JP5370419B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを、作動液により調整する液圧式バルブタイミング調整装置に関する。
従来、クランク軸と連動して回転するハウジングロータ、並びにカム軸と連動して回転するベーンロータを備えた液圧式バルブタイミング調整装置が知られている。この種の液圧式バルブタイミング調整装置では、ハウジングロータ内にてベーンロータが回転方向に区画する進角作動室及び遅角作動室に対して作動液を入出させることにより、ハウジングロータに対するベーンロータの回転位相を進角方向又は遅角方向へ変化させる。
以上の如き液圧式バルブタイミング調整装置の一種として特許文献1に開示される装置には、ロック機構部が設けられている。このロック機構部では、進角作動室及び遅角作動室のうち一方である中継作動室へロック作動室から作動液が排出されることにより、ロック部材がハウジングロータ及びベーンロータの双方との嵌合位置に移動して回転位相がロック位相にロックされる。また、中継作動室からロック作動室へ作動液が導入されることによりロック機構部では、ロック部材がハウジングロータからの離脱位置に移動してロック位相へのロックが解除されることになる。
さらに特許文献1の開示装置には、こうしたロック機構部に加えて、圧力調整部が設けられている。この圧力調整部では、進角作動室及び遅角作動室間の圧力差が開弁閾値以上に大きくなると開弁可能な逆止弁が使用され、当該逆止弁の開弁に応じて相互連通する進角作動室及び遅角作動室の各圧力が調整されることになる。
特開平11−229828号公報
さて、一般に液圧式バルブタイミング調整装置では、進角作動室及び遅角作動室のうち、作動液を導入する一方と作動液を排出する他方とを方向制御弁等にて切替えることにより、バルブタイミングを決める回転位相の調整を可能にしている。故に、特許文献1の開示装置の構造においてロック解除を実現するには、通常、ロック部材がハウジングロータ及びベーンロータの双方に嵌合するロック状態下、進角作動室及び遅角作動室の一方である中継作動室に対して作動液の導入を開始することとなる。
但し、そうした場合には、作動液を導入される中継作動室の圧力により回転トルクがベーンロータに作用すると、ロック部材がハウジングロータに対して回転方向に押付けられる。その結果、中継作動室を経て作動液を導入されるロック作動室では、圧力上昇が遅れることから、ハウジングロータへの押付力により摩擦抵抗の増大したロック部材は、中継作動室の圧力が上昇するほど、離脱位置への移動を阻害されてしまう。このとき、作動液の導入側となる中継作動室の圧力に対して、作動液の排出側となる他方の作動室の圧力は低いので、それら作動室の圧力差に応じて逆止弁が開弁すれば、ハウジングロータへのロック部材の押付力を生む中継作動室の圧力は、制限されると考えられる。
ところが、フェイル時における作動室間の圧力調整を目的とする特許文献1の開示装置の構造では、逆止弁の開弁を低温時のみに限定しているため、高温時には当然、中継作動室の圧力を制限することができない。故に高温時には、ハウジングロータへのロック部材の押付力が中継作動室の圧力により増大して、ロック部材の移動が阻害されてしまう。しかも、本発明者が鋭意研究を行ったところ、高温時のみならず低温時であっても、逆止弁による中継作動室の圧力制限が不十分となる場合、今度は別の理由によりロック部材の移動を阻害するという知見が、得られたのである。以下、その理由について説明する。
特許文献1の開示装置の構造では、ハウジングロータへのロック部材の押付力は、カム軸からベーンロータへ伝達される変動トルクによっても発生する。故に、そうした変動トルクに起因する押付力を小さくしてロック部材の移動を可能にするには、中継作動室の圧力により発生の回転トルクを変動トルクと釣合わせることが、重要となる。しかし、中継作動室の圧力制限が不十分な場合、当該中継作動室圧力による発生トルクを変動トルクと釣合わせることは困難となるので、ハウジングロータへの押付力が継続的に発生してロック部材の移動が阻害されてしまうのである。尚、中継作動室の圧力が制限され過ぎる場合には、ロック作動室の圧力低下によりロック解除を実現し得なくなるおそれがあることから、中継作動室の圧力制限作用は逆止弁により適度に制御されることが、望ましい。
本発明は、以上説明した知見に基づいて創作されたものであって、その目的は、ロック解除の信頼性を確保するバルブタイミング調整装置を、提供することにある。
請求項1に記載の発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを、作動液により調整する液圧式バルブタイミング調整装置において、
クランク軸と連動して回転するハウジングロータと、カム軸と連動して回転し、ハウジングロータ内において進角作動室及び遅角作動室を回転方向に区画し、進角作動室及び遅角作動室に対する作動液の入出により、ハウジングロータに対する回転位相が進角方向又は遅角方向へ変化するベーンロータと、進角作動室及び遅角作動室のうち一方である中継作動室を経て作動液が入出するロック作動室、並びにロック作動室の圧力に応じて移動するロック部材を、有し、ロックモードにおいて作動液がロック作動室から排出されることにより、ロック部材がハウジングロータ及びベーンロータの双方との嵌合位置に移動して回転位相を所定のロック位相にロックし、ロックモードから切替えられる解除モードにおいて作動液がロック作動室へ導入されることにより、ロック部材がハウジングロータ及びベーンロータの一方からの離脱位置に移動してロック位相へのロックを解除するロック機構部と、解除モードにおいて大気に開放される大気通路、並びに中継作動室及び大気通路間の圧力差が所定の開弁閾値以上に大きくなると開弁する逆止弁を、有し、逆止弁の開弁に応じて中継作動室を大気通路と連通させることにより、中継作動室の圧力を調整する圧力調整部とを、備えるバルブタイミング調整装置であって、
解除モードにおいて中継作動室への作動液の導入により回転位相を変化させるための方向が、解除時変化方向と定義され、解除モードにおいてベーンロータに作用する回転トルクの合成トルクのうち、カム軸からベーンロータへ伝達される変動トルクを除いた解除時変化方向のトルクが、解除時トルクと定義され、解除モードにおいてロックを解除するロック作動室の圧力が、ロック閾圧と定義されるとき、
ロック閾圧よりも高い圧力であって、解除モードにおいて解除時変化方向の解除時トルクを、解除時変化方向とは反対方向の変動トルクのうちのピークトルク以下とする中継作動室の圧力が、解除時正圧として設定され、逆止弁の開弁閾値は、解除時正圧及び大気圧の差に設定される。尚、本明細書において「正圧」とは、大気圧を超える圧力を意味するものとする。
この発明において、離脱位置へのロック部材の移動によりロック位相へのロックを解除する解除モードでは、進角作動室及び遅角作動室のうち、回転位相を変化させるための方向である解除時変化方向に対応の中継作動室を経て、作動液がロック作動室に導入される。その結果、ロック作動室の圧力上昇が中継作動室よりも遅れるため、中継作動室の圧力による発生トルクがベーンロータに作用することでハウジングロータに押付けられるロック部材は、当該中継作動室圧力が上昇するほど、離脱位置への移動を阻害される懸念がある。それと共に、ハウジングロータへのロック部材の押付力は、カム軸からベーンロータへ伝達される変動トルクによっても発生するので、当該変動トルクに起因するロック部材の移動阻害も懸念される。
そこで、請求項1に記載の発明の解除モードでは、解除時正圧及び大気圧の差に設定される開弁閾値以上に、中継作動室及び大気通路の圧力差が大きくなると、逆止弁の開弁に応じて大気開放の大気通路と連通することになる中継作動室では、圧力が制限される。ここで解除時正圧とは、解除モードにてベーンロータに作用する回転トルクの合成トルクのうち変動トルクを除く解除時変化方向の解除時トルクを、当該解除時変化方向とは反対方向の変動トルクのうちピークトルク以下とする中継作動室の圧力に、定義される。故に、大気開放により大気圧となる大気通路に対して中継作動室の圧力は、逆止弁の開弁に応じて解除時正圧に制限されることになるので、当該中継作動室圧力による発生トルクを含んだ解除時トルクは、反対方向の変動トルクのピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の大きさにて変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時には、ハウジングロータへのロック部材の押付力が実質的に消失してロック部材の移動が許容され得る。しかも中継作動室の圧力は、ロックを解除するロック作動室のロック閾圧よりも高い解除時正圧に、制限されることとなるので、当該圧力制限作用を受ける中継作動室を経てロック作動室に作動液が導入されるロック機構部では、ロック部材を確実に移動させ得る。以上によれば、ロック部材を離脱位置に移動させてロック位相でのロックを解除させることができるので、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
請求項2に記載の発明によると、解除時正圧は、解除モードにおいて解除時変化方向の解除時トルクを、解除時変化方向とは反対方向のピークトルクよりも小さくする中継作動室の圧力に、設定される。
この発明による逆止弁は、大気通路の大気圧に対して中継作動室の圧力を解除時正圧に制限することで、当該中継作動室圧力による発生トルクを含んだ解除時トルクを、反対方向の変動トルクのピークトルクよりも小さく制限する。その結果、解除時トルクがピークトルクよりも小さな変動トルクと確実に釣合い得るので、ハウジングロータへの押付力によるロック部材の移動阻害は、当該釣合い時に確実に回避され得る。以上によれば、ロック部材の移動の確実性を高めて、ロック解除の高い信頼性を確保することが可能である。
請求項3に記載の発明によると、解除モードにおいて逆止弁の開弁時は、ロック作動室の圧力がロック閾圧に到達する到達時よりも遅い。
