JP6440656B2 - 電解銅箔 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばリチウムイオン二次電池負極集電体やプリント配線板等を製造するために好適な電解銅箔に関するものである。
リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ということがある。)の負極集電体や、電子通信機器に代表される各種電子機器に用いられるプリント配線板(以下、単に「配線板」ということがある。)の導体部には、銅箔が広く用いられる。特に、圧延銅箔に比べて、導電率と強度の両立がし易く、また、薄箔化も低コストにできる電解銅箔が広く用いられている。
ところで、リチウムイオン二次電池の製造時や電池の充放電においては、銅箔に種々の応力が負荷される。それにより銅箔にシワや破断などの破壊が起こり、電池のサイクル特性の低下や短絡、発火といった問題が発生することが有る。このような問題に対し、例えばリチウムイオン二次電池では、銅箔の引張強度を所定値以上とする、加熱後の引張強度を所定値以上とする、あるいは銅箔の伸びを所定値以上とする等、物理特性を向上させる方法が提案されている(特許文献1〜3)。
また、近年では、リチウムイオン二次電池の更なる高容量化、軽量化に伴い、リチウムイオン二次電池の構造も従来に比べて変化してきている。例えば、電極をより高密度に電池筐体内に収納するために銅箔にはぜ折り加工が行われることが増えている。
具体的には、円筒型電池では、最内層や最外層の電極終端部において巻きずれの防止や安全性担保のために、銅箔にセパレータや、場合によっては正極のアルミ箔を挟んで折り返す、はぜ折り加工が行われることがある。
また、角型およびラミネート型電池では、従来から180°に折り返して電極が倦回されているが(特許文献4の図4、湾曲コーナー部12に相当)、近年では高密度化のために、電極により大きな張力をかけてきつく倦回したり、倦回後にプレスして曲げ半径を小さくしたり、また、内層側はより曲げ半径の小さい範囲まで電極を倦回する等、より厳しいはぜ折り加工が行われることがある。
一方、モバイル機器に代表される各種電子機器も、近年、更なる小型化、高密度化が急速に進み、実装される部材に対しても小型、高密度な部品収納が要求されてきている。特にフレキシブルプリント基板においては、より狭い筐体内に導体部を収納するために、銅箔に対しはぜ折り加工が行われるようになってきている。
しかし、このようなはぜ折り加工には、銅箔にクラックや破断等の破壊を生じさせる問題があり、このような問題を回避するため、はぜ折り加工に対する耐久性の高い銅箔の開発が求められている。
ここで、「はぜ折り加工」とは、銅箔のある面に対して180°で折り返す、曲げ加工のことを示す。なお、このようなはぜ折り加工は、必ずしも密着曲げである必要はなく、曲げた部分の内側に他の部材を挟むものであってもよい。また、以下において、このようなはぜ折り加工に対する銅箔の耐久性を、「耐はぜ折り性」と表記する。
一般に銅箔の折り曲げ性や耐折性の評価は、JIS P 8115:2001に規定されているMIT耐折性試験や、IPC屈曲試験がよく用いられる。例えば、MIT耐折性試験は、銅箔に荷重をかけた状態で±135°の高速繰り返し曲げを行い、その曲げ回数を評価するものである。この方法では、引張強度の高い銅箔ほど、破断または電気抵抗増に至るまでの曲げ回数が多くなり、良好な耐折性を有しているものとして評価される傾向にある。また、IPC屈曲試験は、180°曲げであるが、曲げ半径が比較的大きく、銅箔の弾性変形域で曲げを付与するものである。この方法では、多くの場合は破断に至らず、ある一定以上の電気抵抗増に至るまでの曲げ回数を評価する。
一方、はぜ折り試験は、180°曲げによる試験であり、MIT耐折性試験等に比べて曲げ半径が小さく、銅箔の塑性変形域で曲げを付与するものである。そのため、耐はぜ折り性は、MIT耐折性試験やIPC屈曲試験とは、全く異なる荷重モードの測定方法であり、互いの試験結果は必ずしも対応しない。したがって、特許文献5で開示されているようなMIT耐折性試験の耐折性を高めた銅箔や、特許文献6で開示されているようなIPC屈曲試験の屈曲性を高めた銅箔であっても、十分な耐はぜ折り性を有しているとはいえない。
また、銅箔のはぜ折り試験は、180°曲げを伴う折り曲げ試験であるが、例えば厚さ50μmを超える銅条や銅板における180°曲げとは、現象が異なる。すなわち、銅箔は、その厚さが非常に薄い(例えば、4〜30μmである)ため、厚さ方向に存在する結晶粒の数が少ないことや、曲げ内側と外側における圧縮応力と引張応力の差も小さいこと等から、比較的厚い伸銅品では見られない特徴を有している。
また、耐はぜ折り性は、銅箔の伸びとも対応しない。例えば、特許文献7には、伸びが大きくとも耐はぜ折り性が悪い銅箔があるとして、結晶方位と加工硬化指数を制御することにより、引張強度と耐はぜ折り性の両立する技術が開示されている。しかし、この技術は、圧延銅箔に関するものであり、結晶方位と曲げ性の関係等、伸銅品において一般的に知られている関係を単純に電解銅箔に適用できない。すなわち、電解銅箔は、電析組織を有しているため、空孔密度、転位密度、拡散係数等の点で、圧延加工組織とは大きく異なることからである。
