀稈を脱穀部へと搬送するフィードチェーン12と、フィードチェーン12の前方に配置され、刈取部3とフィードチェーン12との間に設けられた、補助搬送装置13とを有する。グレンタンク6は脱穀後の穀粒を貯留するタンクであり、脱穀部4の側方に搭載されている。排出オーガ7は、グレンタンク6に貯溜された穀粒を外部へ排出するための装置であり、グレンタンク6の上部に配置されている。運転操作部8は、走行機体1の前部に設けられており、運転座席14、操向ハンドル15や各種の操作レバーなどを備えた操作装置を配置している。運転座席14の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン9が配置されている。
次に、刈取部3の構成について図1、図2及び図3を用いて説明する。刈取部3は、刈取フレーム21と、刈取フレーム21の前端に設けられた複数の分草板22と、刈取フレーム21の前部に設けられた複数の引起ケース23と、上部搬送装置32と、下部搬送装置30と、縦搬送装置34と、を有している。刈取フレーム21は、後部が走行機体1に上下回動可能に支持されている。分草板22は、圃場の未刈り穀稈を四条分で分草するためのものであり、本実施形態では、五個設けられている。引起ケース23は、後傾姿勢で左右方向に並べて立設されている。また、各引起ケース23にはそれぞれ引起タイン24が設けられており、穀稈の引起しを行う。
引起ケース23の下部後方にはスターホイル25及び掻込み用の突起付ベルト26を設けており、スターホイル25及び突起付ベルト26によって、引起こされた未刈穀稈の稈元を後方に掻き込む。また、刈取フレーム21の下方には刈刃27が設けられており、掻き込まれた未刈穀稈は刈刃27によって切断される。
刈取穀稈の稈元を前方から後方に搬送する下部搬送装置30が、後述する刈取フレーム21に支持されている。刈取穀稈の穂先側を後方へ搬送する上部搬送装置32と、下部搬送装置30の送り終端部近傍にて合流した四条分の穀稈を搬送部5のフィードチェーン12の送り始端に受継ぎ搬送させる縦搬送装置34と、が、図示しない縦搬送駆動ケースに支持されている。また、刈取部3と走行機体1との間には、図示しない刈取昇降シリンダを有している。このように構成することによって、刈取昇降シリンダを伸縮させることにより刈取部3全体を昇降可能に構成している。また、縦搬送装置34を上下に揺動させることにより、扱深調節を可能としている。
また、刈取部3は、その内部の各装置やエンジン及びミッションケース等のメンテナンスをし易くするために、走行機体1のフィードチェーン12側の前部一側方に立設された鉛直支軸20を中心(支点)にして水平回動可能(開閉回動可能)に構成されている。
次に、刈取部3の動力伝達機構について図3を用いて説明する。エンジン9からの動力が走行部2のミッションケース40へと伝達され、ミッションケース40から走行部出力プーリ41へと動力が伝達される。走行部出力プーリ41から刈取部第一入力プーリ42へと動力が伝達される。走行部出力プーリ41と刈取部第一入力プーリ42との間にはベルトが巻回されている。また、脱穀部出力プーリ43から刈取部第二入力プーリ44へと動力が伝達される。脱穀部出力プーリ43と刈取部第二入力プーリ44との間にはベルトが巻回されており、ベルトの中途部にはテンションクラッチ45が設けられている。
通常作業時には、テンションクラッチ45は切状態になっており、走行部出力プーリ41から刈取部第一入力プーリ42へと動力が伝達される。また、走行部2が停止状態にあるときに、穀稈の流し込み作業のみを行う場合には、脱穀部4が駆動しているので、テンションクラッチ45を入状態にすることによって、脱穀部出力プーリ43から刈取部第二入力プーリ44へと伝達される。
刈取部第一入力プーリ42及び刈取部第二入力プーリ44は、刈取入力軸を構成する刈取第一軸47の一端に固設されている。
また、刈取第一軸47は、軸心方向が進行方向に対して左右方向になるように配置されている。刈取第一軸47の中途部には二つのベベルギヤが固設されており、一方のベベルギヤを介して上部搬送軸48に動力を伝達している。上部搬送軸48は、上部搬送装置32へと動力を伝達するための軸である。また、他方のべベルギヤを介して、刈取第二軸51へと動力が伝達される。また、刈取第一軸47の他端には補助搬送装置13の補助搬送駆動ケース110が固設されている。
刈取第二軸51の中途部にはベベルギヤが固設されており、ベベルギヤを介して下部搬送軸53及び縦搬送軸55へと動力が伝達される。下部搬送軸53及び縦搬送軸55は、それぞれ下部搬送装置30及び縦搬送装置34へと動力を伝達するための軸である。また、刈取第二軸51の他端にはベベルギヤが固設されており、ベベルギヤを介して刈取第三軸58へと動力が伝達される。
刈取第三軸58の他端にはベベルギヤが固設されており、ベベルギヤを介して刈刃駆動軸59へと動力が伝達される。刈刃駆動軸59は、刈刃27へと動力を伝達するための軸である。また、刈取第三軸58の中途部にはベベルギヤが固設されており、ベベルギヤを介して刈取第四軸62へと動力が伝達される。
刈取第四軸62の中途部にはベベルギヤが固設されており、ベベルギヤ及び動力伝達軸63を介してさらに搬送軸64へと動力を伝達する。搬送軸64はスターホイル25・25、突起付ベルト26・26、下部搬送装置30、及び上部搬送装置32へと動力を伝達するための軸である。刈取第四軸62の他端には、二枚のギヤが固設されており、ギヤを介して刈取第五軸71へと動力が伝達される。
刈取第五軸71の他端にはベベルギヤが固設されており、ベベルギヤを介して刈取第六軸72へと動力が伝達される。そして、刈取第六軸72から引起軸73を介して、図2に示す複数の引起ケース23・23・23・23のチェーンを駆動し、引起タイン24を駆動する。
