JP5810197B2 - 電解銅箔、フレキシブル配線板及び電池 - Google Patents

電解銅箔、フレキシブル配線板及び電池 Download PDF

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Description

本発明は、銅箔に関するもので、より詳しくは配線板と電池の用途に好適な柔軟性と剛性を両立させた電解銅箔に関するものである。
各種電子機器類において基板や接続材料として配線板が用いられており、配線板の導電層には銅箔が一般的に使用されている。また、リチウムイオン電池などの電池でも負極材として銅箔が広く使用されている。
上記配線板や電池には一般的に圧延銅箔や電解銅箔が採用されている。
配線板用銅箔や電池用銅箔として使用する圧延銅箔は、その製造工程で印加される熱履歴における結晶成長を抑制するために金属等を必須成分として添加する。このため、銅箔本来の導電性を低下させ、また、製造コストも嵩み、電解銅箔より劣るという不具合がある。そのため、配線板用銅箔や電池用銅箔としては生産性が高く薄層化が容易な電解銅箔が広く用いられる傾向にある。
配線板や電池に採用される電解銅箔は、その用途に適した機械的特性を持たせるために、有機化合物と塩素を添加した電解液により製箔されることが多い。有機化合物と塩素を添加した電解液で製箔し、結晶への不純物取込量を制御することによって、各用途に好適な柔軟性と剛性を有する電解銅箔が製造できる。
柔軟性が求められる用途には、結晶への不純物取込量が少ない電解銅箔が必要となる。そのため、特殊な有機化合物を使用したり、有機化合物や塩素の添加量を少なくしたりして、上記有機化合物及びその分解物と塩素を銅箔中に取り込ませない様にする製造方法が採用されている。
また、柔軟性が求められる用途の電解銅箔では、そもそも有機化合物と塩素を添加しないことによって結晶への不純物取込を防ぐ製造方法もあるが、その場合は有機化合物で発揮される界面活性作用が期待できないので油分を始めとした不純物を出来る限り含まない非常に清浄な電解液が求められ、製造コストが高くなるという不具合がある。
一方、剛性が求められる用途には、結晶への不純物取込量が多い電解銅箔が必要となる。そのため、特殊な官能基を持ち強い吸着力を持つ有機化合物を添加し、その有機化合物及びその分解物と塩素を銅箔中に取り込ませる様にする製造方法が一般的に採用されている。
配線板用途としてはフレキシブル配線板における繰り返しの屈曲・伸縮に耐え得る柔軟性、電池用途としては充放電における繰り返しの膨張収縮に耐え得る剛性を求められることが多い。しかしながら、上述のように剛性を持たせるには結晶への不純物取込量を増加させること、柔軟性を持たせるに結晶への不純物取込量を減少させることが必要となり、従来の電解銅箔では両方の特性を満足させることは極めて困難であった。
特許文献1(特許4827952号公報)は、特殊な有機化合物の使用により不純物の含有が少ない電解銅箔を開示している。しかし、この発明の電解銅箔は柔軟性には優れるが剛性には劣る。
特許文献2(特許3850155号公報)は、清浄な電解液を使用することにより不純物の含有が少ない電解銅箔を開示している。しかし、この発明の電解銅箔も柔軟性には優れるが剛性には劣る。
特許文献3(特開2009−221592号公報)は、複数の含窒素系有機化合物の使用により不純物を多く含む電解銅箔を開示している。しかし、この発明の電解銅箔は剛性には優れるが柔軟性には劣る。
特許文献4(特許5180815号公報)は、異なる2水準以上の電流密度で製造することを特徴とする電解銅箔を開示している。しかし、この発明は析出面の低プロファイル化が目的であり、柔軟性と剛性を両立させることはできない。
特許4827952号公報(特開2010−037654号公報) 特許3850155号公報(特開2000−182623号公報) 特開2009−221592号公報 特許5180815号公報(WO2007/105635)
本発明は、配線板や電池の用途に好適な柔軟性と剛性を両立させた電解銅箔を提供することにある。
本発明によれば、配線板用又は電池用に用いられる電解銅箔であって、相対的に不純物含有量が多く剛性を持った中央めっき層と、当該中央めっき層の両面に形成された相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った第1および第2の外側めっき層からなる電解銅箔であって、
前記第1の外側めっき層の表面であるS面表面又は前記第2の外側めっき層の表面であるM面表面から厚み方向にSIMS(二次電子質量分析)法により、1次イオンをセシウムイオン(Cs+)、加速電圧を5kVで、スパッタ領域を200μm×400μm、分析領域を前記スパッタ領域の中央部9%として測定したSIMS(二次電子質量分析)強度プロファイルにおいて、
前記S面表面又はM面表面からの深さd[μm]における強度[カウント数]をI(d)、前記電解銅箔厚みをx[μm]としたとき、