また、上記のような問題を解決するため、例えばプリント配線板に関する特許文献8では、金属層(銅箔)と貼り合わせられる樹脂層の弾性率と厚さを一定範囲にし、金属層の表面粗さを所定値以下とする方法が、特許文献9では、ポリイミド層の引張弾性率と厚さ、並びに銅箔の引張弾性率、厚さおよび平均結晶粒径を一定の範囲にする方法が、特許文献10では、ポリイミド層の両面に銅箔を貼り合わせた際の、それぞれの銅箔の厚さ、平均結晶粒径および結晶方位を所定の範囲に制御する方法がそれぞれ提案されている。しかし、これらの対策は、樹脂側の特性や銅張積層板としての構造の寄与が大きく、特に銅箔側の特性の検討が未だ十分になされておらず、銅箔側の特性向上が望まれていた。銅箔側の特性のみで、耐はぜ折り性を改善できれば、樹脂選定や基板設計の自由度が高まるため、より信号伝達性能の高い樹脂の使用や、より効率的な基板設計などが可能となり、フレキシブルプリント基板としての更なる性能向上が期待できるためである。
一方で、銅箔で、耐はぜ折り性を向上させる手法として、銅箔の引張強度を低くすることが有効であることは一般に知られていたが、引張強度はむやみに低下させることはできなかった。すなわち、リチウムイオン二次電池では、上述のように、耐はぜ折り性以外の面で、銅箔の引張強度や、加熱後の引張強度は一定以上とすることが望まれており、また、フレキシブル基板では、銅箔の引張強度が低いと、薄箔化が進むフレキシブルプリント基板の製造時において、通板時や樹脂をキャストする工程でのハンドリング性が悪くなるためである。
このように、銅箔の耐はぜ折り性の向上と引張強度の向上とは相反する要求であることから、従来の銅箔では、高い引張強度を有しつつ、加熱後においても引張強度を高く維持すると共に良好な耐はぜ折り性を実現することは困難であった。
特許第5588607号公報 特許第5074611号公報 特許第4583149号公報 特許第4863636号公報 特許第5301886号公報 特許第5373970号公報 国際公開第2012/128099号パンフレット 特開2012―006200号公報 特開2014−080021号公報 特開2015−127120号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い引張強度を有しつつ、加熱後においても引張強度を高く維持すると共に良好な耐はぜ折り性を実現し得る電解銅箔を提供することを目的とする。
本発明者らは、銅箔中に含まれる微量成分と、耐はぜ折り性および引張強度との関係について鋭意研究を重ねた結果、銅箔中の硫黄(S)または窒素(N)は、引張強度の向上効果は大きいが、その含有量の増加に伴うはぜ折り性の低下が著しく、一方、銅箔中の炭素(C)および塩素(Cl)は、引張強度の向上効果はそれほど大きくはないが、その含有量が増しても耐はぜ折り性を著しく低下させることはなく、硫黄(S)または窒素(N)に比べて、耐はぜ折り性の低下の度合いが緩やかであることを見出し、かかる知見に基づき、銅箔中に含まれる微量成分である炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)および塩素(Cl)の含有量を、それぞれ所定の範囲に制御することによって、特に優れた耐はぜ折り性および高い引張強度を両立することに成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 炭素(C)の含有量が20〜150質量ppm、硫黄(S)の含有量が18質量ppm以下、窒素(N)の含有量が40質量ppm以下および塩素(Cl)の含有量が25〜200質量ppmであることを特徴とする、電解銅箔。
[2] 前記塩素(Cl)の含有量に対する前記炭素(C)の含有量の比[Cの含有量/Clの含有量]が0.70〜1.40の範囲内である、上記[1]に記載の電解銅箔。
[3] 常態で測定した引張強度が380〜600MPaの範囲内である、上記[1]または[2]に記載の電解銅箔。
[4] 300℃、1時間の加熱後の状態で測定した引張強度が300〜550MPaの範囲内である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の電解銅箔。
[5] 導電率が85%IACS以上である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の電解銅箔。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の電解銅箔を負極集電体として有する、リチウムイオン二次電池。
[7] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の電解銅箔を導体部として有する、プリント配線板。
