以下、添付図面を参照して本願発明に係る加熱調理器の実施の形態1〜5を説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を示す用語(例えば、「左右」、「前後」、「上下」および「XYZ方向」等など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。また以下の添付図面において、同様の構成部品については同様の符号を用いて参照する。
実施の形態1.
図1から図16を参照しながら、本願発明に係る加熱調理器1の実施の形態1について以下に詳細に説明する。
まず、図1および2を参照しながら、IHクッキングヒータ等の誘導加熱装置100およびこれに用いられた加熱調理器1の全体構造について説明する。図1は本願発明に係る実施の形態1の加熱調理器1が用いられた誘導加熱装置100の全体を示す概略斜視図である。また、図2は、図1の誘導加熱装置100を面A(図1のYZ平面に平行な平面)で切断したときの加熱調理器1の断面図である。なお、図1及び図2の加熱調理器1の内部構造においては説明の煩雑さを避けるために、本願発明の特徴を示す主要な構成要素以外は省略して示した。
図1に示すように、誘導加熱装置100は、筐体本体110と、その上側表面のほぼ全体を覆うガラスなどで形成されたトッププレート120と、左右に配置されたIH加熱部130と、ラジエント加熱部132と、加熱調理器1(グリル調理部)とを有する。また、誘導加熱装置100は、トッププレート120上に操作表示部122を有し、操作表示部122は、各IH加熱部130および加熱調理器1の火力等を調節し、これらの上に載置された鍋の温度等の制御状態を表示できるタッチパネル124を有する。
筐体本体110は、前端壁111、後端壁112、および互いに対向する一対(左右)の側壁113、114を有する。誘導加熱装置100は、前端壁111に平行な平面(ZX平面)に沿って設けられた前面扉4eを有し、前面扉4eを手前に引き出すことにより、加熱調理器1内に魚等の食材を出し入れすることができるように構成されている。各IH加熱部130は、詳細図示しないが、所定平面(XY平面)内に渦巻状に形成された電磁誘導式の加熱コイルを有し、図示しない制御回路部150から高周波電流が供給されると、トッププレート120上に載置された金属材料からなる鍋に渦電流を形成し、そのジュール熱により鍋を誘導加熱するものである。さらに、トッププレート20は、後端壁112に隣接する給気口126および排気口128を有する。
なお、加熱調理器1は、上述のように、IHクッキングヒータ等のグリル調理部あるいは魚焼きグリルとして用いてもよいが、グリル調理器やオーブン調理器などの加熱調理器としての機能のみを有するものであってもよい。
加熱調理器1は、鉄板などの金属材料で形成された筐体2の内部に、食材を加熱調理するための加熱庫3を有する。加熱庫3は、上面4a、底面4b、および図示しない側面4c、4dと、開閉自在な前面扉4eと、背壁5により箱状空間を形成する。
加熱庫3の内部は食材調理時には高温になるので、加熱庫3内部の熱が加熱庫3外部に流出するのを抑制するために、上面4a、底面4bおよび側面4c、4dは断熱性を有する。図2においては、上面4a、底面4b、および図示しない側面4c、4dは、鉄板などの金属板を2枚合わせてそれらの間に空気層(エアギャップ)を設ける構成とすることで断熱性を向上させるものである。
なお、上面4a、底面4bおよび側面4c、4dに断熱性を向上させるため、2枚の金属板の間に空気層を設ける代わりに、2枚の金属板の間に断熱材を配設してもよいし、金属板1枚で上面4a、底面4b、側面4c、4dのいずれかあるいは全部を形成して、その外側に断熱材を設けてもよい。また、前面扉4eも同様に金属板と空気層あるいは断熱材を用いて形成してもよいが、調理中の食材の様子を見るために、前面扉4eの一部に耐熱ガラスなどの透光性部材を用いてもよい。
前面扉4eは、加熱庫3に対して前後に(図2では側面図なので左右に)移動可能なスライドレール14に固定されており、また、受け皿12と焼き網13もスライドレール14に固定され、前面扉4eとともにスライド移動するように取り付けられている。従って、前面扉4eを開くとスライドレール14の移動にあわせて受け皿12と焼き網13が加熱庫3の前方に移動し、焼き網13の上に載せる食材の出し入れが可能になる。
背壁5には、加熱庫3の内側に対して凹部を有するヒータ挿入部6が設けられている。ヒータ挿入部6は、上側ヒータ11a用と下側ヒータ11b用の2個が設けられている。ヒータ挿入部6は、加熱庫3の外側に突出する凸形状を有し、このヒータ挿入部6を囲うように磁性体7a、7bが設けられている。
背壁5は、その全体がセラミックなどの耐熱性非磁性絶縁物で形成される。択一的には、ヒータ挿入部6のみをセラミックなどの耐熱性非磁性絶縁物で形成し、鉄板やステンレス板などの金属板の一部を切削加工により除去したものにヒータ挿入部6を嵌合することにより背壁5を形成してもよい。
ヒータ挿入部6と磁性体7a、7bの間には空気層が設けられており、加熱庫3の内側から後述の磁性体7への熱を断熱している。この空気層には空気流を流して磁性体7を積極的に冷却してもよい。