0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]に存在する前記中央め
っき層において、
2次(検出)イオン(14N63Cu-)で測定される窒素(N)、又は2次(検出)イオン(34S-)で測定される硫黄(S)、又は2次(検出)イオン(35Cl-)で測定される塩素(Cl)のピークが存在し
前記ピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
I(dp−x/16)≧1.5×I(dp−x/8)
I(dp+x/16)≧1.5×I(dp+x/8)
I(dp)≧1.5×I(dp−x/8)
I(dp)≧1.5×I(dp+x/8)
をそれぞれ充足することを特徴とする、
電解銅箔が提供される。
また本発明によれば、配線板用又は電池用に用いられる電解銅箔であって、相対的に不純物含有量が多く剛性を持った中央めっき層と、当該中央めっき層の両面に形成された相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った第1および第2の外側めっき層とからなり、前記第1の外側めっき層の表面であるS面表面又は前記第2の外側めっき層の表面であるM面表面から厚み方向にSIMS(二次電子質量分析)法により1次イオンをセシウムイオン(Cs + )、加速電圧を5kVで、スパッタ領域を200μm×400μm、分析領域を前記スパッタ領域の中央部9%として測定したSIMS(二次電子質量分析)強度プロファイルにおいて、
前記S面表面又はM面表面からの深さd[μm]における強度[カウント数]をI(d)、前記電解銅箔の厚みをx[μm]としたとき、
0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]に存在する前記中央めっき層において、
2次(検出)イオン(14N63Cu - )で測定される窒素(N)、又は2次(検出)イオン(34S - )で測定される硫黄(S)、又は2次(検出)イオン(35Cl - )で測定される塩素(Cl)のピークが存在し、
前記ピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
I(dp−x/16)≧1.5×I(dp−x/8)
I(dp+x/16)≧1.5×I(dp+x/8)
I(dp)≧3.5×I(dp−x/8)
I(dp)≧3.5×I(dp+x/8)
をそれぞれ充足することを特徴とする、
電解銅箔が提供される。
本発明の電解銅箔は、配線板用又は電池用に用いられる電解銅箔であって、該電解銅箔のS面又はM面表面から厚み方向に測定したSIMS(二次電子質量分析)強度プロファイルにおいて、前記表面からの深さd[μm]における強度[カウント数]をI(d)、電解銅箔の厚みをx[μm]としたとき、0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]において窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)のピークが存在し、該ピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
I(dp−x/16)≧1.5×I(dp−x/8)
I(dp+x/16)≧1.5×I(dp+x/8)
I(dp)≧3.5×I(dp−x/8)
I(dp)≧3.5×I(dp+x/8)
をそれぞれ充足することが好ましい。
本発明の配線板用電解銅箔は、フレキシブル配線板に好適に使用できる。
また、本発明の電池用電解銅箔は電池に好適に使用できる。
本発明の電解銅箔は、必要に応じて密着性の向上・防錆機能の向上・耐薬品性の向上等を目的とした各種表面処理を施すことも可能である。
本発明により、不純物含有量が少なく柔軟性を持った銅層の内部に不純物含有量が多く剛性を持った銅層が存在する3層構造を有し、配線板と電池の用途に好適な柔軟性と剛性を両立させた電解銅箔を提供することができる。
本発明の3層構造銅箔を説明する模式図である。 ドラム式製箔装置を示す説明図である。 本発明の一実施形態である3層構造銅箔において、厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルの模式図である。 本発明の一実施形態である3層構造銅箔において、S面から厚み方向に塩素を測定したSIMS強度プロファイルの一例である。
本発明の電解銅箔は、例えば図1に例示したように、相対的に不純物含有量が多く剛性の高い銅層、すなわち、中央めっき層2と、層2の両側に形成され、相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った銅層、すなわち、外側めっき層1A、1Bを含む。
本発明の電解銅箔は、例えば、図1に例示したように、相対的に不純物含有量が多く剛性の高い少なく柔軟性を持った銅層、すなわち、中央めっき層2と、層2の両側に形成され、相対的に不純物含有量が多く剛性を持った銅層、すなわち、外側めっき層1A、1Bを含む。