本発明によれば、高い引張強度を有しつつ、加熱後においても引張強度を高く維持すると共に良好な耐はぜ折り性を実現し得る電解銅箔を提供することができる。本発明の電解銅箔は、例えばリチウムイオン二次電池負極集電体を製造する場合に好適に用いられ、電池の容量、サイクル特性および安全性を向上できる電解銅箔である。また、例えばプリント配線板を製造する場合にも好適に用いられ、配線板製造時のハンドリング性、フレキシブルプリント基板のはぜ折り加工時の耐久性を向上できる電解銅箔である。
図1は、実施例において、はぜ折り試験を行った際の様子を模式的に示す、断面概略図である。
以下、本発明の電解銅箔の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
本発明に従う電解銅箔は、炭素(C)の含有量が20〜150質量ppm、硫黄(S)の含有量が18質量ppm以下、窒素(N)の含有量が40質量ppm以下および塩素(Cl)の含有量が25〜200質量ppmであることを特徴とする。
なお、本明細書において、電解銅箔は、電解処理によって作製された銅箔を指し、製箔後に表面処理を施していない未処理の銅箔と、必要に応じて表面処理を施した銅箔(表面処理電解銅箔)のいずれをも含む意味である。また、電解銅箔の箔厚は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは4〜15μmである。なお、以下において、特記しない限り、「銅箔」は「電解銅箔」を意味する。また、質量ppmは質量分率であり、mg/kgを指す。
<成分組成>
本発明の電解銅箔の成分組成とその作用について示す。
本発明の電解銅箔では、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)および塩素(Cl)の含有量が、全て以下に示す所定の範囲に制御されている。
[S含有量:18質量ppm以下]および[N含有量:40質量ppm以下]
SおよびNは、引張強度を向上させる作用を有する元素であるが、一方で、これらの元素は銅箔の粒界を脆くする傾向にあり、これにより耐はぜ折り性が著しく低下する。
S含有量は18質量ppmを超えると、耐はぜ折り性が極端に悪化する。そのため、S含有量は18質量ppm以下とし、好ましくは、13質量ppm以下とする。また、S含有量は、少ないほど好ましく、下限値は0質量ppmであるが、実用性の観点からは1質量ppm以上としてもよい。
N含有量は40質量ppmを超えると、耐はぜ折り性が極端に悪化する。そのため、N含有量は40質量ppm以下とし、好ましくは、30質量ppm以下とする。また、N含有量は、少ないほど好ましく、下限値は0質量ppmである、実用性の観点からは1質量ppm以上としてもよい。
[C含有量:20〜150質量ppm]および[Cl含有量:25〜200質量ppm]
CおよびClは、引張強度を向上させる作用を有する元素であるが、上記SやNの場合とは異なり、銅箔の粒界を脆くする作用は小さく、耐はぜ折り性を著しく低下させることはない。
C含有量は20質量ppm未満であると、引張強度を向上させる効果が十分に発揮されず、150質量ppmを超えると、耐はぜ折り性が低下する傾向にある。そのため、引張強度と耐はぜ折り性とを両立する観点から、C含有量は20〜150質量ppmとし、好ましくは30〜140質量ppm、より好ましくは60〜140質量ppmとする。
Cl含有量は25質量ppm未満であると、引張強度を向上させる効果が十分に発揮されず、200質量ppmを超えると、耐はぜ折り性が低下する傾向にある。そのため、引張強度と耐はぜ折り性とを両立する観点から、Cl含有量は25〜200質量ppmとし、好ましくは30〜180質量ppm、より好ましくは50〜150質量ppmとする。
また、Clの含有量に対するCの含有量の比[Cの含有量/Clの含有量]は、0.70〜1.40の範囲内であることが好ましく、上記範囲とすることにより銅箔の耐はぜ折り性の向上効果をさらに高めることができる。有機添加剤を銅箔に効果的に吸着させる際にはClが必要であることが知られている。その仕組みは必ずしも明らかではないが、Cu−有機添加剤の錯体が、銅基材表面に特異吸着しているClに静電的に吸着し、その結果、Clを介してCu−有機添加剤の錯体が銅基材上に吸着されると言われている。そして、銅基材上に間接的に吸着したCuがCu原子に還元され、銅基材上に析出する際に、共に吸着していた有機添加剤(C)およびClも、同時に銅箔に取り込まれると考えられる。そのためCとClの存在比のバランスが崩れると、銅箔中でのCとClの存在状態が変化し、銅箔の耐はぜ折り性の向上効果が十分に得られないと考えられる。
[その他の微量成分]
本発明の電解銅箔は、本発明の効果を妨げない範囲で、上述した成分以外に、各種添加剤に由来する成分および不可避不純物を含んでもよい。
なお、ここでいう各種添加剤に由来する成分は、電解銅箔の製造時に用いられる有機添加剤や無機添加剤に由来する成分のうち、上述した成分以外の成分を意味する。このような各種添加剤に由来する成分の含有量の上限は、好ましくは100質量ppm以下である。
また、ここでいう不可避不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、鉄(Fe)、酸素(O)等が挙げられる。また、不可避不純物の含有量の上限は、好ましくは100質量ppm以下である。なお、不可避不純物の成分と含有量によっては、銅箔の特性を低下させる要因にもなりうるため、その含有量はさらに抑制することが好ましい。
