JP5896138B2 - 車両のドア構造 - Google Patents
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そこで、従来、特許文献1に開示されているように、アウタパネルに接合される板状のアウタリインフォースメントと、インナパネルに接合される板状のインナリインフォースメントとに板状のミラーリインフォースメントを結合して、アウタリインフォースメントとインナリインフォースメントとミラーリインフォースメントから成るリンフォース集合体を形成し、これにより、ミラーリインフォースメントとその周りの構造の剛性を向上させてあった。
この構造において、ミラーリインフォースメントのアウトサイドミラー取り付け部は、車両前方側がインナパネル側に接合してインナパネルに支持され、車両上側がアウタパネルのベルトライン部の上縁のフランジに接合してアウタパネルに支持されている。また、前記アウトサイドミラー取り付け部の車両後方側及び車両下側はアウタリインフォースメントに接合されるが、アウタリインフォースメントの下側の部分は、アウタパネルの側面に車両幅方向に間隔を空けて配置されてフリー状態にしてあった。
また、アウタリインフォースメントの下側の部分は、アウタパネルの側面に車両幅方向に間隔を空けて配置されてフリーの状態にしてあったために(アウタパネルとアウタリインフォースメントの間に数箇所スポット的に車両前後方向に間隔を置いてマスチックシーラーを塗布して隙間を埋めているが、これは、アウタパネルの面剛性を向上させるためであり基本的にフリーの状態にあるといえる)、アウトサイドミラー取り付け部の剛性をあげるのには限度があった。
その結果、高速走行時にアウトサイドミラーの鏡面が振動(鏡面ぶれ)したり、ドア閉時にアウトサイドミラーがぶれて異音が発生したりしていた。
本発明の目的は、ミラーリインフォースメントのアウトサイドミラー取り付け部の剛性を十分向上させることができて、高速走行時の鏡面の振動(鏡面ぶれ)を防止することができるとともに、ドア閉時のアウトサイドミラーのぶれによる異音の発生を防止することができる車両のドア構造を提供する点にある。
アウタパネルのベルトライン部に前記ベルトライン部の長手方向に沿うアウタリインフォースメントが接合され、
前記アウタリインフォースメントに前記ベルトライン部の長手方向に沿うパイプが接合され、
アウトサイドミラーが取り付けられるミラーリインフォースメントが前記アウタリインフォースメントとインナパネルを連結し、
前記アウタリインフォースメントと前記パイプと前記ミラーリインフォースメントが互いに重ね合わされて溶接部を介して接合されている点にある。(請求項1)
また、前記アウタリインフォースメントと前記パイプと前記ミラーリインフォースメントが互いに重ね合わされて溶接部を介して接合されており、前記パイプは、ドアの強度を上げて車両の側面衝突時の乗員保護性能を向上させる剛性が高い部材であるから、例えば、板材から成る部品のみでリンフォース集合体を形成してミラーリインフォースメントの剛性を向上させる手段に比べると、ミラーリインフォースメントの剛性をより向上させることができる。
しかも、ミラーリインフォースメントはアウタリインフォースメントよりも板厚が厚く剛性が高いことから、この剛性が高いミラーリインフォースメントを、同様に剛性が高いパイプに接合することにより、ミラーリインフォースメントの剛性を、より向上させることができる。
そして、ミラーリインフォースメントのアウトサイドミラー取り付け部への入力荷重に対し、ベルトライン部の長手方向に沿う剛性の強いパイプを利用してパイプとアウタリインフォースメントとミラーリインフォースメントが一体になって変形しながら抗することができる。
これにより、アウトサイドミラー取り付け部の剛性を十分向上させることができて、高速走行時の鏡面の振動(鏡面ぶれ)を防止することができるとともに、ドア閉時のアウトサイドミラーのぶれによる異音の発生を防止することができる。(請求項1)
前記パイプは前記ミラーリインフォースメントのアウトサイドミラー取り付け部の下方に位置すると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記アウタリインフォースメントが接合され、
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記アウタリインフォースメントとの接合部は前記アウトサイドミラー取り付け部の上方に位置すると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記アウタリインフォースメントとはヘミング加工されて接合されていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記ミラーリインフォースメントが接合され、
