JP6089431B2 - 可変動弁装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁の開閉時期を変更する可変動弁装置に関する。
特許文献1に記載される可変動弁装置は、クランク軸と駆動連結される第1回転体に対して、カム軸と一体となって回転する第2回転体を例えば油圧に基づいて相対回転させることで、カム軸により開閉駆動される弁の開閉時期を変更するようにしている。また、この可変動弁装置は、第2回転体の第1回転体に対する相対回転位相を、最進角位相から最遅角位相までの間の中間ロック位相に固定するロック機構を備えている。
こうした可変動弁装置では、機関始動時の油圧が十分に供給されない状況下で、第2回転体の相対回転位相が中間ロック位相よりも遅角側にあるときに、以下のようにして第2回転体の相対回転位相を中間ロック位相に固定するようにしている。すなわち、カム軸のカムが弁を開閉駆動するのに伴って、第2回転体を遅角側に相対回転させようとする正トルクと、第2回転体を進角側に相対回転させようとする負トルクとが、カム軸に対して交互に作用する。そこで、こうした可変動弁装置では、カム軸に作用する負トルクによって第2回転体を進角側に相対回転させることで、ロック機構のラチェット機能を通じて第2回転体の相対回転位相を漸次進角させる。そして、その相対回転位相が中間ロック位相となったときにロック機構によるロック操作がなされることで、機関始動時に第2回転体の相対回転位相を中間ロック位相に固定するようにしている。
特開2002−122009号公報
ところで、カム軸に作用する負トルクの大きさによっては第2回転体が進角側に相対回転するときの回転量を十分に確保することができないことがあり、このような場合には、第2回転体の相対回転位相を中間ロック位相に固定することができないといった事態や、中間ロック位相に固定するのに長時間を要してしまうといった事態が生じうる。このような場合、機関始動後早期に弁の開閉時期を機関始動に適した時期とすることができないため、機関始動性が低下する。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機関始動開始時にカム軸と一体となって回転する第2回転体の相対回転位相が中間ロック位相よりも遅角側にある場合に、機関始動後早期に中間ロック位相に固定することができる可変動弁装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、無端帯が巻き架けられて同無端帯によりクランク軸と駆動連結される非真円形状の外形をなす第1回転体と、カム軸と一体となって回転する第2回転体と、前記カム軸に設けられて弁を開閉駆動するカムと、前記第1回転体に対する前記第2回転体の相対回転位相を変位させることにより前記カムにより開閉駆動される弁の開閉時期を変更する変更機構と、前記第2回転体の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間にある中間ロック位相に固定するロック機構とを備え、前記第1回転体が回転する際に前記第2回転体から前記カム軸に作用する第1トルクと前記弁の開閉駆動に伴って前記カム軸に作用する第2トルクとを合成した合成トルクの変動量が、前記第2回転体の位相が遅角側に位置するほど大きくなるように、前記第1回転体の頂部と前記カムのカムノーズとの位相差が設定されていることで、遅角側ほど前記カム軸に作用する負トルクが大きくなるように設定されていることを要旨とする。
上記構成では、無端帯によりクランク軸と駆動連結される第1回転体の外形が非真円形状であるため、第1回転体が回転する際に第2回転体からカム軸に作用するトルク(以下、「第1トルク」と称する)が第1回転体の回転位相に応じて周期的に変動する。そのため、第2回転体の相対回転位相が変更されると、第1トルクの変動周期と、弁の開閉駆動に伴ってカム軸に対して作用するトルク(以下、「第2トルク」と称する)の変動周期との関係が変化し、第1トルクと第2トルクとの合成トルクの変動量が増大したり減少したりすることとなる。そこで、上記構成では、合成トルクの変動量が、前記第2回転体の位相が遅角側に位置するほど大きくなるように、前記第1回転体の頂部と前記カムのカムノーズとの位相差が設定されていることで、遅角側ほど前記カム軸に作用する負トルクが大きくなるように設定されている。これにより、カム軸に作用する負トルクが、相対回転位相が中間ロック位相よりも進角側の位相であるときよりも遅角側の位相であるときほど大きくなるように設定される。なお、ここで「負トルク」とは、第2回転体を進角側に回転させようとするトルクである。
したがって、第2回転体が中間ロック位相よりも遅角側の位相にあるときには、カム軸に作用する負トルクによって第2回転体が進角側に相対回転するときの回転量を増大させることができる。これにより、機関始動後早期に第2回転体の相対回転位相を中間ロック位相まで変位させて同位相に固定することができるため、弁の開閉時期を機関始動に適した時期として、機関始動性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記変更機構は機関回転速度が所定回転速度を上回るときに前記相対回転位相を強制的に進角させることを要旨とする。
機関回転速度が高くなるとカム軸に作用する合成トルクの変動量が大きくなるため、無端帯の張力は大きくなる。この点、上記構成では、無端帯の張力が大きくなりやすい状況下において、相対回転位相を進角させることで、カム軸に作用する合成トルクの変動量を小さくすることができるため、無端帯の張力が過大となってその耐用寿命が低下することを抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記カム軸には補機を駆動するカムが設けられていることを要旨とする。
