JP5896718B2 - 圧電発振器 - Google Patents
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Description
圧電発振器では、コルピッツ型、ピアース型等の回路がある。
従来の発振器は、共振器の位相を制御して発振させる回路を用いて、その周波数を制御していた。
従来の圧電発振器について、コルピッツ回路の水晶発振回路とインバータ回路の水晶発振回路について説明する。
従来のコルピッツ型水晶発振回路について図13を参照しながら説明する。図13は、従来のコルピッツ型水晶発振回路の回路図である。
従来のコルピッツ型水晶発振回路は、図13に示すように、水晶振動子Xの一端が発振用のトランジスタTrのベースに接続し、水晶振動子Xの他端が接地している。
そして、トランジスタTrのコレクタには電源電圧Vが抵抗Rcを介して印加されると共にコンデンサを介して出力端子(OUTPUT)が設けられている。
また、トランジスタTrのエミッタは抵抗REを介して接地している。
更に当該ベースには容量C1,C2の直列接続の一端が接続し、他端が接地され、容量C1と容量C2の間の点がエミッタに接続している。
以上の構成の従来のコルピッツ型水晶発振回路で発振動作が行われる。
従来のインバータ型水晶発振回路について図14を参照しながら説明する。図14は、従来のインバータ型水晶発振回路の回路図である。
従来のインバータ型水晶発振回路は、図14に示すように、インバータICの入力側に水晶振動子Xの一端が接続し、インバータICの出力側に水晶振動子Xの他端が接続し、更に入力側と出力側が抵抗Rfを介して接続している。
以上の構成の従来のインバータ型水晶発振回路で発振動作が行われる。
尚、関連する先行技術として、特開2000−082922号公報「圧電発振器」(東洋通信機株式会社)[特許文献1]、特開2000−295037号公報「高安定度圧電発振器」(東洋通信機株式会社)[特許文献2]、実開平01−074616号公報「マイクロ波発振回路」(富士電気化学株式会社)[特許文献3]、特開平10−112612号公報「高周波発振回路」(株式会社村田製作所)[特許文献4]、特開2008−157751号公報「感知装置」(日本電波工業株式会社)[特許文献5]がある。
特許文献4には、高周波発振回路において、出力フィルタで発振条件を設定することが示されている。
更に、非特許文献1には、反射型の発振器の例が記載されている。
また、非特許文献2には、FETトランジスタを使用した発振回路の一般構成が示されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る圧電発振器は、トランジスタのゲート(ベース)に共振回路が接続し、トランジスタのドレイン(コレクタ)に出力端子が接続され、当該出力端子側に電源電圧が印加され、トランジスタのソース(エミッタ)に反射素子が接続され、共振回路の共振周波数と反射素子の発振周波数を略同じにしたものであり、高周波にて周波数を早期に安定化できるものである。
本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器の回路図である。
本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器(第1の圧電発振器)は、図1に示すように、トランジスタ1と、共振回路3と、インピーダンス(Z0)となる抵抗4と、反射素子の圧電共振器6と、出力端子(OUTPUT)8とを基本的に有している。
トランジスタ1は、共振回路3から出力された共振周波数を増幅する。
共振回路3は、LC共振器、圧電共振器、圧電フィルタ、SAW(Surface acoustic wave:弾性表面波)共振器、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)共振器等で構成され、周波数の発振動作を行い、共振周波数をトランジスタ1に出力する。
尚、出力端子8側に電源電圧が抵抗を介して印加されるようになっている。
ここで、圧電共振器6の発振周波数と共振回路3の共振周波数は、ほぼ同じになるよう設定されている。何故ならば、共振回路3の共振周波数を圧電共振器6に出力することで、圧電共振器6の発振起動を早くすることができ、周波数を早期に安定化できるものである。
つまり、圧電共振器6を反射素子として共振させることで、出力端子8から得られる発振出力を、高周波にて周波数を早期に安定化させることができる。
尚、出力端子8の前段にフィルタを設けるようにしてもよい。
本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器について図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器の回路図である。
本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器(第2の圧電発振器)は、図2に示すように、基本的には、図1の回路と同様であるが、FET1のゲート(G)がマッチング回路(M)2を介して共振回路3に接続し、FET1のドレイン(D)はマッチング回路(M)7を介して出力端子8に接続し、ソース(S)はマッチング回路(M)5を介して圧電共振器6の一端に接続し、圧電共振器6の他端が接地している。
つまり、共振回路3の共振周波数と圧電共振器6の発振周波数はほぼ同じに設定しているものの、両者の不一致が適性でない場合も想定されるので、マッチング回路2,5,7を調整することにより、共振回路3の共振周波数を可変にして、圧電共振器6の発振周波数に近づけるものである。
尚、出力端子8側に電源電圧が抵抗を介して印加されるようになっている。
トランジスタ1は、NPN型トランジスタを用いてもよい。