次に、第一実施形態に係る脱穀部4及び搬送部5の動力伝達機構について図4を用いて説明する。エンジン9に設けられた出力プーリ81から動力伝達ケース85の入力プーリ82へと動力が伝達される。出力プーリ81と入力プーリ82との間にはベルトが巻回されている。入力プーリ82は動力伝達第一軸83の一端に固設されている。動力伝達第一軸83の他端側は動力伝達ケース85に収納されている。
動力伝達ケース85内には、脱穀部用伝動装置86が収納される。動力伝達ケース85は、脱穀部4の前方に配置されている。また、動力伝達ケース85の側方端部はフィードチェーン12よりも機体内側になるように配置されている。このように構成することにより、機体幅内に収めることができる。脱穀部用伝動装置86は、脱穀部4へ動力を伝達するものであり、動力伝達軸第二軸95及び脱穀部出力軸91を有する。つまり、左右幅を増加させることなくフィードチェーン12に動力を伝達できるようにしている。
動力伝達第一軸83の他端にはギヤが設けられており、ギヤを介して一端にギヤを設けた動力伝達第二軸95へ動力が伝達される。動力伝達第二軸95の中途部にはべベルギヤが固設されており、べベルギヤを介し脱穀部出力軸91へと動力が伝達される。脱穀部出力軸91は、図示せぬ扱胴や排藁処理装置へ動力を伝達するための軸である。動力伝達第二軸95の他端にはギヤが設けられており、ギヤを介して変速入力軸96へと動力が伝達される。変速入力軸96の他端には、フィードチェーン変速機構としてのベルト式無段変速機108の入力プーリ120が設けられている。
また、入力プーリ120は、ベルト190を介して出力プーリ150へ動力を伝達する。出力プーリ150は、変速出力軸160へ動力を出力する。
変速出力軸160の端部には、動力伝達プーリ97が設けられており、動力伝達プーリ97を介して、変速入力軸96に相対回動可能に間接されている動力伝達プーリ98へと動力が伝達される。動力伝達プーリ98の他端にはギヤが設けられており、当該ギヤは複数のギヤからなる動力伝達機構を介して、フィードチェーン出力軸99に動力を伝達する。動力伝達プーリ97・98、ギヤ及び動力伝達機構は、フィードチェーン用ギヤケース101に収納されている。
また、動力伝達機構には、フィードチェーン停止機構93が設けられている。フィードチェーン停止機構93は、フィードチェーン12への動力伝達の入切を切り替えるための機構である。フィードチェーン停止機構93は、クラッチ機構によって構成されている。詳細には、動力伝達機構は、切替軸102を有し、切替軸102にはクラッチが軸方向摺動可能に固設されている。切替軸102には図示せぬクラッチ摺動機構を介してモータ103が連結されている。モータ103を駆動して切替軸102を移動させて、クラッチをギヤと相対回転不能に連結することで入状態にする。また、モータ103を駆動して切替軸102を移動させることにより、クラッチをギヤと離間させることで切状態にする。
モータ103はECU(Engine Control Unit)107に接続されている。ECU107は、エンジン9にも接続されており、例えば、ECU107の電源が遮断された場合には、エンジン9の駆動も止まる。しかし、脱穀部用伝動装置86の脱穀部出力軸91は、エンジン9の駆動停止後も慣性によりしばらくの間回動し続けるため、変速入力軸96にも脱穀部出力軸91の回動する力が伝わりフィードチェーン12が回り続けることがあった。そこで、ECU107の電源が遮断された場合(エンジン9が停止した場合)には、モータ103へ電力を供給して、モータ103を駆動させてフィードチェーン停止機構93を駆動し、フィードチェーン12への動力を遮断することにより、フィードチェーン12を強制的に停止することができる。但し、モータ103の替わりにソレノイド等のアクチュエータにより駆動することにより、エンジン9が作動するときは、オンとし、エンジン9が停止した場合は、オフとする構成としてもよく、限定するものではない。
次に、フィードチェーン変速機構としてのベルト式無段変速機108について説明する。
ベルト式無段変速機108は、伝達される動力を無段階に変速した後に出力するものである。以下では、図5を用いて、ベルト式無段変速機108について詳細に説明する。ベルト式無段変速機108は、変速入力軸96と、変速入力軸96の端部に連結された第一プーリとしての入力プーリ120と、油圧シリンダ130と、伝達軸140と、第二プーリとしての出力プーリ150と、出力プーリ150に連結された変速出力軸160と、スプリング170と、カム機構180と、ベルト190と、を具備する。
図4及び図5に示すように、入力プーリ120は、動力伝達ケース85から機体外側に突出した変速入力軸96の一端に連結される。変速入力軸96は、軸線方向を機体左右方向として配置される。
入力プーリ120は、変速入力軸96上に配置され、一対のプーリ部材としてのシーブを具備する滑車である。入力プーリ120は、機体内側に設けられたプーリ部材としての固定シーブ121、機体外側に設けられたプーリ部材としての可動シーブ122等を具備する。
固定シーブ121は、略円筒形状の軸筒部、及び当該軸筒部の一端に一体的に形成される環状かつ側面断面視で略円錐台形状のシーブ部を有する部材である。固定シーブ121は、シーブ部を軸筒部よりも機体外側に配置して、変速入力軸96に相対回転不能に外嵌される。固定シーブ121のシーブ部の機体外側面121aは傾斜面として形成される。
