JP5808201B2 - 砥粒埋め込み装置、ラッピング装置及びラッピング方法 - Google Patents

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本発明は、半導体ウェーハ、磁気ヘッド、電子部品、光学部品等の各種被加工物の研磨に使用される研磨定盤の上面に砥粒を埋め込む砥粒埋め込み装置、その砥粒埋め込み装置を備えたラッッピング装置、及びそのラッピング装置を使用して被加工物のラッピングを行うラッピング方法に関する。
半導体デバイス、磁気ヘッド、電子部品、光学部品等の製造工程においては、被加工物の表面がラッピング装置によって研磨される。そして、研磨された被加工物の表面にLSI等のデバイスが形成されたり、当該表面が光学面として使用されたりする。
被加工物の表面の研磨に用いられるラッピング装置は、回転可能に支持された研磨定盤と、定盤の表面に砥粒(遊離砥粒)を含む砥液を供給する砥液供給手段と、被加工物を保持し定盤の表面に接触させる被加工物保持部材とを備えている。そして、定盤を回転させるとともに、砥粒を含む砥液を定盤と被加工物との間に供給しながら、被加工物保持部材によって保持された被加工物を定盤に押しつけることにより、被加工物の研磨加工を実施する。また、特に研磨された面に高い品質が求められる場合には、仕上げ工程として、当該研磨加工の終了前の一定の時間に、砥粒を含まない砥液を供給しながら研磨を行い、遊離砥粒により被加工物にできた傷やダメージを低減させる。
しかし、被研磨面に硬度の異なる部分を有した被加工物では、砥粒を含有する砥液を用いて研磨加工を施すと、硬度の低い部分が硬度の高い部分よりも先に研磨されるために、砥液中の砥粒が硬度の低い部分に集中して局所的に過度に研磨が施されてしまうという問題がある。そこで、砥粒を定盤に埋め込み、埋め込まれた砥粒の一部が露出した状態の研磨定盤を用いて研磨を行う方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる研磨方法は、被加工物に高い面性状が求められる場合に特に有用となる。
砥粒が埋め込まれた研磨定盤を形成するには、例えば錫からなる研磨定盤に砥粒を含む潤滑剤(砥液)を塗布するとともに、押圧部材で研磨定盤を潤滑剤とともに所定の力で押圧しながら押圧部材と研磨定盤とを摺動させることで、潤滑剤に含まれる砥粒を研磨定盤に埋め込んでいた(特許文献1参照)。
このように遊離砥粒を含まない砥液のみを使用して研磨加工を実施するためには,研磨加工に先んじて定盤に砥粒を埋め込んだり、定盤に埋め込まれた砥粒が徐々に磨耗して研磨機能が低下するのを回避するために定期的に定盤に砥粒を埋め込む作業を実施したりする必要がある。
ところが、研磨定盤の表面に十分な数の砥粒を埋め込むには非常に長い時間がかかるという問題がある。そこで、砥粒を定盤に埋め込む時間を短縮すべく、押圧部材に超音波振動を付与できる研磨定盤の製造装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開平7−299737号公報 特開2008−238398号公報
しかし、特許文献2に記載されたような従来の研磨定盤の製造装置では、押圧部材と研磨定盤との間に効率よく砥液を供給するために、押圧部材には溝が形成されている。このため、押圧部材に超音波振動を付与しながら砥粒の埋め込みを行うと、研磨定盤の表面に均一に砥粒が埋め込まれず、局所的に砥粒が過度に埋め込まれた領域や埋め込まれない領域が発生してしまうという問題が生じた。本出願人は、鋭意研究の結果、かかる砥粒の埋め込みばらつきが、押圧部材で押圧されている砥液の流体圧力ばらつきに起因することを見出した。すなわち、押圧部材には溝が形成されているため、摺動方向に対する各押圧面の長さが互いに異なる。そのため、くさび効果によって摺動方向に発生する流体圧力にばらつきが生じ、砥粒の埋め込みばらつきが生じる。
特に、超音波の強度を上げていくと、部分的にキャビテーションが発生し,定盤表面がダメージを受ける。これを避けるために、超音波強度を上げたいにもかかわらず、キャビテーションを生じる値よりも小さい強度の超音波強度を使用せざるをえない。したがって、砥粒の埋め込みの効率を上げることは困難である。
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、砥粒の埋め込みばらつきを抑制しつつ、研磨定盤に効率よく砥粒を埋め込むことを目的とする。
第一の発明は、研磨定盤を押圧する押圧手段を少なくとも備え、研磨定盤の表面に砥粒を含む砥液を供給しつつ押圧手段で砥液を介して研磨定盤を押圧するとともに押圧手段と研磨定盤とを摺動させて砥液に含まれる砥粒を研磨定盤の表面に埋め込む砥粒埋め込み装置に関し、押圧手段は、複数の押圧部材と、複数の押圧部材の上方に配設され複数の押圧部材を研磨定盤に押しつける錘部材と、複数の押圧部材にそれぞれ超音波を付与する超音波振動子と、を有し、砥粒埋め込み装置は、超音波振動子に電力を供給する電力供給手段を備え、複数の押圧部材のそれぞれは、複数の円盤状の押圧チップが配設された押圧面を有することを特徴とする。
第一の発明においては、押圧部材を研磨定盤の使用領域から突出しない位置に配置することが望ましい。
