JP4168525B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来知られた弁開閉時期制御装置として、特開平10−47022号及び特開平10−339113号に開示されたものがある。これらの弁開閉時期制御装置は、内燃機関のカムシャフトと共に回転する回転部材と、回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランクプーリからの回転力が伝達される回転伝達部材と、回転部材又は回転伝達部材の一方に設けられたベーンと、回転部材と回転伝達部材との間に形成されベーンによって進角室と遅角室とに二分される流体室と、進角室に作動油を給排する第1流体通路と、遅角室に作動油を給排する第2流体通路と、回転伝達部材又は回転部材の一方に形成され内部に回転部材又は回転伝達部材の他方に向けて付勢部材によって付勢されたロックピンを収容する退避孔と、回転部材又は回転伝達部材の他方に形成され回転部材と回転伝達部材との相対位相が所定位相で同期した場合にロックピンの一部が嵌入される受容孔と、受容孔に作動油を給排する第3流体通路と、退避孔にてロックピンの背部に形成される背圧室に作動油を給排する第4流体通路とを備えたものである。
【0003】
ここで、ロックピンを設けた目的は、エンジン始動時等の進角室及び遅角室の作動油の液圧が充分に確保されていない状態において、回転部材と回転伝達部材との自由な相対回転を許容してベーンが流体室の壁に当接して打音等の不快な異音を発生することを防止するため、回転部材と回転伝達部材との相対位相が所定の位相で同期した場合に退避孔内のロックピンの一部(頭部)が受容孔内に挿入して回転部材と回転伝達部材とを固定するものである。なお、相対位相が所定の位相で同期した場合とは、回転部材又は回転伝達部材の一方に設けた退避孔と回転伝達部材又は回転部材の他方に設けた受容孔とが合致した状態を意味する。また、第4流体通路を設けた目的は、ロックピンを退避孔に戻すため第3流体通路を介して受容孔に供給された作動油が、ロックピンと退避孔との隙間を介して背圧室に入り込んだ場合に、外部に排出することなくエンジン内部に還流させるために設けられている。この構成とすることにより、クランクプーリと回転伝達部材との動力伝達を、金属製のタイミングチェーンに限らず、樹脂又はゴム製のタイミングベルトを用いることを可能とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロックピンは付勢部材(例えば退避孔内に配置されたスプリング)によって受容孔側に付勢されており、回転部材と回転伝達部材との相対位相が所定の位相となった場合にはロックピンの頭部を受容孔に嵌入される方向に作用する。このとき、エンジンの始動時等のロックピンによる回転部材と回転伝達部材との相対回転の規制が必要な場合には、ロックピンの確実な受容孔への嵌入のためロックピンの受容孔方向へのすばやい動きが要求される。一方、弁開閉時期制御装置の通常の作動に伴い、たまたま回転部材と回転伝達部材との相対位相が所定の位相となった場合には、その都度ロックピンの頭部が受容孔に嵌入することがないように、ロックピンの受容孔方向へのゆっくりとした動きが望ましい。
【0005】
特に、この要望は、ロックピンを受容孔から排出する作動油として遅角油圧が供給され且つロックピンが受容孔に嵌入する位置が最遅角位置(回転部材と回転伝達部材との相対回転範囲で遅角室が最大容積となる位置)、或いはロックピンを受容孔から排出する作動油として進角油圧が供給され且つロックピンが受容孔に嵌入する位置が最進角位置(回転部材と回転伝達部材との相対回転範囲で進角室が最大容積となる位置)の場合に求められる。
【0006】
故に、本発明は、エンジンの始動時などロックピンによる回転部材と回転伝達部材との相対回転が規制すべきときにはロックピンの受容孔方向へのすばやい動きを達成し、且つ弁開閉時期装置の通常作動時にはロックピンの受容孔方向へのゆっくりした動きを達成し得ることを、その技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するため、請求項1の発明の弁開閉時期制御装置は、内燃機関のカムシャフトと共に回転する回転部材と、回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランクプーリからの回転力が伝達される回転伝達部材と、回転部材又は回転伝達部材の一方に設けられたベーンと、回転部材と回転伝達部材との間に形成されベーンによって進角室と遅角室とに二分される流体室と、