JPH1018076A - 金属箔の製造方法及び装置 - Google Patents

金属箔の製造方法及び装置

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JPH1018076A
JPH1018076A JP18697096A JP18697096A JPH1018076A JP H1018076 A JPH1018076 A JP H1018076A JP 18697096 A JP18697096 A JP 18697096A JP 18697096 A JP18697096 A JP 18697096A JP H1018076 A JPH1018076 A JP H1018076A
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anode
foil
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Takeshi Gohara
毅 郷原
Hiroo Tsuchiya
弘雄 土屋
Tsuneo Suzuki
恒男 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解金属箔の製造において初期電着の均一性
を確保する技術を確立すること。 【解決手段】 回転ドラム型カソードA上に電解反応に
より形成した金属層を剥離する方法を用いた金属箔の製
造において、電流密度調整用の補助アノードEをアノー
ドB上方で金属層の電着開始時カソードが電解液と接触
して微弱な電流が流れ始める位置Cに設置し、電着開始
時に急激に電流密度を増加させることにより、カソード
上に均一な初期電着核を形成し、ピンホール欠陥の少な
い均質な製品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属箔の製造方法
及び装置に関し、更に詳しくは、電解反応によりカソー
ド上に電着した金属層を剥離することで連続的に金属箔
を製造する工程において、電着開始時の不均一に起因す
る箔のピンホール欠陥の発生を防止し、均質な製品金属
箔を製造することのできる金属箔の製造方法及び装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電解反応を用いた金属箔の製造は、特に
銅箔の製造において工業的な生産技術として用いられて
いる。銅箔は、プリント回路基板の製造において、導電
性の回路を作る材料として用いられる。電解法による銅
箔の製造方法としては、図3の概念図に示したように、
回転する円筒ドラム型のカソードAと、これに対向する
湾曲アノードBを組み合わせた電解槽に、アノード中央
下側から電解液を噴流として供給しそして電解液をカソ
ードとアノードとの間の両側間隙を通して流して電解を
行い、所定の厚さに電着した金属銅箔を剥がし、巻き取
ることで連続的に箔を製造する方法が広く用いられてい
る。カソードとアノードとの間の間隙を通して流れる電
解液は出口から吹き出し、溢流して電解槽内に戻る。
【0003】このドラム型カソードの材質に対しては、
電解液による腐食を受けないこと、銅が均一に表面
を覆うよう均一な表面が得られること、電着した金属
銅を剥離する際にカソード面から容易に剥がれてかつ剥
離により表面が力学的に摩耗せず安定な状態を保つこ
と、などの特性が求められる。このような要求を満足す
る材料としては、クロム(Cr)とチタン(Ti)があ
る。この二者はともに表面に安定な酸化膜を形成するた
め、電解により電着した金属銅層が下地と強固に密着す
ることはなく、薄い金属銅箔としてカソード電極から容
易に剥がすことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのカソ
ード材料では前記の安定な酸化膜が電気の抵抗体として
働くため、カソード表面での酸化膜の分布に不均一があ
ると、カソード上に銅が電着を開始するときの分布にば
らつきを生じて、電着物が厚く成長してもカソード表面
を埋めきれずにピンホール欠陥となって残ることがあ
る。プリント回路基板に用いる銅箔では、こうしたピン
ホールがあると、ピンホール部分で回路の線が細くなっ
て断線したり、絶縁性の樹脂基板に箔を張り付けるとき
にピンホールを通して下地の樹脂や接着剤が箔の接着面
から反対側の表面にしみだしてその後のエッチングによ
る回路形成時に障害となる、などの問題を起こす。
【0005】このため、銅箔製造においては、あらかじ
めカソードの表面を均一に研磨したり、あるいは特開平
7−228996にあるように陽極酸化を用いてカソー
ド表面に均一な酸化皮膜をあらかじめ形成するなどの処
理をして、カソード表面状態を均一にするとともに、種
々の添加剤を電解液に添加してカソード上で均一に電着
