JP6314635B2 - クリーニングブレード、清掃装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents

クリーニングブレード、清掃装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、クリーニングブレード、清掃装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置に関する。
従来から、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等においては、感光体等の像保持体の表面の残存トナー等を除去するための清掃手段として、クリーニングブレードが用いられている。
例えば特許文献1には、感光体ベルトに、高分子樹脂粉末,ステアリン酸亜鉛粉末,シリカ粉末等からなるトナー、またはステアリン酸亜鉛粉末を塗布することによって、表面に低摩擦膜が形成され、低摩擦膜は、クリーニングブレードの接触位置から、感光体ベルトの移動方向における上流側の定められた面積に形成された画像形成装置が開示されている。
また特許文献2には、ポリオール、イソシアネート化合物を少なくとも含むポリウレタン組成部を硬化・成形してなる注型タイプのポリウレタン部材からなるものであり、前記ポリウレタン部材は、外径0.5μm以上12μm未満のハードセグメント凝集体を含み、且つ、ハードセグメントの外径をa(μm)とし、その個数をb(個)としたとき、1000μmあたりのa×bが70以上1050未満であるクリーニングブレードが開示されている。
また特許文献3には、エッジ部分とバックアップ部分とが異なる組成から形成されるポリウレタン製ブレードにおいて、エッジ部分を形成するポリウレタンがバックアップ部分を形成するポリウレタンよりも高硬度であって、バックアップ部を形成するポリウレタンのJIS−A硬度が65から80であり、エッジ部を形成するポリウレタンが、(1)JIA−A硬度が、75から100かつtanδピーク温度が−20から−1℃、または、(2)JIS−A硬度が85から100かつtanδピーク温度が−20から60℃であるブレードが開示されている。
特開平5−119676号公報 特開2010−134111号公報 国際公開第2011/058184号
本発明は、耐欠け性と耐摩耗性とを両立したクリーニングブレードを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
ポリウレタンゴムを含有し、示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg以上であり、且つ吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mg以下であるポリウレタンゴム部材により、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が構成されるクリーニングブレードである。
請求項2に係る発明は、
前記ポリウレタンゴムが、材料の一つにポリエーテルポリオールを用いたゴムである請求項1に記載のクリーニングブレード。
請求項に係る発明は、
前記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg未満である請求項1または請求項2に記載のクリーニングブレードである。
請求項に係る発明は、
前記ポリウレタンゴム部材における、粒径10nm以上200nm以下の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以上20%以下であり、且つ粒径200nmを超える結晶球の存在比率が、断面における平均
面積比で10%以下である請求項1請求項3の何れか一項に記載のクリーニングブレードである。
請求項に係る発明は、
前記ポリウレタンゴム部材における、粒径5μm以上の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以下である請求項に記載のクリーニングブレードである。
請求項に係る発明は、
請求項1〜請求項の何れか一項に記載のクリーニングブレードを備えた清掃装置である。
請求項に係る発明は、
請求項に記載の清掃装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジである。
請求項に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させて清掃する請求項に記載の清掃装置と、
を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、ポリウレタンゴム部材の吸熱ピークP1およびP2のピーク熱量が前記範囲を満たさない場合に比べ、耐欠け性と耐摩耗性とを両立したクリーニングブレードが提供される。
請求項に係る発明によれば、ポリウレタンゴム部材の吸熱ピークP2highのピーク熱量が前記範囲を満たさない場合に比べ、耐欠け性に優れたクリーニングブレードが提供される。
請求項に係る発明によれば、ポリウレタンゴム部材における粒径10nm以上200nm以下の結晶球および粒径200nmを超える結晶球の存在比率が前記範囲を満たさない場合に比べ、耐欠け性と耐摩耗性とを両立したクリーニングブレードが提供される。
請求項に係る発明によれば、ポリウレタンゴム部材における粒径5μm以上の結晶球の存在比率が前記範囲を満たさない場合に比べ、耐欠け性に優れたクリーニングブレードが提供される。
請求項、およびに係る発明によれば、ポリウレタンゴム部材の吸熱ピークP1およびP2のピーク熱量が前記範囲を満たすクリーニングブレードを備えない場合に比べ、長期にわたり優れたクリーニング性能が得られる清掃装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置が提供される。
本実施形態におけるクリーニングブレードの一例を示す概略図である。 本実施形態におけるクリーニングブレードの他の一例を示す概略図である。 本実施形態におけるクリーニングブレードの他の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略模式図である。 本実施形態に係るクリーニング装置の一例を示す模式断面図である。 実施例および比較例で作製したクリーニングブレードについての示差走査熱量測定の結果を示すグラフである。 比較例で作製したクリーニングブレードについての示差走査熱量測定の結果を示すグラフである。
以下、本発明のクリーニングブレード、清掃装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
<クリーニングブレード>
本実施形態に係るクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムを含有し、示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg以上であり、且つ吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mg以下であるポリウレタンゴム部材により、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が構成される。
尚、上記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1を少なくとも1つ有する。80℃以上120℃未満の範囲に2つ以上の吸熱ピークを有する場合、吸熱ピークP1のピーク熱量は、これら2つ以上の吸熱ピークのピーク熱量の総量とする。
また、上記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークを有しないか、または吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2を有する場合であってもそのピーク熱量が0.5mJ/mg以下である。尚、120℃以上の範囲に2つ以上の吸熱ピークを有する場合、吸熱ピークP2のピーク熱量は、これら2つ以上の吸熱ピークのピーク熱量の総量とする。
従来から、クリーニングブレードには長寿命化の観点から優れた耐摩耗性が求められている。また、クリーニングブレードの被クリーニング部材との接触箇所において一部に局所的な応力が掛かることで部分的な欠けを生じることがあり、欠けが生じた箇所ではクリーニングが行われないため、局所的な応力に対する耐欠け性も求められている。
