JP5849977B2 - クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による前記ハードセグメントの融点に起因する少なくとも2つの異なる吸熱ピーク温度を100℃以上の範囲に持つ部材で構成されるクリーニングブレードである。
前記2つの異なる吸熱ピーク温度の内、高温側の吸熱ピーク温度(T1)が180℃以上220℃以下の範囲であり、且つ低温側の吸熱ピーク温度(T2)が120℃以上160℃以下の範囲であるクリーニングブレードである。
請求項1に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置である。
請求項2に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする請求項2に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置である。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による少なくとも2つの異なる吸熱ピーク温度を100℃以上の範囲に持つ部材で構成される。
この効果が奏されるのは、以下に示す理由と考えられる。
クリーニングブレードの接触部に高融点(大粒子径)の結晶を有することにより、摺動性が付与され、耐摩耗性が向上するものと考えられる。一方、低融点(小粒子径)の結晶部はソフトセグメントとの結合表面積が大きくなるため、より高強度となり、高い耐久性が得られ、耐欠け性が向上するものと考えられる。
上記制御方法の詳細については、後に詳述する。
本実施形態では、ポリウレタンゴムがハードセグメントとソフトセグメントとを有し、且つハードセグメントが、粒子径が相対的に大きく高融点であるハードセグメント凝集体と、粒子径が相対的に小さく低融点であるハードセグメント凝集体とを有する。
前記高融点側(大粒子径)のハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上20μm以下であることが望ましく、更に5μm以上15μm以下であることがより望ましく、5μm以上10μm以下であることが更に望ましい。
高融点側(大粒子径)のハードセグメントの凝集体の平均粒子径が5μm以上であることにより、ブレード表面での結晶面積が増え、摺動性向上の利点がある。一方、20μm以下であることにより、低摩擦化を維持しつつ、靱性(耐欠け性)を失わないとの利点がある。
低融点側(小粒子径)のハードセグメントの凝集体の平均粒子径が0.10μm以上であることにより、高強度化を維持しつつ、摺動性を失わないとの利点がある。一方、0.50μm以下であることにより、ソフトセグメントとの結合表面積が大きくなるため、より高強度となるとの利点がある。
偏光顕微鏡(オリンパス製BX51−P)を用い、倍率×20にて画像を撮影し、画像処理を施して画像を2値化し、クリーニングブレード1本につき5点(1点につき5個の凝集体を測定)、クリーニングブレード20本について粒子径を測定し、計500個から平均粒子径を算出する。
尚、画像の2値化は、画像処理ソフトOLYMPUS Stream essentials(オリンパス社製)を用い、結晶部を黒、非晶部を白になるよう色相/彩度/輝度の閾値を調整する。
原子間力顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製、製品名:S−image)の位相モード(DFM)にて形状/位相解析を行い、クリーニングブレード1本につき3点(1点につき50個の凝集体を測定)、クリーニングブレード3本について粒子径を測定し、計450個から平均粒子径を算出する。
尚、使用カンチレバーはDF3(バネ定数:1.6N/m)、測定領域は2m×2mとする。また、形状/位相解析は、試料表面の吸着や粘弾性を反映しているカンチレバー振動の位相信号を表面形状像と同時に検出し、位相分布像を得た上で、画像処理ソフトMedia Cybernetics(Image−Pro Plus社製)を用い、2値化処理を用い、コントラストを調整する。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、被クリーニング部材との接触部を構成する部材が少なくとも2つの異なる吸熱ピーク温度を有するが、この内高温側の吸熱ピーク温度(T1)を180℃以上220℃以下の範囲に、且つ低温側の吸熱ピーク温度(T2)を120℃以上160℃以下の範囲に持つことが望ましい。
尚、高温側の吸熱ピーク温度(T1)は、更に185℃以上215℃以下であることが望ましく、190℃以上210℃以下であることがより望ましい。一方、低温側の吸熱ピーク温度(T2)は、更に120℃以上140℃以下であることが望ましく、120℃以上130℃以下であることがより望ましい。
また、低温側の吸熱ピーク温度(T2)が120℃以上であることにより、摺動性を向上させるとの利点があり、一方160℃以下であることにより、結晶部の比表面積が増加する為ソフトセグメントとの相溶性が向上し、モジュラス・引張り強度等の機械強度が上がるとの利点がある。
ここで、T1,T2は、DSCで検出される全吸熱ピーク(熱量)のうち、上記T1(180℃以上220℃以下)、T2(120℃以上160℃以下)の温度範囲内にある吸熱ピークの最上位のピークを選定し、それぞれT1、T2とする。
図1は、第1の実施形態に係るクリーニングブレードを示す概略図であり、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。また、図2は第2の実施形態に係るクリーニングブレードが、図3は第3の実施形態に係るクリーニングブレードが、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。
また、接触角部3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、図3では接触部材として1/4にカットされた円柱の形状を有する部材の例を示したが、これに限定されるものではない。接触部材としては、例えば楕円状の円柱が1/4にカットされた形状や、正方形の四角柱、長方形の四角柱等の形状であってもよい。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおける接触部材は、ポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による2つの異なる吸熱ピーク温度を100℃以上の範囲に持つ。
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリオールとして、ジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。なお、ソフトセグメント材料として用いられる上記ポリオールの市販品としては、例えば、ダイセル化学社製のプラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
また、ハードセグメント材料としては、イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂を用いることが望ましい。また、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を用いることが望ましい。
