JP5838860B2 - 鏡面加工アルミニウム材の製造方法及びこの方法により得られた鏡面加工アルミニウム材 - Google Patents

鏡面加工アルミニウム材の製造方法及びこの方法により得られた鏡面加工アルミニウム材 Download PDF

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Description

この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ部材の表面を機械的鏡面加工により鏡面状に仕上げて鏡面加工アルミニウム材を製造するための方法に係り、特に、機械的鏡面加工後にこの機械的鏡面加工で生じた加工傷の角部を除去して優れた鏡面状態を形成することができる鏡面加工アルミニウム材の製造方法、及びこの方法により得られた鏡面加工アルミニウム材に関する。
アルミ部材の表面を鏡面に加工して得られた鏡面加工アルミニウム材は、複写機、ファクシミリ、プリンター、印刷機、輸送機器、光学機器等の分野において感光ドラム、回転多面鏡、印刷版用支持体、内外装、反射鏡等の用途に多用されており、このアルミ部材の表面の反射率を上げるために様々な工夫が行われている。
例えば、特許文献1においては、アルミニウム合金鋳物で自動車用アルミホイール素材を形成し、このホイール素材の表面に研削等の機械加工により平滑なデザイン面を形成し、次いで化学研磨によりホイール素材表面、特にそのデザイン面の表面を数μmだけ極僅かに溶解させ、これによって機械加工で生じた加工硬化層のほとんどを除去し、その後に、バフ研磨による機械的鏡面仕上げ加工を行う方法が提案されており、更に上記の化学研磨に代えて電解研磨によりホイール素材表面を極僅かに溶解することも提案されている。
また、特許文献2には、アルミニウム管の外表面を、当該アルミニウム管よりヤング率の低い砥粒含有弾性研磨具を用いて研磨し、次いでローラーバニッシング加工を施して鏡面状に仕上げてアルミニウム鏡面管を製造する方法が提案されており、更に、特許文献3には、アルミニウム合金製の導電性基体の表面に粗さ1μm以下の粗面を形成するために天然ダイヤモンドバイト等を用いた研削加工(鏡面加工)を施し、次いで導電性基体の晶出物を除去するエッチング(化学処理)を施し、必要により粒径0.1μm以下の砥粒を用いた超仕上げ加工により粗さ1μm以下の粗面を形成した後、導電性基体上に酸化膜を形成する熱処理を施して電子写真用感光体を形成することが記載されている。
なお、非特許文献1には、りん酸や過塩素酸等の電解液中でアルミニウム合金表面を陽極酸化的に溶解して光輝面を得る一般的な電解研磨法が紹介されている。
ところで、刃具を用いて鏡面を形成する切削加工では、加工後の材料表面近傍に切削による加工変質組織が生じてしまい、例えばその後に陽極酸化処理、化学溶解処理、熱処理等の処理を行うと内部残留歪の解放等によって鏡面を保てなくなることもある。そして、この切削加工の際にも、刃先についた微細なアルミニウム材料の切削屑が加工中に硬い酸化物となり、これが原因して鏡面に加工傷を残す場合も多々有り、また材料中の介在物が起因となる加工傷も稀に発生し、いわゆるスクラッチ傷と呼ばれるこの加工傷を皆無にすることは非常に困難である。
また、切削加工後に、あるいは切削加工と同時にバニッシング加工を行なうことによって高度の平滑性を有する鏡面を形成することも行われている。このバニッシング加工においては、材料表面にダイヤモンド等の刃具を押し当ててこれら材料表面と刃具との間を相対的に移動させ、切削加工時に刃具によって生じた微小な凹凸を押し潰して均すことによって、材料表面に高度の平滑性を有する鏡面を得ており、加工機械の精度に応じて高い平面度・真円度が得られる。しかしながら、バニッシング加工では、加工時に材料に大きな力が加わるため、加工後の表面に大きな残留応力が蓄積されて大きな内部残留歪が存在する状態となり、この加工後に熱処理や陽極酸化処理等の化学的処理を行なうとその内部残留歪が解放され、材料に形状変化が起きて寸法精度を維持できなくなり、特に、結晶方位によって残留応力の蓄積度合いが異なるため、結晶粒に応じた模様として発現されてしまうという問題がある。
