JP5120635B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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そのためには、例えば、駆動側回転部材と従動側回転部材とに亘ってロック部材と係合凹部とを設けておき、エンジンの停止時に、弁開閉時期制御装置の作動油が排出された際にバネ部材によって互いに係止するように構成してある。
ただし、当該ロック部材と係合凹部とが係止するためには、駆動側回転部材と従動側回転部材との相対位相が、所定の位置で一致しなければならない。そのため、従来の装置では、前記ロック部材と係合凹部との相対位置を所定の範囲に留めるべく、ロック部材と係合凹部との相対回転を所定の角度に規制する位相変位規制機構を備えている。
従来の装置では、このような位相変位規制機構を備えることでエンジン始動性の向上を図っていた。
上記従来の装置では、エンジン始動に際して、遅角室に供給される作動油によって、まず弁体が始動位置に位置変更される。これにより、進角室と前記出退部材との間に通路が連通し、進角室からの作動油によって出退部材が係止解除位置に位置変更される。
エンジン停止時には、この連係動作が逆順序で行われる。つまり、エンジン停止と共に進角室および遅角室の作動油が抜け、油圧が低下すると、まず出退部材が係止位置に移動し、続いて弁体が初期位置に移動する。
しかし、上記従来の装置では、不慮の要因により、エンジン停止時に前記弁体が前記出退部材に先立って動くことがあった。この場合、図12に示すように、出退部材から進角室4aに連通する連通路rが弁体22によって遮断され、当該連通路rの作動油が密閉される。その結果、出退部材が動作できず、駆動側回転部材1と従動側回転部材3とがロック位相に固定されなくなって、次回のエンジン始動が困難になるという不都合が生じていた。
以下、本発明に係る弁開閉時期制御装置を内燃機関としての自動車用エンジンに適用した実施形態について図面に基づいて説明する。
前記弁開閉時期制御装置Aは、図1、図2に示すように、内燃機関としてのエンジン(図示しない)のクランクシャフト(図示しない)に対して同期回転する駆動側回転部材としての外部ロータ1と、外部ロータ1に対して同軸上に配置され、エンジンの弁開閉用のカムシャフトCに同期回転する従動側回転部材としての内部ロータ3と、外部ロータ1に形成された流体圧室4と、流体圧室4を進角室4aと遅角室4bとに仕切るよう内部ロータ3に設けられた仕切部5と、進角室4a及び遅角室4bに対して流体としての作動油の供給及び排出を行う流体給排機構としての後述する油圧回路6等を備えている。
前記油圧回路6は、図1に示すように、エンジンにより駆動されて作動油の供給を行うポンプPと、流体圧室4に対する作動油の供給及び排出を制御する制御弁40とを備えている。また、この油圧回路6は、ポンプP及び制御弁40の動作制御を行う制御ユニット41を有している。ポンプPは、オイルパン42に貯留された作動油を吸入し、その作動油を進角通路11及び遅角通路12の一方又は両方に供給する。
図2に示すように、前記外部ロータ1と内部ロータ3との間には、両者の相対回転位相を設定ロック位相で拘束可能なロック機構13が設けられている。ロック機構13は、複数の突部10のうち幅広の突部10aに設けられた摺動溝13bと、この摺動溝13bに沿って摺動可能なロック部材13cと、このロック部材13cを径方向内側に付勢する付勢ばね13dと、内部ロータ3に設けられ、相対回転位相が設定ロック位相の状態でロック部材13cの径方向内側端部が係合可能な係合凹部13aとを備えている。
図4〜図7、図9に示すように、前記外部ロータ1と内部ロータ3との間には、相対回転位相の変位を設定位相変位許容範囲内に規制する規制状態と、その規制を解除する解除状態とに切換自在な位相変位規制機構17が設けられている。この設定位相変位許容範囲は、例えばエンジンの停止時に、前記ロック部材13cが係合凹部13aに係合し易くなるよう設定ロック位相を含む所定範囲に設定してある。前記位相変位規制機構17は、複数の仕切部5のうち幅広の仕切部5aに軸芯方向に沿って形成された収納部18と、外部ロータ1のフロントプレート8に形成された規制凹部19と、収納部18の内部に摺動可能に収納され、先端が収納部18から突出して規制凹部19に挿入する規制状態と先端が収納部18に引退して規制凹部19から抜ける解除状態とに出退可能な出退部材20とを備えている。出退部材20は、付勢ばね27により規制凹部19に挿入する側に付勢されている。