進角室に作動油を給排する第1流体通路と、遅角室に作動油を給排する第2流体通路と、回転伝達部材又は回転部材の一方に形成され内部に回転部材又は回転伝達部材の他方に向けて付勢部材によって付勢されたロックピンを収容する退避孔と、回転部材又は回転伝達部材の他方に形成され回転部材と回転伝達部材との相対位相が所定位相で同期した場合にロックピンの一部が嵌入される受容孔と、受容孔に作動油を給排する第3流体通路と、退避孔にてロックピンの背部に形成される背圧室に作動油を給排する第4流体通路とからなる内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置において、第4流体通路はそれぞれ独立した小径通路と大径通路との2つの通路から構成され、前記大径通路には、前記ロックピンの位置に応じて連通を閉鎖する閉鎖手段を設け、前記小径通路の背圧室側端部は前記ロックピンの位置に拘わらず常に前記背圧室に連通可能前記退避孔に設けられ、且つ前記大径通路の背圧室側端部は前記ロックピンの一部が前記受容孔を形成する前記回転部材又は前記回転伝達部材に当接したときに前記閉鎖手段によって開口すべく前記退避孔の側面に設けられたことである。この構成とすることによって、ロックピンが移動した場合に容積の大きくなる背圧室への流体(作動油)の補填量を制御し、ロックピンを受容孔に嵌入させるためロックピンのすばやい動きが要求される場合には背圧室への流体(作動油)の補填を充分に行うようにし、ロックピンを受容孔に嵌入させないようにロックピンのゆっくりした動きが要求される場合には背圧室への流体(作動油)の補填を行わないようにするものである。すなわち、ロックピンが退避孔内を移動することによって自動的に大径通路の開閉を行うことによって、特別な機構等を付加することなくロックピンの動きのスピードを容易に調整し得る。つまり、背圧室に大きな流体(作動油)補填を可能とする大径通路の開閉制御を行うことによって、ロックピンの動きのスピードを容易に調整し得る。
【0010】
好ましくは、請求項のように、第3流体通路は第1流体通路又は第2流体通路の一方に連通し、第4流体通路は第2流体通路又は第1流体通路の他方に連通させるとよい。
【0011】
また、請求項のように、第3流体通路は、退避孔に隣接する進角室を介して第1流体通路又は退避孔に隣接する遅角室を介して第2流体通路に連通させるとよい。
【0012】
更に、請求項4、5のように、ロックピンを受容孔から排出する作動油として遅角油圧が供給され且つロックピンが受容孔に嵌入する位置が最遅角位置(回転部材と回転伝達部材との相対回転範囲で遅角室が最大容積となる位置)、或いはロックピンを受容孔から排出する作動油として進角油圧が供給され且つロックピンが受容孔に嵌入する位置が最進角位置(回転部材と回転伝達部材との相対回転範囲で進角室が最大容積となる位置)の構成とするとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1乃至図3に示した本発明による弁開閉時期制御装置は、当該内燃機関のシリンダヘッド10に回転自在に取付けられたカムシャフト20とこのカムシャフト20の先端に一体に取り付けた内部ロータ30からなる弁開閉用の回転部材と、この回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装された外部ロータ40、フロントプレート50、キャップ54、リアプレート60及びタイミングプーリ70等とよりなる回転伝達部材と、内部ロータ30に一体的に組付けた6枚のベーン80と、外部ロータ40に組付けたロックピン90等(図4参照)によって構成されている。なお、タイミングプーリ70には、内燃機関のクランクプーリ11から樹脂製のタイミングベルト12を介して、図2及び図3に矢印で示す方向に回転動力が伝達されるように構成されている。
【0015】
カムシャフト20は、吸気弁又は排気弁(図示省略)を開閉する周知のカム(図示省略)を有し、カムシャフト20の内部にはカムシャフト20の軸方向に延びる3本の進角通路21と1本の遅角通路22とが設けられている。遅角通路22は、カムシャフト20に内部ロータ30を一体的に固定するボルト23と、ボルト23をカムシャフト20に挿入するためのボルト孔24との間に形成される。進角通路21は、カムシャフト20内の径方向通路25、シリンダヘッド10に設けられた環状通路13及びシリンダヘッド10内の接続通路14を介して切換弁100に接続されている。遅角通路22は、カムシャフト20内の径方向通路26、シリンダヘッド10に設けられた環状通路15及びシリンダヘッド10内の接続通路16を介して切換弁100に接続されている。なお、本実施の形態においては、進角通路21と遅角通路22の数をそれぞれ3本、1本としたが、これらの数は任意に設計可能である。