可動シーブ122は、略円筒形状の軸筒部、及び当該軸筒部の一端に一体的に形成される環状かつ側面断面視で略円錐台形状のシーブ部を有する部材である。可動シーブ122は、変速入力軸96に対して軸線方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される。可動シーブ122のシーブ部の機体内側面122aは傾斜面として形成される。固定シーブ121の機体外側面121aと可動シーブ122の機体内側面122aとが変速入力軸96上で対向するように配置されることで、入力プーリ120の溝が形成される。
油圧シリンダ130は、可動シーブ122を変速入力軸96上でその軸線方向に摺動させるものである。油圧シリンダ130は、可動側シリンダケース131、固定側シリンダケース132等を具備する。
可動側シリンダケース131は、その機体外側面が開放された箱状の部材である。可動側シリンダケース131は、可動シーブ122のシーブ部の機体外側面と可動側シリンダケース131の機体内側面とを当接させた状態で可動シーブ122に固設される。
固定側シリンダケース132は、その機体内側面が開放された箱状の部材である。固定側シリンダケース132の機体内側面は、可動側シリンダケース131の開放側(機体外側)から当該可動側シリンダケース131に挿通される。固定側シリンダケース132と可動側シリンダケース131との間には、図示せぬシール部材が配置される。
このように構成された油圧シリンダ130において、可動シーブ122、可動側シリンダケース131、及び固定側シリンダケース132により閉塞された空間が形成される。図示せぬ油路を介して前記空間に作動油を圧送することにより、可動側シリンダケース131が変速入力軸96上を機体内側に向かって摺動する。すなわち、油圧シリンダ130が伸張する。この状態で、前記空間から作動油を排出可能な状態にした後に、可動側シリンダケース131を機体外側に向かって付勢すると、可動側シリンダケース131が変速入力軸96上を機体外側に向かって摺動する。すなわち、油圧シリンダ130が縮小する。前記油路は電磁バルブからなる切換バルブを介して油圧ポンプおよび作動油タンクと接続され、切換バルブのソレノイドは制御回路と接続されている。該制御回路には速度検知手段と接続され、走行速度に応じて切換バルブが切り換えられる。
図5に示すように、伝達軸140は、軸線方向を前後方向に向けて変速入力軸96と平行に配置される。
第二プーリとしての出力プーリ150は、伝達軸140上に配置され、一対のプーリ部材としてのシーブを具備する滑車である。出力プーリ150は、機体外側に設けられたプーリ部材としての固定シーブ151、機体内側に設けられたプーリ部材としての可動シーブ152等を具備する。
固定シーブ151は、固定シーブ121と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。固定シーブ151のシーブ部の機体内側面151aは、傾斜面として形成される。固定シーブ151は、伝達軸140に固定されている。固定シーブ151の軸部は軸受151eに挿通され、当該軸受151eに対して回動可能に支持される。
可動シーブ152は、可動シーブ122と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。可動シーブ152のシーブ部の機体外側面152aは傾斜面として形成される。可動シーブ152は、伝達軸140に対して軸線方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される。固定シーブ151の機体内側面151aと可動シーブ152の機体外側面152aとが対向するように配置されることで、出力プーリ150の溝が形成される。
変速出力軸160は、伝達軸140と同一軸線上に配置されるものである。変速出力軸160の機体外側には、外筒部161及び内筒部162が形成される。外筒部161は、軸線方向を左右方向に向けて配置され、機体外側が開放された有底筒状に形成される。内筒部162は、外筒部161内において、軸線方向を左右方向に向けて配置され、機体外側が開放された有底筒上に形成される。外筒部161及び内筒部162は、その軸線が一致して、左右方向に所定の長さを有するように形成される。外筒部161の内周面と内筒部162の外周面との間には、一定の隙間が形成される。変速出力軸160の左右中途部は軸受164に挿通され、当該軸受164に対して回動可能に支持される。変速出力軸160の内筒部162には、伝達軸140の内側端部が相対回転可能かつ軸方向摺動可能に支持される。
スプリング170は、可動シーブ152を機体外側へと付勢するものである。スプリング170は、変速出力軸160の外筒部161と内筒部162との隙間に配置される。スプリング170の機体内側端は変速出力軸160と当接され、スプリング170の機体外側端は可動シーブ152の機体外側端と当接される。スプリング170の付勢力によって、可動シーブ152は機体外側、すなわち固定シーブ151と近接する方向へと付勢される。
また、カム機構180は、出力プーリ150及び変速出力軸160間のトルクの伝達を可能とするものである。カム機構180は、シーブ側カム181、軸側カム182等を具備する。
シーブ側カム181は、略円筒形状の部材である。シーブ側カム181は、軸線方向を左右方向に向けて、かつ軸線が伝達軸140の軸線と一致するように配置される。シーブ側カム181の機体外側面には、軸線方向と直交する平面が形成され、シーブ側カム181の機体内側面には、カム面が形成される。
シーブ側カム181には、機体外側から可動シーブ152の軸筒部が挿通される。可動シーブ152のシーブ部の機体内側面とシーブ側カム181の機体外側面とを当接させた状態でシーブ側カム181は可動シーブ152に固設される。