<電解銅箔の製造方法>
次に、本発明の電解銅箔(または表面処理電解銅箔)の好ましい製造方法について説明する。
本発明の電解銅箔は、例えば、硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金族元素又はその酸化物元素で被覆したチタンからなる不溶性陽極と、該陽極に対向させて設けられたチタン製陰極ドラムとの間に該電解液を供給し、陰極ドラムを一定速度で回転させながら、両極間に直流電流を通電することにより陰極ドラム表面上に銅を析出させ、析出した銅を陰極ドラム表面から引き剥がし、連続的に巻き取る方法により製造される。なお、この装置の例は一例である。
特に、本発明の電解銅箔は、製箔された銅箔中にSやNを極力持ち込まない条件にて製造することで、銅箔中の硫黄(S)の含有量が18質量ppm以下であり、かつ窒素(N)の含有量が40質量ppm以下である状態を実現できる。
通常、銅箔の高強度化、高耐熱化のために、電解液中に添加剤を添加することが一般的である。このような添加剤としては、有機添加剤や無機添加剤が挙げられ、特に有機添加剤が好適に用いられている。このような一般的に用いられる有機添加剤には、その分子構造中にSやNを含むものが多い。SやNを分子構造中に含む有機添加剤は、銅箔への吸着性が強いために、銅箔中に非常によく取り込まれる。これはSおよびNが持つ非共有電子対に起因すると考えられている。
そのため、上記のように銅箔中のSおよびNの含有量を所定の範囲に制御した銅箔を得る観点からは、分子構造中にSおよびNを含まない有機添加剤を用いることが好ましい。このような有機添加剤を用いることにより、有機添加剤に由来するSおよびNが、銅箔中に取り込まれることを有効に防止することができる。
分子構造中にSおよびNを含まない有機添加剤としては、例えば、ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)や、水溶性多糖類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)等が挙げられる。特に、電解銅箔の量産性を考慮すると、単分子の化合物よりも、電解液中での安定性が高い傾向にある、高分子化合物の方が望ましい。
なお、上記のように銅箔中のSおよびNの含有量を所定の範囲に制御した銅箔を得る観点からは、分子構造中にSおよびNを含まない無機添加剤を用いる方法も考えられるが、無機添加剤を用いる場合には、電解液中で無機添加剤が沈殿することがあり量産性を悪化させる他、導電率も低下し、また耐はぜ折り性も良好に保てない。そのため、添加剤としては、上記のような有機添加剤を用いることが好ましい。
さらに、上記のように分子構造中にSおよびNを含まない有機添加剤を用いることにより、得られる銅箔中のSおよびNの含有量を上記範囲に制御できるが、さらに、銅箔中のSおよびNの含有量を低減する観点からは、例えば、高純度な試薬、活性炭種類の選定や、銅原料を投入前に酸洗いするなど、電解液中のSおよびN濃度を可能な限り低減する手法を用いることが好ましい。
電解液の調製に用いられる硫酸および硫酸銅の試薬や、添加剤の試薬には、不純物としてSやNが含まれる場合がある。また、銅原料や活性炭(電解銅箔の製造時に行う活性炭処理で用いられる)の付着物または不純物にも、SやNを含むものがある。これらのうち、反応性、吸着性の高い化合物は、適宜、活性炭処理による除去や、電解反応による分解を受けるため、電解液中で濃化していくことは考え難いが、比較的反応性の低い化合物は、電解液中に緩慢に蓄積されていくことも考えられる。そのため、意図して添加する有機添加剤に由来するSおよびNと比較して、影響度は小さいと考えられるが、試薬や活性炭等に由来するSおよびNについても、可能な限り除去しておくことが望ましい。
なお、これらの処理を行っても、SやNを含む不純物を電解液中から完全に取り除くことは困難で、電解液中のSやNの濃度をゼロに保つにあたっては作業負担が大きくなる。したがって、実際の製造を考慮した場合には、実用性の観点から、銅箔中のSおよびNの含有量は、それぞれ1質量ppm以上としてもよい。すなわち、Sの含有量が18質量ppm以下、Nの含有量が40質量ppm以下であれば、はぜ折り性を大きく阻害することは無い。
また、本発明の電解銅箔は、製箔された銅箔中にCおよびClを適量含有させる条件にて製造することで、銅箔中の炭素(C)の含有量が20〜150質量ppmの範囲内であり、かつ塩素(Cl)の含有量が25〜200質量ppmの範囲内である状態を実現できる。
一般に、銅箔の高強度化、高耐熱化のためには、有機添加剤が銅箔に多く取り込まれる(例えばC含有量が多い)ことが望ましい。しかし、SおよびNを含まない有機添加剤は、SまたはNを含む有機添加剤に比較して、銅への吸着性が低いため、銅箔中へ取り込まれる量が少なくなる傾向にある。そのため、SおよびNを含まない有機添加剤を用いて、銅箔を高強度化、高耐熱化できる程度に、銅箔中のCおよびClの含有量を高めるためには、例えば電解液中の塩化物イオン(Cl)濃度を調整することが有効である。電解液中の塩化物イオンは、有機添加剤と相互作用して、有機添加剤を銅箔中に取り込まれ易くすることが知られているためである。一方で、銅箔中に取り込まれるCおよびCl量が多くなりすぎると、耐はぜ折り性が悪化する傾向がある。