一般に弾性部材によって構成されるクリーニングブレードでは、弾性部材の分子運動性を高めると、低温特性が向上してガラス転移温度が低下し、十分な耐欠け性が付与される。しかし、分子運動性を上げることにより低硬度化するため、耐摩耗性は低下してしまう。つまり、耐欠け性と耐摩耗性とは、二律背反の関係にあった。
これに対し、本実施形態に係るクリーニングブレードは、少なくとも被クリーニング部材に接触する接触部分が、前記吸熱ピーク1および吸熱ピーク2のピーク熱量の要件を満たすポリウレタンゴム部材により構成されていることから、耐欠け性と耐摩耗性との両立が実現される。
この理由は必ずしも明確なわけではないが、以下のように推察される。
即ち、ポリウレタンゴム部材を構成するポリウレタンゴムには、分子構造中にハードセグメントとソフトセグメントが存在し、このハードセグメントやその他鎖延長剤などが結晶化し、結晶球が形成される。この結晶球として粒径の小さな結晶を多く含み且つ粒径の大きな結晶の量を抑制することにより、優れた耐摩耗性が得られるものと考えられる。また、結晶性を高め過ぎるとゴム弾性が失われる為に、例えば長時間にわたってトナーが介在している感光体と摺動されるなどの状態に晒されると、クリーニングブレードに欠けが発生する。つまり、適度な結晶性を有することが重要であり、ポリウレタンゴム弾性体として低溶融温度の微小結晶を多く含み且つ粒径の大きな結晶の量を抑制したポリウレタンゴム部材により、耐摩耗性と耐欠け性とを両立したクリーニングブレードが得られるものと推察される。
ここで、吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1は、上記の微小な結晶球に由来するものと考えられ、また吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のは、微小でない粒径の大きな結晶球に由来するものと考えられる。
・吸熱ピークP1
吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg未満であると、耐摩耗性と耐欠け性とを両立し得ない。
尚、吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量は、更に2mJ/mg以上が好ましく、3mJ/mg以上がより好ましい。また、上限値としては特に制限はないが、10mJ/mg以下が好ましく、5mJ/mg以下がより好ましい。
・吸熱ピークP2
吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mgを超えると、耐欠け性に劣る。
尚、吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量は、更に0.3mJ/mg以下が好ましく、0.1mJ/mg以下がより好ましく、0mJ/mgに近いほど好ましい。
・吸熱ピークP2high
また本実施形態においては、更に吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg以下であることが好ましい。吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg以下であることにより、耐欠け性により優れる。
尚、吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量は、更に0.1mJ/mg以下が好ましく、0.05mJ/mg以下がより好ましく、0mJ/mgに近いほど好ましい。
・吸熱ピークおよびピーク熱量の測定
前記吸熱ピークP1、P2、およびP2highにおけるピーク熱量の測定は、示差走査熱量測定(DSC)にて、ASTM D3418−99に準じて行なわれる。
測定には、パーキンエルマー社製Diamond−DSCを使用し、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定を行う。
・結晶球の粒径およびその存在比率
ポリウレタンゴム部材では、ハードセグメントやその他鎖延長剤などが結晶化し結晶球が形成される。この結晶球の粒径としては、耐摩耗性と耐欠け性とを両立するとの観点から、粒径10nm以上200nm以下の範囲が好ましく、更にポリウレタンゴム部材の断面を観察した際に、粒径10nm以上200nm以下の範囲の結晶球の存在比率(測定した断面全面に対する面積比)が、平均で5%以上20%以下であることが好ましい。粒径10nm以上200nm以下の範囲の結晶球の存在比率は、更に5%以上15%以下がより好ましく、5%以上10%以下が更に好ましい。
また、粒径200nmを超える結晶球の存在比率(測定した断面全面に対する面積比)は、優れた耐欠け性を得る観点で、10%以下であることが好ましい。更には5%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましく、0%に近いほど好ましい。
また、粒径5μm以上の結晶球の存在比率(測定した断面全面に対する面積比)は、優れた耐欠け性を得る観点で、5%以下であることが好ましい。更には3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましく、0%に近いほど好ましい。
・小粒子径側(200nm以下)の結晶球の粒径および平均面積比の測定
原子間力顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製、製品名:S−image)の位相モード(DFM)にて形状/位相解析を行い、クリーニングブレード1本につき3面、クリーニングブレード3本について測定断面中に存在する小粒子径側の結晶球の粒子径を測定し、測定断面全面に対する粒径10nm以上200nm以下の範囲の結晶球の面積比(平均値)を求める。
尚、使用カンチレバーはDF3(バネ定数:1.6N/m)、測定領域は2m×2mとする。また、形状/位相解析は、試料表面の吸着や粘弾性を反映しているカンチレバー振動の位相信号を表面形状像と同時に検出し、位相分布像を得た上で、画像処理ソフトMedia Cybernetics(Image−Pro Plus社製)を用い、2値化処理を用い、コントラストを調整する
・大粒子径側(200nmを超える)の結晶球の粒径および平均面積比の測定
偏光顕微鏡(オリンパス製BX51−P)を用い、倍率×20にて画像を撮影し、画像処理を施して画像を2値化し、クリーニングブレード1本につき5面、クリーニングブレード20本について測定断面中に存在する大粒子径側の結晶球の粒子径を測定し、測定断面全面に対する粒径200nmを超える範囲の結晶球の面積比(平均値)を求める。
尚、画像の2値化は、画像処理ソフトOLYMPUS Stream essentials(オリンパス社製)を用い、結晶部を黒、非晶部を白になるよう色相/彩度/輝度の閾値を調整する。
また、粒径5μm以上の結晶球の存在比率や実施例で行っている粒径200nmを超え5μm未満の結晶球の存在比率の測定も、同様にして行われる。
・吸熱ピークトップ温度およびその熱量の制御(結晶球の粒径の制御)
前記吸熱ピークP1およびP2の要件を満たすポリウレタンゴム部材とするためには、粒径が小さい結晶球の量を多くし且つ粒径が大きい結晶球の量を少なくする方法が挙げられる。具体的には、小粒子径側(つまり200nm以下)の結晶球の平均面積比および大粒子径側(つまり200nmを超える)の結晶球の平均面積比が前述の範囲を満たすよう制御することが好ましい。
尚、結晶球として小粒子径側(200nm以下)の結晶球を多くし且つ大粒子径側(200nmを超える)の結晶球を少なくするための制御方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(制御方法1)ポリウレタンゴム部材に含まれるポリウレタンの材料の一つであるソフトセグメント材料として、ポリエーテルポリオールを用いる方法が挙げられる。一般的には、ソフトセグメント材料としてポリエステルポリオールが主流で使用されている。これに対し、ポリエーテルポリオールを用いることにより、ポリエーテルポリオールの分子運動性が高いために結晶の成長が阻害される方向に働くものと考えられ、その結果粒径の大きな結晶が低減され、小粒子径側(つまり200nm以下)の結晶球が増すものと考えられる。
(制御方法2)イソシアネート量を調整することで結晶球の粒径を制御し得る。イソシアネートの添加量を少なくする程より粒径は小さくなり、一方添加量を増すほどより粒径は大きくなる傾向にある。
(制御方法3)鎖延長剤の添加量を調整することで結晶球の粒径を制御し得る。鎖延長剤の添加量を少なくする程ハードセグメントの連鎖長がより短くなり、結晶球はより小径化され、一方添加量を増すほどハードセグメントの連鎖長がより長くなり、粒径がより大きくなる傾向にある。