カム軸に補機を駆動するカムが設けられる場合、補機用のカムによって補機が駆動されるのに伴い、カム軸には補機の駆動トルク(以下、「第3トルク」と称する)が作用する。このような場合、カム軸に設けられる弁を開閉駆動するためのカムのカムノーズと補機用のカムとのカムノーズのカム軸を中心とした回転位相差によっては、第2トルクと第3トルクとが互いに相殺しあうような変動周期でカム軸に作用して、第2トルクと第3トルクとの合成トルクの変動量が小さくなる場合がある。このような場合でも、第2回転体の相対回転位相を変更することで、第1〜第3の3つのトルクの合成トルクの変動量を増大したり減少したりするため、第2回転体の相対回転位相が中間ロック位相よりも遅角側の位相となるときには、進角側の位相となるときよりも、合成トルクの変動量が大きくなるようにして、カム軸に作用する負トルクを大きくすることができる。これにより、こうした補機用のカムがカム軸に設けられる構成であっても、第2回転体の相対回転位相が中間ロック位相よりも遅角側の位相であるときに、カム軸に作用する負トルクによって第2回転体が進角側に相対回転するときの回転量を確保することができ、相対回転位相を中間ロック位相に固定することができる。
なお、こうしたカム軸に設けられたカムにより駆動される補機としては、例えばブレーキブースタを作動させるためのバキュームポンプの他、請求項4に記載の発明によるように、燃料を燃料噴射装置に圧送する燃料ポンプを挙げることができる。
本発明の第1実施形態に係る可変動弁装置が適用される内燃機関及びその周辺構成を示す模式図。 同実施形態の吸気カム軸の軸線と直交する方向における断面図。 同実施形態の可変動弁機構についてスプロケットを取り外した状態の内部構造を示す断面図。 図3の4−4線断面図 (a)及び(b)は、同実施形態における吸気弁のリフト量と吸気カム軸に作用するカムトルクとの関係を示すグラフ。 吸気カム軸に作用するカムトルクとスプロケットの回転に伴うトルクとの合成トルクを示すグラフ。 (a)及び(b)は、同実施形態における機関始動時のロック機構の動作を順に示す断面図。 同実施形態における機関回転速度と張力との関係を示すグラフ。 同実施形態におけるベーンロータの位相制御を示すフローチャート。 本発明の第2実施形態における吸気カム軸と同カム軸に設けられるポンプカムにより駆動される燃料ポンプを示す模式図。 吸気カム軸に作用するカムトルクとポンプカムによるポンプの駆動トルクとの合成トルクを示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、図1〜図9を参照し、本発明を内燃機関の吸気弁の開閉時期を変更する可変動弁装置に具体化した第1実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関10は第1バンク11及び第2バンク12を有するV6エンジンであり、各バンク11,12にそれぞれ3つの気筒13を有する。各気筒13にはピストン15が往復移動可能に設けられている。ピストン15は、コンロッド16を介してクランク軸17に連結されている。各気筒13には燃焼室19を臨むようにして燃料噴射弁19Aが設けられている。各気筒13の燃焼室19には、吸気ポート20及び排気ポート21が接続されている。燃焼室19と吸気ポート20は吸気弁22により連通又は遮断され、燃焼室19と排気ポート21は排気弁23により連通又は遮断される。
吸気弁22は、スプリング24によって閉弁方向に付勢されており、排気弁23は、スプリング25によって閉弁方向に付勢されている。吸気カム軸26には気筒13毎に2つの吸気カム27が設けられている。そして、図2に示すように、各気筒13の吸気カム27は、カムノーズ27Aが吸気カム軸26周りに等間隔を隔てて設けられている。すなわち、カムノーズ27Aが、吸気カム軸26の中心軸周りに120°ごとに配設されている。吸気弁22は、吸気カム軸26が回転することで、そのカム軸26に設けられた吸気カム27がリフタ24Aを介してスプリング24を押圧することで、同スプリング24が収縮及び復元することにより開閉駆動される。一方、排気弁23は、排気カム軸28が回転することで、そのカム軸28に設けられた排気カム29がリフタ25Aを介してスプリング25を押圧することで、同スプリング25が収縮及び復元することにより開閉駆動される。
図1に示すように、各バンク11,12において、各吸気カム軸26の先端には、吸気弁22の開閉時期を変更する可変動弁機構30がそれぞれ設けられている。各可変動弁機構30は、後述するように非真円形状の外形をなすスプロケット31を備えている。そして、各バンク11,12の可変動弁機構30の各スプロケット31とクランク軸17のスプロケット18とは、タイミングチェーン61が巻き架けられることで、クランク軸17と駆動連結されている。すなわち、本実施形態では、各可変動弁機構30のスプロケット31が、第1回転体を構成する。また、各バンク11,12では、吸気カム軸26に設けられるスプロケット31と排気カム軸28に設けられるスプロケット32が、タイミングチェーン62を介して駆動連結されている。これにより、クランク軸17が回転すると、この回転がタイミングチェーン61,62を介してスプロケット31,32に伝達されて吸気カム軸26及び排気カム軸28がそれぞれ回転する。
図3に示すように、可変動弁機構30は、上記スプロケット31と、ハウジング33と、ハウジング33内に収容されるベーンロータ34とを備えている。
ハウジング33には、スプロケット31が一体的に取り付けられるとともに、その反対側には、カバー35が取り付けられている。スプロケット31は、非真円形状の外形をなしており、具体的には、その軸心Cからの距離が他の部位よりも相対的に長い頂部31Aが、その軸心周りに等間隔(120°)を隔てて設けられている。また、スプロケット31は、その外延部において頂部31Aから離反する部位ほど、軸心Cからの距離が相対的に短くなっている。ハウジング33には、径方向内側に向かって突出する区画壁33Aが設けられている。
ベーンロータ34は、吸気カム軸26(以下、単に「カム軸26」ともいう)の端部にボルトで固定されるボス34Aを備え、同カム軸26と一体となって回転する第2回転体を構成する。ベーンロータ34は、ハウジング33内の空間に配置されている。ベーンロータ34には、ハウジング33の隣り合う区画壁33Aの間に向けて突出した3つのベーン34Bが設けられている。各ベーン34Bは、区画壁33Aの間に形成されているベーン収容室36を進角室37および遅角室38に区画する。
進角室37は、ベーン収容室36内においてベーン34Bよりも矢印Xで示すカム軸26の回転方向の後方側に位置している。遅角室38は、ベーン収容室36内においてベーン34Bよりもカム軸26の回転方向の前方側に位置している。