本発明の電解銅箔は、例えば図2に示すような電解製箔装置により製箔される。電解製箔装置は、回転するドラム状のカソード5(表面はSUS又はチタン製)、該カソード5に対して同心円状に配置された第一アノード3A、3B(鉛酸化物被覆又は貴金属酸化物被覆チタン電極)と、第一アノード3A、3Bと独立して電流供給が可能で、第一アノード3A、3Bに挟まれてより底部側に配置された第二アノード4(鉛又は貴金属酸化物被覆チタン電極)からなり、該製箔装置に電解液6を供給しつつアノードとカソードとの間に電流を流してカソード5表面に所定の厚さに銅を電析させ、その後ローラ8A、8Bを回転させてカソード5表面から銅を箔状に剥ぎ取る。
なお、この段階の銅箔7を電解銅箔といい、電解銅箔7の電解液6と接していた面を析出面またはマット面(M面)、ドラム状のカソード5と接していた面を光沢面またはシャイニー面(S面)という。
上記はドラム状のカソード5を採用した製箔装置につき説明したがカソードを板状とする製箔装置で銅箔を製造することもある。

図2に示す装置で電解銅箔7を製箔するには、電解液6として硫酸銅めっき液を使用する。硫酸銅めっき液の硫酸濃度は20〜150g/L(リットル)、特に30〜120g/Lが好ましい。硫酸濃度が20g/L未満となるとアノードとカソード間に電流が流れにくくなるので現実的な操業が困難となり、さらにめっきの均一性、電着性も悪くなる。硫酸濃度が150g/Lを超えると銅の溶解度が下がるので十分な銅濃度が得られなくなり現実的な操業が困難となる。また、電解製箔装置などの設備の腐食も促進される。
銅濃度は40〜150g/L、特に60〜120g/Lが好ましい。銅濃度が40g/L未満となると電解銅箔の製造において現実的な操業が可能な電流密度を確保することが難しくなる。銅濃度を150g/Lより上げるのは相当な高温が必要となり現実的ではない。
本発明の電解銅箔の用途に必要な柔軟性と剛性を持たせる為に、硫酸銅めっき液に有機化合物と塩素を添加する。
硫酸銅めっき浴に添加する有機化合物は、一般的にブライトナー又は促進剤と定義される含硫黄系有機化合物と、同じくレベラー又は平滑剤と定義される含窒素系有機化合物、同じくポリマー又は抑制剤と定義される高分子有機化合物から構成される。各有機化合物は表面平滑性等、剛性・柔軟性以外に求められる特性によって便宜組み合わされて使用される。
具体的には、表面平滑性が求められる場合はブライトナーとレベラー及びポリマーの3種構成、もしくはブライトナーとレベラー又はポリマーどちらか片方のみの2種構成で使用されることが多い。また、特に表面平滑性が求められない場合は、レベラー及びポリマーの2種構成、もしくはレベラー又はポリマーどちらか片方のみの1種構成で使用されることが多い。
硫酸銅めっき浴に添加する塩素は主に添加剤の吸着を促進する触媒的な働きをする。
硫酸銅めっき浴に添加する上記有機化合物の濃度は特に指定は無く、平滑性・光沢性不足やヤケ・異常析出不良等の異常が出ない様に便宜調整すれば良いが、柔軟性を重視する場合は有機化合物(不純物含有量)を少なめに、剛性を重視する場合は有機化合物(不純物含有量)を多めに添加するのが好ましい。
塩素濃度は0〜100ppm、特に20〜50ppmが好ましい。0ppmでも本発明の特性は得られるが、塩素による添加剤の吸着促進効果が働かないので添加剤を多めに入れる必要がある。また、100ppmより高くすることには特に意味は無く、むしろ電解製箔装置などの設備の腐食が促進されるので好ましくない。
電解浴温度は25〜80℃、特に30〜70℃が好ましい。浴温が25℃未満になると電解銅箔の製造において十分な銅濃度、電流密度を確保することが困難となり現実的ではない。また、80℃より上げるのは操業上および設備上非常に困難で現実的ではない。
上記の電解条件は、それぞれの範囲から、銅の析出、めっきのヤケ等の不具合が起きないような条件に適宜調整して行う。
電解銅箔の製造直後のS面の表面粗さはカソード5の表面粗さを転写するため、表面平滑性が求められる場合はカソード5の表面の粗さを低くした方が良い。しかしながら、電解銅箔のS面の表面粗さRzを0.1μm未満とするようなカソード5表面の粗さとすることは、現在の研磨技術などを考えるとそこまで平滑に仕上げることは難しく、また量産製造するには不向きであると考えられる。
また、S面の粗さは後工程の粗化処理で調整できるので、銅箔がカソード5から剥がれなくなる危険を冒してまでカソード5表面の粗さを粗くする必要はなく、製箔される銅箔S面の粗さRzを5.0μm以上とすることに意味は無い。
電解銅箔のM面の粗さRzは各有機化合物の組み合わせによって表面に光沢性を持たせる等の制御が可能である。用途により適宜各有機化合物を組み合わせて調整する。
