JP2010203372A - 可変動弁機構の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バルブタイミング可変機構の応答性を向上させる
【解決手段】内燃機関10には、吸気バルブ15のバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構30と、同バルブ15の最大リフト量を可変とするバルブリフト量可変機構60とが設けられている。そして、バルブタイミング可変機構30を通じてバルブタイミングを変更する際には、バルブリフト量可変機構60における最大リフト量をその目標最大リフト量に制御するのに先立ち過渡目標値が設定され、同過渡目標値に基づいてバルブリフト量可変機構60が制御される。この過渡目標値は、バルブタイミングを進角させる際には、目標最大リフト量よりも小さく設定される一方、バルブタイミングを遅角させる際には、目標最大リフト量よりも大きく設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置に関する。
車両に搭載される内燃機関においては、排気性状の改善や出力の向上を図るべく、吸気バルブや排気バルブといった機関バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構の制御装置を備えるものが実用化されている。こうした可変動弁機構の制御装置では、例えば内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブの開閉時期、すなわちバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、この機関バルブの最大リフト量を可変とするバルブリフト量可変機構とによって、機関バルブのバルブ特性が機関運転状態に応じて可変制御される(例えば特許文献1参照)。
特開2005−163742号公報
ところで、上述した機関バルブには、同機関バルブを閉弁方向に付勢するバルブスプリングが設けられている。そのため、上記カムシャフトに設けられたカムによる機関バルブの開弁時には、このバルブスプリングによる力がカムシャフトの回転を妨げる方向に作用し、閉弁時にはカムシャフトの回転を促す方向に作用する。
さらに、上記カムシャフトはカムジャーナルにおいて軸支されているため、上記カムによる機関バルブの開弁時には、バルブスプリングによる力がカムシャフトに作用することにより、これらカムシャフトとカムジャーナルとの間において、カムシャフトの回転を妨げるトルク、いわゆる引きずりトルクが増大するようになる。
すなわち、機関バルブの開閉操作に伴いカムシャフトに作用するトルク(カムトルク)は変動するものの、平均的には、このカムシャフトの回転を妨げる方向に作用する傾向にある。また、機関バルブの最大リフト量が大きいときほど、バルブスプリングによりカムシャフトが受ける反力が大きくなるため、上述したカムトルクの大きさが増大する傾向にある。
したがって、機関バルブの最大リフト量が大きくなり、カムトルクが増大した場合には、バルブタイミング可変機構における応答性が低下するといった問題が生じることがある。例えば、クランクシャフトの回転方向に対してカムシャフトを同方向に相対回転させようとするときにおいて、機関バルブの最大リフト量が比較的大きい場合には、最大リフト量が小さく設定されている場合と比較してカムトルクが大きくなる結果、その相対回転の応答性が低下するようになる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、同機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって前記機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、バルブタイミング可変機構の応答性を向上させることにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって同機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを進角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも小さい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御することを要旨とする。
ここで、カムシャフトの回転を妨げる方向(遅角側)に作用するトルク(カムトルク)の大きさは、リフト量可変機構によって変更される最大リフト量が小さいときほど低下する傾向にある。
そこで、上記構成では、バルブタイミング可変機構を通じて機関バルブのバルブタイミングを進角させる際には、最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも小さい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいてリフト量可変機構を制御するようにしている。したがって、バルブタイミングを進角させる際に、機関運転状態により定められた目標値に基づいて最大リフト量が制御されるときと比較して、遅角側に作用するカムトルクを低下させることができる。これにより、バルブタイミングを進角させる際における応答性を向上させることができるようになる。
請求項2に記載の発明は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって同機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを遅角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも大きい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御することを要旨とする。
一方、カムシャフトの回転を妨げる方向(遅角側)に作用するトルク(カムトルク)の大きさは、リフト量可変機構によって変更される最大リフト量が大きいときほど増大する傾向にある。