次いで、本実施形態に係るクリーニングブレードの構成について説明する。
本実施形態のクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムを含有し且つ前記吸熱ピークP1およびP2の要件を満たす部材(以下「接触部材」と称す)を、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分に有していればよい。つまり、前記接触部材からなり且つ被クリーニング部材表面に接触する第一層と、該第一層の背面に、背面層としての第二層が設けられた2層構成であってもよいし、3層以上の構成であってもよい。また、被クリーニング部材と接触する部分の角部のみが前記接触部材からなり、その周囲が他の材料からなる構成であってもよい。
ここで、図を用いてより詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係るクリーニングブレードを示す概略図であり、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。また、図2は第2の実施形態に係るクリーニングブレードが、図3は第3の実施形態に係るクリーニングブレードが、感光体ドラムの表面に接触した状態を示す図である。
まず、クリーニングブレードの各部について図1を用いて説明する。以下においては、図1に示すごとく、クリーニングブレードは、駆動する像保持体(感光体ドラム)31に接触して像保持体31の表面をクリーニングする接触部(接触角部)3Aと、接触角部3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の上流側を向く先端面3Bと、接触角部3Aが1つの辺を構成し且つ前記駆動の方向(矢印A方向)の下流側を向く腹面3Cと、先端面3Bと1つの辺を共有し且つ腹面3Cに対向する背面3Dと、を有する。
また、接触角部3Aと平行な方向を奥行き方向と、接触角部3Aから先端面3Bが形成されている側の方向を厚み方向と、接触角部3Aから腹面3Cが形成されている側の方向を幅方向と称す。
尚、図2および図3では、接触角部3A、先端面3B、腹面3C、および背面3Dの符号を省略しているが、図1と同じ箇所をそれぞれ接触角部3A、先端面3B、腹面3C、および背面3Dと称し、且つ図1と同じ方向を奥行き方向、厚み方向、および幅方向と称す。
図1に示す第1の実施形態に係るクリーニングブレード342Aは、感光体ドラム31と接触する部分(接触角部)3Aを含めて、全体が単一の材料から構成されており、即ち接触部材のみからなる態様である。
尚、本実施形態に係るクリーニングブレードは、図2に示す第2の実施形態のごとく、感光体ドラム31と接触する部分(接触角部)3Aを含み、腹面3C側全面に渡って形成され且つ接触部材からなる第一層3421Bと、該第一層よりも背面3D側に形成され且つ接触部材とは異なる材料からなる背面層としての第二層3422Bと、が設けられた2層構成であってもよい。
更に、本実施形態に係るクリーニングブレードは、図3に示す第3の実施形態のごとく、感光体ドラム31と接触する部分つまり接触角部3Aを含み、1/4にカットされた円柱が奥行き方向に伸びた形状を有し該形状の直角部分が接触角部3Aを形成する、接触部材からなる接触部材(エッジ部材)3421Cと、接触部材3421Cの厚み方向の背面3D側および幅方向の先端面3Bとは反対側を覆い、つまり前記接触部材3421C以外の部分を構成する、接触部材とは異なる材料からなる背面部材3422Cと、が設けられた構成であってもよい。
尚、図3では接触部材として1/4にカットされた円柱の形状を有する部材の例を示したが、これに限定されるものではない。接触部材としては、例えば楕円状の円柱が1/4にカットされた形状や、正方形の四角柱、長方形の四角柱等の形状であってもよい。
また、通常クリーニングブレードは剛性板状支持材に接着されて用いられる。
−接触部材の組成−
本実施形態に係るクリーニングブレードにおける接触部材は、ポリウレタンゴムを含有し且つ前記吸熱ピークP1およびP2の要件を満たす。
ポリウレタンゴムは、通常ポリイソシアネートとポリオールとを重合することで合成される。また、ポリオール以外にイソシアネート基と反応し得る官能基を有する樹脂を用いてもよい。尚、ポリウレタンゴムはハードセグメントとソフトセグメントとを有していることが望ましい。
ここで、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、ポリウレタンゴム材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
ハードセグメントを構成する材料(ハードセグメント材料)とソフトセグメントを構成する材料(ソフトセグメント材料)との組み合わせとしては、特に限定されず、一方が他方に対して相対的に硬く、他方が一方に対して相対的に柔らかい組み合わせとなるよう公知の樹脂材料から選択し得るが、本実施形態においては、以下の組み合わせが好適である。
・ソフトセグメント材料
まず、ソフトセグメント材料としては、ポリエーテルポリオールが好適に用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、特に制限されるものではなく、例えばポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
ゴムの柔軟性と微小結晶の制御のし易さから、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。尚、前記ポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、500以上5000以下の範囲が好ましい。数平均分子量が500以上であることにより、クリーニングブレードの機械的強度が得られる。また、数平均分子量が5000以下であることにより、クリーニングブレードの機械的強度が高くなりすぎず、また材料の粘度上昇による作業性の低下が抑制される。
また、ソフトセグメント材料としては、その他のポリオールを用いてもよく、該ポリオールとしては、ジオールと二塩基酸との脱水縮合で得られるポリエステルポリオール、ジオールとアルキルカーボネートの反応により得られるポリカーボネートポリオール、カプロラクトン系のポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
・ハードセグメント材料
ハードセグメント材料としては、まず鎖延長剤が好適に用いられる。
鎖延長剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール等の、分子量300以下のポリオールが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
またハードセグメント材料としては、イソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂を用いることも望ましい。また、柔軟性のある樹脂であることが望ましく、柔軟性の点から直鎖構造を有する脂肪族系の樹脂であることがより望ましい。具体例としては、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂や、2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等を用いることが望ましい。
2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂の市販品としては、例えば、総研化学社製のアクトフロー(グレード:UMB−2005B、UMB−2005P、UMB−2005、UME−2005等)が挙げられる。
2つ以上のヒドロキシル基を含むポリブタジエン樹脂の市販品としては、例えば、出光興産社製、R−45HT等が挙げられる。
2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、従来の一般的なエポキシ樹脂のごとく硬くて脆い性質を有するものではなく、従来のエポキシ樹脂よりも柔軟強靭性であるものが望ましい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、分子構造の面では、その主鎖構造中に、主鎖の可動性を高くし得る構造(柔軟性骨格)を有するものが好適であり、柔軟性骨格としては、アルキレン骨格や、シクロアルカン骨格、ポリオキシアルキレン骨格等が挙げられ、特にポリオキシアルキレン骨格が好適である。