そのため、上記のように、銅箔中のCおよびClの含有量を所定の範囲に制御した銅箔を得る観点からは、電解液中の塩化物イオンの濃度を制御することが好ましい。具体的には、電解液中における塩化物イオン濃度は150〜250mg/Lとすることが好ましく、150〜200mg/Lとすることがより好ましい。上記範囲とすることにより、銅箔中のCおよびClの含有量を効率よく制御できる。一方、塩化物イオンが150mg/L未満である場合、銅箔中に含まれるCおよびCl量が小さくなり、高強度、高耐熱の効果が得られ難い。また、塩化物イオンが250mg/Lを超える場合、銅箔中に取り込まれるCおよびCl量が多くなり、耐はぜ折り性が悪化する。
また、銅箔中の[Cの含有量/Clの含有量]は、基本的には、電解液中の有機添加剤濃度と塩化物イオン濃度の比によって管理できるが、好適な濃度比の範囲は有機添加剤種類など、他の影響によって適宜調整することができる。
以下に、電解銅箔製造用電解液の好ましい組成の一例を挙げる。
銅濃度 50〜100g/L
硫酸濃度 40〜120g/L
有機添加剤 0.1〜100mg/L
塩化物イオン 150〜250mg/L
以上のように、製箔された銅箔中にSやNを極力取り込まない条件、およびCやClを適量取り込める条件にて製造することが肝要であるが、そのためには、有機添加剤が意図した状態で取り込まれるように、電解条件を適宜制御することが好ましく、効果的である。
通常、銅箔の製造には、サイリスタ式直流電源が用いられるのが一般的である。原理上、サイリスタ式直流電源は、出力電圧が50または60Hzで振動(リップル)している。例えば、リップル率10%のサイリスタ式直流電源の場合、秒間100回または120回で、最大高低差10%の電圧振動が発生することになる。
このようなリップルは、有機添加剤の吸着や取り込まれの挙動、および銅の析出挙動など、電位応答する反応に対して、非常に大きな影響を及ぼすことが知られているが、その詳細な調査、解明は極めて難しく、一般的にはリップルの影響を考慮した銅箔の製造は行われていないのが現状である。その結果、リップルの影響により、有機添加剤が効率的に取り込まれなかったり、粒界に異常偏析を引き起こしたり、あるいは、有機添加剤によっては、逆に過剰に取り込まれてしまう場合がある。
そのため、本発明の電解銅箔の製造においては、外乱の少ない状況下で、有機添加剤本来の吸着挙動が表れるよう、電解条件を調整することが好ましい。具体的には、上記のような電源電圧によるリップルを極力生じない電解条件で、電解銅箔を製造することが望ましく、例えば、インバータ式直流電源を用いて製造することが好ましい。
インバータ式直流電源は、原理上、より高周波領域で制御されるため、実質的にはリップルの影響が無いとみなせる。したがって、インバータ式直流電源を用いることにより、有機添加剤に対して、外乱の少ない状況を容易に調整できる。
また、サイリスタ式直流電源を用いた場合も、可能な限りリップルの少ない条件で電解を行うことや、リップルに影響を受けにくい添加剤や電解条件を選定することで、リップルの影響が少ない電解条件とすることができる。
本発明では、上述のように製箔された銅箔中にSやNが極力取り込まれないよう、SおよびNを含まない有機添加剤を用いることが推奨されるが、このような有機添加剤は、比較的銅への吸着性が弱い。そのため、上記のようなリップルの影響下では、有機添加剤が銅箔中により取り込まれにくくなるため、銅箔の高強度化、高耐熱化の観点から望ましくない。しかし、上記のように、リップルが極力生じないような方法で電解を行うことで、SおよびNを含まない有機添加剤を用いた場合であっても、有機添加剤が効率的に銅箔中へ取り込まれ、また比較的均一な組織が得られる。
その他、電解液の液温は40〜60℃とすることが好ましく、カソード電極面での平均電流密度は45〜60A/dmとすることが好ましい。
また、本発明の電解銅箔は、必要に応じて、その表面の少なくとも一方に、表面処理を行うことが好ましい。
銅箔の表面処理としては、例えば、クロメート処理、あるいはNi又はNi合金めっき、Co又はCo合金めっき、Zn又はZn合金めっき、Sn又はSn合金めっき、上記各種めっき層上にさらにクロメート処理を施したもの等の無機防錆処理、あるいは、ベンゾトリアゾール等の有機防錆処理、シランカップリング剤処理等が挙げられる。これらの表面処理は、防錆に加えて、例えばリチウムイオン二次電池の負極集電体として用いる場合には活物質との密着強度を高め、さらに電池の充放電サイクル効率の低下を防ぐ役割を果たす。これらの防錆処理は一般的に銅箔厚さに対してごく薄い厚さで処理される。そのため、耐はぜ折り性や引張強度には影響がほぼ無い。