そこで、上記構成では、バルブタイミング可変機構を通じて機関バルブのバルブタイミングを遅角させる際には、最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも大きい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいてリフト量可変機構を制御するようにしている。したがって、バルブタイミングを遅角させる際に、機関運転状態により定められた目標値に基づいて最大リフト量が制御されるときと比較して、遅角側に作用するカムトルクを増大させることができる。これにより、バルブタイミングを遅角させる際における応答性を向上させることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって同機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを進角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも小さい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御する一方、前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを遅角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも大きい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御することを要旨とする。
上記構成では、バルブタイミング可変機構を通じて機関バルブのバルブタイミングを変更する際には、最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいてリフト可変機構を制御するようにしている。この過渡目標値は、バルブタイミングを進角させる際には、目標値よりも小さく設定される一方、バルブタイミングを遅角させる際には、目標値よりも大きく設定される。したがって、バルブタイミングを変更する際に、機関運転状態により定められた目標値に基づいて最大リフト量が制御されるときと比較して、カムシャフトの回転を妨げる方向に作用するカムトルクを同カムシャフトの相対回転方向に応じて増大又は低下させることができる。これにより、バルブタイミングを変更する際における応答性を向上させることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記相対回転位相の実際値である実位相と、機関運転状態に基づき設定された目標位相との乖離度合を算出する算出手段を更に有し、前記算出手段により算出された乖離度合が大きいときほど、前記過渡目標値が前記目標値から大きく乖離するようにこれを設定することを要旨とする。
上記構成では、実位相と目標位相との乖離度合を算出し、その算出された乖離度合が大きいときほど、目標値から大きく乖離するように過渡目標値を設定するようにしている。そのため、上記乖離度合が比較的大きいときには、機関運転状態により定められた目標値に基づいて最大リフト量が制御されるときと比較して、カムシャフトの回転を妨げる方向に作用するカムトルクをより大きく増大又は低下させることができ、バルブタイミングを変更する際における応答性を好適に向上させることができるようになる。
一方、実位相と目標位相との乖離度合が比較的小さいときには、目標値に対する過渡目標値の乖離も小さくなるように設定されるため、目標値に基づいて最大リフト量が制御されるときのカムトルクの大きさと、過渡目標値に基づいて最大リフト量が制御されるときのカムトルクの大きさとが近付くようになる。そのため、相対回転位相を目標位相に対して円滑に収束させることができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記リフト量可変機構は、電動機を動力源とするアクチュエータにより駆動されて機関バルブの最大リフト量を可変とすることを要旨とする。
上記構成によれば、リフト量可変機構は、電動機を動力源とするアクチュエータにより駆動されて機関バルブの最大リフト量を可変とするものであるため、最大リフト量を変更する際の応答性が高く、最大リフト量を迅速に目標値又は過渡目標値に設定することができる。これにより、カムシャフトに作用するカムトルクの大きさを、バルブタイミング可変機構におけるカムシャフトの相対回転方向に応じて迅速に増大又は低下させることができるため、バルブタイミング可変機構の応答性をより一層向上させることができるようになる。
請求項6に記載されるように、上記バルブタイミング可変機構が、機械式のオイルポンプから供給される作動油の圧力により前記相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とする構成を採用した場合には、作動油の温度や圧力、機関回転速度等の機関運転状態によってその応答性が低下しやすくなる傾向にある。そして、このようにバルブタイミング可変機構の応答性が低下すると、排気性状や燃費が悪化したり、要求される機関出力が得られなかったりするといった問題が発生し得る。
この点、同構成に請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成が適用されることにより、バルブタイミング可変機構における応答性を向上させることができるため、たとえ応答性が低下しやすくなる機関運転状態であっても、相対回転位相を目標位相に迅速に変更することができるようになる。
また、上記バルブタイミング可変機構は、機械式のオイルポンプから供給される作動油の圧力により駆動されるものであるため、電動機を動力源とするアクチュエータにより駆動される場合と比較して、応答性が低くなる傾向にある。
そこで、特に、同構成に請求項5の構成が適用される場合には、より応答性の高いリフト量可変機構によって最大リフト量の目標値が変更されることにより、上述したバルブタイミング可変機構であっても、応答性を向上させることができるようになる。したがって、上述した相対回転位相及び最大リフト量、すなわち機関バルブのバルブ特性をともに機関運転状態に応じて高い応答性をもって変更することができるようになる。