【0016】
切換弁100は、ソレノイド101への通電を切り換えることによって、オイルポンプ110によってオイルパン111からのオイルを遅角通路22へ供給し、進角通路21のオイルをオイルパン111へ還流する第1のモード102と、オイルポンプ110によってオイルパン111からのオイルを進角通路21へ供給し、遅角通路22のオイルをオイルパン111へ還流する第3のモード103と、進角通路21及び遅角通路22のオイルの流れを停止する第2のモード104との3つのモードから切換を行う。
【0017】
内部ロータ30は、カムシャフト20の先端にボルト23によって固定されている。この内部ロータ30の外周には、6枚のベーン80を内部ロータ30の外周に取付けるための6個のベーン溝31を有している。内部ロータ30の外周には、後述するロックピン90の一部を嵌入可能な受容孔32が内部ロータ30の径方向に設けられている。また、各ベーン80はベーン溝31に挿入される一端に切り欠き81が形成され、ベーン溝31と切り欠き81との間には板バネ82が配置され、各ベーン80を内部ロータ30の径方向外側に付勢している。なお、本実施の形態においては、各ベーン80を内部ロータ30と別部材としているが、内部ロータ30にベーン80を一体物として形成することも可能である。
【0018】
外部ロータ40は、内部ロータ30の外周に所定範囲で相対回転可能に組付けられており、その両側にはフロントプレート50とリアプレート60とがシール部材51、61を介して6本のボルト62によって固定されている。更に、外部ロータ40の外周には3本のボルト71によってタイミングプーリ70が一体に固定されている。外部ロータ40の内周側には、内部ロータ30の外周との間で流体室Rを形成するための6つの凹部41が形成されており、各流体室Rにはベーン80が配置されベーン80によって流体室Rを進角室R1、遅角室R2に分割している。外部ロータ40には、後述するロックピン90を内部に収容可能な退避孔42が受容孔32(内部ロータ30)側に開放するように径方向に設けられている。また、フロントプレート50にはキャップ54が液密的に連結している。
【0019】
図4乃至図6は、ロックピン90の作動を示す図面であり、図4は内部ロータ30と外部ロータ40との相対位相が所定の位相で同期し、ロックピン90の頭部91が内部ロータ30に形成された受容孔32に嵌入した状態を示し、図5及び図6は内部ロータ30と外部ロータ40との相対位相が所定の位相で同期しておらず、ロックピン90の頭部91が受容孔32に嵌入できない状態を示している。図4乃至図6に示すように、外部ロータ40に形成された退避孔42には、ロックピン90が摺動自在に挿入されており、退避孔42の外側端部にはシール43を介してプラグ44によって液密に封鎖されている。退避孔42内のロックピン90とプラグ44との間には、コイルスプリング92が配置された背圧室94が形成され、コイルスプリング92の付勢力によってロックピン90は内部ロータ30側に常に付勢されている。なお、本実施の形態においては、ロックピン90の背圧室94側に円筒空間95が形成されており、コイルスプリング92の一端が円筒空間95内に挿入されている。
【0020】
次に、本実施の形態の弁開閉時期制御装置の作動油の流れを説明する。本実施形態の弁開閉時期制御装置は、進角室R1と遅角室R2へ供給する作動油(エンジンオイル)の油圧によって外部ロータ40と内部ロータ30との相対回転を発生させるものであり、進角室R1、遅角室R2への作動油の通路はそれぞれ独立して設けられている。先ず、進角室R1への通路は、切換弁100から接続通路14、環状通路13、径方向通路25、進角通路21、内部ロータ30の軸方向に3本形成された通路33を順に経て、キャップ51とカムシャフト20の先端との間にボルト23の頭部を取り巻くように形成される空間34へ連通する。図1乃至図2に示すように空間34と各進角室R1との間には、内部ロータ30の端面に形成した6本の枝通路35が形成されている。図2並びに図4乃至図6に示すように、内部ロータ30の端面には受容孔32と平行に通路36が内周側で空間34と連通するように形成され、通路36の外周側は退避孔42と平行に外部ロータ40の端面に成形した通路45に連通可能となっている。通路45は大径の連通路46を介して退避孔42の内周に形成した環状通路47に連通する。