JP2013095972A - 電解銅箔、該電解銅箔を使用した配線板及び電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】300μm四方の範囲で、粒径2μm以下の結晶粒個数が20000個以上であり、且つ粒径10μm以上の結晶粒個数が10個未満であり、且つ常態での抗張力が300MPa以上400MPa未満である電解銅箔とする。
この電解銅箔は配線板用、電池用に最適な電解銅箔である。
【選択図】図1
Description
配線板用銅箔や電池用銅箔として使用する圧延銅箔は、その製造工程で負荷される熱履歴における結晶成長を抑制するために金属等の添加物を必須成分として添加する。このため銅箔本来の導電性を低下させる原因となり、また、製造コストも電解銅箔より劣る不具合がある。そのため、配線板用銅箔や電池用銅箔としては生産性が高く薄層化が容易な電解銅箔が広く用いられる傾向にある。
なお、両面光沢性電解銅箔は、有機添加剤を含まない電解液を用いても製箔可能であるが、光沢性を維持するためには塩素等の微量な不純物の除去が求められるので、電解液の維持管理が非常に困難である。
両面光沢性電解銅箔は、配線板用途においては耐折性や、ファインピッチ性、及びフィルムの透過性の目的で必要であり、電池用途においては耐折性や、活物質の両面への均一塗布の目的で必要である。
また、上記銅箔は銅箔中の不純物を多く含むため、導電性の低下もおこり、配線板用銅箔や電池用銅箔としては不適当なものとなる不具合もある。
なお、上記はドラム状のカソード2を採用した製箔装置につき説明したがカソードを板状とする製箔装置で銅箔を製造することもある。
硫酸銅めっき液の硫酸濃度は20〜150g/L、特に30〜120g/Lが好ましい。
硫酸濃度が20g/L未満となると電流が流れにくくなるので現実的な操業が困難となり、さらにめっきの均一性、電着性も悪くなる。硫酸濃度が150g/Lを超えると銅の溶解度が下がるので十分な銅濃度が得られなくなり現実的な操業が困難となる。また、設備の腐食も促進される。
硫酸銅めっき浴に添加する有機添加物は、一般的にブライトナー又は促進剤と定義されるメルカプト基を持つ有機化合物と、同じくレベラー又は平滑剤と定義されるカソード表面への吸着力の強化を目的とした窒素官能基を持つ有機化合物、同じくポリマー又は抑制剤と定義される高分子界面活性剤から構成される。ブライトナーと、レベラー及びポリマーの両方の3種構成、もしくはレベラー又はポリマーどちらか片方のみの2種構成で使用される。
有機添加物と塩素はM面の平滑性やカール防止、銅の異常析出の有無等を考慮して、バランスの取れた濃度条件に便宜調整して使用する。
電解銅箔のS面の表面粗さRzを0.1μm未満とすることは、カソード表面粗さRzを0.1μm未満とすることであり、現在の研磨技術などを考えるとそこまで平滑に仕上げることは難しく、また量産製造するには不向きであると考えられる。
また、S面の粗さRzを3.0μm以上とすると、ファインパターン性、フィルム透過性が落ちることとなり、折り曲げ時や熱膨張・収縮時の破断点も入り易くなるので、本発明が求める特性が得られなくなる。
また、M面の粗さRzを3.0μm以上とすると、上記のS面と同様の理由にて本発明が求める特性が得られなくなる。
S面及びM面の粗さRzを2.5μm未満とすることがより好適である。
なお、「製箔直後」とは、製箔(めっき)が完了してから60分以内、特に15分以内が好ましい。60分を超えると、加熱処理を行っても本発明の効果が得られ難くなる。加熱処理は75℃以上150℃以下且つ5分以上15分以下であることが好ましい。75℃未満であると本発明の効果が得にくくなり、150℃を超える処理は不必要でありコスト面からみて現実的ではない。同じく、5分未満であると本発明の効果が得にくくなり、15分を超える処理は不必要でありコスト面からみて現実的ではない。