本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第1の実施形態について、これが適用される内燃機関とその周辺構成を示す模式図。 同実施形態にかかるバルブタイミング変更機構の部分断面斜視図。 バルブリフト可変機構の駆動に基づく吸気バルブの最大リフト量及び作用角の変化態様を示す図。 バルブタイミング可変機構の駆動に基づく吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示す図。 バルブタイミングを進角させる際における相対回転位相及び最大リフト量の変化態様を示すタイムチャート。 位相偏差と目標値偏差との関係を示す図。 バルブタイミングを遅角させる際における相対回転位相及び最大リフト量の変化態様を示すタイムチャート。 同実施形態において実行される「バルブ特性変更処理」の処理手順を示すフローチャート。 第2の実施形態における位相偏差と目標値偏差との関係を示す図。 同実施形態において実行される「バルブ特性変更処理」の処理手順を示すフローチャート。 第2の実施形態の変形例において実行される「バルブ特性変更処理」の処理手順を示すフローチャート。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第1の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に、本実施形態にかかる制御装置が適用される内燃機関10及びその周辺機構を示す。同図1に示すように、内燃機関10の気筒内には、ピストン11が往復動可能に収容されている。このピストン11の頂面と気筒内の内周面とによって燃焼室12が区画形成されており、この燃焼室12には吸気通路13及び排気通路14がそれぞれ接続されている。また、ピストン11には、同ピストン11の往復動により回転するクランクシャフト19がコネクティングロッド19aを介して連結されている。
吸気通路13には、同吸気通路13内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁17が設けられている。また、燃焼室12には、吸気通路13を通じて供給される空気と上記燃料噴射弁17から噴射供給される燃料との混合気に点火する点火プラグ18が取り付けられている。
内燃機関10には、燃焼室12と吸気通路13との間を連通又は遮断する吸気バルブ15と、燃焼室12と排気通路14との間を連通又は遮断する排気バルブ16とが設けられている。これら吸気バルブ15及び排気バルブ16は、クランクシャフト19の回転が伝達される吸気カムシャフト20及び排気カムシャフト22の回転に伴い開閉駆動される。
また、内燃機関10には、吸気バルブ15のバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構として、図2に併せて示すように吸気カムシャフト20の先端に設けられたバルブタイミング可変機構30と、吸気カムシャフト20と吸気バルブ15との間に設けられたバルブリフト量可変機構60とが設けられている。
上記吸気バルブ15には、同バルブ15を閉弁方向に付勢するスプリング15aが設けられている。そして、吸気カムシャフト20の回転に伴い、同カムシャフト20に設けられた吸気カム21により吸気バルブ15がバルブリフト量可変機構60を介して押圧され、これにより、スプリング15aの付勢力に抗して同吸気バルブ15が開弁される。
また、排気バルブ16には、同バルブ16を開弁方向に付勢するスプリング16aが設けられている。そして、排気カムシャフト22の回転に伴い、同カムシャフト22に設けられた排気カム23により排気バルブ16が押圧され、これによりスプリング16aの付勢力に抗して同排気バルブ16が開弁される。
バルブリフト量可変機構60は、電動機(図示略)を動力源とするアクチュエータ61による所定回転角範囲内での回転駆動を通じて、吸気バルブ15の最大リフト量Lを可変とする。すなわち、図3の矢印に示すように最大リフト量Lが可変設定され、これにより吸気バルブ15の開弁期間(作用角)が可変設定される。
また、バルブタイミング可変機構30は、クランクシャフト19に対する吸気カムシャフト20の相対回転位相θの変更を通じて吸気バルブ15の開閉時期を可変とする。すなわち、図4の矢印に示すように、吸気バルブ15の開弁期間(作用角)を一定に保持した状態で同バルブ15の開弁時期及び閉弁時期が共に進角又は遅角される。
図2に示すように、バルブタイミング可変機構30のプーリ41には、クランクシャフト19のプーリ(図示略)に掛装されたタイミングベルト40が噛み合っている。これにより、機関運転に伴いクランクシャフト19が回転するとその駆動力がタイミングベルト40を介してバルブタイミング可変機構30に伝達され、このバルブタイミング可変機構30とともに、同図2の矢印に示す方向に吸気カムシャフト20が回転する。
上記プーリ41に一体形成されたハウジング31の内部には、吸気カムシャフト20に駆動連結されたベーン体32が回動可能に収容されている。このベーン体32には、その中心から径方向に伸びる複数のベーン33が設けられている。これら複数のベーン33はハウジング31の内部に形成された収容室34内に配置されており、この収容室34内を進角側油圧室35と遅角側油圧室36とに区画している。
図1に併せて示すように、これら進角側油圧室35及び遅角側油圧室36には、クランクシャフト19によって駆動される機械式のオイルポンプ51を通じて作動油が供給される。このオイルポンプ51は、オイルパン50の作動油内に開口端部を有する供給油路52の途中に設けられており、この供給油路52は、油圧調整弁(OCV)56に接続されている。また、このOCV56には、進角側油圧室35に連通する進角側油路53と、遅角側油圧室36に連通する遅角側油路54とがそれぞれ接続されている。さらに、OCV56には、進角側油圧室35又は遅角側油圧室36から排出された作動油をオイルパン50に戻す排出油路55が接続されている。
OCV56は、スプリング及び電磁ソレノイドの付勢力によって駆動され、上述した各油路52〜55の接続状態を切り替える。これにより、オイルポンプ51から吐出された作動油が進角側油圧室35又は遅角側油圧室36に選択的に供給されて、これら各油圧室35,36内の作動油の圧力(油圧)が調整される。
内燃機関10における各種制御は、電子制御装置70によって行われる。この電子制御装置70は、機関制御にかかる演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、機関制御に必要なプログラムや各種の情報を記憶するためのメモリ、外部との信号の入出力を行うための入力ポート及び出力ポート等を備えている。
電子制御装置70の入力ポートには、内燃機関10の運転状態を検出するために各種センサが接続されている。例えば、こうした各種センサとして、クランクシャフト19の近傍に設けられてクランク角及び機関回転速度NEを検出するクランク角センサ71、吸気カムシャフト20の近傍に設けられて同カムシャフト20の位置を検出するカム角センサ72、アクチュエータ61の上記所定回転角範囲内での回転角を検出する位置センサ73等がある。