一方、鏡面加工を行う際に、切削加工後に化学研磨、電解研磨、電解複合研磨等を行う場合には、切削加工により生じた内部残留歪をある程度までは除去できるが、化学研磨、電解研磨、電解複合研磨等における溶解量を制御できないことから、高度の平面度・真円度を得ることは難しく、また、結晶方位によって化学的な溶解反応の速度が異なるため、この方法でも結晶粒に応じた模様が発現してしまうという問題がある。更に、この方法においても、切削加工時には刃先についた微細なアルミニウム材料の切削屑が加工中に硬い酸化物となり、これが原因して鏡面に加工傷を残すという問題を解決することはできず、特に切削面積の大きな材料の切削加工の際には、発生の確率が高くなり、深刻な問題になっている。
特開平04-289,039号公報 特開平08-197,393号公報 特開平11-184,125号公報
アルミニウム表面技術便覧 pp98-pp107
そこで、本発明者らは、切削加工やバニッシング加工等の機械的鏡面加工の際に不可避的に発生するアルミ部材の加工傷や内部残留歪について詳細に観察し、解析し、検討すると共に、如何にして機械的鏡面加工により付与された平面度及び/又は真円度を維持しつつこの機械的鏡面加工により生じた加工傷を視認不能に加工するかについて鋭意検討した結果、特定の処理条件下での陽極電解処理により加工傷のR面取り加工をして加工傷の角部を除去することにより、平面度及び/又は真円度を損なうことなく加工傷を光学的に極めて判別し難い視認不能にできることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、機械的鏡面加工により所定の平面度・真円度が付与されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ部材の表面を、このアルミ部材の平面度・真円度を損なうことなく鏡面状に仕上げることができる鏡面加工アルミニウム材の製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記の鏡面加工アルミニウム材の製造方法により製造され、角部がR面取り加工されて視認不能な幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の加工傷を有する鏡面加工アルミニウム材を提供することにある。
すなわち、本発明は、機械的鏡面加工により所定の平面度及び/又は真円度が付与されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ部材の表面を鏡面状に仕上げる鏡面加工アルミニウム材の製造方法であり、前記機械的鏡面加工後に、過塩素酸を含む電解浴中で、電解電圧17〜40V、初期電流密度3000A/m2以上、及び定常期電流密度300〜500A/dm2の処理条件下に行う陽極電解処理により、機械的鏡面加工により生じた加工傷の角部のR面取り加工を行うことを特徴とする鏡面加工アルミニウム材の製造方法である。
また、本発明は、上記の鏡面加工アルミニウム材の製造方法によって製造された鏡面加工アルミニウム材であって、具体的には、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、所定の平面度及び/又は真円度を有するアルミ部材の表面に、角部がR面取り加工されて視認不能な幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の加工傷を有することを特徴とする鏡面加工アルミニウム材である。
本発明において、上記アルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ部材の材質や形状等については、特に制限されるものではなく、このアルミ部材を用いて製造される鏡面加工アルミニウム材の用途等に要求される強度、耐食性、加工性等の種々の物性に基づいて、適宜選定し、また、形成することができる。
また、このアルミ部材に所定の平面度及び/又は真円度を付与する機械的鏡面加工については、これまでにこの種のアルミ部材に鏡面加工を施すために採用されてきた種々の鏡面加工でよく、具体的には、例えば、NC旋盤、マシニングセンタ等を用いた切削加工、超硬ツール等を用いたバニッシング加工、ダイヤモンドペースト、酸化マグネシウム等を用いたバフ研磨加工等を例示することができ、低コストで広い範囲で鏡面を得る必要があることから、好ましくは切削加工、バニッシング加工、又はこれら切削加工とバニッシング加工との組合せによる鏡面加工であるのがよい。