軸側カム182は、軸線方向を左右方向に向けて、かつ軸線が伝達軸140の軸線と一致するように配置される。軸側カム182の機体内側面には、軸線方向と直交する平面が形成され、軸側カム182の機体外側面にはカム面が形成される。
軸側カム182には機体外側から伝達軸140が挿通される。変速出力軸160の外筒部161の機体外側面と軸側カム182の機体内側面とを当接させ、軸側カム182は変速出力軸160に固設される。その結果、シーブ側カム181の機体内側面と軸側カム182の機体外側面とが対向するように配置される。
ベルト190は、入力プーリ120の溝及び出力プーリ150の溝に巻回され、入力プーリ120の動力を出力プーリ150へと伝達するものである。ベルト190は、金属製の薄板が重ねられたバンドと、金属製のエレメントからなる金属ベルトである。なお、本発明はこれに限るものではなく、ベルト190としてゴム製、チェーン製、又は樹脂製のベルトを用いてもよい。
入力プーリ120の溝に巻回されたベルト190は、油圧シリンダ130により所定の力で可動シーブ122が固定シーブ121側へと押されることで、入力プーリ120に挟持される。出力プーリ150の溝に巻回されたベルト190は、スプリング170の付勢力等により所定の力で可動シーブ152が固定シーブ151側へと押されることで、出力プーリ150に挟持される。
以下では、上述の如く構成されたベルト式無段変速機108における、動力伝達の態様について説明する。
エンジン9からの動力により変速入力軸96が回転されると、変速入力軸96とともに入力プーリ120も回転される。入力プーリ120が回転されると、ベルト190を介して出力プーリ150が回転される。出力プーリ150が回転されると、出力プーリ150に固設されたシーブ側カム181が回転される。シーブ側カム181が回転すると、シーブ側カム181のカム面と軸側カム182のカム面とが当接し、シーブ側カム181の回転に伴って軸側カム182が回転される。軸側カム182が回転されると、変速出力軸160が回転され、当該変速出力軸160から動力が出力される。
変速出力軸160の他端には、フィードチェーン回動スプロケット105が設けられている。フィードチェーン回動スプロケット105は、フィードチェーン12の前下部に配置されており、フィードチェーン回動スプロケット105が回動することにより、フィードチェーン12を回動させることができる。
前記切換バルブを作動し、油圧シリンダ130内の空間へ作動油を圧送し、油圧シリンダ130を伸張させた場合、可動シーブ122が変速入力軸96上を機体内側に向かって摺動するため、固定シーブ121の機体内側面121aと可動シーブ122の機体外側面122aとの間隔(入力プーリ120の溝幅)が狭くなる。入力プーリ120の溝幅が狭くなると、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が大きくなる。ベルト190の全長は一定であるため、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が大きくなると、出力プーリ150の可動シーブ152がスプリング170の付勢力に抗して機体内側へと摺動して、出力プーリ150の溝幅が広くなり、出力プーリ150に巻回されるベルト190の径(以下、単に「出力プーリ径」と記す)は小さくなる。このように入力プーリ120に巻回されるベルト190の径を大きくし、出力プーリ径を小さくすることで、ベルト式無段変速機108の変速比が増速側へと変わる。これにより、フィードチェーン回動スプロケット105が増速し、フィードチェーン12の搬送速度を増速側へ変速することができる。例えば、車速が速くなった場合には、フィードチェーン12の搬送速度を増速側へ変更することにより、搬送効率を向上させることができる。
出力プーリ径を小さくして、ベルト式無段変速機108の変速比を増速側へ変更する際において、機体外側に設けられた可動シーブ122を機体内側に向かって摺動させた場合、入力プーリ120の固定シーブ121を機体内側に設け、出力プーリ150の固定シーブ151を機体外側に設けたことにより、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。すなわち、固定シーブ121及び固定シーブ151が異なる方向からベルト190を支持することにより、同じ方向からベルト190を支持するときと比較してベルト幅中心の左右方向へのずれを防止することで、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。
前記切換バルブを作動し、油圧シリンダ130内の空間の作動油を排出可能な状態にすると、入力プーリ120に巻回されているベルト190の張力の機体外側への分力により、可動シーブ122が機体外側に向かって摺動するため、入力プーリ120の溝幅が広くなる。入力プーリ120の溝幅が広くなると、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が小さくなる。ベルト190の全長は一定であるため、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が小さくなると、出力プーリ150の可動シーブ152がスプリング170の付勢力により機体外側へと摺動して、出力プーリ150の溝幅が狭くなり、出力プーリ径は大きくなる。このように入力プーリ120に巻回されるベルト190の径を小さくし、出力プーリ径を大きくすることで、ベルト式無段変速機108の変速比が減速側へと変わる。これにより、フィードチェーン回動スプロケット105が減速し、フィードチェーン12の搬送速度を減速側へ変速することができる。例えば、車速が遅くなった場合には、フィードチェーン12の搬送速度を減速側へ変更することにより、搬送効率を向上させることができる。