磁性体7a、7bは、フェライトコアやダストコアあるいは鉄心コアなど強磁性体の材料で形成されたものであり、垂直断面(図1のYZ断面)がコ字状形状を有している。磁性体7a、7bとヒータ挿入部6a、6bの外側の間には、リッツ線などの導線を複数回巻いて形成したコイル8が設けられている。磁性体7a、7bは、コイル8に流れる電流の向きが同一となる複数の導線を囲うように設けられており、上側ヒータ11a用が磁性体7a、下側ヒータ11b用が磁性体7bとなっている。コイル8の両端部はここでは図示しない電源回路15(図3)に接続されている。
そして、磁性体7a、7bとコイル8を囲うようにアルミカバー9が設けられ、アルミカバー9の背面側には冷却ファン10が設けられる。冷却ファン10からの送風は、アルミカバー9に冷却ファン10の位置に対応して設けられた穴からアルミカバー10の内側、すなわち、コイル8側に流入し、コイル8を強制空冷して外部に放出される。すなわち、アルミカバー9はコイル8を冷却するための風洞の役割もしている。
そして、上側ヒータ11aおよび下側ヒータ11bの一部はヒータ挿入部6に挿入され、これらヒータ11a、11bは、加熱庫3内に設けられた後述するヒータ載置棚18(図28)によりそれぞれ支持され、加熱庫3の内部に着脱可能に保持される。
図3は、本願発明の加熱調理器1の主要部を示す斜視図である。説明を分かりやすくするために、図3では、本願発明に係る磁性体7a、7b、コイル8、ヒータ11a、11bおよび電源回路15のみを示した。
ヒータ11a、11bは、図4に記載されているように、1ターンの無端ループ状の形状をしており、ヒータ挿入部6に挿入されてコイル8から生じる高周波磁束と鎖交する給電部16と、加熱庫3の内部に露出される加熱部17とを有する。
ヒータ11a、11bは、ステンレスなどの高耐食性合金のパイプ(中空棒)や中実棒を所定の形状に折り曲げて端部を溶接やロウ付けにより接合して1ターンの無端ループ状に形成する。望ましくは、ヒータ11a、11bのうち加熱部17をパイプで形成し、給電部16を含む残りの部分を中実棒で形成するのがよい。
磁性体7aおよび磁性体7bは、所定の横幅を持つコ字状断面形状の磁性体部材を間隔を設けて複数個横に並べて配置されたものである。例えば図3では、磁性体7aは横幅20mmの磁性体部材を5mm間隔で5個並べて配置し、全体的横幅を20mm×5個+5mm×4箇所=120mmとしており、磁性体7bは横幅20mmの磁性体部材を20mm間隔で3個並べて配置し、全体的横幅を20mm×3個+20mm×2箇所=100mmとしている。
このように、磁性体7a、7bは、複数の磁性体部材を間隔を設けて並べて配置されているため、図2に示すように冷却ファン10を配置しても、磁性体部材間の間隔を通してコイル8に直接冷却風を当てることができるので、効率よくコイル8を冷却することができる。
コイル8は、例えば直径φ0.2mmの被覆導線を90本撚り線にしたリッツ線を16回巻いて長円平板状にしたものである。そして、コイル8の両端は電源回路15に接続される。
次に、図5を参照しながら、加熱調理器1の動作について説明する。電源回路15からコイル8に高周波電流が供給されると、図5に記載されているように、コイル8の周囲には高周波磁束(矢印を参照)が発生する。当該高周波磁束は、磁性体7と、コ字状断面の磁性体7の内側の空間とからなる磁気回路を通って、ヒータ11と鎖交する。すると、ヒータ11には電磁誘導により誘導電流が流れ、当該誘導電流とヒータ11の電気抵抗によるジュール熱によってヒータ11は発熱する。なお、各ヒータ11a、11bで発生するジュール熱は、各ヒータ11a、11bに入力される電力にほぼ等しい。
上側ヒータ11a用の磁性体7aと下側ヒータ11b用の磁性体7bは、これらを構成する磁性体部材の個数が異なり、また、全体的横幅も異なるので、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数と、コイル8と下側ヒータ11bの結合係数とが異なる。
図3に示す加熱調理器1の場合には、上側ヒータ11aの方が磁性体7aの磁性体部材の数が多く、全体的横幅が長いので、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数の方が、コイル8と下側ヒータ11bの結合係数より大きくなる。その結果、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bが同一形状の場合だけでなく、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bの形状が多少異なっている場合にでも、コイル8に電源回路15から高周波電流を供給すると、上側ヒータ11aの方が下側ヒータ11bよりも大きな電力が入力される。
図6は、電源回路15と図3で示した加熱調理器1の主要部の等価回路を示す回路図である。電源回路15は、商用交流電源ACからの入力電圧をダイオードブリッジDに入力して整流したのち、IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子Tr1とTr2を直列に接続したハーフブリッジ回路に入力する。ハーフブリッジ回路の出力端であるスイッチング素子Tr1とTr2の中点には、コンデンサCが接続され電源回路15の一方の出力端となっている。電源回路15の他方の出力端は、スイッチング素子Tr2と直接接続されている。これら電源回路15の出力端にコイル8の両端が接続される。コイル8と磁性体7a、7bとヒータ11a、11bは相互誘導回路で表すことができる。