第二の発明は、被加工物を研磨する研磨面を有し回転可能に支持された研磨定盤と、研磨定盤を回転させる回転駆動手段と、研磨定盤の研磨面に対面した被加工物を保持する保持面を有し、被加工物を研磨定盤に当接させた状態に保持する被加工物保持手段と、研磨定盤の表面に、砥粒を含む砥液と砥粒を含まない砥液とを選択的に供給する砥液供給手段と、砥液供給手段によって研磨定盤の表面に供給された砥粒を含む砥液を介して研磨定盤を押圧するとともに押圧手段と研磨定盤とを摺動させて砥液に含まれる砥粒を研磨定盤の表面に埋め込む砥粒埋め込み装置と、を備え、砥粒埋め込み装置は、複数の押圧部材と、複数の押圧部材の上方に配設され複数の押圧部材を研磨定盤に押しつける錘部材と、複数の押圧部材にそれぞれ超音波を付与する超音波振動子と、を有し研磨定盤を押圧する押圧手段と、超音波振動子に電力を供給する電力供給手段と、を備え、複数の押圧部材のそれぞれは、複数の円盤状の押圧チップが配設された押圧面を有するラッピング装置に関する。
第三の発明は、上記第二の発明のラッピング装置を用いて被加工物保持手段に保持された被加工物をラッピングするラッピング方法に関し、砥粒を含む砥液を研磨定盤の表面に供給しながら、押圧手段で砥粒を含む砥液を介して研磨定盤を押圧するとともに押圧手段と研磨定盤とを摺動させて砥液に含まれる砥粒を研磨定盤の表面に埋め込むとともに、被加工物保持手段に保持された被加工物と研磨定盤とを摺動させて被加工物の面をラッピングする第一のラッピング工程と、第一のラッピング工程の後に、砥粒を含まない砥液を研磨定盤の表面に供給しながら、被加工物保持手段に保持された被加工物と研磨定盤とを摺動させて被加工物の面をラッピングする第二のラッピング工程とからなる。
第三の発明においては、第一のラッピング工程と第二のラッピング工程との間に、研磨定盤を洗浄するクリーニング工程を遂行することができる。また、被加工物としては、例えば、サファイア、SiC、GaN、AlN等がある。
第一の発明の砥粒埋め込み装置では、押圧部材が、複数の円盤状の押圧チップが配設された押圧面を有するため、押圧手段と研磨定盤との相対摺動方向に対して各押圧面を互いに同じ長さとすることができる。したがって、超音波振動を使用して砥粒の埋め込みを促進しつつ、流体応力のばらつきを抑えることができ、研磨定盤に対する砥粒の埋め込みばらつきを抑制することができる。
また、押圧部材を研磨定盤の使用領域から突出しない位置に配置することにより、超音波振動によって生じる圧力の分布が均一となり、キャビテーションが生じないため、研磨定盤の表面がダメージを受けるのを回避することができる。
第二の発明のラッピング装置では、砥粒を含む砥液と砥粒を含まない砥液とを使用することができ、押圧手段と被加工物保持部材とを保持できるため、砥粒埋め込み装置としての機能とラッピング装置としての機能を併せ持つことができる。また、被加工物をラッピングする際には、砥粒を含む砥液と砥粒を含まない砥液とを選択して使用することができるため、ラッピングを行いながら研磨定盤に砥粒を埋め込むことができ、また、必要に応じて遊離砥粒を使用するラッピングと遊離砥粒を使用しないラッピングとを使い分けることができる。
第三の発明のラッピング方法では、砥粒を含む砥液を用いて被加工物の面をラッピングする第一のラッピング工程の後に、砥粒を含まない砥液を用いて被加工物の面をラッピングする第二のラッピング工程を遂行するため、第一のラッピング工程において研磨定盤に砥粒が埋め込まれる。そして、第二のラッピング工程では、埋め込まれた砥粒を含む研磨定盤によってラッピングが行われるため、研磨効率を向上させることができる。
また、第一のラッピング工程と第二のラッピング工程との間で研磨定盤を洗浄するクリーニング工程を遂行すると、遊離砥粒に起因して被加工物に生じる傷やダメージを低減することができる。
砥粒埋め込み装置の一例を示す斜視図である。 押圧手段の第一例を示す分解斜視図である。 押圧手段の第一例を示す断面図である。 押圧手段に備えた押圧チップの一例を示す底面図である。 砥粒埋め込み装置を構成するロータリー支持手段の一例を示す斜視図である。 押圧部材と研磨定盤との位置及び大きさの関係を示す説明図である。 砥粒埋め込み時における押圧手段と研磨定盤との相対摺動方向を示す説明図である。 従来の押圧手段と研磨定盤との位置及び大きさの関係を示す説明図である。 押圧チップの第二の例を示す底面図である。 押圧チップの第三の例を示す底面図である。 押圧チップの第四の例を示す底面図である。 押圧手段の第二例を示す分解斜視図である。 押圧手段の第二例を示す断面図である。 押圧手段の第二例を構成する押圧部材の例を示す底面図である。 押圧部材と研磨定盤との位置及び大きさの関係を示す説明図である。 ラッピング装置の一例を示す斜視図である。 ラッピング方法1の手順を示すフローチャートである。 ラッピング方法2の手順を示すフローチャートである。 ラッピング方法3の手順を示すフローチャートである。 ラッピング方法2及びラッピング方法3による加工能率を示すグラフである。
1 砥粒埋め込み装置の構成
図1に示す砥粒埋め込み装置1においては、装置ハウジング2において、円盤上に形成された研磨定盤3が回転可能に支持されている。研磨定盤3は、錫等の金属材料によって形成されており、その下部には回転軸31が連結されている。回転軸31の下端には回転駆動手段としてのモータ32が連結されており、モータ32に駆動されて研磨定盤3が回転する構成となっている。研磨定盤3の中心部には中心穴33が形成され、その周囲のリング上に形成された部分の表面(上面)30が、実際に砥粒が埋め込まれ研磨が行われる領域である使用領域34となっている。