この発明の解除モードでは、ロック作動室の圧力がロック閾圧に到達する到達時よりも遅いタイミングで生じる逆止弁の開弁に応じて、中継作動室の圧力が解除時正圧に制限されることで、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得る。これによれば、ロック閾圧よりも高い解除時正圧がロック部材に確実に与えられた状態で、当該ロック部材のハウジングロータへの押付力が実質的に消失することになるので、ロック部材の移動の確実性を高めて、ロック解除の高い信頼性を確保することが可能である。
請求項4に記載の発明によると、進角作動室及び遅角作動室のうち中継作動室と異なる他方は、大気に開放されるドレン回収部に解除モードにおいて作動液を排出する排出作動室であり、大気通路は、解除モードにおいて排出作動室に連通する通路である。
この発明の解除モードにおいて、進角作動室及び遅角作動室のうち中継作動室とは異なる他方は、大気通路との連通状態で大気開放のドレン回収部に作動液を排出する排出作動室となることで、大気通路を大気開放させる。これにより大気圧となる大気通路に対して、逆止弁が中継作動室の圧力を解除時正圧に制限することで、当該中継作動室圧力による発生トルクを含んだ解除時トルクは、反対方向の変動トルクのピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
請求項5に記載の発明によると、大気通路は、大気に開放されるハウジングロータ外に解除モードにおいて作動液を排出する通路である。
この発明の解除モードにおいて、ハウジングロータ外に作動液を排出する大気通路は、当該ハウジングロータ外と共に大気開放される。これにより大気圧となる大気通路に対して、逆止弁が中継作動室の圧力を解除時正圧に制限することで、当該中継作動室圧力による発生トルクを含んだ解除時トルクは、反対方向の変動トルクのピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
請求項6に記載の発明によると、大気通路は、ハウジングロータ及びベーンロータの一方に開口する通路開口を、有し、ロック位相においてハウジングロータ及びベーンロータの他方により通路開口が開放され、ロック位相から外れた回転位相において当該他方により通路開口が閉塞される。
この発明のロックモードのロック位相において、大気通路は、ハウジングロータ及びベーンロータの一方に開口する通路開口をそれらロータの他方により開放されることで、大気開放され得る。故に、ロックモードから切替えの解除モードでは、大気通路の大気圧に対して中継作動室の圧力が解除時正圧に制限されることで、当該中継作動室圧力による発生トルクを含んだ解除時トルクが反対方向の変動トルクのピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
しかも、ロック位相から外れた回転位相において大気通路は、ハウジングロータ及びベーンロータの一方に開口する通路開口をそれらロータの他方により閉塞される。故に、解除モードの完了後において回転位相をロック位相外に変化させるときには、中継作動室の圧力上昇により逆止弁が開弁しても、当該中継作動室の作動液が大気通路を通じて漏れる事態を回避し得る。これによれば、バルブタイミングを決める回転位相につき、中継作動室に対する作動液の入出により正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能である。
請求項7に記載の発明によると、圧力調整部は、中継作動室に連通する中継通路、並びに中継通路及び大気通路間の圧力差が開弁閾値以上に大きくなると開弁する逆止弁を、有し、中継通路は、ハウジングロータ及びベーンロータの一方に開口して大気に開放される通路開口を、有し、ロック位相においてハウジングロータ及びベーンロータの他方により通路開口が開放され、ロック位相から外れた回転位相において当該他方により通路開口が閉塞される。
この発明のロックモードのロック位相において、中継作動室と連通する中継通路は、ハウジングロータ及びベーンロータの一方に開口する通路開口をそれらロータの他方により開放されることで、逆止弁の開弁時には、大気通路と連通して大気開放され得る。故に、ロックモードから切替えの解除モードでは、大気通路の大気圧に対して中継通路の圧力と共に中継作動室の圧力が解除時正圧に制限されることで、当該中継作動室圧力による発生トルクを含んだ解除時トルクが反対方向の変動トルクのピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
しかも、ロック位相から外れた回転位相において中継通路は、ハウジングロータ及びベーンロータの一方に開口する通路開口をそれらロータの他方により閉塞される。故に、解除モードの完了後において回転位相をロック位相外に変化させるときには、中継作動室の圧力上昇により逆止弁が開弁しても、当該中継作動室の作動液が中継通路から大気通路を通じて漏れる事態を回避し得る。これによれば、バルブタイミングを決める回転位相につき、中継作動室に対する作動液の入出により正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能である。
請求項8に記載の発明は、解除モードにおいて、中継作動室の圧力により発生する回転トルクと変動トルクとの合成による合成トルクが、ベーンロータに作用する。
この発明による解除時正圧は、解除モードにてベーンロータに作用する合成トルクのうち、変動トルクを除く解除時トルクとして中継作動室の圧力により発生の回転トルクを、反対方向の変動トルクのうちピークトルク以下とするような当該中継作動室圧力になる。故に大気通路の大気圧に対して、逆止弁が中継作動室の圧力を解除時正圧に制限することで、当該中継作動室圧力による発生トルクは、反対方向の変動トルクのピークトルク以下に制限される。その結果、中継作動室の圧力による発生トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
請求項9に記載の発明は、ベーンロータを解除時変化方向へ付勢する付勢トルクを発生する付勢部材を、備え、解除時トルクは、中継作動室の圧力により発生する回転トルクと付勢トルクとの総和である。
この発明による付勢部材は、解除モードにて中継作動室の圧力により発生する解除時変化方向の回転トルクに対して、同一方向の付勢トルクを発生する。故に大気圧の大気通路に対して、逆止弁が中継作動室の圧力を解除時正圧に制限することで、当該中継作動室圧力による発生トルクと付勢トルクとの総和である解除時トルクは、反対方向の変動トルクのうちピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
請求項10に記載の発明によると、ベーンロータを解除時変化方向とは反対方向へ付勢する付勢トルクを発生する付勢部材を、備え、解除時トルクは、中継作動室の圧力により発生する回転トルクと付勢トルクとの偏差である。
この発明の付勢部材は、解除モードにて中継作動室の圧力により発生する解除時変化方向の回転トルクに対して、反対方向の付勢トルクを発生する。故に大気圧の大気通路に対して、逆止弁が中継作動室の圧力を解除時正圧に制限することで、当該中継作動室圧力による発生トルクと付勢トルクとの偏差である解除時トルクは、反対方向の変動トルクのうちピークトルク以下に制限される。その結果、解除時トルクがピークトルク以下の変動トルクと釣合い得るので、当該釣合い時にロック部材を離脱位置に移動させて、ロック解除の信頼性を確保することが可能である。
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図2のI−I線縦断面図である。 図1のII−II線横断面図である。 図2とは異なる作動状態を示す横断面図である。 図1に示す装置の特性について説明するための特性図である。 図1とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 図1,5とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 図2のVII−VII線縦断面図である。 図7とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 図7,8とは異なる作動状態を示す図であって、図3のIX−IX線縦断面図である。 図7〜9とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 本発明の第二実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図2に対応する横断面図である。 図11のXII−XII線縦断面図である。 図12とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 図11とは異なる作動状態を示す横断面図である。 図12,13とは異なる作動状態を示す図であって、図14のXV−XV線縦断面図である。 本発明の第三実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図2に対応する横断面図である。 図16のXVII−XVII線縦断面図である。 図16とは異なる作動状態を示す横断面図である。 図17とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 本発明の第四実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図2に対応する横断面図である。 図20のXXI−XXI線縦断面図である。 図21とは異なる作動状態を示す縦断面図である。 本発明の第五実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図24のXXIII−XXIII線横断面図である。 図20のXXIV−XXIV線縦断面図である。 図23に示す装置の特性について説明するための特性図である。 本発明の第六実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図27のXXVI−XXVI線横断面図である。 図26のXXVII−XXVII線縦断面図である。 図26に示す装置の特性について説明するための特性図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態による液圧式バルブタイミング調整装置1を車両の内燃機関に適用した例につき、示している。装置1は、内燃機関においてカム軸2を駆動するための機関トルクをクランク軸(図示しない)から伝達する伝達系に、設置される。かかる設置状態において装置1は、機関トルクの伝達によりカム軸2が開閉する「動弁」として吸気弁のバルブタイミングを、「作動液」としての作動油により調整する。
