JP5336953B2 - 圧電発振回路 - Google Patents
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Description
圧電発振回路として、最も多く使用されるコルピッツ発振回路は、高速光通信などのクロック供給源の高周波発振回路として使用されている。
ここで、従来のコルピッツ発振回路について図9を参照しながら説明する。図9は、従来のコルピッツ発振回路の回路図である。
従来のコルピッツ発振回路は、図9に示すように、水晶振動子Xaと、トランジスタQaとを備え、水晶振動子Xaの一端がトランジスタQaのベースに接続され、その他端が接地されており、電源電圧端子VCCが抵抗Raを介してトランジスタQaのベースに、電源電圧端子VCCが抵抗Rcを介してトランジスタQaのコレクタに接続し、当該コレクタにはコンデンサCcを介して出力端子OUTPUTが設けられている。
また、トランジスタQaのエミッタには、コンデンサCaとコンデンサCbの間の点が接続され、当該エミッタには抵抗Reの一端が接続され、他端が接地されている。
図9の発振回路について図10を参照しながら説明する。図10は、図9の等価回路である。
図10に示すように、図9の発振回路は、トランジスタQaのベースに水晶振動子Xaの一端が接続され、その他端が接地され、また、ベースには直列接続のコンデンサCaとコンデンサCbが接続され、コンデンサCbの他端が接地している。
更に、コレクタとベースとの間には、容量Cbcが形成され、ベースとエミッタとの間には、容量Cbeが形成されている。
尚、関連する先行技術として、特開2000−252749号公報「圧電発振器」(東洋通信機株式会社:特許文献1)、特開2003−60438号公報「圧電発振器」(東洋通信機株式会社:特許文献2)、特開2005−72828号公報「水晶発振回路」(東洋通信機株式会社:特許文献3)、特開2006−186949号公報「ピアース型発振回路」(日本電波工業株式会社:特許文献4)がある。
また、「負性抵抗増大回路を付加した100MHz〜数GHz帯コルピッツ発振回路の動作解析」H16 電気学会研究会資料 電子回路研究会 ECT-04-84(非特許文献1)がある。
一般に、コルピッツ発振回路は、高周波を発振させようとする時に、コンデンサCa,Cbを小さくする必要があるが、それにより回路損失を増大し、十分な負性抵抗が得られなくなる。
また、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、圧電発振回路において、水晶振動子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを備え、水晶振動子の一端が第1のトランジスタのベースに接続され、他端が接地され、第1のトランジスタのコレクタと第2のトランジスタのエミッタがカスケード接続され、第1のトランジスタのベースに一端が接続され、他端が接地される第1の抵抗を設け、当該ベースに第1のコンデンサと第2のコンデンサが直列に接続されて他端が接地され、第1のトランジスタのエミッタは第2の抵抗を介して接地され、第2のトランジスタのベースには第3のコンデンサと第3の抵抗が並列に接続して他端が接地され、第2のトランジスタのコレクタと第1のトランジスタのエミッタとが第4のコンデンサを介して帰還接続され、第1のトランジスタと第2のトランジスタを動作させるために各ベースにバイアス抵抗が接続され、第2のトランジスタのコレクタには負荷抵抗を介して電源電圧が印加され、第1のトランジスタのコレクタに第5の抵抗を介して電源電圧が印加されることを特徴としている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る圧電発振回路は、第1のトランジスタのベースに水晶振動子が接続され、第1のトランジスタのコレクタに第2のトランジスタのエミッタを接続してカスケード接続を構成し、更に第2のトランジスタのコレクタから第1のトランジスタのエミッタへコンデンサ又は抵抗を介して帰還接続したものであり、高周波領域で少ない部品数で大きな負性抵抗が得られ、安定した発振を実現できるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る圧電発振回路(第1の圧電発振回路)について図1を参照しながら説明する。図1は、第1の圧電発振回路の回路図である。