また、電解銅箔の厚みは3μm〜210μmであることが望ましい。厚さが3μm未満の銅箔はハンドリング技術などの関係上製造条件が厳しく、現実的ではないからである。厚さの上限は現在の銅箔の使用状況から210μm程度である。厚さが210μm以上の電解銅箔が配線板や電池用の銅箔として使用されることは考え難く、また電解銅箔を使用するコストメリットもなくなるからである。
電流密度は第一アノード3(3A、3B)において20〜200A/dm、特に30〜120A/dmが好ましい。第一アノード3の電流密度が20A/dm未満となると電解銅箔の製造において生産効率が非常に低く現実的ではない。また、200A/dmより上げるのは相当な高銅濃度、高温、高流速が必要であり、電解銅箔製造装置に大きな負担がかかり現実的ではない。
本実施形態では第一アノード3A、3Bと第二アノード4の2種類のアノードを使用する。機構は未解明であるが、底部の第二アノード4付近でめっきされた層は上部の第一アノード3付近でめっきされた層よりも多くの有機化合物、その分解物、塩素が不純物として含まれ、それらは窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)として分析される。そのため、図2のように第二アノード4が第一アノード3A、3Bに挟み込まれる様に配置されていると、第二アノード4付近でめっきされた上記不純物量が相対的に多い銅層が、第一アノード3付近でめっきされた上記不純物量が相対的に少ない銅層に挟み込まれる様な図1に模式的に示す3層構造の銅箔が得られる。
図1は第一アノード3A付近でめっきされた層1A、第二アノード4付近でめっきされた中央めっき層2、続く第一アノード3B付近でめっきされた層1Bを模式的に示している。
上記3層構造の銅箔は、ただ3層構造であれば良いというわけではなく中央めっき層2の厚さの比率が重要である。中央めっき層2が相対的に薄過ぎると剛性が不足し、中央めっき層2が相対的に厚過ぎると柔軟性が不足する。この比率は、第二アノード4の電流密度と第一アノード3(3A、3B)の電流密度、及び第二アノード4の長さのアノード全体(第一アノード3(3A、3B)の長さと第二アノード4の長さの合計)の長さに対する比率で決定される。
第二アノード4における電流密度は第一アノード3(3A、3B)の10〜80%の比率とするのが好ましく、特に30〜60%の比率とすることが好ましい。第二アノード4の電流密度が第一アノード3の10%未満の比率となると中央めっき層2の比率を確保するために第二アノード4の長さのアノード全体の長さに対する比率を大幅に大きくする必要があり、結果的に全体の電流密度を大幅に下げることになり生産効率が落ちるので避けた方が良い。また、80%より高い比率にすると前記層1と前記層2の不純物取込量の差異が少なくなり、本発明が求める特性が得られなくなる。
第二アノード4の長さのアノード全体の長さに対する比率をL4[%]、第一アノード3(3A、3B)の電流密度をCD3、第二アノード4の電流密度をCD4とすると下記式1を充たす範囲であるのが好ましい。
5≦((CD4*L4)/((CD3*(100−L4))
+(CD4*L4)))*100≦20・・・(式1)
上記式1において5未満となるL4であると外部めっき層1A、1Bが相対的に厚すぎるので剛性が不足し、20より大きくなるL4であると中央めっき層2が相対的に厚すぎるので柔軟性が不足する。
本実施形態の銅箔は、S面又はM面表面から厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルにおいて、窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)の強度[カウント数]のピーク値が厚み方向の中央部付近の中央めっき層2に存在する。中央めっき層2は厚さxμmの銅箔において0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]に存在することが好ましい。
上述の様に、本発明が求める特性を得るには中央めっき層2の厚さの比率が重要であり、中央めっき層2の厚さが薄過ぎないこと、つまりSIMS強度プロファイルのピークの山が尖鋭過ぎないこと、及び中央めっき層2の厚さが厚過ぎないこと、つまりSIMS強度プロファイルのピークの山が滑らか過ぎないことが必要である。
具体的には、前記dpより一定の距離をおいた2箇所の強度Iが指標となる。中央めっき層2の厚さが薄過ぎないことについては(dp±x/16)で表される位置の強度Iが指標となり、厚過ぎないことについては(dp±x/8)で表される位置の強度Iが指標となる。
本実施形態のSIMSにおいては上記ピークの強度I(dp)が、下記式
I(dp−x/16)≧1.5×I(dp−x/8)
I(dp+x/16)≧1.5×I(dp+x/8)
を充足すれば中央めっき層2の厚さは薄過ぎないので好ましく、さらに
I(dp)≧1.5×I(dp−x/8)
I(dp)≧1.5×I(dp+x/8)
を充足すれば中央めっき層2の厚さは厚過ぎないので好ましいだけでなく、外部めっき層1A、1Bと中央めっき層2の不純物取込量の差異は明確であるので好ましい。また、