ここで、本発明者らの調査によれば、この機械的鏡面加工において、切削加工時に現れる異常な加工傷(スクラッチ傷)としては、その代表的な大きさが幅1〜2μm及び深さ0〜500nm(0.5μm)の範囲内にあり、非常に小さな傷ではあるが、観察時における観察用照明光の当り方によっては非常に強調されて観察されることが判明した。また、特に、光学的用途においては、その用途にもよるが、加工傷の判定においては、加工傷の大きさを数値化して規制しても実態とはそぐわないことが多々あり、目視での判定が最も有効であることも判明した。これらのことから、機械的鏡面加工で生じるこのような加工傷については、もし目視では認識できない大きさ及び形状の傷、すなわち視認不能な大きさ及び形状の傷に変化させることができれば、鏡面加工として求められる要求性能を満たすことができると判断された。
また、機械的鏡面加工のバニッシング加工についてみると、例えばロールバニッシング加工では、切削用のバニッシングロールを被切削材料であるアルミ部材に押し付け、材料表面の凹凸を押し込みながら切削刃を送り、アルミ部材表面の表面粗さ(Rt)を0.2μm以下(Rt≦0.2μm)にすることで所望の鏡面に、また、所望の平面度・真円度に仕上げることができる。そして、このようなバニッシング加工を施したアルミ部材の鏡面加工表層を集束イオンビーム(FIB, Focused Ion Beam)により切断し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM, Transmission Electron Microscope)で観察すると、内部残留歪が存在する残留歪残存層は、加工条件によっても異なるが、表面から5μm以内の部分に目立ち、約3〜10μmの範囲にあることが判明した。
従って、本発明においては、上記のアルミ部材に上記の機械的鏡面加工を施す際に、この機械的鏡面加工によってアルミ部材の表面に不規則に発生する加工傷を幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の大きさにし、また、アルミ部材表面の表面粗さ(Rt)を好ましくは0.2μm以下にまで加工し、鏡面加工表層において内部残留歪が存在する在留歪残存層の深さを10μm以下にするのがよい。
本発明においては、このような機械的鏡面加工が施され、アルミ部材の表面に発生して目視で判別し得る上記の如き加工傷とその鏡面加工表層に存在する残留歪残存層とを除去するために、機械的鏡面加工後のアルミ部材について陽極電解処理により加工傷のR面取り加工を行うが、この陽極電解処理については、過塩素酸を含む電解浴中で行う必要がある。
この陽極電解処理に使用される電解浴としては、過塩素酸を含む電解浴であればよいが、通常はアルコール類との混合液であるのがよく、より好ましくはエタノールとの混合液であるのがよい。このような電解浴を用いることにより、試料の適度な溶解と電解時の十分な冷却とを達成することができる。この電解浴中における過塩素酸の配合割合については、通常8質量%以上20質量%以下、好ましくは10質量%以上15質量%以下であるのがよく、電解浴中における過塩素酸の配合割合が8質量%より少ないと材料の溶解不足に起因した筋模様や荒れという問題が生じ、反対に、20質量%より多くなると材料の過剰な溶解、局所的な溶解という問題が生じる。
また、この陽極電解処理の処理条件については、電解電圧が通常17V以上40V以下、好ましくは20V以上35V以下、より好ましくは25V以上30V以下であり、また、初期電流密度が3000A/m2以上、好ましくは10000A/m2以上25000A/m2以下であり、更に、定常期電流密度が300A/dm2以上500A/dm2以下、好ましくは350A/dm2以上450A/dm2以下である。ここで、電解電圧が17Vより低いと溶解が不十分で筋模様や凹凸が目立つようになり、反対に、40Vより高くなると溶解過多による結晶粒に起因した凹凸が目立つようになるという問題が生じ、また、初期電流密度が3000A/m2より低いと研磨表面に凹凸が残るという問題が生じ、反対に、25000A/m2より高くなっても電流過多による局所溶解、電源容量不足といった問題が生じ、更に、定常期電流密度については300A/dm2より低いと研磨不足という問題が生じ、反対に、500A/dm2より高くなると不均一な溶解が起きる問題が生じる。