図6において、Lcはコイル8のインダクタンスであり、Rcはコイル8の抵抗である。また、Laは上側ヒータ11aのインダクタンスであり、Raは上側ヒータ11aの抵抗である。さらに、Lbは下側ヒータ11bのインダクタンスであり、Rbは下側ヒータ11bの抵抗である。コイル8とヒータ11a、11bは磁性体7a、7bからなる磁気回路により磁気結合しており、kaはコイル8と上側ヒータ11aの結合係数、kbはコイル8と下側ヒータ11bの結合係数である。厳密には、上側ヒータ11aおよび下側ヒータ11bは、同様に互いに磁気結合しているため、固有の結合係数を有するが、この結合係数は結合係数ka、kbに比べて非常に小さいので、ここでは無視している。
コイル8の両端から見たインダクタンスは、コイル8とヒータ11a、11bの相互誘導によりコイル8のインダクタンスLcより小さくなる。仮にコイル8の両端から見たインダクタンスをLc’とする。コイル8の両端から見たインダクタンスLc’とコンデンサCは直列共振回路を構成しているので、この共振周波数付近の周波数でスイッチング素子Tr1とTr2を交互にスイッチングすると、ハーフブリッジの出力端には矩形波電圧が出力され、この矩形波電圧の基本波の周波数の正弦波電流が主としてコイル8に供給される。矩形波電圧の周波数の高調波成分の電流は直列共振回路のインピーダンスが大きいためほとんど流れない。
なお、電源回路15はここに示したものに限るものではない。例えば、ここでは電源回路15にハーフブリッジ回路を用いた場合について説明したが、フルブリッジ回路の場合であっても同様であることは言うまでもない。また、コイル8とコンデンサCを並列に接続して、これとスイッチング素子を直列に接続した一石共振回路など他の回路構成の電源回路であっても本願発明の効果を奏する。
上述のように、コイル8にはスイッチング素子をスイッチングしたとき出力される矩形波電圧の基本波と同じ周波数の正弦波電流が主として流れるから、図7の電源回路を高周波の正弦波電源HFACと置き換えて考えることができる。
図7は、図6の電源回路を高周波の正弦波電源に置き換えたときの回路図である。高周波の正弦波電源HFACは、任意の周波数の高周波電圧を出力できるものとする。図7の回路図で、コイル8に高周波電流を供給したときに上側ヒータ11aに入力される電力、すなわち抵抗Raで消費する電力と下側ヒータ11bに入力される電力、すなわち抵抗Rbで消費される電力の比を計算するには、各定数Lc、Rc、La、Ra、Lb、Rb、ka、kbを定め、回路方程式を立てて解けばよいし、また、回路シミュレータを用いて算出することもできる。
図8は、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数をka=0.245とし、コイル8と下側ヒータ11bの結合係数をkb=0.200としたときの上下ヒータに入力される電力の比率を計算したものである。上側ヒータ11aと下側ヒータ11bは同一形状であり、インダクタンスと抵抗は同一であるとした。各定数の値は図8中に記したが、概ね試作した加熱調理器1の図3に示した主要部だけを取り出したときの実測値である。
コイル8のインダクタンスLcと抵抗Rcは、図3の構成から上下ヒータ11a、11bのみを除去してコイル8の両端をインピーダンスアナライザに接続して測定することができる。また、ヒータ11a、11bのインダクタンスLa、Lbと抵抗Ra、Rbは、ヒータ11a、11bの一部を切断して2個の端部を作製し、両端をインピーダンスアナライザに接続して測定することができる。ヒータ11a、11bの一部を切断してしまうと加熱調理器1のヒータ11a、11bとして使用できなくなるが、測定後再度接合したり、同一のヒータ11a、11bを作製したりすれば、加熱調理器1のヒータ11a、11bとして使用することが可能である。
結合係数kaとkbは、コイル8のインダクタンスLcと抵抗Raの測定結果と、図3の構成で一方のヒータ11a、11bのみを挿入したときのコイル8両端をインピーダンスアナライザに接続して得られるインダクタンスLa、Lbと抵抗Ra、Rbの値から計算することができる。計算式は割愛するが、図7に示した等価回路をヒータ11a、11bが一方のときの等価回路に修正して回路方程式を立てて、結合係数kaあるいはkbについて解けば計算式が得られる。
図8に示すように、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数kaの方が、コイル8と下側ヒータ11bの結合係数kbより大きい場合には、結合係数が大きい上側ヒータ11aに入力される電力の下側ヒータ11bに入力される電力に対する比率が大きくなる。また、図8に示した各定数の場合、すなわち上側ヒータ11aと下側ヒータ11bが同一のインダクタンスLa、Lbおよび抵抗値Ra、Rbを有する場合には、コイル8に供給する高周波電流の周波数に対する上下ヒータ11a、11bの電力比率の変化は小さい。