銅の核が発生してカソード表面をムラ無く覆うよう工夫
がなされている。しかし、長時間の連続製箔を行うと、
カソード表面が徐々に傷んで当初の均一性が失われるた
め、カソード使用時間が長くなると欠陥の発生頻度が次
第に増加して、製品の品質が保てなくなる。このため、
欠陥を生じやすくなった時点で箔の製造を中断し、ドラ
ムの表面を研磨するなどして、表面の均一性を回復する
必要がある。
【0006】また、プリント回路の用途においては、近
年の回路基板の高密度化にともない、より細い配線を作
るために、銅箔の厚さも回路幅に従って薄いものを用い
る必要が生じている。箔が薄くなると、カソード表面状
態の不均一による銅初期電着のムラが埋めきれずにピン
ホールが残る可能性も増加し、箔の製造歩留まりが低下
することが問題となっている。本発明の課題は、電解金
属箔の製造において初期電着の均一性を確保する技術を
確立することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
である初期電着の均一性を確保する上で、電着が開始す
る最初期における電流密度が重要な役割を果たすことを
見いだした。前記の回転ドラムを用いた電解槽を例に述
べると、図2に示すように、箔が剥がされた後のカソー
ドドラムが電解液上方を回転してその表面に再び銅が電
着するようになるに際して、アノードと対向した位置D
まで回転する以前の、電解液出口から吹き出して溢流し
ている電解液と接触する位置Cに達した時点から微弱な
電流が流れ始める。このため、ドラム上で見ると、電着
開始時の電流密度は、図2右側に示すように、位置Cで
のほぼゼロの状態から少しずつ増加して、電極がアノー
ドと対向する位置Dまで回転した時点で所定の電流密度
に達する。この電流密度の立ち上がりに要する時間や電
流密度変化のパターンは、流流速、電解液出口の液吹出
しの高さ、電極間距離、ドラム回転の周速度等で異なる
が、電流密度の値が安定するには、数秒、おおむね1〜
5秒程度を要する。特に、生産性向上のため、カソード
ドラムとアノードとの間隙を狭くして電解液流速を1m
/s以上、好ましくは1.5m/s以上、特に好ましく
は2m/s以上に上げると、電解液出口の液吹出しの高
さは液流速の上昇とともに増加する。
【0008】前記のCrやTi電極のように表面に電流
の障害となる抵抗体の層がある場合には、電流密度が非
常に低いと、表面に散在する電気の通りやすい部分に初
期電着の電流が集中して、核発生の頻度は低下し、その
分布も不均一となりやすい。このため、回転ドラムを用
いた金属箔の連続製造プロセスにおける、先に図2に示
したような電着開始時の電流密度変化のパターンは、本
質的に、ドラム表面の不均一を顕在化させて不均一な初
期電着を生じやすい条件となっている。こうした状況に
対して、本発明者は、電着開始時カソードが電解液と接
触して微弱な電流が流れ始める時点で電流密度を急激に
所定の値まで増加させた場合には、カソード表面全体で
新たな核発生を起こすに十分な過電圧が得られるため、
下地のカソード表面状態の不均一に影響されずに、核発
生・初期電着粒の成長が表面全体で均一に進行すること
を確認した。
【0009】この知見に基づいて、本発明は、電解液に
浸したカソードと、これに対向するアノードとの間に電
気を流し、前記のカソード表面に電気化学的に金属層を
電着させた後に、この電着金属層を剥離して金属箔を製
造するに際し、前記の金属層の電着開始時カソードが電
解液と接触して微弱な電流が流れ始める時点で、カソー
ド上での電流密度を製箔時の平均の60%超とするよう
電流を流すことを特徴とする金属箔の製造方法を提供す
るものである。本発明はまた、回転する円筒ドラム型の
カソードとこれに対向するアノードとを有する電解槽を
用いてカソードに電着した金属層を剥離して金属箔を連
続的に製造する装置において、電着開始時に製箔時の平
均の60%超の電流密度を増加させることのできる補助
アノードを金属層の電着開始時カソードが電解液と接触
して微弱な電流が流れ始める位置に設置することを特徴
とする金属箔の製造装置をも提供する。この補助アノー
ドは、電解液出口からの吹き出す電解液が自身の上方に
流出することを防止する作用もなす。
【0010】このような、電流密度を調節するためにア
ノードの形状を変えたり、補助アノードを利用する方法
自体については、いくつかの例が報告されている。しか
し、これらの方法は、アノードの上方に電解液が吹き出
してカソードと接触し、電着初期に微弱な電流が流れる
点についてまったく考慮しておらず、本発明の目的とす
る効果は期待できない。例えば、特開昭55−1009
91号は、電着ロールの液部浸入箇所に一組の電極を設
置し、矩形波のパルス電解を5ミリ秒、休止時間5ミリ
秒、電流密度35A/dm2 として、0.5μm厚みの