また、物性面では、従来のエポキシ樹脂と比べて、分子量に比して粘度が低いエポキシ樹脂が好適である。具体的には、重量平均分子量が900±100の範囲内であり、25℃における粘度が15000±5000mPa・sの範囲内であることが望ましく、15000±3000mPa・sの範囲内であることがより望ましい。この特性を有するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC製、EPLICON EXA−4850−150等が挙げられる。
ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料を用いる場合、ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下「ハードセグメント材料比」と称す)が10質量%以上30質量%以下の範囲内であることが望ましく、13質量%以上23質量%以下の範囲内であることがより望ましく、15質量%以上20質量%以下の範囲内であることが更に望ましい。
ハードセグメント材料比が、10質量%以上であることにより、耐摩耗性が得られ、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。一方、ハードセグメント材料比が30質量%以下であることにより、硬くなり過ぎることがなく、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されて、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
・ポリイソシアネート
ポリウレタンゴムの合成に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)および3,3−ジメチルフェニル−4,4−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
尚、求められる大きさ(粒子径)のハードセグメント凝集体の形成し易さという点から、ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がより望ましい。
ポリイソシアネートのイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂100質量部に対する配合量は、20質量部以上40質量部以下が望ましく、更には20質量部以上35質量部以下がより望ましく、20質量部以上30質量部以下が更に望ましい。
20質量部以上であることにより、ウレタン結合量が多く確保されてハードセグメント成長し、求められる硬度が得られる。一方40質量部以下であることにより、ハードセグメントが大きくなり過ぎず、伸張性が得られ、クリーニングブレードの欠けの発生が抑制される。
・架橋剤
架橋剤としては、ジオール(2官能)、トリオール(3官能)、テトラオール(4官能)等が挙げられ、これらを併用してもよい。また、架橋剤としてアミン系化合物を用いてもよい。尚、3官能以上の架橋剤を用いて架橋されたものであることが望ましい。3官能の架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
架橋剤のイソシアネート基に対して反応し得る官能基を有する樹脂100質量部に対する配合量は2質量部以下が望ましい。2質量部以下であることにより、分子運動が化学架橋で拘束されることなく、熟成によるウレタン結合由来のハードセグメントが大きく成長し、求められる硬度が得やすくなる。
・触媒
触媒としては、第三級アミン等のアミン系化合物、第四級アンモニウム塩、有機錫化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。
上記第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール、エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体、N,N’−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N’−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等が挙げられる。
上記第四級アンモニウム塩としては、例えば、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・オクチル酸塩、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)・オクチル酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)−オクチル酸塩、DBU−オレイン酸塩、DBU−p−トルエンスルホン酸塩、DBU−蟻酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・蟻酸塩等が挙げられる。
上記有機錫化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)等のジアルキル錫化合物や、2−エチルカプロン酸第1錫、オレイン酸第1錫等が挙げられる。
これら触媒の中でも、耐加水分解性の点では第三級アンモニウム塩のトリエチレンジアミン(TEDA)が用いられ、加工性の点で第四級アンモニウム塩が好適に用いられる。第四級アンモニウム塩の中でも、高反応活性である1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)・オクチル酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)−オクチル酸塩、DBU−蟻酸塩が好適に用いられる。
上記触媒の含有量は、接触部材を構成するポリウレタンゴム全体の0.0005質量%以上0.03質量%以下の範囲が好ましく、特に好ましくは0.001質量%以上0.01質量%以下である。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
・ポリウレタンゴムの製造方法
本実施形態における前記接触部材を構成するポリウレタンゴム部材の製造は、プレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法が用いられる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性に優れるポリウレタンが得られるため本実施形態には好適であるが、製法により制限されるものではない。
かかるポリウレタンゴム部材は、上述したポリオールに、イソシアネート化合物、架橋剤および触媒等を配合して、分子配列のムラが抑制され得る成形条件で成形する。
具体的には、前記触媒を選択することで一次硬化の速度を速める。つまり、低溶融温度側のハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう調整する。また、ポリウレタン組成物を調整する際に、ポリオールやプレポリマーの温度を低くしたり、硬化・成形の温度を低くしたりすることにより、架橋の進行が遅くなるよう調整する。これらの温度(ポリオールやプレポリマーの温度、硬化・成形の温度)を低く設定して反応性を下げることにより、ウレタン結合部が凝集し、ハードセグメントの結晶体が得られるので、高溶融温度側のハードセグメント凝集体の粒子径が求められる結晶径となるよう温度を調整する。
これにより、DSCを測定した際に結晶融解エネルギーの吸熱ピーク温度が2つ存在するポリウレタンゴム部材が成形される。
なお、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤および触媒の量や、架橋剤の比率等は求められる範囲に調整する。
尚、クリーニングブレードの成形は、上記方法により調製されたクリーニングブレード形成用の組成物を、例えば、遠心成形や押し出し成形等を利用して、シート状に形成し、切断加工等を施すことにより作製される。
ここで、一例を挙げて、クリーニングブレードにおける接触部材の製造方法の詳細を説明する。
まず、ソフトセグメント材料(例えばポリオキシテトラメチレングリコール)と、ハードセグメント材料として例えば鎖延長剤(1,4−ブタンジオール等)を、混合(例えば質量比8:2)する。
次に、このソフトセグメント材料と鎖延長剤との混合物に対して、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を加え、例えば窒素雰囲気下で反応させる。この際の温度は60℃以上150℃以下であることが望ましく、更には80℃以上130℃以下であることが望ましい。また反応時間は0.1時間以上3時間以下であることが望ましく、更には1時間以上2時間以下であることが望ましい。