(基本構成)
まず、装置1の基本構成を説明する。装置1は、バルブタイミングを決めるロータ10,20間の回転位相を、制御部40による作動油経路の切替えに従って制御する。尚、以下の説明では、ハウジングロータ10に対するベーンロータ20の回転位相を、単に「回転位相」と表記する。
図1,2に示すようにハウジングロータ10は、有底円筒状のシューハウジング12の開口側端部に円環板状のスプロケットハウジング13を同軸上に締結してなる。金属製のシューハウジング12は、周壁120において回転方向に所定間隔ずつあけた複数箇所に、径方向内側へ突出するシュー121,122,123を、有している。回転方向において隣り合うシュー121,122,123の間には、それぞれ収容室30が形成されている。
金属製のスプロケットハウジング13は、周壁130において回転方向に等間隔ずつあけた複数個所に、径方向外側へ突出するスプロケット歯131を、有している。スプロケットハウジング13は、それらスプロケット歯131とクランク軸の複数の歯との間にタイミングチェーン(図示しない)が掛け渡されることにより、当該軸と連係する。かかる連係により内燃機関の回転時には、クランク軸から出力の機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケットハウジング13に伝達されることで、ハウジングロータ10がクランク軸と連動して図2の時計方向に回転する。
図1に示すように金属製のベーンロータ20は、ハウジングロータ10内に同軸上に収容される円筒状の回転軸200を、有している。回転軸200は、内燃機関において軸受3により軸支されるカム軸2に対して、同軸上に締結されている。かかる締結によりベーンロータ20は、カム軸2と連動して図2の時計方向に回転しつつ、ハウジングロータ10に対して相対回転可能となっている。
図1,2に示すようにベーンロータ20は、回転軸200において回転方向に所定間隔ずつあけた複数箇所に、径方向外側へと突出するベーン201,202,203を、有している。各ベーン201,202,203は、突出側端部をシューハウジング12の周壁120に摺接させた状態で、それぞれ対応する収容室30に図2の如く収容されている。かかる収容形態により各ベーン201,202,203は、作動油が入出する進角作動室31a,32a,33a及び遅角作動室31r,32r,33rを、ハウジングロータ10内にて回転方向に区画している。ここで、シュー121及びベーン201の間には進角作動室31aが、またシュー122及びベーン202の間には進角作動室32aが、さらにシュー123及びベーン203の間には進角作動室33aが、回転位相に拘らず確保されるようになっている。一方、シュー122及びベーン201の間には遅角作動室31rが、またシュー123及びベーン202の間には遅角作動室32rが、さらにシュー121及びベーン203の間には遅角作動室33rが、回転位相に拘らず確保されるようになっている。
以上の構成下、進角作動室31a,32a,33aに作動油が導入且つ遅角作動室31r,32r,33rから作動油が排出されるときには、回転位相を進角方向Aへと変化させる回転トルクTc_aが、ベーンロータ20に作用する。故にこのときには、バルブタイミングが進角し、またその結果、図3に示すようにベーン201が進角方向Aのシュー122に当接するときには、当該方向Aの最端位相である最進角位相に回転位相が制限される。一方、進角作動室31a,32a,33aから作動油が排出且つ遅角作動室31r,32r,33rに作動油が導入されるときには、回転位相を遅角方向Rへと変化させる回転トルクTc_rが、ベーンロータ20に作用する。故にこのときには、バルブタイミングが遅角し、またその結果、図2に示すようにベーン201が遅角方向Rのシュー121に当接するときには、当該方向Rの最端位相である最遅角位相に回転位相が制限されるのである。
さて、図1,2に示すように制御部40は、複数の通路41a,42a,43a,44a,41r,42r,43r,44r、制御弁45及び制御回路46を備えている。ベーンロータ20を貫通する進角個別通路41a,42a,43aは、それぞれ対応する進角作動室31a,32a,33aに対して、回転位相に拘らず連通する。ベーンロータ20及び内燃機関要素2,3を貫通する進角共通通路44aは、進角個別通路41a,42a,43a及び制御弁45の進角ポート45aに対して、回転位相に拘らず連通する。ベーンロータ20を貫通する遅角個別通路41r,42r,43rは、それぞれ対応する遅角作動室31r,32r,33rに回転位相に拘らず連通する。ベーンロータ20及び内燃機関要素2,3を貫通する遅角共通通路44rは、遅角個別通路41r,42r,43r及び制御弁45の遅角ポート45rに対して、回転位相に拘らず連通する。
内燃機関に設置される制御弁45は、例えば方向制御弁等を主体に構成される電磁駆動式であり、通路44a,44rと連通のポート45a,45rに加え、供給ポート45s及びドレンポート45dを有している。供給ポート45sは、供給源であるポンプ4の吐出口4sと常時連通している。ここで本実施形態のポンプ4は、内燃機関の回転に伴ってクランク軸により駆動されるメカポンプであり、ドレンパン5から吸入した作動油を、当該回転の速度(エンジン回転数)と共に上昇する圧力にて、供給ポート45sに吐出供給する。ドレンポート45dは、「ドレン回収部」としてドレンパン5と共に大気に開放されるドレン通路6と常時連通することで、それらドレン通路6及びドレンパン5に順次作動油を排出可能となっている。
制御弁45は、ポート45s,45dに連通させるポートを、ポート45a,45rの間で切替え制御する。その結果、ポート45a,45s間及びポート45r,45d間の連通時は、通路44a,41a,42a,43aを経て作動油が進角作動室31a,32a,33aに導入且つ遅角作動室31r,32r,33rの作動油が通路41r,42r,43r,44rを経て排出される。一方、ポート45a,45d間及びポート45r,45s間の連通時は、通路41a,42a,43a,44aを経て進角作動室31a,32a,33aの作動油が排出且つ通路44r,41r,42r,43rを経て作動油が遅角作動室31r,32r,33rに導入される。
内燃機関の電子制御ユニットとして設置される制御回路46は、例えばマイクロコンピュータ等を主体に構成され、制御弁45及び内燃機関の各種電装品(図示しない)と電気接続されている。制御回路46は、内部メモリに記憶のコンピュータプログラムに従って、内燃機関の作動状態と共に制御弁45の作動状態を制御する。
(変動トルク)
次に、カム軸2からベーンロータ20に伝達する変動トルクにつき、説明する。
内燃機関の回転中は、カム軸2により開閉駆動される吸気弁からのスプリング反力等に起因して生じる変動トルクが、当該軸2を通じてベーンロータ20へと伝達される。図4に例示されるように変動トルクは、ハウジングロータ10に対する進角方向Aに作用する負トルクと、ハウジングロータ10に対する遅角方向Rに作用する正トルクとの間において交番変動する。ここで特に、本実施形態の変動トルクについては、カム軸2及び軸受3の間の摩擦等に起因して、負トルクのピークトルクTv_aよりも正トルクのピークトルクTv_rが大きくなっている。したがって、それら負トルク及び正トルクの平均トルクTv_aveは、図2,4に示すように、遅角方向R(正トルク側)に偏ってベーンロータ20に作用することとなる。
(ロック機構部)
次に、回転位相を所定のロック位相にロック並びに当該ロックを解除するための図1,2のロック機構部50につき、説明する。ロック機構部50は、ロック孔51、ロック部材52、ロックスプリング53、ロック作動室54及びロック通路55を備えている。
図1に示すようにロック孔51は、ハウジングロータ10を構成するシューハウジング12の底壁124に円筒孔状に形成され、当該底壁124のうちベーンロータ20と摺接する内面125に、開口している。
図1,2に示すように金属製のロック部材52は、回転軸200に対して略平行に移動可能な有底円筒状に設けられ、ベーンロータ20のうち特定の一ベーン201に形成される円筒孔状の保持孔204に、常時嵌合している。ロック部材52は、図1,5の如く保持孔204がロック孔51と向き合うロック位相において、当該孔51に対する嵌合及び離脱が可能となっている。ここで特に、本実施形態のロック位相は、図2に示す最遅角位相に設定されることで、内燃機関の始動に最適化されている。一方、ロック位相よりも進角側に外れた位相範囲では、ロック孔51から回転方向にずれた位置において保持孔204が図6の如くシューハウジング12の内面125と向き合うことにより、当該ロック孔51へのロック部材52の嵌合が規制されるようになっている。
図1,2に示すように金属製のロックスプリング53は、回転軸200に対して略平行に設けられる圧縮コイルスプリングであり、ベーン201の保持孔204に保持されている。ロックスプリング53は、ロック孔51を形成するシューハウジング12の底壁124側へと向かって、ロック部材52を常時付勢する。
