JP5382428B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の吸・排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置に関する。
例えば特許文献1に開示されている、一般的な油圧で作動する弁開閉時期制御装置(特許文献1における位相可変機構に相当)は、自動車用エンジン等の内燃機関に用いられ、クランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材(特許文献1におけるハウジングに相当)とカムシャフトに同期回転する従動側回転部材(特許文献1におけるロータに相当)との相対回転位相を変更することによって、内燃機関が好適な運転状態となるように吸気弁または排気弁の開閉時期を調整するものである。
駆動側回転部材と従動側回転部材との間には、作動油が供給されて駆動側回転部材に対する従動側回転部材の相対回転位相を遅角方向に変更させる進角室(特許文献1における進角側分室に相当)と、遅角方向に変更させる遅角室(特許文献1における遅角側分室に相当)とがベーン等の仕切部材により仕切られて形成してある。
相対回転位相を進角方向へ変更させる際は、オイルコントロールバルブ(OCV)などの進遅角制御弁(特許文献1における電磁切換弁に相当)により進角油路を介して進角室へ作動油を供給させる。また、相対回転位相を遅角方向へ変更させる際は、進遅角制御弁により遅角油路を介して遅角室へ作動油を供給させる。
一方、相対回転位相の変位固定時には、進角室及び遅角室の作動油の給排を禁止する、所謂密封状態にして、相対回転位相の変位を固定させる。
特開2007−170180号公報
しかしながら、特許文献1に記載の弁開閉時期制御装置では、進角室及び遅角室の作動油の給排を禁止して、相対回転位相の変位を固定させているが、カムシャフトに作用する変動トルクにより、従動側回転部材の回転方向の振動(所謂バタツキ)が発生し、意図せず進角室または遅角室の外部へ作動油がリークして気体が混入したり、進角室から遅角室もしくは遅角室から進角室へ作動油がリークしたりして、相対回転位相の変位を固定できなくなるおそれがある。この振動を抑制するためには、進角室及び遅角室を出来る限り密封状態にする必要があるが、従動側回転部材は駆動側回転部材に対して相対回転移動するため、進角室及び遅角室の密封には限界がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、相対回転位相の変位固定時に、意図せず進角室または遅角室の外部へ作動油がリークして気体が混入したり、進角室から遅角室もしくは遅角室から進角室へ作動油がリークしたりしても、従動側回転部材の回転方向の振動(所謂バタツキ)を抑制できる弁開閉時期制御装置を提供することにある。
上記の技術的課題を解決するための本発明に係る第1の特徴構成は、内燃機関のクラン
クシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して同軸上に配置され、内燃機関の吸気弁または排気弁の弁開閉用のカムシャフトに同期回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、作動油が供給されることにより前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を進角方向に変更させる進角室及び前記相対回転位相を遅角方向に変更させる遅角室と、前記進角室に作動油を給排する進角油路及び前記遅角室に作動油を給排する遅角油路と、前記進角油路及び前記遅角油路に作動油を供給可能なオイルポンプと、前記オイルポンプから供給される作動油の前記進角油路及び前記遅角油路への給排の許可及び禁止を切替える進遅角制御弁と、を備え、前記進角室及び前記遅角室の両方に作動油が満たされ、前記相対回転位相の変位が固定される時に、前記吸気弁または前記排気弁の開閉駆動に伴う変動トルクによる前記従動側回転部材の回転方向の振動を抑制する振動抑制手段を設け、前記振動抑制手段は、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、作動油で満たされることにより前記相対回転位相の変位を固定する進角位相保持室及び遅角位相保持室と、前記進角位相保持室及び前記遅角位相保持室の間に備えられ、前記進角位相保持室と前記遅角位相保持室との連通の許可及び禁止を切替える開閉弁と、前記開閉弁の開閉を切替えるための作動油を給排する開閉弁油路と、前記オイルポンプから供給される作動油の前記開閉弁油路への給排の許可及び禁止を切替える油路切替弁とで構成されることを特徴とする弁開閉時期制御装置である。
の特徴構成は、前記進角位相保持室及び前記遅角位相保持室へは、前記開閉弁油路から作動油が供給されることである。
の特徴構成は、前記進角位相保持室へは、前記進角油路から作動油が供給され、前記遅角位相保持室へは、前記遅角油路から作動油が供給されることである。