装置ハウジング2の前部には、研磨定盤3の表面30に対して砥液40を供給する砥液供給手段4が配設されている。砥液40には、砥粒40aを含ませることができ、また、砥粒40aを含ませないようにすることもできる。
砥液供給手段4は、例えば粒径が0.02〜1μmのダイヤモンド砥粒等の砥粒を含む砥液を収容する第一の砥液タンク41と、第一の砥液タンク41に収容された砥粒を含む砥液を研磨定盤3の上面30に向けて噴出するノズル43aと、第一の砥液タンク41の砥液をノズル43aに送給する第一のポンプ42と、砥粒が含まれない砥液を収容する第二の砥液タンク44と、第二の砥液タンク44に収容された砥粒が含まれない砥液を研磨定盤3の上面30に向けて噴出するノズル43bと、第二の砥液タンク44の砥液をノズル43bに送給する第二のポンプ44aと、第一のポンプ42と第二のポンプ44aの稼動を制御するコントローラ45と、を備えている。したがって、砥液供給手段4は、研磨定盤3の表面30に対し、砥粒を含む砥液と砥粒を含まない砥液とを選択的に供給することができる。
研磨定盤3の上方には、研磨定盤3に砥粒を埋め込むための押圧力を加える押圧手段6が配設されている。この押圧手段6は、図2に示すように、研磨定盤3に砥粒を埋め込むための複数(図示の例では3つ)の押圧部材60と、押圧部材60の上方に配設され押圧部材60を研磨定盤に押しつける錘部材63と、押圧部材60に超音波を付与して振動させる超音波振動子65とを備えている。超音波振動子65には、図3に示すように、電極652a、652bが設けられている。
図2に示すように、押圧部材60には、超音波振動子65によって振動を与えられる振動体62を備えている。振動体62は、その下部に円盤状の支持部621を備え、その上方に、支持部621の上面から上方に延びる大径の下部振動体622と、下部振動体622の上端から上方に延びる支持軸622bとを備えている。支持部621の下面は、接着剤によって押圧作用部61に接着されている。なお、押圧作用部61をネジと締結ナットとで支持部621に取り付けることも可能である。
図2に示すように、下部振動体622には、リング状に形成されたウレタン製のゴムリング8が嵌合され、支持部621の上に載置される。一方、支持軸622bには超音波振動子65が嵌合され、下部振動体622の上に載置される。また、超音波振動子65の上には、支持軸622bに嵌合した状態で上部振動体66が載置される。支持軸622bの上端部には雄ねじ622cが形成されており、雄ねじ622cに締結ナット67を螺合させて締結することにより、超音波振動子65が支持軸622bに固定される。このようにして、押圧作用部61と下部振動体622と超音波振動子65と上部振動体66とが一体となって振動可能となる。
ゴムリング8は、振動体62の振動が錘部材63に伝わらないように絶縁を行う機能を有し、振動体62の良好な振動を維持する。さらに,ゴムリング8は,図1に示した砥粒埋め込み装置1において砥粒を研磨定盤3に埋め込む作業を行う場合には、弾性変形によって、研磨定盤3の表面と押圧作用部61の下面である押圧面611との間に形成される隙間が押圧面611の全面に渡って均一になるように、押圧手段6の姿勢を調整する。
図2に示すように、錘部63には、押圧部材60を収容するための収容穴633が、押圧部材60の数と同数形成されている。また、錘部材63の上面の中心部には、すべての押圧部材60に共通の電極を連結するための電極端子取付部634が突出して設けられており、電極端子取付部634の外周面には2個のスリップリング635a、635bが配設されている。このように構成された電極端子取付部634には、図1に示した交流電力供給手段69のロータリーコネクタ692が嵌合する。そして、電極端子取付部634に配設されたスリップリング635aと635bと、3個の振動体62にそれぞれ配設された各振動子65を構成する電極652a、652bとを電気的に接続する。
図3に示すように、超音波振動子65は、環状の圧電体651と、圧電体651の両側分極面にそれぞれ装着された環状の電極652a、652bとからなっている。圧電体651は、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PB(Zi,Ti)O3)、リチウムナイオベート(LiNbO3)、リチウムタンタレート(LiTaO3)等の圧電セラミックスによって形成されている。
図4に示すように、押圧手段6を構成する各押圧部材60においては、各押圧作用部61に、研磨定盤3に対して押圧力を加える複数の押圧チップ600を備えている。押圧チップ600は、それぞれがセラミックスによって円盤状に形成され、押圧面611から下方に突出した状態で固定されている。複数の押圧チップ600は、同径に形成され、その中心が同一円弧上に位置するように等間隔に配置されている。
図1に示すように、研磨定盤3の後方側には、押圧手段6を回転可能に支持するロータリー支持手段5を具備している。ロータリー支持手段5は、押圧手段6を支持する支持手段であり、水平方向に移動可能であり研磨定盤3の上方に向けて水平方向に延びる支持レバー51を備えている。