図1,5,6に示すようにロック作動室54は、ベーン201の保持孔204とロック部材52との間に形成されており、ロック部材52の移動位置に拘らず確保されるようになっている。ロック作動室54は、図1,2に示すように保持孔204及び進角作動室31aの間にてベーン201を貫通するロック通路55を介することにより、回転位相に拘らず当該作動室31aと連通する。かかる連通によりロック作動室54は、「中継作動室」となる進角作動室31aとの間において作動油の入出が可能となっている。
以上の構成下、作動油が進角作動室31aから排出されるときには、ロック通路55及び当該作動室31aを経てロック作動室54の作動油も、排出される。その結果、ロック作動室54にて低下する圧力をロック位相にて受けるロック部材52については、ロックスプリング53の付勢により図1の嵌合位置まで移動することで、ロック孔51と嵌合する。こうしてロック部材52がロック孔51及び保持孔204の双方との嵌合状態となることで、回転位相がロック位相にロックされることになる。
一方、作動油が進角作動室31aに導入されるときには、当該作動室31a及びロック通路55を経てロック作動室54にも、作動油が導入される。その結果、ロック作動室54にて上昇する圧力をロック位相にて受けるロック部材52については、ロックスプリング53の付勢に抗して図5の離脱位置まで移動することで、ロック孔51から離脱する。こうしてロック部材52が保持孔204による保持状態でロック孔51から離脱することにより、ロック位相へのロックが解除されることになる。ここで、回転位相のロックをロック部材52により解除するために必要なロック作動室54の圧力は、図4に示す如きロック閾圧Plとして定義されている。
(圧力調整部)
次に、進角作動室31a,32a,33aの圧力を調整するための図2,7の圧力調整部60につき、説明する。圧力調整部60は、高圧通路61、第一低圧通路62、第二低圧通路63及び逆止弁64を備えている。
通路61,62は、ベーンロータ20においてロック作動室54の形成ベーン201とは異なるベーン202を、貫通している。ここで高圧通路61は、ベーン202のうち進角作動室32aに臨む回転方向の側面205に、開口している。かかる開口形態により高圧通路61は、進角作動室32a及び通路42a,44a,41aを順次介して連通する進角作動室31a、ひいてはロック作動室54と回転位相に拘らず連通する。一方、図7に示すように第一低圧通路62は、ベーン202のうちスプロケットハウジング13と摺接可能な軸方向端面206に、開口している。
図2,3,7に示すように、スプロケットハウジング13において回転方向に延伸する長孔状の第二低圧通路63は、当該ハウジング13のうちベーン202と摺接可能な内面132に、開口している。図2,7,10のロック位相では、内面132における第二低圧通路63の通路開口630がベーン202により、第一低圧通路62及び遅角作動室32rに対して開放されることで、それら要素62,32r間が連通する。かかる連通状態下、遅角作動室32rが大気開放のドレン回収要素6,5へ作動油排出する「排出作動室」となるときには、当該作動室32rを通じて第二低圧通路63及び第一低圧通路62が順次大気に開放される。即ち、このときの第二低圧通路63は、大気圧の「大気通路」として機能する。
一方、ロック位相よりも進角側且つ最進角位相よりも遅角側の中間位相範囲では、図8の如く第二低圧通路63の通路開口630がベーン202により、第一低圧通路62には開放且つ遅角作動室32rには閉塞されることで、それら要素62,32r間の連通が遮断される。さらに、かかる中間位相範囲の進角側端から最進角位相までの位相範囲では、図3,9の如く第二低圧通路63の通路開口630がベーン202により、第一低圧通路62及び遅角作動室32rの双方に対して閉塞されることで、それら要素62,32r間の連通が遮断される。このように本実施形態では、ロック位相から進角側に外れた位相範囲において、第二低圧通路63の通路開口630がベーン202により閉塞されるのである。
図7に示すように、高圧通路61及び第一低圧通路62の間に設けられる逆止弁64は、弁座640、弁部材641及び弁スプリング642等を組み合わせてなる。弁座640は、ベーン202を貫通する弁孔207のうち逆止弁64及び高圧通路61の境界において、当該通路61側へ向かって縮径するテーパ面状に形成されている。金属製の弁部材641は、弁座640に対して離着座可能な球状に形成され、ベーン202の弁孔207に収容されている。金属製の弁スプリング642は、弁座640に対して同軸上に設けられる圧縮コイルスプリングであり、ベーン202の弁孔207に保持されている。弁スプリング642は、弁座640側へと向かって弁部材641を常時付勢する。これにより、弁スプリング642の付勢力に抗して弁部材641が図8〜10の如く弁座640から離座することにより、逆止弁64は開弁状態となる一方、弁部材641が当該付勢力を受けて図7の如く弁座640に着座することにより、逆止弁64は閉弁状態となる。
以上の構成により逆止弁64は、図4に示す如き所定の開弁閾値ΔPth以上に、高圧通路61と第一低圧通路62との圧力差が大きくなると開弁して、それら通路61,62間を連通させる。ここで特に、第二低圧通路63と共に第一低圧通路62が大気開放されるときのロック位相では、高圧通路61に連通する進角作動室32a,31aと当該第二低圧通路63との圧力差が開弁閾値ΔPth以上となるとき、逆止弁64が図10の如く開弁状態となる。故にこのときには、大気圧となる低圧通路63,62に進角作動室31a,32a,33aのいずれも連通するので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、導入作動油の圧力に対して制限されるのである。
一方、逆止弁64は、高圧通路61及び第一低圧通路62の圧力差が所定の開弁閾値ΔPth未満に小さくなると閉弁して、それら通路61,62間の連通を遮断する。ここで特に、第二低圧通路63と共に第一低圧通路62が大気開放されるときのロック位相では、高圧通路61に連通する進角作動室32a,31aと当該第二低圧通路63との圧力差が開弁閾値ΔPth未満になるとき、逆止弁64が図7の如く閉弁状態となる。故にこのときには、大気圧の低圧通路63,62に対して進角作動室31a,32a,33aのいずれも遮断されるので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、実質的に導入作動油の圧力に保持されるのである。
ここで図4に示すように、逆止弁64の開弁閾値ΔPthについては、ロック部材52のロック閾圧Plよりも高い特定の解除時正圧Pcと、大気圧との差に設定されている。また、特に本実施形態の開弁閾値ΔPthについては、弁スプリング642を構成する金属の適切な選択により、環境温度に拘らず安定するようになっている。尚、こうした開弁閾値ΔPthを決める解除時正圧Pcについては、下記の特徴的作動の欄において詳細に説明する。
(特徴的作動)
次に、装置1の特徴的作動につき、説明する。制御回路46は、回転位相をロックするロックモード、当該ロックを解除する解除モード、並びに回転位相を調整する通常調整モード等を、実行する。
具体的に制御回路46は、内燃機関の回転中に、エンジンスイッチのオフ等による当該機関の停止要求を受けると、回転位相をロックするロックモードを開始する。このロックモードにおいて制御回路46は、遅角指令(通電カットを含む)を制御弁45に与えることで、ポート45a,45d間及びポート45r,45s間を連通させる。これにより、進角作動室31a,32a,33aから作動油が排出されるので、進角作動室31aに連通するロック作動室54からも作動油が排出される。故にベーンロータ20は、内燃機関の完全停止までの間は、作動が継続されるポンプ4から遅角作動室31r,32r,33rへと導入される作動油の圧力により回転トルクTc_rを遅角方向Rに受けると共に、平均トルクTv_aveが遅角方向Rに偏る変動トルクを受ける。こうしたトルクの作用の結果、回転位相が最遅角位相まで変化し、またそれと略同時的にロック作動室54の圧力が低下してロック部材52がロック孔51に嵌合する。以上により、最遅角位相であるロック位相に回転位相がロックされた状態にて、内燃機関が停止する。
さらに制御回路46は、内燃機関の停止中に、エンジンスイッチのオン等による当該機関の始動要求を受けると、ロックモードを上述と同様に再開する。このロックモードでは、内燃機関のクランキングによりポンプ4が駆動されて、遅角作動室31r,32r,33rに向けた作動油供給が開始される。しかし、クランキング中における供給作動油の圧力はロック閾圧Plよりも十分に低く、またロック作動室54と連通する進角作動室31a,32a,33aが作動油の排出状態にあるので、ロック作動室54には作動油が導入されない。したがって、クランキングにより内燃機関が完暴するまでは、回転位相がロック状態に保持されるのである。
この後、内燃機関が完爆すると、制御回路46はロックモードを解除モードへ切替える。具体的に、解除モードにおいて制御回路46は、図4の如く進角指令を制御弁45に与えることで、ポート45a,45s間及びポート45r,45d間を連通させる。これにより、ポンプ4から吐出されて進角作動室31a,32a,33aに導入される作動油の圧力は、内燃機関の回転速度(エンジン回転数)の上昇に伴って、ロック閾圧Plよりも低い圧力から当該閾圧Plを超える圧力まで上昇する。それと共に、遅角作動室31r,32r,33rにおける作動油の圧力は、大気開放されたドレン回収要素6,5への作動油の排出により、大気圧に低下する。したがって、本実施形態の解除モードにおいて変動トルクと共にベーンロータ20に作用する回転トルクは、作動油導入側の進角作動室31a,32a,33aの圧力により、「解除時変化方向」としての進角方向Aに発生する回転トルクTc_a(以下、「進角トルクTc_a」という)のみ、となる。即ちベーンロータ20には、図4に示す進角トルクTc_aと変動トルクとにつき、それらトルクの合成トルクが作用するのである。