図9は、下側ヒータ11bの全体長を上側ヒータ11aの1.5倍であるとしたときの上側ヒータ11aと下側ヒータ11bの電力比率を計算したものである。加熱調理器1のヒータ11a、11bは、1ターンの無端ループ状ヒータであるから、ヒータ11a、11bのインダクタンスLa、Lbはヒータ11a、11bの全体長にほぼ比例する。一方、ヒータ11a、11bの抵抗Ra、Rbもヒータ11a、11bの全体長に比例する。
すなわち、下側ヒータ11bは上側ヒータ11aの1.5倍の長さとしたので、下側ヒータ11bのインダクタンスLbと抵抗Raは、Lb=1.5La、Rb=1.5Raとした。コイル8と上側ヒータ11aの結合係数ka、コイル8と下側ヒータ11bの結合係数kbは、図8に示した場合と同じであるとした。各定数は図9中に記した。
図8と図9を比較すると、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bの電力比率は全く同一であることが分かる。すなわち、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力の比率を変えようとして、一方のヒータ11a、11bの抵抗Ra、Rbを大きくするためにヒータ11a、11bの全体長を長くしても電力比率は変えることができないということが分かる。
厳密に言えば、ヒータ11a、11bは金属製中実棒と金属製パイプ(中空棒)の接合により形成されるため、金属パイプの部分だけを長くすると、ヒータ11a、11bの抵抗Ra、Rbはヒータ11a、11bの長さに比例した値より少し大きくなる。また、ヒータ11a、11bのインダクタンスLa、Lbはヒータ11a、11bの曲げ形状により少し変化するから、ヒータ11a、11bの長さには完全には比例しない。しかし、抵抗Ra、RbやインダクタンスLa、Lbの大きさは大きく変化せず、ここで示した結果とほぼ同等であると言える。従って、コイル8とヒータ11a、11bの結合係数ka、kbが上下ヒータ11a、11bで同じであれば、ヒータ11a、11bの長さを大幅に変化させても、上下ヒータ11a、11bの電力比率を大幅に変化させることはできない。
図10は、コイル8に供給される高周波電流の周波数を固定して(25kHz)、コイル8と上下ヒータ11a、11bの結合係数の比(kb/ka)を変化させたときに計算によって求められた上下ヒータ11a、11bに入力される電力Pa、Pbの比(Pb/Pa)を示すグラフである。図10の計算では、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数ka、上側ヒータ11aのインダクタンスLa、および抵抗Raを、図8と同じka=0.245、La=1.164μH、Ra=0.10244Ωに固定し、コイル8と下側ヒータ11bとの結合係数kbと下側ヒータ11bの全体長を変化させて計算した。下側ヒータ11bのインダクタンスLbと抵抗Rbは下側ヒータ11bの全体長に比例するとした。
図10から、上下ヒータ11a、11bの電力比(Pb/Pa)は、上下ヒータ11a、11bの長さの比に関係なく、結合係数比(kb/ka)にのみ依存することが分かる。なお図示しないが、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数kaを上述のka=0.245からka=0.200に代えて計算した結果も図10と全く同一であった。
以上に述べたように、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力の比率を異なる大きさとするには、コイル8と上側ヒータ11aおよび下側ヒータ11bとの結合係数ka、kbを異なる大きさにすることが有効であると言える。そこで本願発明では、以下に結合係数ka、kbを変化させる手段について述べる。
図11は、コイル8とヒータ11の結合係数kの変化を測定するための測定条件(コイル8、磁性体7、ヒータ11の位置関係)について説明するための概略図である。すなわち、図11(a)は、加熱調理器1の主要部(コイル8、磁性体7、ヒータ11)の斜視図であり、図11(b)は、図11(a)のコ字状断面を有する磁性体7等を垂直平面(図1のYZ平面)で切断した拡大断面図である。なお、コイル8とヒータ11の結合係数kの測定においては、上側と下側の別は関係ないので、上側に用いていた添え字“a”と下側に用いていた添え字“b”を削除している。
図11(a)において、距離wは、磁性体7の横幅(図1のX方向)である。また、図11(b)において、距離xは、ヒータ11の給電部16(ヒータ挿入部6に挿入された部分のうち、最もコイル8に近い位置にあるヒータ11の最奥部)から磁性体7のコ字状断面先端(コ字状断面形状の開口部の端面)までの距離(図1のY方向)、すなわち、コ字状断面の磁性体7の開口部から内部に挿入されたヒータ11の給電部16の挿入深さである。さらに、距離yは、コイル8からヒータ11の給電部16までの距離(図1のY方向)である。