位相変位規制機構17と進角室4aとを連通する連通路rの途中には、弁体室21が設けられ、その弁体室21には、連通路rを閉塞して位相変位規制機構17を規制状態とする閉塞状態と、連通路rを開放するとともに進角室4aへの作動油の供給に伴って位相変位規制機構17を解除状態とする開放状態とに選択可能な弁体22が配置されている。
尚、
位相変位規制機構17が規制状態で弁体22が閉塞状態にあるとき、作動油を連通路部分r1としての規制凹部19及び第2通路24から外部に漏洩させるリーク部としてのリーク用貫通孔22dを弁体22の大径部22cに設けてある。弁体22が開放状態にあるときには、弁体22の大径部22cが弁体室21の大径部21cに密接してリーク用貫通孔22dを閉塞する。一方、弁体22が閉塞状態にあるとき、弁体22の大径部22cと弁体室21の拡径部21bとの間に隙間が形成され、個々にリーク用貫通孔22dが開口して、第2通路24と外部とを連通するように構成してある。これにより、例えば、エンジンの停止時に、仮に、弁体22が先に閉塞状態になったときでも、図9に示すように、規制凹部19及び第2通路24の作動油がリーク用孔22d及び弁体22の内部を通ってリアプレート7の漏洩用貫通孔7aから外部に漏洩する。このため、出退部材20が作動油の漏洩とともに規制凹部19に挿入して、位相変位規制機構17が解除状態から規制状態に復帰し易くなる。
以下、弁開閉時期制御装置の動作を図8のタイミングチャート及び図4〜図7の各状態に基づいて説明する。
エンジン始動時には、位相変位規制機構17が規制状態にあり、ロック機構13がロック状態(図4(b)参照)にあり、弁体22が閉塞状態(図4(a)参照)にある。このとき、相対回転位相を設定ロック位相で拘束している。エンジン始動に際しては、図8に示すように、まず進角室4aに作動油が供給される(図4(a)参照)。次に、遅角室4bに作動油が供給され、ロック機構13がロック解除状態(図5(b)参照)になるとともに、弁体22が開放状態(図5(a)参照)になる。このとき、進角室4aに対する作動油の供給が一時中断されているので、位相変位規制機構17が規制状態を維持し、相対回転位相の変位を設定位相変位許容範囲内に規制している。続いて、進角室4aに作動油が供給されると、相対回転位相の規制が解除(図6(a)参照)され、相対回転位相がわずかに設定ロック位相に戻り、ロック機構13が再びロック状態(図6(b)参照)になる。引き続き進角室4aに作動油が供給され、位相変位規制機構17の規制状態が解除される。エンジンの通常運転時(図7参照)には、進角室4a及び遅角室4bに作動油が供給され、相対回転位相を最遅角位相から最進角位相まで変位させることができ、弁の開閉タイミングを運転条件に合わせて変更できる。
この実施形態では、第1実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明を省略する。
図10に示すように、弁体22の外周部に、弁体22の長手方向に沿う切欠溝31を備えると共に、弁体室21に、切欠溝31に係合して弁体22の長手方向の移動を許容しかつ弁体室21に対する弁体22の回転を阻止する突出リブ32を備え、切欠溝31と突出リブ32との間に形成された隙間33にリーク部を形成してある。具体的には、切欠溝31のうち基端側部分31aが先端側部分31bよりも深い溝になっており、弁体22が閉塞状態のときに、隙間33が屈曲路を形成するとともに、弁体22が開放状態のときに、先端側部分31bの底面と突出リブ32の先端面とが対向する状態で近接して隙間33を閉塞するようになっている。
この実施形態では、第1実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明を省略する。
