JP3897078B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、「内燃機関」をエンジンという)の吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミング(以下、「開閉タイミング」をバルブタイミングという)を運転条件に応じて変更するためのバルブタイミング調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンのクランクシャフトと同期回転するタイミングプーリやチェーンスプロケットを介してカムシャフトを駆動し、タイミングプーリやチェーンスプロケットとカムシャフトとの相対回動による位相差により吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方のバルブタイミングを油圧制御するベーン式のバルブタイミング調整装置が知られている。このような作動流体を用いたベーン式のバルブタイミング装置では、吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を駆動することにより正・負に変動する負荷トルクをカムシャフトが受けるので、例えばエンジン始動開始時のクランキング時のように作動流体が充分に供給されていない状態において、ベーン部材を収容するハウジング部材に対しベーン部材が揺動しハウジング部材とベーン部材との衝突により打音が発生するという問題がある。ここで、正の負荷トルクはクランクシャフトに対しカムシャフトの遅角方向に働き、負の負荷トルクはクランクシャフトに対しカムシャフトの進角方向に働く。
【0003】
そこで、バルブタイミング調整装置に作動流体が充分に供給されていない状態において、例えばベーン部材に収容したストッパピンをハウジング部材に嵌合させることによりハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止するものが知られている。作動流体が充分に供給されると流体圧力によりストッパピンがハウジング部材から抜けるので、ハウジング部材に対しベーン部材を相対回動制御できる。ハウジング部材にストッパピンを嵌合させる位置は、ハウジング部材に対しベーン部材が最遅角か最進角にあるときである。つまり、クランクシャフトに対しカムシャフトが最遅角か最進角にあるときである。
【0004】
しかし、例えば吸気弁のバルブタイミングを調整する場合、クランクシャフトに対しカムシャフトが最進角にある位置でストッパピンがハウジング部材に嵌合する構成では、クランクシャフトに対しカムシャフトが最進角にある状態でエンジンを始動する。この場合、排気弁と吸気弁との開弁期間が重複し排気ガスが吸気側に還流するので、燃焼不良等を起こし始動が困難になる。
【0005】
また、吸気弁のバルブタイミングを調整する場合、クランクシャフトに対しカムシャフトが最遅角にある位置でストッパピンがハウジング部材に嵌合する構成では、クランクシャフトに対しカムシャフトが最遅角にある状態でエンジンを始動する。この場合、吸気弁が開弁しているときに圧縮行程が開始するので、圧縮比が低下し出力不足になることにより始動が困難になる。
【0006】
そこで、特開平9−324613号公報に開示されているバルブタイミング調整装置では、クランクシャフトに対し最遅角と最進角との中間にカムシャフトが位置するときにハウジング部材にストッパピンが嵌合することにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回動を規制している。最遅角と最進角の中間位置でエンジンを始動することにより、クランクシャフトに対しカムシャフトが好適な位相位置にある状態でエンジンを始動できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動することによりカムシャフトが遅角方向および進角方向に受ける負荷トルクの平均は遅角方向に働く。特開平9−324613号公報に開示されているようなバルブタイミング調整装置の構成では、エンジンが停止するときに作動流体の圧力が低下すると、負荷トルクによりクランクシャフトに対しカムシャフトが遅角側に回転する。
【0008】
中間位置よりも進角側でエンジンが停止するとき、カムシャフトとともにベーン部材が遅角方向に回転する途中にストッパピンがハウジング部材に嵌合可能な中間位置が存在する。したがって、ストッパピンがハウジング部材に嵌合することにより、クランクシャフトに対しカムシャフトをエンジン始動に好適な位置に保持しエンジンを始動できる。しかし、中間位置よりも遅角側でエンジンが停止するとき、負荷トルクによりクランクシャフトに対しカムシャフトはさらに遅角方向に回転する。中間位置よりも遅角側、つまりクランクシャフトに対しカムシャフトがエンジン始動に好ましくない位相位置にあるときエンジンを始動すると、エンジンの始動が困難になる。作動流体が供給されれば流体圧力により中間位置までベーン部材を回転させることによりストッパピンがハウジング部材に嵌合しエンジンを始動可能になるが、始動するまでの時間が長くなる。また、作動流体が供給されストッパピンがハウジング部材に嵌合するまでの間、負荷トルクの変動によりハウジング部材に対しベーン部材が揺動し、打音を発生することがある。
【0009】
本発明の目的は、短時間でエンジンを始動するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、打音の発生を防止するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のバルブタイミング調整装置によると、ベーン部材を収容する収容室の周方向両端の間における中間位置において、つまり駆動軸に対する従動軸の最遅角位置と最進角位置との中間において、ハウジング部材に対するベーン部材の相対回動を拘束する拘束手段を備えている。最遅角位置および最進角位置を除きエンジン始動に好適な中間位置でハウジング部材とベーン部材とを保持することにより、エンジンを短時間で始動できる。
【0011】
さらに、駆動軸に対し進角する方向に従動軸にトルクを加える進角手段を備えている。したがって、駆動軸に対し中間位置よりも遅角側に従動軸が位置する状態でエンジンが停止またはエンジンの始動を開始するとき、進角手段が加える進角トルクにより駆動軸に対し従動軸が進角側に回転し、当接部が被当接部に当接できる。最遅角と最進角との間における始動に好適な中間位置においてハウジング部材とベーン部材との相対回動を拘束するので、エンジンを短時間で始動することができる。さらに、エンジン始動開始直後のクランキング時、作動流体が充分に供給されていない期間中において打音の発生を防止できる。
更に、本発明の請求項1記載のバルブタイミング調整装置によると、遅角室および進角室の両室に作動流体を供給する流体供給手段を備える。したがって、エンジン始動時、遅角室および進角室に作動流体が充填されてから当接部と被当接部との拘束状態を解除することができる。したがって、作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束状態が解除されても、ハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止する。
更に、本発明の請求項1記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部と被当接部とが拘束状態にあるとき遅角室と進角室とを連通する連通路を開放し、当接部と被当接部とが拘束解除状態にあるとき連通路を閉塞している。したがって、当接部と被当接部とが拘束状態にあるエンジン始動時、遅角室および進角室に作動流体を供給し遅角室および進角室に作動流体が充填されてから当接部と被当接部との拘束状態を解除することができる。したがって、作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束状態が解除されても、ハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止する。また、当接部と被当接部との拘束状態が解除されると、連通路を介しての遅角室と進角室との連通は遮断されるので、遅角室および進角室の圧力を制御することによりバルブタイミングの調整を高精度に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項2記載のバルブタイミング調整装置によると、駆動軸に対し従動軸が最遅角位置にあるとき、負荷トルクの平均より大きな進角トルクを進角手段が従動軸に加え、当接部が被当接部に当接可能な中間位置において負荷トルクの平均以上の進角トルクを従動軸に加える。したがって、駆動軸に対し従動軸が最遅角にある状態でエンジンが停止またはエンジンの始動を開始するとき、進角手段が加える進角トルクにより従動軸が遅角側から進角側の中間位置まで回転し、当接部が被当接部材に当接可能である。