一方、電子制御装置70の出力ポートには、燃料噴射弁17、点火プラグ18、OCV56、アクチュエータ61等の駆動回路が接続されている。
そして、電子制御装置70は、上記各種センサから入力された検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を把握し、その把握した運転状態に応じて上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。これにより、バルブタイミング可変機構30を通じて吸気バルブ15のバルブタイミングを機関運転状態に適合させるためのバルブタイミング可変制御が実行される。また、バルブリフト量可変機構60を通じて吸気バルブ15の最大リフト量Lを機関運転状態に適合させるためのバルブリフト量可変制御が実行される。
バルブリフト量可変制御では、機関回転速度NEや機関負荷KLに基づいて最大リフト量を機関運転状態に応じた最適な量とするための目標値(目標最大リフト量)Ltが設定され、実際の最大リフト量(実最大リフト量)Lnがこの目標最大リフト量Ltに一致するように上述したアクチュエータ61が駆動される。なお、実最大リフト量Lnについては、上述した位置センサ73の出力信号に基づき検出される。
また、バルブタイミング可変制御では、機関回転速度NEや機関負荷KLに基づいて吸気バルブ15のバルブタイミングを機関運転状態に応じた最適な値とするための目標位相θtが設定され、クランクシャフト19に対する吸気カムシャフト20の実際の位相(実位相)θnがこの目標位相θtに一致するように上述したOCV56が駆動される。この実位相θnは、上述したクランク角センサ71及びカム角センサ72の出力信号に基づき検出される。
具体的には、OCV56の駆動を通じて、進角側油路53と供給油路52とが連通するとともに、遅角側油路54と排出油路55とが連通すると、供給油路52及び進角側油路53を通じて作動油が進角側油圧室35に供給される。これに伴い、遅角側油圧室36から作動油が排出されてオイルパン50に戻される。これにより、図2の矢印に示す進角側方向にベーン33が収容室34内で変位してベーン体32とハウジング31とが相対回転するため、クランクシャフト19に対する吸気カムシャフト20の相対回転位相θが進角側に変更される。その結果、吸気バルブ15のバルブタイミングが進角側に変化するようになる。
一方、OCV56の駆動を通じて、遅角側油路54と供給油路52とが連通するとともに、進角側油路53と排出油路55とが連通すると、供給油路52及び遅角側油路54を通じて作動油が遅角側油圧室36に供給される。これに伴い、進角側油圧室35から作動油が排出されてオイルパン50に戻される。これにより、図2の矢印に示す遅角側方向にベーン33が収容室34内で変位してベーン体32とハウジング31とが相対回転するため、クランクシャフト19に対する吸気カムシャフト20の相対回転位相θが遅角側に変更される。その結果、吸気バルブ15のバルブタイミングが遅角側に変化するようになる。
ところで、上述したように、吸気バルブ15には、同バルブ15を閉弁方向に付勢するバルブスプリング15aが設けられている。そのため、吸気カムシャフト20に設けられた吸気カム21による吸気バルブ15の開弁時には、このバルブスプリング15aによる力が吸気カムシャフト20の回転を妨げる方向(図2に示す遅角側方向)に作用し、閉弁時には吸気カムシャフト20の回転を促す方向(同図2に示す進角側方向)に作用する。
さらに、吸気カムシャフト20はカムジャーナル(図示略)において軸支されている。そのため、吸気カム21による吸気バルブ15の開弁時には、バルブスプリング15aによる力が吸気カムシャフト20に作用することにより、これら吸気カムシャフト20とカムジャーナルとの間において、吸気カムシャフト20の回転を妨げるトルク、いわゆる引きずりトルクが増大するようになる。
すなわち、吸気バルブ15の開閉操作に伴い吸気カムシャフト20に作用するトルク(カムトルク)は変動するものの、平均的には、この吸気カムシャフト20の回転を妨げる方向(同図2に示す遅角側方向)に作用する。また、吸気バルブ15の最大リフト量Lが大きいときほど、バルブスプリング15aにより吸気カムシャフト20が受ける反力が大きくなるため、上述したカムトルクの大きさが増大する傾向にある。
したがって、バルブタイミング可変機構30における応答性は、最大リフト量Lに応じて変化する傾向にあり、同最大リフト量によってはバルブタイミング可変機構30の応答性が低下するといった問題が生じる場合がある。例えば、バルブタイミングを進角側に変更させる際には、最大リフト量Lが大きいときの方が、小さいときと比較して応答性が低下する傾向にある。一方、バルブタイミングを遅角側に変更させる際には、最大リフト量Lが小さいときの方が、大きいときと比較して応答性が低下する傾向にある。
さらに、バルブタイミング可変機構30は、上述したように、機械式のオイルポンプ51から供給される作動油の油圧により相対回転位相θの変更を通じて吸気バルブ15のバルブタイミングを可変とするものである。そのため、作動油の温度や圧力、機関回転速度NE等の機関運転状態によってその応答性が変動しやすい。また、こうしたバルブタイミング可変機構30では、電動機を動力源とするアクチュエータにより駆動される場合と比較して、応答性が低くなる傾向にある。そして、このバルブタイミング可変機構30の応答性が低下すると、排気性状や燃費が悪化したり、要求される機関出力が得られなかったりするといった問題が発生し得る。
そこで、本実施形態における電子制御装置70は、「バルブ特性変更処理」を実行することにより、バルブタイミング可変機構30を通じて吸気バルブ15のバルブタイミングを変更する際には、最大リフト量Lを目標最大リフト量Ltに制御するのに先立ち、過渡目標値Ltpを設定し、この過渡目標値Ltpに基づいてバルブリフト量可変機構60を制御するようにしている。
次に、図5を参照して、「バルブ特性変更処理」の概要について説明する。同図5には、バルブタイミングが進角側に変更される際の目標位相θtや目標最大リフト量Lt等の推移を示す。なお、本実施形態における目標位相θtや実位相θnの値は、バルブタイミングが遅角側に設定されるときほど大きな値をとる。