銅メッキを行い、ついで通常の電解に移ることを記載す
るが、電着ロールの液部浸入箇所と大まかに述べるだけ
であり、アノードの上に電解液が吹き出してカソードと
接触し、電着初期に微弱な電流が流れる点の重要性につ
いてまったく考慮していない。このため、電極の配置に
よっては、パルスとして電流を供給しても、アノードか
ら離れた位置にあるカソード上では微弱な電流しか流れ
ず、本来のパルス電着で期待される電着を均一にする効
果が損なわれる恐れがある。また、特開平5−1952
89においては、主アノードの上部の電解液出口側を外
側に広げてカソード電流密度を30〜60A/dm2
減らし、厚さの均一な箔を製造する方法が報告されてい
るが、本発明の目的であるピンホール抑制のために初期
電着粒を均一に発生させるためには、この方法や条件は
むしろ不利である。また、特公平3−1390には、主
アノードの上部に壁体を設け、壁体下部とアノード上端
の間から側方に電解液が流出して壁体の上を液が流れぬ
ようにした、上記の説明と一見類似した配置・形状の装
置が示されているが、この装置で用いる壁体は電極では
なくただのしきり壁である。このため、この特公平3−
1390に言う壁体を用いた装置では、アノード側で生
じた液中の気泡が電着開始時にカソード表面に付着する
ことで発生するピンホールを防止する効果はあるが、本
発明で対象とするカソード表面状態の不均一に基づく箔
の欠陥を防止する効果はない。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、アノードの上方に電解
液が吹き出してカソードと接触し、微弱な電流が流れ、
電着が始まる時点での電流供給の条件を電流密度を急激
に所定の値まで増加させ、カソード表面全体で新たな核
発生を起こすに十分な過電圧が得られるようにコントロ
ールして核発生・成長を均一化することで、上記の電着
開始時の不均一に起因する箔のピンホール欠陥の発生を
防止し、均質な製品金属箔を製造することのできる金属
箔の製造方法及び装置を提供する。本発明は、液流速が
1m/s以上、好ましくは1.5m/s以上、特に好ま
しくは2m/s以上の場合に顕著な効果を発揮する。
【0012】電着初期の電流密度の時間変化パターンを
コントロールする方法としては、例えばバッチ式に一枚
づつ箔を電着させてシート状の製品を造る場合には、供
給する電源の出力を調整する方法が利用できる。一方、
先に銅箔製造装置の例で述べた回転円筒ドラム型の装置
の場合には、電解液の吹き出し口でカソードが回転して
電解液中に入り電流が流れ始める部分で、吹き出した液
がカソードがアノードと対向する位置より上まで吹き上
がらぬよう、例えば網目状の電極や、カソードとアノー
ドの間隙以外に液の流出する逃げ道ができるように電極
の形状や配置を調節する方法が利用できる。
【0013】その一例を、図1に示す。図1において、
Eは、カソードドラムA上での電着初期の電流密度の変
化を調節するために、本来の製箔用のアノードB以外に
設けられた電流密度調節用アノードとしての補助アノー
ドである。この補助アノードEは、液が吹き出してカソ
ードドラムAと接触する位置Cに水平に固定するととも
に、カソードドラム表面に充分に近づけて、補助アノー
ドの上まで電解液が流出しないように配置する必要があ
る。補助アノードのカソードと対向する面は、カソード
上に均一に初期電着粒が電着し成長するまでの間、電流
が流せるだけの面積が必要である。補助アノードから流
す電流は、上記のアノードと対向したカソード面の面積
に対して、カソード表面で均一に核発生するに充分な電
流密度が得られる大きさとする。この条件は、電解液の
組成・温度・隙間での液流動状態により異なるが、アノ
ードB側での製箔時に主アノードと対向するカソード面
に対して流れる電流の平均電流密度に対し60%以上、
好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上
の電流密度で流す。カソード側から見て、液に接触して
から0.3秒以内に補助アノードから前記の密度で電流
が流れるよう、補助アノードの位置や電流、その上側へ
の液の漏れだし高さを調節すれば、目的とする初期電着
の均一化の効果が得られる。このように、矩形波として
急激に電流密度を増加させた場合には、均一な初期電着
粒の成長・カソードの表面の被覆が進み、電着の初期不
均一による欠陥発生を防ぐことができる。このように補
助アノードの位置と供給電流を調節することで、特開昭
55−100991号に記載されているような特殊な
(パルス)電流を用いることなしに、電着状態を均一化
する目的を達成することができる。
【0014】このようにして形成された初期電着粒は、
一度均一に電着すれば、その後、主アノードから徐々に