続いて、イソシアネート化合物を更に加え、例えば窒素雰囲気下で反応させてプレポリマーを得る。この際の温度は40℃以上100℃以下であることが望ましく、更には60℃以上90℃以下であることが望ましい。また反応時間は30分間以上6時間以下であることが望ましく、更には1時間以上4時間以下であることが望ましい。
次いで、このプレポリマーを昇温し減圧下で脱泡する。この際の温度は60℃以上120℃以下であることが望ましく、更には80℃以上100℃以下であることが望ましい。また反応時間は10分間以上2時間以下であることが望ましく、更には30分間以上1時間以下であることが望ましい。
その後、プレポリマーに対して、更に触媒(例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)−オクチル酸塩)、架橋剤(例えばトリメチロールプロパン)を加えて混合し、クリーニングブレード形成用の組成物を調製する。
次いで、遠心成形機の金型に上記クリーニングブレード形成用の組成物を流し込み、硬化反応させる。この際の金型温度は80℃以上160℃以下であることが望ましく、更には100℃以上140℃以下であることが望ましい。また反応時間は20分間以上3時間以下であることが望ましく、更には30分間以上2時間以下であることが望ましい。
更に架橋反応させ、冷却した後にカットしクリーニングブレードが形成される。この架橋反応の際の熟成加熱の温度は70℃以上130℃以下であることが望ましく、80℃以上130℃以下であることがより望ましく、更には100℃以上120℃以下であることが望ましい。また反応時間は1時間以上48時間以下であることが望ましく、更には10時間以上24時間以下であることが望ましい。
・物性
前記接触部材においては、ポリウレタンゴム中における化学架橋(架橋剤による架橋)「1」に対する物理架橋(ハードセグメント同士の水素結合による架橋)の比率が、1:0.8乃至1:2.0であることが望ましく、更には1:1乃至1:1.8であることが望ましい。
化学架橋に対する物理架橋の比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体がより成長され結晶由来の低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
尚、上記化学架橋と物理架橋との比率は、以下のMoobey−Rivilin式を用いて算出する。
σ=2C(λ−1/λ)+2C(1−1/λ
σ:応力、λ:歪、C:化学架橋密度、C:物理架橋
尚、引張り試験による応力−歪曲線より10%伸長時のσとλを用いる。
前記接触部材においては、ポリウレタンゴム中におけるソフトセグメント「1」に対するハードセグメントの比率が、1:0.15乃至1:0.3であることが望ましく、更には1:0.2乃至1:0.25であることが望ましい。
ソフトセグメントに対するハードセグメントの比率が上記下限値以上であることにより、ハードセグメント凝集体量も増えることにより低摩擦性の効果が得られる。一方、上記上限値以下であることにより、靱性維持の効果が得られる。
尚、上記ソフトセグメントとハードセグメントとの比率は、H−NMRを用い、ハードセグメント成分としてイソシアネート、鎖延長剤、ソフトセグメント成分としてポリオールのスペクトル面積から組成比を算出する。
本実施形態における前記ポリウレタンゴム部材の重量平均分子量は、1000乃至4000の範囲内であることが望ましく、1500乃至3500の範囲内であることがより望ましい。
−非接触部材の組成−
ついで、本実施形態のクリーニングブレードが、図2に示す第2実施形態や図3に示す第3実施形態のごとく、接触部材と該接触部材以外の領域(非接触部材)とがそれぞれ異なる材料にて構成されている場合における、非接触部材の組成について説明する。
本実施形態に係るクリーニングブレードにおける非接触部材は、特に限定されずに公知の如何なる材料をも用い得る。
・反撥弾性
非接触部材は、50℃の反撥弾性が70%以下である材料で構成されることが望ましい。更には、60%以下であることがより望ましく、50%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に30%以上であることが望ましく、40%以上であることがより望ましい。
50℃の反撥弾性(%)の測定は、JIS K6255(1996年)に準じて50℃環境下にて行われる。尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6255に規定の試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって試験片を形成し、この試験片について上記の測定が行われる。
非接触部材における50℃反撥弾性の制御方法としては、特に限定されるものではないが、例えば非接触部材がポリウレタンである場合であればポリオールの低分子量化や疎水性化によりガラス転移温度(Tg)を調整することで大きくなる傾向にある。
・永久伸び
また、本実施形態に係るクリーニングブレードにおける非接触部材は、100%永久伸びが1.0%以下である材料で構成されることが望ましく、0.5%以下であることがより望ましく、0.4%以下であることが更に望ましい。また、その下限値としては、更に0.1%以上であることが望ましく、0.2%以上であることがより望ましい。
ここで、上記100%永久伸び(%)の測定方法について説明する。
JIS K6262(1997年)に準拠して、短冊状試験片を用い、100%引張りひずみを与えて24時間放置し、下記式の通り標線間距離より求められる。
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
尚、クリーニングブレードの非接触部材がJIS K6262に規定の短冊状試験片の寸法以上の大きさである場合には、該部材から短冊状試験片の寸法のものを切り出すことで、上記の測定が行われる。一方、非接触部材が短冊状試験片の寸法未満の大きさである場合には、該部材と同じ材料によって短冊状試験片を形成し、この短冊状試験片について上記の測定が行われる。
非接触部材における100%永久伸びの制御方法としては、特に限定されるものではないが、例えば架橋剤量や、非接触部材がポリウレタンである場合であればポリオールの分子量を調整することで変動する傾向にある。
非接触部材に用いられる材料としては、例えば、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ポリウレタンゴムがよい。ポリウレタンゴムとしては、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタンが挙げられ、特にエステル系ポリウレタンが望ましい。
尚、ポリウレタンゴムを製造する際には、ポリオールとポリイソシアネートとを用いる方法がある。
ポリオールとしては、ポリテトラメチルエーテルグリコール、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。中でもMDIが望ましい。
更に、ポリウレタンを硬化させる硬化剤として、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの硬化剤が挙げられる。
具体例を一例挙げて説明すると、例えば脱水処理したポリテトラメチルエーテルグリコールにジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを混入し反応させ生成したプレポリマーに、硬化剤として1,4−ブタジオールおよびトリメチロールプロパンを併用したものを用いることが望ましい。尚、反応調整剤等の添加剤を添加してもよい。
非接触部材の作製方法は、作製に用いる原材料に応じて、従来公知の方法が利用され、例えば、遠心成形や押し出し成形等を利用して形成し、定められた形状に切断加工等することにより作製される。
(クリーニングブレードの製造)
図1に示す接触部材のみからなるクリーニングブレードの場合には、前述の接触部材の成形方法によってクリーニングブレードが製造される。
また、図2に示す二層構成などの複数層構成のクリーニングブレードの場合には、接触部材としての第一層および非接触部材としての第二層(3層以上の層構成である場合には複数の層)を、相互に貼り合わせることによりクリーニングブレードが作製される。上記貼り合わせる方法としては、両面テープ、各種接着剤等が好適に用いられる。また、成型時に時間差を置いて各層の材料を金型に流し込み、接着層を設けずに材料間で結合させることによって複数の層を接着してもよい。
