JP6529646B2 - 電解銅箔及びその電解銅箔を用いて得られる表面処理銅箔 - Google Patents

電解銅箔及びその電解銅箔を用いて得られる表面処理銅箔 Download PDF

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Description

本件出願は、電解銅箔及びその電解銅箔を用いて得られる表面処理銅箔に関する。特に、高温加熱を受けた際の高温耐熱特性に優れた電解銅箔に関する。
電解銅箔は、プリント配線板分野、リチウムイオン二次電池の負極集電体等の種々の分野において広く使用されている。そして、プリント配線板において、銅箔と絶縁層構成材とを張り合わせる際の加工温度として250℃を超える非常に高い温度が採用される場合があり、高温負荷を受けた電解銅箔が軟化し物理的強度が低下するため、種々の問題が生じていた。また、リチウムイオン二次電池の負極集電体として電解銅箔を用いる場合には、電解銅箔の表面に負極活物質を含む合剤層を形成する際に300℃前後の高温が負荷されることがある。このとき負極集電体に用いた電解銅箔が軟化すると、充電・放電を行う際の膨張・収縮に対する抵抗力が低下し、リチウムイオン二次電池の短命化を招くことがある。そのため、高温加熱を受けた際の高温耐熱特性に優れた電解銅箔に関する研究が行われてきた。
例えば、特許文献1には、長時間保管後も高強度を維持し、加熱後も高強度で、かつ電気伝導性に優れた電解銅箔の提供を目的として、「(A)ジチオカルバミン酸誘導体又はその塩、(B)チオ尿素、(C)メルカプト基を有する水溶性イオウ化合物又はその誘導体又はそれらの塩、(D)ポリアルキレングリコール及び(E)塩素イオンを添加剤として含有する硫酸酸性銅めっき液を電気分解することにより電解銅箔を製造する。」ことが開示されている。そして、特許文献1の請求項1をみると、「電着終了後120分以内に、240℃で10分間加熱後、20℃において引張り強さ及び電気伝導性を測定したとき、引張り強さが650MPa以上で、電気伝導性が80%IACS以上であり、電着終了から168時間後に測定した20℃における引張り強さが、電着終了後120分以内に測定した20℃における引張り強さの90%以上であり、電着終了後120分以内に測定した20℃における伸び率が3%以上である電解銅箔。」が得られることが開示されている。
特許文献2には、Tape Automated Bonding工法に用いる電解銅箔材料として好適な低粗面を持ち、且つ、高抗張力を備えており、スズめっき剥がれが発生しない電解銅箔の提供を目的として、「硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金族元素又はその酸化物で被覆したチタンからなる不溶性陽極と該陽極に対向するチタン製陰極ドラムとを用い、当該両極間に直流電流を通じる電解銅箔の製造方法において、前記電解液に非イオン性水溶性高分子、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩、チオ尿素系化合物及び塩素イオンを存在させることによって、粗面粗さが2.0μm以下であって、粗面側のX線回折により測定した220銅回折線相対強度から求められるオリエンテーションインデックスが5.0以上の結晶組織であって、180℃・1時間加熱後の抗張力が500MPaである電解銅箔を得る。」ことが開示されている。
特許文献3には、粗面が低粗度化され、時間経過又は加熱処理に伴う抗張力の低下率が低く、しかも高温における伸び率に優れた低粗面電解銅箔及びその製造方法の提供を目的として、「硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液にヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンイミン、アセチレングリコール、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩及び塩素イオンの五つの添加剤を存在させることより、電解銅箔の粗面粗さRzが2.5 μm 以下であり、電着完了時点から20分以内に測定した25℃における抗張力が500MPa以上であると共に、電着完了時点から300 分経過時に測定した25℃における抗張力の低下率が10%以下であり、又は、電着完了時点から100 ℃にて10分間加熱処理を施した後に測定した25℃における抗張力の低下率が10%以下であり、かつ、180 ℃における伸び率が6%以上である低粗面電解銅箔を得る。」ことが開示されている。