また、後述する鎖延長剤(例えばジオール等)も、ハードセグメント材料として好適に用いられる。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られ、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されて、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、クリーニングブレードの欠けの発生が抑制される。
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
また、鎖延長剤としてジオールを用いてもよく、例えば1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
触媒としては、第三級アミン等のアミン系化合物、第四級アンモニウム塩、有機錫化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。
上記第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール、エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体、N,N’−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N’−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等が挙げられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
本実施形態における前記接触部材を構成するポリウレタンゴム部材の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
具体的には、前記触媒を選択することで一次硬化の速度を速める。つまり、低融点側のハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう調整する。また、ポリウレタン組成物を調整する際に、ポリオールやプレポリマーの温度を低くしたり、硬化・成形の温度を低くしたりすることにより、架橋の進行が遅くなるよう調整する。これらの温度(ポリオールやプレポリマーの温度、硬化・成形の温度)を低く設定して反応性を下げることにより、ウレタン結合部が凝集し、ハードセグメントの結晶体が得られるので、高融点側のハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう温度を調整する。
これにより、DSCを測定した際に結晶融解エネルギーの吸熱ピーク温度が2つ存在するポリウレタンゴム部材が成形される。
なお、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤および触媒の量や、架橋剤の比率等は求められる範囲に調整する。
次に、このソフトセグメント材料と鎖延長剤との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加え、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、更に触媒(例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)−オクチル酸塩)、架橋剤(例えばトリメチロールプロパン)を加えて混合し、クリーニングブレード形成用の組成物を調製する。
更に架橋反応させ、冷却した後にカットしクリーニングブレードが形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
前記接触部材においては、ポリウレタンゴム中における化学架橋(架橋剤による架橋)「1」に対する物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)の比率が、1:0.8乃至1:2.0であることが望ましく、更には1:1乃至1:1.8であることが望ましい。
化学架橋に対する物理架橋の比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体がより成長され結晶由来の低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
σ=2C1(λ−1/λ2)+2C2(1−1/λ3)
σ:応力、λ:歪、C1:化学架橋密度、C2:物理架橋
尚、引張り試験による応力−歪曲線より10%伸長時のσとλを用いる。
ソフトセグメントに対するハードセグメントの比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体量も増えることにより低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
ついで、本実施形態のクリーニングブレードが、図2に示す第2実施形態や図3に示す第3実施形態のごとく、接触部材と該接触部材以外の領域(非接触部材)とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合における、非接触部材の組成について説明する。
・反撥弾性
非接触部材は、50℃の反撥弾性が70%以下である材料で構成されることが望ましい。更には、60%以下であることがより望ましく、50%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に30%以上であることが望ましく、40%以上であることがより望ましい。
また、本実施形態に係るクリーニングブレードにおける非接触部材は、100%永久伸びが1.0%以下である材料で構成されることが望ましく、0.5%以下であることがより望ましく、0.4%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に0.1%以上であることが望ましく、0.2%以上であることがより望ましい。
JIS K6262(1997年)に準拠して、短冊状試験片を用い、100%引張りひずみを与えて24時間放置し、下記式の通り標線間距離より求められる。
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6262に規定の短冊状試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から短冊状試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が短冊状試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって短冊状試験片を形成し、この短冊状試験片について上記の測定が行われる。
ポリオールとしては、ポリテトラメチルエーテルグリコール、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。中でもMDIが望ましい。
更に、ポリウレタンを硬化させる硬化剤として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの硬化剤が挙げられる。
図1に示す接触部材のみからなるクリーニングブレードの場合には、前述の接触部材の成形方法によってクリーニングブレードが製造される。