図1に示した砥粒埋め込み装置1から押圧手段6を除外して図示した図5に示すように、支持レバー51の先端には、支持レバー51から分岐し互いに所定の間隔を持って形成された第一のローラ支持部511と第二のローラ支持部512とが設けられている。第一のローラ支持部511には駆動ローラ52が回転可能に支持されており、第二のローラ支持部512には従動ローラ53が回転可能に支持されている。また、支持レバー51には、駆動ローラ52を回転するための回転駆動手段54が配設されている。回転駆動手段54は、電動モータ541と、電動モータ541の駆動軸と駆動ローラ52の回転軸を伝動可能に連結する伝動ベルト等を含む伝導連結手段542とからなっている。
図1に戻って説明を続けると、砥粒埋め込み装置1は、図3に示した振動子65の電極652a、652bに交流電力を供給する交流電力供給手段69を具備している。交流電力供給手段69は、例えば周波数が16〜100[kHz]で電圧が20〜200[V]の交流電力を出力する。この交流電力供給手段69から出力される交流電力は、フレキシブルパイプ691内に配設された配線(図示せず)およびフレキシブルパイプ691の先端に配設されたロータリーコネクタ692を介して図3に示したスリップリング635a、635bから配線682a、682bを介して振動子65に供給される。
図6に示すように、各押圧部材60は、研磨定盤3の使用領域34の上方に位置している。すなわち、使用領域34の幅34aの範囲内に、すべての押圧作用部61の押圧面611が収まった状態となっている。使用領域34の幅34aが例えば120mmであるとすると、押圧部材60の直径は、例えば115mm程度である。また、各押圧部材60の中心は、錘部材63の外径と同心の円弧上に位置している。
2 砥粒埋め込み装置の基本動作
砥粒を定盤3に埋め込むには、図1に示すように、押圧手段6を構成する押圧部材60を研磨定盤3の表面30に載置し、錘部材63の外周面をロータリー支持手段5の駆動ローラ52と従動ローラ53とに接触させる。そして、必要に応じて支持レバー51を矢印X方向に移動させ、押圧部材60を使用領域34の上方に位置させる。なお、押圧手段6の位置が固定されていて移動しない構成としてもよく、その場合は、押圧部材60が使用領域34からはみ出ないように押圧部材60のサイズを適宜設定する。
また、図3に示した電極652a、652bに交流電力供給手段69のロータリーコネクタ692を嵌合する。次に、電動モータ32の駆動により研磨定盤3を矢印3aで示す方向に例えば30〜60[rpm]の回転速度で回転させるとともに、砥液供給手段4から砥粒40aを含む砥液40を研磨定盤3の表面30に供給する。
そして、ロータリー支持手段5を構成する電動モータ541の駆動により駆動ローラ52を矢印52aで示す方向に回転させる。そうすると、駆動ローラ52と錘部材63の外周面とが接触しているため、押圧部材60は、矢印60aで示す方向に例えば15〜30[rpm]の回転速度で回転する。このように、研磨定盤3を回転させるとともに押圧部材60を回転させることにより、研磨定盤3の表面30に供給された砥粒40aを含む砥液40が、押圧作用部61の押圧面611と研磨定盤3の表面30との間に進入する。
また、交流電力供給手段69から、超音波振動子65を構成する電極652a、652bに交流電力を印加する。そうすると、圧電体651が超音波振動し、押圧作用部61が上下方向に超音波振動する。
このようにして超音波振動する押圧部材60の押圧面611と研磨定盤3の表面30との間に上述したように砥粒40aを含む砥液40が進入している状態で、押圧手段6と研磨定盤3とを摺動させると、砥液に含まれる砥粒40aが押圧部材60の押圧面611によって研磨定盤3の表面30に押圧され、研磨定盤3の表面30に砥粒が埋め込まれる。押圧部材60は、円形の押圧面611の全面で砥粒40aを押圧するため、研磨定盤3の表面30に砥粒40aを効率よく埋め込むことができる。
図1において矢印3aで示す研磨定盤3の回転方向と、矢印60aで示す押圧部材60の回転方向とは同じ方向であり、研磨定盤3と押圧部材60との相対的な摺動方向は、図7に示す矢印X’の方向となる。また、押圧面である押圧チップ600の下面は、円形に形成されているため、摺動位置によらず、研磨定盤3の表面30との相対摺動距離が一定となる。このため、研磨定盤3上の位置によらず、研磨定盤3と押圧面611との間の砥液40に生じる圧力は一定となり、流体応力のばらつきを抑制することができる。したがって、研磨定盤3の表面30全体に対して均一な超音波強度で砥粒40aを埋め込むことができ、砥粒の埋め込みばらつきを抑制することができる。また、超音波を使用することで、効率よく砥粒を表面30に埋め込むことができる。
超音波を与えながら砥粒を研磨定盤3の表面30に埋め込む際、仮に、図8に示すように、押圧作用部61’の押圧面611’が研磨定盤3からはみ出ていると、超音波振動によって生じる圧力の分布が押圧面611’の全面に渡って均一にならず、一部で圧力が極端に高くなってキャビテーションが生じ、そのキャビテーションによって研磨定盤3の表面30の一部がダメージを受けると考えられる。しかし、図6に示したように、押圧部材60は、研磨定盤3の使用領域34から外周側に突出しない位置に配置されているため、超音波振動によって生じる圧力の分布が均一となり、キャビテーションが生じないため、研磨定盤3の表面30aがダメージを受けるのを避けることができる。