I(dp)≧3.5×I(dp−x/8)
I(dp)≧3.5×I(dp+x/8)
を充足すればより一層に外部めっき層1A、1Bと中央めっき層2の不純物取込量の差異が明確となり好ましい。
ここで、本実施形態のSIMSにおいては一定数値以上の強度[カウント数]でないとノイズとの区別が付かなくなるので、上記ピークの強度I(dp)の[カウント数]が100以上 であることが好ましい。I(dp)が100以上であれば上記式の1.5×I(dp±x/8)を充たすには67以上、3.5×I(dp±x/8)を充たすには29以上となる必要がり、ノイズとの区別を付けるのに十分に大きい値となる。
上述の内容を、図1に例示した本発明の一実施形態である3層構造銅箔において、厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルの模式図である図3を参照して説明する。
始めに、窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)の強度[カウント数]のピーク値I(dp)が0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]に存在する。 次に、dp[μm]から厚み方向に−x/16[μm]ずれた位置に存在する強度I(dp−x/16)が、同じくdp[μm]から−x/8[μm]ずれた位置に存在する強度I(dp−x/8)の1.5倍以上となる。同様に、dp[μm]から厚み方向に+x/16[μm]ずれた位置に存在する強度I(dp+x/16)が、同じくdp[μm]から+x/8[μm]ずれた位置に存在する強度I(dp+x/8)の1.5倍以上となる。さらに、I(dp)はI(dp−x/8)及びI(dp+x/8)の1.5倍以上(より好ましくは3.5倍以上)となる。
図1に例示した本発明の一実施形態である3層構造銅箔において、S面から厚み方向に塩素を測定したSIMS強度プロファイルの一例を図4に示す。16μm厚みの銅箔の
4.8≦dp≦11.2[μm]
を満たすS面からの深さdp=7.5[μm]において、塩素(Cl)の強度[カウント数]が3540のピーク値を示す「分析点A」が存在し、該ピーク強度I(7.5)が I(7.5)=3540>100
I(6.5)=998>1.5×I(5.5)=1.5×500≒750
I(8.5)=654>1.5×I(9.5)=1.5×303≒455
I(7.5)=3540>3.5×I(5.5)=3.5×500≒1750
I(7.5)=3540>3.5×I(9.5)=3.5×303≒1061
を充足していることが分かる。
なお、図4のSIMS強度プロファイルでは表面付近に不純物含有量の高い領域が存在しているが、これは分析箇所付近の銅箔表面に付着した不純物が検出されてしまう現実的に避けられない現象であり、銅層には影響を及ぼさない。
本例においてはS面から測定しているが、M面からであっても同様の結果となる。
上述したように柔軟性が求められる用途には、不純物含有量が少ない電解銅箔が必要となる。また、剛性が求められる用途には、不純物含有量が多い電解銅箔が必要となる。
対して、図1に例示した本実施形態の3層構造電解銅箔は、屈曲・伸縮時に最も変形が大きくなる表層部側に相対的に不純物含有量が少なく相対的に柔軟性がある銅層(外部めっき層1A、1B)が存在し、負荷が集中する中央部付近に相対的に不純物含有量が多く相対的に剛性がある銅層(中央めっき層2)が存在している。このような構成により、配線板用途としてフレキシブル配線板における繰り返しの屈曲・伸縮に耐え得る柔軟性、電池用途として充放電における繰り返しの膨張収縮に耐え得る剛性を両立した電解銅箔を提供することが可能となる。
図2に図解したように第二アノード4は必ずしも第一アノード3(3A、3B)の全体長さの中央に配置される必要はない。M面側の変形が最も大きくなる場合は、回転するドラム状のカソード5の表面が電解液6に浸漬する側(図2における左側)に寄せて第二アノード4を配置すれば良い。それによって、相対的に不純物含有量が多い銅層が中央部よりもS面側に寄り、M面側の相対的に不純物含有量が少ない銅層が厚くなるので変形に対する柔軟性がより高まる。同じく、S面側の変形が最も大きくなる場合は、回転するドラム状のカソード5の表面が電解液6から離れる側(図2における右側)に寄せて第二アノード4を配置すれば良い。
このように、層2の位置は第二アノード4の位置によって、中央部からS面側又はM面側に移動することがある。このため、本明細書では中央めっき層2の位置を中央部付近と定義する。
また、図2には3層構造の電解銅箔を示したが、電流密度をより多段階に変化させることにより4層構造以上の電解銅箔が製箔できることは勿論である。