【0013】
本発明の請求項3記載のバルブタイミング調整装置によると、進角手段が従動軸に加える進角トルクは、遅角方向に働く負荷トルクの最大値より小さくなるように設定されている。中間位置よりも進角側でエンジンが停止またはエンジンの始動を開始するとき、従動軸は駆動軸に対し進角側から遅角側の中間位置まで揺動可能であるから、当接部が被当接部に当接可能である。
【0014】
エンジンが停止またはエンジンの始動開始するとき、ハウジング部材に対するベーン部材の相対位置に関わらずハウジング部材とベーン部材とを中間位置に拘束可能である。したがって、エンジンを短時間で始動できる。
【0015】
本発明の請求項4記載のバルブタイミング調整装置によると、請求項3記載の構成に加え、進角手段は、中間位置において負荷トルクの平均とほぼ等しい進角トルクを従動軸に加える。つまり、最遅角位置と中間位置との間では、進角手段が従動軸に加える進角トルクは負荷トルクの平均以上であり、中間位置と最進角位置との間では進角トルクは負荷トルクよりも小さい。したがって、エンジンが停止またはエンジンの始動を開始するとき、中間位置より遅角側に従動軸が位置するときは進角手段の進角トルクにより、中間位置より進角側に従動軸が位置するときは負荷トルクにより、駆動軸に対する従動軸の相対位置に関わらず従動軸は駆動軸に対し中間位置に相対回転し当接部部が被当接部に当接する。したがって、エンジンを短時間で始動できる。
【0016】
本発明の請求項5記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部が中間位置を通過し駆動軸に対し従動軸が進角方向に回転すると、従動軸に進角手段の進角トルクが加わらない。したがって、最遅角位置と中間位置との間で進角手段が従動軸に加える進角トルクが負荷トルクの平均以上であれば、エンジンが停止またはエンジンの始動を開始するとき、中間位置より遅角側に従動軸が位置するときは進角手段の進角トルクにより、中間位置より進角側に従動軸が位置するときは負荷トルクにより、駆動軸に対する従動軸の相対位置に関わらず従動軸は駆動軸に対し中間位置に相対回転し当接部部が被当接部に当接する。したがって、エンジンを短時間で始動できる。
【0017】
本発明の請求項6記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部および被当接部の少なくともいずれか一方の当接側端部はテーパ状に形成されている。したがって、当接部が被当接部に滑らかに当接する。
【0020】
本発明の請求項記載のバルブタイミング調整装置によると、請求項8記載のバルブタイミング調整装置の構成に加え、作動流体供給路および作動流体排出路と遅角室および進角室との連通を切り換える切換弁は、遅角室または進角室の一方に作動流体を供給し遅角室または進角室の他方からの作動流体の排出を遮断する切換部を有している。したがって、エンジン始動時において、遅角室および進角室に供給される作動流体が排出されないので、遅角室および進角室に作動油を充填できる。作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束状態が解除されても、ハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止する。
【0021】
本発明の請求項記載のバルブタイミング調整装置によると、作動流体供給路および作動流体排出路と遅角室および進角室との連通を切り換える切換弁は、遅角室および進角室の両室と作動流体供給路とを連通する切換部を有する。したがって、エンジン始動時において、遅角室および進角室の両室に作動流体を供給し遅角室および進角室に作動油を充填できる。したがって、作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束状態が解除されても、ハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止する。
【0022】
本発明の請求項記載のバルブタイミング調整装置によると、遅角室から進角室に作動流体が流れることを許可し進角室から遅角室に作動流体が流れることを防止する逆止弁を有している。したがって、エンジン始動時において遅角室に作動油を供給することにより遅角室および進角室の両室に作動流体を供給し遅角室および進角室に作動油を充填できる。したがって、作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束状態が解除されても、ハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止する。
【0023】
本発明の請求項10記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部が被当接部との当接方向に移動する速度を低減するダンパ手段を備えている。したがって、ハウジング部材に対しベーン部材が相対回動し、当接部が被当接部に当接可能な中間位置をベーン部材が通過するとき、例えば被当接部と当接部との拘束状態を解除する方向に働く油圧が低下しても、当接部が被当接部側に移動する速度を低減するので、当接部が被当接部に当接する前にベーン部材が中間位置を通過する。したがって、ハウジング部材に対しベーン部材が滑らかに相対回動する。
【0024】
本発明の請求項11記載のバルブタイミング調整装置によると、拘束手段は遅角室または進角室の一方の作動流体圧力により拘束状態を解除され、遅角室または進角室の他方の作動流体圧力により拘束状態と拘束解除状態の境界位置において当接部を係止する係止部材を有している。拘束手段の拘束状態を解除しない遅角室または進角室の他方の作動流体圧力によりハウジング部材に対しベーン部材を相対回動する場合、当接部は被当接部との当接方向に移動する。しかし、拘束状態と拘束解除状態の境界位置においてピストンが当接部を係止するので、ハウジング部材に対するベーン部材の相対回動中において当接部および係止部材が他部材と衝突することを防止するので、ベーン部材はハウジング部材に対し滑らかに相対回動する。
【0025】
本発明の請求項12記載のバルブタイミング調整装置によると、エンジン始動後当接部が被当接部から離れると、遠心力により被当接部が径方向外側に移動し、当接部が被当接部に当接不能になる。したがって、ハウジング部材に対するベーン部材の相対回動中において当接部が他部材と衝突することを防止するので、ベーン部材はハウジング部材に対し滑らかに相対回動する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例によるエンジン用バルブタイミング調整装置を図1に示す。第1実施例のバルブタイミング調整装置1は油圧制御式であり、吸気弁のバルブタイミングを制御するものである。
【0027】
図1に示すハウジング部材の一方の側壁であるタイミングギア10は、図示しないギア列により図示しないエンジンの駆動軸としてのクランクシャフトと結合して駆動力を伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。従動軸としてのカムシャフト2は、タイミングギア10から駆動力を伝達され、図示しない吸気弁を開閉駆動する。カムシャフト2は、タイミングギア10に対し所定の位相差をおいて回動可能である。タイミングギア10およびカムシャフト2は図1に示す矢印X方向からみて時計方向に回転する。以下この回転方向を進角方向とする。
【0028】
タイミングギア10とシューハウジング12およびベーンロータ15との間には、薄板状に形成された中間プレート17が介在している。中間プレート17はタイミングギア10とシューハウジング12およびベーンロータ15との間からの油漏れを防止している。タイミングギア10、シューハウジング12および中間プレート17は駆動側回転体としてハウジング部材を構成し、ボルト20により同軸上に固定されている。
【0029】
シューハウジング12は周壁13とハウジング部材の他方の側壁であるフロントプレート14とからなり一体に形成されている。図2に示すように、シューハウジング12は周方向にほぼ等間隔に台形状に形成されたシュー12a、12b、12cを有している。シュー12a、12b、12cの周方向の三箇所の間隙にはそれぞれベーン部材としてのベーン15a、15b、15cを収容する扇状の収容室50が形成されており、シュー12a、12b、12cの内周面は断面円弧状に形成されている。
【0030】