こうした解除モードの開始直後において装置1は、ロック位相でのロック状態に保持されているので、作動油排出側の遅角作動室32rと連通する第二低圧通路63は、通路開口630の開放により第一低圧通路62とも連通し、それら低圧通路63,62の圧力が大気圧となる。ここで開弁閾値ΔPthは、ロック閾圧Plよりも高い解除時正圧Pcと大気圧との差に設定されているので、進角作動室31a,32a,33aの圧力が逆止弁64の開弁前にて略同時的に解除時正圧Pcへと到達すると、理想的には、ロック部材52が離脱位置に移動する。
しかし、現実的には、進角作動室31aを経て作動油の供給を受けるロック作動室54では、図4に示すように、圧力の上昇が当該供給元の作動室31aよりも遅れてしまう。その結果、ベーンロータ20への進角トルクTc_aの作用によりハウジングロータ10のロック孔51に押付けられるロック部材52は、進角作動室31a,32a,33aの圧力がロック閾圧Plより上昇するほど、離脱位置への移動を阻害される懸念がある。それと共に、ロック孔51へのロック部材52の押付力は変動トルクによっても発生するので、当該変動トルクに起因するロック部材52の移動阻害も懸念される。
そこで、第一実施形態の解除時正圧Pcは、図4に示すように予め設定されることになる。具体的に解除時正圧Pcは、ベーンロータ20に作用する上記合成トルクのうち、変動トルクを除いた進角方向Aの「解除時トルク」である進角トルクTc_aを、反対方向RのピークトルクTv_r以下の大きさとする圧力に、予設定される。ここで特に好ましくは、進角トルクTc_aをピークトルクTv_rよりも小さくする圧力に、解除時正圧Pcが予設定される。故に低圧通路63,62の大気圧に対して、進角作動室31a,32a,33aの圧力が予設定の解除時正圧Pcに上昇して逆止弁64が開弁すると、当該開弁時to以降に圧力Pcへの制限作用が図4の如く生じて、進角トルクTc_aがピークトルクTv_r以下に制限される。
その結果、進角トルクTc_aは、ピークトルクTv_r以下の大きさにて反対方向Rの変動トルクと確実に釣合い得る(図4の黒丸箇所)ので、当該釣合い時tbには、ロック孔51へのロック部材52の押付力が実質的に消失してロック部材52の移動が許容され得る。しかも、進角作動室31aの圧力がロック閾圧Plよりも高い解除時正圧Pcに制限されることで、当該圧力制限作用を受ける作動室31aからロック作動室54へと作動油導入されるロック機構部50では、ロック部材52が確実に移動し得る。さらに本実施形態では、図4の如くロック作動室54の圧力がロック閾圧Plに到達する到達時tlよりも、逆止弁64の開弁時toを遅くする構造乃至は制御(例えば、図4に示す進角指令のタイミングtcを内燃機関の特定の回転位置に合致させる制御等)により、解除時正圧Pcを受けるロック部材52の押付力消失時の移動が確実なものとなされ得ている。以上によれば、ロック部材52の移動の確実性を高めて、ロック解除の信頼性を確保することが可能となるのである。
そして、ここまで説明の解除モードによるロック解除後に制御回路46は、当該解除モードを通常調整モードへ切替える。具体的に、通常調整モードにおいて制御回路46は、内燃機関の所期の作動状態に応じた指令を制御弁45に与えることで、ポート45s,45d及びポート45a,45rの間における連通状態を、切替え制御する。その結果、回転位相が進角方向A又は遅角方向Rに調整されて、当該回転位相と対応するバルブタイミングが実現される。このとき、遅角作動室32rと連通する第二低圧通路63は、ロック位相から進角側に外れた回転位相では通路開口630を閉塞されることで、図8,9の如き逆止弁64の開弁状態にあっても、進角作動室31a,32a,33aの作動油を当該作動室32rには漏らさない。これによれば、バルブタイミングを決める回転位相につき、各作動室31a,32a,33a,31r,32r,33rに対する作動油の入出により正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能となるのである。
(第二実施形態)
図11〜15に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態の液圧式バルブタイミング調整装置2001において圧力調整部2060は、第一実施形態の第二低圧通路63を備える代わりに、大気通路2063を備えている。
図12に示すように具体的には、ハウジングロータ10のうちスプロケットハウジング13を軸方向に貫通する円筒孔状の大気通路2063は、当該ハウジング13の内面132及び外面2133に、開口している。解除モードにおいて実現されるロック位相では、図12,13の如く内面132における大気通路2063の通路開口2630がベーン202により、第一低圧通路62に対して開放されることで、大気開放状態のハウジングロータ10の外部に当該低圧通路62が連通する。このとき本実施形態の大気通路2063は、ハウジングロータ10の外部に設けられているドレン回収要素6,5に作動油を排出可能となる。一方、ロック位相から進角側に外れた最進角位相までの位相範囲では、図14,15の如く大気通路2063の通路開口2630がベーン202により、第一低圧通路62に対して閉塞されることで、ハウジングロータ10の外部及び当該低圧通路62間の連通が遮断される。
尚、軸方向端面206における第一低圧通路62の通路開口2620は、図12,13のロック位相ではスプロケットハウジング13により大気通路2063に対して開放され、図15のロック位相外では同ハウジング13により大気通路2063に対して閉塞される。したがって、ロック位相において大気通路2063と共に大気開放される第一低圧通路62についても、大気圧の「大気通路」として考えることができる。
こうした構成下、大気通路2063と共に第一低圧通路62が大気開放されるときのロック位相では、高圧通路61に連通する進角作動室32a,31aと当該通路2063との圧力差が開弁閾値ΔPth以上となるとき、逆止弁64が図13の如く開弁状態となる。故にこのときには、大気圧となる通路2063,62に進角作動室31a,32a,33aのいずれも連通するので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、導入作動油の圧力に対して制限される。一方、大気通路2063と共に第一低圧通路62が大気開放されるときのロック位相において逆止弁64は、進角作動室32a,31aと当該大気通路2063との圧力差が開弁閾値ΔPth未満になるとき、図12の如く閉弁状態となる。故にこのときには、大気圧の通路2063,62に対して進角作動室31a,32a,33aのいずれも遮断されるので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、実質的に導入作動油の圧力に保持されるのである。
このような第二実施形態の解除モード開始直後においても、装置2001はロック位相でのロック状態に保持されている。故に、通路開口2630,2620の開放により大気通路2063と連通する第一低圧通路62は、当該通路2063と共に大気圧となる。ここで、本実施形態の解除時正圧Pcについても、進角方向Aの進角トルクTc_aを反対方向RのピークトルクTv_r以下、好ましくは当該ピークトルクTv_rよりも小さくする圧力に、予設定される。故に通路2063,62の大気圧に対して、進角作動室31a,32a,33aの圧力が予設定の解除時正圧Pcに上昇して逆止弁64が開弁すると、当該開弁時to以降に圧力Pcへの制限作用が生じて、進角トルクTc_aがピークトルクTv_r以下に制限される。その結果、進角トルクTc_aは、ピークトルクTv_r以下の大きさにて変動トルクと確実に釣合い得るので、第一実施形態と同様の原理により、ロック部材52の移動の確実性、ひいてはロック解除の高い信頼性を確保することが可能となるのである。
また、第二実施形態の通常調整モードでは、ハウジングロータ10の外部と連通する大気通路2063の通路開口2630並びに当該通路2063と連通可能な通路開口2620が、ロック位相から進角側に外れた回転位相にて閉塞されることになる。故に、逆止弁64の開弁状態にあっても進角作動室31a,32a,33aの作動油は、ハウジングロータ10の外部には漏れない。したがって、バルブタイミングを決める回転位相を正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能となるのである。
(第三実施形態)
図16〜19に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例である。第三実施形態の液圧式バルブタイミング調整装置3001において圧力調整部3060は、第一実施形態の構成要素61,62,63,64を備える代わりに、第一高圧通路3061、低圧通路3062、第二高圧通路3065及び逆止弁3064を備えている。
図16,17に示すように具体的には、通路3061,3062は、ロック作動室54の形成ベーン201との間に進角作動室31aを形成するシュー121を、貫通している。ここで第一高圧通路3061は、シュー121のうちベーンロータ20の回転軸200と摺接可能な内周面3126に、開口している。一方、図16に示すように低圧通路3062は、シュー121のうち遅角作動室33rに臨む回転方向の側面3127に、開口している。ロック位相において遅角作動室33rが大気開放のドレン回収要素6,5へ作動油排出する「排出作動室」となるときには、当該作動室33rを通じて低圧通路3062が大気に開放される。即ち、このときの低圧通路3062は、大気圧の「大気通路」として機能する。
図16,17に示すように、回転軸200において回転方向に延伸する円弧凹状の第二高圧通路3065は、当該軸200のうちシュー121と摺接可能な外周面3208に、開口している。かかる開口形態により第二高圧通路3065は、回転位相に拘らず進角作動室31aと直接的に、また当該作動室31aを介してロック作動室54とは間接的に、連通する。即ち、このときの第二高圧通路3065は、「中継通路」として機能することとなる。図16,17,19のロック位相では、進角作動室31aと連通する第二高圧通路3065に対して、内周面3126における第一高圧通路3061の通路開口3610が回転軸200により開放されることで、要素3061,31a間が連通する。一方、ロック位相から進角側に外れた最進角位相までの位相範囲では、図18の如く第二高圧通路3065に対して、第一高圧通路3061の通路開口3610が回転軸200により閉塞されることで、要素3061,31a間の連通が遮断される。