3 押圧チップの変更例
押圧部材60においては、場所による摺動距離が一定となるようにすれば、図4及び図7に示した押圧作用部61に代えて、例えば図9〜図11に示す押圧作用部61a〜61cを使用することもできる。図9に示す押圧作用部61aは、図4及び図7に示した例よりも、押圧チップ600を押圧面611aの外周側に位置させ、押圧チップ600の外周が押圧面611の外周と接するようにしている。また、図10に示す押圧作用部61bは、リング状の押圧チップ600bが等間隔に円弧状に配置されて構成されている。各押圧チップ600bの中心に円形の溝601が形成されていることにより、押圧チップ600bの中心付近での最大圧力を低下させることができる。さらに、図11に示す押圧作用部61cは、各押圧チップ600cが、複数の円形の小径の押圧面602を有し、その周囲に浅溝603が形成され、この押圧チップ600cが等間隔に円弧状に配置されて構成されている。
4 押圧手段の構成変更例
図2及び図3に示した押圧手段6に代えて、図12及び図13に示す押圧手段6aを使用することもできる。この押圧手段6aは、定盤3の表面30に供給された砥液に含まれる砥粒を押圧するための押圧部材61aと、押圧部材61aを支持する支持部材70とを具備している。押圧部材61aは、セラミックスによって円盤状に形成されており、その下面に押圧面611aを有し、押圧面611aと反対側の上面に取付面612aを有している。
押圧面611aには、例えば図14に示すように、円盤状の押圧チップ600aが二重の円弧上に配置されている。押圧チップ600aは、押圧面611aよりも下方に突出している。
図12に示すように、支持部材70は、押圧部材61aの取付面612aが接着剤によって装着される支持部71と、支持部71から立設した支持軸部72とを有している。支持部71は、押圧部材61aより大きい外径を有する円盤状に形成されており、外周部には4個のボルト挿通孔710が円弧状に等間隔に設けられている。
支持軸部72は、支持部71の上面から上方に延びる大径の錘部材遊嵌部720と、錘部材遊嵌部720の上端から上方に延び錘部材遊嵌部720より小径の振動子取付部721と、振動子取付部721より小径に形成され振動子取付部721の上端から上方に延びる電極端子取付部722とを備えている。
錘部材遊嵌部720の外周側には、ステンレス鋼等の金属材によって環状状に形成された錘部材73が遊嵌する。錘部材73は、錘部材遊嵌部720に遊嵌する遊嵌孔730が中央部に形成され、その下面には支持部71に設けられた4個のボルト挿通孔710と対応する位置に4個の雌ネジ穴731が形成されている。このように構成された錘部材73は、遊嵌孔730を錘部材遊嵌部720に遊嵌して支持部71の上面に載置し、支持部71の下側からボルト挿通孔710に締結ボルト64を挿通して雌ネジ穴731に螺合させることにより、支持部71に装着される。
支持部材71の振動子取付部721には、超音波振動子65が挿入される。超音波振動子65は、環状の圧電体651と、圧電体651の両側分極面にそれぞれ装着された環状の電極652a、652bとからなっている。圧電体651は、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PB(Zi,Ti)O3)、リチウムナイオベート(LiNbO3)、リチウムタンタレート(LiTaO3)等の圧電セラミックスによって形成されている。このように構成された超音波振動子65は、支持軸部72の振動子取付部721に嵌合され、錘部材遊嵌部720の上面に載置される。このようにして錘部材遊嵌部720の上面に載置された超音波振動子65の上には振動子取付部721に嵌合された環状のスペーサー66が載置される。そして、振動子取付部721の上端部に形成された雄ネジ部723に締結ナット67を螺合させることにより、超音波振動子65が振動子取付部721に装着される。
図13に示すように、電極端子取付部722の外周には、2個のスリップリング681a、681bが配設されている。このスリップリング681a、681bは、超音波振動子65を構成する電極652a、652bに配線682aと682bを介して接続される。
図12及び図13に示した押圧手段6aにおいても、図14に示したように、押圧チップ600aの下面は円形に形成されているため、摺動位置によらず、研磨定盤3との摺動距離が一定となる。このため、研磨定盤3上の位置によらず、研磨定盤3と押圧部材61aとの間の砥液40に生じる圧力は一定となり、研磨定盤3の表面30全体に対して均一な超音波強度で砥粒40aを埋め込むことができる。
また、図15に示すように、すべての押圧チップ600aが定盤3の使用領域34の内側に位置しているため、超音波振動によって生じる圧力の分布が均一となり、キャビテーションが生じず、研磨定盤3の表面30aがダメージを受けるのを避けることができる。
5 砥粒埋め込み装置を備えたラッピング装置
図16に示すラッピング装置9は、図1に示した砥粒埋め込み装置1に被加工物保持手段90を付加したもので、研磨定盤3に対する砥粒の埋め込みと、研磨定盤3による被加工物の研磨(ラッピング)とを行うことができる。なお、ラッピング装置9において図1に示した砥粒埋め込み装置1と同様に構成される部位には、図1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略することとする。