更に、この陽極電解処理においては、好ましくは電流密度の分布を、アルミ部材の表面処理の領域全域で設定値の±10%以内、好ましくは±5%以内の範囲内になるように行うのがよく、この陽極電解処理の際の電流密度の分布が設定値の±10%の範囲を超えると、アルミ部材の表面において、場所によって研磨量に差異が生じ、加工傷が部分的に除去されずに残ったり、結晶粒界が浮き出るという問題が生じる虞がある。
この陽極電解処理においては、切削加工やバニッシング加工等の機械的鏡面加工に起因する加工傷や鏡面加工表層に存在する残留歪残存層を除去するために、好ましくはアルミ部材の溶解量が5μm以上15μm以下、好ましくは7μm以上10μm以下の範囲で陽極電解を行うのがよい。この際のアルミ部材の溶解量が5μm未満では、加工傷や残留歪残存層が残存する虞があり、これら残存した加工傷や残留歪残存層の内部残留歪に起因して筋模様が目立ったり、あるいは、結晶粒による溶解量の差に起因して発生する段差が目立つ等の問題が生じる虞がある。
本発明の方法により製造された鏡面加工アルミニウム材は、機械的鏡面加工により生じたアルミ部材表面に不規則な幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の加工傷や深さ10μm以下の残留歪残存層について、加工傷はその一部が残留するもののその角部が優先的に溶解されて除去されるR面取り加工されることにより加工傷は確実に視認不能になって優れた鏡面性能が発現し、また、残留歪残存層が溶解されて除去されることによりその後に陽極酸化処理、化学溶解処理、脱脂処理等の処理が行われても、優れた鏡面性能が確実に維持されるだけでなく、機械的鏡面加工の際に付与された平面度・真円度も確実に維持される。
本発明の鏡面加工アルミニウム材の製造方法によれば、機械的鏡面加工により所定の平面度・真円度が付与されたアルミ部材の表面を、特定の処理条件下で行う陽極電解処理によるR面取り加工により、アルミ部材の平面度・真円度を損なうことなく、容易に鏡面状に仕上げることができる。本発明により得られた鏡面加工アルミニウム材は、その角部がR面取り加工されて視認不能な幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の加工傷を有する。
図1は、本発明において、傷が視認不能になるメカニズムを説明するための説明図である。
図2は、本発明の実施例1において、加工傷(スクラッチ傷)が視認不能となったことを裏付けるレーザー顕微鏡観察画像である。
図3(a)は、本発明の実施例1において、陽極電解処理前のアルミ試験片の鏡面加工表層FIB切断を示すTEM観察画像である。
図3(b)は、本発明の実施例1において、陽極電解処理後のアルミ試験片の鏡面加工表層FIB切断を示すTEM観察画像である。
〔実施例1〕
アルミ基材として厚さ10mm及び純度99.99%のアルミニウム製のアルミロールに切削用のバニッシングロールを押し付け、このアルミロールから繰り出されるアルミ板の表面の凹凸を押し込みながら切削刃を送り、アルミ板表面の表面粗さ(Rt)をRt<0.2μmにする機械的鏡面加工を施した。
その後、得られた機械的鏡面加工後のアルミ板から厚さ10mm×幅50mm×長さ50mmの大きさのアルミ試験片(アルミ部材)を切り出した。
また、陽極電解処理前のアルミ試験片について、横からビデオライトを当てて加工傷を観察し、この加工傷の位置を示すビッカース打痕(マーク)を設けた(図3参照)。
このようにして得られた機械的鏡面加工後のアルミ試験片(アルミ部材)について、溶液組成がエタノール80質量%、過塩素酸14質量%、及び水6質量%の電解浴を用い、電解電圧30V、初期電流密度12000A/m2、定常期電流密度400A/m2、電流制御:無し、浴温度0〜5℃、及び処理時間300秒の処理条件で陽極電解処理を施し、バニッシング加工後のアルミ試験片の表面に発生した加工傷のR面取り加工を行った。
この陽極電解処理によるR面取り加工においては、レーザー顕微鏡により確認した結果、図1に模式的に示すように、陽極電解処理前の断面図(a)に記載されているようなアルミ試験片1の加工傷2における角部3が、陽極電解処理前の断面図(b)に記載されているようなR面取り部4にR面取り加工されていることが確認された。
〔鏡面性能の評価〕