時刻t11において、同図5(a)に示すように目標位相θtが進角側に変更されると、同図5(b)に示す実位相θnと上記目標位相θtとの位相偏差Δθが算出される。この位相偏差Δθは、実位相θnと目標位相θtとの差の絶対値(=|θt−θn|)として算出され、実位相θnと目標位相θtとの乖離度合に相当する。そして、こうして算出された位相偏差Δθに基づき、同図5(c)に示す目標値偏差ΔLが設定される。この目標値偏差ΔLは、機関運転状態に応じて設定される目標最大リフト量Ltと過渡目標値Ltpとの乖離度合に相当するものであって、図6に示すように、位相偏差Δθが大きいときほど大きく設定される。
なお、この目標値偏差ΔLは、位相偏差Δθが所定偏差α以下であるときには(Δθ≦α)、最小値である「0」に設定される。一方、最大位相偏差Δθmaxと実際の位相偏差Δθとの差が所定偏差β以下であるときには(Δθmax−Δθ≦β)、最大値である「ΔLmax」に設定される。
上記所定偏差αは、たとえ過渡目標値Ltpが設定されず目標最大リフト量Ltに基づき実最大リフト量Lnが制御された場合であっても、実位相θnを目標位相θtに迅速に一致させることのできる程度の偏差Δθが設定されている。
一方、最大位相偏差Δθmaxは、最遅角側から最進角側へ、又は最進角側から最遅角側へバルブタイミングが変更されるときにおける位相偏差Δθである。そして、上記所定偏差βは、目標最大リフト量Ltに対し、実最大リフト量Lnをできるだけ大幅に減量補正、又は増量補正することが望ましいと判断することのできる偏差Δθに設定されている。こうした位相偏差Δθと目標値偏差ΔLとの関係は、予め決定されて電子制御装置70のメモリに記憶されている。
そして、こうして設定された目標値偏差ΔLに基づいて、下記式(1)により過渡目標値Ltpが設定される。ここでは、目標位相θtが実位相θnよりも小さい進角要求時であるため(θt<θn)、同図5(d)の破線に示すように、目標最大リフト量Ltから目標値偏差ΔLが減算されることにより、目標最大リフト量Ltよりも小さい過渡目標値Ltpが設定される。

過渡目標値Ltp←目標最大リフト量Lt−目標値偏差ΔL …(1)

そして、この過渡目標値Ltpに基づいてバルブリフト量可変機構60が制御されると、同図5(e)に示すように、実最大リフト量Lnは、過渡目標値Ltpに基づき制御される。したがって、時刻t11において、たとえ機関運転状態の変化に伴い目標最大リフト量Ltが増量側に変更された場合であっても、実最大リフト量Lnは、この目標最大リフト量Ltに制御されるのに先立ち、目標最大リフト量Ltを基準として一時的に減量補正された過渡目標値Ltpに変更される。
これにより、目標最大リフト量Ltに基づいて制御されるときと比較して、遅角側に作用するカムトルクを低下させることができる。したがって、同図5(b)及び(e)の一点鎖線で示すように目標最大リフト量Ltに基づいて制御されるときよりも、バルブタイミングを進角させる際における応答性を向上させることができる。
なお、実位相θnが目標位相θtに近付くことにより位相偏差Δθが減少すると、これに伴い、目標値偏差ΔLは、図6の関係図に基づき小さく設定されるため、過渡目標値Ltpが徐々に目標最大リフト量Ltに近付くようになる。そして、時刻t12において位相偏差Δθが所定偏差αまで小さくなると、目標値偏差ΔLが「0」に設定されて過渡目標値Ltpが目標最大リフト量Ltに一致するため、実最大リフト量Lnと目標最大リフト量Ltとが一致する。そして、時刻t13において実位相θnが目標位相θtに対して円滑に収束する。
次に、図7を参照して、バルブタイミングが遅角側に変更される際における目標位相θtや目標最大リフト量Lt等の推移について、バルブタイミングを進角側に変更する場合(図5)との相違点を中心に説明する。
時刻t21において、同図7(a)に示すように目標位相θtが遅角側に変更されると、同図7(b)に示す実位相θnと上記目標位相θtとの位相偏差Δθ(=|θt−θn|)に基づき、同図7(c)に示す最大リフト量Lの目標値偏差ΔLが設定される。
そして、この設定された目標値偏差ΔLに基づいて、下記式(2)により過渡目標値Ltpが設定される。ここでは、目標位相θtが実位相θnよりも大きい遅角要求時であるため(θt>θn)、同図7(d)の破線に示すように、目標最大リフト量Ltに目標値偏差ΔLが加算されることにより、目標最大リフト量Ltよりも大きい過渡目標値Ltpが設定される。

過渡目標値Ltp←目標最大リフト量Lt+目標値偏差ΔL …(2)

そして、この過渡目標値Ltpに基づいてバルブリフト量可変機構60が制御されると、同図7(e)に示すように、実最大リフト量Lnは、過渡目標値Ltpに基づき制御される。したがって、時刻t21において、機関運転状態の変化に伴い目標最大リフト量Ltが増量側に変更された場合には、実最大リフト量Lnは、この目標最大リフト量Ltに制御されるのに先立ち、目標最大リフト量Ltを基準としてさらに増量補正された過渡目標値Ltpに変更される。
これにより、目標最大リフト量Ltに基づいて制御されるときと比較して遅角側に作用するカムトルクを増大させることができる。したがって、同図7(b)及び(e)の一点鎖線で示すように目標最大リフト量Ltに基づいて制御されるときよりも、バルブタイミングを遅角させる際における応答性を向上させることができる。
その後、実位相θnが目標位相θtに近付くことにより位相偏差Δθが減少すると、これに伴い、目標値偏差ΔLは、図6の関係図に基づき小さく設定されるため、過渡目標値Ltpが徐々に目標最大リフト量Ltに近付くようになる。そして、時刻t22において位相偏差Δθが所定偏差αまで小さくなると、目標値偏差ΔLが「0」に設定されて過渡目標値Ltpが目標最大リフト量Ltに一致するため、実最大リフト量Lnと目標最大リフト量Ltとが一致する。そして、時刻t23において実位相θnが目標位相θtに対して円滑に収束する。
次に、図8を参照して、「バルブ特性変更処理」の処理手順について説明する。同図8に示すフローチャートは、電子制御装置70により所定の周期毎に繰り返し実行される。なお、この電子制御装置70が、本発明における算出手段として機能する。
本処理が開始されると、まず、機関回転速度NE及び機関負荷KLが検出され(ステップS100)、これら機関回転速度NEと機関負荷KLとにより把握された機関運転状態に応じて、目標位相θt及び目標最大リフト量Ltが設定される(ステップS110)。
続いて、実位相θn及び実最大リフト量Lnが検出される(ステップS120)。上述したように、実位相θnは、上述したクランク角センサ71及びカム角センサ72の出力信号に基づき検出され、実最大リフト量Lnは、上述した位置センサ73の出力信号に基づき検出される。