第1の圧電発振回路は、第1のトランジスタQ1のコレクタに第2のトランジスタQ2のエミッタを接続したカスケード接続を構成し、更に第2のトランジスタQ2のコレクタから第1のトランジスタQ1のエミッタへコンデンサC3を介して帰還接続している。
また、第2のトランジスタQ2のベースには、コンデンサC4と抵抗R5が並列に接続され、それぞれの他端が接地されている。
また、第2のトランジスタQ2のコレクタには、コンデンサC5を介して出力端子(OUTPUT)20に接続している。
そこで、第1の圧電発振回路では、コルピッツ発振回路を構成する第1のトランジスタQ1と第2のトランジスタQ2をカスケード接続によってミラー容量を抑圧し、高周波領域での負性抵抗の減少を抑えるものである。
また、トランジスタQ1,Q2をカスケード接続するため、部品点数を少なくし、小型化に寄与できる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る圧電発振回路(第2の圧電発振回路)について図2を参照しながら説明する。図2は、第2の圧電発振回路の回路図である。
第2の圧電発振回路は、図2に示すように、第1の圧電発振回路を利用した構成であり、第1のトランジスタQ1によりコルピッツ発振回路を形成し、電源電圧Vccが電源端子10に印加され、抵抗R1を介して第1のトランジスタQ1のベースに接続し、当該ベースには抵抗R2を介して接地されている。
この抵抗R1及び抵抗R2は、発振回路に直流バイアスを供給する。
尚、コンデンサC1〜C5は、第1の圧電発振回路と同様である。
抵抗R7の場合、コンデンサC3に比べて、帰還量を大きくでき、微妙な調整が可能となる。
また、バッファアンプ30は、発振出力を供給する負荷の影響によって発振周波数が変動しないように備えたものである。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る圧電発振回路(第3の圧電発振回路)について図3を参照しながら説明する。図3は、第3の圧電発振回路の回路図である。
第3の圧電発振回路は、図3に示すように、図2において発振回路を構成するコンデンサC2に代えて、直流阻止用の大容量コンデンサC6、コンデンサC2、コイルL1によって構成されるタンク回路(共振回路)を備えるものである。
尚、図3においても、コンデンサC3の代わりに抵抗R7を用いてもよい。
そして、第1のトランジスタQ1のエミッタには、コイルL1と抵抗R3が直列に接続され、抵抗R3の他端が接地されている。
更に、コンデンサC1とコンデンサC2との間の点が第1のトランジスタQ1のエミッタに接続し、コンデンサC2とコンデンサC3との間の点がコイルL1と抵抗R3の間の点に接続している。
第1〜3の圧電回路を用いた負性抵抗特性について図4を参照しながら説明する。図4は、負性抵抗特性を示す図である。
図4において、第1〜3の圧電発振回路について、入力インピーダンスをシミュレーションにより計算処理して得られた負性抵抗の特性を示しており、縦軸が負性抵抗の値で、横軸が周波数の値である。
実際の回路では、プリント基板などによる寄生容量等の影響を受けるため、損失が増えることが予想されるが、622MHzで−143Ωと、ほぼ目標の値を実現している。
次に、第2の圧電発振回路における出力スペクトラムの観測結果について図5を参照しながら説明する。図5は、出力スペクトラムの観測結果を示す図である。
第2の圧電発振回路を用いて電圧制御型水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)を試作し、出力スペクトラムを観測したのが図5であり、縦軸が出力レベルであり、横軸が周波数fを示している。
622MHzを直接励振していることから、不要波が発生していないことを確認できる。出力レベルは、0dBm(負荷インピーダンス50Ω)である。
次に、周波数可変特性について図6を参照しながら説明する。図6は、周波数可変特性を示す図である。
第1〜3の圧電発振回路において、外部入力電圧に対する周波数可変幅を表したのが図6であり、縦軸が周波数偏差(ppm)で、横軸が外部入力電圧(入力制御電圧)である。
±150ppmの可変が得られていることを確認できる。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る圧電発振回路(第4の圧電発振回路)について図7を参照しながら説明する。図7は、第4の圧電発振回路の回路図である。
第4の圧電発振回路は、図7に示すように、図2において、第1のトランジスタQ1のコレクタに電源電圧Vccが抵抗R8を介して接続している。
この抵抗R8を追加することで、動作の更なる安定化を図ることができる。