ハウジング33及びスプロケット31に対するベーンロータ34の相対回転位相(以下、単に「ベーンロータ34の位相」という)は、ベーン34Bが隣り合う区画壁33Aの間で変位可能となるベーンロータ34の回動可能範囲において、回転方向の最も前方側にあるときの最進角位相と回転方向の最も後方側にあるときの最遅角位相の間で変位する。ベーンロータ34の位相は、吸気弁22の開閉時期に対応しており、その最進角位相は、吸気弁22の開閉時期の最進角タイミングに対応し、最遅角位相は、吸気弁22の開閉時期の最遅角タイミングに対応している。
また、可変動弁機構30は、ベーンロータ34の位相を、最進角位相と最遅角位相との間の中間ロック位相に機械的に固定するロック機構40を備えている。ベーンロータの位相が中間ロック位相であるときには、吸気弁22の開閉時期が始動に適した時期となる。なお、本実施形態では、最遅角位相と最進角位相との位相差が45°であり、最遅角位相から中間ロック位相との位相差が15°である。
図4に示すロック機構40は、ロック操作がなされ、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相に固定された状態を示している。
ロック機構40は、ベーン34Bに設けられた円筒状のロックピン41と、ロックピン41が挿脱自在なロック孔42とを備えている。このロック孔42は、カバー35に形成されている。また、ロックピン41はベーン34Bに形成されたピン収容孔45に往復動可能に収容されている。ピン収容孔45は、ロックピン41により、スプリング収容室46と解除室47とに区画されている。スプリング収容室46には、ロックピン41をカバー35側に付勢するロックスプリング48が収容されている。一方、解除室47は、後述する作動油が供給されることで、その油圧によりロックピン41がロックスプリング48側に付勢される。ロック孔42は、カバー35においてその周方向に沿った円弧状をなしており、相対的に深さが浅い上段部43と、相対的に深さが深い下段部44とを備えている。上段部43は、下段部44よりも遅角側に形成されている。
図1に示すように、内燃機関10の下部には、作動油を貯留するオイルパン14が取り付けられるとともに、クランク軸17の回転力により駆動されてオイルパン14の作動油を汲み上げるオイルポンプ70が設けられている。このオイルポンプ70により作動油が供給される油路74は、可変動弁機構30の進角室37,遅角室38及び解除室47に接続されるとともに、同油路74には、各油室37,38,47に対する作動油の給排状態を変更する油路制御弁75が設けられている。
内燃機関10には、機関運転状態を検出するための各種センサが設けられている。こうした各種センサとしては、たとえば、クランク角センサ81、カム角センサ82、エアフロメータ83等がある。クランク角センサ81は、クランク軸17の近傍に設けられてクランク角を検出する。カム角センサ82は、吸気カム軸26の近傍に設けられて同カム軸26の位置を検出する。エアフロメータ83は、吸気通路に設けられて吸入空気量を検出する。これら各種センサから出力される信号は、内燃機関10の各種装置を統括して制御する制御部80に取り込まれる。
制御部80は、演算ユニットをはじめ、各種制御プログラムや演算マップ、制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶するメモリ等を備えている。制御部80は、上述した各センサの検出結果に基づいて内燃機関10の運転状態を把握し、内燃機関10の各種装置を制御する。制御部80は、こうした制御の一つとして、内燃機関10の運転状態に基づいて、吸気弁22の開閉時期を制御する。吸気弁22の開閉時期の制御は、油路制御弁75の制御を通じて可変動弁機構30を制御することで行われる。すなわち、本実施形態では、各可変動弁機構30の進角室37および遅角室38に加え、制御部80と油路制御弁75とにより、吸気弁22の開閉時期を変更する変更機構が構成される。
制御部80の制御により、可変動弁機構30は以下のように作用する。
機関運転に伴いクランク軸17が回転するとその駆動力がタイミングチェーン61を介して各可変動弁機構30のスプロケット31に伝達されることで、カム軸26が回転する。これにより、吸気弁22はカム軸26に設けられた吸気カム27により開閉される。
また、各可変動弁機構30の進角室37及び遅角室38に対する作動油の供給又は排出が油路制御弁75を通じて制御されると、進角室37及び遅角室38の油圧に基づきベーン収容室36でベーン34Bが変位する。これにより、ベーンロータ34の位相、すなわちクランク軸17に対するカム軸26の相対回転位相が変更され、吸気弁22の開閉時期が変更される。
具体的には、可変動弁機構30の進角室37に対して作動油が供給される一方で遅角室38の作動油が排出されることにより、ベーンロータ34の位相が進角側に変位すると、吸気弁22の開閉時期が進角される。そして、ベーン34Bが遅角室38の進角側の内壁に当接すると、吸気弁22の開閉時期は最進角時期となる。また、遅角室38に対して作動油が供給される一方で進角室37の作動油が排出されることにより、ベーンロータ34の位相が遅角側に変位すると遅角側方向に相対回転すると、吸気弁22の開閉時期は遅角される。そして、ベーン34Bが進角室37の遅角側の内壁に当接すると、吸気弁22の開閉時期は最遅角時期となる。
機関停止要求時には、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相になるように油路制御弁75を通じて進角室37及び遅角室38の油圧が制御される。そして、ロック機構40の解除室47から作動油が排出されてこの解除室47の油圧が低くなると、ロックスプリング48で付勢されているロックピン41の先端がロック孔42の下段部44に挿入されることで、ロックピン41の変位が規制され、ロック機構40のロック操作が完了する。すなわち、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相に固定される。
これにより、その後内燃機関10の始動要求があったときには、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相に固定された状態でクランキングが開始される。これにより、機関始動時に吸気弁22の開閉時期が始動に適した時期となるため、内燃機関10は良好に始動することができる。