また、図3に示す接触部材(エッジ部材)と非接触部材(背面部材)とを有する構成の場合には、図3に示す接触部材3421Cを2つ、腹面3C側同士を重ね合わせた半円柱の形状に対応する空洞(接触部材形成用の組成物を流し込む領域)を有する第一金型と、接触部材3421Cおよび非接触部材3422Cを2つ、腹面3C側同士を重ね合わせた形状に対応する空洞を有する第二金型と、を準備する。前記第一金型の前記空洞に接触部材形成用の組成物を流し込んで硬化させ接触部材3421Cが2つ重なった形状の第一成形物を形成する。次いで、上記第一金型を取り外した後、更に第二金型の空洞の内部に前記第一成形物が配置されるよう、第二金型を設置する。その後、第二金型の空洞内に、前記第一成形物を覆うよう非接触部材形成用の組成物を流し込み硬化させ、前記接触部材3421Cおよび非接触部材3422Cが2つ腹面3C側同士で重なった形状の第二成形物を形成する。次いで、形成された第二成形物を真ん中、つまり腹面3Cとなる部分で切断して、半円柱形状の接触部材が真ん中で分断されて1/4に切断された円柱形状となるようカットし、更に定められた寸法にカットすることで図3に示すクリーニングブレードが得られる。
・用途
本実施形態のクリーニングブレードを利用して被クリーニング部材をクリーニングする場合、クリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、画像形成装置内において、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されず、例えば、中間転写体や、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシからさらにトナーを除去するデトーニングロール等も挙げられるが、本実施形態においては、像保持体であることが特に望ましい。
(クリーニング装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置)
次に、本実施形態のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、および、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態のクリーニングブレードを備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の異物を異物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
なお、本実施形態のクリーニングブレードを像保持体のクリーニングに利用する場合、画像形成時の像流れを抑制するためには、クリーニングブレードが像保持体に押し当てられる力NF(Normal Force)は1.3gf/mm以上2.3gf/mm以下の範囲であることが望ましく、1.6gf/mm以上2.0gf/mm以下の範囲であることがより望ましい。
また、クリーニングブレード先端部が像保持体に食込む長さが0.8mm以上1.2mm以下の範囲であることが望ましく、0.9mm以上1.1mm以下の範囲であることがより望ましい。
クリーニングブレードと像保持体との接触部における角度W/A(Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが望ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより望ましい。
一方、本実施形態のプロセスカートリッジは、像保持体や中間転写体等の1つ以上の被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニング装置として、本実施形態のクリーニング装置を備えたものであれば特に限定されず、例えば、像保持体と、この像保持体表面をクリーニングする本実施形態のクリーニング装置とを含み、画像形成装置に対して脱着自在な態様等が挙げられる。例えば、各色のトナーに対応した像保持体を有するいわゆるタンデム機であれば、各々の像保持体毎に本実施形態のクリーニング装置を設けてもよい。加えて、本実施形態のクリーニング装置の他に、クリーニングブラシ等を併用してもよい。
−クリーニングブレード、画像形成装置、クリーニング装置の具体例−
次に、本実施形態のクリーニングブレード、並びに、これを用いた画像形成装置およびクリーニング装置の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図4中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は感光体ドラム、33は各現像ユニット、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
図4に示すタンデム型画像形成装置は、本体ハウジング21内に四つの色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の作像ユニット22(具体的には22a乃至22d)を配列し、その上方には各作像ユニット22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト230が含まれるベルトモジュール23を配設する一方、本体ハウジング21の下方には用紙等の記録媒体(図示せず)が収容される記録媒体供給カセット24を配設すると共に、この記録媒体供給カセット24からの記録媒体の搬送路となる記録媒体搬送路25を垂直方向に配置したものである。
本実施の形態において、各作像ユニット22(22a乃至22d)は、中間転写ベルト230の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、各感光体ユニット30と、各現像ユニット33と、共通する一つの露光ユニット40とを備えている。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電装置(帯電ロール)32と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
また、現像ユニット33は、帯電された感光体ドラム31上に露光ユニット40にて露光形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像するものであり、例えば感光体ユニット30からなるサブカートリッジと一体化されてプロセスカートリッジ(所謂Customer Replaceable Unit)を構成している。
尚、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図4中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
一方、露光ユニット40は、ユニットケース41内に例えば四つの半導体レーザ(図示せず)、一つのポリゴンミラー42、結像レンズ(図示せず)および各感光体ユニット30に対応するそれぞれミラー(図示せず)を格納し、各色成分毎の半導体レーザからの光をポリゴンミラー42で偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体ドラム31上の露光ポイントに光像を導くよう配置したものである。
また、本実施の形態において、ベルトモジュール23は、例えば一対の支持ロール(一方が駆動ロール)231,232間に中間転写ベルト230を掛け渡したものであり、各感光体ユニット30の感光体ドラム31に対応した中間転写ベルト230の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)51が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体ドラム31上のトナー像を中間転写ベルト230側に静電的に転写する。更に、中間転写ベルト230の最下流作像ユニット22dの下流側の支持ロール232に対応した部位には二次転写装置52が配設されており、中間転写ベルト230上の一次転写像を記録媒体に二次転写(一括転写)する。