出力プーリ径を大きくして、ベルト式無段変速機108の変速比を減速側へ変更する際において、機体外側に設けられた可動シーブ122が機体外側に向かって摺動した場合、入力プーリ120の固定シーブ121を機体内側に設け、出力プーリ150の固定シーブ151を機体外側に設けたことにより、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。すなわち、固定シーブ121及び固定シーブ151が異なる方向からベルト190を支持することにより、同じ方向からベルト190を支持するときと比較してベルト幅中心の左右方向へのずれを防止することで、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。
また、カム機構180は、シーブ側カム181から軸側カム182へと伝達するトルクに応じて、出力プーリ150に押付力を発生させることができる。詳細には、カム機構180が伝達するトルクに応じて、シーブ側カム181と軸側カム182との間に捩れが生じる。この場合、シーブ側カム181のカム面と軸側カム182のカム面とが当接しているため、当該当接した面に従ってシーブ側カム181と軸側カム182とが離間する方向に力が発生する。当該力によりシーブ側カム181が軸側カム182から離間する方向に移動することで、可動シーブ152が固定シーブ151へと付勢される。また、可動シーブ152はスプリング170によっても固定シーブ151へと付勢されているため、カム機構180による付勢力とスプリング170による付勢力との合力が、出力プーリ150の押付力となる。これにより、トルクに応じた出力プーリ150の押付力を発生させることができる。
次に、発明の第二実施形態に係るコンバインについて説明する。なお、本実施形態において第一実施形態と同一の構成である部分については、同一の番号を付して説明を省略する。まず、第二実施形態に係る脱穀部4及び搬送部5の動力伝達機構について図6を用いて説明する。エンジン9に設けられた出力プーリ81から動力伝達ケース85の入力プーリ82へと動力が伝達される。出力プーリ81と入力プーリ82との間にはベルトが巻回されている。入力プーリ82は動力伝達第一軸83の一端に固設されている。動力伝達第一軸83の他端側は動力伝達ケース85に収納されている。
動力伝達ケース85内には、脱穀部用伝動装置86及びフィードチェーン用伝動装置207が収納される。動力伝達ケース85は、脱穀部4の前方に配置されている。また、動力伝達ケース85の側方端部はフィードチェーン12よりも機体内側になるように配置されている。このように構成することにより、機体幅内に収めることができる。脱穀部用伝動装置86は、脱穀部4へ動力を伝達するものであり、脱穀部出力軸91を有する。つまり、左右幅を増加させることなくフィードチェーン12に動力を伝達できるようにしている。
また、フィードチェーン用伝動装置207は、フィードチェーン12へ動力を伝達するものであり、フィードチェーン停止機構213を有する。フィードチェーン用伝動装置207は脱穀部用伝動装置86よりも動力伝達における下流側に配置される。言い換えれば、エンジン9からの動力は、脱穀部用伝動装置86とフィードチェーン用伝動装置207とに分岐して伝達される。
動力伝達第一軸83の他端にはギヤが設けられており、ギヤを介して一端にギヤを設けた動力伝達第二軸95へ動力が伝達される。動力伝達第二軸95の中途部にはべベルギヤが固設されており、べベルギヤを介し脱穀部出力軸91へと動力が伝達される。脱穀部出力軸91は、図示せぬ扱胴や排藁処理装置へ動力を伝達するための軸である。動力伝達第二軸95の他端にはギヤが設けられており、ギヤを介して動力伝達第三軸216へと動力が伝達される。動力伝達第三軸216の他端にはギヤが設けられており、ギヤを介して動力伝達第三軸216から動力伝達第四軸218へと動力が伝達される。
動力伝達第四軸218の他端には、フィードチェーン停止機構213が設けられている。フィードチェーン停止機構213は、フィードチェーン12への動力伝達の入切を切り替えるための機構である。フィードチェーン停止機構213は、クラッチ機構によって構成されている。詳細には動力伝達第四軸218の一端に設けられたギヤと切替軸222の中途部に相対回動可能に設けられたギヤとが噛合しており、切替軸222にはクラッチが軸方向摺動可能に固設されている。切替軸222には図示せぬクラッチ摺動機構を介してモータ103が連結されている。モータ103を駆動して切替軸222を移動させて、クラッチをギヤと相対回転不能に連結することで入状態にする。また、モータ103を駆動して切替軸222を移動させることにより、クラッチをギヤと離間させることで切状態にする。
モータ103はECU(Engine Control Unit)107に接続されている。ECU107は、エンジン9にも接続されており、例えば、ECU107の電源が遮断された場合には、エンジン9の駆動も止まる。しかし、脱穀部用伝動装置86の脱穀部出力軸91は、エンジン9の駆動停止後も慣性によりしばらくの間回動し続けるため、フィードチェーン用伝動装置207にも脱穀部出力軸91の回動する力が伝わりフィードチェーン12が回り続けることがあった。そこで、ECU107の電源が遮断された場合(エンジン9が停止した場合)には、モータ103へ電力を供給して、モータ103を駆動させてフィードチェーン停止機構213を駆動し、フィードチェーン12への動力を遮断することにより、フィードチェーン12を強制的に停止することができる。但し、モータ103の替わりにソレノイド等のアクチュエータにより駆動することにより、エンジン9が作動するときは、オンとし、エンジン9が停止した場合は、オフとする構成としてもよく、限定するものではない。