そして、機関始動後に所定条件が成立すると、ロックピン41がロック孔42から抜け出て、ロック機構40のロック状態が解除される。具体的には、ロック機構40の解除室47に作動油が供給されてこの解除室47の油圧が上昇すると、この油圧に基づく付勢力によりロックピン41がロック孔42から抜け出て、ベーンロータ34の位相が変位可能な状態となる。その後、吸気弁22の開閉時期が機関運転状態に適した目標時期となるように、油路制御弁75が制御される。
ところで、機関停止要求時において、何らかの異常が生じてロック機構40のロック操作がなされなかった場合には、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相に固定さていない状態で機関停止がなされる。こうした機関停止後に、内燃機関10の始動要求があったときには、吸気弁22の開閉時期が始動に適した時期となっていない状態でクランキングが開始されることとなる。なお、このような場合、進角室37及び遅角室38の各油圧の低下に伴いベーンロータ34の位相が遅角する方向に向かってベーンロータ34が相対回転するため、ベーンロータ34の位相が最遅角時期まで変化することが多い。
そこで、機関異常停止後の機関始動性を向上させるべく、本実施形態のロック機構40は、ロックピン41と、ロック孔42の上段部43及び下段部44とにより、カム軸26に作用するトルクによってベーンロータ34の位相を中間ロック位相にまで段階的に進角させるラチェット機能を有している。
以下に、カム軸26に作用するトルクと、ロック機構40のラチェット機能による機関始動後のロック操作について説明する。
図5に示すように、機関運転中には、吸気カム27による吸気弁22の開閉駆動に伴い、ベーンロータ34の位相を進角側に変位させようとする正トルクと、遅角側に変位させようとする負トルクとがカム軸26に対して交互に作用する。すなわち、図5(a)に示す弁リフト量が増大する期間では、カム軸26が回転して吸気カム27のカムノーズ27Aによりリフタ24Aを介してスプリング24が押圧されて収縮するため、図5(b)に示すように、正トルクがカム軸26に作用する。一方、図5(a)に示す弁リフト量が減少する期間には、収縮したスプリング24が元の状態に復元するため、図5(b)に示すように、負トルクがカム軸26に対して作用する。なお、本実施形態では、カム軸26に3つ気筒13に対応した吸気カム27が設けられているため、各気筒13の吸気カム27に対応したカムトルクが120°(240°クランク角)の位相差でカム軸26に作用する。
ベーンロータ34の位相が中間ロック位相に固定されておらず、進角室37及び遅角室38の各油室の油圧が十分に上昇していない状況下で、こうしたトルクがカム軸26に対して作用すると、ベーンロータ34がスプロケット31に対して相対回転しようとする。すなわち、負トルクが作用すると、ベーンロータ34の位相が進角側に変位しようとする。これにより、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相にまで変位して、ロック機構40のロック操作がなされると、ベーンロータ34の位相を中間ロック位相に固定することができる。
ところで、カム軸26に作用する負トルクの大きさによってはベーンロータ34が進角側に相対回転するときの回転量を十分に確保することができないことがあり、このような場合には、ベーンロータ34の位相を中間ロック位相に固定することができないといった事態や、中間ロック位相に固定するのに長時間を要してしまうといった事態が生じうる。
そこで、本実施形態では、ベーンロータ34の位相が、中間ロック位相よりも遅角側の位相にあるときに、負トルクが大きくなるように設定されている。具体的には、カム軸26に作用する負トルクが、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも進角側の位相であるときよりも遅角側の位相であるときに大きくなるように設定されている。
すなわち、本実施形態では、上記のように可変動弁機構30のスプロケット31が非真円形状の外形をなしているため、スプロケット31が回転する際にベーンロータ34からカム軸26に作用するトルク(以下、「第1トルク」と称する)がスプロケット31の回転位相に応じて周期的に変動する。そのため、ベーンロータ34の位相が変更されると、第1トルクの変動周期と、上述した吸気弁22の開閉駆動に伴ってカム軸26に対して作用するカムトルク(以下、「第2トルク」と称する)の変動周期との関係が変化し、第1トルクと第2トルクとの合成トルクの変動量が増大したり減少したりする。そこで、本実施形態では、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側の位相となるときに、この合成トルクの変動量が大きくなり、その位相が中間ロック位相よりも進角側の位相となるときには、この合成トルクの変動量が小さくなるように、スプロケット31の頂部31Aとカムノーズ27Aとの位置関係を設定する。これにより、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側であるときに吸気カム軸26に作用する負トルクが、中間ロック位相よりも進角側の位相であるときに作用する負トルクよりも大きくなる。
図6の実線A及び破線Bは、本願発明者が、コンピュータによるシミュレーションにより求めたカム軸26に作用する合成トルクを示している。なお、図6では、カム軸26に作用する全トルクから、同カム軸26が回転するのに利用されるトルクを減算した値、すなわち、ベーンロータ34の位相の変化に寄与するトルクのみを図示している。