第2の実施形態における具体的圧電発振器の例1について図3を参照しながら説明する。図3は、第2の実施形態における具体的圧電発振器の例1を示す回路図である。
第2の実施形態における具体的圧電発振器の例1(具体的圧電発振器1)は、図3に示すように、図2の第2の圧電発振器において、共振回路3がコイル(L1)31とコンデンサ(C1)の並列接続回路となっており、マッチング回路7と出力端子8との間にフィルタ9が形成され、マッチング回路7とフィルタ9との間に抵抗(R1)10を介して電源電圧Vが印加されている。
尚、図3における構成において、FET1をNPN型トランジスタに置き換えてもよい。
第2の実施形態における具体的圧電発振器の例2について図4を参照しながら説明する。図4は、第2の実施形態における具体的圧電発振器の例2を示す回路図である。
第2の実施形態における具体的圧電発振器の例2(具体的圧電発振器2)は、図4に示すように、図3における共振回路の代わりに、圧電共振器30が設けられている。
尚、図4における構成において、FET1をNPN型トランジスタに置き換えてもよい。
本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器について図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器の回路図である。
本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器(第3の圧電発振器)は、図5に示すように、トランジスタ1と、マッチング回路(M)2と、共振回路3と、インピーダンス(Z0)となる抵抗4と、反射素子のフィードバックリアクタンス12と、マッチング回路(M)11と、出力端子(OUTPUT)8′と、フィルタ9′と、抵抗(R1)10とを基本的に有している。
また、マッチング回路11とフィードバックリアクタンス12を接続する線にフィルタ9′を介して出力端子8′が設けられている。
マッチング回路11は、フィードバックリアクタンス12からの発振周波数を可変にし、その周波数の調整を行う。
また、フィードバックリアクタンス12に、圧電共振器を用いてもよく、圧電共振器の一端をマッチング回路(M)11に接続し、圧電共振器の他端を接地せず、開放とする。
図5の第3の圧電発振器においても、共振回路3の共振周波数とフィードバックリアクタンス12における発振周波数がほぼ同じになるよう設定されている。
更に、図5のFET1の代わりに、NPN型トランジスタを用いてもよい。
尚、トランジスタ1のドレイン(D)と抵抗10との間にマッチング回路を設けるようにしてもよい。
本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器について図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器の回路図である。
本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器(第4の圧電発振器)は、図6に示すように、図5のマッチング回路11の代わりに、ソース(S)にコイル(L2)13の一端を接続し、その他端をフィルタ9′の入力に接続し、コイル13の他端とフィルタ9′の入力側との間の点に抵抗(R2)14の一端が接続し、その他端が接地されている。
図5のマッチング回路11の代わりに、図6のL13とR14用いた回路であっても図5と同様の効果を達成できるものである。つまり、マッチング回路2を調整することにより、不平衡状態を作り出し、平衡状態に戻ることを利用して周波数を可変にし、周波数を安定化させるものである。
また、トランジスタ1のドレイン(D)と抵抗10との間にマッチング回路を設けるようにしてもよい。
本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器について図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器の回路図である。
本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器(第5の圧電発振器)は、図7に示すように、図6のフィルタ9′と出力端子8′を取り除き、トランジスタ1のドレイン(D)にはマッチング回路7、フィルタ9を介して出力端子8が接続し、マッチング回路7とフィルタ9との間の点に抵抗(R1)10を介して電源電圧Vが印加されている。
図7の回路であっても図5、図6と同様の効果を達成できるものである。つまり、マッチング回路2,7を調整することにより、不平衡状態を作り出し、平衡状態に戻ることを利用して周波数を可変にし、周波数を安定化させるものである。
尚、図7のFET1の代わりに、NPN型トランジスタを用いてもよい。
次に、本実施の形態におけるマッチング回路の例1(マッチング回路1)について図8を参照しながら説明する。図8は、マッチング回路1の回路図である。
マッチング回路1は、図8に示すように、可変コイルL3と可変コンデンサC2とから構成され、可変コイルL3の出力側に可変コンデンサC2の一端が接続し、その他端が接地されている。
更に、本実施の形態におけるマッチング回路の例2(マッチング回路2)について図9を参照しながら説明する。図9は、マッチング回路2の回路図である。
マッチング回路2は、図9に示すように、図8のコンデンサC2の代わりに、可変ダイオードDを用い、可変ダイオードDのカソード側がコイルL3の出力側に接続し、可変ダイオードDのアノード側が接地されている。
図1〜図7のマッチング回路として、上記マッチング回路1,2が用いられる。
次に、本実施の形態における共振回路についてマイクロ波回路の場合を、図10を参照しながら説明する。図10は、共振回路がマイクロ波回路である場合を示す回路図である。
共振回路がマイクロ波回路である場合は、マイクロストリップライン33と、共振器34で構成され、マイクロストリップライン33との脇に非接触で共振器34を設ける。