また、配線板と電池の用途で使用される銅箔はその製造工程において150〜350℃の熱処理が施されるが、そのような熱処理を施されても図1に例示した本発明の電解銅箔の3層構造は維持される。より具体的には、熱処理を施しても、表層部付近の外部めっき層1に相対的に不純物含有量が少ない銅層が存在して、中央部付近の中央めっき層2に相対的に不純物含有量が多い銅層が存在するという構造は維持される。
なお、本発明と同様の3層構造を各層毎に異なる設備や電解液、添加剤構成を使用して製造する方法も想定される。しかしながら、本発明の単一の設備・電解液・添加剤構成と比較して製造コストと歩留が大幅に悪化することは容易に予想され、さらに薄箔の製造においては特に1層目のハンドリング性において相当な困難が想定されるので現実的で無い。
以下に本発明を3層構造の銅箔につき、その実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)製箔
実施例1〜9、比較例1〜8
電解液組成等の製造条件を表1に示す。表1に示す組成の硫酸銅めっき液を活性炭フィルターに通して清浄処理し、同じく表1に示す添加剤を添加し所定の濃度とした。
図2に示す第一アノード3と第二アノード4を表2に示す電流密度及びアノード長さに調整し、同じく図2に示す回転ドラム式製箔装置により厚さ12μmの電解銅箔を製造した。
比較例9
比較例9は特許文献4に記載された実施例3の再現実験である。実施例3の組成の硫酸銅めっき液を再現し調製した。これに、添加剤としてMPS−Na、DDAC重合体(センカ(株)製ユニセンス:FPA100L)及び塩酸を添加し所定の濃度とした。電解条件は第1ステップ電解の電流密度を74A/dm、第2ステップ電解の電流密度を52A/dmとして、回転ドラム式製箔装置により厚さ12μmの電解銅箔を製造した。
Figure 0005810197
Figure 0005810197
各実施例、各比較例の電解銅箔を3サンプル(サンプル1〜3)に分割した。サンプル1はSIMS分析、サンプル2は柔軟性評価試験、サンプル3は剛性評価試験に使用した。
各分析・試験の詳細を以下に記す。
(1)SIMS分析
サンプル1を使用してSIMS(SecondaryIonMassSpectrometry)分析を行なった。分析装置及び分析条件は以下の通りである。
分析装置
PhysicalElectronics社製:「PHI6650」
分析条件
1次イオン:Cs+(5kV,100nA)
2次(検出)イオン
窒素(N):14N63Cu-
硫黄(S):34S-
塩素(Cl):35Cl-
スパッタ面:S面
スパッタ領域:200μm×400μm
(ゲート領域(分析領域):スパッタ領域の中央部の9%)
スパッタ時間:M面に貫通するまで
また、厚さxは12μmであるので0.3x≧dp≧0.7x[μm]は
0.3×12≦dp≦0.7×12⇒3.6≦dp≦8.4
となる。
SIMS分析における判断は、S面から厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルにおいて3.6≦dp≦8.4[μm]を満たす深さdp[μm]において窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)のピークが存在し、該ピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
I(dp−0.75)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp+0.75)≧1.5×I(dp+1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp+1.5)
をそれぞれ充足するサンプルを○(合格)、
I(dp)≧100
I(dp−0.75)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp+0.75)≧1.5×I(dp+1.5)
I(dp)≧3.5×I(dp−1.5)
I(dp)≧3.5×I(dp+1.5)
をそれぞれ充足するサンプルを◎(優)、そうでなかったサンプルを×(不合格)と評価した。その結果を表3に記載した。
Figure 0005810197
(2)柔軟性評価試験
サンプル2を使用して、一般的にフレキシブル配線板用途の製造工程で負荷される熱処理に相当する300℃×1時間の熱処理を窒素雰囲気中にて行った後に、長さ130mm×15mmの試験片に裁断し、下記の条件にて銅箔が破断するまでMIT屈曲試験を行った。本試験ではサンプルにたわみが出ない程度の軽い荷重を掛けて屈曲試験を行うことにより、柔軟性の評価とした。
屈曲半径R :0.38mm
屈曲角度 :±135°
屈曲速度 :175回/分
荷重 :10g
屈曲回数800回以上で破断しなかったサンプルは○(合格)、特に1000回以上で破断しなかったサンプルは◎(優)、800回未満で破断したサンプルは×(不合格)と評価し、その結果を表4に記載した。
(3)剛性評価試験