また、陽極電解処理後のアルミ試験片について、加工傷の位置を示すビッカース打痕(マーク)が設けられた部分に横からビデオライトを当てて加工傷を観察し、目視で判別できるか否か(視認不能か否か)を確認して鏡面性能を評価した。
結果は、図2に示すように、陽極電解処理前のアルミ試験片については、加工傷(スクラッチ傷)が明確に確認できるのに対して、陽極電解処理後のアルミ試験片については、この加工傷が視認不能になったことが判明した。
〔残留歪残存層有無の確認〕
また、アルミ試験片1の鏡面加工表層をFIBにより切断し、その断面をTEMで観察した結果、図3(a)及び図3(b)に示すように、陽極電解処理前の断面画像(図3(a))に存在するアルミ試験片1の残留歪残存層5が、陽極電解処理後の断面画像(図3(b))では確認できず、除去されていることが確認された。
〔平面度・真円度の評価〕
更に、アルミ試験片について、横からビデオライトを当てて平面度・真円度を観察し、アルミ試験片の表面に映り込む物体が、歪み・欠陥無く見えるか否かを確認した結果、その維持の程度を評価した。
この実施例1の場合には、平面度(この実施例1の場合は真円度ではなく、「平面度」として評価される。)が十分に維持されていることが判明した。
〔実施例2〜10及び比較例1〜9〕
加工傷のR面取り加工として陽極電解処理を表1に示す処理条件で行った以外は、上記実施例1と同様にして各実施例2〜10及び比較例1〜9のアルミ試験片を作製した。
得られた実施例2〜10及び比較例1〜9の各アルミ試験片について、上記の実施例1の場合と同様に、鏡面性能の評価、残留歪残存層有無の確認、及び平面度・真円度の評価を行った。
鏡面性能については加工傷(スクラッチ傷)が目視で確認できない場合を○、また、確認できる場合を×として評価し、残留歪残存層有無については残留歪残存層が確認できない場合を○、また、確認できる場合を×として評価し、平面度・真円度については映り込んだ物体に歪み・欠陥が認められない場合を○、また、歪み・欠陥が認められる場合を×として評価した。
これらの結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
本発明の方法で得られた傷が見え難い鏡面加工アルミニウム材は、印刷用ロール、陽極酸化用ロール材、光学部品用ロール材等の用途に好適に利用可能である。
1…アルミ試験片、2…加工傷(スクラッチ傷)、3…角部、4…R面取り部、5…残留歪残存層。

Claims (7)

  1. 機械的鏡面加工により所定の平面度及び/又は真円度が付与されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ部材の表面を鏡面状に仕上げる鏡面加工アルミニウム材の製造方法であり、
    前記機械的鏡面加工後に、過塩素酸を含む電解浴中で、電解電圧17〜40V、初期電流密度3000A/m2以上、及び定常期電流密度300〜500A/dm2の処理条件下に行う陽極電解処理により、機械的鏡面加工により生じた加工傷の角部のR面取り加工を行うことを特徴とする鏡面加工アルミニウム材の製造方法。
  2. 前記機械的鏡面加工が、切削加工及び/又はバニシング加工である請求項1に記載の鏡面加工アルミニウム材の製造方法。
  3. 前記機械的鏡面加工より生じた加工傷が、不規則に発生した幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の大きさの加工傷である請求項1又は2に記載の鏡面加工アルミニウム材の製造方法。
  4. 前記陽極電解処理の電解電圧が、電解電圧20〜35Vである請求項1〜3のいずれかに記載の鏡面加工アルミニウム材の製造方法。
  5. 前記陽極電解処理の初期電流密度が、10000〜25000A/m2である請求項1〜4のいずれかに記載の鏡面加工アルミニウム材の製造方法。
  6. 前記陽極電解処理におけるアルミ部材表面の溶解量が、5〜15μmである請求項1〜5のいずれかに記載の鏡面加工アルミニウム材の製造方法。
  7. アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、所定の平面度及び/又は真円度を有するアルミ部材の表面に、角部が無くて視認不能な幅2μm以下及び深さ0.5μm以下の加工傷を有することを特徴とする鏡面加工アルミニウム材。
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