一方、図3に示すように外部ロータ40のリアプレート60側端面には、退避孔42の設けられる部分に凹部48が形成される。また、凹部48は退避孔42に隣接する進角室R1aとの間を外部ロータ40の端面に形成した連通路48aを介して進角室R1aと連通している。凹部48は、小径の連通路49を介して退避孔42内の背圧室94に連通している。次に、遅角室R2への通路は、切換弁100から接続通路16、環状通路15、径方向通路26、進角通路22を順に経て、ボルト23の外周に形成される環状空間37へ連通する。図1及び図3に示すように空間37と各遅角室R2との間には、内部ロータ30に形成された6本の枝通路38が設けられている。また、図3乃至図6に示すように内部ロータ30と外部ロータ40との間で、且つ退避孔42よりもリアプレート60側の摺動面には、退避孔42に隣接する遅角室R2aの作動油を導く隙間通路53が形成されている。隙間通路53は、図4乃至図6に示すように、遅角室R2a内の作動油を受容孔32に導いている。
【0021】
以上の構成の、本実施形態の作動を説明する。図1乃至図3に示すように、切換弁100のソレノイド101への通電を停止することで切換弁100を第1のモード102に切り換えることによって、オイルパン111の作動油(エンジンオイル)がオイルポンプ110により加圧されて、遅角通路22等を介して流体室Rの遅角室R2に供給される。一方、流体室Rの進角室R1内の作動油は、進角通路21等を介してオイルパン111に還流する。従って、内部ロータ30は、外部ロータ40の回転方向と逆方向に相対回転し、カムシャフト20の回転はクランクシャフト11の回転に対し最も遅れた位置となる(以下、単に最遅角位置という)。
【0022】
ここで、切換弁100のソレノイド101への通電することで切換弁100を第1のモード103に切り換えることによって、進角室R1には進角通路21等を経た作動油が供給され、遅角室R2の作動油は遅角通路22等を介してオイルパン111へ還流する。従って、内部ロータ30は外部ロータ40の回転方向に相対的に回転し、カムシャフト20の回転はクランクシャフト11の回転に対し最も進んだ位置となる(以下、単に最進角位置という)。
【0023】
なお、切換弁100のソレノイド101への通電を制御して第3の部屋104を選択することで、進角通路21、遅角通路22共に作動油の供給、排出が停止され、内部ロータ30と外部ロータ40との間の相対位置を保持することを可能とする。
【0024】
図2及び図3に示すように、受容孔32と退避孔42は、最遅角位置において位相が同期するように設けられており、退避孔42内に配置したロックピン90の頭部91が受容孔32へ嵌入可能となる。
【0025】
ここで、内燃機関の停止によりオイルポンプ110が停止すると、進角室R1又は遅角室R2への作動油の供給が停止する。また、内燃機関の停止後、時間の経過と共に流体室R、進角通路21、遅角通路22等を構成する部材間の隙間を経て作動油が内燃機関の内部に還流していく。更に、切換弁100内の隙間の他に、カムシャフト20とシリンダヘッド10との隙間などを経て、接続通路14、16、環状通路13、15、及び径方向通路25、26等からも作動油が内燃機関の内部に還流していく。このような状態(作動油が抜けた状態)にて、内燃機関を再始動させた場合、弁開閉時期制御装置の進角室R1及び遅角室R2に作動油が供給されるまでの時間においては、流体室R内でのベーン80の位置を規制する作動油圧が全く期待できない状態となる。このように作動油の圧力が低下する状態となると、遅角通路22等を介して作動油が供給される受容孔32内の作動油の圧力と、進角通路21等を介して作動油が供給される退避孔42内の背圧室94の作動油の圧力とが共に低下する。このとき、ロックピン90がコイルスプリング92によって退避孔42内で受容孔32(内部ロータ30)側に付勢されていることにより、内燃機関の停止時の内部ロータ30と外部ロータ40との相対位相によって次のようにロックピン90が作動する。もし、図4に示すように受容孔32と退避孔42とが同期していれば、ロックピン90の頭部91はコイルスプリング92の付勢力によって受容孔32に嵌入する。内燃機関を再始動する際に、進角室R1、遅角室R2への作動油が充分に供給されなくとも、ロックピン90の係合によって内部ロータ30と外部ロータ40との相対回転を妨げ、ベーン80が流体室Rと当接して打音を発生することは防止できる。
【0026】