次に、目標位相θtと実位相θnとに基づき、位相偏差Δθ(=|θt−θn|)が算出されて(ステップS130)、この算出された位相偏差Δθが「0」であるか否かが判定される(ステップS140)。そして、位相偏差Δθが「0」である場合には(ステップS140:YES)、目標位相θtと実位相θnとが一致しているため、過渡目標値Ltpが設定されることなく、本処理が終了される。
一方、位相偏差Δθが「0」ではない場合には(ステップS140:NO)、以下の処理において、最大リフト量Lの過渡目標値Ltpが設定される。
まず、算出された位相偏差Δθに基づき、最大リフト量Lの目標値偏差ΔLが設定される(ステップS150)。ここでは、上述したように図6に示す関係図に基づき設定される。
続いて、進角要求時(θt<θn)であるか否かが判定される(ステップS160)。具体的には、目標位相θtが実位相θnよりも小さいときに(θt<θn)、進角要求時である旨判定される。
これにより、進角要求時である旨(θt<θn)判定される場合には(ステップS160:YES)、目標最大リフト量Ltから上記目標値偏差ΔLが減算されて過渡目標値Ltpが設定される(上記(1)式参照)(ステップS170)。これにより、目標最大リフト量Ltよりも小さい過渡目標値Ltpが設定されて、本処理は終了される。
一方、遅角要求時である旨(θt>θn)判定される場合には(ステップS160:NO)、目標最大リフト量Ltに目標値偏差ΔLが加算されて過渡目標値Ltpが設定される(上記(2)式参照)(ステップS180)。これにより、目標最大リフト量Ltよりも大きい過渡目標値Ltpが設定されて、本処理は終了される。
そして、ステップS170又はステップS180において設定された過渡目標値Ltpに基づきバルブリフト量可変機構60が制御される。すなわち、目標最大リフト量Ltに制御されるのに先だち、目標最大リフト量Ltよりも小さい過渡目標値Ltp、又は大きい過渡目標値Ltpが設定され、この過渡目標値Ltpに基づいて実最大リフト量Lnが制御される。これにより、実最大リフト量Lnが減量補正、又は増量補正される。また、この「バルブ特性変更処理」が所定の周期毎に繰り返し実行されることにより、実位相θnが目標位相θtに一致するまで、そのときの位相偏差Δθに応じて過渡目標値Ltpが繰り返し設定される。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)吸気バルブ15のバルブタイミングが変更される際には、その目標値(目標最大リフト量)Ltに制御されるのに先立ち、過渡目標値Ltpに基づいてバルブリフト量可変機構60が制御される。この過渡目標値Ltpは、バルブタイミングを進角させる際には、目標最大リフト量Ltよりも小さく設定される一方、バルブタイミングを遅角させる際には、目標最大リフト量Ltよりも大きく設定される。したがって、こうしたバルブタイミングが変更される際に、機関運転状態により定められた目標最大リフト量Ltに基づいて制御されるときと比較して、吸気カムシャフト20の回転を妨げる方向(遅角側方向)に作用するカムトルクを、バルブタイミングを変更する方向に応じて増大又は低下させることができるようになる。これにより、バルブタイミングを変更する際における応答性を向上させることができるようになる。
(2)実位相θnと目標位相θtとの乖離度合が大きいとき、すなわち位相偏差Δθが大きいときほど、目標値偏差ΔLが大きく設定される。そのため、位相偏差Δθが比較的大きいときには、目標最大リフト量Ltに基づいて制御されるときと比較して、吸気カムシャフト20の回転を妨げる方向(遅角側方向)に作用するカムトルクを大きく増大又は低下させることができ、バルブタイミングを変更する際における応答性を好適に向上させることができるようになる。一方、実位相θnと目標位相θtとの乖離度合が小さいとき、すなわち位相偏差Δθが小さいときほど、目標値偏差ΔLが小さく設定される。これにより、位相偏差Δθが比較的小さいときには、目標最大リフト量Ltに基づいて最大リフト量が制御されるときのカムトルクの大きさと、過渡目標値Ltpに基づいて最大リフト量が制御されるときのカムトルクの大きさとが近付くようになる。そのため、実位相θnを目標位相θtに対して円滑に収束させることができるようになる。
(3)バルブリフト量可変機構60は、電動機を動力源とするアクチュエータ61により駆動されて吸気バルブ15の最大リフト量Lを可変とするものであるため、最大リフト量Lを変更する際の応答性が高い。そのため、実最大リフト量Lnを、目標最大リフト量Lt又は過渡目標値Ltpに迅速に変更することができる。これにより、吸気カムシャフト20に作用するカムトルクの大きさを、バルブタイミング可変機構30における吸気カムシャフト20の相対回転方向に応じて迅速に増大又は低下させることができるため、バルブタイミング可変機構30の応答性をより一層向上させることができるようになる。
(4)バルブタイミング可変機構30は、機械式のオイルポンプ51から供給される作動油の油圧によりバルブタイミングを可変とするものであるため、機関運転状態によってその応答性が変動しやすい。この点、本実施形態では「バルブ特性変更処理」が実行されることにより、バルブタイミング可変機構30における応答性を向上させることができるため、たとえ応答性が低下しやすくなる機関運転状態であっても、実位相θnを目標位相θtに迅速に変更することができるようになる。
(5)特に、本実施形態では、バルブタイミング可変機構30よりも応答性の高いバルブリフト量可変機構60によって最大リフト量Lが変更されるため、応答性が低下しやすくなる傾向にあるバルブタイミング可変機構30であっても、応答性をより一層向上させることができるようになる。したがって、上述した相対回転位相θ及び最大リフト量Lをともに機関運転状態に応じて高い応答性をもって変更することができるようになる。
(6)本実施形態では、位相偏差Δθが所定偏差α以下であるときには(Δθ≦α)目標値偏差ΔLが「0」に設定されるため、目標位相θtと実位相θnとの間にわずかな乖離が一時的に生じたような場合において、過渡目標値Ltpが不要に設定されることを回避することができる。また、上記「バルブ特性変更処理」を通じて実位相θnを目標位相θtに一致させる際には、実位相θnが目標位相θtに収束するよりも前に目標値偏差ΔLが「0」とされるため、ハンチングが生じることなく、実位相θnが目標位相θtに円滑に収束しやすくなる。