特許文献4には、銅箔の製箔完了時から次の製造工程に移るまでの常温保管、または次工程における200〜300℃程度の加熱処理によっても銅箔が軟化せず、高い抗張力を維持する電解銅箔、並びにその製造方法の提供を目的として、「銅箔の製箔完了時から該銅箔の特性安定時以降の25℃で測定した抗張力が400N/mm以上である高抗張力電解銅箔。」を採用している。そして、この特許文献4の請求項3に開示されているように、「銅箔の製箔を完了し、該銅箔の特性が安定した後、該銅箔を300℃で1時間加熱処理し、該加熱処理後に25℃で測定した抗張力が400N/mm以上である高抗張力電解銅箔。」が開示されている。
特許文献5には、充放電サイクルを繰り返しても容量保持率の低下が起こらず高寿命で、負極集電体が変形しないリチウムイオン二次電池を作製可能なリチウムイオン二次電池負極用電解銅箔を供給することを目的として、「200〜400℃で加熱処理後の0.2%耐力が250N/mm以上、伸びが2.5%以上であり、該電解銅箔の活物質層を設ける表面は防錆処理が施され、或いは粗化処理され防錆処理が施されている。また本発明は前記電解銅箔を集電体とするリチウムイオン二次電池用電極」が開示されている。即ち、リチウムイオン二次電池の負極集電体として電解銅箔を用い、このときの電解銅箔の240℃×10分の加熱後の「0.2%耐力」を規定している。
特許文献6には、ファインピッチ回路の形成用の電解銅箔であり、且つ、コルソン合金箔の代替え使用が可能な高強度電解銅箔の提供を目的として、「銅電解液を電解して得られる電解銅箔において、当該電解銅箔は、硫黄を110ppm〜400ppm、塩素を150ppm〜650ppm含有し、導電率が48%IACS以上、常態引張り強さの値が70kgf/mm以上であることを特徴とする電解銅箔」が開示されている。
特許文献7には、従来の低プロファイル電解銅箔と同等の低プロファイルの表面を備え、且つ、極めて大きな機械的強度を備える電解銅箔及びその製造方法を提供することを目的として、「銅の析出結晶粒子が微細で、その粒子径のバラツキを従来に無い程に小さくした電解銅箔であって、低プロファイルで光沢を有する表面を備え、且つ、常態引張り強さの値が70kgf/mm〜100kgf/mmと極めて大きな機械的強度を有し、加熱(180℃×60分間)後でも、常態引張り強さの値の85%以上の引張り強さの値を備える電解銅箔。」が開示されている。
特許文献8には、塩素含有量が変動しても、安定した諸特性を示す電解銅箔の提供を目的として、「銅電解液を電解することにより得られる電解銅箔であって、電解銅箔中のヨウ素含有量が0.003質量%以上であり、より好ましくは当該ヨウ素含有量が0.003質量%〜0.03質量%の範囲であることを特徴とする電解銅箔」を採用している。なお、この電解銅箔は、常態引張強さが48kgf/mm〜72kgf/mm、350℃×60分の加熱後の引張強さが27.5kgf/mm〜46.3kgf/mmという物理的特性を発揮しており、リチウムイオン二次電池の負極集電体用途に好適であることが開示されている。
特開2012−140660号公報 特開2011−174146号公報 特開2004−339558号公報 特開2008−285727号公報 特開2012−151106号公報 特開2009−221592号公報 特開2008−101267号公報 WO2012/002526号公報
しかしながら、リチウムイオン二次電池の負極集電体に用いる電解銅箔に対し、充放電時に発生する負極集電体の変形を防止できる性能要求が高くなっている。特に、近年のリチウムイオン二次電池の負極の場合、充放電に伴う体積変化が大きい合金系負極活物質を用いることがある。当該合金系負極活物質を負極集電体に坦持させるためには、強固なバインダーを用いて合剤層を形成することにより、充放電時の大きな体積変化による活物質の崩落を防止する。そして、このバインダーの重合反応を起こさせる際に、300℃以上の高温が負荷される。従って、負極集電体に用いる電解銅箔は、300℃以上の加熱を受けた後も高強度を維持できる高温耐熱特性を備えなければ、リチウムイオン二次電池の長寿命化が図れなくなる。
上述の特許文献4に開示の電解銅箔であれば、十分な高温耐熱特性を備える可能性がある。ところが、同文献における電解銅箔は、高温耐熱特性を「300℃で1時間加熱処理した後の抗張力が400N/mm以上」としているが、その実施例の記載内容を詳細に確認すると、製箔完了時から72時間後の300℃×1時間加熱後の抗張力(引張強さ)は、430MPa〜500MPaの範囲であり、当該抗張力が500MPaを超えるものは得られていない。
また、近年の電解銅箔は、プリント配線板分野に限らず、薄層化が顕著である。電解銅箔は、薄くなるほど、取扱い時にシワが発生しやすくなる。このような取扱い時のシワの発生を防止するという観点から、電解銅箔の高温加熱後のみならず、常態においても高い物理的特性を備えることが好ましい。