本実施の形態では、二次転写装置52は、中間転写ベルト230のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール521と、中間転写ベルト230の裏面側に配置されて二次転写ロール521の対向電極をなす背面ロール(本例では支持ロール232を兼用)とを備えている。そして、例えば二次転写ロール521が接地されており、また、背面ロール(支持ロール232)にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加されている。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
また、記録媒体供給カセット24には記録媒体を送り出す送出しロール61が設けられ、この送出しロール61の直後には記録媒体を送出する搬送ロール62が配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録媒体搬送路25には記録媒体を定められたタイミングで二次転写部位へ供給するレジストレーションロール(位置合わせロール)63が配設されている。一方、二次転写部位の下流側に位置する記録媒体搬送路25には定着装置66が設けられ、この定着装置66の下流側には記録媒体排出用の排出ロール67が設けられており、本体ハウジング21の上部に形成された排紙部68に排出記録媒体が収容される。
更に、本実施の形態では、本体ハウジング21の側方には手差し供給装置(MSI)71が設けられており、この手差し供給装置71上の記録媒体は送出しロール72および搬送ロール62にて記録媒体搬送路25に向かって送出される。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
次に、図4に示すタンデム型画像形成装置内に配置されたクリーニング装置34について詳述する。
図5は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図4中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図5中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335は層厚規制部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
クリーニング装置34は、残留トナーが収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するクリーニングケース341を有し、このクリーニングケース341の開口下縁には感光体ドラム31に接触配置されるクリーニングブレード342を図示外のブラケットを介して取り付ける一方、クリーニングケース341の開口上縁には感光体ドラム31との間が気密に保たれるフィルムシール344を取り付けたものである。尚、符号345はクリーニングケース341内に収容された廃トナーを側方の廃トナー容器に導く搬送部材である。
次に、クリーニング装置34に具備されるクリーニングブレードについて図面を用いて詳述する。
図1は、本実施形態のクリーニングブレードの一例を示す模式断面図であり、図5中に示すクリーニングブレード342を、これに接触する感光体ドラム31と共に示した図である。
尚、本実施の形態では、各作像ユニット22(22a乃至22d)の全てのクリーニング装置34において、クリーニングブレード342として本実施形態のクリーニングブレードが用いられているほか、ベルトクリーニング装置53で用いられるクリーニングブレード531も本実施形態のクリーニングブレードが用いられてもよい。
また、本実施の形態で用いられる現像ユニット(現像装置)33は、例えば図5に示すごとく、現像剤が収容され且つ感光体ドラム31に対向して開口するユニットケース331を有している。ここで、このユニットケース331の開口に面した箇所に現像ロール332が配設されると共に、ユニットケース331内には現像剤攪拌搬送のためのトナー搬送部材333が配設されている。更に、現像ロール332とトナー搬送部材333との間には搬送パドル334を配設してもよい。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えば層厚規制部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
本実施の形態では、現像ユニット33としては、例えばトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用するが、トナーのみからなる一成分現像剤を使用するものであっても差し支えない。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動を説明する。先ず、各作像ユニット22(22a乃至22d)が各色に対応した単色トナー像を形成すると、各色の単色トナー像は中間転写ベルト230表面に、元の原稿情報と一致するよう順次重ね合わせて一次転写される。続いて、中間転写ベルト230表面に転写されたカラートナー像は、二次転写装置52にて記録媒体表面に転写され、カラートナー像が転写された記録媒体は定着装置66による定着処理を経た後、排紙部68へと排出される。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34(またはベルトクリーニング装置53)によって清掃される。
なお、クリーニングブレード342は、図5に示されるごとくクリーニング装置34内のフレーム部材に直接固定するのではなく、バネ材を介して固定されてもよい。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」は「質量部」を意味する。
(用いた材料)
・ポリオール1(ポリエーテルポリオール):ポリオキシテトラメチレングリコール[PTMG](保土谷化学工業株式会社製、PTG2000、平均分子量2000、水酸基価56.5KOHmg/g)
・ポリオール2(ポリエステルポリオール):ブチレンアジペート(日本ポリウレタン工業株式会社製、ニッポラン4010 平均分子量2000、水酸基価55.0KOHmg/g)
・イソシアネート:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、日本ポリウレタン工業株式会社製)
・鎖延長剤:1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)
・触媒1:DBU〔1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7〕−オクチル酸塩(サンアプロ株式会社製、−U−CAT SA 102)
〔実施例1〕
−クリーニングブレードA1−
まず、ポリオール1(PTMG)をポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、鎖延長剤(1,4−ブタンジオール)をハードセグメント材料として用い、上記ソフトセグメント材料およびハードセグメント材料を8:2(質量比)の割合で混合した。
次に、このソフトセグメント材料とハードセグメント材料との混合物100部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を6.26部を加えて、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させた。尚、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるよう選択したものである。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。尚、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100部に対して、触媒としてDBUを0.005部加え、3分間泡を巻きこまないように混合し、クリーニングブレード形成用組成物A1を調製した。
次いで、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記クリーニングブレード形成用組成物A1を流し込み、1時間硬化反応させた。次いで、110℃で24時間熟成加熱し、冷却した後カットして、長さ320mm、幅12mm、厚さ2mmのクリーニングブレードA1を得た。
〔実施例2〜4、比較例1〜6〕
クリーニングブレード組成を、下記表1に示す通り変更した以外は、実施例1に記載の方法により、クリーニングブレードを得た。
〔物性の測定〕
<示差走査熱量測定(DSC)>
ASTM D3418−99に準じ、示差走査熱量測定(DSC)にて、吸熱ピークP1(吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲)、P2low(吸熱ピークトップ温度が120℃以上180℃未満の範囲)、およびP2high(吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲)におけるピーク温度およびピーク熱量を測定した。結果を下記表1に示す。