の特徴構成は、前記進角油路と前記進角位相保持室とを連通する油路に、前記進角油路から前記進角位相保持室への作動油の供給を許可し、前記進角位相保持室から前記進角油路への作動油の排出を禁止する進角位相保持室用逆止弁と、前記遅角油路と前記遅角位相保持室とを連通する油路に、前記遅角油路から前記遅角位相保持室への作動油の供給を許可し、前記遅角位相保持室から前記遅角油路への作動油の排出を禁止する遅角位相保持室用逆止弁とが設けられていることである。
の特徴構成は、前記開閉弁は、有底筒形状を呈しており、内部に前記開閉弁の軸方向に付勢する付勢部材を備え、前記進角位相保持室と前記開閉弁とを連通する進角位相保持室油路及び前記遅角位相保持室と前記開閉弁とを連通する遅角位相保持室油路よりも前記従動側回転部材の径内側にあって、前記進角位相保持室及び前記遅角位相保持室に存在する気体を前記開閉弁の外部へ排出する気体排出路が、前記開閉弁が前記付勢部材の付勢力に抗して軸方向に移動した時に開口することである。
の特徴構成は、前記開閉弁油路に、前記開閉弁油路から前記開閉弁への作動油の供給を許可し、前記開閉弁から前記開閉弁油路への作動油の排出を禁止する開閉弁油路用逆止弁が設けられていることである。
の特徴構成は、前記相対回転位相を拘束するロック機構を油圧制御するための作動油を給排するロック機構油路が独立して設けられており、前記ロック機構油路及び前記開閉弁油路への作動油の給排の許可及び禁止を単体で行う統合制御弁が設けられていることである。
の特徴構成は、前記統合制御弁が、前記ロック機構油路及び前記開閉弁油路からの作動油の排出を許可する第1の位置と、前記ロック機構油路への作動油の供給を許可し、前記開閉弁油路からの作動油の排出を許可する第2の位置と、前記ロック機構油路及び前記開閉弁油路への作動油の供給を許可する第3の位置とを備えていることである。
の特徴構成は、前記振動抑制手段は、前記進角油路への作動油の供給を許可し、前記遅角油路からの作動油の排出を許可する第1の位置と、前記進角油路からの作動油の排出を許可し、前記遅角油路への作動油の供給を許可する第2の位置と、前記進角油路及び前記遅角油路への作動油の供給を許可する第3の位置とを備えた前記進遅角制御弁と、前記進遅角制御弁が前記第3の位置の時に、前記進角油路と前記遅角油路との連通を禁止する少なくとも2つの連通防止用逆止弁とで構成されることである。
第1の特徴構成に係る発明によると、進角室及び遅角室の両方に作動油が満たされ、相対回転位相の変位が固定される時に、吸気弁または排気弁の開閉駆動に伴う変動トルクによる従動側回転部材の回転方向の振動を抑制する振動抑制手段を設けたこととした。
これにより、従動側回転部材の回転方向の振動(所謂バタツキ)を抑制できる。
また、振動抑制手段は、駆動側回転部材と従動側回転部材とにより形成され、作動油で満たされることにより相対回転位相の変位を固定する進角位相保持室及び遅角位相保持室と、進角位相保持室及び遅角位相保持室の間に備えられ、進角位相保持室と遅角位相保持室との連通の許可及び禁止を切替える開閉弁と、開閉弁の開閉を切替えるための作動油を給排する開閉弁油路と、オイルポンプから供給される作動油の開閉弁油路への給排の許可及び禁止を切替える油路切替弁とで構成されることとした。
これにより、開閉弁が進角位相保持室と遅角位相保持室との連通を許可すれば相対回転位相の変更を妨げず、開閉弁が進角位相保持室と遅角位相保持室との連通を禁止すれば、実質的に油圧室が1つ増えたことになり、従動側回転部材の回転方向の振動を抑制できる。
の特徴構成に係る発明によると、進角位相保持室及び遅角位相保持室へは、開閉弁油路から作動油が供給されることとした。
これにより、進角位相保持室及び遅角位相保持室に供給される作動油と、開閉弁の油圧制御を行う作動油とが、いずれも開閉弁油路から供給されるため、簡単な油路構成とすることができる。また、進角位相保持室及び遅角位相保持室への作動油の供給と開閉弁の油圧制御とが連動することになるため、制御も簡単なものとなる。
の特徴構成に係る発明によると、進角位相保持室へは、進角油路から作動油が供給され、遅角位相保持室へは、遅角油路から作動油が供給されることとした。
これにより、進角位相保持室及び遅角位相保持室に作動油を供給する油路と、開閉弁の油圧制御を行う作動油を供給する油路が異なるため、進角位相保持室及び遅角位相保持室への作動油の補充と開閉弁の油圧制御を独立に行うことができ、汎用性を持たせることができる。例えば、進角位相保持室及び遅角位相保持室に供給する作動油の油圧よりも、小さい油圧で開閉弁を開閉制御可能な場合には、開閉弁油路を小径化したり、開閉弁油路に供給する作動油を減らしたりすることができる。
の特徴構成に係る発明によると、進角油路と進角位相保持室とを連通する油路に、進角油路から進角位相保持室への作動油の供給を許可し、進角位相保持室から進角油路への作動油の排出を禁止する進角位相保持室用逆止弁と、遅角油路と遅角位相保持室とを連通する油路に、遅角油路から遅角位相保持室への作動油の供給を許可し、遅角位相保持室から遅角油路への作動油の排出を禁止する遅角位相保持室用逆止弁とが設けられていることとした。