従って、本件出願では、良好な高温耐熱特性を備え、プリント配線板及びリチウムイオン二次電池の負極集電体に使用可能な電解銅箔の提供を目的とする。
そこで、本件発明者等の鋭意研究の結果、従来の電解銅箔に比べ、「常態の物理的特性」と「高温加熱後の物理的特性」との双方に優れた電解銅箔に想到した。そして、この本件出願に係る電解銅箔は、リチウムイオン二次電池の負極集電体用途に適したものであることが分かった。以下、本件出願に係る発明の概要に関して述べる。
電解銅箔: 本件出願に係る電解銅箔は、常態引張強さが600MPa以上774MPa以下、350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上583MPa以下、350℃×4時間加熱後の引張強さが470MPa以上533MPa以下であることを特徴とする。
表面処理銅箔: 本件出願に係る表面処理銅箔は、上述の電解銅箔を用いて得られることを特徴とする。
本件出願に係る電解銅箔は、「常態引張強さが600MPa以上」であり、且つ、「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性を同時に備える。即ち、本件出願に係る電解銅箔は、「常態の物理的特性」及び「高温加熱後の物理的特性」共に優れている。従って、薄い電解銅箔であっても、シワの発生が少なく、良好なハンドリング特性を備えるようになる。また、このような電解銅箔は、リチウムイオン二次電池の負極集電体として使用しても、負極活物質を坦持させる際の引張強さの低下が少ないため、充電・放電を行う際の膨張・収縮に対する抵抗力が高く、電池寿命を長くすることが可能になる。
そして、この電解銅箔は、粗化処理、防錆処理等を用途に応じて施した表面処理銅箔とすることが可能であり、プリント配線板、リチウムイオン二次電池等の分野において広く使用することが可能である。
また、本件出願に係る電解銅箔の製造方法においては、従来の電解銅箔を製造する際に使用していた硫酸酸性銅電解液に比べ、単純な浴組成を採用することが出来るため、溶液安定性に優れ、廃液処理の負荷も軽減できるため、電解銅箔製造時の浴管理及び管理コストの削減が容易となる。
以下、本件出願に係る「電解銅箔の形態」、「電解銅箔の製造形態」、「電解銅箔を用いて得られる表面処理銅箔の形態」に関して、順に述べる。
電解銅箔の形態: 本件出願に係る電解銅箔は、防錆処理、粗化処理等の表面処理を施していない銅箔であり、その厚さに関して、特段の限定は無い。なお、ここで明記しておくが、以下において述べる本件出願に係る電解銅箔は、物理的特性によって特定している。この物理的特性の値は、「電解銅箔」と、後述する表面処理を施した「表面処理銅箔」との間で、ほぼ同一の値を示す。
本件出願に係る電解銅箔は、「常態引張強さが600MPa以上」であり、「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性を同時に備えることを特徴とする。このように「常態引張強さが600MPa以上」という電解銅箔は、従来においても存在する。しかし、同時に「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性を示す電解銅箔は存在しない。この「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性を備える電解銅箔を得るためには、「常態引張強さが600MPa以上」という物理的特性を備える電解銅箔を用いる。
電解銅箔が、「常態引張強さが600MPa以上」であれば、厚さが9μm以下の電解銅箔においても、取扱い時にシワが発生しにくくなり、作業性が向上するため好ましい。そして、同時に「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性を備える電解銅箔を、リチウムイオン二次電池の負極集電体として用いると、電池寿命の長い高品質のリチウムイオン二次電池の提供が可能となるため好ましい。このような物理的特性を備える電解銅箔を負極集電体に用いると、合金系負極活物質を坦持するため、300℃以上の温度でバインダーの重合反応を行っても、当該電解銅箔の強度低下が少なくなるからである。更に、「350℃×1時間加熱後の引張強さ」に関していえば、「350℃×1時間加熱後の引張強さが500MPaを超えること」が、より好ましい。熱処理時間が更に長時間になっても、安定して高い引張強さを備えることができるからである。また、このような高温耐熱特性を備える電解銅箔であれば、厚さの薄い負極集電体とする設計も可能となる。