図12は、磁性体7の横幅wを変化させたときのコイル8とヒータ11の結合係数kを測定したグラフである。この測定では、磁性体7とヒータ11の位置関係については、図11(b)においてx=25mm、y=10mmとした。図12に示すように、磁性体7の横幅wが大きいほどコイル8とヒータ11の結合係数kは大きくなる。
図13は、図11(b)で距離yをy=10mmとして、距離xを変化させたときのコイル8とヒータ11の結合係数kの変化を示したグラフである。図11(a)で示す磁性体7の横幅wは120mm、100mm、80mm、60mmについて測定した。図13から分かるように、任意の横幅wを有する磁性体7において距離xが大きいほど結合係数kは大きくなることが分かる。
図14は、図11(b)で距離yをy=10mmとしたときとy=5mmとしたときの距離xを変化させたときのコイル8とヒータ11の結合係数kの変化を示したものである。図11(a)で示す磁性体7の横幅wが120mm、60mmについて測定した。図14から分かるように、距離xが同一の場合であっても、距離yが小さい方が結合係数kは大きくなる。
図15は、図3に示した磁性体7と同様に、複数個の磁性体部材を間隔を設けて配置した磁性体(a)と、複数個の磁性体部材を隙間なく隣接して配置した磁性体(b)〜(d)とを示す概略図であり、各磁性体7を用いたときのコイル8とヒータ11の結合係数kを測定した。
より具体的には、図15(a)の磁性体7は、横幅20mmの磁性体部材4個を約13.3mmの間隔を設けて並べて構成されたものであり、120mmの全体的横幅wを有する。図15(b)は、図15(a)で用いた横幅20mmの磁性体部材と同一のものを4個並べて全体的横幅80mmとした磁性体である。同様に、図15(c)は磁性体部材を5個並べて全体的横幅100mmとしたものであり、図15(d)は隙間なく6個並べて全体的横幅120mmとしたものである。
図16は、図15(a)〜(d)の磁性体7を用いたときのコイル8とヒータ11の結合係数kの測定結果を示したものである。図15(b)〜(c)の磁性体7については、磁性体7の全体的横幅を距離wとしてそれぞれプロットした。また、図15(a)の磁性体7については、磁性体部材間の約13.3mmの間隔を含めた全体的横幅wが120mmであるが、この間隔を除いた磁性体部材のみの横幅の合計は80mmであり、上述の間隔を設けない図15(b)〜(c)の磁性体7と区別するため、図16の距離80mm〜120mmに渡る破線で示した。
図15(a)の横幅20mmの磁性体部材を間隔を設けて4個並べて全体的横幅120mmとした磁性体7については、磁性体7自体の体積は図15(b)の横幅80mmのものと等しいが、図16を見てわかるように、結合係数kは図15(c)の横幅100mmのものとほぼ同じになっている。これは、コイル8に高周波電流を流すことによって発生する磁束は磁性体7のみを通るのではなく、僅かに磁性体7の周囲に漏れて磁性体7の周囲も通ってヒータ11と鎖交するためと考えられる。
従って、上側ヒータ11a用と下側ヒータ11b用に、所定の横幅の同一形状を有する同数の磁性体部材を用いて磁性体7a、7bを構成する場合、上側ヒータ11aに図15(a)のような磁性体部材毎に間隔を設けて並べたものを使用し、下側ヒータ11bに図15(b)のような磁性体部材毎に間隔を設けないで並べたものを使用すれば、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bの電力比率を異なる値にすることができる。
また、下側ヒータ11b用の磁性体7も、図15(a)のような磁性体部材毎に間隔を設けた場合であっても、上側ヒータ11a用の磁性体7の全体的横幅wを、下側ヒータ11b用の磁性体7の全体的横幅wより大きくすれば、上側ヒータ11aの電力を下側ヒータ11bの電力より大きくすることができる。
以上に述べたことを鑑み、図3に示した本願発明の加熱調理器1を考えると、上側ヒータ11a用の磁性体7aは横幅20mmの磁性体部材を5mmの間隔を設けて5個並べたものであり、下側ヒータ11b用の磁性体7bは横幅20mmの磁性体部材を20mmの間隔を設けて3個並べたものであるので、磁性体自体の体積は上側ヒータ11a用の磁性体7aの方が大きく、また、全体的横幅も磁性体7aの方が大きいので、下側ヒータ11bより上側ヒータ11aに入力される電力を大きくすることができる。すなわち、本願発明によれば、1個のコイルで2個のヒータを加熱する場合であっても、2個のヒータに入力される電力を互いに異なる大きさにすることができる。
なお、本実施の形態1で示したように、上側ヒータ11a用の磁性体7aと下側ヒータ11b用の磁性体7bに磁性体部材を複数間隔を設けて並べる場合に、例えば、磁性体7aは横幅20mmのものを5mm間隔で並べて全体的横幅120mmとしたが、磁性体7bは横幅20mmのものを20mm間隔で4個並べて全体的横幅140mmとしたので、上下どちらの方が電力が大きくなるのか分からないといった場合があるかもしれないが、この場合は本実施の形態1で述べたように、各結合係数ka、kbを測定すればよい。
実際の加熱調理器1の設計に際しては、初めに各結合係数ka、kbを定めた後、本実施の形態1に記した手法により、磁性体7a、7bを所望の結合係数になるように試作と測定、あるいは電磁界シミュレータを用いて設計すればよい。
実施の形態2.