(7)一方、機関運転状態に応じて目標位相θtが大幅に変更され、実位相θnとの乖離が比較的大きく生じるとき、すなわち最大位相偏差Δθmaxと実際の位相偏差Δθとの差が所定偏差β以下であるときには(Δθmax−Δθ≦β)、目標最大リフト量Ltに対し、実最大リフト量Lnをできるだけ大幅に減量補正、又は増量補正することが望ましい。この点、本実施形態では、位相偏差Δθが最大位相偏差Δθmax近傍であるときには(Δθmax−Δθ≦β)、目標値偏差ΔLが最大値ΔLmaxに設定されるため、目標位相θtが大幅に変更された場合であっても、より一層、高い応答性をもって目標位相θtに実位相θnを一致させることができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、図9及び図10を参照して、本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1の実施形態では、実位相θnと目標位相θtとの差の絶対値を位相偏差Δθ(=|θt−θn|)として算出していた。これに対し、本実施形態では、実位相θnと目標位相θtとの差が位相偏差Δθ(=θt−θn)として算出される。なお、こうして算出された位相偏差Δθの絶対値が、実位相θnと目標位相θtとの乖離度合に相当する。
そして、先の図6に示した位相偏差Δθと目標値偏差ΔLとの関係図に代わり、図9に示す位相偏差Δθと目標値偏差ΔLとの関係図に基づき、目標値偏差ΔLが算出される。具体的には、同図9に示すように、算出される位相偏差Δθの絶対値が大きな値であるときほど、目標値偏差ΔLの絶対値が大きくなるように設定されている。なお、先の図6に示した関係図では、位相偏差Δθが所定偏差α以下であるときには(Δθ≦α)、目標値偏差ΔLが「0」に設定され、位相偏差Δθが最大位相偏差Δθmax近傍であるときには(Δθmax−Δθ≦β)、目標値偏差ΔLが最大値ΔLmaxに設定されるようにしていたが、本実施形態では、目標値偏差ΔLが位相偏差Δθに応じて連続的に設定される。この図9に示す関係図についても、電子制御装置70のメモリに予め記憶されている。
次に、図10を参照して、本実施形態において実行される「バルブ特性変更処理」の処理手順について説明する。
本処理が開始されると、ステップS200〜ステップS220まで、先の図8に示したステップS100〜ステップS120までと同一の処理が順に実行される。
そして、目標位相θtから実位相θnが減算されることにより、位相偏差Δθ(=θt−θn)が算出される(ステップS230)。上述したように、この実位相θnの値は遅角側に向かうほど大きな値をとるため、図9に示すように、遅角要求時には、位相偏差Δθが正の値として算出され、進角要求時には、位相偏差Δθが負の値として算出される。
次に、算出された位相偏差Δθに基づき、目標値偏差ΔLが設定される(ステップS240)。ここでは、上述したように図9に示す関係図に基づき設定される。これにより、目標値偏差ΔLとして、遅角要求時には正の値が設定され、進角要求時には負の値が設定される。
続いて、過渡目標値Ltpが設定されて(ステップS250)、本処理は終了される。
具体的には、下記(3)式に示すように、目標最大リフト量Ltに目標値偏差ΔLが加算されることにより過渡目標値Ltpが設定される。

過渡目標値Ltp←目標最大リフト量Lt+目標値偏差ΔL …(3)

これにより、進角要求時(Δθ<0)には、目標最大リフト量Ltよりも小さい過渡目標値Ltpが設定される一方、遅角補正時(Δθ>0)には、目標最大リフト量Ltよりも大きい過渡目標値Ltpが設定される。
以上説明した第2の実施形態によれば、上記(1)〜(5)に示した各作用効果を奏することができる。
(その他の実施形態)
なお、この発明にかかる可変動弁機構の制御装置は、上記各実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、同実施形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記各実施形態では、目標最大リフト量Ltを基準として、目標値偏差ΔLを設定し、これにより過渡目標値Ltpが設定される例を示した。しかし、バルブタイミングを変更しようとする方向に応じて、過渡目標値Ltpを設定することのできるものであれば、他の態様を採用してもよい。例えば、このように目標値偏差ΔLを設定することなく、位相偏差Δθ及び目標最大リフト量Ltと、過渡目標値Ltpとの関係が記憶されたマップに基づいて過渡目標値Ltpを設定するようにしてもよい。
・また、図6に示した位相偏差Δθと目標値偏差ΔLとの関係、図9に示した位相偏差Δθと目標値偏差ΔLとの関係はいずれも一例であって、バルブタイミング可変機構30における応答性がより向上するべく、適宜変更することが可能である。
・上記各実施形態では、実位相θnが目標位相θtに一致するまで、過渡目標値Ltpが繰り返し設定される例を示した。しかし、実位相θnと目標位相θtとの乖離が生じたときに、このときの位相偏差Δθに基づき過渡目標値Ltpを設定し、この設定された単一の過渡目標値Ltpに基づき実最大リフト量Lnを制御することにより、実位相θnを目標位相θtに一致させるようにしてもよい。図11に、この変形例における「バルブ特性変更処理」の処理手順を示す。本処理は、上記第2の実施形態における「バルブ特性変更処理」(図10)に代えて実行される。本処理が開始されると、ステップS300〜ステップS340まで、先の図10に示したステップS200〜ステップS240までの処理が順に実行される。そして、ステップS340において目標値偏差ΔLが設定されると、ステップS350において、過渡目標値Ltpが設定され、実位相θn及び実最大リフト量Lnの変更制御が実行される。すなわち、本ステップにおいて、実位相θnが目標位相θtに一致するまで、単一の過渡目標値Ltpに基づき実最大リフト量Lnが制御される。そして、実位相θnが目標位相θtに一致すると、最大リフト量の補正が解除され(ステップS360)、これにより、実最大リフト量Lnが目標最大リフト量Ltに変更される。この場合であっても、少なくとも、上記(1)に示した作用効果を奏することができる。