また、本件出願に係る電解銅箔は、「350℃×1時間加熱後の0.2%耐力が370MPa以上」であることが好ましい。非鉄材料である銅を主成分とする銅箔の場合、応力−歪み曲線の中に、鉄材に見られるような降伏点が存在しない。よって、非鉄材料としての客観的評価を行う際に、降伏点に代わるものとして「0.2%耐力」が用いられる。なお、この「0.2%耐力」と、上述の「引張強さ」とは、完全な相関を示すものではないが、0.2%耐力の値が高いと、引張強さも高くなる傾向がある。「350℃×1時間加熱後の0.2%耐力が370MPa以上」であると、加熱後の電解銅箔の引張強さのバラツキが小さくなる傾向があり、上述の「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性が安定して得られる。従って、本件出願に係る電解銅箔の場合、「加熱後の0.2%耐力」と「加熱後の引張強さ」とを、別個の指標として分離して評価することで、加熱に対する高温耐熱特性の評価を確実なものとすることができる。以下に、更に厳しい高温負荷を加えたときの、本件出願に係る電解銅箔が示す高温耐熱特性に関して述べる。なお、本件出願に係る電解銅箔は、「350℃×1時間加熱後の0.2%耐力が410MPa以上」であることがより好ましい。上述の350℃×1時間加熱後の引張強さが、500MPaを超えるものが安定して得られるからである。
更に、350℃×4時間という高温負荷を加えても、本件出願に係る電解銅箔は、「350℃×4時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という高い引張強さを備えることが好ましい。そして、本件出願に係る電解銅箔の場合、「350℃×4時間加熱後の引張強さが500MPa以上」という高い引張強さを備えることがより好ましい。また、本件出願に係る電解銅箔は、「350℃×4時間加熱後の0.2%耐力が370MPa以上」という高い0.2%耐力を備えることが好ましい。そして、本件出願に係る電解銅箔の場合、「350℃×4時間加熱後の0.2%耐力が410MPa以上」という高い0.2%耐力を備えることがより好ましい。
また、本件出願に係る電解銅箔は、常態伸び率が2.5%以上であることが好ましい。当該常態伸び率が2.5%未満の場合、負極活物質を含む合剤層を電解銅箔表面に形成する際に電解銅箔が破断する場合がある。
以上に述べてきた本件出願に係る電解銅箔の物理的性質は、電解銅箔に含まれる微量成分によって得られていると考えられる。そして、本件出願に係る電解銅箔の微量成分は、電解銅箔の質量あたりの含有量として、以下に示す条件を満たすことが好ましい。即ち、C含有量が100μg/g〜450μg/g(「100μg/g以上450μg/g以下」を意味する。以下、同様である。)、N含有量が50μg/g〜620μg/g、O含有量が400μg/g〜3200μg/g、S含有量が110μg/g〜720μg/g、Cl含有量が20μg/g〜115μg/gの範囲にあり、且つ、{Cl/(C+N+O+S+Cl)}×100≦5質量%の関係を満たすことが好ましい。この微量成分含有量の条件を満たしていないと、高温負荷により電解銅箔の結晶組織の再結晶化が著しく進行し、当該結晶組織内にボイドが発生しやすくなる。なお、本件発明における微量成分含有量は、銅箔1gあたりの含有量として表示しているため、「μg/g」の単位を使用している。そして、{Cl/(C+N+O+S+Cl)}×100は、電解銅箔に含まれるCl含有量(μg/g)の値を、電解銅箔に含まれるC(炭素)含有量、N(窒素)含有量、O(酸素)含有量、S(硫黄)含有量、Cl(塩素)含有量の総量(μg/g)の値で割り、100をかけて得られる100分率換算値(質量%)である。
そして、本件出願に係る電解銅箔に含まれるN(窒素)の微量成分比率が、{N/(N+S+Cl)}×100≧20質量%の関係を満たすことが、より好ましい。この関係を満たさない場合、高温負荷により電解銅箔の結晶組織の再結晶化が著しく進行し、当該結晶組織内にボイドが発生しやすくなる。350℃×1時間以上の加熱で、引張強さ及び0.2%耐力のバラツキが大きくなる傾向がある。なお、{N/(N+S+Cl)}×100は、電解銅箔に含まれるN含有量(μg/g)の値を、電解銅箔に含まれるC含有量、S含有量、Cl含有量の総量(μg/g)の値で割り、100をかけて得られる100分率換算値(質量%)である。
また、本件出願に係る電解銅箔に含まれるCl(塩素)の微量成分比率が、{Cl/(N+S+Cl)}×100≦20質量%の関係を満たすことが、より好ましい。この値が20質量%を超えると、高温負荷により電解銅箔の結晶組織の再結晶化が著しく進行し、当該結晶組織内にボイドが発生しやすくなる。この値に関して、特に下限値を設けていないが、3.0質量%と考えられる。3.0質量%未満の場合には、引張強さ及び0.2%耐力のバラツキが大きくなる傾向がある。なお、{Cl/(N+S+Cl)}×100は、電解銅箔に含まれるCl含有量(μg/g)の値を、電解銅箔に含まれるN含有量、S含有量、Cl含有量の総量(μg/g)の値で割り、100をかけて得られる100分率換算値(質量%)のことである。