また、実施例1、2、比較例2〜6で作製したクリーニングブレードについての示差走査熱量測定の結果を示すグラフを、図6および図7に示す。
〔物性の測定〕
<結晶球の平均面積比>
粒径10nm以上200nm以下の結晶球の存在比率(断面における平均面積比/下記においては「粒径10−200nmの結晶球の比」と称す)、粒径200nmを超え5μm未満の結晶球の存在比率(下記においては「粒径200nm−5μmの結晶球の比」と称す)、および、粒径5μm以上の結晶球の存在比率(下記においては「粒径5μm以上の結晶球の比」と称す)を、それぞれ前述の方法により測定した。結果を下記表1に示す。
<硬度>
更に、クリーニングブレードの硬度(JIS−A)を下記の方法により測定した。硬度(JIS−A)は、JISK6253(1997)に記載のタイプA デュロメータを用いて測定した硬さであり、ブレードの感光体接触面を軸方向に3点測定し、平均値を求めることによって測定した。
<モジュラス(引張試験)>
以下の引張試験により、モジュラスを測定した。
100%モジュラスMは、JIS−K6251に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力より求めた。尚、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
〔評価〕
<画像品質評価試験>
前記より得た実施例および比較例のクリーニングブレードを、それぞれ図4に示す画像形成装置(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre Color a450)における感光体ドラム用クリーニングブレードとして装着した。このカラー複写機を用い、画像濃度が1%(A4サイズの用紙に6.2mm×1mmのベタ画像が載っているもの)の画像形成を用紙(富士ゼロックス社製、C2r紙)に2,000枚繰り返した。そのあとのクリーニングブレードの変形具合、色スジの画質欠陥の発生状態を下記の基準で目視により評価した。
A:色スジが確認されない
B:画像に色スジが僅かに確認されるが許容範囲
C:画像に色スジが確認され、許容し得ない
<ブレードダメージ評価>
上記試験後、クリーニングブレードのエッジ欠けの有無について観察し、以下の評価基
準により評価した。
A:感光体接触面をレーザー顕微鏡で観察し、欠けが無し
B:微小な欠けが発生したが、画像上問題がなし
C:欠けが発生し、縦筋の画像不良が発生
<耐摩耗性評価>
以下の方法により、クリーニングブレードの耐摩耗性を評価した。
高温高湿環境(32.5℃,85RH%)下にて、感光体の積算回転数が100KサイクルになるまでA4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製、P紙)を用いて画像形成させた。その後、クリーニングブレードの接触部(エッジ)先端の摩耗深さと、クリーニング不良とを併せて評価し、エッジ磨耗を判断した。尚、テストに際しては、感光
体とクリーニングブレードとの接触部における潤滑効果を小さくした過酷な条件で評価するため、形成する画像の像密度を1%とした。また、エッジ先端の摩耗深さは、クリーニングブレードの断面側からキーエンス社製、レーザ顕微鏡VK−8510により観察した時に確認される、感光体表面側のエッジ欠落部の最大深さとした。
更に、クリーニング不良の評価は、上記のテスト終了後に、画像密度100%の未転写ベタ画像(ベタ画像サイズ1400mm×290mm)が形成されたA3用紙を、感光体とクリーニングブレードとの間に通常のプロセススピードで給紙して、未定着画像の搬送方向最後端部分が感光体とクリーニングブレードとの接触部を通過し終えた直後に実機を停止し、トナーの擦り抜け有無を目視で確認した。顕著な擦り抜けが認められる場合をクリーニング不良とした。尚、エッジ先端の摩耗や欠けにより、トナーを塞き止める部位が欠落している場合はエッジ摩耗深さや欠け深さが大きい程、上述したテストでクリーニング不良が発生し易くなるため、上記テストはエッジ先端の摩耗や欠けの定性的評価に有用である。
エッジ摩耗の評価基準を以下に示す。尚、許容範囲はAおよびBである。
A:先端部摩耗深さ :3μm以下且つ摩耗跡無し
クリーニング不良:未発生
B:先端部摩耗深さ :3μmを超え、5μm以下
クリーニング不良:未発生
C:先端部摩耗深さ :3μmを超える
クリーニング不良:発生
<摩耗量(μm)>
ブレードの接触部分(エッジ)において摩耗が生じた箇所の摩耗量(μm)を以下の方法により測定した。株式会社キーエンス社製のレーザ顕微鏡VK−8510にて、ブレードの先端面3Bの接触部分(エッジ)表面プロファイルを観察し、摩耗のない状態と、摩耗した状態の断面積差を算出することで、摩耗断面積を求めた。
21 本体ハウジング、22、22a乃至22d 作像ユニット、23 ベルトモジュール、24 記録媒体供給カセット、25 記録媒体搬送路、30 感光体ユニット、31 感光体ドラム(像保持体)、32 帯電ロール、33 現像ユニット、34 クリーニング装置、35、35a乃至35d トナーカートリッジ、40 露光ユニット、41 ユニットケース、42 ポリゴンミラー、51 一次転写装置、52 二次転写装置、53 ベルトクリーニング装置、61 送出しロール、62 搬送ロール、63 位置合わせロール、66 定着装置、67 排出ロール、68 排紙部、71 手差し供給装置、72 送出しロール、73 両面記録用ユニット、74 案内ロール、76 搬送路、77 搬送ロール、230 中間転写ベルト、231、232 支持ロール、331 ユニットケース、332 現像ロール、333 トナー搬送部材、334 搬送パドル、335 層厚規制部材、341 クリーニングケース、342、342A、342B、342C クリーニングブレード、344 フィルムシール、345 搬送部材、521 二次転写ロール、531 クリーニングブレード、3421B 第一層、3422B 第二層、3421C 接触部材、3422C 背面部材

Claims (8)

  1. ポリウレタンゴムを含有し、示差走査熱量測定による吸熱ピークトップ温度が80℃以上120℃未満の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP1のピーク熱量が1mJ/mg以上であり、且つ吸熱ピークトップ温度が120℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2のピーク熱量が0.5mJ/mg以下であるポリウレタンゴム部材により、少なくとも被クリーニング部材と接触する部分が構成されるクリーニングブレード。
  2. 前記ポリウレタンゴムが、材料の一つにポリエーテルポリオールを用いたゴムである請求項1に記載のクリーニングブレード。
  3. 前記ポリウレタンゴム部材は、吸熱ピークトップ温度が180℃以上の範囲となる結晶由来の吸熱ピークP2highのピーク熱量が0.2mJ/mg未満である請求項1または請求項2に記載のクリーニングブレード。
  4. 前記ポリウレタンゴム部材における、粒径10nm以上200nm以下の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以上20%以下であり、且つ粒径200nmを超える結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で10%以下である請求項1請求項3の何れか一項に記載のクリーニングブレード。
  5. 前記ポリウレタンゴム部材における、粒径5μm以上の結晶球の存在比率が、断面における平均面積比で5%以下である請求項に記載のクリーニングブレード。
  6. 請求項1〜請求項の何れか一項に記載のクリーニングブレードを備えた清掃装置。
  7. 請求項に記載の清掃装置を備え、画像形成装置に対して脱着自在であるプロセスカートリッジ。
  8. 像保持体と、
    前記像保持体を帯電する帯電装置と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
    前記転写装置によって前記トナー像が転写された後の前記像保持体の表面に、前記クリーニングブレードを接触させて清掃する請求項に記載の清掃装置と、
    を備える画像形成装置。
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