図2に示すように、ベーン部材としてのベーンロータ15は周方向にほぼ等間隔にベーン15a、15b、15cを有し、ベーン15a、15b、15cは各収容室50内に回動可能に収容されている。各ベーンは、各収容室50を遅角油圧室と進角油圧室とに二分している。図2に示す遅角方向、進角方向を表す矢印は、シューハウジング12に対するベーンロータ15の遅角方向、進角方向を表している。図1に示すように、ベーンロータ15およびブッシュ22は、ボルト21によりカムシャフト2に一体に固定されており、従動側回転体を構成している。カムシャフト2に対するベーンロータ15の回転方向の位置決めは、ピン23により行われている
【0031】
カムシャフト2およびブッシュ22はそれぞれタイミングギア10の内周壁10aおよびフロントプレート14の内周壁14aに相対回動可能に嵌合している。したがって、カムシャフト2およびベーンロータ15はタイミングギア10およびシューハウジング12に対し同軸に相対回動可能である。タイミングギア10の内周壁10aおよびフロントプレート14の内周壁14aは従動側回転体の軸受け部を構成している。
【0032】
図3に示すように、進角手段としてのスプリング24はタイミングギア10に形成された円筒状の凹部11内に収容されている。スプリング24の一端24aは凹部11の係止部11aに係止され、他端24bはベーンロータ15の凹部16に圧入されているスプリング止め25に係止されている。図2に示すように、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動するときにスプリング24の他端24bが回動可能な円弧状の長穴17aが中間プレート17に形成されている。長穴17aの周方向長さは、ベーン15bの周方向長さより短い。これは、ベーンロータ15が相対回動しても、遅角油圧室52と進角油圧室55とが長穴17aにより連通することを防止するためである。また、凹部11が形成するスプリング24を収容する空間はスプリング24の挿入側以外を密封されているので、シューハウジング12に対するベーンロータ15の回動に伴い遅角油圧室52および進角油圧室55から凹部11内に作動油が流入し凹部11内を充填すれば、それ以上作動油は凹部11内に流入しない。
【0033】
カムシャフト2が吸気弁を駆動するときに受ける負荷トルクは図5に示すように正・負に変動している。ここで、負荷トルクの正側はシューハウジング12に対しベーンロータ15を遅角側に付勢し、負荷トルクの負側はシューハウジング12に対しベーンロータ15を進角側に付勢している。負荷トルクの平均は正側、つまり遅角側に働く。スプリング24の付勢力はシューハウジング12に対しベーンロータ15を進角側に回転させるトルクとして働く。スプリング24がベーンロータ15に加える進角方向のトルクはベーンロータ15がシューハウジング12に対し最遅角位置にあるとき最大であり、進角方向に向かうにしたがい小さくなる。スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動位置に関わらずカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均よりも大きく、遅角方向に働く正の負荷トルクの最大値よりも小さくなるように設定されている。
【0034】
シール部材26は、図2に示すようにベーンロータ15の外周壁に嵌合している。ベーンロータ15の外周壁と周壁13の内周壁との間には微小クリアランスが設けられており、このクリアランスを介して油圧室間に作動油が漏れることをシール部材26により防止している。シール部材26はそれぞれ図1に示す板ばね27の付勢力により周壁13に向けて押されている。
【0035】
図1に示すように、ガイドリング30は収容孔38を形成するベーン15aの内壁に圧入保持され、このガイドリング30に円筒状に形成された当接部としてのストッパピストン31がカムシャフト2の回転軸方向に摺動可能に収容されている。被当接部としての嵌合リング36はフロントプレート14に形成された凹部14bに圧入保持されている。ストッパピストン31は嵌合リング36に当接し嵌合可能である。ストッパピストン31および嵌合リング36の当接側はテーパ状に形成されているので、ストッパピストン31は滑らかに嵌合リング36に嵌合する。当接付勢手段としてのスプリング37は嵌合リング36側にストッパピストン31を付勢している。ストッパピストン31、嵌合リング36およびスプリング37は拘束手段を構成している。
【0036】
図4の(A)に示すように、ストッパピストン31は、有底の円筒状に形成されており、フロントプレート14側から、先端部32、小径摺動部33、中径摺動部34、大径摺動部35を有する。図4の(A)に示す状態で、進角油圧室54の作動油を油路58から油圧室42に供給できるように、先端部32に溝32aが形成されている。各摺動部はガイドリング30の内周壁と摺動する。ストッパピストン31の先端部32は、図2に示すようにシューハウジング12に対し最遅角位置と最進角位置のほぼ中間にベーンロータ15が位置するとき嵌合リング36に嵌合可能である。ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合した状態においてシューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動は拘束されている。
【0037】
ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合することによりシューハウジング12とベーンロータ15との相対回動が拘束される中間位置は、エンジンを始動可能にするように吸気弁のバルブタイミング、つまりクランクシャフトに対するカムシャフト2の位相差を最適に設定する位置である。
【0038】
図4の(A)に示すように、ガイドリング30の内周壁と中径摺動部34の外周壁とにより環状に形成されている油圧室41は、油路57を介し遅角油圧室51と連通している。また、小径摺動部33と嵌合リング36との間で先端部32の周囲に形成されている油圧室42は、油路58を介し進角油圧室54と連通している。油圧室42の油圧を受けるストッパピストン31の受圧面積は、油圧室41の油圧を受ける受圧面積よりも大きくなるように設定されている。油圧室41、42の作動油から受ける力はスプリング37の付勢力に抗し嵌合リング36からストッパピストン31を抜く方向に働く。
【0039】
シューハウジング12に対しベーンロータ15が中間位置から遅角側または進角側に回転するとストッパピストン31と嵌合リング36との周方向位置がずれることにより、ストッパピストン31は嵌合リング36に嵌合しなくなる。
【0040】
図1に示すように、タイミングギア10に形成された連通路10bと、中間プレート17に形成された連通路17bと、ベーン15aに形成された連通路45と、ストッパピストン31の反嵌合リング36側の収容孔38とは、シューハウジング12に対しベーンロータ15が図2に示す中間位置にあるとき互いに連通する。連通路10bは大気開放されているので、図2に示す位置にあるとき、収容孔38は大気開放される。したがって、中間位置において嵌合リング36からストッパピストン31が抜け出る動きが妨げられない。図2に示す中間位置からベーンロータ15が遅角側または進角側に回転すると、連通路45と連通路17bとの位置がずれるので収容孔38と連通路10bとの連通が遮断される。
【0041】
図2に示すように、シュー12aとベーン15aとの間に遅角油圧室51が形成され、シュー12bとベーン15bとの間に遅角油圧室52が形成され、シュー12cとベーン15cとの間に遅角油圧室53が形成されている。また、シュー12cとベーン15aとの間に進角油圧室54が形成され、シュー12aとベーン15bとの間に進角油圧室55が形成され、シュー12bとベーン15cの間に進角油圧室56が形成されている。
【0042】
遅角油圧室51、52、53はそれぞれ油路63、64、65と連通し、進角油圧室54、55、56はそれぞれ油路73、74、75と連通している。ベーンロータ15のボス部15dおよびカムシャフト2には、軸方向に油路60、61、70、71が形成されている。さらに、 ベーンロータ15のボス部15dには、カムシャフト2との当接部において油路61と連通している油路62が設けられており、ブッシュ22との当接部において油路70と連通している油路72が設けられている。油路62および72はそれぞれC字状に形成されている。
【0043】