製箔直後の加熱処理は、製箔工程から製箔された銅箔を巻き取る工程までの製箔ラインで施してもよく、製箔後一旦巻取り、その後巻き取った銅箔を熱処理工程に移し、加熱処理を施してもよい。
実施例1〜8、比較例1〜8
電解液組成等の製造条件を表1に示す。表1に示す組成の硫酸銅めっき液を活性炭フィルターに通して清浄処理し、同じく表1に示す添加剤を添加し所定の濃度とした後、表1に示す電流密度で図1に示す回転ドラム式製箔装置により電解製箔し、厚さ12μmの電解銅箔を製造した。
なお、実施例1、7、8と比較例1〜3が同一製箔条件であり、同じように実施例2と比較例4、実施例3と比較例5、実施例4と比較例6、実施例5と比較例7、実施例6と比較例8が同一製箔条件である。
比較例1、4〜8の電解銅箔は製箔直後の加熱処理は施さずに、上記と同じく結晶状態を安定させるために製箔後48時間放置し、EBSDによる結晶粒径分布測定、引張試験(常温、190℃×1時間加熱処理後、300℃×1時間加熱処理後)、耐折性試験(190℃×1時間加熱処理後、300℃×1時間加熱処理後)を行った。
各実施例、各比較例の電解銅箔についてEBSD測定を行った。サンプルのM面表面を薬品にてエッチング処理し、300μm四方の視野にて結晶粒内の最大対角線長さをその結晶粒径として結晶粒径分布測定を行った。結果を表3に記載した。
各実施例、各比較例の電解銅箔の引張試験を行った。各実施例、各比較例共に、常温と190℃×1時間加熱処理後、及び300℃×1時間加熱処理後に引張試験を行った。サンプルを長さ6インチ×幅0.5インチの試験片に裁断し引張試験機を用いて抗張力、伸び、0.2%耐力を測定した。なお、引張速度は50mm/minとした。0.2%耐力とは、歪と応力の関係曲線において、歪が0%の点において曲線に接線を引き、その接線と平行に歪が0.2%の点に直線を引いたその直線と曲線が交った点の応力を断面積で割ったものである。各実施例及び各比較例の結果を表4に記載する。
各実施例、各比較例の電解銅箔を190℃×1時間加熱処理、及び300℃×1時間加熱処理後にMIT耐折性試験を行った。加熱処理後に、長さ130mm×15mmの試験片に裁断し、下記の条件にて銅箔が破断するまで繰り返し屈曲を行った。試験条件は、
屈曲半径R:0.8mm
屈曲角度:±135°
屈曲速度:175回/分
荷重 :500g
で行った。同一製箔条件の製箔直後の加熱処理を行わなかった箔を基準として20%以上屈曲回数が増加している場合は○(合格)、そうでなかった場合は×(不合格)としてその結果を表5に記載した。
なお、有機添加剤を使用していない比較例8においては、熱処理を行わない時点で、粒径2μm以下の結晶粒個数は20000個以上、且つ粒径10μm以上の結晶粒個数は10個未満となっている。しかし、後述するように、比較例8は表4に示すように抗張力が400MPaより高く、後工程での取り扱いが難しい箔となっている。
なお、比較例8は常温環境下での再結晶が進行せず、抗張力が400MPa以上となっており、且つ伸びも低く、ユーザーにおける銅箔単体で製造ラインに通す際の取り扱いが難しい箔となっている。
上述したように本発明の電解銅箔は、配線板や電池の製造工程における熱履歴において再結晶(結晶成長)が抑制され、抗張力や耐力が過度に低下することなく、配線板や電池用製造工程で必要とする剛性・耐折性を保つ優れた効果を有するものである。
2:カソード
3:電解液
4:未処理電解銅箔
Claims (3)
- 300μm四方の範囲で、粒径2μm以下の結晶粒個数が20000個以上であり、かつ粒径10μm以上の結晶粒個数が10個未満であり、かつ常態での抗張力が300MPa以上400MPa未満である電解銅箔。
- 請求項1に記載の電解銅箔を用いて製造される配線板。
- 請求項1に記載の電解銅箔を用いて製造される電池。
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