電解銅箔の製造形態: 本件出願に係る電解銅箔の製造方法は、上述の電解銅箔の製造方法であって、銅電解液として、「20mg/L〜100mg/Lの濃度で分子量10000〜70000のポリエチレンイミンを含み、且つ、塩素濃度が0.5mg/L〜2.5mg/Lの硫酸酸性銅電解液」を用いることを特徴とする。なお、「硫酸酸性銅電解液」の銅濃度及びフリー硫酸濃度に関しては、特段の限定は無いが、銅濃度が70g/L〜90g/L、フリー硫酸濃度が100g/L〜200g/Lの範囲であることが一般的である。
本件出願に係る電解銅箔の製造方法で用いるポリエチレンイミンは、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンを含む分子量10000〜70000(株式会社日本触媒製の商品名エポミン(品番SP−200,P−1000)等)のものである。そして、このポリエチレンイミンを、電解銅箔の製造に使用する硫酸酸性銅電解液に添加して用いる。このようにポリエチレンイミンを添加した硫酸酸性銅電解液は、溶液寿命が長く、電解時の溶液安定性に優れるため、長時間の連続電解を必要とする電解銅箔の製造に適している。しかも、ポリエチレンイミンを添加した硫酸酸性銅電解液を用いて得られる電解銅箔は、高温耐熱特性が安定化する傾向があるため好ましい。このポリエチレンイミンの分子量が10000未満の場合には、ポリエチレンイミンの添加量を増加させても、得られる電解銅箔に十分な高温耐熱特性を付与できないため好ましくない。一方、ポリエチレンイミンの分子量が70000を超えるものを用いても、得られる電解銅箔の高温耐熱特性のバラツキが大きくなる傾向があり好ましくない。このポリエチレンイミンの構造式を、以下の化1に示す。
Figure 0006529646
そして、このポリエチレンイミンは、硫酸酸性銅電解液中で20mg/L〜100mg/Lの濃度であることが好ましい。当該ポリエチレンイミン濃度が20mg/L未満の場合には、得られる電解銅箔に十分な高温耐熱特性を付与することができないため好ましくない。一方、当該ポリエチレンイミン濃度が100mg/Lを超える場合には、電解銅箔に含まれる上述の微量成分含有量が過剰になる傾向があり、電解銅箔としての引張強さ及び0.2%耐力は向上しても、硬化して伸び率が低下するため好ましくない。
また、本件出願に係る電解銅箔の製造方法において使用する硫酸酸性銅電解液は、塩素濃度が0.5mg/L〜2.5mg/Lであることが好ましい。塩素濃度が0.5mg/L未満の場合には、常態引張強さは高いが、高温耐熱特性が顕著に低下するため好ましくない。一方、塩素濃度が2.5mg/Lを超えると、常態引張強さ及び高温耐熱特性共に低下するため好ましくない。
その他の製造条件としては、電解銅箔の製造時の電流密度40A/dm〜90A/dm、液温40℃〜55℃の範囲での電解が好適である。この電解条件の範囲内であれば、安定した電解が可能であり、高品質の電解銅箔の製造が可能である。
表面処理銅箔の形態: 本件出願に係る表面処理銅箔は、上述の本件出願に係る電解銅箔を用いて得られることを特徴とする。ここでいう表面処理とは、粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理等の化学的密着性向上処理等をいう。このときの粗化処理の方法及び種類に関しては、特段の限定は無い。例えば、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金等の微細粒子を銅箔の表面に付着させる方法、銅箔の表面をエッチング加工して微細な凹凸形状を形成する方法等の採用が可能である。
そして、防錆処理としては、電解銅箔の表面に塗布、付着、析出させる等により防錆処理効果が得られるものであれば、どのような防錆処理を用いても構わない。例えば、有機防錆処理(ベンゾトリアゾール、イミダゾール等を用いた処理)、無機防錆処理(亜鉛、亜鉛合金、ニッケル合金等を用いた処理)の使用が可能である。この無機防錆処理の場合、本件出願の出願人等が出願した国際出願(国際公開番号WO2012/070589、国際公開番号WO2012/070591)の明細書内に記載した防錆処理を施すことも好ましい。これらに記載の防錆処理を採用した場合には、電解銅箔のときに示す高温耐熱特性を、更に向上させることが可能だからである。そして、シランカップリング剤処理等の化学的密着性向上処理に関しても、特段の限定は無く、本件出願に係る表面処理銅箔を張り合わせる基材の構成樹脂の性質や、リチウムイオン二次電池の負極活物質及びバインダーの性質に応じて、公知のシランカップリング剤の中から選択して使用すればよい。