図17から図20を参照しながら、本願発明に係る加熱調理器1の実施の形態2について以下に詳細に説明する。実施の形態2に係る加熱調理器1は、磁性体7、ヒータ11、ヒータ挿入部6および磁性体7を除き、実施の形態1に係る加熱調理器1と同様の構成を有するので、その他の構成部品に関する詳細な説明を省略する。なお、図中同一の構成部品については同一の符号を用いて示す。
図17は、本願発明に係る実施の形態2の加熱調理器1を示す、図2と同様の断面図である。また、図18は、図17の加熱調理器1の主要部を示す、図3と同様の斜視図である。
図17の加熱調理器1は、図18に示すように、上側ヒータ11a用の磁性体7aと下側ヒータ11b用の磁性体7bが同一のもので構成されており、すなわち、磁性体7a、磁性体7bはともに所定の横幅の磁性体部材を間隔を設けて4個設けたものであるが、図17に示すように、下側ヒータ11b用のヒータ挿入部6bは、上側ヒータ11a用のヒータ挿入部6aよりも深さが浅くなっている。
このため、磁性体7a、7bの開口部から内部に挿入されたヒータ11の給電部16の挿入深さ、すなわち、給電部16と磁性体7a、7bのコ字状断面の先端との距離xと、コイル8から給電部16までの距離yが、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bでは異なっている。すなわち、ヒータの給電部16と磁性体7a、7bのコ字状断面の先端の距離xは上側ヒータ11aの方が大きくなっており、コイル8からヒータ11の給電部16までの距離yは上側ヒータ11aの方が小さくなっている。
実施の形態1で述べたように、距離xは大きい方が結合係数kは大きくなり、距離yは小さい方が結合係数kは大きくなるので、図17の加熱調理器1では、距離xの差と距離yの差の両方の効果により上側ヒータ11aの方が下側ヒータ11bよりも大きな電力が入力される。
また、図19は、他の加熱調理器1を示す、図2および図17と同様の断面図である。上側ヒータ11a用の磁性体7aと下側ヒータ11b用の磁性体7bの全体的横幅あるいは、磁性体部材の個数および間隔は同一とする。
図19の加熱調理器1では、磁性体7aと7bはヒータ給電部16とコ字状断面の先端の距離x(磁性体7a、7bの開口部から内部に挿入された給電部16の挿入深さ)は異なっているが、コイル8から給電部16までの距離yは、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bで同じである。すなわち、ヒータ挿入部6a、6bの深さは同一であるが、コ字状断面の磁性体7a、7bの脚部の長さが異なっている。実施の形態1で述べたように、ヒータ給電部16とコ字状断面の磁性体7a、7bの先端との距離が大きいほど結合係数kは大きくなるから、上側ヒータ11aの方が下側ヒータ11bよりも大きな電力が入力される。
なお、本実施の形態2では、上側ヒータ11a用の磁性体7aと下側ヒータ11b用の磁性体7bとは、磁性体部材の個数および間隔、全体的横幅などを同一としたが、実施の形態1で述べたように、磁性体部材の個数や間隔あるいは全体的横幅を異なるものと、本実施の形態2で述べた距離xや距離yを上下の磁性体7a、7bで異なるようにしたものを組み合わせてもよい。
また、実施の形態1、2では、磁性体7a、7bの断面形状がコ字状の場合について述べたが、図20(a)に示すように、磁性体の断面形状がC字状の場合であってもよく、図20(b)のように、一方の脚部がC字状で他方の脚部がコ字状の場合であってもよい。
実施の形態3.