これにより、作動油が進角位相保持室から進角油路へ、及び遅角位相保持室から遅角油路へ逆流することを防止でき、進角位相保持室及び遅角位相保持室の外部へ作動油がリークすることを抑制できる。よって、進角位相保持室及び遅角位相保持室による振動抑制効果をより確実に持続させることができる。
の特徴構成に係る発明によると、開閉弁は、有底筒形状を呈しており、内部に開閉弁の軸方向に付勢する付勢部材を備え、進角位相保持室と開閉弁とを連通する進角位相保持室油路及び遅角位相保持室と開閉弁とを連通する遅角位相保持室油路よりも従動側回転部材の径内側にあって、進角位相保持室及び遅角位相保持室に存在する気体を開閉弁の外部へ排出する気体排出路が、開閉弁が付勢部材の付勢力に抗して軸方向に移動した時に開口することとした。
これにより、進角位相保持室及び遅角位相保持室の外部へ作動油がリークして気体が混入しても、作動油の補給と同時に気体が押し出されるように気体排出路から進角位相保持室及び遅角位相保持室の外部へ排出できる。また、進角位相保持室及び遅角位相保持室の内部にある作動油は遠心力により従動側回転部材の径外側に、気体は従動側回転部材の径内側に位置するため、気体排出路を進角位相保持室油路及び遅角位相保持室油路よりも従動側回転部材の径内側に有することにより、気体を効率良く排出できる。更に、気体排出路は、開閉弁の開閉状態と同じ開閉状態にすることで、不用意に進角位相保持室及び遅角位相保持室内の作動油を、気体排出路を介して外部へ排出されることを抑制できる。
の特徴構成に係る発明によると、開閉弁油路に、開閉弁油路から開閉弁への作動油の供給を許可し、開閉弁から開閉弁油路への作動油の排出を禁止する開閉弁油路用逆止弁が設けられていることとした。
これにより、開閉弁油路が作動油で満たされた状態が維持されるため、開閉弁の油圧制御の即効性を向上させることができる。
の特徴構成に係る発明によると、相対回転位相を拘束するロック機構を油圧制御するための作動油を給排するロック機構油路が独立して設けられており、ロック機構油路及び開閉弁油路への作動油の給排の許可及び禁止を単体で行う統合制御弁が設けられていることとした。
これにより、弁開閉時期制御装置に設けられる制御弁の数量を減らすことができ、コスト削減が可能となる。更に、制御弁の数量が減少するとともに、ドレンの共有化等により、省スペース化を図ることもできる。
の特徴構成に係る発明によると、統合制御弁が、ロック機構油路及び開閉弁油路からの作動油の排出を許可する第1の位置と、ロック機構油路への作動油の供給を許可し、開閉弁油路からの作動油の排出を許可する第2の位置と、ロック機構油路及び開閉弁油路への作動油の供給を許可する第3の位置とを備えていることとした。
これにより、ロック時、変位可変時及び変位固定時の状態における、ロック機構の制御
と開閉弁の制御を1つの制御弁で行うことができる。
の特徴構成に係る発明によると、振動抑制手段は、進角油路への作動油の供給を許可し、遅角油路からの作動油の排出を許可する第1の位置と、進角油路からの作動油の排出を許可し、遅角油路への作動油の供給を許可する第2の位置と、進角油路及び遅角油路への作動油の供給を許可する第3の位置とを備えた進遅角制御弁と、進遅角制御弁が第3の位置の時に、進角油路と遅角油路との連通を禁止する少なくとも2つの連通防止用逆止弁とで構成されることとした。
これにより、変位固定時に第3の位置をとれば、進角油路と遅角油路が連通していないため進角室及び遅角室の作動油の量は一定のままであり、更に進角室及び遅角室から外部へ作動油がリークしても、作動油が供給されるため、振動抑制効果を確実に持続させることができる。
第1の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の概略図。 第1の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の図1におけるII−II断面図。 第1の実施形態に係る開閉弁の断面図であり、(a)は開閉弁が開いている状態、(b)は開閉弁が閉じている状態。 第2の実施形態に係る開閉弁の断面図であり、(a)は開閉弁が開いている状態、(b)は開閉弁が閉じている状態。 第3の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の断面図。 第3の実施形態に係る開閉弁の断面図であり、(a)は開閉弁が開いている状態、(b)は開閉弁が閉じている状態。 第4の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の断面図。 第4の実施形態に係る統合制御弁の断面図であり、(a)はロック時の状態、(b)は変位可変時の状態、(c)は変位固定時の状態。 第5の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の断面図。
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