以下、実施例と比較例とを示して、これらを対比しつつ、本件出願に係る電解銅箔の備える良好な高温耐熱特性に関して述べる。
[実施例1]
実施例1では、銅濃度が80g/L、フリー硫酸濃度が140g/L、分子量が70000のポリエチレンイミン濃度が55mg/L、塩素濃度が2.2mg/Lの硫酸酸性銅電解液を用いて、電流密度70A/dm、液温50℃の条件で電解して、15μm厚さの電解銅箔を得た。この電解銅箔の評価結果は、後の表2〜表4に比較例との対比が可能なように示す。
[実施例2〜実施例10]
実施例2〜実施例10に関しては、実施例1と硫酸酸性銅電解液の組成が異なるのみであるため、それぞれの硫酸酸性銅電解液の組成を表1の中に纏めて示す。そして、各実施例で得られた電解銅箔の評価結果は、後の表2〜表4に比較例との対比が可能なように示す。
比較例
[比較例1〜比較例7]
比較例1〜比較例7では、実施例1と同一の銅濃度とフリー硫酸濃度を採用し、表1に示す組成の硫酸酸性銅電解液を用いて、実施例1と同一の条件で電解して、15μm厚さの電解銅箔を得た。
[比較例8]
比較例8では、上述の特許文献1の実施例6に記載の硫酸酸性銅電解液を用い、電流密度40A/dm、液温50℃の条件で電解して、15μm厚さの電解銅箔を得た。
[比較例9]
比較例9では、上述の特許文献3の実施例5に記載の硫酸酸性銅電解液を用い、電流密度40A/dm、液温40℃の条件で電解して、15μm厚さの電解銅箔を得た。
[比較例10]
比較例10では、上述の特許文献6の実施例に記載の試料8を得るための硫酸酸性銅電解液を用い、電流密度60A/dm、液温50℃の条件で電解して、15μm厚さの電解銅箔を得た。
[比較例11]
比較例11では、上述の特許文献8の実施例に記載の試料1を得るための硫酸酸性銅電解液を用い、溶液温度50℃、電流密度75A/dmの条件で電解し、厚さ15μmの電解銅箔を得た。
[比較例12]
比較例12では、上述の特許文献8の実施例に記載の試料4を得るための硫酸酸性銅電解液を用い、溶液温度50℃、電流密度75A/dmの条件で電解し、厚さ15μmの電解銅箔を得た。
[比較例13]
比較例13は、三井金属鉱業株式会社製のVLP銅箔の製造に使用する厚さ15μmの電解銅箔を用いた。
[評価方法等]
電解銅箔中の微量成分含有量: 電解銅箔中のO含有量及びN含有量は、希硝酸で銅箔表面の酸化物除去を行った後、株式会社 堀場製作所のEMGA−620を用いて測定した。このとき、O含有量は「不活性ガス融解−被分散型赤外線吸収法(NDIR)」で測定し、N含有量は「不活性ガス融解−熱伝導法(TCD)」で測定した。そして、電解銅箔中のC含有量及びS含有量は、希硝酸で銅箔表面の酸化物除去を行った後、株式会社 堀場製作所のEMIA−920Vを用いて、「酸素気流中高周波加熱−赤外線吸収法」で測定した。
そして、電解銅箔中のCl含有量は、臭化銀共沈−イオンクロマト法で測定した。具体的測定方法は、以下のとおりである。電解銅箔を、硝酸で加温溶解し、硝酸銀を一定量加える。次に、KBr溶液を一定量加えて、臭化銀と一緒に塩化物イオンを共沈させる。その後、暗所で15分間静置後、沈殿物を濾別して、その沈殿物を洗浄する。その後、当該沈殿物をビーカーに入れ、チオ尿素溶液で沈殿物を溶解し、暗所にて一晩放置した。その後、この溶液を希釈、定容し、Dionex社製 ICS−2000 電気伝導度検出器、溶離液KOH、カラムAS−20)を用いて、イオンクロマト分析法で塩化物イオン濃度を測定し、Cl含有量を算出した。
引張強さ、0.2%耐力及び伸び率: 実施例及び比較例で得られた電解銅箔を、長さ10cm、幅1cmの短冊状に切り出し、これを引張強さ等測定用試料として用いた。そして、インストロン型の引張試験装置を用いて、引張強さ、0.2%耐力及び伸び率を測定した。
試料の加熱条件: 引張強さ等の測定に用いる短冊状の試料を、不活性ガス雰囲気の加熱オーブン内で、300℃×1時間、350℃×1時間、350℃×4時間の各温度で加熱し、炉内で室温近傍まで炉冷して加熱後の試料を得た。この加熱後の当該短冊状の試料を用いて、上述と同様に引張強さ、0.2%耐力及び伸び率を測定した。
[実施例と比較例との対比]
実施例と比較例との対比を行うにあたり、実施例と比較例との硫酸酸性銅電解液に含まれる添加剤の配合の対比が容易なように、表1に示す。
Figure 0006529646