本願発明者は、具体的には、スプロケット31の頂部31Aとカム軸26に設けられる吸気カム27のカムノーズ27Aとのカム軸26周りの回転位相差を変化させて、カム軸26に作用する合成トルクを求めた。そして、スプロケット31の頂部31Aと吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差がX°となるときに、図6の実線Aに示すように、合成トルクの変動量が最大となり、負トルクの絶対値の最大値がトルクTaとなった。また、スプロケット31の頂部31Aと吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差が(X+60)°のときに、図6の破線Bに示すように、合成トルクの変動量が最小となり、負トルクの絶対値の最大値がトルクTbとなった。なお、このように、実線Aで示す合成トルクの変動量が最大となるときのスプロケット31と吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差と、破線Bで示す合成トルクの変動量が最小となるときの位相差との偏差が60°であるのは、以下の理由によるものと推定される。すなわち、カム軸26には3つの気筒13に対応した吸気カム27のカムノーズ27Aが、同カム軸26周りに120°毎で配置されるとともに、スプロケット31の頂部31Aが120°で配置される。そのため、スプロケット31の1つの頂部31Aと1つの吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差は、X°、(X+120)°、(X+240)°と120°毎に現れ、負トルクが最小となるのは、負トルクが最大となる位相差から最も乖離した位相差(X+60)°、(X+180)°、(X+300)°になるときである推定されるためである。
そして、本実施形態では、スプロケット31の頂部31Aと吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差がX°となるときに、ベーンロータ34の位相が最遅角位相となるように、カム軸26と可変動弁機構30とを組みつけた。これにより、ベーンロータ34の位相が最遅角位相となるときに、カム軸26に作用する合成トルクの変動量が最大となるため、負トルクが最大となる。また、本実施形態では、上記のように、最遅角位相から最進角位相までの回転位相差が45°であるため、ベーンロータ34の位相が最進角位相にあるときのスプロケット31の頂部31Aと吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差は(X+45)°となる。そして、ベーンロータ34の位相が最遅角位相から進角側に変位するほど、スプロケット31の頂部31Aと吸気カム27のカムノーズ27Aとの位相差がX°よりも大きくなるため、合成トルクの変動量が漸次小さくなり、最進角位相では、合成トルクの変動量が最小となる。以上のようにして、本実施形態では、カム軸26に作用する負トルクが、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも進角側の位相であるときよりも遅角側の位相であるときに大きくなるように設定されており、遅角側の位相であるときに負トルクの絶対値を大きくすることができる。
本実施形態は上記の態様で合成トルクを設定しているため、以下の作用が得られる。
図7に示すように、機関始動開始時にベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側にあるときに負トルクがカム軸26に作用すると、カム軸26に駆動連結されたベーンロータ34の回転速度がクランク軸17に駆動連結されたハウジング33の回転速度を一時的に上回る。これにより、図7(a)の矢印Aに示す方向に、ベーンロータ34がハウジング33に対して進角側方向に相対回転し、ロックピン41が進角側に変位する。そして、図7(b)に示すように、ロックピン41がロック孔42の上段部43に対応した位置となり、ロックピン41が上段部43に挿入される。この状態において正トルクがカム軸26に作用することにより開閉時期が遅角する方向にハウジング33とベーンロータ34とが相対回転しようとするときには、上段部43の遅角側の内壁にロックピン41が当接するため、ベーンロータ34の位相が遅角側に変位することが規制される。そして、この状態で、カム軸26に対してさらに作用する負トルクにより、ロックピン41が下段部44に対応した位置に変位すると、先の図4に示したように、ロックピン41がロック孔42の下段部44に挿入され、ロック機構40のロック操作が完了する。
以上のようにして、機関始動開始時にベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側にある場合でも、その遅角側にあるときのカム軸26に作用する負トルクが大きくなるように設定されているため、ベーンロータ34の進角側に変位する回転量を確保することができ、機関始動後早期に、その位相を中間ロック位相に固定することができる。
ところで、上記のように、本実施形態では、ベーンロータ34の位相が遅角側にあるほど、カム軸26に作用する合成トルクの変動量が大きくなるように設定されている。そのため、図8に示すように、ベーンロータ34の位相に応じて、タイミングチェーン61の張力が変化する。すなわち、図8の線A,B,Cは、それぞれベーンロータ34の位相が最遅角位相にあるとき、中間ロック位相にあるとき、最進角位相にあるときのタイミングチェーン61の張力を示している。この図8に示すように、内燃機関10の機関回転速度が高くなると、カム軸26に作用する上記合成トルクの変動量が大きくなるため、タイミングチェーン61の張力が大きくなる。また、本実施形態では上記の態様で、ベーンロータ34の位相に遅角側にあるほど、カム軸26に作用する合成トルクの変動量が大きくなるように設定されているため、図8に示すように、ベーンロータ34の位相が遅角側にあるほど、タイミングチェーン61の張力はより大きくなる。このようにタイミングチェーン61の張力が大きくなると、その耐用寿命が低下してしまう。そこで、本実施形態では、機関回転速度が所定回転速度を上回るときに、ベーンロータ34の位相を強制的に進角させることで、タイミングチェーン61の張力が大きくなりやすい状況下において、カム軸26に作用する合成トルクの変動量を小さくして、張力を低減させる。以下、こうした張力低減のための制御を含むベーンロータ34の位相制御について、図9を参照して説明する。ベーンロータ34の位相制御は、図9のフローチャートに示す実行手順に従って、制御部80によって機関始動後に所定周期毎に実行される。