弁開閉時期制御装置は、エンジンのクランクシャフト110と同期しつつエンジンの弁を開閉するカムシャフト9の軸芯周りに回転可能な駆動側回転部材としての外部ロータ5と、外部ロータ5の内部に、外部ロータ5と位相変更可能にカムシャフト9と一体回転する従動側回転部材としての内部ロータ4とを備える。
外部ロータ5は、カムシャフト9が接続される側の反対側に取り付けたフロントプレート5Aと、カムシャフト9が接続される側に取り付けたリアプレート5Bと、フロントプレート5Aとリアプレート5Bとに狭持されるスプロケット部材5Cとで構成されている。
スプロケット部材5Cの外周には、ギア5Dが形成してある。このギア5Dとエンジンのクランクシャフト110に取り付けられたギア(図示せず)との間には、タイミングチェーンやタイミングベルト等の動力伝達部材120が架設してある。
スプロケット部材5Cの内周には、径内方向に突出するシューとして機能する複数個の突部5Eが回転方向に沿って互いに離間して併設してある。また、スプロケット部材5Cの内周には、ロック体6Aを収容する退避溝6Bと、退避溝6Bと連通し、ロック体6Aを径内方向へ付勢するスプリング6Cの収容穴6Dとが形成されている。
内部ロータ4は、エンジンの吸気弁または排気弁の開閉時期を制御するカムの回転軸を構成するカムシャフト9の先端部に一体的に組み付けられ、外部ロータ5に対して所定の相対回転範囲内で相対回転可能に内装される。また、内部ロータ4には、ロック体6Aが径内方向へ移動したときにロック体6Aが収容されるロック溝6Eが形成されている。
尚、ロック機構6は、前述したロック体6A、退避溝6B、スプリング6C、収容穴6D、ロック溝6Eで構成されている。
トーションスプリング8は、一端をフロントプレート5Aに係止し、他端を内部ロータ4に係止して取り付けられ、内部ロータ4を外部ロータ5に対して進角方向S1側へ付勢している。
外部ロータ5と内部ロータ4とにおいて、外部ロータ5の隣接する突部5Eの各々の間には、油圧室1が形成してある。第1の実施形態では、油圧室1を三室備えたものを例示する。
油圧室1は、ベーン7によって進角室2及び遅角室3に二分されている。
外部ロータ5に対する内部ロータ4の相対回転可能範囲は、油圧室1の内部でベーン7が移動可能な範囲、すなわち最遅角位相と最進角位相との間の範囲に相当する。
更に、外部ロータ5と内部ロータ4とにおいて、外部ロータ5の隣接する突部5Eの間には、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31が形成してある。第1の実施形態では、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31を一室備えたものを例示する。
進角位相保持室30と遅角位相保持室31との間には、開閉弁32が備えられている。開閉弁32は、内部ロータ4の内部に設けられ、図3に示す通り、スプール33、リターンスプリング34、作動油供給孔35、気体排出孔36、プラグ37、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39で構成されている。
スプール33は、有底筒形状をなし、有底側の外径は一段小さくなり、空隙部40を備える。また、スプール33の径方向には、気体排出路36の一部36Bが形成されている。
リターンスプリング34は、スプール33の筒内に設けられ、一端はプラグ37に固定され、他端はスプール33の有底側を付勢する。
作動油供給孔35は、スプール33の空隙部40に作動油を供給するための油路であり、内部ロータ4の内部に形成されている。
気体排出孔36は、内部ロータ4の周方向、スプール33の径方向及びプラグ37の中心で構成され、各々連通可能に形成されている。気体排出路36A、36Bは、後述する進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39よりも、内部ロータ4の径内側に形成されている。尚、気体排出孔36の内径は、気体が抜け易いが作動油が抜け難い範囲で決められる。
プラグ37は、前述したスプール33及びリターンスプリング34の軸方向の移動を規制するために設けられている。また、プラグ37には、前述した気体排出孔36Cが形成されている。
進角位相保持室供給油路38は、内部ロータ4に形成され、進角位相保持室30に連通する油路である。同様に、遅角位相保持室供給油路39は、内部ロータ4に形成され、遅角位相保持室31に連通する油路である。
次に、第1の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の油路について図2及び図3に基づいて説明する。
第1の実施形態に係る油路は、外部ロータ5に対する内部ロータ4の相対回転位相を、進角方向S1へ変更させる進角油路10と、外部ロータ5に対する内部ロータ4の相対回転位相を、遅角方向S2へ変更させる遅角油路11と、外部ロータ5に対する内部ロータ4の相対回転位相の変位を固定する開閉弁油路12とで構成されている。