この表1から分かるように、実施例に関しては、本件出願に係る電解銅箔の製造方法において適正とする硫酸酸性銅電解液が「20mg/L〜100mg/Lの濃度で分子量10000〜70000のポリエチレンイミンを含むこと」及び「塩素濃度が0.5mg/L〜2.5mg/Lであること」の2点の要件を満足している。これに対し、比較例では、本件出願に係る電解銅箔の製造方法において適正とする硫酸酸性銅電解液の添加剤要件を満たしていないか、又は、全く異なる添加剤を含んだ硫酸酸性銅電解液を用いていることが明らかである。そして、実施例及び比較例で得られた各電解銅箔に含まれる微量成分含有量を、以下の表2に示す。
Figure 0006529646
この表2から、実施例と比較例とに係る電解銅箔が含有する微量成分含有量の観点から対比してみると、以下のことが理解できる。表2から、実施例に係る全ての電解銅箔は、微量成分含有量(C含有量、N含有量、O含有量、S含有量、Cl含有量)の条件、及び微量成分構成比率の条件を満たしていることが理解できる。これに対して、比較例に係る電解銅箔は、この微量成分含有量の条件又は微量成分構成比率の条件のいずれかを満たしていないことが分かる。
また、表2の比較例1は、微量成分含有量の条件を満たさず、塩素構成比率の条件は満たしている。そして、比較例3及び比較例6を見ると、微量成分含有量の条件は満たしているが、塩素構成比率の条件を満たしていないことが分かる。これらの比較例で得られた電解銅箔は、後述するように、良好な高温耐熱特性を備えないものになっている。このことから理解できるように、電解銅箔に含まれる塩素を除く微量成分構成比率、及び、塩素構成比率の条件の双方を満たさなければ、良好な高温耐熱特性を備える電解銅箔にはならないことが分かる。
更に、窒素と硫黄と塩素との合計含有量を基準として、微量成分としての窒素及び塩素の微量成分比率に着目すると、実施例と比較例とに係る電解銅箔の差異が、より明確となることが分かる。このときの窒素の微量成分比率は{N/(N+S+Cl)}×100の値であり、塩素の微量成分比率は{Cl/(N+S+Cl)}×100の値である。実施例及び比較例で得られた各電解銅箔に含まれる窒素及び塩素の微量成分比率を、以下の表3に示す。
Figure 0006529646
この表3に示した電解銅箔中の微量成分比率から、以下のことが理解できる。最初に、{N/(N+S+Cl)}×100の値をみると、実施例は20.3質量%〜45.8質量%、比較例は6.2質量%〜27.3質量%であり、一部重複した範囲はあるものの、実施例の方が大きな値を示す傾向があると理解できる。そして、全ての実施例は、{N/(N+S+Cl)}×100≧20質量%の関係を満たしているが、比較例の場合には、この関係を満たさないものが多く見受けられる。従って、良好な高温耐熱特性を備える電解銅箔である場合には、微量成分が{N/(N+S+Cl)}×100≧20質量%の関係を満たすことが好ましいといえる。
次に、表3に示す{Cl/(N+S+Cl)}×100の値をみると、実施例は3.0質量%〜15.9質量%、比較例は7.1質量%〜86.2質量%であり、一部重複した範囲はあるものの、比較例の方が大きな値を示す傾向があると理解できる。そして、全ての実施例は、{Cl/(N+S+Cl)}×100≦20質量%の関係を満たしているが、比較例の場合は、この関係を満たさないものが多く見受けられる。ここで、塩素濃度が、本件出願において好適とする硫酸酸性銅電解液の組成範囲の下限値未満又は上限値を超えたものである比較例1、比較例2、比較例7の電解銅箔は、後述するように、良好な高温耐熱特性を備えないものになっている。従って、電解銅箔が、上述の「{Cl/(C+N+O+S+Cl)}×100の値」及び「{N/(N+S+Cl)}×100」の値を満たし、更に、「{Cl/(N+S+Cl)}×100」の値が適正な範囲にあることが、最も安定して、良好な高温耐熱特性を備える条件と理解できる。
以下、実施例に係る電解銅箔と比較例に係る電解銅箔との物理的特性に関して述べる。この物理的特性を、実施例と比較例とで対比が容易となるよう表4に示す。
Figure 0006529646
表4に示した常態引張強さ及び0.2%耐力に関して述べる。実施例に係る電解銅箔の場合、常態引張強さが610MPa〜774MPa、常態0.2%耐力が442MPa〜574MPaの値を示している。これに対し、比較例の場合、常態引張強さが395MPa〜791MPa、常態0.2%耐力が358MPa〜501MPaの値を示している。従って、実施例に係る電解銅箔は、「常態引張強さが600MPa以上」という条件を満たすことが理解できる。