被加工物保持手段90は、円柱状に形成された保持部材91を備えている。保持部材91の下面には、被加工物を保持する保持面91aを有している。保持面91aは、研磨定盤3の研磨面である表面30と対面しており、保持面91aに保持された被加工物を研磨定盤3の表面30に当接させた状態で保持することができる。
被加工物保持手段90は、水平方向に移動可能な支持レバー92を備えている。支持レバー92の先端には、支持レバー92から分岐し互いに所定の間隔を持って形成された第一のローラ支持部921と第二のローラ支持部922とが設けられている。第一のローラ支持部921には駆動ローラ93が回転可能に支持されており、第二のローラ支持部922には従動ローラ(図示せず)が回転可能に支持されている。また、支持レバー92には、駆動ローラ93を回転するための回転駆動手段94が配設されている。回転駆動手段94は、電動モータ941と、電動モータ941の駆動軸と駆動ローラ93の回転軸を伝動可能に連結する伝動ベルト等を含む伝導連結手段942とからなっている。
6 被加工物のラッピング
次に、図16に示したラッピング装置9を用いて被加工物のラッピングをする際のラッピング装置9の動作について説明する。被加工物のラッピング時は、被加工物保持手段90の保持面91aにおいて被加工物、例えばウェーハWを保持する。このとき、ウェーハWの被研磨面が研磨定盤3の表面30と対面するようにする。そして、被加工物保持手段90を構成する保持部材91の外周面を、駆動ローラ93と従動ローラとに接触させ、支持レバー92を矢印Xで示す方向に移動させることにより、ウェーハWを研磨定盤3の使用領域34の上方に位置決めする。
こうして、ウェーハWが位置決めされ、被加工物保持手段90が駆動ローラ93と従動ローラとに支持されると、砥液供給手段4から研磨定盤3の表面30とウェーハWとの間に砥液を供給しながら、電動モータ32が定盤3を矢印3aで示す方向に回転させるとともに、電動モータ941が駆動ローラ93を回転させて保持部材91を矢印91bで示す方向に回転させる。そうすると、保持部材91の下面に装着されたウェーハWは、被研磨面である下面が定盤3の表面30に埋め込まれた砥粒40a及び砥液によって研磨される。
ラッピング装置9では、目的に応じて砥粒40aを含んだ砥液と砥粒40aを含まない砥液とを使い分けることができる。例えば、砥液供給手段4のコントローラ45によって第一のポンプ42か第二のポンプ44aの何れかを稼働させることで研磨定盤の上面30に供給する砥液に砥粒40aを含ませるか否かを制御することができる。以下では、ラッピング装置9を用いてラッピングを行う手順の例について、図17〜19のフローチャートを参照して説明する。
(1)ラッピング方法1
図17に示すように、最初に、研磨定盤3の表面30に対して砥粒を埋め込む(ステップS11)。ステップS11においては、押圧部材60を研磨定盤3の表面30上に載置し、押圧手段6をロータリー支持手段5によって支持する。一方、被加工物保持手段90においては、保持部材91を取り外しておく。
そして、研磨定盤3を矢印3aで示す方向に回転させるとともに、砥液供給手段4から砥粒40a(遊離砥粒)を含む砥液40を研磨定盤3の表面30に供給し、また、駆動ローラ52を矢印52aで示す方向に回転させ、押圧部材60を矢印60aで示す方向に回転させる。また、交流電力供給手段69から交流電力を印加し、押圧部材61を超音波振動させる。そうすると、砥粒40aを含む砥液40が、押圧部材60の押圧面611と研磨定盤3の表面30との間に進入し、砥粒40aが研磨定盤3の表面30に埋め込まれる。なお、砥液40としては、例えば炭化水素系油、エチレングリコール等を使用する。
前述のように、押圧面である押圧チップ600の下面が円形に形成されていることにより、研磨定盤3と押圧作用部61との間の砥液40に生じる圧力は一定となるため、砥粒の埋め込みばらつきを抑制することができる。
次に、研磨定盤3の上に残存した砥液40、砥粒40a及び砥液40に含まれるスラッジ(定盤3及び押圧チップ600等の加工粉)を取り除くために、例えば研磨定盤3を回転させながら図示しないノズルから高圧の洗浄液を噴出することにより、研磨定盤3を洗浄する。そしてその後、研磨定盤3を回転させながら図示しないノズルから高圧エアを研磨定盤3に噴出して乾燥処理を行う(ステップS12)。
このようにして、研磨定盤3の表面30に砥粒が埋め込まれ、表面30が洗浄された状態で、被加工物のラッピングを行う(ステップS13)。ラッピング時は、図16に示したように、保持部材91の保持面91aにおいて被加工物、例えばウェーハWを保持する。そして、保持部材91を駆動ローラ93と従動ローラとに接触させて支持させ、ウェーハWを研磨定盤3の表面30の上に載置し、必要に応じて支持レバー92をX方向に移動させることにより、ウェーハWを研磨定盤3の表面30における使用領域34に位置決めする。