オイルポンプ23から吐出され、供給油路27に供給された作動油は、進遅角制御弁24により、進角油路10、遅角油路11への供給を許可もしくは禁止され、油路切替弁50により、開閉弁油路12への供給を許可もしくは禁止される。また、オイルパン26に連通する排出油路28は、進角油路10、遅角油路11から排出された作動油をオイルパン26へ排出する。
進遅角制御弁24は、進角油路10への作動油の供給を許可し、遅角油路11からの作動油の排出を許可する第1の位置24Aと、進角油路10及び遅角油路11の作動油の給排を禁止する第2の位置24Bと、遅角油路11への作動油の供給を許可し、進角油路10からの作動油の排出を許可する第3の位置24Cとを有している。進遅角制御弁24は、所謂3位置4ポート切替弁である。また、進遅角制御弁24は、制御手段であるECU25からの制御信号により、第1の位置24A、第2の位置24B及び第3の位置24Cを切替可能に動作する。
油路切替弁50は、開閉弁油路12への作動油の供給を許可する第1の位置50Aと、開閉弁油路12への作動油の供給及び排出を禁止する第2の位置50Bとを有する。油路切替弁50は、所謂2位置2ポート切替弁である。また、油路切替弁50は、制御手段であるECU25からの制御信号により、進遅角制御弁24が第1の位置24A及び第3の位置24Cの時に第1の位置50Aに、進遅角制御弁24が第2の位置24Bの時に第2の位置50Bに切替可能に動作する。
次に、第1の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の作動について図2及び図3に基づいて説明する。
エンジンが停止している時は、オイルポンプ23が停止しており、油圧室1、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31には作動油(油圧)が供給されていない。この時、ロック体6Aが内部ロータ4のロック溝6Eに没入し、外部ロータ5と内部ロータ4との相対回転が規制されている。
エンジンが始動すると、オイルポンプ23が駆動され、オイルポンプ23から作動油が吐出される。この時、ECU25が、相対回転位相を進角方向S1に変更すると判断した場合に、進遅角制御弁24を第1の位置24Aに、油路切替弁50を第1の位置50Aに切替える。すると、内部ロータ4へ供給される作動油は、進角室2に供給される。また、開閉弁32は、油路切替弁50が第1の位置50Aに切替えられると、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動する。そして、作動油供給孔35から、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39を介して進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給される。尚、進角位相保持室
30及び遅角位相保持室31は連通しているため、相対回転位相が進角方向S1へ変更されても、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31の内部の作動油は、遅角位相保持室31から進角位相保持室30へ移動するだけで、常に作動油が満たされている状態となる。
進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給される際に、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に気体が存在する場合には、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39の連通と同時に気体排出路36も開口するため、円滑に作動油の供給及び気体の排出が行える。また、内部ロータ4及び外部ロータ5は、エンジン作動中は常に回転する(図2におけるS方向)。そのため、遠心力により、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に存在する作動油は内部ロータ4の径外側に、気体は径内側に移動する。一方、気体排出路36A、36Bは、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39よりも、内部ロータ4の径内側に形成されているため、結果、円滑に作動油の供給及び気体の排出が行える。
同様に、ECU25が、相対回転位相を遅角方向S2に変更すると判断した場合に、進遅角制御弁24を第3の位置24Cに、油路切替弁50を第1の位置50Aに切替える。すると、内部ロータ4へ供給される作動油は、遅角室3に供給される。また、開閉弁32は、油路切替弁50が第1の位置50Aに切替えられると、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動する。そして、作動油供給孔35から、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39を介して進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給される。更に、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31は連通しているため、相対回転位相が遅角方向S2へ変更されても、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31の内部の作動油は、進角位相保持室30から遅角位相保持室31へ移動するだけで、常に作動油が満たされている状態となる。