次に、表4に示した300℃×1時間加熱後の引張強さ及び0.2%耐力に関して述べる。実施例に係る電解銅箔の場合、300℃×1時間加熱後の引張強さが502MPa〜613MPa、300℃×1時間加熱後の0.2%耐力が384MPa〜460MPaの値を示している。これに対し、比較例の場合、300℃×1時間加熱後の引張強さが162MPa〜538MPa、300℃×1時間加熱後の0.2%耐力が118MPa〜396MPaの値を示している。従って、300℃×1時間加熱後においても、比較例に比べ、実施例の方が高い値を示していることが分かる。例えば、比較例の中で、常態で最も高い物理的特性を示していた比較例10は、300℃×1時間加熱後の引張強さが199MPaと急激に低下し、300℃×1時間加熱後の0.2%耐力をみても179MPaと急激に低下しているため、良好な高温耐熱特性を示す電解銅箔とはいえないことが理解できる。ところが、より詳細に見ると、比較例12の場合には、「300℃×1時間加熱後の引張強さが500MPa以上」及び「300℃×1時間加熱後の0.2%耐力が380MPa以上」の実施例と同等の高温耐熱特性を示している。
しかしながら、表4に示した350℃×1時間加熱後の引張強さ及び0.2%耐力に関してみると、比較例に比べて実施例の電解銅箔の高温耐熱特性が大きく勝ることが理解できる。実施例に係る電解銅箔の場合、350℃×1時間加熱後の引張強さが473MPa〜583MPa、350℃×1時間加熱後の0.2%耐力が371MPa〜446MPaの値を示している。これに対し、比較例の場合、350℃×1時間加熱後の引張強さが71MPa〜455MPa、350℃×1時間加熱後の0.2%耐力が64MPa〜359MPaの値を示している。従って、350℃×1時間加熱後においては、引張強さ及び0.2%耐力共に、比較例に比べ、実施例の方が明らかに高い値を示していることが分かる。即ち、実施例に係る電解銅箔は、比較例と比べて、より高い温度での加熱を受けたときに、従来の電解銅箔に対する優位性が顕著となることが理解できる。300℃×1時間加熱後の引張強さ及び0.2%耐力が、実施例と同等の特性を備える比較例4、比較例5、比較例11及び比較例12をみても、350℃×1時間加熱後においては、引張強さが455MPa以下、0.2%耐力が359Pa以下にまで低下している。即ち、比較例の場合、「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」の条件を満たさないことが明らかである。
以下、更に大きな熱量を負荷したケースとして、350℃×4時間加熱後の引張強さ及び0.2%耐力に関して、簡単に述べる。この加熱試験には、実施例8と実施例10の電解銅箔を用いた。その結果、実施例8に係る電解銅箔の場合、350℃×4時間加熱後の引張強さが533MPa、350℃×4時間加熱後の0.2%耐力が416MPa、350℃×4時間加熱後の伸び率2.2%の値を示した。そして、実施例10に係る電解銅箔の場合、350℃×4時間加熱後の引張強さが520MPa、350℃×4時間加熱後の0.2%耐力が423MPa、350℃×4時間加熱後の伸び率1.7%の値を示した。これらの値は、極めて過酷な加熱を受けた後の値であることを考えると、非常に良好な値である。従って、本件出願に係る電解銅箔であれば、「350℃×4時間加熱後の引張強さが470MPa以上」、「350℃×4時間加熱後の0.2%耐力が370MPa以上」の2条件を満足することもできるようになる。
以上に述べた本件出願に係る電解銅箔は、「常態引張強さが600MPa以上」、「350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上」という物理的特性を同時に備える。従って、薄い電解銅箔であっても、シワの発生が少なく、良好なハンドリング特性を備える。そして、このような電解銅箔は、高温負荷を受けても良好な高温耐熱特性を備え、必要に応じて各種表面処理を施した表面処理銅箔として、プリント配線板、リチウムイオン二次電池等の分野において好適に使用できる。また、本件出願に係る電解銅箔の製造方法は、電解銅箔の硫酸酸性銅電解液を変更するのみであり、従来の電解銅箔の製造設備をそのまま使用できるため、新たな設備投資を不要とする点で好ましい。

Claims (4)

  1. 常態引張強さが600MPa以上774MPa以下、350℃×1時間加熱後の引張強さが470MPa以上583MPa以下、350℃×4時間加熱後の引張強さが470MPa以上533MPa以下であることを特徴とする電解銅箔。
  2. 350℃×4時間加熱後の0.2%耐力が370MPa以上423MPa以下である請求項1に記載の電解銅箔。
  3. 常態伸び率が2.5%以上である請求項1又は請求項2に記載の電解銅箔。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電解銅箔を用いて得られることを特徴とする表面処理銅箔。
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