第三実施形態の逆止弁3064は、第一高圧通路3061及び低圧通路3062の間にてシュー121を図17の如く貫通する弁孔3128のうち当該第一高圧通路3061との境界に弁座640が形成される点を除き、第一実施形態と実質同一の構成を有している。
以上の構成により逆止弁3064は、第一高圧通路3061及び低圧通路3062の圧力差が所定の開弁閾値ΔPth以上に大きくなると開弁して、それら通路3061,3062間を連通させる。ここで特に、低圧通路3062が大気開放されるときのロック位相では、第一高圧通路3061に対する連通要素3065,31aと当該低圧通路3062との圧力差が開弁閾値ΔPth以上となるとき、逆止弁3064が図19の如く開弁状態となる。故にこのときには、大気圧となる低圧通路3062に進角作動室31a,32a,33aのいずれも連通するので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、導入作動油の圧力に対して制限されるのである。
一方、逆止弁3064は、第一高圧通路3061及び低圧通路3062の圧力差が所定の開弁閾値ΔPth未満に小さくなると閉弁して、それら通路3061,3062間の連通を遮断する。ここで特に、低圧通路3062が大気開放されるときのロック位相では、第一高圧通路3061に対する連通要素3065,31aと当該低圧通路3062との圧力差が開弁閾値ΔPth未満になるとき、逆止弁3064が図17の如く閉弁状態となる。故にこのときには、大気圧の低圧通路3062に対して進角作動室31a,32a,33aのいずれも遮断されるので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、実質的に導入作動油の圧力に保持されるのである。
このような第三実施形態の解除モード開始直後においても、装置3001はロック位相でのロック状態に保持されている。故に、通路開口3610の開放により進角作動室31aと連通する第一高圧通路3061の圧力は、当該作動室31aと実質同一圧力となるに対して、低圧通路3062の圧力は、遅角作動室33rからの作動油排出により大気圧となる。ここで、本実施形態の解除時正圧Pcについても、進角方向Aの進角トルクTc_aを反対方向RのピークトルクTv_r以下、好ましくは当該ピークトルクTv_rよりも小さくする圧力に、予設定される。故に低圧通路3062の大気圧に対して、進角作動室31a,32a,33aの圧力が予設定の解除時正圧Pcに上昇して、逆止弁3064が開弁すると、当該開弁時to以降に圧力Pcへの制限作用が生じて、進角トルクTc_aがピークトルクTv_r以下に制限される。その結果、進角トルクTc_aは、ピークトルクTv_r以下の大きさにて変動トルクと確実に釣合い得るので、第一実施形態と同様の原理により、ロック部材52の移動の確実性、ひいてはロック解除の高い信頼性を確保することが可能となるのである。
また、第三実施形態の通常調整モードでは、進角作動室31aと連通可能な第一高圧通路3061のうち通路開口3610が、ロック位相から進角側に外れた回転位相にて閉塞されることになる。故に、逆止弁3064の開弁状態にあっても進角作動室31a,32a,33aの作動油は、低圧通路3062と連通する遅角作動室33rには漏れない。したがって、バルブタイミングを決める回転位相を正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能となるのである。
(第四実施形態)
図20〜22に示すように、本発明の第四実施形態は第三実施形態の変形例である。第四実施形態の液圧式バルブタイミング調整装置4001において圧力調整部4060は、第三実施形態の低圧通路3062を備える代わりに、大気通路4062を備えている。
図21に示すように具体的には、ハウジングロータ10のうちシュー121及びスプロケットハウジング13に跨って貫通する円筒孔状の大気通路4062は、当該ハウジング13の外面4133に開口している。これにより大気通路4062は、大気開放状態のハウジングロータ10の外部に常時連通している。
こうした構成下、大気通路4062が大気開放されるときのロック位相では、第一高圧通路3061に対する連通要素3065,31aと当該大気通路4062との圧力差が開弁閾値ΔPth以上となるとき、逆止弁3064が図22の如く開弁状態となる。故にこのときには、大気圧の大気通路4062に進角作動室31a,32a,33aのいずれも連通するので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、導入作動油の圧力に対して制限される。一方、大気通路4062が大気開放されるときのロック位相では、第一高圧通路3061に対する連通要素3065,31aと当該大気通路4062との圧力差が開弁閾値ΔPth未満になるとき、逆止弁3064が図21の如く閉弁状態となる。故にこのときには、大気圧の大気通路4062に対して進角作動室31a,32a,33aのいずれも遮断されるので、それら各進角作動室31a,32a,33aの圧力は、実質的に導入作動油の圧力に保持されるのである。
このような第四実施形態の解除モード開始直後においても、装置4001はロック位相でのロック状態に保持されている。故に、通路開口3610の開放により進角作動室31aと連通する第一高圧通路3061の圧力は、当該作動室31aと実質同一圧力となるが、このとき大気通路4062の圧力は、大気圧となっている。ここで、本実施形態の解除時正圧Pcについても、進角方向Aの進角トルクTc_aを反対方向RのピークトルクTv_r以下、好ましくは当該ピークトルクTv_rよりも小さくする圧力に、予設定される。故に大気通路4062の大気圧に対して、進角作動室31a,32a,33aの圧力が予設定の解除時正圧Pcに上昇して、逆止弁3064が開弁すると、当該開弁時to以降は、圧力Pcへの制限作用が生じて、進角トルクTc_aがピークトルクTv_r以下に制限される。その結果、進角トルクTc_aは、ピークトルクTv_r以下の大きさにて変動トルクと確実に釣合い得るので、第一実施形態と同様の原理により、ロック部材52の移動の確実性、ひいてはロック解除の高い信頼性を確保することが可能となるのである。
また、第四実施形態の通常調整モードでは、第三実施形態と同様に、進角作動室31aと連通可能な第一高圧通路3061のうち通路開口3610が、ロック位相から進角側に外れた回転位相にて閉塞されることになる。故に、故に、逆止弁3064の開弁状態にあっても進角作動室31a,32a,33aの作動油は、大気通路4062と連通するハウジングロータ10の外部には漏れない。したがって、バルブタイミングを決める回転位相を正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能となるのである。
(第五実施形態)
図23〜25に示すように、本発明の第五実施形態は第一実施形態の変形例である。第五実施形態の液圧式バルブタイミング調整装置5001では、ロック部材52をハウジングロータ10のロック孔51に嵌合させるロック位相につき、図23の如く最進角位相及び最遅角位相の間となる中間位相に設定されている。それに応じて装置5001は、図24に示すように、付勢部材5071によってベーンロータ20を付勢する付勢構造部5070を、さらに備えている。
具体的に付勢構造部5070は、一対の係止ピン5072,5073を、付勢部材5071と共に有している。金属製の第一係止ピン5072は、シューハウジング12の底壁124に、ハウジングロータ10の回転中心から偏心して固定されている。第二係止ピン5073は、回転軸200のうち底壁124を貫通するブッシュ5209からハウジングロータ10の外部にて径方向外側に突出するアーム5210に、ベーンロータ20の回転中心から偏心して固定されている。
金属製の付勢部材5071は、実質同一平面上にて素線を巻いてなる渦巻きスプリングであり、その渦巻き中心がハウジングロータ10の回転中心と心合わせされた状態で、底壁124及びアーム5210間に配置されている。付勢部材5071の内周側端部5074は、ベーンロータ20の一部をなすブッシュ5209の外周部に対して、巻装状態で固定されている。付勢部材5071の外周側端部5075は、U字状に屈曲されて係止部5076を形成しており、係止ピン5072,5073のうち回転位相に応じた一方により、係止可能となっている。
以上の構成下、ロック位相並びに当該ロック位相から遅角側に外れた最遅角位相までの位相範囲では、付勢部材5071の係止部5076がハウジングロータ10の第一係止ピン5072に係止される。このときベーンロータ20の第二係止ピン5073は、付勢部材5071の係止部5076から離脱するので、当該ロータ20は、付勢部材5071のねじり変形により発生の付勢トルクTu_aを図23の如く受けて進角方向Aに付勢される。ここで、ベーンロータ20が付勢部材5071により付勢される上記位相範囲(以下、「付勢位相範囲)という)にて付勢トルクTu_aは、例えばロック位相での大きさを図25に例示するように、遅角方向Rに偏る変動トルクの平均トルクTv_ave以上の大きさとなる。尚、以上の如き付勢位相範囲のうちロック位相では、第一実施形態と同様に第二低圧通路63の通路開口630が開放される。これに対し、付勢位相範囲のうちロック位相から遅角側に外れた位相範囲では、第一実施形態で説明の如きロック位相から進角側に外れた位相範囲と同様に、通路開口630が閉塞されることになる。
一方、ロック位相から進角側に外れた最進角位相までの位相範囲では、付勢部材5071の係止部5076がベーンロータ20の第二係止ピン5073に係止される。このときハウジングロータ10の第一係止ピン5072は、付勢部材5071の係止部5076から離脱するので、進角方向Aの付勢トルクTu_aによるベーンロータ20の付勢は、禁止されることになる。
