JP5787183B2 - バルブタイミング調整システム - Google Patents
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Description
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整システムを図1に示す。バルブタイミング調整システム5は、図2に示すエンジン90の吸気バルブ91の開閉タイミングを調整するためのものである。図2に示すように、エンジン90の駆動軸であるクランクシャフト93の回転は、スプロケット15、94、95に巻き掛けられているチェーン96を介してカムシャフト97、98に伝達される。カムシャフト97は吸気バルブ91を開閉駆動する従動軸であり、カムシャフト98は排気バルブ92を開閉駆動する従動軸である。
また、バルブタイミング調整装置10は、スプロケット15に対してカムシャフト97を回転方向とは反対方向に相対回動させることにより、吸気バルブ91の開閉タイミングを遅くする。このように吸気バルブ91の開閉タイミングが遅くなるようにカムシャフト97を相対回動させることを「遅角させる」という。
バルブタイミング調整装置10は、スプロケット15、カップ20、ベーンロータ30、ロックピン39、基本制限手段40および補助制限手段60を備えている。スプロケット15およびカップ20は、特許請求の範囲に記載の「ハウジング」を構成する。
カップ20は、外郭部21および複数の隔壁部22を形成している。外郭部21は、有底筒状に形成され、スプロケット15と同軸上に配置されている。隔壁部22は、外郭部21の筒部23から径内方向へ延び、カップ20の外郭部21とスプロケット15とにより区画形成される空間を複数の油圧室に仕切っている。カップ20は、ボルト29によりスプロケット15に固定され、スプロケット15とともに図2のカムシャフト97と一体に回転可能である。
各ベーン32は、ボス31から放射状に延び、ベーンロータ30のボス31とカップ20とスプロケット15との間に区画形成される圧力室を進角室26と遅角室27とに仕切っている。
ストッパピン41は、ベーンロータ30のボス31を軸方向に貫通し、一端部42がボス31からスプロケット15側に突き出し、他端部43がボス31からカップ20の底部24側に突き出している。ストッパピン41は、円柱状であり、円柱外面44を有している。本実施形態では、ストッパピン41は1本設けられている。
ストッパピン67は、ベーンロータ30のボス31を軸方向に貫通し、一端部68がボス31からスプロケット15側に突き出し、他端部69がボス31からカップ20の底部24側に突き出している。ストッパピン67は、円柱状であり、円柱外面44を有している。本実施形態では、ストッパピン67は1本設けられている。
S104では、電子制御装置75は、車両の例えばインストルメントパネル等に設けられたチェックランプを点灯する。
ストッパピン67は、円柱状であり、円柱外面44を有している。補助ストッパ面62、63、65、66は、ストッパピン67の円柱外面44と当接可能な凹曲面である。したがって、ストッパピン67と補助ストッパ面62、63、65、66との当たり部位が安定するとともに、相互に作用する応力が低減する。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図7〜図10に基づき説明する。
バルブタイミング調整装置100の基本制限手段101には、ストッパピン41および円弧溝51が3つずつ設けられている。各ストッパピン41および各円弧溝51は、ベーンロータ30の軸心まわりに等角度間隔に設けられている。
また、補助制限手段102には、ストッパピン67および円弧溝61が3つずつ設けられている。各ストッパピン67および各円弧溝61は、ベーンロータ30の軸心まわりに等角度間隔に設けられている。
第2実施形態によれば、基本制限手段101および補助制限手段102は、ベーンロータ30の相対回動を制限するとき、ベーンロータ30に作用する衝撃力を周方向で均等に分散させることができる。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図11〜図13に基づき説明する。
バルブタイミング調整装置110の基本制限手段111は、ストッパピン112およびストッパ面113、114から構成されている。ストッパピン112は、円筒状に形成された金属部材であり、ベーンロータ30からスプロケット15側に突き出している。ストッパ面113、114は、円弧溝51の周方向の端面である。ストッパ面113は、円弧溝51の遅角側の端面であり、ストッパ面114は、円弧溝51の進角側の端面である。ストッパ面113、114は、ストッパピン112と周方向に当接可能な凹曲面である。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の第4実施形態によるバルブタイミング調整装置を図14〜図16に基づき説明する。
バルブタイミング調整装置120の基本制限手段121は、ストッパ面122、123および爪124、125から構成されている。ストッパ面122は、ベーンロータ30のボス31と同心の仮想円Sに沿って延びるようにカップ20の底部24に形成された円弧溝126のうち、遅角側の端面である。爪124は、ボス31から円弧溝126内に突き出す突起であり、ストッパ面122と面接触可能である。
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンは、ベーンロータと同一部材から構成してもよい。また、ストッパピンは、ベーンロータの軸方向の一端側と他端側とを別部材から構成してもよい。また、ストッパピンは、ベーンロータの軸方向の一端側および他端側の少なくとも一方に設けられればよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンの数は、2つ、または4つ以上であってもよい。また、ストッパピンが複数設けられる場合、各ストッパピンは、周方向で等角度間隔に設けられなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンとストッパ面との当接面は、円柱外面と凹曲面とから構成しなくてもよく、例えば平面と平面とから構成してもよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピン、スプロケットおよびカップの一部または全部は、金属以外の例えば樹脂などから構成されてもよいし、また熱処理により硬度が高められなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、通常走行用マップおよび退避走行用マップは、エンジン回転数および吸入空気量以外をパラメータとするマップであってもよい。例えば、吸入空気量に代えて、エンジン負荷を表す他のパラメータを用いてもよい。