図9に示すように、ベーンロータ34の位相制御がスタートすると、まずステップS10において、機関回転速度が検出される。制御部80は、クランク角センサ81の検出信号に基づいて、機関回転速度を検出する。次に、ステップS11において、機関回転速度が、最高許容回転数を超えているか否かが判定される。すなわち、内燃機関10には、その損傷を防止するために許容される機関回転速度の上限値である最高許容回転速度が設定されている。そして、その速度を超えると、機関回転数がいわゆるレッドゾーンに入る。なお、機関回転速度がレッドゾーンにある場合でも、その期間が短時間であれば、内燃機関10が損傷する可能性は低い。このステップS11では、機関回転速度がこのレッドゾーンにあるか否かが判定される。
機関回転速度がレッドゾーンにはない場合には、ステップS11で否定判定がなされ(ステップS11:NO)、ステップS12に移り、機関負荷が検出される。制御部80は、エアフロメータ83により検出される吸入空気量等に基づいて機関負荷を検出する。そして、ステップS13に移り、検出された機関回転速度及び機関負荷に基づいて把握される機関運転状態に適した吸気弁22の目標開閉時期を算出する。すなわち、制御部80は、把握される機関運転状態において要求される燃費性能や機関出力に基づいて吸気弁22の目標開閉時期を算出する。次に、ステップS14に移り、制御部80は、ステップS13で算出した吸気弁22の目標開閉時期と実際の開閉時期とが一致するようにベーンロータ34の位相を制御する。すなわち、制御部80が、油路制御弁75の制御を通じて進角室37及び遅角室38への作動油の給排態様を制御することで、ベーンロータ34の位相を制御する。このようにして、機関回転速度が最高許容回転速度を超えていない場合には、吸気弁22の開閉時期が機関運転状態に適した目標開閉時期となるように、ベーンロータ34の位相が制御される。そして、ステップS14の後に、制御部80は本制御を一旦終了する。
一方、ステップS11において、機関回転速度がレッドゾーンにある場合には、機関回転速度が最高許容回転数を超えている旨が判定され(ステップS11:YES)、ステップS15に移り、ベーンロータ34の位相を最進角位相に制御する。これにより、機関回転速度が高いことによってタイミングチェーン61の張力が大きくなりやすい状況下においてカム軸26に作用する合成トルクの変動量を小さくするように制御して、タイミングチェーン61の張力が過大となることを抑制する。そして、ステップS15の後に、制御部80は、本制御を一旦終了する。すなわち、機関回転速度がレッドゾーンにある場合には、内燃機関10の燃費や出力性能よりも、タイミングチェーン61の張力低減を優先した制御が行われる。
以上詳述した本実施形態では、以下の(1)及び(2)の効果を奏することができる。
(1)内燃機関10には、タイミングチェーン61が巻き架けられて同タイミングチェーン61によりクランク軸17と駆動連結される非真円形状の外形をなすスプロケット31と、カム軸26と一体となって回転するベーンロータ34とが設けられる。そして、制御部80及び油路制御弁75により、スプロケット31に対するベーンロータ34の位相を変位させることによりカム軸26により開閉駆動される吸気弁22の開閉時期が変更される。また、ロック機構40が、ベーンロータ34の位相を最遅角位相と最進角位相との間にある中間ロック位相に固定する。そして、このような構成において、カム軸26に作用する負トルクが、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも進角側の位相であるときよりも遅角側の位相であるときに大きくなるように設定されている。そのため、ベーンロータ34が中間ロック位相よりも遅角側の位相にあるときには、カム軸26に作用する負トルクによってベーンロータ34が進角側に相対回転するときの回転量を増大させることができる。これにより、機関始動後早期にベーンロータ34の位相を中間ロック位相まで変位させて同位相に固定することができるため、吸気弁22の開閉時期を機関始動に適した時期として、機関始動性を向上させることができる。
(2)制御部80は、機関回転速度が最高許容回転速度を上回るときにベーンロータ34の位相を強制的に最進角位相となるように制御する。これにより、機関回転速度が高くタイミングチェーン61の張力が大きくなりやすい状況下において、ベーンロータ34の位相を最進角位相とすることで、カム軸26に作用する合成トルクの変動量を小さくすることができるため、タイミングチェーン61の張力が過大となってその耐用寿命が低下することを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の可変動弁装置の第2実施形態について図10及び図11を参照して説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を主に説明し、第1実施形態と共通の構成については、同じ符号を用いて示す。なお、特に説明しないその他の構成、作用及び効果は第1実施形態と同じである。
図10に示すように、本実施形態では、カム軸26に3つの各気筒13に対応した吸気カム27が設けられるとともに、ポンプカム90が設けられている。ポンプカム90には、3つのカムノーズ90Aがカム軸26周りに120°毎に形成されている。本実施形態では、このポンプカム90によって、燃料ポンプ100が駆動される。
燃料ポンプ100の吸入ポート101には、燃料タンクに貯留される燃料がフィードポンプを通じて供給される。また、燃料ポンプ100の吐出ポート102からは、燃料噴射弁19Aに接続されるデリバリパイプ105へ高圧燃料が圧送される。本実施形態では、燃料噴射装置が、デリバリパイプ105と燃料噴射弁19Aを備えている。
燃料ポンプ100には、シリンダ110が形成されており、このシリンダ110内にはプランジャ111が往復移動可能に設けられる。プランジャ111の下端部111Aは、カム軸26に形成されたポンプカム90と当接する。プランジャ111は、スプリング112によりポンプカム90側に付勢されている。カム軸26の回転に伴い、ポンプカム90のカムノーズ90Aがプランジャ111を押圧すると、スプリング112が収縮・復元する。スプリング112が復元する状態では、プランジャ111が加圧室113の容積を増大させる方向に移動して、吸入ポート101を通じて燃料を吸入する吸入行程が行われ、スプリング112が収縮する状態では、プランジャ111が加圧室113の容積を減少させる方向に移動して、吐出ポート102を通じて燃料を圧送する圧送行程が行われる。なお、燃料ポンプ100には、吸入ポート101と加圧室113とを連通・遮断する電磁スピル弁114が設けられ、制御部80の制御により吸入行程では電磁スピル弁114が開弁される。