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記ミラーリインフォースメントとの接合部は前記アウトサイドミラー取り付け部の上方に位置すると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記ミラーリインフォースメントとはヘミング加工されて接合されていると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
前記アウタリインフォースメントと前記ミラーリインフォースメントが前記パイプを挟み込んでいると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
ミラーリインフォースメントのアウトサイドミラー取り付け部の剛性を十分向上させることができて、高速走行時の鏡面の振動(鏡面ぶれ)を防止することができるとともに、ドア閉時のアウトサイドミラーのぶれによる異音の発生を防止することができる車両のドア構造を提供することができた。
図1に、自動車の車体の側部に開閉自在に設けられるフロントドアの構造(車両のドア構造に相当)を示してある。前記フロントドアは、上部に窓用開口16が形成されたドアパネル9と、窓用開口16の下方のドアパネル部分を車室内側W1から覆う内装材としてのドアトリム5(図4参照)とを備えている。
図2〜図5に示すように、アウタパネル1のベルトライン部18の内面(車室内側W1の面)に、ベルトライン部18の長手方向に沿う帯板状のアウタリインフォースメント3が接合されている。アウタリインフォースメント3は車両前後方向でフロントドアのほぼ全長にわたる長さに設定され、長手方向中間部に前記長手方向に沿う上下複数の断面円弧状のビードVが形成されている。
図2〜図4に示すように、アウトサイドミラー17が取り付けられる板状のミラーリインフォースメント7が、アウタリインフォースメント3の前端部(車両前方側Frの端部)の内面(車室内側W1の面)に溶接接合されている。ミラーリインフォースメント7の上下方向の長さはアウタリインフォースメント3の上下方向の長さとほぼ同一に設定され、ミラーリインフォースメント7の板厚はアウタリインフォースメント3の板厚よりも厚く設定されている。
図2〜図4に示すように、前記ベルトライン部18の長手方向に沿う円筒状の補強パイプ10(パイプに相当)が、アウタリインフォースメント3のパイプ収容凹部3Uに収容されて、パイプ収容凹部3Uの底部に溶接接合されている。補強パイプ10はアウタリインフォースメント3のほぼ全長にわたる長さに設定されている。これにより、フロントドアの強度を上げて自動車の側面衝突時の乗員保護性能を向上させることができる。
図3,図4に示すように、互いに重なったミラーリインフォースメント7とアウタリインフォースメント3の前端部にアウトサイドミラー取り付け部31が設けられている。このアウトサイドミラー取り付け部31は、ミラーリインフォースメント7とアウタリインフォースメント3の前端部とに複数のボルト挿通孔Sを形成して構成されている。
図4に示すように、パーティションガラスG1の下端部がパーティションウエザストリップ20の縦断面J字状の取り付け基部21の嵌合溝に上方から嵌合(内嵌)している。そして、パーティションガラスG1の下端部に嵌合したパーティションウエザストリップ20が、インナパネル2の上端部2Jとアウタパネル1のベルトライン部18の上端部1Jとの間に収容され、パーティションウエザストリップ20の取り付け基部21がミラーリインフォースメント7の上側フランジ7J1に載置固定されている。
(1−1)
アウトサイドミラー17が取り付けられるミラーリインフォースメント7がアウタリインフォースメント3とインナパネル2を連結しているから、ミラーリインフォースメント7の剛性を向上させることができる。
また、アウタリインフォースメント3と補強パイプ10とミラーリインフォースメント7が互いに重ね合わされて溶接接合されており、補強パイプ10は、ドアの強度を上げて車両の側面衝突時の乗員保護性能を向上させる剛性が高い部材であるから、例えば、板材から成る部品のみでリンフォース集合体を形成してミラーリインフォースメント7の剛性を向上させる手段に比べると、ミラーリインフォースメント7の剛性をより向上させることができる。
しかも、ミラーリインフォースメント7はアウタリインフォースメント3よりも板厚が厚く剛性が高いことから、この剛性が高いミラーリインフォースメント7を、同様に剛性が高い補強パイプ10に接合することにより、ミラーリインフォースメント7の剛性を、より向上させることができる。