油路60、61はカムシャフト2の外周壁に形成された溝通路90(図1参照)と連通しており、油路70、71はカムシャフト2の外周壁に形成された溝通路91(図1参照)と連通している。図1に示すように、溝通路90、91はそれぞれ油路92、93を介し切換弁82と接続している。作動流体供給路としての油供給路94は油ポンプ80と接続しており、作動流体排出路としての油排出路95はドレイン81に向け開放されている。油ポンプ80はドレイン81から汲み上げた作動油を切換弁82を介し各油圧室に供給する。切換弁82は周知の4ポート案内弁である。
【0044】
切換弁82の弁部材83は、スプリング84により一方向に付勢されており、ソレノイド85への通電を制御することにより往復移動する。ソレノイド85への通電は、図示しないエンジン制御装置(ECU)により制御される。弁部材83が往復移動することにより、油路92、93と作動流体供給路としての油供給路94、作動流体排出路としての油排出路95との連通の組み合わせ、および遮断が切り換わる。
【0045】
以上の油路構成により、油ポンプ80から遅角油圧室51、52、53あるいは進角油圧室54、55、56、ならびに油圧室41または油圧室42に作動油を供給可能になるとともに、各油圧室からドレイン81へ作動油を排出可能になる。
【0046】
次に、バルブタイミング調整装置1の作動を説明する。
エンジン始動前、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合していると、シューハウジング12に対するベーンロータ15の位相差、つまりクランクシャフトに対するカムシャフト2の位相差がエンジンを始動するために最も好適な位相に保持されているので、エンジンは短時間で始動する。
【0047】
また、エンジン始動前にストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しておらず、クランクシャフトに対しカムシャフト2が中間位置よりも遅角側にある状態でエンジンの始動を開始すると、スプリング24がベーンロータ15およびカムシャフト2に加える進角トルクにより、シューハウジング12に対しベーンロータ15は進角側の中間位置に向け相対回転する。エンジン始動開始時のクランキング時において油圧室42に作動油は導入されていないので、ベーンロータ15が中間位置に達するとストッパピストン31はスプリング37の付勢力により嵌合リング36に嵌合する。
【0048】
エンジン始動前にストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しておらず、クランクシャフトに対しカムシャフト2が中間位置よりも進角側にある状態でエンジンの始動を開始する場合を考える。既に述べたように、スプリング24がベーンロータ15およびカムシャフト2に加える進角トルクは負荷トルクの遅角方向に働く最大値より小さいので、負荷トルクの変動に伴いシューハウジング12に対しベーンロータ15は遅角側に揺動する。エンジン始動開始時のクランキング時において油圧室42に作動油は導入されていないので、遅角側へ揺動するときベーンロータ15が中間位置に達すると、ストッパピストン31はスプリング37の付勢力により嵌合リング36に嵌合する。
【0049】
このように、エンジン始動前にストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合していなくてもエンジンの始動を開始すると速やかにストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合し、クランクシャフトに対しカムシャフト2が中間位置に保持されるので、エンジンが短時間で始動する。
【0050】
エンジン始動開始時、ECUからの制御信号により切換弁82の弁部83aが選択されるので、油ポンプ80から油供給路94、油路92、90、油路60および61、油路63、64、65を介し遅角油圧室51、52、53に作動油が供給される。さらに遅角油圧室51から油路57を介し油圧室41に作動油が供給される。しかし、エンジン始動開始時におけるクランキング状態では、油ポンプ80から油圧室41に作動油がまだ導入されていないので、ストッパピストン31の先端部32はスプリング37の付勢力により嵌合リング36に嵌合しており、ベーンロータ15はシューハウジング12に対し図2に示す中間位置にある。ベーンロータ15はシューハウジング12に対し遅角側および進角側への動きを規制されるので、エンジン始動開始時にカムシャフト2が受ける負荷トルクが変動しても、シューハウジング12とベーンロータ15とが衝突し打音を発生することを防止する。
【0051】
遅角油圧室51および油圧室41に作動油が供給され、油圧室41の油圧が所定圧以上になると、油圧室41の作動油からストッパピストン31が受ける力により、図4の(B)に示すように、スプリング37の付勢力に抗しストッパピストン31は嵌合リング36から抜け出し、ベーンロータ15はシューハウジング12との拘束を解除される。スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクはカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均より大きいので、ストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出すとベーンロータ15はシューハウジング12に対し進角側に相対回転しようとする。しかし、遅角油圧室51に作動油が供給されているので、ストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出しても、シューハウジング12に対しベーンロータ15は進角方向に回転しない。遅角油圧室51の油圧をさらに増加すれば、ベーンロータ15はシューハウジング12に対し図2において反時計方向の遅角側に回転する。
【0052】
次に、図2に示す状態から切換弁82の弁部83cを選択すると、遅角油圧室51、52、53から作動油が排出され、進角油圧室54、55、56に作動油が供給される。そして、進角油圧室54から油路58を介し油圧室42に作動油が供給される。したがって、ストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出た状態で、シューハウジング12に対しベーンロータ15は図2において時計方向、つまり進角側に回転する。
【0053】
ベーンロータ15が相対回動しているときに切換弁82の弁部83bを選択すると、各油圧室への作動油の供給、ならびに各油圧室からの作動油の排出が遮断されるので、シューハウジング12に対しベーンロータ15は最遅角位置と最進角位置との間で停止する。
【0054】
このように各油圧室の油圧を調整することにより、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対位相差、つまりクランクシャフトに対するカムシャフト2の相対位相差を制御することができる。
【0055】
シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動しているとき、ストッパピストン31が嵌合リング36上を通過することがある。このとき、油圧室41または油圧室42の油圧が低下すると、ストッパピストン31はスプリング37の付勢力により嵌合リング36に向けて移動しようとする。しかし、図4の(B)に示すように、嵌合リング36からストッパピストン31が抜け出た状態では、ガイドリング30の内周壁と小径摺動部33の外周壁とにより、環状のダンパ室43が形成される。図4の(B)に示す状態で、ダンパ室43は密封されているので、ストッパピストン31が嵌合リング36に向け移動しようとしても、ダンパ室43の作用により移動速度が低下する。したがって、嵌合リング36に嵌合する前にストッパピストン31は嵌合リング36上を通過し、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合することを防止する。
【0056】
イグニションキーをオフすること等によりエンジンが停止するとき、遅角油圧室51、52、53、または進角油圧室54、55、56に供給される作動油の圧力が低下する。カムシャフト2が受ける負荷トルクの平均は遅角方向に働き、スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクはカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均よりも大きいので、エンジンが停止するまでの間シューハウジング12に対しカムシャフト2は進角方向に回転する。
【0057】
ベーンロータ15が中間位置より遅角側にある状態でエンジンが停止しようとすると、スプリング24の付勢力によりベーンロータ15は進角側に位置する中間位置に向け回転し、中間位置に達するとストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しシューハウジング12とベーンロータ15とは拘束状態になる。