また仮に、図6に示すように、受容孔32と退避孔42とが同期していない場合には、ロックピン90の頭部91はコイルスプリング92の付勢力によって内部ロータ30の外周壁に当接している。このとき、ロックピン90の側壁に対向する退避孔42に形成された環状通路47は背圧室94と連通している。従って、内燃機関を再始動させる場合には、瞬間的には内部ロータ30と外部ロータ40との間の相対回転を規制しておらず、内部ロータ30と外部ロータ40との相対回転可能な範囲において相対回転を行うが、受容孔32と退避孔42とが同期する位置となった際に、すばやくロックピン90の頭部91を受容孔32へ嵌入することができる。これは、ロックピン90が内部ロータ30の側壁にコイルスプリング92によって付勢されて停止していること、及び大径の連通路46に接続する環状通路47が背圧室94と連通していることにより、ロックピン90が受容孔32側への作動の準備が整っているとともに、ロックピン90の移動に伴う背圧室94の容積の増大を大径の連通路46を介して空気(又は作動油)が供給される点に起因している。なお、ロックピン90が内部ロータ30と外部ロータ40との相対回転を規制した後については、前述の通りであり、ベーン80が流体室Rの壁に当接することは防止できる。なお、内燃機関の始動後、時間の経過と共に通路、弁開閉時期制御装置に残存する空気が抜けた後には、切換弁100のソレノイド101へ通電することなく、切換弁100を第1のモード102とし、遅角室R2へ作動油を供給すると共に、受容孔32にも作動油を供給してロックピン90を退避孔42内へ戻して、内部ロータ30と外部ロータ40との相対回転を可能にする。この場合には、図5に示すようにロックピン90は退避孔42の外周を閉鎖するプラグ44に当接する位置まで移動する。
【0027】
内燃機関の通常運転中における弁開閉時期制御装置の作動により、最遅角位置となり受容孔32と退避孔42とが同期しても、ロックピン90の位置が図5に示した位置にあり、退避孔42内に形成した環状通路47の端部はロックピン90の側壁に向きあって位置しており、大径の連通路46を介して供給される作動油の連通を閉鎖している。また、小径の連通路49を介して退避孔42の背圧室94への作動油の供給は、連通路49の径が小さいためのオリフィスとなって背圧室94への作動油の供給が制限されている。従って、進角通路21等から背圧室94へ作動油が流れ込んでロックピン90を受容孔32側へ移動させる方向に作用されることがなく、ロックピン90が受容孔32側に移動することに伴う背圧室94の容積増大を補填する流体(作動油)を充分に供給できないことにより、仮にロックピン90が受容孔32側に移動しても、その移動速度は極めてゆっくりとしたものとすることができ、ロックピン90の頭部91が受容孔32の嵌入することを阻止できる。よって、進角室R1及び/又は遅角室R2に充分な作動油が供給されて、内部ロータ30と外部ロータ40との自由な相対回転をさせない状況(流体室R内でベーン80の位置が規制された状況)となる内燃機関の通常運転中はロックピン90の不必要な移動(受容孔32への嵌入)を阻止することができる。
【0028】
なお、内燃機関の通常運転中のロックピン90の移動の規制に関し、本実施の形態においては、受容孔32に供給する油圧を遅角室R2に供給する油圧の一部を導いて、受容孔32と退避孔42とが同期する位置を最遅角位置としているので、最遅角位置となる度にロックピン90が受容孔32に嵌入されることがなく、ロックピン90の無用な動きを規制しており、信頼性の高い構造とすることができる。この効果は、受容孔32に供給する油圧を進角室R1に供給する油圧の一部を導いて、受容孔32と退避孔42とが同期する位置を最進角位置とする構成としても得られることができる。
【0029】
なお、受容孔32と退避孔42とが同期する位置を最進角位置又は中間位置(最進角位置と最遅角位置との間の任意の位置)としても、大径の連通路46、小径の連通路49をロックピン90の位置に応じて背圧室94と連通を切り換えることで、内燃機関の通常運転時のロックピン90の作動を確実に規制することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、内燃機関の通常運転中はロックピンの作動をゆっくりしたものとし、ロックピンが内部ロータと外部ロータとの相対回転を規制すべく受容孔に嵌入することを規制すると共に、内燃機関の始動時にはロックピンの作動をすばやいものとし、ロックピンが内部ロータと外部ロータとの相対回転を確実に規制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の弁開閉時期制御装置の一実施形態の断面図である。
【図2】 図1のB−B断面図である。
【図3】 図1のC−C断面図である。