また、フィードチェーン用伝動装置207はフィードチェーン変速機構としてのベルト式無段変速機108に接続される。切替軸222の他端にはギヤが設けられており、ギヤを介してフィードチェーン変速機構としてのベルト式無段変速機108を構成する変速入力軸214に動力が伝達される。
ベルト式無段変速機108は、伝達される動力を無段階に変速した後に出力するものである。以下では、図7を用いて、ベルト式無段変速機108について詳細に説明する。ベルト式無段変速機108は、変速入力軸214と、変速入力軸214の端部に連結された第一プーリとしての入力プーリ120と、油圧シリンダ130と、伝達軸140と、第二プーリとしての出力プーリ150と、出力プーリ150に連結された変速出力軸160と、スプリング170と、カム機構180と、ベルト190と、を具備する。
図6及び図7に示すように、入力プーリ120は、動力伝達ケース85から機体外側に突出した変速入力軸214の一端に連結される。変速入力軸214は、軸線方向を機体左右方向として配置される。
入力プーリ120は、変速入力軸214上に配置され、一対のプーリ部材としてのシーブを具備する滑車である。入力プーリ120は、機体外側に設けられたプーリ部材としての固定シーブ121、機体内側に設けられたプーリ部材としての可動シーブ122等を具備する。
固定シーブ121は、略円筒形状の軸筒部、及び当該軸筒部の一端に一体的に形成される環状かつ側面断面視で略円錐台形状のシーブ部を有する部材である。固定シーブ121は、シーブ部を軸筒部よりも機体内側に配置して、変速入力軸214に相対回転不能に外嵌される。固定シーブ121のシーブ部の機体内側面121aは傾斜面として形成される。
可動シーブ122は、略円筒形状の軸筒部、及び当該軸筒部の一端に一体的に形成される環状かつ側面断面視で略円錐台形状のシーブ部を有する部材である。可動シーブ122は、変速入力軸94に対して軸線方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される。可動シーブ122のシーブ部の機体外側面122aは傾斜面として形成される。固定シーブ121の機体内側面121aと可動シーブ122の機体外側面122aとが変速入力軸94上で対向するように配置されることで、入力プーリ120の溝が形成される。
油圧シリンダ130は、可動シーブ122を変速入力軸214上でその軸線方向に摺動させるものである。油圧シリンダ130は、可動側シリンダケース131、固定側シリンダケース132等を具備する。
可動側シリンダケース131は、その機体内側面が開放された箱状の部材である。可動側シリンダケース131は、可動シーブ122のシーブ部の機体内側面と可動側シリンダケース131の機体外側面とを当接させた状態で可動シーブ122に固設される。
固定側シリンダケース132は、その機体外側面が開放された箱状の部材である。固定側シリンダケース132の機体外側面は、可動側シリンダケース131の開放側(機体内側)から当該可動側シリンダケース131に挿通される。固定側シリンダケース132と可動側シリンダケース131との間には、図示せぬシール部材が配置される。
このように構成された油圧シリンダ130において、可動シーブ122、可動側シリンダケース131、及び固定側シリンダケース132により閉塞された空間が形成される。図示せぬ油路を介して前記空間に作動油を圧送することにより、可動側シリンダケース131が変速入力軸214上を機体外側に向かって摺動する。すなわち、油圧シリンダ130が伸張する。この状態で、前記空間から作動油を排出可能な状態にした後に、可動側シリンダケース131を機体内側に向かって付勢すると、可動側シリンダケース131が変速入力軸214上を機体内側に向かって摺動する。すなわち、油圧シリンダ130が縮小する。前記油路は電磁バルブからなる切換バルブを介して油圧ポンプおよび作動油タンクと接続され、切換バルブのソレノイドは制御回路と接続されている。該制御回路には速度検知手段と接続され、走行速度に応じて切換バルブが切り換えられる。
図7に示すように、伝達軸140は、軸線方向を前後方向に向けて変速入力軸214と平行に配置される。
第二プーリとしての出力プーリ150は、伝達軸140上に配置され、一対のプーリ部材としてのシーブを具備する滑車である。出力プーリ150は、機体内側に設けられたプーリ部材としての固定シーブ151、機体外側に設けられたプーリ部材としての可動シーブ152等を具備する。
固定シーブ151は、固定シーブ121と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。固定シーブ151のシーブ部の機体外側面151aは、傾斜面として形成される。固定シーブ151は、伝達軸140に固定されている。固定シーブ151の軸部は軸受151eに挿通され、当該軸受151eに対して回動可能に支持される。
可動シーブ152は、可動シーブ122と同一の材質で、同一の形状に形成される部材である。可動シーブ152のシーブ部の機体内側面152aは傾斜面として形成される。可動シーブ152は、伝達軸140に対して軸線方向に摺動可能かつ相対回転不能に支持される。固定シーブ151の機体外側面151aと可動シーブ152の機体内側面152aとが対向するように配置されることで、出力プーリ150の溝が形成される。