一方、ECU25が、相対回転位相の変位を固定すると判断した場合に、進遅角制御弁24を第2の位置24Bに、油路切替弁50を第2の位置50Bに切替える。すると、内部ロータ4には作動油は供給されず、すでに進角室2及び遅角室3に供給されている作動油を進遅角制御弁24により、密封状態とする。更に、開閉弁32は、油路切替弁50が第2の位置50Bに切替えられると、リターンスプリング34の付勢力により、スプール33がリターンスプリング34の付勢方向へ移動する。そして、進角位相保持室供給油路38と遅角位相保持室供給油路39との連通を禁止することにより、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31が各々密封状態となる。この時、すでに、相対回転位相を進角方向S1もしくは遅角方向S2に変更した際に、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給されて満たされているため、実質的に油圧室1の数を増やし、内部ロータ4の回転方向(図2におけるS1及びS2方向)の振動(所謂バタツキ)を抑制できる。
尚、第1の実施形態において、相対回転位相の変位の固定時に、進角位相保持室30あるいは遅角位相保持室31から外部へ作動油がリークした場合に、油路切替弁50を第1の位置50Aに切替えて、作動油を補給する制御を行うことも可能である。また、開閉弁油路用逆止弁110を設けることにより、開閉弁油路を作動油で満たされた状態で維持し、開閉弁の油圧制御の即効性を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図4に基づいて説明する。
本実施形態は、逆止弁41がスプール33の有底側に内設され、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動した時に、スプール33の、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39と対向する位置に、環状
溝42が形成された構成となっており、それ以外の構成は第1の実施形態と同じであるので開閉弁32以外の説明は省略する。
逆止弁41は、ボール41A及びボールストッパ41Bを有している。逆止弁41は、スプール33の有底側に内設され、作動油供給孔35から進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39への作動油の供給を許可し、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39から作動油供給孔35への逆流を禁止する。逆止弁41が設けられたことにより、意図せず進角位相保持室30及び遅角位相保持室31の作動油が外部へリークするおそれを抑制できる。
環状溝42は、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動した時に、スプール33の、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39と対向する位置に形成されている。環状溝42が形成されたことにより、トルク変動により進角位相保持室30または遅角位相保持室31に圧力が作用し、その圧力が進角位相保持室供給油路38または遅角位相保持室供給油路39を介してスプール33に作用しても、環状溝42の両側面42A、42Bに作用して、スプール33の軸方向に作用する圧力が相殺される。よって、相対回転位相の変位を固定する際に、スプール33が、トルク変動の影響を受けずに、リターンスプリング34の付勢方向へ移動できる。
尚、第2の実施形態は、スプール33に環状溝42が形成された場合を説明したが、これに限定されることなく、例えば、スプール33の径方向に環状溝42の代わりに貫通孔を形成する等、スプール33の軸方向に作用する圧力が相殺できればよい。
次に、本発明の第3の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。
本実施形態は、進角位相保持室30への作動油の供給が進角油路10から行われ、遅角位相保持室31への作動油の供給が遅角油路11から行われる構成となっている。更に、進角位相保持室30から進角油路10への作動油の逆流を防止する進角位相保持室用逆止弁100と、遅角位相保持室31から遅角油路11への作動油の逆流を防止する遅角位相保持室用逆止弁101とが設けられている。