これにより、アウトサイドミラー取り付け部31の剛性を十分向上させることができて、高速走行時の鏡面の振動(鏡面ぶれ)を防止することができるとともに、ドア閉時のアウトサイドミラー17のぶれによる異音の発生を防止することができる。
(1−2)
例えば、図11,図12に示すように、前記アウタリインフォースメント3のパイプ収容凹部3Uが車室内側W1に凹む状態に形成され、ミラーリインフォースメント7のパイプ収容凹部7Uに収容されるとともに、補強パイプ10の前端部が、アウタリインフォースメント3のパイプ収容凹部3Uに収容され、ミラーリインフォースメント7に形成された貫通孔7Hを通した溶接具(スポット溶接ガン)により、補強パイプ10がアウタリインフォースメント3に直接接合された比較例の構造に比べると、本発明の上記構成は次の作用を奏することができる。
比較例の構造では、補強パイプ10とアウタリインフォースメント3の溶接接合と、アウタリインフォースメント3とミラーリインフォースメント7の溶接接合とが必要であるが、本発明の上記構成によれば、アウタリインフォースメント3と補強パイプ10とミラーリインフォースメント7とを一挙に溶接接合するから、1箇所の溶接接合で済み、溶接部(溶接打点)の数を削減することができる。
また、ミラーリインフォースメント7に貫通孔7Hを形成する必要がなくて工数を削減することができる。
さらに、アウトサイドミラー取り付け部31への入力荷重に対し、ベルトライン部18の長手方向に沿う剛性の強い補強パイプ10を利用して、補強パイプ10とアウタリインフォースメント3とミラーリインフォースメント7が一体になって変形しながら抗することができて、ミラーリインフォースメント7のアウトサイドミラー取り付け部31の剛性を向上させることができる。
図6〜図8に示すように、ミラーリインフォースメント7はアウタリインフォースメント3よりも車室外側W2に位置するとともに、アウタパネル1よりも車室内側W1に位置する。
図9,図10に示すように、前記アウタリインフォースメント3のパイプ収容凹部3Uは車室内側W1に凹む状態に形成され、ミラーリインフォースメント7のパイプ収容凹部7Uに収容されている。
1J アウタパネルのベルトライン部の上端部
2 インナパネル
3 アウタリインフォースメント
7 ミラーリインフォースメント
10 パイプ(補強パイプ)
17 アウトサイドミラー
18 ベルトライン部
19 アウタパネルのベルトライン部の上端部とアウタリインフォースメントとの接合部
31 アウトサイドミラー取り付け部
45 アウタパネルのベルトライン部の上端部とミラーリインフォースメントとの接合部
Claims (7)
- アウタパネルのベルトライン部に前記ベルトライン部の長手方向に沿うアウタリインフォースメントが接合され、
前記アウタリインフォースメントに前記ベルトライン部の長手方向に沿うパイプが接合され、
アウトサイドミラーが取り付けられるミラーリインフォースメントが前記アウタリインフォースメントとインナパネルを連結し、
前記アウタリインフォースメントと前記パイプと前記ミラーリインフォースメントが互いに重ね合わされて溶接部を介して接合されている車両のドア構造。 - 前記パイプは前記ミラーリインフォースメントのアウトサイドミラー取り付け部の下方に位置する請求項1記載の車両のドア構造。
- 前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記アウタリインフォースメントが接合され、
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記アウタリインフォースメントとの接合部は前記アウトサイドミラー取り付け部の上方に位置する請求項2記載の車両のドア構造。 - 前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記アウタリインフォースメントとはヘミング加工されて接合されている請求項3記載の車両のドア構造。
- 前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記ミラーリインフォースメントが接合され、
前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記ミラーリインフォースメントとの接合部は前記アウトサイドミラー取り付け部の上方に位置する請求項2記載の車両のドア構造。 - 前記アウタパネルのベルトライン部の上端部と前記ミラーリインフォースメントとはヘミング加工されて接合されている請求項5記載の車両のドア構造。
- 前記アウタリインフォースメントと前記ミラーリインフォースメントが前記パイプを挟み込んでいる請求項1〜6のいずれか一つに記載の車両のドア構造。
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