このような第五実施形態では、機関停止要求に応じて実行されるロックモードにおいて、変動トルクの平均トルクTv_ave及び回転トルクTc_rを遅角方向Rに受けるベーンロータ20は、付勢位相範囲では付勢トルクTu_aを進角方向Aに受ける。こうしたトルクの作用の結果、中間位相であるロック位相まで回転位相が変化し、またそれと略同時的にロック作動室54の圧力が低下してロック部材52がロック孔51に嵌合する。以上により、ロック位相に回転位相がロックされた状態にて、内燃機関が停止する。
さらに第五実施形態では、第一実施形態と同様なロックモードの再開状態にて内燃機関が完爆した後、当該ロックモードから切替えられる解除モードの開始直後においても、装置5001はロック位相でのロック状態に保持されている。故に、作動油排出側の遅角作動室32rに連通する第二低圧通路63は、通路開口630の開放により第一低圧通路62とも連通して、当該第一低圧通路62と共に大気圧となる。また、解除モードにおいて変動トルクと共にベーンロータ20に作用する回転トルクは、進角作動室31a,32a,33aの圧力により進角方向Aに発生する進角トルクTc_aと、同方向Aに発生する付勢トルクTu_aとなる。即ちベーンロータ20には、図25に示す進角トルクTc_aと付勢トルクTu_aと変動トルクとにつき、それらトルクの合成トルクが作用するのである。
そこで、第五実施形態の解除時正圧Pcは、図25に示すように予め設定されることになる。具体的に解除時正圧Pcは、ベーンロータ20に作用する上記合成トルクのうち、変動トルクを除いた進角方向Aの「解除時トルク」であるトルクTc_a,Tu_aの総和ΣTを、反対方向RのピークトルクTv_r以下の大きさとする圧力に、予設定される。ここで特に好ましくは、トルクTc_a,Tu_aの総和ΣTをピークトルクTv_rよりも小さくする圧力に、解除時正圧Pcが予設定される。故に低圧通路63,62の大気圧に対して、進角作動室31a,32a,33aの圧力が解除時正圧Pcに上昇して逆止弁64が開弁すると、当該開弁時to以降に圧力Pcへの制限作用が生じて、トルクTc_a,Tu_aの総和ΣTがピークトルクTv_r以下に制限される。その結果、進角トルクTc_aを含んだ総和ΣTが、図25の如きピークトルクTv_r以下の大きさにて反対方向Rの変動トルクと確実に釣合い得る。さらに第五実施形態においても、図25の如くロック作動室54の圧力がロック閾圧Plに到達する到達時tlよりも、逆止弁64の開弁時toを遅くする構造乃至は制御(例えば、図25に示す進角指令のタイミングtcを内燃機関の特定の回転位置に合致させる制御等)により、解除時正圧Pcを受けるロック部材52の押付力消失時の移動が確実なものとなされ得ている。以上のことから、第一実施形態と同様の原理により、ロック部材52の移動の確実性、ひいてはロック解除の高い信頼性を確保することが可能となるのである。
加えて第五実施形態では、通常調整モードにおいて遅角作動室32rと連通する第二低圧通路63のうち通路開口630は、ロック位相から両側に外れた回転位相にて閉塞されることになる。故に、逆止弁64の開弁状態にあっても進角作動室31a,32a,33aの作動油は、遅角作動室32rには漏れない。したがって、バルブタイミングを決める回転位相を正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能となるのである。
(第六実施形態)
図26〜28に示すように、本発明の第六実施形態は第一実施形態の変形例である。第六実施形態の液圧式バルブタイミング調整装置6001は、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整するものであり、各ロータ10,20の回転方向が図26の反時計方向となっている。それに応じて装置6001では、平均トルクTv_aveの偏りに関する点を除いて、「進角」及び「遅角」の関係が第一実施形態の説明のものと反対に設定されている。
即ち、遅角作動室31a,32a,33aの圧力により遅角方向Aの回転トルクTc_a(以下、「遅角トルクTc_a」という)が発生し、進角作動室31r,32r,33rの圧力により進角方向Rの回転トルクTc_rが発生する。また、「中継作動室」としての遅角作動室31aを経て作動油の入出が行われるロック作動室54は、当該遅角作動室31aから通路41a,44a,42a及び遅角作動室32aを順次介して、高圧通路61と連通する。さらに第二低圧通路63は、ロック位相に設定される最進角位相(図26参照)では、通路開口630の開放により第一低圧通路62及び進角作動室32rの間を連通し、ロック位相から遅角側に外れる回転位相では、通路開口630の閉塞により当該連通を遮断する。
以上に加えて、排気弁のバルブタイミングを調整対象とする装置6001は、図27に示すように、付勢部材6071によってベーンロータ20を付勢する付勢構造部6070を、さらに備えている。金属製の付勢部材6071は、素線を螺旋状に巻いてなるねじりコイルスプリングであり、そのコイル中心がハウジングロータ10の回転中心と心合わせされた状態で配置されている。付勢部材6071の一端部は、回転軸200のうち底壁124を貫通するブッシュ6209に、回転位相に拘らず係止される。付勢部材6071の他端部は、ハウジングロータ10の外部にてブッシュ6209から突出し、シューハウジング12の底壁124に設けられた係止ピン6129に、回転位相に拘らず係止される。こうした係止形態の付勢部材6071は、ねじり変形により発生する付勢トルクTu_rをベーンロータ20に図26の如く与えて、当該ロータ20を進角方向Rに付勢する。ここで、ベーンロータ20が付勢部材6071により付勢される全位相範囲にて付勢トルクTu_rは、例えばロック位相での大きさを図28に例示するように、遅角方向Aに偏る変動トルクの平均トルクTv_ave以上の大きさとなる。尚、以上の如き全位相範囲のうち、最進角位相であるロック位相では、第二低圧通路63の通路開口630が開放されるのに対し、当該ロック位相から遅角側に外れた最遅角位相までの位相範囲では、通路開口630が閉塞されることになる。
このような第六実施形態では、機関の停止要求に応じて実行されるロックモードにおいて、制御回路46が進角指令(通電カットを含む)を制御弁45に与えることで、ポート45a,45d間及びポート45r,45s間が連通する。これにより、遅角作動室31a,32a,33aから作動油が排出されるので、遅角作動室31aに連通するロック作動室54からも作動油が排出される。故にベーンロータ20は、内燃機関の完全停止までの間は、図26の遅角方向Aに偏る変動トルクの平均トルクTv_aveとは反対方向Rに回転トルクTc_rを受けると共に、付勢トルクTu_rも当該方向Rに受けることとなる。こうしたトルクの作用の結果、最進角位相であるロック位相まで回転位相が変化し、またそれと略同時的にロック作動室54の圧力が低下してロック部材52がロック孔51に嵌合する。以上により、ロック位相に回転位相がロックされた状態にて、内燃機関が停止する。
さらに第六実施形態では、第一実施形態と同様なロックモードの再開状態にて内燃機関が完爆した後、当該ロックモードから切替えられる解除モードでは、図28の如く制御回路46が遅角指令を制御弁45に与えることで、ポート45a,45s間及びポート45r,45d間が連通する。これにより、ポンプ4から吐出されて遅角作動室31a,32a,33aに導入される作動油の圧力は、内燃機関の回転速度(エンジン回転数)の上昇に伴って、ロック閾圧Plよりも低い圧力から当該閾圧Plを超える圧力まで上昇する。それと共に、進角作動室31r,32r,33rにおける作動油の圧力は、大気開放されたドレン回収要素6,5への作動油の排出により、大気圧に低下する。
このような解除モードの開始直後においても、装置6001はロック位相でのロック状態に保持されている。故に、「排出作動室」としての進角作動室32rに連通する第二低圧通路63は、通路開口630の開放により第一低圧通路62とも連通して、当該第一低圧通路62と共に大気圧となる。また、解除モードにおいて変動トルクと共にベーンロータ20に作用する回転トルクは、遅角作動室31a,32a,33aの圧力により「解除時変化方向」としての遅角方向Aに発生する遅角トルクTc_aと、反対方向Rに発生する付勢トルクTu_rとなる。即ちベーンロータ20には、図28に示す遅角トルクTc_aと付勢トルクTu_rと変動トルクとにつき、それらトルクの合成トルクが作用するのである。
そこで、第六実施形態の解除時正圧Pcは、図28に示すように予め設定されることとなる。具体的に解除時正圧Pcは、ベーンロータ20に作用する上記合成トルクのうち、変動トルクを除いた遅角方向Aの「解除時トルク」であるトルクTc_a,Tu_rの偏差δTを、反対方向RのピークトルクTv_r以下の大きさとする圧力に、予め設定される。ここで特に好ましくは、トルクTc_a,Tu_rの偏差δTをピークトルクTv_rよりも小さくする圧力に、解除時正圧Pcが予設定される。故に低圧通路63,62の大気圧に対して、遅角作動室31a,32a,33aの圧力が予設定の解除時正圧Pcに上昇して逆止弁64が開弁すると、当該開弁時to以降に圧力Pcへの制限作用が生じて、トルクTc_a,Tu_aの偏差δTがピークトルクTv_r以下に制限される。その結果、遅角トルクTc_aを含んだ偏差δTが、図28の如きピークトルクTv_r以下の大きさにて反対方向Rの変動トルクと確実に釣合い得る。さらに第六実施形態においても、図28の如くロック作動室54の圧力がロック閾圧Plに到達する到達時tlよりも、逆止弁64の開弁時toを遅くする構造乃至は制御(例えば、図28に示す遅角指令のタイミングtcを内燃機関の特定の回転位置に合致させる制御等)により、解除時正圧Pcを受けるロック部材52の押付力消失時の移動が確実なものとなされ得ている。以上のことから、第一実施形態と同様の原理により、ロック部材52の移動の確実性、ひいてはロック解除の高い信頼性を確保することが可能となるのである。