サンプル3を使用して一般的に電池用途の製造工程で負荷される熱処理に相当する150℃×1時間の熱処理を窒素雰囲気中にて行った後に、長さ130mm×15mmの試験片に裁断し、下記の条件にて銅箔が破断するまでMIT屈曲試験を行った。本試験ではサンプルに重い荷重を掛けて屈曲試験を行うことにより、剛性の評価とした。
屈曲半径R :0.80mm
屈曲角度 :±135°
屈曲速度 :175回/分
荷重 :500g
屈曲回数300回以上で破断しなかったサンプルは○(合格)、特に400回以上で破断しなかったサンプルは◎(優)、300回未満で破断したサンプルは×(不合格)と評価し、その結果を表4に記載した。
Figure 0005810197
実施例1〜9は表3から明らかなように、S面から厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルにおいて3.6≧dp≧8.4[μm]を満たす深さdp[μm]において窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)のピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
I(dp−0.75)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp+0.75)≧1.5×I(dp+1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp+1.5)
をそれぞれ充足した。特に実施例2、3、及び6は
I(dp)≧100
I(dp−0.75)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp+0.75)≧1.5×I(dp+1.5)
I(dp)≧3.5×I(dp−1.5)
I(dp)≧3.5×I(dp+1.5)
もそれぞれ充足した。よって、実施例1〜9は、深さ方向において窒素(N)又は硫黄(S)又は塩素(Cl)の含有量がピークを示す層である前記層2が好ましい厚さ比率で中央部付近に存在していることになる。その結果、実施例1〜9は、中央部付近にある不純物含有量が相対的に多く相対的に剛性がある銅層が、表層部付近にある相対的に不純物含有量が少なく相対的に柔軟性がある銅層に好ましい比率で挟み込まれる3層構造の銅箔となっていることが容易に考察できる。
この実施例1〜9は表4から明らかなように、柔軟性と剛性が共に優れており、特に実施例2、3、及び6はどちらも◎(優)の評価となった。
比較例1〜8は表3から明らかなように、S面から厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルにおいて3.6≦dp≦8.4[μm]を満たす深さdp[μm]において硫黄(S)又は塩素(Cl)のピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
となる分析点は存在したが
I(dp−0.75)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp+0.75)≧1.5×I(dp+1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp+1.5)
をそれぞれ充足することは無かった。このような分析結果を示した比較例1〜8は、厚み方向の不純物含有量が厚さ方向にほぼ一定で明確なピークを示す層が存在しておらず前記層2が存在しない、又は前記層2の厚さが好ましくないことを意味し、比較例は実施例のような適切な厚さ比率の3層構造とはなっていないと考察できる。
従ってこの比較例1〜8は表4から明らかなように、柔軟性と剛性を両立することは出来ていない。
比較例9も表3から明らかなように、S面から厚み方向に測定したSIMS強度プロファイルにおいて3.6≦dp≦8.4[μm]を満たす深さdp[μm]において塩素(Cl)のピークの強度I(dp)が
I(dp)≧100
となる分析点は存在したが
I(dp−0.75)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp+0.75)≧1.5×I(dp+1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp−1.5)
I(dp)≧1.5×I(dp+1.5)
をそれぞれ充足することは無かった。比較例9はI(dp)がI(dp−1.5)より高く、I(dp+1.5)より低いという分析結果となっており、厚み方向の不純物含有量がS面側が低くM面側が高いという傾斜した分布となっていることを意味し、比較例は実施例のように銅層が3層構造とはなっていないと考察できる。
比較例9の元となった特許文献4に記載の製造方法における電流条件では第1ステップ電解以降は電流密度を下げることしか記載されておらず、本発明の製造方法における電解条件のように銅箔中央部に該当する箇所のみ電流密度を下げるという操作はなされない。よって、特許文献4に記載の製造方法では相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った銅層の内部に相対的に不純物含有量が多く剛性を持った銅層が存在する3層構造とはなっていないものと考察する。