本実施形態のクリーニングブレードを利用して被クリーニング部材をクリーニングする場合、クリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、画像形成装置内において、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されず、例えば、中間転写体や、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシからさらにトナーを除去するデトーニングロール等も挙げられるが、本実施形態においては、像保持体であることが特に望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態のクリーニングブレードを備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の異物を異物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
また、クリーニングブレード先端部が像保持体に食込む長さが0.8mm以上1.2mm以下の範囲であることが望ましく、0.9mm以上1.1mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと像保持体との接触部における角度W/A(Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが望ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより望ましい。
次に、本実施形態のクリーニングブレード、並びに、これを用いた画像形成装置およびクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図4中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム、33は各現像ユニット、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電装置(帯電ロール)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
尚、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図4中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
図5は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図4中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図5中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
図1は、本実施形態のクリーニングブレードの一例を示す模式断面図であり、図5中に示すクリーニングブレード342を、これに接触する感光体ドラム31と共に示した図である。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えばトリミング部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34(またはベルトクリーニング装置53)によって清掃される。
−クリーニングブレードA1−
まず、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)およびポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)と、をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、鎖延長剤1,4−ブタンジオール(三菱ガス化学製)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
実施例1において、金型温度を145℃、熟成温度を120℃に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA2を得た。
実施例1において、金型温度を145℃、熟成温度を100℃に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA3を得た。
実施例1において、触媒量を0.003部、金型温度を130℃、熟成温度を100℃に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA4を得た。
実施例1において、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物の質量比を(40/60)、金型温度を145℃に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA5を得た。
実施例1において、触媒量を0.003部、金型温度を120℃、熟成を温度100℃で36時間に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA6を得た。
実施例1において、熟成温度を130℃に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA7を得た。
実施例1において、熟成を温度95℃で48時間に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA8を得た。
実施例1において、触媒(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)−オクチル酸塩)を用いず、テトラメチルアルキレンジアミンを使用した以外は、実施例1に記載の方法によりクリーニングブレードA8を得た。
<DSC測定>
クリーニングブレードの示差走査熱量測定による吸熱ピーク温度(溶融温度)は、示差走査熱量測定(DSC)にてASTM D3418−99に準じて行なった。測定には、パーキンエルマー社製Diamond−DSCを使用し、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空のパンをセットし測定を行った。このときのDSCでの測定の際の昇温速度は3℃/mimとし、測定温度範囲は20℃から250℃とした。
また、クリーニングブレードのハードセグメントにおける、高融点側(大粒子径)のハードセグメント凝集体の平均粒子径、および低融点側(小粒子径)のハードセグメント凝集体の平均粒子径を前述の方法により測定した。
更に、クリーニングブレードの硬度(JIS−A)を下記の方法により測定した。硬度(JIS−A)は、JISK6253(1997)に記載のタイプA デュロメータを用いて測定した硬さであり、ブレードの感光体接触面を軸方向に3点測定し、平均値を求めることによって測定した。
以下の引張試験により、モジュラスを測定した。
100%モジュラスMは、JIS−K6251に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力より求めた。尚、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