変速出力軸160は、伝達軸140と同一軸線上に配置されるものである。変速出力軸160の機体内側には、外筒部161及び内筒部162が形成される。外筒部161は、軸線方向を左右方向に向けて配置され、機体内側が開放された有底筒状に形成される。内筒部162は、外筒部161内において、軸線方向を左右方向に向けて配置され、機体内側が開放された有底筒上に形成される。外筒部161及び内筒部162は、その軸線が一致して、左右方向に所定の長さを有するように形成される。外筒部161の内周面と内筒部162の外周面との間には、一定の隙間が形成される。変速出力軸160の左右中途部は軸受164に挿通され、当該軸受164に対して回動可能に支持される。変速出力軸160の内筒部162には、伝達軸140の外側端部が相対回転可能かつ軸方向摺動可能に支持される。
スプリング170は、可動シーブ152を機体内側へと付勢するものである。スプリング170は、変速出力軸160の外筒部161と内筒部162との隙間に配置される。スプリング170の機体外側端は変速出力軸160と当接され、スプリング170の機体内側端は可動シーブ152の機体外側端と当接される。スプリング170の付勢力によって、可動シーブ152は機体内側、すなわち固定シーブ151と近接する方向へと付勢される。
また、カム機構180は、出力プーリ150及び変速出力軸160間のトルクの伝達を可能とするものである。カム機構180は、シーブ側カム181、軸側カム182等を具備する。
シーブ側カム181は、略円筒形状の部材である。シーブ側カム181は、軸線方向を左右方向に向けて、かつ軸線が伝達軸140の軸線と一致するように配置される。シーブ側カム181の機体内側面には、軸線方向と直交する平面が形成され、シーブ側カム181の機体外側面には、カム面が形成される。
シーブ側カム181には、機体内側から可動シーブ152の軸筒部が挿通される。可動シーブ152のシーブ部の機体外側面とシーブ側カム181の機体内側面とを当接させた状態でシーブ側カム181は可動シーブ152に固設される。
軸側カム182は、軸線方向を左右方向に向けて、かつ軸線が伝達軸140の軸線と一致するように配置される。軸側カム182の機体外側面には、軸線方向と直交する平面が形成され、軸側カム182の機体内側面にはカム面が形成される。
軸側カム182には機体内側から伝達軸140が挿通される。変速出力軸160の外筒部161の機体内側面と軸側カム182の機体外側面とを当接させ、軸側カム182は変速出力軸160に固設される。その結果、シーブ側カム181の機体外側面と軸側カム182の機体内側面とが対向するように配置される。
ベルト190は、入力プーリ120の溝及び出力プーリ150の溝に巻回され、入力プーリ120の動力を出力プーリ150へと伝達するものである。ベルト190は、金属製の薄板が重ねられたバンドと、金属製のエレメントからなる金属ベルトである。なお、本発明はこれに限るものではなく、ベルト190としてゴム製、チェーン製、又は樹脂製のベルトを用いてもよい。
入力プーリ120の溝に巻回されたベルト190は、油圧シリンダ130により所定の力で可動シーブ122が固定シーブ121側へと押されることで、入力プーリ120に挟持される。出力プーリ150の溝に巻回されたベルト190は、スプリング170の付勢力等により所定の力で可動シーブ152が固定シーブ151側へと押されることで、出力プーリ150に挟持される。
以下では、上述の如く構成されたベルト式無段変速機108における、動力伝達の態様について説明する。
エンジン9からの動力により変速入力軸94が回転されると、変速入力軸94とともに入力プーリ120も回転される。入力プーリ120が回転されると、ベルト190を介して出力プーリ150が回転される。出力プーリ150が回転されると、出力プーリ150に固設されたシーブ側カム181が回転される。シーブ側カム181が回転すると、シーブ側カム181のカム面と軸側カム182のカム面とが当接し、シーブ側カム181の回転に伴って軸側カム182が回転される。軸側カム182が回転されると、変速出力軸160が回転され、当該変速出力軸160から動力が出力される。
変速出力軸160の他端には、フィードチェーン回動スプロケット105が設けられている。フィードチェーン回動スプロケット105は、フィードチェーン12の前下部に配置されており、フィードチェーン回動スプロケット105が回動することにより、フィードチェーン12を回動させることができる。
前記切換バルブを作動し、油圧シリンダ130内の空間へ作動油を圧送し、油圧シリンダ130を伸張させた場合、可動シーブ122が変速入力軸94上を機体外側に向かって摺動するため、固定シーブ121の機体内側面121aと可動シーブ122の機体外側面122aとの間隔(入力プーリ120の溝幅)が狭くなる。入力プーリ120の溝幅が狭くなると、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が大きくなる。ベルト190の全長は一定であるため、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が大きくなると、出力プーリ150の可動シーブ152がスプリング170の付勢力に抗して機体外側へと摺動して、出力プーリ150の溝幅が広くなり、出力プーリ150に巻回されるベルト190の径(以下、単に「出力プーリ径」と記す)は小さくなる。このように入力プーリ120に巻回されるベルト190の径を大きくし、出力プーリ径を小さくすることで、ベルト式無段変速機108の変速比が増速側へと変わる。これにより、フィードチェーン回動スプロケット105が増速し、フィードチェーン12の搬送速度を増速側へ変速することができる。例えば、車速が速くなった場合には、フィードチェーン12の搬送速度を増速側へ変更することにより、搬送効率を向上させることができる。