図21から図25を参照しながら、本願発明に係る加熱調理器1の実施の形態3について以下に詳細に説明する。実施の形態3に係る加熱調理器1は、コイル8との任意の結合係数kを有する複数の導電体の中からユーザがヒータ11を選択可能にしたものであり、ヒータ11、ヒータ挿入部6およびヒータ載置棚18を除き、実施の形態1に係る加熱調理器1と同様の構成を有するので、その他の構成部品に関する詳細な説明を省略する。なお、図中同一の構成部品については同一の符号を用いて示す。
図21は、本実施の形態3の加熱調理器1の背壁5の非磁性絶縁物を示す斜視図である。図21(a)の破線で示した非磁性絶縁物を面Aで切断した斜視図を図21(b)に示す。非磁性絶縁物の下側ヒータ11b用のヒータ挿入部6bは、図21(b)に示すように、奥行き方向に段差部23を設けた構造となっており、下側ヒータ11bをこのヒータ挿入部6bに挿入した際に、下側ヒータ11bの給電部16を、ヒータ挿入部6bの段差部23に突き当てることで、背壁5に対する下側ヒータ11bの奥行き方向の位置、すなわち、コイル8から給電部16までの距離を定めることができる。
図22は、本実施の形態3の加熱調理器1の下側ヒータ11bを示す平面図であり、ここでは、下側ヒータ11bとして選択可能な形状の異なる2本のヒータA、ヒータBを示し、ヒータBがヒータAと異なる部分についてのみ破線で示している。ヒータA、Bは、ヒータ挿入部6bに挿入される給電部16A、16Bと加熱庫3の内部に露出される共通形態の加熱部17とを有する。なお、図22では、ヒータA、ヒータBの加熱部17は共通であるとしたので、実線で表示したヒータAと破線で表示したヒータBとが重なっており、実線のみが表示されている。
なお、ヒータAとヒータBの加熱部17は同一の形態ではなく、異なる形態であってもよく、調理の目的に合わせて所望の形態とすればよい。ヒータAの給電部16AとヒータBの給電部16Bは、図22に示すように、図中左右方向の横幅および図中上下方向の位置が異なる。
図23は、実施の形態3の加熱調理器1の主要部を横から見た断面図である。図23に示すように、加熱調理器1はヒータ挿入部6bの奥行き方向に段差部23を設けた構造としたので、ヒータ挿入部6bにヒータAとヒータBを挿入したときでは、下側ヒータ11bの給電部16の位置(コイル8に最も近い位置)がヒータAとヒータBでは異なる。具体的には、ヒータAはその給電部16がヒータ挿入部6bの最奥部まで挿入されるが、ヒータBはその給電部16が段差部23に突き当たって止まる。
従って、図23に示すように、ヒータAとヒータBでは距離xと距離yが異なり、ヒータAよりもヒータBのほうがコイル8と下側ヒータ11bとの結合係数kが小さくなる。その結果、下側ヒータ11bにヒータAを用いたときとヒータBを用いたときでは、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力の比率を変更することができる。
これによれば、例えば、加熱調理器1で焼き魚調理を行うときには、下側ヒータ11bからの加熱も十分に大きくしたいのでヒータAを使用し、ピザを焼くときには、下側ヒータ11bの加熱を抑えて上側ヒータ11aからの加熱を大きくしたいのでヒータBを使用するといった調理目的に応じたヒータA、Bの使い分けができる。
なお、ここではヒータ挿入部6bの奥行き方向に段差部23を設けて、ヒータA、Bによってヒータ給電部16とコイル8との距離が変更できるようにしたが、図24に示すように、加熱庫3の側面4c、4dに下側ヒータ11bを支持するヒータ載置棚18を設け、ヒータ載置棚18にヒータ止め19を形成して、ユーザが図25に示すようなヒータA、ヒータBを適宜交換して、ヒータ給電部16とコイル7の間の距離を任意に変更して調理内容に応じて、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bとの電力比率を変更するようにしてもよい。
実施の形態4.