本実施形態では、ポンプカム90により燃料ポンプ100が駆動され、燃料ポンプ100の圧送行程では、ポンプカム90のカムノーズ90Aによりプランジャ111が押圧されてスプリング112が収縮するため、正トルクがカム軸26に作用する。一方、燃料ポンプ100の吸入行程では、収縮したスプリング112が復元するため、負トルクがカム軸26に作用する。すなわち、ポンプカム90の駆動に応じたトルク(以下、「第3トルク」と称する)がカム軸26に作用する。このようにして、本実施形態では、カム軸26に第1トルク及び第2トルクに加え、第3トルクも作用する。
そこで、本実施形態では、ポンプカム90のカムノーズ90Aと、吸気カム27のカムノーズ27Aとの回転位相差が以下のように設定される。すなわち、機関始動開始時にベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側にあるときに、機関始動後にその位相を中間ロック位相に固定できる程度にベーンロータ34を進角させることが可能な負トルクが得られ、且つ最進角位相では、タイミングチェーン61の張力を低下させることができる位相差に設定されている。ポンプカム90のカムノーズ90Aと、吸気カム27のカムノーズ27Aの位相差の設定態様について、図11を参照して説明する。
図11は、カム軸26に作用する第2トルクと第3トルクとの合成トルクを示し、実線Aは、吸気カム27のカムノーズ27Aとポンプカム90のカムノーズ90Aとのカム軸26周りの回転位相を同位相にした場合の合成トルクを示し、破線Bは、その回転位相差を60°にした場合の合成トルクを示している。実線Aに示すように、吸気カム27のカムノーズ27Aとポンプカム90のカムノーズ90Aとを同位相にした場合には、カム軸26に作用する合成トルクの変動量が増大し、同カム軸26に作用する負トルクの絶対値を大きくすることができる。そのため、この合成トルクと第1トルクとの合成トルクとにより、機関始動時にベーンロータ34を中間ロック位相にまで進角させるのに十分な負トルクが得られる。しかしながら、第2トルクと第3トルクとの合成トルクが大きい場合には、この合成トルクと第1トルクとの変動周期を変更しても、3つのトルクの合成トルクの変動量がさほど小さくならず、ベーンロータ34の位相を最進角位相に制御した場合の張力低減効果が十分に得られない場合がある。一方、破線Bで示すように、吸気カム27のカムノーズ27Aとポンプカム90のカムノーズ90Aとの位相差を60°とした場合には、第2トルクと第3トルクとの合成トルクの変動量が小さくなるため、カム軸26に作用する負トルクが小さくなる。そのため、吸気カム27とスプロケット31の位相を調整してこの合成トルクと第1トルクとの変動周期を変更しても、3つのトルクの合成トルクの変動量を大きくするのに限度があり、カム軸26に作用する負トルクの大きさもある程度制限されてしまう。
そこで、本実施形態では、ポンプカム90のカムノーズ90Aと、吸気カム27のカムノーズ27Aの回転位相差を0〜60°の間のY°に設定することで、第2トルク及び第3トルクの合成トルクの変動量がその最大値(実線A)と最小値(破線B)との間の値となるようにしている。そして、第1実施形態と同様の態様で、カム軸26に作用する負トルクが、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側にあるときに、進角側にあるときよりも大きくなるようにスプロケット31の頂部31Aと各カムノーズ27A、カムノーズ90Aとの位置関係を設定する。これにより、機関始動開始時に、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側にある場合でも、カム軸26に作用する負トルクにより、ベーンロータ34の位相を進角させる回転量を確保することができ、その位相を中間ロック位相に固定することができる。また、機関回転速度が最高許容回転速度を超えているときには、ベーンロータ34の位相を最進角位相に制御することで、タイミングチェーン61の張力を低下させることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)及び(2)の効果に加え、以下の(3)の効果を奏することができる。
(3)カム軸26には、燃料ポンプ100を駆動するポンプカム90が設けられており、吸気カム27のカムノーズ27Aとポンプカム90のカムノーズ90Aとの位相差をY°に設定することで、第2トルクと第3トルクとの合成トルクと負トルクを所定の大きさに設定する。そして、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側の位相となるときには、進角側の位相となるときよりも、合成トルクが大きくなるようにして、カム軸26が受ける負トルクを大きくする。これにより、ベーンロータ34の位相が中間ロック位相よりも遅角側の位相であるときに、カム軸26に作用する負トルクによってベーンロータ34が進角側に相対回転するときの回転量を確保することができ、その位相を中間ロック位相に固定することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、以下に示すように変更して実施することができる。
・上記第2実施形態では、吸気カムのカムノーズとポンプカムのカムノーズとの位相差を0〜60°の間のY°に設定している。しかしながら、吸気カムのカムノーズとポンプカムのカムノーズとの位相差を60°に設定したり、同位相としたりしてもよい。すなわち、例えば、吸気カムのカムノーズとポンプカムのカムノーズとの位相差を60°に設定した場合には、第2トルクと第3トルクとの合成トルクの変動量が減少してしまう。このような場合でも、カム軸の軸心からスプロケットの頂部までの距離と他の部位までの距離との偏差を大きくして第1トルクの変動量を大きくすることで、第1〜第3の3つのトルクの合成トルクを増大させることができる。これにより、吸気カム軸に作用する負トルクを、ベーンロータの位相が中間ロック位相よりも進角側にあるときよりも遅角側にあるときに大きくなるように設定することはできる。そのため、機関始動開始時に、ベーンロータの位相が中間ロック位相よりも遅角側にある場合に、吸気カム軸に作用する負トルクによって、その位相を進角側に変位させて中間ロック位相に固定することができる。また、吸気カムのカムノーズとポンプカムのカムノーズとを同位相とした場合には、第2トルクと第3トルクとの合成トルクの変動量は大きくなる。このような場合には、カム軸の軸心からスプロケットの頂部までの距離と他の部位までの距離との偏差を小さくして第1トルクの変動量を小さくする。これにより、タイミングチェーンの張力が過度に増大することを抑えつつ、ベーンロータの位相が中間ロック位相よりも遅角側にある場合に、吸気カム軸に作用する負トルクによって、その位相を進角側に変位させて中間ロック位相に固定することができる。