【図4】 ロックピンの作動を説明する図面で、ロックピンの嵌入状態を示している。
【図5】 ロックピンの作動を説明する図面で、内燃機関の通常運転中のロックピンの退避状態を示している。
【図6】 ロックピンの作動を説明する図面で、内燃機関の停止中のロックピンの退避状態を示している。
【符号の説明】
11 クランクプーリ
20 カムシャフト
21 進角通路(第1流体通路)
22 遅角通路(第2流体通路)
23 内部ロータ(回転部材)
32 受容孔
40 外部ロータ(回転伝達部材)
42 退避孔
46 連通路(大径通路)
49 連通路(小径通路)
53 連通路(第3流体通路)
80 ベーン
90 ロックピン(閉鎖手段)
92 コイルスプリング(付勢手段)
94 背圧室
R 流体室
R1 進角室
R2 遅角室

Claims (5)

  1. 内燃機関のカムシャフトと共に回転する回転部材と、
    該回転部材に所定範囲で相対回転可能に外装されクランクプーリからの回転力が伝達される回転伝達部材と、
    前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方に設けられたベーンと、
    前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角室と遅角室とに二分される流体室と、
    前記進角室に作動油を給排する第1流体通路と、
    前記遅角室に作動油を給排する第2流体通路と、
    前記回転伝達部材又は前記回転部材の一方に形成され内部に前記回転部材又は前記回転伝達部材の他方に向けて付勢部材によって付勢されたロックピンを収容する退避孔と、
    前記回転部材又は前記回転伝達部材の他方に形成され前記回転部材と前記回転伝達部材との相対位相が所定位相で同期した場合に前記ロックピンの一部が嵌入される受容孔と、
    該受容孔に作動油を給排する第3流体通路と、
    前記退避孔にて前記ロックピンの背部に形成される背圧室に作動油を給排する第4流体通路とからなる内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置において、
    前記第4流体通路はそれぞれ独立した小径通路と大径通路との2つの通路から構成され、
    前記大径通路には、前記ロックピンの位置に応じて連通を閉鎖する閉鎖手段を設け、
    前記小径通路の前記背圧室側端部は前記ロックピンの位置に拘わらず常に前記背圧室に連通可能前記退避孔に設けられ、且つ前記大径通路の前記背圧室側端部は前記ロックピンの一部が前記受容孔を形成する前記回転部材又は前記回転伝達部材に当接したときに前記閉鎖手段によって開口すべく前記退避孔の側面に設けられたことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 請求項1において、前記第3流体通路は前記第1流体通路又は前記第2流体通路の一方に連通し、前記第4流体通路は前記第2流体通路又は前記第1流体通路の他方に連通していることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  3. 請求項2において、前記第3流体通路は、前記退避孔に隣接する前記進角室を介して前記第1流体通路又は前記退避孔に隣接する前記遅角室を介して前記第2流体通路に連通していることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  4. 請求項1乃至3において、前記第3流体通路が前記第2流体通路に連通し、前記第4通路が前記第1通路に連通し、且つ前記受容孔に前記ロックピンの一部が嵌入可能な前記回転部材と前記回転伝達部材との所定位相が、前記回転部材と前記回転伝達部材との相対回転可能な所定範囲中、前記回転部材の回転方向に対し最も遅れた位相に設けられていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  5. 請求項1乃至3において、前記第3流体通路が前記第1流体通路に連通し、前記第4通路が前記第2通路に連通し、且つ前記受容孔に前記ロックピンの一部が嵌入可能な前記回転部材と前記回転伝達部材との所定位相が、前記回転部材と前記回転伝達部材との相対回転可能な所定範囲中、前記回転部材の回転方向に対し最も進んだ位相に設けられていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
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