本発明の他の実施形態では、ベーンロータは、厚み方向に積層されてなる積層体を含んでいてもよい。
本発明の他の実施形態では、スプロケットおよびチェーン以外の回転伝達部材が用いられてもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整システムは、エンジンの排気バルブの開閉タイミングを調整してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
15・・・スプロケット(ハウジング)
20・・・カップ(ハウジング)
26・・・進角室
27・・・遅角室
30・・・ベーンロータ
32・・・ベーン
40、101、111、121・・・基本制限手段
70・・・油圧制御弁
75・・・電子制御装置(制御装置、検出手段)
78・・・クランク角センサ(検出手段)
79・・・カム角センサ(検出手段)
Claims (8)
- エンジン(90)の駆動軸(93)から吸気バルブ(91)または排気バルブ(92)を開閉駆動する従動軸(97)まで回転を伝達する回転伝達系に設けられ、前記吸気バルブまたは前記排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整システム(5)であって、
前記駆動軸および前記従動軸の一方と一体に回転可能なハウジング(15、20)と、
前記駆動軸および前記従動軸の他方と一体に回転可能であり、前記ハウジング内部を進角室(26)と遅角室(27)とに仕切るベーン(32)を形成し、前記ハウジングに対して所定角度範囲内で相対回動可能なベーンロータ(30)と、
前記進角室および前記遅角室の油圧を制御し、前記ハウジングと前記ベーンロータとの回転位相差を変更可能な油圧制御弁(70)と、
前記回転位相差を検出する検出手段(78、79、75)と、
前記回転位相差が、前記所定角度範囲よりも小さい基本角度範囲内となるように、前記ハウジングと前記ベーンロータとの相対回動を機械的に制限する基本制限手段(40、101、111、121)と、
前記基本制限手段が破損した場合、前記回転位相差が、前記基本角度範囲よりも大きく且つ前記所定角度範囲よりも小さい補助角度範囲内となるように、前記ハウジングと前記ベーンロータとの相対回動を機械的に制限する補助制限手段(60、102、115、128)と、
前記回転位相差が前記基本角度範囲外か否かを判定する判定手段、前記回転位相差が前記基本角度範囲外であると判定された場合、前記回転位相差の目標値を前記基本角度範囲よりも小さい規制角度範囲内で設定する目標設定手段、および、前記回転位相差が前記目標値と一致するように前記油圧制御弁を駆動する駆動手段、を含む制御装置(75)と、
を備えることを特徴とするバルブタイミング調整システム。 - 前記補助制限手段(60、102)は、
前記ベーンロータおよび前記ハウジングの一方から他方へ軸方向に突き出すストッパピン(67)と、
前記ベーンロータおよび前記ハウジングの他方に形成され、前記ストッパピンと周方向に当接可能なストッパ面(62、63、65、66)と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整システム。 - 前記ストッパピンは、円柱外面(44)を有し、
前記ストッパ面は、前記円柱外面と当接可能な凹曲面であることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整システム。 - 前記ストッパピンは、前記ベーンロータの軸心まわりに等角度間隔に複数設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載のバルブタイミング調整システム。
- 前記ストッパピンと前記ストッパ面が形成された部材とのうち少なくとも一方には、熱処理が施されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整システム。
- 前記ストッパピンと前記ストッパ面とのうち少なくとも一方には、表面処理が施されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整システム。
- 前記基本制限手段(111)は、前記ベーンロータおよび前記ハウジングの一方から他方へ突き出す筒状の第1ストッパピン(112)と、前記ベーンロータおよび前記ハウジングの他方に形成され、前記第1ストッパピンと周方向に当接可能なストッパ面(113、114)と、を含み、
前記補助制限手段(115)は、前記第1ストッパピンの内側で前記ベーンロータおよび前記ハウジングの一方から他方へ突き出す軸状の第2ストッパピン(116)と、前記ストッパ面と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整システム。 - 前記基本制限手段(121)は、前記ベーンロータおよび前記ハウジングの一方から他方へ突き出す第1爪(124、125)と、前記ベーンロータおよび前記ハウジングの他方に形成され、前記第1爪と周方向に当接可能なストッパ面(122、123)と、を含み、
前記補助制限手段(128)は、前記第1爪に対して前記ストッパ面とは反対側で前記ベーンロータおよび前記ハウジングの一方から他方へ突き出す第2爪(129、131)と、前記ストッパ面と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整システム。
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