尚、コンデンサC3の代わりに抵抗R7を用いてもよい。
次に、本発明の第5の実施の形態に係る圧電発振回路(第5の圧電発振回路)について図8を参照しながら説明する。図8は、第5の圧電発振回路の回路図である。
第5の圧電発振回路は、図8に示すように、図3において、第1のトランジスタQ1のコレクタに電源電圧Vccが抵抗R8を介して接続している。
この抵抗R8を追加することで、動作の更なる安定化を図ることができる。
尚、コンデンサC3の代わりに抵抗R7を用いてもよい。
第1〜3の圧電発振回路によれば、第1のトランジスタQ1のコレクタと第2のトランジスタQ2のエミッタをカスケード接続し、第2のトランジスタQ2のコレクタと第1のトランジスタQ1のエミッタをコンデンサC3又は抵抗R7を介して帰還接続するようにしているので、高周波領域で少ない部品数で大きな負性抵抗が得られ、安定した発振を実現できる効果がある。
Claims (5)
- 圧電発振回路において、
水晶振動子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを備え、
前記水晶振動子の一端が前記第1のトランジスタのベースに接続され、他端が接地され、前記第1のトランジスタのコレクタと前記第2のトランジスタのエミッタがカスケード接続され、
前記第1のトランジスタのベースに一端が接続され、他端が接地される第1の抵抗を設け、当該ベースに第1のコンデンサと第2のコンデンサが直列に接続されて他端が接地され、前記第1のトランジスタのエミッタは第2の抵抗を介して接地され、
前記第2のトランジスタのベースには第3のコンデンサと第3の抵抗が並列に接続して他端が接地され、前記第2のトランジスタのコレクタと前記第1のトランジスタのエミッタとが第4のコンデンサを介して帰還接続され、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタを動作させるために各ベースにバイアス抵抗が接続され、
前記第2のトランジスタのコレクタには負荷抵抗を介して電源電圧が印加され、
前記第2のトランジスタのコレクタと前記第1のトランジスタのエミッタとを帰還接続する途中に設けられた前記第4のコンデンサの代わりに、第4の抵抗を介して帰還接続されることを特徴とする圧電発振回路。 - 第1のトランジスタのコレクタに第5の抵抗を介して電源電圧が印加されることを特徴とする請求項1記載の圧電発振回路。
- 圧電発振回路において、
水晶振動子と、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを備え、
前記水晶振動子の一端が前記第1のトランジスタのベースに接続され、他端が接地され、前記第1のトランジスタのコレクタと前記第2のトランジスタのエミッタがカスケード接続され、
前記第1のトランジスタのベースに一端が接続され、他端が接地される第1の抵抗を設け、当該ベースに第1のコンデンサと第2のコンデンサが直列に接続されて他端が接地され、前記第1のトランジスタのエミッタは第2の抵抗を介して接地され、
前記第2のトランジスタのベースには第3のコンデンサと第3の抵抗が並列に接続して他端が接地され、前記第2のトランジスタのコレクタと前記第1のトランジスタのエミッタとが第4のコンデンサを介して帰還接続され、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタを動作させるために各ベースにバイアス抵抗が接続され、
前記第2のトランジスタのコレクタには負荷抵抗を介して電源電圧が印加され、
前記第1のトランジスタのコレクタに第5の抵抗を介して電源電圧が印加されることを特徴とする圧電発振回路。 - 第1のコンデンサと第2のコンデンサとの間の点が前記第1のトランジスタのエミッタに接続し、第2のトランジスタのコレクタ出力に第5のコンデンサを介してバッファアンプを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の圧電発振回路。
- 第2のコンデンサの接地側の端子に直流阻止用の第6のコンデンサの一端が接続され、他端が接地され、第1のトランジスタのエミッタにはコイルを介して第2の抵抗が接続され、前記第2のコンデンサと前記第6のコンデンサの間の点が前記コイルと前記第2の抵抗との間の点に接続され、前記第2のコンデンサと前記コイルにて共振回路を構成していることを特徴とする請求項4記載の圧電発振回路。
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