JP6079448B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
ハウジングは、筒部、当該筒部の両端を塞ぐ板部、および、筒部の内壁から径内方向へ延び板部と筒部との間に収容室を形成するシューを有している。ハウジングは、筒部の軸を回転中心として駆動軸および従動軸の一方とともに回転する。
シールプレートは、板状に形成され、ベーンロータと板部との間に設けられている。シールプレートは、前記所定角度範囲に対応する範囲でベーンロータの端面に当接し弾性変形可能な凸状の弾性部を有し、当該弾性部と板部との間に圧力室を形成する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置、および、これを適用した駆動力伝達系を図1〜3に示す。
ハウジング20は、例えば鉄等の金属により焼結または鋳造等によって形成されている。ハウジング20は、筒部21、板部22、23、筒部24、シュー25、26、27、28等を有している。
シュー25、26、27、28と一体の筒部21および板部22は、ボルト13により、板部23および筒部24と同軸に固定されている。ここで、「同軸」とは、厳密に同軸となる状態に限らず、概ね同軸となる状態も含むものとする。以下、「同軸」との語句を用いた場合、同様の意味とする。シュー25、26、27、28は、板部22、23と筒部21との間に扇状の収容室50を4つ形成している。
ボス部31は、中実円筒状に形成され、筒部21と同軸となるようハウジング20に収容される。ボス部31は、外壁が、シュー25、26、27、28の筒部21とは反対側の端部と摺接可能である。ベーン32、33、34、35は、ボス部31の外壁から径外方向に突出するようボス部31と一体に形成されている。ブッシュ36は、有底筒状に形成され、ボス部31の板部23とは反対側に設けられている。ここで、ブッシュ36は、板部22の中央に形成された穴部221の内側に位置している。
シールプレート40は、一方の面側に形成される凸状の弾性部42、43、44、45を有している。弾性部42、43、44、45は、穴部41の外縁部において周方向に概ね等間隔となるよう形成されている。
シールプレート40は、弾性部42、43、44、45と板部23との間に圧力室46を形成している(図1(B)参照)。
シールプレート40の各弾性部間には穴部47が形成されている。穴部47には、ボルト13が挿通される。
エンジン10が停止している状態ではストッパピン60は嵌合リング63に嵌合している。エンジン10を始動した直後の状態では、遅角室51〜54、進角室55〜58、および、油圧室64、65に油圧ポンプ16から十分に作動油が供給されない。そのため、ストッパピン60は嵌合リング63に嵌合した状態を維持し、クランクシャフト2に対しカムシャフト4は最遅角位置に保持されている。これにより、作動油が油圧室64、65に供給されるまでの間、カムシャフト4が受ける変動トルクによりハウジング20とベーンロータ30とが衝突することによる打音の発生が防止される。
エンジン始動後、油圧ポンプ16から作動油が供給されると、油圧室64、65に供給された作動油の油圧により、スプリング61は押し縮められる。油圧室64、65の作動油圧がスプリング61の付勢力に打ち勝つと、ストッパピン60は、嵌合リング63から抜け出し、ベーンロータ30のハウジング20に対する相対回転が許容される。そして、遅角室51〜54および進角室55〜58の油圧を制御することにより、クランクシャフト2に対するカムシャフト4の位相差が調整可能となる。
バルブタイミング調整装置1を進角制御するとき、ECU15は、切換弁14に供給する駆動電流を制御する。切換弁14は、油圧ポンプ16と進角油路102とを接続し、遅角油路101とオイルパン17とを接続する。油圧ポンプ16から吐出される作動油は、進角油路102を経由し、進角室55〜58に供給される。遅角室51〜54の作動油は、遅角油路101を経由し、オイルパン17に排出される。進角室55〜58の油圧は、ベーン32〜35に作用し、ベーンロータ30を進角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ30は、ハウジング20に対し進角方向に相対回転する。
バルブタイミング調整装置1を遅角制御するとき、ECU15は、切換弁14に供給する駆動電流を制御する。切換弁14は、油圧ポンプ16と遅角油路101とを接続し、進角油路102とオイルパン17とを接続する。油圧ポンプ16から吐出される作動油は、遅角油路101を経由し、遅角室51〜54に供給される。進角室55〜58の作動油は進角油路102を経由し、オイルパン17に排出される。遅角室51〜54の油圧がベーン32〜35に作用し、ベーンロータ30を遅角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ30は、ハウジング20に対して遅角方向に相対回転する。
ベーンロータ30が目標位相に到達すると、ECU15は切換弁14に供給する駆動電流のデューティ比を制御する。切換弁14は、油圧ポンプ16と、遅角油路101および進角油路102との接続を遮断し、遅角室51〜54および進角室55〜58からオイルパン17に作動油が排出されることを規制する。そのため、ベーンロータ30は目標位相に保持される。