電流が流れ始めても、全体が均一に成長していくので、
カソード表面全体を電着金属層で覆うことができる。ま
た、この初期電着粒はその後の電着が均一に進むために
必要な量があればよいので、箔製造に必要な電気量に対
して、ごく少量の電気を補助アノードから流すだけで充
分である。このため、補助アノード使用の有無によら
ず、銅箔自体のバルクとしての機械特性や成長後の外観
は変化しない。
【0015】なお、本発明による、電着初期の電流密度
を調節することにより電着金属層を均一化し欠陥発生を
防止する方法は、銅箔以外の、アルミニウム、ニッケル
その他の金属箔を電解反応で製造する場合にも、用いる
ことが可能である。
【0016】
【実施例】
[実施例]幅150mm,外径150mmのSUS30
4製円筒ドラムの側面にCrをメッキしたものを回転カ
ソードとする銅箔製造装置を用いて、本発明の効果を検
証した。ドラムが回転して液に浸る側の液吹き出し口か
ら高さ25mmの位置に、幅150mm,厚さ3mmの
不溶性電極板(上下面を絶縁皮膜で覆い、カソードに対
向した細い面のみから電流が流れるようにした)をカソ
ードドラムから約1mmの隙間を残して取り付け、これ
を初期電流密度調節用の補助アノードとして用いた。電
解液として、H2 SO4 :90g/l、CuSO4 :2
50g/l、およびにかわを含む水溶液を調製し、温度
60℃に保温しながら電解槽の下から供給した。カソー
ドドラムを0.38rpmの速度で回転しながら、対向
する鉛合金製アノードから420A(カソード上のアノ
ード対向面に対する平均電流密度120A/dm2 )の
電流を流して、厚さ35μmの銅箔を連続的に製造し
た。この時の液流速は2m/sであった。
【0017】製造した銅箔は、巻き取った後にドラム4
周分を切りとり、電着面側に探傷用の塗料を塗布して、
反対面側にピンホールを通して塗料がしみだした痕跡の
数を数えて、箔に含まれる欠陥の箔面積あたりの発生密
度を求めた。補助アノードに供給する電流を変えた時に
得られた箔の欠陥発生密度は、表1に示したとおりであ
った。供給する電流が大きくなると、欠陥の発生密度が
少なくなる傾向が認められた。
【0018】
【表1】
【0019】[比較例]前記の装置、及び同一組成の電
解液を用いて、実施例に示した実験の直後に、初期電着
電流密度調節用の補助アノードを取り外して主アノード
のみを用いて電流を流し、銅箔を製造した。その銅箔に
生じたピンホール欠陥の発生密度を、表1に実施例と併
せて示した。このように、生じた欠陥の数は補助アノー
ドに電流を流さなかった場合と同程度であった。
【0020】
【発明の効果】本発明の方法により、カソード表面の不
均一の影響で起こる初期電着の不均一に起因する金属箔
のピンホール欠陥の発生を防止し、ないしは抑制するこ
とができる。このことにより、電解反応を用いた金属箔
の製造工程において、より均一かつ良質の箔を製造し、
箔欠陥による歩留まり低下の問題を解決できる。また、
連続製箔によるカソードドラム表面の変質の問題に対し
ても、ドラム表面状態の影響を低減することで、より長
時間にわたって連続運転を行うことが、可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】補助アノードによる電着開始部分での電流密度
調節態様を示す説明図である。
【図2】電着開始部分での電流密度の変化状況を示す説
明図である。
【図3】電解銅箔製造装置の概念図である。
【符号の説明】
A:カソード B:アノード C:電解液接触開始位置 D:アノードとの対向位置 E:補助アノード

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液に浸したカソードと、これに対向
    するアノードとの間に電気を流し、前記のカソード表面
    に電気化学的に金属層を電着させた後に、この電着金属
    層を剥離して金属箔を製造するに際し、前記の金属層の
    電着開始時カソードが電解液と接触して微弱な電流が流
    れ始める時点で、カソード上での電流密度を製箔時の平
    均の60%超とするよう電流を流すことを特徴とする金
    属箔の製造方法。
  2. 【請求項2】 回転する円筒ドラム型のカソードとこれ
    に対向するアノードとを有する電解槽を用いてカソード
    に電着した金属層を剥離して金属箔を連続的に製造する
    装置において、電着開始時に製箔時の平均の60%超の
    電流密度を増加させることのできる補助アノードを金属
    層の電着開始時カソードが電解液と接触して微弱な電流
    が流れ始める位置に設置することを特徴とする金属箔の
    製造装置。
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