また、特許文献4と本発明では求める特性が全く異なり、さらに特許文献4の本文中において銅箔中の不純物含有量について触れられていないので、想定・類推をもって本発明に到達することは非常に困難である。
本発明によって、相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った銅層の内部に相対的に不純物含有量が多く剛性を持った銅層が存在する3層構造となり、配線板と電池の用途に好適な柔軟性と剛性を両立させた電解銅箔を提供することが可能となる。
また、本発明は本来ならば複数の設備・工程が必要な3層構造の特殊な電解銅箔を単一の設備・電解液・添加剤構成で製造可能であり、尚且つ単一の設備・電解液・添加剤構成で製造出来るので生産性と安定性に優れる。
1(1A、1B):相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った銅層
2:相対的に不純物含有量が多く剛性を持った銅層
3(3A、3B):第一アノード
4:第二アノード
5:カソード
6:電解液
7:電解銅箔

Claims (4)

  1. 配線板用又は電池用に用いられる電解銅箔であって、
    相対的に不純物含有量が多く剛性を持った中央めっき層と、当該中央めっき層の両面に形成された相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った第1および第2の外側めっき層からなる電解銅箔であって、
    前記第1の外側めっき層の表面であるS面表面又は前記第2の外側めっき層の表面であるM面表面から厚み方向にSIMS(二次電子質量分析)法により、1次イオンをセシウムイオン(Cs+)、加速電圧を5kVで、スパッタ領域を200μm×400μm、分析領域を前記スパッタ領域の中央部9%として測定したSIMS(二次電子質量分析)強度プロファイルにおいて、
    前記S面表面又はM面表面からの深さd[μm]における強度[カウント数]をI(d)、前記電解銅箔厚みをx[μm]としたとき、
    0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]に存在する前記中央め
    っき層において、
    2次(検出)イオン(14N63Cu-)で測定される窒素(N)、又は2次(検出)イオン(34S-)で測定される硫黄(S)、又は2次(検出)イオン(35Cl-)で測定される塩素(Cl)のピークが存在し
    前記ピークの強度I(dp)が
    I(dp)≧100
    I(dp−x/16)≧1.5×I(dp−x/8)
    I(dp+x/16)≧1.5×I(dp+x/8)
    I(dp)≧1.5×I(dp−x/8)
    I(dp)≧1.5×I(dp+x/8)
    をそれぞれ充足することを特徴とする、
    電解銅箔。
  2. 配線板用又は電池用に用いられる電解銅箔であって、
    相対的に不純物含有量が多く剛性を持った中央めっき層と、当該中央めっき層の両面に形成された相対的に不純物含有量が少なく柔軟性を持った第1および第2の外側めっき層からなり
    前記第1の外側めっき層の表面であるS面表面又は前記第2の外側めっき層の表面であるM面表面から厚み方向にSIMS(二次電子質量分析)法により1次イオンをセシウムイオン(Cs+)、加速電圧を5kVで、スパッタ領域を200μm×400μm、分析領域を前記スパッタ領域の中央部9%として測定したSIMS(二次電子質量分析)強度プロファイルにおいて、
    前記S面表面又はM面表面からの深さd[μm]における強度[カウント数]をI(d)、前記電解銅箔の厚みをx[μm]としたとき、
    0.3x≦dp≦0.7x[μm]を満たす深さdp[μm]に存在する前記中央めっき層において、
    2次(検出)イオン(14N63Cu-)で測定される窒素(N)、又は2次(検出)イオン(34S-)で測定される硫黄(S)、又は2次(検出)イオン(35Cl-)で測定される塩素(Cl)のピークが存在し
    前記ピークの強度I(dp)が
    I(dp)≧100
    I(dp−x/16)≧1.5×I(dp−x/8)
    I(dp+x/16)≧1.5×I(dp+x/8)
    I(dp)≧3.5×I(dp−x/8)
    I(dp)≧3.5×I(dp+x/8)
    をそれぞれ充足することを特徴とする、
    電解銅箔。
  3. 請求項1または2に記載の電解銅箔を用いたフレキシブル配線板。
  4. 請求項1または2に記載の電解銅箔を用いた電池。
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