上記の表面処理を銅箔に施す前に、必要に応じて銅箔表面に粗化処理を行うことも可能である。粗化処理としては、例えば、めっき法、エッチング法等が好適に採用できる。これらの粗化処理は、プリント配線板の導体部として用いた場合の配線板樹脂との密着性や、リチウムイオン二次電池の負極集電体として用いた場合の活物質との密着性等を、さらに向上させる役割を果たす。
めっき法による粗化としては、電解めっき法及び無電解めっき法を採用することができる。Cu、CoおよびNiのうち1種の金属からなる金属めっき、またはこれらのうち2種類以上の金属を含む合金めっきにより、粗化粒子を形成することができる。
また、エッチング法による粗化としては、例えば、物理エッチングや化学エッチングによる方法が好ましい。例えば、物理エッチングとしては、サンドブラスト等でエッチングする方法が挙げられる。また、化学エッチングとしては、処理液等でエッチングする方法が挙げられる。特に化学エッチングの場合には、処理液として、無機または有機酸と、酸化剤と、添加剤とを含有する、公知の処理液を用いることができる。
<電解銅箔の特性>
本発明に係る電解銅箔は、常態において、引張強度が380MPa以上であることが好ましく、より好ましくは380〜600MPa、更に好ましくは400〜600MPaの範囲内である。上記範囲とすることにより、電池や配線板の製造時におけるハンドリング性および耐久性が更に向上する。なお、本明細書において「常態」とは、銅箔が、製造されたままの未加熱の状態にある他、60℃以下の熱履歴を経た状態にある場合も含む意味である。
また、本発明に係る電解銅箔は、300℃、1時間の加熱後の状態において、引張強度が300MPa以上であることが好ましく、より好ましくは300〜550MPa、更に好ましくは350〜550MPaの範囲内である。上記範囲とすることにより、電池や配線板の製造時におけるハンドリング性および耐久性が更に向上する。
なお、上記引張強度は、IPC−TM−650に準拠して測定した値とする。
また、本発明に係る電解銅箔は、導電率が85%IACS以上であることが好ましく、より好ましくは90%IACS以上である。一般に電解銅箔の高強度化は導電率を下げる傾向にあるが、本発明の電解銅箔では、CおよびClを多く取り込ませて高強度化を図ることにより、導電率の低下を小さくできる。本発明の電解銅箔は、導電部材として用いられるため、導電率は高い方が望ましい。なお上記導電率は、JIS H 0505:1975に準拠して測定した値とする。
本発明に係る電解銅箔は、リチウムイオン二次電池の負極集電体およびプリント配線板の導体部の少なくとも一方を製造するために用いられることが好ましい。特に、リチウムイオン二次電池の負極集電体として用いた場合には、高強度、高耐熱であるために電池製造時、および充放電時の耐久性に優れ、耐はぜ折り性に優れるためにより高密度な電極収納が可能になる、という利点がある。また、プリント配線板の導体部として用いた場合には、高強度、高耐熱であるためにプリント配線板製造時のハンドリング性に優れ、耐はぜ折り性に優れるためにより高密度な実装が可能になるという利点がある。また、本発明に係る電解銅箔は、より好ましくは、リチウムイオン二次電池の負極集電体およびプリント配線板の導体部の両方に用いることができ、こうした汎用性の高い銅箔は、銅箔の製造上、製造条件の切り替えや別の製造ラインを必要としないため、非常に経済的であるという利点もある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
白金族元素又はその酸化物元素で被覆したチタンからなる不溶性アノードと該アノードに対向させて設けられたチタン製カソードドラムとの間に電解液を供給し、カソードドラムを一定速度で回転させながら、両極間に直流電流を通電することによりカソードドラム表面上に銅を析出させることで、厚さ8μmの未処理銅箔を作製した。
電解液は、銅濃度が80g/L、硫酸濃度が80g/Lに調整された硫酸-硫酸銅系電解液を用いた。また、該電解液において、添加剤およびその濃度、並びに塩化物イオン(Cl)濃度は表1に示すように調整し、整流器としては表1に示す直流電源を用い、電解液の温度は50℃、電流密度は40A/dm、液流速は1.0m/sにそれぞれ調整した。
さらに、上記の条件で作製した未処理銅箔について、製箔直後にクロメート処理を行った。具体的には、45℃の7g/L無水クロム酸水溶液に、上記未処理銅箔を5秒間浸漬した後に、液切りおよび空気乾燥を行った。
(実施例2、3および参考例6
実施例2、3および参考例6では、添加剤および塩化物イオンの条件、並びに整流器として用いる直流電源の条件のいずれか1つ以上を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の方法で銅箔を作製した。
参考例4および
参考例4およびでは、添加剤および塩化物イオンの条件を表1に示すように変化させると共に、さらに以下に示す条件の粗化処理を施した以外は、実施例1と同様の方法で銅箔を作製した。粗化処理は、銅濃度を30g/L、硫酸濃度を180g/L、浴温を25℃、電流密度を40A/dm、処理時間を4秒として行った。
(比較例1〜9)