バルブタイミング調整装置1の作動中にエンジン停止が指示されると、ベーンロータ30は、上記遅角作動時と同様の作動によりハウジング20に対して遅角方向に回転し、最遅角位置で回転が停止する。この状態において、ECU15は、油圧ポンプ16の作動を停止するとともに、切換弁14によって遅角油路101とオイルパン17とを接続する。これにより、油圧室64、65の圧力が低下する。スプリング61の付勢力が油圧室64、65の作動油圧に打ち勝つと、ストッパピン60は、嵌合リング63に嵌合する。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置の一部を図6に示す。第2実施形態は、ハウジングに形成される供給流路の形状等が第1実施形態と異なる。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図7、8に示す。第3実施形態は、バルブタイミング調整装置による調整対象、ハウジング、ベーンロータおよびシールプレートの形状、新たな部材を備える点等が第1実施形態と異なる。
ハウジング20の筒部24の板部23とは反対側の端部の外壁にギア7が形成されている(図8参照)。
また、ハウジング20の板部22には、筒部21とは反対側へ突出する係合ピン223が設けられている。また、ブッシュ36およびボス部31には、ピン38が挿通されている。これにより、ブッシュ36とボス部31とは、相対回転不能である。
エンジン10が停止している状態ではストッパピン60は嵌合リング63に嵌合している。エンジン10を始動した直後の状態では、遅角室51〜53、進角室55〜57、および、油圧室64、65に油圧ポンプ16から十分に作動油が供給されない。そのため、ストッパピン60は嵌合リング63に嵌合した状態を維持し、クランクシャフト2に対しカムシャフト6は最進角位置に保持されている。これにより、作動油が油圧室64、65に供給されるまでの間、カムシャフト6が受ける変動トルクによりハウジング20とベーンロータ30とが衝突することによる打音の発生が防止される。
エンジン始動後、油圧ポンプ16から作動油が供給されると、油圧室64、65に供給された作動油の油圧により、スプリング61は押し縮められる。油圧室64、65の作動油圧がスプリング61の付勢力に打ち勝つと、ストッパピン60は、嵌合リング63から抜け出し、ベーンロータ30のハウジング20に対する相対回転が許容される。そして、遅角室51〜53および進角室55〜57の油圧を制御することにより、クランクシャフト2に対するカムシャフト6の位相差が調整可能となる。
バルブタイミング調整装置を遅角制御するとき、ECU15は、切換弁14に供給する駆動電流を制御する。切換弁14は、油圧ポンプ16と遅角油路101とを接続し、進角油路102とオイルパン17とを接続する。油圧ポンプ16から吐出される作動油は、遅角油路101を経由し、遅角室51〜53に供給される。進角室55〜57の作動油は進角油路102を経由し、オイルパン17に排出される。遅角室51〜53の油圧がベーン32〜34に作用し、ベーンロータ30を遅角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ30は、ハウジング20に対して遅角方向に相対回転する。
バルブタイミング調整装置を進角制御するとき、ECU15は、切換弁14に供給する駆動電流を制御する。切換弁14は、油圧ポンプ16と進角油路102とを接続し、遅角油路101とオイルパン17とを接続する。油圧ポンプ16から吐出される作動油は、進角油路102を経由し、進角室55〜57に供給される。遅角室51〜53の作動油は、遅角油路101を経由し、オイルパン17に排出される。進角室55〜57の油圧は、ベーン32〜34に作用し、ベーンロータ30を進角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ30は、ハウジング20に対し進角方向に相対回転する。
ベーンロータ30が目標位相に到達すると、ECU15は切換弁14に供給する駆動電流のデューティ比を制御する。切換弁14は、油圧ポンプ16と、遅角油路101および進角油路102との接続を遮断し、遅角室51〜53および進角室55〜57からオイルパン17に作動油が排出されることを規制する。そのため、ベーンロータ30は目標位相に保持される。
バルブタイミング調整装置の作動中にエンジン停止が指示されると、ベーンロータ30は、上記進角作動時と同様の作動によりハウジング20に対して進角方向に回転し、最進角位置で回転が停止する。なお、このとき、スプリング70の付勢力により、ベーンロータ30の進角方向への回転が補助される。
また、本実施形態では、スプリング70の付勢力(進角方向)は、カムシャフト6の回転時にカムシャフト6からベーンロータ30に作用する変動トルクの平均(遅角方向)よりも大きく設定されている。これにより、カムシャフト6の回転時のバルブタイミング調整装置の応答性を向上することができる。