【0058】
また、ベーンロータ15が中間位置より進角側にある状態でエンジンが停止するときも、スプリング24の付勢力によりベーンロータ15は進角方向に回転する。しかし、カムシャフト2が遅角方向に受ける負荷トルクの最大値はスプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクよりも大きいので、エンジンが停止するまでの間、負荷トルクの変動によりベーンロータ15は遅角側に揺動する。ベーンロータ15が遅角側に揺動するとき、ストッパピストン31が中間位置に達すると、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合し、シューハウジング12とベーンロータ15は拘束状態になる。
【0059】
エンジンが停止するとき、シューハウジング12に対しベーンロータ15がどのような相対位置にあろうと中間位置においてストッパピストン31は嵌合リング36に嵌合可能である。したがって、クランクシャフトに対しエンジンを始動するために好適な位相位置でカムシャフト2を保持できるので、エンジンを短時間で始動することができる。
【0060】
また、前述したようにストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しておらずシューハウジング12に対しベーンロータ15が中間位置にない状態でエンジンの始動を開始しても、シューハウジング12に対しベーンロータ15が速やかに中間位置に相対回転しストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合する。したがって、エンジンを短時間で始動できる。
【0061】
第1実施例では、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合可能な中間位置において、スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは、カムシャフト2が受ける負荷トルクの平均よりも大きい。これに対し、中間位置においてスプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクをカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均とほぼ同じにしてもよい。スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは遅角側から進角側に向かうにしたがい低下するので、中間位置と最進角位置との間において、スプリング24がベーンロータ15を介しカムシャフト2に加える進角トルクは負荷トルクの平均より小さくなる。
【0062】
したがって、エンジンが停止またはエンジンの始動を開始るとき、シューハウジング12に対しベーンロータ15が中間位置よりも遅角側に位置するときはスプリング24の進角トルクにより、中間位置よりも進角側に位置するときは負荷トルクにより、ベーンロータ15は中間位置に向かう。したがって、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対位置に関わらず、ストッパピストン31は嵌合リング36に嵌合する。
【0063】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図6に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
第2実施例において、中間プレート17に形成されている規制手段としての長穴17cは、シューハウジング12に対しベーンロータ15が遅角側から図6の(B)に示す中間位置に達したとき、スプリング24の他端24bが長穴17cの進角側で係止されるように形成されている。したがって、スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは、図6の(A)に示す最遅角位置から図6の(B)に示す中間位置までの間ベーンロータ15に加わり、図6の(C)に示すように、ベーンロータ15が中間位置から進角側に回転するとスプリング24の付勢力はベーンロータ15に加わらない。
【0064】
スプリング24の他端24bを係止するためにベーン15aに形成されている係止穴15eは周方向に延びる長穴状に形成されており、ベーンロータ15が遅角側から図6の(B)に示す中間位置に達するまで係止穴15eの進角側でスプリング24の他端24bを係止している。長穴17cの進角側にスプリング24の他端24bが係止された状態でベーンロータ15が中間位置から進角側に回転できるように係止穴15eは周方向に延びる長穴状に形成されている。
【0065】
ベーンロータ15が中間位置より遅角側にある状態でエンジンが停止またはエンジンの始動を開始しようとすると、スプリング24の付勢力によりベーンロータ15はベーンロータ15にとって進角側に位置する中間位置に向け回転し、中間位置に達するとストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しシューハウジング12とベーンロータ15とは拘束状態になる。
【0066】
ベーンロータ15が中間位置より進角側にある状態でエンジンが停止またはエンジンの始動を開始しようとすると、ベーンロータ15にスプリング24の進角トルクが加わっていないので、カムシャフト2が受ける負荷トルクによりベーンロータ15は進角側から中間位置に向け回転し、中間位置に達するとストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しシューハウジング12とベーンロータ15は拘束状態になる。
【0067】
第2実施例では、スプリング24の付勢力が最遅角位置と中間位置との間だけにおいてベーンロータ15に加わるので、最遅角位置と中間位置との間においてスプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクが負荷トルクの平均以上であれば、エンジンが停止またはエンジンの始動を開始するとき、ストッパピストン31は嵌合リング36に嵌合する。
【0068】
(第3実施例)
本発明の第3実施例を図7に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
エンジン始動開始時、ECUからの制御信号により切換弁82の弁部材83および切換弁86の弁部材87において、図7に示すようにそれぞれ弁部83b、87aが選択されている。油ポンプ80から供給される作動油は、油供給路94から油路96、97を通り遅角油圧室51、52、53、ならびに進角油圧室54、55、56、ならびに油圧室41、42(図示せず)に供給される。切換弁82の弁部83bが選択されているので、各油圧室に供給された作動油はドレイン81に排出されない。したがって、各油圧室の油圧は速やかに上昇する。第3実施例では、切換弁82および切換弁86が流体供給手段を構成し、弁部87aが切換部を構成している。
【0069】
エンジン始動開始後、各遅角油圧室および各進角油圧室に作動油が充填され油圧室41、42の油圧が所定圧に上昇してからストッパピストン31は嵌合リング36から抜け出す。エンジン始動開始後、ストッパピストン31は嵌合リング36から抜け出した状態で各遅角油圧室および各進角油圧室の油圧が充分に上昇していなくても、各ベーンが遅角油圧室および進角油圧室の作動油に押さえられているので、ベーンロータの揺動を防止する。これにより、ベーンロータ15がシューハウジング12を叩き打音を発生することを防止する。
【0070】
エンジン始動後作動油の油圧が充分に上昇すると、ECUからの指示により弁部材87の弁部87bが選択される。そして、弁部材83が往復移動することによりシューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動を制御できる。
【0071】
(第4実施例)
本発明の第4実施例を図8に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
流体供給手段としての切換弁100は、第1実施例に示した切換弁82の弁部材83に切換部としての弁部101aを一体に形成した弁部材101を有する。
【0072】
エンジン始動開始時、ECUからの制御信号により弁部材101の弁部101aが選択される。油ポンプ80から供給れる作動油は、油供給路94、油路92、93から遅角油圧室51、52、53、ならびに進角油圧室54、55、56、ならびに油圧室41、42(図示せず)に供給される。各油圧室に供給された作動油はドレイン81に排出されないので、各油圧室の油圧は速やかに上昇する。