出力プーリ径を小さくして、ベルト式無段変速機108の変速比を増速側へ変更する際において、機体内側に設けられた可動シーブ122を機体外側に向かって摺動させた場合、入力プーリ120の固定シーブ121を機体外側に設け、出力プーリ150の固定シーブ151を機体内側に設けたことにより、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。すなわち、固定シーブ121及び固定シーブ151が異なる方向からベルト190を支持することにより、同じ方向からベルト190を支持するときと比較してベルト幅中心の左右方向へのずれを防止することで、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。
前記切換バルブを作動し、油圧シリンダ130内の空間の作動油を排出可能な状態にすると、入力プーリ120に巻回されているベルト190の張力の機体内側への分力により、可動シーブ122が機体内側に向かって摺動するため、入力プーリ120の溝幅が広くなる。入力プーリ120の溝幅が広くなると、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が小さくなる。ベルト190の全長は一定であるため、入力プーリ120に巻回されるベルト190の径が小さくなると、出力プーリ150の可動シーブ152がスプリング170の付勢力により機体内側へと摺動して、出力プーリ150の溝幅が狭くなり、出力プーリ径は大きくなる。このように入力プーリ120に巻回されるベルト190の径を小さくし、出力プーリ径を大きくすることで、ベルト式無段変速機108の変速比が減速側へと変わる。これにより、フィードチェーン回動スプロケット105が減速し、フィードチェーン12の搬送速度を減速側へ変速することができる。例えば、車速が遅くなった場合には、フィードチェーン12の搬送速度を減速側へ変更することにより、搬送効率を向上させることができる。
出力プーリ径を大きくして、ベルト式無段変速機108の変速比を減速側へ変更する際において、機体内側に設けられた可動シーブ122が機体内側に向かって摺動した場合、入力プーリ120の固定シーブ121を機体外側に設け、出力プーリ150の固定シーブ151を機体内側に設けたことにより、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。すなわち、固定シーブ121及び固定シーブ151が異なる方向からベルト190を支持することにより、同じ方向からベルト190を支持するときと比較してベルト幅中心の左右方向へのずれを防止することで、ベルト190の機体左右方向へのねじれを防止することができる。
また、カム機構180は、シーブ側カム181から軸側カム182へと伝達するトルクに応じて、出力プーリ150に押付力を発生させることができる。詳細には、カム機構180が伝達するトルクに応じて、シーブ側カム181と軸側カム182との間に捩れが生じる。この場合、シーブ側カム181のカム面と軸側カム182のカム面とが当接しているため、当該当接した面に従ってシーブ側カム181と軸側カム182とが離間する方向に力が発生する。当該力によりシーブ側カム181が軸側カム182から離間する方向に移動することで、可動シーブ152が固定シーブ151へと付勢される。また、可動シーブ152はスプリング170によっても固定シーブ151へと付勢されているため、カム機構180による付勢力とスプリング170による付勢力との合力が、出力プーリ150の押付力となる。これにより、トルクに応じた出力プーリ150の押付力を発生させることができる。
以上のように、コンバイン100は、エンジン9からの動力を、ミッションケース40を介して走行部2、及び、刈取部3に伝達するとともに、エンジン9からの動力を、動力伝達ケース85を介して脱穀部4及びフィードチェーン12に伝達するコンバイン100であって、動力伝達ケース85内には、脱穀部用伝動装置86を収納し、動力伝達ケース85は、脱穀部4の前方に配置され、脱穀部用伝動装置86は、ベルト式無段変速機108に接続されるものである。このように構成することにより、フィードチェーン12を変速させることができるので、脱穀部4で穀稈が詰まることがなく作業能率を低下させない。また、エンジン効率の良い回転域のみで運転できる。有段変速機に存在する変速の際のショックが無い滑らかな変速が可能になる。
また、ベルト式無段変速機108は、変速入力軸96と、変速入力軸96の端部に連結された入力プーリ120と、出力プーリ150と、出力プーリ150に連結された変速出力軸160と、を有し、入力プーリ120は、動力伝達ケース85から機体外側に突出した変速入力軸96端部に設けられたものである。このように構成することにより、ベルト式無段変速機108が機体外側に面して配置されているため、メンテナンスが容易となる。
また、入力プーリ120は、機体内側と外側に設けられた固定シーブ121及び可動シーブ122を有し、機体内側に設けられた固定シーブ121を固定し、機体外側に設けられた可動シーブ122を軸方向に移動可能に構成し、出力プーリ150は、機体外側と内側に設けられた固定シーブ151及び可動シーブ152を有し、機体外側に設けられた固定シーブ151を固定し、機体内側に設けられた可動シーブ152を軸方向に移動可能に構成したものである。このように構成することにより、入力プーリ120及び出力プーリ150に巻回されたベルト190がねじれるのを防止することができる。