比較例1〜9では、添加剤および塩化物イオンの条件、並びに整流器として用いる直流電源のいずれか1つ以上を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の方法で銅箔を作製した。
(比較例10)
比較例10では、銅濃度が80g/L、硫酸濃度が140g/Lに調整された硫酸-硫酸銅系電解液を用い、電解液において、添加剤およびその濃度、並びに塩化物イオン濃度は表1に示すように調整し、整流器としては表1に示す直流電源を用い、電解液の温度は50℃、電流密度は52A/dm、液流速は0.4m/sにそれぞれ調整して未処理銅箔を作製した以外は、実施例1と同様の方法で銅箔を作製した。なお、本比較例は、特許文献5に記載の実施例1に対応するものである。
(比較例11)
比較例11では、整流器として用いる直流電源を表1に示すように変更した以外は、比較例10と同様の方法で銅箔を作製した。
(比較例12)
比較例12では、銅濃度が70g/L、硫酸濃度が100g/Lに調整された硫酸-硫酸銅系電解液を用い、電解液において、添加剤およびその濃度、並びに塩化物イオン濃度は表1に示すように調整し、整流器としては表1に示す直流電源を用い、電解液の温度は40℃、電流密度は50A/dm、液流速は0.4m/sにそれぞれ調整して未処理銅箔を作製した以外は、実施例1と同様の方法で銅箔を作製した。なお、本比較例は、特許第4796351号に記載の実施例5に対応するものである。
(比較例13)
比較例13は、整流器として用いる直流電源を表1に示すように変更した以外は、比較例12と同様の方法で銅箔を作製した。
なお、表1に記載された添加剤の種類のうち、「HEC1」は重量平均分子量が約30000のヒドロキシエチルセルロース、「HEC2」は重量平均分子量が約24500の加水分解ヒドロキシエチルセルロース、「PPG」は重量平均分子量が約6000のポリプロピレングリコール、「2M5S」は2−メルカプトベンズイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム、「PEI」は重量平均分子量が約30000のポリエチレンイミン、「混合剤」はジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体と、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドのNa塩と、N,N‘−ジエチルチオ尿素とを重量比70:60:1で混合した混合添加剤を用いたことをそれぞれ意味している。
また、表1に記載された直流電源のうち、「インバータ」はインバータ式直流電源(20kHzの高周波インバータを搭載した電源)、「サイリスタ」はサイリスタ式直流電源(リップル率10%の電源)をそれぞれ用いたことを意味している。
[評価]
上記実施例および比較例に係る電解銅箔を用いて、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りである。結果を表1に示す。
[1]C含有量およびS含有量の分析
炭素・硫黄分析装置(EMIA−810W、株式会社堀場製作所製)を用いて、酸素気流中燃焼(管状電気炉方式)―赤外線吸収法で測定を行った。0.5gのサンプルを燃焼させ、不純物量の分析を行った。銅箔は表面が汚染されないよう十分に注意して取扱い、必要に応じてアセトン脱脂等の前処理を行った。
[2]N含有量の分析
酸素・窒素・水素分析装置(EMGA−930、株式会社堀場製作所製)を用いて、不活性ガス融解―熱伝導度法(TCD)で測定を行った。0.5gのサンプルを燃焼させ、不純物量の分析を行った。銅箔は表面が汚染されないよう十分に注意して取扱い、必要に応じてアセトン脱脂等の前処理を行った。
[3]Cl含有量の分析
一定重量の銅箔を一定体積の酸(硫酸1mol/L、35質量%の過酸化水素溶液20ml/Lの混合溶液)で溶解し、その溶液に対して硝酸銀水溶液(0.01mol/L)を基準溶液とし、自動滴定装置COM−1600(平沼産業株式会社製)を用いて電位差滴定を行い、銅箔中のCl含有量を測定した。
[4]引張試験
引張試験は、IPC−TM−650の規定に従って行った。また、測定は、引張試験機(1122型、インストロン社製)を使用し、室温(25℃±10℃)で、チャック間距離70mmの条件で行った。なお、測定用サンプルは、それぞれの銅箔について、常態で0.5inch×6inchのサイズに切断したものと、イナートガスオーブン(INH−21CD−S、光洋サーモシステム株式会社製)で、300℃、1時間加熱した後に0.5inch×6inchのサイズに切断したものの2種類を準備した。
本実施例では、常態における引張強度は380MPa以上を合格レベルとし、上記加熱後の状態における引張強度は300MPa以上を合格レベルとした。
[5]導電率
導電率は、JIS H 0505:1975の規定に従い、4端子法で測定を行った。
本実施例では、導電率が85%IACS以上を良好と評価した。
[6]MIT耐折性試験
MIT耐折性試験は、JIS P 8115:2001の規定に従い、室温(25℃±10℃)で、屈曲半径Rが0.08mm、屈曲角度が±135°、屈曲速度が175回/分、負荷荷重が500gの条件で行った。なお、測定用サンプルは、上記銅箔を、イナートガスオーブン(同上)で、300℃、1時間加熱して、この加熱後の銅箔を長さ130mm×幅15mmのサイズに切断して作製したものを用いた。