このようにしてウェーハWが研磨定盤3の使用領域34に載置されると、砥粒を含まない砥液を砥液供給手段4から研磨定盤3の表面30とウェーハWとの間に供給してラッピングを行う。ステップS12における洗浄により、ステップS11で使用され研磨定盤3の表面30上に残存していた砥粒(遊離砥粒)が除去されているため、研磨時は、遊離砥粒に起因するスクラッチ等の研磨痕がない良好な加工面を得ることができ、ウェーハWの表面粗さを向上させることができる。
(2)ラッピング方法2
図18に示すように、最初に、砥粒を含む砥液を使用してウェーハのラッピングを行う。まず、図16に示したように、ロータリー支持手段5によって押圧手段67を保持するとともに、被加工物保持手段90においてウェーハWを保持した保持部材91を保持し、押圧手段6及びウェーハWを研磨定盤3の使用領域34に載置する。
そして、研磨定盤3を図16に示した矢印3a方向に回転させるとともに、押圧手段6を矢印60a方向に回転させ、保持部材91を矢印91b方向に回転させ、研磨定盤3の表面30と押圧手段60の押圧面611とを摺動させるとともに、当該表面30とウェーハWとを摺動させる。このとき、交流電力供給手段69から交流電力を印加して押圧部材61を超音波振動させる。また、砥粒40a(遊離砥粒)を含む砥液を砥液供給手段4から研磨定盤3の表面30とウェーハWとの間、及び、当該表面30と押圧手段6の押圧面611との間に供給する。そうすると、ウェーハWが研磨定盤3の表面30に埋め込まれた砥粒及び砥液供給手段4から供給された砥粒(遊離砥粒)によってラッピングされるとともに、遊離砥粒が押圧手段6によって押圧されて研磨定盤3の表面30に埋め込まれる(ステップS21、第一のラッピング工程)。
次に、砥粒40aを含まない砥液を砥液供給手段4から研磨定盤3の表面30とウェーハWとの間に供給し、回転する研磨定盤30と回転するウェーハWとを摺動させてウェーハWの研磨を行う。このときは、交流電力供給手段69から交流電力を印加して押圧部材61を超音波振動させてもよいし、超音波振動させなくてもよい。そうすると、ステップS21で使用され研磨定盤3の表面30上に残存した遊離砥粒と、研磨定盤3の表面30に埋め込まれた砥粒(固定砥粒)とによって研磨が行われるため、洗浄により遊離砥粒を除去する上記ラッピング方法1と比べて、研磨効率が向上する(ステップS22、第二のラッピング工程)。
この方法は、この後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)等によるさらなる仕上げ工程がある場合や、前記固定砥粒のみによるラッピングの方法を採用するほどウェーハに高い品質が要求されない場合に効果的な方法であり、CMPの加工時間を短縮することができ、小さな砥粒によるラッピング工程を追加しなくても遊離砥粒による研磨よりも高い品質の加工面を得ることができ、工程コストを低減することができるという利点がある。
(3)ラッピング方法3
上記ラッピング方法2では、ステップ22において遊離砥粒による研磨を行うため、ウェーハWの加工面に、遊離砥粒に起因する傷やダメージが生じうる。そこで、かかる傷やダメージを低減させたい場合は、図19に示すように、砥粒を含む砥液によるラッピング(ステップS31、第一のラッピング工程)と砥粒を含まない砥液によるラッピング(ステップS33、第二のラッピング工程)との間に、研磨定盤3の表面30を洗浄するクリーニングを行う(ステップS32)。クリーニング工程は、砥粒を含まない液を研磨定盤3の表面30に吹き付ける方法、ウェスや多孔質の研磨パッドを研磨定盤3の表面30に押しつける方法、ゴム製のワイパーで残留物を研磨定盤3の外に排除する方法等があり、求められる品質に応じて選択すればよい。クリーニングを実施すると、遊離砥粒の排出が促進されるため、ステップS33の研磨効率は、ステップS22よりも低下するが、ウェーハWの加工品質は向上する。なお、ステップS31はステップS21と同様の方法によって実行し、ステップS33はステップS22と同様の方法によって実行する。
以上のように、ラッピング方法2及びラッピング方法3では、砥粒を含まない砥液を供給しながら行うラッピングにおいて、加工効率の低下を抑制することができるため、遊離砥粒の影響を受けない加工によって除去できる部分の体積が増加する。すなわち、遊離砥粒を使用したラッピング時の研磨痕を除去することができる面積が増加する。したがって、ウェーハ形状の被加工物については、その直径を大きくすることができる。特に、サファイア、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミ)等の硬質基板のラッピングを行う場合に効果的である。
磁気ヘッドに使用されるAlTiC(アルミナチタンカーバイト)のブロックについて、本発明のラッピング装置9を使用して上記ラッピング方法2とラッピング方法3とによってラッピング加工した場合、及び、砥粒埋め込み機能のない通常のラッピング装置を使用して上記ラッピング方法2とラッピング方法3と同様に、砥粒を含む砥液によるラッピングの後に砥粒を含まない砥液によるラッピングを行った場合の研磨能率を図20に示す。
ラッピング方法2、3とも、本発明のラッピング装置9を使用した場合の方が、通常のラッピング装置を使用した場合よりも、研磨能率が高いことがわかる。これは、砥粒埋め込み機能を有するラッピング装置9では、遊離砥粒を使用したラッピング中に研磨定盤3の表面30に砥粒が埋め込まれ、砥粒を使用しないラッピングの効率が向上するためであると考えられる。