図11に示すように、弁体室21に、弁体22の長手方向に沿う切欠溝34を備えると共に、弁体22の外周部に、切欠溝34に係合して弁体22の長手方向の移動を許容しかつ弁体室21に対する弁体22の回転を阻止する突出リブ35を備え、切欠溝34と突出リブ35との間に形成された隙間にリーク部を形成してある。具体的には、突出リブ35の側面に隙間としての漏洩用溝35aを形成し、弁体22が閉塞状態のときに、突出リブ35が切欠溝34から突出して漏洩用溝35aの先端側が露出するとともに、弁体22が開放状態のときに、突出リブ35が切欠溝34に引退して漏洩用溝35aが隠れるようになっている。
(1)上記構成では、内部ロータ3は、エンジンの排気弁の開閉を制御するカムの回転軸を構成する排気側のカムシャフトCの先端部に一体的に組付けられる構成を例示したが、これに代えて、内部ロータ3は、エンジンの吸気弁の開閉を制御するカムの回転軸を構成する給気側のカムシャフトCの先端部に一体的に組付けられる構成としてもよい。
2 カムシャフト
3 従動側回転部材
4 流体圧室
4a 進角室
4b 遅角室
5 仕切部
6 流体給排機構
17 位相変位規制機構
22d リーク部
31 切欠溝
31a 基端側部分
31b 先端側部分
32 突出リブ
33 隙間
34 切欠溝
34a 隙間
35 突出リブ
r 連通路
r1 連通路部分
Claims (4)
- 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、
前記駆動側回転部材に対して同軸上に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに同期回転する従動側回転部材と、
前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材の何れか一方に形成された流体圧室と、
当該流体圧室を進角室と遅角室とに仕切るよう前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材の何れか他方に設けられた仕切部と、
前記進角室及び前記遅角室に対して流体の供給及び排出を行う流体給排機構と、
前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相の変位を設定位相変位許容範囲内に規制する規制状態とその規制を解除する解除状態とを作り出す位相変位規制機構と、
当該位相変位規制機構と前記進角室及び前記遅角室のいずれか一方とを連通する連通路の途中に設けられた弁体室と、
当該弁体室に配置されると共に、前記連通路を閉塞して前記位相変位規制機構を規制状態とする閉塞状態と前記連通路を開放して前記位相変位規制機構を解除状態とする開放状態とに選択可能な弁体と、を備えており、
前記位相変位規制機構が前記解除状態で前記弁体が前記閉塞状態にあるとき、流体を前記連通路における前記弁体と前記位相変位規制機構との間に位置する連通路部分から外部に漏洩させるリーク部を前記弁体に設けてある弁開閉時期制御装置。 - 前記リーク部が、一端が閉塞した筒状の前記弁体の外周部に設けたリーク用貫通孔である請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記弁体室に拡径部を形成し、前記弁体が前記開放状態にあるとき、前記弁体の外周部が前記弁体室に密接して前記リーク用貫通孔を閉塞するとともに、前記弁体が前記閉塞状態にあるとき、前記リーク用貫通孔が前記弁体の外周部と前記拡径部との間に形成された隙間に対向して前記連通路部分と前記外部とを連通するように構成してある請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
- 一端が閉塞した筒状の前記弁体の外周部又は前記弁体室の何れか一方に、前記弁体の長手方向に沿う切欠溝を備えると共に、
前記弁体の外周部又は前記弁体室の何れか他方に、前記切欠溝に係合して前記弁体の長手方向の移動を許容しかつ前記弁体室に対する前記弁体の回転を阻止する突出リブを備え、
前記リーク部が、前記切欠溝と前記突出リブとの間に形成された隙間である請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
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