本試験では、測定用サンプルが切断されるまでの屈曲回数をカウントし、サンプルが切断されたときの屈曲回数を評価した。
本実施例では、屈曲回数が800回以上を良好と評価した。
[7]はぜ折り試験
はぜ折り試験は、以下の<S1>〜<S5>の手順に従い、室温(25℃±10℃)で行った。なお、図1の<S1>〜<S4>は、下記<S1>〜<S4>に対応する。
<S1> まず、上記銅箔を、イナートガスオーブン(同上)で、300℃、1時間加熱して、この加熱後の銅箔を0.5inch×6inchのサイズに切断して、測定用サンプルを作製した。
次に、曲げ半径が0.2mmとなるスペーサーとして、厚さ100μmのポリイミドフィルムを用い、図1に示すように、スペーサー20上に測定用サンプル10を載せて、その長手側両端部を該スペーサー20に固定し、スペーサー20と銅箔10の積層体を作製した。
<S2> 次に、図1に示すように、スペーサー20を内側にして、スペーサー20と銅箔10の積層体を180°に折り曲げ、ゴム製ローラー(直径95mm×幅45mm、重量2kg、ゴム硬度80Hs、太佑機材株式会社製)30を用いて荷重をかけた。
<S3> その後、図1に示す銅箔の折り曲げ部近傍(点線領域X)において、光学式マイクロスコープ(VHX−1000、株式会社キーエンス製)を用いて破断(ひび割れ)の有無を観察した。
<S4> そして、<S3>で破断がなかったものについては、折り曲げ後の積層体を図1のように再度開き、上記ローラー30を用いて平らに伸ばした。
<S5> その後、上記<S3>で破断が観察されるまで<S2>〜<S4>の工程を繰り返し、その繰り返し回数をカウントし、破断が観察されたときの観察回数を評価した。
本実施例では、観察回数が40回以上を合格レベルと評価し、50回以上をさらに良好と評価した。
Figure 0006440656
表1に示されるように、本発明の実施例1〜に係る電解銅箔は、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)および塩素(Cl)の含有量が所定の範囲内に制御されているため、加熱の前後においてそれぞれ高い引張強度を有し、耐はぜ折り性にも優れていることが確認された。
これに対し、比較例1〜13に係る電解銅箔は、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)および塩素(Cl)の含有量のいずれか1つ以上が所定の範囲内に制御されていないため、実施例1〜9に係る電解銅箔に比べて、加熱前後の引張強度および耐はぜ折り性のいずれか1つ以上の特性が劣っていることが確認された。特に、比較例2〜4、10および11に係る電解銅箔は、従来一般的であるMIT耐折性試験においては優れた耐折曲性を発揮できるものの、より厳しい折り曲げ試験であるはぜ折り試験では十分な耐折曲性を発揮できないことが確認された。
このように本発明に係る電解銅箔は、高い引張強度を有しつつ、加熱後においても引張強度を高く維持すると共に良好な耐はぜ折り性を実現できるため、リチウムイオン二次電池負極集電体や配線板を製造するための電解銅箔として、好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 炭素(C)の含有量が22〜37質量ppm、硫黄(S)の含有量が4質量ppm以下、窒素(N)の含有量が質量ppm以下および塩素(Cl)の含有量が28〜43質量ppmであることを特徴とする、電解銅箔。
  2. 前記塩素(Cl)の含有量に対する前記炭素(C)の含有量の比[Cの含有量/Clの含有量]が0.70〜1.40の範囲内である、請求項1に記載の電解銅箔。
  3. 常態で測定した引張強度が384〜425MPaの範囲内である、請求項1または2に記載の電解銅箔。
  4. 300℃、1時間の加熱後の状態で測定した引張強度が303〜368MPaの範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  5. 導電率が96%IACS以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  6. リチウムイオン二次電池の負極集電体を製造するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  7. プリント配線板の導体部を製造するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解銅箔。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解銅箔を負極集電体として有する、リチウムイオン二次電池。
  9. 請求項1〜5および7のいずれか1項に記載の電解銅箔を導体部として有する、プリント配線板。
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