【0073】
エンジン始動開始後、各遅角油圧室および各進角油圧室に作動油が充填され油圧室41、42の油圧が所定圧に上昇してからストッパピストン31は嵌合リング36から抜け出す。各遅角油圧室および各進角油圧室の油圧が充分に上昇していなくても、各ベーンが遅角油圧室および進角油圧室の作動油に押さえられているので、ベーンロータの揺動を防止する。これにより、ベーンロータ15がシューハウジング12を叩き打音を発生することを防止する。
【0074】
エンジン始動後作動油の油圧が充分に上昇すると、ECUからの指示により、弁部材101の弁部101a以外の弁部83a、83b、83cが選択される。弁部材101が往復移動することによりシューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動を制御できる。
【0075】
(第5実施例)
本発明の第5実施例を図9に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
遅角油圧室52と連通する流入油路110、ならびに進角油圧室55と連通する流出油路111がベーン15bに形成されている。流体供給手段としての逆止弁120は流入油路110と流出油路111との間に配置されている。逆止弁120のボール122はハウジング121に往復移動自在に収容されており、ハウジング121に形成された弁座121aに着座可能である。スプリング123は弁座121aに向けボール122を付勢している。ボール122が弁座121aに着座することにより、流入油路110と流出油路111との連通は遮断され、ボール122が弁座121aから離座することにより、流入油路110と流出油路111とは連通する。
【0076】
エンジン始動開始時、ECUからの制御信号により弁部材83の弁部83aが選択される。油ポンプ80から供給される作動油は、油供給路94、油路92から遅角油圧室51、52、53、ならびに油圧室41に供給される。遅角油圧室52に供給された作動油は逆止弁120が開弁することにより進角油圧室55に流入する。進角油圧室55に流入した作動油は油路93を通りドレイン81に排出される。しかし、遅角油圧室52に供給される作動油が進角油圧室55に流入するので、進角油圧室55は作動油で充填される。
【0077】
エンジン始動開始後、各遅角油圧室および進角油圧室55に作動油が充填され油圧室41の油圧が所定圧に上昇してからストッパピストン31は嵌合リング36から抜け出す。各遅角油圧室および進角油圧室55の油圧が充分に上昇していなくても、ベーン15bが遅角油圧室52および進角油圧室55の作動油に押さえられているので、ベーンロータ15の揺動を防止する。これにより、ベーンロータ15がシューハウジング12を叩き打音を発生することを防止する。
【0078】
遅角油圧室52に作動油を供給すると逆止弁120を通り進角油圧室55に流入する作動油はドレイン81に排出されるので、遅角油圧室52の油圧は他の遅角油圧室51、53に比べ低くなる。しかし、エンジン始動後、ストッパピストン31が嵌合リング36から抜けだし作動油の油圧が充分に上昇した後、遅角油圧室51と進角油圧室54との油圧差、ならびに遅角油圧室53と進角油圧室56との油圧差によりシューハウジング12に対しベーンロータ15を遅角側に回転できる。
【0079】
(第6実施例)
本発明の第6実施例を図10および図11に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
流体供給手段としての切換弁130は、第1実施例に示した切換弁82の弁部材83に切換部としての弁部131aを一体に形成した弁部材131を有する。弁部131a、83a、83b、83cが一体に形成されているので、弁部131aを弁部材83と別体に形成する場合に比べ、ソレノイド85に送出する一系統の制御信号により弁部131a、83a、83b、83cのいずれかを選択できる。さらに、油路の構成を簡略化できる。
【0080】
図11の(A)に示すように、ガイドリング140はベーン15aの内壁に圧入保持され、このガイドリング140に有底円筒状に形成された当接部としてのストッパピストン141がカムシャフト2の回転軸方向に摺動可能に挿入されている。図11の(A)に示すように、ストッパピストン141の先端部142は被当接部としての嵌合リング145に嵌合可能である。ストッパピストン141、嵌合リング145およびスプリング37は拘束手段を構成している。ガイドリング140およびストッパピストン141は流体供給手段を構成している。
【0081】
ストッパピストン141は、フロントプレート14側から、先端部142、大径摺動部143、小径摺動部144を有し、各摺動部はガイドリング140の内周壁と摺動する。先端部142の端面の外周側に広角かつ環状のテーパ面142aが形成されている。さらに、図11の(A)に示す状態において、油路58から油圧室42に作動油が流入できるように先端部142に溝142bが形成されている。
【0082】
嵌合リング145は、テーパ状の内周面145aを有し環状に形成されており、フロントプレート14に形成された凹部14bに圧入保持されている。内周面145aのストッパピストン141との当接側はストッパピストン141に向けさらに拡径するように傾斜している。
【0083】
ストッパピストン141の先端部142は、図10に示すようにシューハウジング12に対し最遅角位置と最進角位置のほぼ中間にベーンロータ15が位置するとき嵌合リング145に嵌合可能である。ストッパピストン141が嵌合リング145に嵌合した状態ではシューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動は拘束されている。
【0084】
シューハウジング12に対しベーンロータ15が中間位置から遅角側または進角側に回転するとストッパピストン141と嵌合リング145との周方向位置がずれることにより、ストッパピストン141は嵌合リング145に嵌合不能になる。
【0085】
ガイドリング140にはガイドリング140を貫通する貫通孔140aが形成されている。油路146は遅角油圧室51と貫通孔140aとを連通し、油路148は進角油圧室54と貫通孔140aとを連通している。ガイドリング140の内周壁とストッパピストン141の小径摺動部144の外周壁との間に環状の油路147が形成されている。貫通孔140a、および油路146、147、148は、遅角油圧室51と進角油圧室54とを連通する連通路を構成している。
【0086】
エンジン始動開始時、図10に示すように、ECUからの制御信号により弁部材131の弁部131aが選択されるので、油ポンプ80から油供給路94、油路92を通り遅角油圧室51、52、53に作動油が供給される。エンジン始動開始時ストッパピストン141が嵌合リング145に嵌合していると、図11の(A)に示すように、遅角油圧室51に供給された作動油は、油路146、貫通孔140a、油路147、貫通孔140a、油路148、進角油圧室54、油路58を通り油圧室42に供給される。切換弁130の弁部131aが選択されているので、進角油圧室54に供給された作動油はドレイン81に排出されない。
【0087】
エンジン始動開始後、各遅角油圧室および進角油圧室54に作動油が充填され油圧室42の油圧が所定圧に上昇してからストッパピストン141は嵌合リング145から抜け出す。遅角油圧室51および進角油圧室54の油圧が充分に上昇していなくても、ベーン15aが遅角油圧室51および進角油圧室54の作動油に押さえられているので、ベーンロータ15の揺動が防止される。これにより、ベーンロータ15がシューハウジング12を叩き打音を発生することを防止する。
【0088】
エンジン始動後作動油の油圧が充分に上昇すると、ECUからの指示により、弁部材131の弁部131a以外の弁部83a、83b、83cのいずれかが選択される。これにより、各油圧室への作動油の供給および各油圧室からの作動油の排出を制御し、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動を制御できる。ストッパピストン141が嵌合リング145から抜け出すと、図11の(B)に示すように、ガイドリング140およびストッパピストン141により油路147が密封され油路146と148との連通が遮断されるので、遅角油圧室51と進角油圧室54との連通は遮断される。密封された油路147はダンパ手段としてのダンパ室として作用する。油路147は密封されているので、ストッパピストン141が嵌合リング145に向け移動しようとしても、油路147の働きにより移動速度が低下する。したがって、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動しストッパピストン141が嵌合リング145上を通過するときに油圧が低下しストッパピストン141が嵌合リング145に向け移動しようとしても、嵌合リング145に嵌合する前にストッパピストン141は嵌合リング145上を通過し、ストッパピストン141が嵌合リング145に嵌合することを防止する。