また、ラッピング方法2とラッピング方法3とを比較すると、いずれの装置を使用した場合も、ラッピング方法2の方が、ラッピング方法3よりも研磨能率が高いことがわかる。これは、ラッピング方法3では、クリーニングを行うことにより、遊離砥粒が除去される割合が大きいため、その分研磨能率が低下するためであると考えられる。
さらに、4つの方法の中では、本発明のラッピング装置9を使用してラッピング方法2によってラッピングを行った場合が、最も研磨能率が高いことも判明した。
1:砥粒埋め込み装置
2:装置ハウジング
3:研磨定盤 30:表面(上面) 31:回転軸 32:モータ 33:中心穴
34:使用領域
4:砥液供給手段 40:砥液 40a:砥粒
41:第一の砥液タンク 42:第一のポンプ 43a、43b:ノズル
44:第二の砥液タンク 44a:第二のポンプ 45:コントローラ
5:ロータリー支持手段
51:支持レバー 52:駆動ローラ 53:従動ローラ
54:回転駆動手段 541:電動モータ 542:伝導連結手段
6:押圧手段
60、61a:押圧部材 61:押圧作用部 611、611a:押圧面
600、600a、600b、600c:押圧チップ
62:振動体
621:支持部 622:下部振動体 622b:支持軸 622c:雄ねじ
63:錘部材 633:収容穴 634:電極端子取付部
635a、635b:スリップリング
65:超音波振動子 651:圧電体 652a、652b:電極
66:上部振動体 67:締結ナット
69:交流電力供給手段 691:フレキシブルパイプ 692:ロータリーコネクタ
70:支持部材
71:支持部 710:ボルト挿通穴
72:支持軸部
720:錘部材遊嵌部 721:振動子取付部 722:電極端子取付部
8:ゴムリング
9:ラッピング装置
90:被加工物保持手段 91:保持部材 91a:保持面
92:支持レバー 921:第一のローラ支持部 922:第二のローラ支持部
93:駆動ローラ
94:回転駆動手段 941:電動モータ 942:伝導連結手段

Claims (6)

  1. 研磨定盤を押圧する押圧手段を少なくとも備え、該研磨定盤の表面に砥粒を含む砥液を供給しつつ該押圧手段で該砥液を介して該研磨定盤を押圧するとともに該押圧手段と該研磨定盤とを摺動させて該砥液に含まれる砥粒を該研磨定盤の表面に埋め込む砥粒埋め込み装置であって、
    該押圧手段は、複数の押圧部材と、該複数の押圧部材の上方に配設され該複数の押圧部材を該研磨定盤に押しつける錘部材と、該複数の押圧部材にそれぞれ超音波を付与する超音波振動子と、を有し、
    該砥粒埋め込み装置は、該超音波振動子に電力を供給する電力供給手段を備え、
    複数の押圧部材のそれぞれは、複数の円盤状の押圧チップが配設された押圧面を有する、
    砥粒埋め込み装置。
  2. 前記押圧部材は、前記研磨定盤の使用領域から突出しない位置に配置した
    請求項1に記載の砥粒埋め込み装置。
  3. 被加工物を研磨する研磨面を有し回転可能に支持された研磨定盤と、
    該研磨定盤を回転させる回転駆動手段と、
    該研磨定盤の該研磨面に対面した被加工物を保持する保持面を有し、被加工物を該研磨定盤に当接させた状態に保持する被加工物保持手段と、
    該研磨定盤の表面に、砥粒を含む砥液と砥粒を含まない砥液とを選択的に供給する砥液供給手段と、
    該砥液供給手段によって該研磨定盤の表面に供給された砥粒を含む砥液を介して該研磨定盤を押圧するとともに該押圧手段と該研磨定盤とを摺動させて該砥液に含まれる砥粒を該研磨定盤の表面に埋め込む砥粒埋め込み装置と、を備え、
    該砥粒埋め込み装置は、
    複数の押圧部材と、該複数の押圧部材の上方に配設され該複数の押圧部材を該研磨定盤に押しつける錘部材と、該複数の押圧部材にそれぞれ超音波を付与する超音波振動子と、を有し研磨定盤を押圧する押圧手段と、
    該超音波振動子に電力を供給する電力供給手段と、を備え、
    複数の押圧部材のそれぞれは、複数の円盤状の押圧チップが配設された押圧面を有する、
    ラッピング装置。
  4. 請求項3に記載のラッピング装置を用いて前記被加工物保持手段に保持された被加工物をラッピングするラッピング方法であって、
    砥粒を含む砥液を前記研磨定盤の表面に供給しながら、前記押圧手段で該砥粒を含む砥液を介して該研磨定盤を押圧するとともに該押圧手段と該研磨定盤とを摺動させて該砥液に含まれる砥粒を該研磨定盤の表面に埋め込むとともに、該被加工物保持手段に保持された被加工物と該研磨定盤とを摺動させて該被加工物の面をラッピングする第一のラッピング工程と、
    該第一のラッピング工程の後に、砥粒を含まない砥液を前記研磨定盤の表面に供給しながら、該被加工物保持手段に保持された被加工物と該研磨定盤とを摺動させて該被加工物の面をラッピングする第二のラッピング工程と
    からなるラッピング方法。
  5. 前記第一のラッピング工程と前記第二のラッピング工程との間に、前記研磨定盤を洗浄するクリーニング工程を遂行する
    請求項4に記載のラッピング方法。
  6. 前記被加工物は、サファイア、SiC、GaN、AlNのいずれかである
    請求項4又は5に記載のラッピング方法。
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