加えて第六実施形態では、通常調整モードにおいて進角作動室32rと連通する第二低圧通路63のうち通路開口630は、ロック位相から遅角側に外れた回転位相にて閉塞されることになる。故に、逆止弁64の開弁状態にあっても遅角作動室31a,32a,33aの作動油は、進角作動室32rには漏れない。したがって、バルブタイミングを決める回転位相を正しく調整して、ロック解除の信頼性だけでなく、バルブタイミング調整の信頼性をも確保することが可能である。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に、第六実施形態に準じて第一〜第五実施形態では、平均トルクTv_aveの偏りに関する点を除いて、「進角」及び「遅角」の関係を逆にしてもよい。あるいは、第一実施形態に準じて第六実施形態では、平均トルクTv_aveの偏りに関する点を除いて、「進角」及び「遅角」の関係を逆にしてもよい。また、第一〜第六実施形態では、内燃機関の始動時にロックモードを実行し、内燃機関の始動後に当該ロックモードを解除モードへ切替え実行しているが、例えば通常調整モード中に、内燃機関の作動状態に応じてロックロックモードを実行した後、同通常調整モード中に、ロックモードから解除モードへ切替え実行してもよい。さらに、第一〜第六実施形態のロック作動室54については、作動室31aを経る作動油入出に加え、例えばベーン201を回転方向に挟んで当該作動室31aとは反対側の作動室31rを経る作動油入出を、実現してもよい。
加えて、第一〜第六実施形態のロック構造部50については、ロック孔51をベーンロータ20に設けると共に、保持孔204をハウジングロータ10に設けて、ロック部材52を当該ベーンロータ20のロック孔51から離脱させるようにしてもよい。また加えて、第一〜第六実施形態の制御弁45については、回転軸200乃至はカム軸2に内蔵させて、カム軸2及び軸受3を通じてポンプ4及びドレン通路6と連通させてもよい。さらに加えて、第一〜第六実施形態のポンプ4としては、内燃機関の回転に伴って又は当該回転に拘らずに電気駆動される電動ポンプを、採用してもよい。そして、本発明は、「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、それら吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用してもよい。
1,2001,3001,4001,5001,6001 液圧式バルブタイミング調整装置、2 カム軸、3 軸受、4 ポンプ、5 ドレンパン・ドレン回収要素(ドレン回収部、6 ドレン通路・ドレン回収要素(ドレン回収部)、10 ハウジングロータ、12 シューハウジング、13 スプロケットハウジング、20 ベーンロータ、31a,32a,33a 進角作動室/遅角作動室(中継作動室)、31r,32r,33r 遅角作動室/進角作動室(排出作動室)、40 制御部、50 ロック機構部、51 ロック孔、52 ロック部材、53 ロックスプリング、54 ロック作動室、55 ロック通路、60,2060,3060,4060 圧力調整部、61 高圧通路、62 第一低圧通路(大気通路)、63 第二低圧通路(大気通路)、64,3064 逆止弁、121,122,123 シュー、125,132 内面、200 回転軸、201,202,203 ベーン、204 保持孔、205,3127 側面、206 軸方向端面、207,3128 弁孔、630,2620,2630,3610 通路開口、640 弁座、641 弁部材、642 弁スプリング、2063,4062 大気通路、2133,4133 外面、3061 第一高圧通路、3062 低圧通路(大気通路)、3065 第二高圧通路、3126 内周面、3208 外周面、3610、4062 大気通路、5070,6070 付勢構造、5071,6071 付勢部材、5072 第一係止ピン 5073 第二係止ピン、5074 内周側端部、5075 外周側端部、5076 係止部、5209,6209 ブッシュ、5210 アーム、6129 係止ピン、

Claims (10)

  1. 内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを、作動液により調整する液圧式バルブタイミング調整装置において、
    前記クランク軸と連動して回転するハウジングロータと、
    前記カム軸と連動して回転し、前記ハウジングロータ内において進角作動室及び遅角作動室を回転方向に区画し、前記進角作動室及び前記遅角作動室に対する作動液の入出により、前記ハウジングロータに対する回転位相が進角方向又は遅角方向へ変化するベーンロータと、
    前記進角作動室及び前記遅角作動室のうち一方である中継作動室を経て作動液が入出するロック作動室、並びに前記ロック作動室の圧力に応じて移動するロック部材を、有し、ロックモードにおいて作動液が前記ロック作動室から排出されることにより、前記ロック部材が前記ハウジングロータ及び前記ベーンロータの双方との嵌合位置に移動して前記回転位相を所定のロック位相にロックし、前記ロックモードから切替えられる解除モードにおいて作動液が前記ロック作動室へ導入されることにより、前記ロック部材が前記ハウジングロータ及び前記ベーンロータの一方からの離脱位置に移動して前記ロック位相へのロックを解除するロック機構部と、
    前記解除モードにおいて大気に開放される大気通路、並びに前記中継作動室及び前記大気通路間の圧力差が所定の開弁閾値以上に大きくなると開弁する逆止弁を、有し、前記逆止弁の開弁に応じて中継作動室を前記大気通路と連通させることにより、前記中継作動室の圧力を調整する圧力調整部とを、
    備えるバルブタイミング調整装置であって、
    前記解除モードにおいて前記中継作動室への作動液の導入により前記回転位相を変化させるための方向が、解除時変化方向と定義され、
    前記解除モードにおいて前記ベーンロータに作用する回転トルクの合成トルクのうち、前記カム軸から前記ベーンロータへ伝達される変動トルクを除いた前記解除時変化方向のトルクが、解除時トルクと定義され、
    前記解除モードにおいて前記ロックを解除する前記ロック作動室の圧力が、前記ロック閾圧と定義されるとき、
    前記ロック閾圧よりも高い圧力であって、前記解除モードにおいて前記解除時変化方向の前記解除時トルクを、前記解除時変化方向とは反対方向の前記変動トルクのうちのピークトルク以下とする前記中継作動室の圧力が、解除時正圧として設定され、
    前記逆止弁の前記開弁閾値は、前記解除時正圧及び大気圧の差に設定されることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記解除時正圧は、前記解除モードにおいて前記解除時変化方向の前記解除時トルクを、前記解除時変化方向とは反対方向の前記ピークトルクよりも小さくする前記中継作動室の圧力に、設定されることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記解除モードにおいて前記逆止弁の開弁時は、前記ロック作動室の圧力が前記ロック閾圧に到達する到達時よりも遅いことを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記進角作動室及び前記遅角作動室のうち前記中継作動室と異なる他方は、大気に開放されるドレン回収部に前記解除モードにおいて作動液を排出する排出作動室であり、
    前記大気通路は、前記解除モードにおいて前記排出作動室に連通する通路であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記大気通路は、大気に開放される前記ハウジングロータ外に前記解除モードにおいて作動液を排出する通路であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記大気通路は、前記ハウジングロータ及び前記ベーンロータの一方に開口する通路開口を、有し、前記ロック位相において前記ハウジングロータ及び前記ベーンロータの他方により前記通路開口が開放され、前記ロック位相から外れた前記回転位相において当該他方により前記通路開口が閉塞されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記圧力調整部は、前記中継作動室に連通する中継通路、並びに前記中継通路及び前記大気通路間の圧力差が前記開弁閾値以上に大きくなると開弁する前記逆止弁を、有し、
    前記中継通路は、前記ハウジングロータ及び前記ベーンロータの一方に開口して大気に開放される通路開口を、有し、前記ロック位相において前記ハウジングロータ及び前記ベーンロータの他方により前記通路開口が開放され、前記ロック位相から外れた前記回転位相において当該他方により前記通路開口が閉塞されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記解除モードにおいて、前記中継作動室の圧力により発生する回転トルクと前記変動トルクとの合成による前記合成トルクが、前記ベーンロータに作用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記ベーンロータを前記解除時変化方向へ付勢する付勢トルクを発生する付勢部材を、備え、
    前記解除時トルクは、前記中継作動室の圧力により発生する回転トルクと前記付勢トルクとの総和であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記ベーンロータを前記解除時変化方向とは反対方向へ付勢する付勢トルクを発生する付勢部材を、備え、
    前記解除時トルクは、前記中継作動室の圧力により発生する回転トルクと前記付勢トルクとの偏差であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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