・また例えば、目標位相θtや実位相θnに関係なく、回転位相を進角させる際には目標最大リフト量Ltを予め定めた所定量だけ小さくする一方、回転位相を遅角させる際には目標最大リフト量Ltを予め定めた所定量だけ大きくするようにしてもよい。更に、機関運転状態に基づいて設定される目標最大リフト量Ltを基準とすることなく、回転位相を進角させる際には目標最大リフト量を一時的に最小値とする一方、回転位相を遅角させる際には目標最大リフト量を一時的に最大値とするようにしてもよい。
・上記各実施形態では、進角要求時及び遅角要求時のいずれであっても、過渡目標値Ltpが設定される例を示した。これに対し、進角要求時にのみ過渡目標値Ltpが設定されるようにしてもよい。この場合であっても、下記(8)に示す作用効果を奏することができる。
(8)バルブタイミングを進角させる際に、目標最大リフト量Lt値に基づいて最大リフト量が制御されるときと比較して、遅角側に作用するカムトルクを低下させることができる。これにより、バルブタイミングを進角させる際における応答性を向上させることができるようになる。
・また、遅角要求時にのみ過渡目標値Ltpが設定されるようにしてもよい。この場合であっても、下記(9)に示す作用効果を奏することができる。
(9)バルブタイミングを遅角させる際に、目標最大リフト量Lt値に基づいて最大リフト量が制御されるときと比較して、遅角側に作用するカムトルクを増大させることができる。これにより、バルブタイミングを遅角させる際における応答性を向上させることができるようになる。
・上記各実施形態では、吸気バルブ15のバルブ特性を可変とする可変動弁機構に本発明を適用する例を示した。しかし、排気バルブ16のバルブ特性を可変とする可変動弁機構についても本発明は適用可能であり、上述した各作用効果を奏することができる。
10…内燃機関、11…ピストン、12…燃焼室、13…吸気通路、14…排気通路、15…吸気バルブ、15a,16a…バルブスプリング、16…排気バルブ、17…燃料噴射弁、18…点火プラグ、19…クランクシャフト、19a…コネクティングロッド、20…吸気カムシャフト、21…吸気カム、22…排気カムシャフト、23…排気カム、30…バルブタイミング可変機構、31…ハウジング、32…ベーン体、33…ベーン、34…収容室、35…進角側油圧室、36…遅角側油圧室、40…タイミングベルト、41…プーリ、50…オイルパン、51…オイルポンプ、52…供給油路、53…進角側油路、54…遅角側油路、55…排出油路、56…油圧調整弁(OCV)、60…バルブリフト量可変機構、61…アクチュエータ、70…電子制御装置、71…クランク角センサ、72…カム角センサ、73…位置センサ。

Claims (6)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって同機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、
    前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを進角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも小さい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御する
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  2. 内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって同機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、
    前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを遅角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも大きい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御する
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  3. 内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関バルブの最大リフト量を可変とするリフト量可変機構とによって同機関バルブのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変とする可変動弁機構の制御装置において、
    前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを進角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも小さい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御する一方、前記バルブタイミング可変機構を通じて前記機関バルブのバルブタイミングを遅角させる際には、前記最大リフト量をその目標値に制御するのに先立ち同目標値よりも大きい過渡目標値を設定し、同過渡目標値に基づいて前記リフト量可変機構を制御する
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  4. 前記相対回転位相の実際値である実位相と、機関運転状態に基づき設定された目標位相との乖離度合を算出する算出手段を更に有し、
    前記算出手段により算出された乖離度合が大きいときほど、前記過渡目標値が前記目標値から大きく乖離するようにこれを設定する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変動弁機構の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の可変動弁機構の制御装置において、
    前記リフト量可変機構は、電動機を動力源とするアクチュエータにより駆動されて機関バルブの最大リフト量を可変とする
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変動弁機構の制御装置において、
    前記バルブタイミング可変機構は、機械式のオイルポンプから供給される作動油の圧力により前記相対回転位相の変更を通じて機関バルブのバルブタイミングを可変とする
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
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