【0089】
また、先端部142の端面に広角のテーパ面142aが形成されているので、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動するときに図11の(C)に示すように先端部142が嵌合リング145に接触しても、テーパ面142aが嵌合リング145に接触することにより接触衝撃を低減する。
【0090】
(第7実施例)
本発明の第7実施例を図12に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
図12の(A)に示すように、ストッパピストン150は、有底の円筒状に形成されており、フロントプレート14側に形成された先端部151は嵌合リング152に嵌合可能である。先端部151の端面の外周側に広角かつ環状のテーパ面151aが形成されている。さらに、図12の(A)に示す状態において、油路58から油圧室42に作動油が流入できるように先端部151に溝151bが形成されている。
【0091】
被当接部としての嵌合リング152はストッパピストン150と嵌合するテーパ状の内周面を有し環状に形成されている。嵌合リング152は、フロントプレート14に形成された凹部に圧入保持されている。係止部材としてのピストン153は嵌合リング152に往復自在に支持されている。移動付勢手段としてのスプリング154はストッパピストン150に向けピストン153を付勢している。ピストン153の反油圧室42側に油圧室155が形成されている。油圧室155は、油路156を介し遅角油圧室51と連通している。
【0092】
エンジンの始動を開始すると、まず各進角油圧室および油圧室42に作動油が充填され、油圧室42の油圧が所定圧に上昇すると、図12の(B)に示すように、ストッパピストン150は嵌合リング152から抜け出す。その後、各油圧室への作動油の供給および各油圧室からの作動油の排出を制御し、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動を制御する。
【0093】
嵌合リング152から抜け出る方向にストッパピストン150が油圧室42の作動油から油圧を受ける受圧面の面積は、嵌合リング152から抜け出る方向にストッパピストン150が油圧室41の作動油から油圧を受ける受圧面の面積よりも大きい。油圧室41には遅角油圧室51の作動油が供給され、油圧室42には進角油圧室54の作動油が供給される。したがって、シューハウジング12に対しベーンロータ15が進角側に回転し、ストッパピストン150が油圧室42から油圧を受けているとき、油圧室41の油圧から受けるよりも大きな力を嵌合リング152から抜け出る方向に受けるので、ストッパピストン150は図12の(B)に示す位置にあり嵌合リング152に嵌合しない。
【0094】
一方、シューハウジング12に対しベーンロータ15が遅角側に回転し、ストッパピストン150が油圧室41から油圧を受けているとき、油圧室41から油圧を受けるストッパピストン150の受圧面積が小さいので、油圧室41の油圧が低下するとストッパピストン150は嵌合リング152に向け移動することがある。このとき、遅角油圧室51から油圧室155に供給される作動油の油圧によりピストン153はストッパピストン150に向け押されており、嵌合リング152のストッパ152aに係止されている。油圧室41の油圧の低下により嵌合リング152に向け移動してきたストッパピストン150は、図12の(C)に示すようにピストン153に係止されるので、嵌合リング152と嵌合しない。ストッパピストン150とピストン153とが当接する位置は、嵌合リング152のストッパピストン150側端面よりわずかにフロントプレート14側であるから、ベーンロータ15が遅角側に回転してもピストン153はベーン15aと接触しない。また、ストッパピストン150の先端部151の端面外周側は広角のテーパ面151aを有するので、先端部151がフロントプレート14側に僅かに入り込み嵌合リング152またはフロントプレート14と接触しても、接触衝撃を低減することができる。
【0095】
(第8実施例)
本発明の第8実施例を図13に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
図13に示すように、当接部としてのストッパピストン160は、有底の円筒状に形成されており、フロントプレート14側に形成された先端部161は被当接部としての嵌合リング162に嵌合可能である。油圧室41は図示しない遅角油圧室51と連通しており、油圧室42は図示しない進角油圧室54と連通している。
【0096】
嵌合リング162はフロントプレート14に径方向に延び長穴状に形成された凹部163に収容されている。スプリング164は、図13の下方、つまり径方向内側に嵌合リング162を付勢している。ベーンロータ15が回転し嵌合リング162に加わる遠心力がスプリング164の付勢力に打ち勝つと、嵌合リング162は図13の上方、つまり径方向外側に移動する。
【0097】
エンジン始動開始前、ストッパピストン160は嵌合リング162に嵌合している。エンジン始動開始後、各遅角油圧室および油圧室41に作動油が充填され油圧室41の油圧が所定圧に上昇すると、ストッパピストン160は嵌合リング162から抜け出す。ベーンロータ15の回転に伴い嵌合リング162に加わる遠心力がスプリング164の付勢力に打ち勝つと、嵌合リング162は凹部163に沿って径方向外側に移動し図13に示す状態になる。この状態では、ストッパピストン160と嵌合リング162の径方向位置がずれているので、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動するときにストッパピストン160が嵌合リング162上を通過してもストッパピストン160は嵌合リング162に嵌合しない。
【0098】
以上説明した本発明の実施の形態を示す上記複数の実施例では、シューハウジング12に対しベーンロータ15が最遅角位置と最進角位置との間の中間位置にあるときストッパピストンが嵌合リングに嵌合可能な構成である。したがって、ストッパピストンが嵌合リングに嵌合する位置を調整することにより、吸気弁のバルブタイミングをエンジン始動開始に好適な位相にすることができる。ストッパピストンが嵌合リングに嵌合する中間位置は、最遅角位置と最進角位置とを除く任意の位置に設定できる。
【0099】
上記複数の実施例では、シューハウジング12に対するベーンロータ15の最遅角位置において、スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクを負荷トルクの平均より大きくしたが、スプリング24が加える進角トルクを負荷トルクの平均より小さく設定してもよい。この場合、ストッパピストンが嵌合リングに嵌合していない状態でエンジンの始動を開始すると、作動油が遅角油圧室に導入されるまでベーンロータ15は進角側の中間位置に向かわないので、本実施例に比べエンジンが始動するまでに長い時間を要する。しかし、スプリング24を配設していない構成と比較しベーンロータ15は早く中間位置に達し、エンジンを始動可能になる。
【0100】
本発明の上記複数の実施例では、吸気弁を駆動するバルブタイミング調整装置について説明したが、バルブタイミング調整装置により排気弁だけ、あるいは吸気弁および排気弁の両方を駆動することも可能である。
また上記複数の実施例では、ストッパピストンが軸方向に移動して嵌合リングに嵌合したが、ストッパピストンが径方向に移動し嵌合リングに嵌合する構成にすることも可能である。
【0101】
また本発明の複数の実施例では、タイミングギアによりクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフトに伝達する構成を採用したが、タイミンプーリまたはチェーンスプロケット等を用いる構成にすることも可能である。また、駆動軸としてのクランクシャフトの駆動力をベーン部材で受け、従動軸としてのカムシャフトとハウジング部材とを一体に回転させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるバルブタイミング調整装置を示す図2のI−O−I線断面図である。
【図2】第1実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【図3】図2のI−O−III 線断面図である。