〔画像形成装置の構成〕
前記より得た実施例および比較例のクリーニングブレードを、それぞれ図4に示す画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre−II C7500)における感光体ドラム用クリーニングブレードとして装着した。
・感光体ドラム:有機感光材(φ=30mm)
・プロセス速度:250mm/sec、110mm/sec、55mm/secの3通り
・帯電装置:交流重畳直流の帯電ロール
・現像装置:2成分磁気ブラシ現像装置
・クリーニングブレード:長さ8mm、厚さ2mm、自由長7.0mm、
接触角25度、押し付け力NF2.0gf/mm
試験は、重合法によって作製された形状係数が123から128の範囲に分布し、平均粒径が6μmのトナーを用い、このトナーを含む2成分現像剤を上記画像形成装置における現像器に収容して使用した。この画像形成装置によるテストプリント(1色当たりの面積率5%)の画像をプリント枚数5枚の繰り返しで50,000枚分下記のそれぞれの環境で行った。尚、ストレス環境として、プロセス速度:250mm/sec、高温高湿(32.5℃、85%RH)、低温低湿(5℃、15%RH)、および中温中湿(22℃、55%RH)とした。
上記試験後、クリーニングブレードのエッジ欠け、およびクリーニングブレード自体のメクレの発生の有無について観察し、以下の評価基準により評価した。
A:感光体接触面をレーザー顕微鏡で観察し、欠けが無し
B:微小な欠けが発生したが、画像上問題がなし
C:欠けが発生し、縦筋の画像不良が発生
プロセス速度を110mm/sec、55mm/secに変更して更に上記の試験を実施し、感光体とクリーニングブレードのこすれ時に発生する鳴き(異音)の発生の有無を確認し、以下の評価基準により評価した。
A:装置駆動音のみ聞こえる
B:装置駆動音以外わずかにブレードの鳴きが聞こえる
C:ブレード鳴きがひどく誰が確認しても耳障りと判断されるレベル
以下の方法により、クリーニングブレードの耐摩擦性を評価した。
高温高湿環境(32.5℃,85RH%)下にて、感光体の積算回転数が100KサイクルになるまでA4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製、P紙)を用いて画像形成させた。その後、クリーニングブレードの接触部(エッジ)先端の摩耗深さと、クリーニング不良とを併せて評価し、エッジ磨耗を判断した。尚、テストに際しては、感光体とクリーニングブレードとの接触部における潤滑効果を小さくした過酷な条件で評価するため、形成する画像の像密度を1%とした。また、エッジ先端の摩耗深さは、クリーニングブレードの断面側からキーエンス社製、レーザ顕微鏡VK−8510により観察した時に確認される、感光体表面側のエッジ欠落部の最大深さとした。
更に、クリーニング不良の評価は、上記のテスト終了後に、画像密度100%の未転写ベタ画像(ベタ画像サイズ1400mm×290mm)が形成されたA3用紙を、感光体とクリーニングブレードとの間に通常のプロセススピードで給紙して、未定着画像の搬送方向最後端部分が感光体とクリーニングブレードとの接触部を通過し終えた直後に実機を停止し、トナーの擦り抜け有無を目視で確認した。顕著な擦り抜けが認められる場合をクリーニング不良とした。尚、エッジ先端の摩耗や欠けにより、トナーを塞き止める部位が欠落している場合はエッジ摩耗深さや欠け深さが大きい程、上述したテストでクリーニング不良が発生し易くなるため、上記テストはエッジ先端の摩耗や欠けの定性的評価に有用である。
エッジ摩耗の評価基準を以下に示す。尚、許容範囲はAおよびBである。
A:先端部摩耗深さ :3μm以下且つ摩耗跡無し
クリーニング不良:未発生
B:先端部摩耗深さ :3μmを超え、5μm以下
クリーニング不良:未発生
C:先端部摩耗深さ :3μmを超える
クリーニング不良:発生
前記より得た実施例および比較例のクリーニングブレードを、それぞれカラー複写機(富士ゼロックス製、DocuCentre Color a450)における感光体ドラム用クリーニングブレードとして装着した。
このカラー複写機を用い、画像濃度が1%(A4サイズの用紙に6.2mm×1mmのベタ画像が載っているもの)の画像形成を用紙(富士ゼロックス社製、C2r紙)に2,000枚繰り返した。そのあとのクリーニングブレードの変形具合、色スジの画質欠陥の発生状態を下記の基準で目視により評価した。
A:色スジが確認されない
B:画像に色スジが僅かに確認されるが許容範囲
C:画像に色スジが確認され、許容し得ない
実施例2は低温側(T2)が120℃以上160℃以下の範囲内で吸熱ピーク温度が低く、硬度も低いため実施例1よりブレード鳴きがあったものと考えられるが、使用上問題がないレベルであった。
実施例4は低温側(T2)が120℃以上160℃以下の範囲内で吸熱ピーク温度が高いため、実施例1と比べてソフトセグメントとの結合表面積強度が小さいく、強度が若干劣るものと考えられるが、使用上問題がないレベルであった。
実施例6は低温側(T2)が160℃を越える吸熱ピーク温度であり、低融点側の結晶粒子(ハードセグメント凝集体)の比表面積が低下する為ソフトセグメントとの相溶性が減少し、モジュラス・引張り強度等の機械強度が下がる為、ブレードダメージが劣る。また、ブレード上の結晶部面積が小さいため、摺動性が低下し、ブレード鳴きも若干発生するが、使用上問題のないレベルであった。
実施例7は高温側(T1)が180℃未満の吸熱ピーク温度であり、高融点側の結晶球の粒子径が小さいために若干摺動性が劣るが、使用上問題の無いレベルであった。
実施例8は高温側(T1)が220℃を越えるの吸熱ピーク温度であり、高融点側の結晶が成長しすぎるために、弾性が失われ、若干脆くなる為に、ブレードダメージが劣るが、使用上問題の無いレベルで合った。
実施例9は高温側(T1)が220℃を越える吸熱ピーク温度であり、高融点側の結晶が成長しすぎるために、弾性が失われ、若干脆くなる為に、ブレードダメージが劣り、また低温側(T2)が120℃未満の吸熱ピーク温度であり、ブレード表面で十分に低融点側の結晶粒子(ハードセグメント凝集体)が成長しておらず、摺動性が低下する為、若干ブレード鳴きが発生するが、使用上問題がないレベルであった。
Claims (4)
- 少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するポリウレタンゴムを含有し且つ示差走査熱量測定による前記ハードセグメントの融点に起因する少なくとも2つの異なる吸熱ピーク温度を100℃以上の範囲に持つ部材で構成され、
前記2つの異なる吸熱ピーク温度の内、高温側の吸熱ピーク温度(T1)が180℃以上220℃以下の範囲であり、且つ低温側の吸熱ピーク温度(T2)が120℃以上160℃以下の範囲であるクリーニングブレード。 - 請求項1に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
- 請求項2に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させてクリーニングする請求項2に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
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