マイクロ波回路の場合、図1,2、図5〜図7の共振回路に、図10の共振回路が用いられる。
次に、本実施の形態についてシミュレーションを行って動作検証したことを説明する。
まず、シミュレーション回路は、図1の回路を基礎とし、共振回路3をコイルとコンデンサの並列回路としたものであり、図11に示すものである。図11は、シミュレーション回路の回路図である。
シミュレーション回路は、図11に示すように、FET1のゲート(G)のLCの共振回路3の一端が接続し、共振回路3の他端は抵抗(Z0)を介して接地されている。
共振回路3は、コイルL1とコンデンサC1の並列接続回路である。
また、FET1のドレイン(D)は、出力端子(Vout)8に接続すると共に抵抗(R1)10の一端に接続し、抵抗10の他端が電源電圧(V_DC)に接続している。尚、抵抗10の他端には電流計が設けられ、また、ノイズ除去用のコンデンサ(C2)の一端が接続し、そのコンデンサの他端が接地している。
f3=1/2π√(L1C1)
また、圧電共振器6の発振周波数をf5とすると、f5=f3となるよう、L1とC1の値を決定する。これにより、圧電共振器6の発振周波数f5に対して共振回路3の共振周波数f3をほぼ等しくでき、高周波で周波数安定を早期に実現できる。
次に、シミュレーション結果について図12を参照しながら説明する。図12は、発振起動時間のシミュレーション結果を示す図である。尚、図12では、横軸が時間(time[μsec])を表し、縦軸がドレインの電圧(V_out)の振幅(ドレイン振幅)を表している。
図12では、圧電共振器6の水晶のQについて、Q=1000とQ=10000の場合に、出力電圧[V]の起動時間における推移を示している。
本実施の形態に係る圧電発振器では、圧電共振器6の持つ抵抗成分が小さく、圧電共振器6が容量成分として機能しているためである。
これに対して、本実施の形態では、圧電共振器6の持つ抵抗成分を小さくしているので、抵抗成分の変動によらない、安定した動作を実現できるものである。
水晶振動子に電流が流れる状態で使用すると、アクティビティディップという周波数ジャンプを引き起こし、支障をきたす場合があった。
この周波数ジャンプを回避するためには、水晶振動子に流れる電流を0.3mA以下にする必要があるが、従来の回路では実現が難しい。特許文献5では、圧電振動子に供給される駆動電流を0.3mA以下とする発振回路が示されているが、反射素子として利用される圧電共振器6に流れる電流を0.3mA以下にすることは困難であった。
本発明の実施の形態に係る圧電発振器は、トランジスタ1のゲートに共振回路3が接続し、ドレインに出力端子8が接続され、当該出力端子8側に電源電圧Vが印加され、ソースに反射素子が接続され、共振回路3の共振周波数と反射素子の発振周波数を略同じにしたものであり、高周波にて周波数を早期に安定化できる効果がある。
Claims (10)
- トランジスタを備えた圧電発振器であって、
前記トランジスタのゲートには共振回路の一端のみが接続され、
前記共振回路の他端が抵抗を介して接地され、
前記トランジスタのドレインには出力端子が設けられ、
前記トランジスタのソースには共振によって反射させる反射素子として圧電共振器のみが接続され、
前記トランジスタのソースが前記トランジスタのゲートに接続されないよう構成されており、
前記圧電共振器は、反射素子として反射特性を用いて共振して発振周波数を出力するものであり、当該圧電共振器の発振周波数が、前記共振回路で発振した共振周波数と略同じになるよう設定されていることを特徴とする圧電発振器。 - トランジスタのゲートと共振回路との間に第1のマッチング回路を設け、
前記トランジスタのドレインと出力端子との間に第2のマッチング回路を設け、
前記トランジスタのソースと圧電共振器との間には第3のマッチング回路を設け、
前記第1のマッチング回路及び前記第2のマッチング回路及び前記第3のマッチング回路により、前記共振回路の共振周波数を可変にし、前記圧電共振器の発振周波数に近づける調整を行うことを特徴とする請求項1記載の圧電発振器。 - 共振回路をコイルとコンデンサの並列接続回路で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。
- 共振回路を圧電共振器としたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。
- 反射素子と共振回路とを共に圧電共振器とし、
前記反射素子の圧電共振器と前記共振回路の圧電共振器について、1つの圧電素子に2つの電極を形成し、当該2つの電極をそれぞれ前記2つの圧電共振器の電極とする共振器で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。 - マッチング回路は、可変容量素子と可変抵抗を備え、前記可変容量素子又は/及び前記可変抵抗の設定を変更し、不平衡状態を作り出し、平衡状態に戻ることを利用して周波数を可変にすることを特徴とする請求項2記載の圧電発振器。
- 共振回路をマイクロストリップライン及び共振器で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。
- 出力端子の前段にフィルタを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。
- トランジスタを電界効果型トランジスタとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。
- トランジスタをNPN型トランジスタとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電発振器。
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