【図4】図2のストッパピストン周囲を示すIV−O−IV線断面図であり、(A)は拘束状態を示し、(B)は拘束解除状態を示す。
【図5】(A)はカムシャフトとタイミングギアとの回転方向を示す模式図であり、(B)はカムシャフトが受ける負荷トルクを示す特性図である。
【図6】本発明の第2実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図であり、(A)は最遅角位置を示し、(B)は中間位置を示し、(C)は最進角位置を示している。
【図7】本発明の第3実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【図8】本発明の第4実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【図9】本発明の第5実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【図10】本発明の第6実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【図11】第6実施例のストッパピストン周囲を示す拡大断面図であり、(A)は拘束状態を示し、(B)およびは(C)は拘束解除状態を示している。
【図12】本発明の第7実施例のストッパピストン周囲を示す拡大断面図であり、(A)は拘束状態、(B)およびは(C)は拘束解除状態を示している。
【図13】本発明の第8実施例のストッパピストン周囲を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 バルブタイミング調整装置
2 カムシャフト(従動軸)
10 タイミングギア(ハウジング部材)
12 シューハウジング(ハウジング部材)
12a、12、12c シュー
13 周壁(ハウジング部材)
14 フロントプレート(ハウジング部材)
15 ベーンロータ(ベーン部材)
15a、15b、15c ベーン(ベーン部材)
17 中間プレート(ハウジング部材)
17c 長穴(規制手段)
24 スプリング(進角手段)
31 ストッパピストン(当接部)
36 嵌合リング(被当接部)
37 スプリング(当接付勢手段)
43 ダンパ室(ダンパ手段)
50 収容室
51、52、53 遅角油圧室
54、55、56 遅角油圧室
82、86、100、130 切換弁(流体供給手段)
87a、101a、131a 弁部(切換部)
94 油供給路(作動流体供給路)
95 油排出路(作動流体排出路)
120 逆止弁(流体供給手段)
140 ガイドリング(流体供給手段)
140a 貫通孔(連通路)
141 ストッパピストン(当接部、流体供給手段)
145、152、162 嵌合リング(被当接部)
146、147、148 油路(連通路)
150、160 ストッパピストン(当接部)
153 ピストン(係止部材)
154 スプリング(移動付勢手段)

Claims (12)

  1. 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および前記排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転するハウジング部材と、
    前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記ハウジング部材内に形成された収容室に収容され、前記収容室を遅角室と進角室とに二分し、所定角度範囲に限り前記ハウジング部材に対し作動流体圧力により相対回動駆動されるベーン部材と、
    前記ハウジング部材と前記ベーン部材とにそれぞれ設けられ、前記収容室の周方向両端の間における中間位置において前記ハウジング部材に対し前記ベーン部材が所定の相対回動位置にあるとき互いに当接することにより前記ハウジング部材に対する前記ベーン部材の相対回動を拘束する当接部および被当接部を有し、作動流体圧力により前記当接部を変位させ拘束状態を解除可能に構成されており、前記被当接部との当接方向へ前記当接部を付勢する当接付勢手段を含む拘束手段と、
    前記駆動軸に対し進角する方向に前記従動軸に進角トルクを加える進角手段と、
    前記遅角室および前記進角室の両室に作動流体を供給可能な流体供給手段と、
    を備え
    前記当接部は、前記遅角室と前記進角室とを連通可能な連通路を有し、前記当接部と前記被当接部とが拘束状態にあるとき前記連通路を開放し、前記当接部と前記被当接部とが拘束解除状態にあるとき前記連通路を閉塞することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記進角手段が前記従動軸に加える進角トルクは前記駆動軸に対し前記従動軸が最遅角位置から進角方向に向かうにしたがい小さくなり、前記駆動軸に対し前記従動軸が最遅角位置にあるとき、前記吸気弁および前記排気弁の少なくともいずれか一方を駆動することにより前記従動軸が受ける負荷トルクの平均より大きな進角トルクを前記進角手段は前記従動軸に加え、前記中間位置において負荷トルクの平均以上の進角トルクを前記進角手段は前記従動軸に加えることを特徴とする請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記進角手段が前記従動軸に加える進角トルクは、遅角方向に働く負荷トルクの最大値より小さいことを特徴とする請求項2記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記進角手段は前記中間位置において負荷トルクの平均とほぼ等しい進角トルクを前記従動軸に加えることを特徴とする請求項2または3記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記中間位置より進角方向に前記従動軸が回転する場合、前記進角手段が前記従動軸に進角トルクを加えることを防止する規制手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記当接部および前記被当接部の少なくともいずれか一方の当接側端部はテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記流体供給手段は作動流体供給路および作動流体排出路と前記遅角室および前記進角室との連通を切り換える切換弁を有し、前記切換弁は、前記遅角室または前記進角室の一方と前記作動流体供給路とを連通し前記遅角室または前記進角室の他方からの作動流体の排出を遮断する切換部を有し、前記遅角室または前記進角室の他方の作動流体圧力により前記当接部と前記被当接部との拘束状態を解除することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記流体供給手段は作動流体供給路および作動流体排出路と前記遅角室および前記進角室との連通を切り換える切換弁を有し、前記切換弁は前記遅角室および前記進角室の両室と前記作動流体供給路とを連通する切換部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記流体供給手段は前記ハウジング部材または前記ベーン部材の一方に配設されている逆止弁を有し、前記逆止弁は前記遅角室から前記進角室に作動流体が流れることを許可し前記進角室から前記遅角室に作動流体が流れることを防止することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記被当接部との当接方向に前記当接部が移動する速度を低減するダンパ手段を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記拘束手段は、前記遅角室または前記進角室の一方の作動流体圧力により拘束状態を解除され、前記遅角室または前記進角室の他方の作動流体圧力により拘束状態と拘束解除状態との境界位置で前記当接部を係止する係止部材を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  12. 前記当接部は前記従動軸の回転軸方向に移動することにより前記被当接部に当接し、前記被当接部は所定範囲内において径方向に往復移動可能に配設されており、前記拘束手段は径方向内側に向け前記被当接部を付勢する移動付勢手段を有し、内燃機関の停止時、前記当接部は前記被当接部に当接可能であり、内燃機関の運転中、前記移動付勢手段の付勢力に抗し遠心力により前記被当接部が径方向外側に移動することにより前記当接部は前記被当接部に当接不能となることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
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