上述の第1実施形態では、シールプレートの連通穴が各進角室と圧力室とを連通する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、連通穴は各遅角室と圧力室とを連通することとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、シールプレートは、連通穴を有しないこととしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、供給流路の特定形状溝部は、円弧状に限らず、どのような形状に形成されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、供給流路は、進角油路または遅角油路から分岐するのではなく、独立して形成され、油圧ポンプ等から直接作動流体を供給される構成としてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、吸気弁の開閉タイミングを調整する第1実施形態のバルブタイミング調整装置に、ベーンロータをハウジングに対し進角方向に付勢する付勢部材を設けることとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、ベーンロータとハウジングとの相対回転を規制するストッパピンを備えないこととしてもよい。
このように、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
20 ・・・ハウジング
21 ・・・筒部
22、23 ・・・板部
25、26、27、28 ・・・シュー
30 ・・・ベーンロータ
31 ・・・ボス部
32、33、34、35 ・・・ベーン
40 ・・・シールプレート
42、43、44、45 ・・・弾性部
50 ・・・収容室
51、52、53、54 ・・・遅角室
55、56、57、58 ・・・進角室
103 ・・・供給流路
Claims (7)
- 内燃機関(10)の駆動力を駆動軸(2)から従動軸(4、6)に伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記従動軸により開閉駆動される吸気弁(11)および排気弁(12)の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置(1)であって、
筒部(21)、当該筒部の両端を塞ぐ板部(22、23)、および、前記筒部の内壁から径内方向へ延び前記板部と前記筒部との間に収容室(50)を形成するシュー(25、26、27、28)を有し、前記筒部の軸を回転中心として前記駆動軸および前記従動軸の一方とともに回転するハウジング(20)と、
前記ハウジングに収容され、前記シューの前記筒部とは反対側の端部と摺接可能な外壁を有する筒状のボス部(31)、および、当該ボス部の外壁から径外方向に突出することで前記収容室を遅角室(51、52、53、54)および進角室(55、56、57、58)に仕切り前記ボス部とは反対側の端部が前記筒部の内壁と摺接可能なベーン(32、33、34、35)を有し、前記ボス部の軸を回転中心として前記駆動軸および前記従動軸の他方とともに回転し、前記遅角室および前記進角室に供給される作動流体の圧力により前記ハウジングに対し所定角度範囲に限り遅角方向または進角方向に相対回転するよう駆動されるベーンロータ(30)と、
板状に形成され、前記ベーンロータと前記板部(23)との間に設けられ、前記所定角度範囲に対応する範囲で前記ベーンロータの端面に当接し弾性変形可能な凸状の弾性部(42、43、44、45)を有し、当該弾性部と前記板部との間に圧力室(46)を形成するシールプレート(40)と、を備え、
前記板部(23)には、前記圧力室に作動流体を供給する供給流路(103)が形成されており、
前記供給流路は、前記進角室に作動流体を供給する進角油路(102)、前記遅角室に作動流体を供給する遅角油路(101)または油圧ポンプ(16)と前記圧力室とを接続していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記圧力室は、複数形成されており、
前記供給流路は、複数の前記圧力室のそれぞれに接続するよう複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記供給流路は、前記板部の中心側から径方向外側へ延びるよう形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記シールプレートは、前記進角室または前記遅角室と前記圧力室とを連通する連通穴(421、431、441、451)を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記供給流路は、前記ハウジングの回転軸を中心とする円弧に沿う円弧状の特定形状溝部(104)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ベーンロータを前記ハウジングに対し進角方向または遅角方向に付勢する付勢部材(70)をさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記付勢部材の付勢力は、前記従動軸の回転時に前記従動軸から前記ベーンロータに作用する変動トルクの平均よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
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