・上記第2実施形態では、吸気カム軸に燃料ポンプを駆動するポンプカムを設けたが、吸気カム軸には、バキュームポンプを駆動するカムなど、その他の補機を駆動するカムを設けるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、ベーンロータの位相が最遅角位相となるときに、吸気カム軸に作用する合成トルクの振幅を最大にして負トルクの絶対値が最大値となるようにしたが、ベーンロータの位相が中間ロック位相よりも遅角側にあるときに進角側にあるときよりも負トルクが大きくなるように設定されていればよい。すなわち、第1実施形態と同様の形状の可変動弁機構において、例えば、ベーンロータの位相が最遅角位相にあるときにスプロケットの頂部と吸気カムとの回転位相差が(X+15)°となり、最進角位相となるときにスプロケットの頂部と吸気カムとの回転位相差が(X+60)°となるようにしてもよい。また、上記各実施形態では、コンピュータによるシミュレーションで、吸気カム軸に作用する負トルクを求めることで、可変動弁機構と吸気カム軸を組み付けたが、吸気カム軸に作用する負トルクは実験によって求めるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、機関回転速度が最高許容回転速度を超えるときに、ベーンロータの位相を最進角位相となるように制御したが、機関回転速度が最高許容回転速度よりも低い所定回転速度を超えるときに、ベーンロータの位相を最進角位相となるように制御してもよい。また、機関回転速度が所定回転速度を超えるときに、最進角位相ではなく、単にそのときの位相よりも所定角度進角させるようにしてもよい。また、ベーンロータの位相が最進角位相にあるときよりも、吸気カム軸に作用する合成トルクを低減できる位相があれば、その位相に変化させるようにしてもよい。さらに、可変動弁装置は、このような制御を行わないものであってもよい。
・上記各実施形態では、本発明の可変動弁装置をV6エンジンの可変動弁装置に適用したが、適用される内燃機関は、V6エンジンではなく、気筒数が異なるV型エンジンや直列型のエンジンに本発明を適用してもよい。なお、その場合、内燃機関の型や気筒数に応じて非真円形状のスプロケットの外形は適宜変更される。
・上記各実施形態では、非真円形状の第1回転体及び無端帯が、非真円形状のスプロケットとタイミングチェーンであったが、本発明を非真円形状のプーリーとコグドベルトを有する可変動弁装置に適用してもよい。
・上記各実施形態では、吸気弁の開閉時期を変更する可変動弁装置に本発明を適用したが、排気弁の開閉時期を変更する可変動弁装置に本発明を適用してもよい。
10…内燃機関、11…第1バンク、12…第2バンク、13…気筒、14…オイルパン、15…ピストン、16…コンロッド、17…クランク軸、18…スプロケット、19…燃焼室、19A…燃料添加弁、20…吸気ポート、21…排気ポート、22…吸気弁、23…排気弁、24,25…スプリング、24A,25A…リフタ、26…吸気カム軸、27…吸気カム、27A…カムノーズ、28…排気カム軸、29…排気カム、30…可変動弁機構、31…スプロケット、31A…頂部、32…スプロケット、33…ハウジング、33A…区画壁、34…ベーンロータ、34A…ボス、34B…ベーン、35…カバー、36…ベーン収容室、37…進角室、38…遅角室、40…ロック機構、41…ロックピン、42…ロック孔、43…上段部、44…下段部、45…ピン収容孔、46…スプリング収容室、47…解除室、48…ロックスプリング、61,62…タイミングチェーン、70…オイルポンプ、74…油路、75…油路制御弁、80…制御部、81…クランク角センサ、82…カム角センサ、83…エアフロメータ、90…ポンプカム、90A…カムノーズ、100…燃料ポンプ、101…吸入ポート、102…吐出ポート、105…デリバリパイプ、110…シリンダ、111…プランジャ、111A…下端部、112…スプリング、113…加圧室、114…電磁スピル弁。

Claims (4)

  1. 無端帯が巻き架けられて同無端帯によりクランク軸と駆動連結される非真円形状の外形をなす第1回転体と、カム軸と一体となって回転する第2回転体と、前記カム軸に設けられて弁を開閉駆動するカムと、前記第1回転体に対する前記第2回転体の相対回転位相を変位させることにより前記カムにより開閉駆動される弁の開閉時期を変更する変更機構と、前記第2回転体の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間にある中間ロック位相に固定するロック機構とを備え、
    前記第1回転体が回転する際に前記第2回転体から前記カム軸に作用する第1トルクと前記弁の開閉駆動に伴って前記カム軸に作用する第2トルクとを合成した合成トルクの変動量が、前記第2回転体の位相が遅角側に位置するほど大きくなるように、前記第1回転体の頂部と前記カムのカムノーズとの位相差が設定されていることで、遅角側ほど前記カム軸に作用する負トルクが大きくなるように設定されている可変動弁装置。
  2. 前記変更機構は機関回転速度が所定回転速度を上回るときに前記相対回転位相を強制的に進角させる
    請求項1に記載の可変動弁装置。
  3. 前記カム軸には補機を駆動するカムが設けられている
    請求項1又は2に記載の可変動弁装置。
  4. 前記補機は、燃料を燃料噴射装置に圧送する燃料ポンプである
    請求項3に記載の可変動弁装置。
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