図26及び図27を参照しながら、本願発明に係る加熱調理器1の実施の形態4について以下に詳細に説明する。実施の形態4に係る加熱調理器1は、実施の形態3と同様にヒータ11を選択可能にしたものであるが、ヒータ11を除き、実施の形態3に係る加熱調理器1と同様の構成を有するので、その他の構成部品に関する詳細な説明を省略する。なお、図中同一の構成部品については同一の符号を用いて示す。
図26は、本願発明の実施の形態4の加熱調理器1の下側ヒータ11bと磁性体7bを示す平面図である。実施の形態3では、ヒータAとヒータBでヒータ給電部16とコイル8との距離を変更して、コイル8とヒータA、ヒータBの結合係数ka、kbを変化させて、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力比率を変更する方法について述べたが、本実施の形態4では、ヒータAとヒータBの構造により、実質的に磁性体7a、7bの全体的横幅を変化させることで、コイル8とヒータA、ヒータBの結合係数ka、kbを変化させて、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力比率を変更する方法について述べる。
図26を見てわかるように、実線で示したヒータAと破線で示したヒータBは給電部16Aと給電部16Bの横幅が異なる。ヒータAをヒータ挿入部6bに挿入したとき、磁性体7bを構成する4個の磁性体部材A、B、C、Dがコ字状断面の先端がヒータAのループの内側に達するので、磁性体部材A、B、C、Dの全てを通る磁束がヒータAと鎖交する。従って、実質的に磁性体7bの全体的横幅は磁性体部材A〜Dの距離になる。
一方、ヒータBをヒータ挿入部6bに挿入したとき、磁性体7bを構成する4個の磁性体部材のうち磁性体部材B、C、Dがコ字状断面の先端がヒータBのループの内側に達するが、磁性体部材Aの先端はヒータBのループの外側に存在するので、磁性体部材B、C、Dを通る磁束のみがヒータBと鎖交し、磁性体部材Aを通る磁束はヒータBと鎖交しない。
従って、磁性体部材Aを通る磁束はヒータBに誘導電流を流すための電磁誘導に寄与しないので、実質的な磁性体7bの全体的横幅は磁性体部材B〜Dの距離になる。実施の形態1で述べたように、磁性体7の全体的横幅が小さくなったり、磁性体部材の個数が少なくなったりするとコイル8とヒータ11の結合係数kは小さくなる。従って、下側ヒータ11bにヒータAを用いた場合とヒータBを用いた場合で、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力比率を変更することができる。
図27は、本願発明の実施の形態4に係る加熱調理器1の非磁性絶縁物と一部を切断したものを示す斜視図である。上述のヒータAとヒータBの構造なら、実施の形態3のようなヒータ挿入部6bの奥行き方向に段差部23(図21(b))を設けた構造にしなくても、ヒータAとヒータBのいずれか一方をユーザが選択して挿入することができる。
実施の形態5.
図28を参照しながら、本願発明に係る加熱調理器1の実施の形態5について以下に詳細に説明する。実施の形態5に係る加熱調理器1は、コイル8に対する下側ヒータ11bの給電部16の位置を調整可能にしたものであり、下側ヒータ11bおよびヒータ載置棚18を除き、実施の形態1に係る加熱調理器1と同様の構成を有するので、その他の構成部品に関する詳細な説明を省略する。なお、図中同一の構成部品については同一の符号を用いて示す。
下側ヒータ11bには、その両側部に係合凸部20が設けられるとともに、下側ヒータ11bの両側部を支持するヒータ載置棚18には、係合凸部20に係合する波形保持凹部21が設けられている。係合凸部20と波形保持凹部21によって、コイル8に対する下側ヒータ11bの相対的な位置を調整することで結合係数kを調整する結合係数調整手段21を構成する。より具体的には、波形保持凹部21には、係合凸部20が係合可能な複数の凹部が設けられており、この複数の凹部は、下側ヒータ11bの挿入方向(図1のY方向)に等間隔に並べられている。ユーザは、波形保持凹部21の複数の凹部の中から係合凸部20を係合させる凹部を適宜選択して係合させることができる。
したがって、図28の実線の位置に下側ヒータ11bを載置して、波形保持凹部21のコイル8側にある凹部に係合凸部20を係合させて、ヒータ給電部16とコイル8の間の距離を近づけることによって、大きな係合係数kbを得ることができ、逆に、同図の破線の位置に下側ヒータ11bを載置して、下側ヒータ11b側と反対方向にある凹部に係合凸部20を係合させて、ヒータ給電部16とコイル8の間の距離を遠ざけることによって、小さな係合係数kbが得られる。
本実施の形態5によれば、用途に応じて選択するための専用の下側ヒータ11bを予め複数用意する必要が無く、既に加熱調理器1に設けられた下側ヒータ11bをユーザが単に位置調整するだけで係合係数kbを変更することが可能である。
なお、上述の結合係数調整手段21は、左右両側のヒータ載置台18に設けた場合について述べたが、いずれか一方のヒータ載置台18に設けてもよい。また、上述の結合係数調整手段21は、ヒータ載置台18とこれに支持される下側ヒータ11bの部分に設ける場合に限らない。例えば、係合凸部20を下側ヒータ11bのヒータ挿入部6bに挿入される部分に設けると共に、波形保持凹部21をヒータ挿入部6b内に設けることによって、結合係数調整手段21をヒータ挿入部6b内に設けてもよい。
なお、本願発明の実施の形態1〜5においては、コイル8と下側ヒータ11bの結合係数kbを変化させる場合について述べたが、各実施の形態に記載した内容を上側ヒータ11aに適用して、コイル8と上側ヒータ11aの結合係数kaを変化させて、上側ヒータ11aと下側ヒータ11bに入力される電力比率を変化させてもよい。
また、各実施の形態では1個のコイルと2本のヒータとの結合係数をそれぞれ異なる大きさとし、各ヒータに入力される電力の比率を変更する方法について述べたが、1個のコイルで3本以上のヒータを加熱する場合であっても、本実施の形態で述べた手段によりコイルと各ヒータとの結合係数をそれぞれ異なる大きさとすることによって、各ヒータに入力される電力比率を変えることができる。