開閉弁32は、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動した時に、スプール33の、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39と対向する位置に、環状溝42が形成された構成となっている。第1及び第2の実施形態と異なり、作動油供給孔35から、進角位相保持室供給油路38及び遅角位相保持室供給油路39を介して進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給されない構成となっている。
エンジンが始動すると、オイルポンプ23が駆動され、オイルポンプ23から作動油が吐出される。この時、ECU25が、相対回転位相を進角方向S1に変更すると判断した場合に、進遅角制御弁24を第1の位置24Aに、油路切替弁50を第1の位置50Aに切替える。進遅角制御弁24が第1の位置24Aに切替えられると、進角油路10から進角位相保持室30へ作動油が供給される。また、油路切替弁50が第1の位置50Aに切替えられると、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動し、進角位相保持室30と遅角位相保持室31とが連通する。結果、進角油路10から進角位相保持室30に供給された作動油は遅角位相保持室31も満たす。この時、進角位相保持室用逆止弁100が進角位相保持室30からの作動油の逆流を防止し、遅角位相保持室用逆止弁101が遅角位相保持室31からの作動油の逆流を防止するため、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31の内部は常に作動油が満たされている状態となる。
同様に、ECU25が、相対回転位相を遅角方向S2に変更すると判断した場合に、進遅角制御弁24を第3の位置24Cに、油路切替弁50を第1の位置50Aに切替える。進遅角制御弁24が第3の位置24Cに切替えられると、遅角油路11から遅角位相保持室31へ作動油が供給される。また、油路切替弁50が第1の位置50Aに切替えられると、作動油の油圧によりリターンスプリング34の付勢力に抗して、スプール33が移動し、進角位相保持室30と遅角位相保持室31とが連通する。結果、遅角油路11から遅角位相保持室31に供給された作動油は進角位相保持室30も満たす。この時、進角位相保持室用逆止弁100が進角位相保持室30からの作動油の逆流を防止し、遅角位相保持室用逆止弁101が遅角位相保持室31からの作動油の逆流を防止するため、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31の内部は常に作動油が満たされている状態となる。
一方、ECU25が、相対回転位相の変位を固定すると判断した場合に、進遅角制御弁24を第2の位置24Bに、油路切替弁50を第2の位置50Bに切替える。すると、内部ロータ4には作動油は供給されず、すでに進角室2及び遅角室3に供給されている作動油を進遅角制御弁24により、密封状態とする。更に、開閉弁32は、油路切替弁50が第2の位置50Bに切替えられると、リターンスプリング34の付勢力により、スプール33がリターンスプリング34の付勢方向へ移動する。そして、進角位相保持室供給油路38と遅角位相保持室供給油路39との連通を禁止することにより、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31が各々密封状態となる。この時、すでに、相対回転位相を進角方向S1もしくは遅角方向S2に変更した際に、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給されて満たされているため、実質的に油圧室1の数を増やし、内部ロータ4の回転方向(図5におけるS1及びS2方向)の振動(所謂バタツキ)を抑制できる。
相対回転位相の変位を固定するため、進遅角制御弁24が微作動して進角方向S1あるいは遅角方向S2に繰り返し制御を行うことがあるが、この時、本実施形態であれば、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が交互に供給されるので、作動油がリークした場合にも振動抑制効果を持続することができる。また、進角室2及び進角室3に作動油を供給するのと同じタイミングかつ同じ油圧で、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31に作動油が供給されるので、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31の進遅角制御に適合した作動が可能となる。
次に、本発明の第4の実施形態を図7及び図8に基づいて説明する。
これまでに説明した実施形態のように、進遅角制御弁24に加えて油路切替弁50を設けることとすると、ロック機構6を制御するために別の切替弁が必要となる場合に、1つの弁開閉時期制御装置で3つの制御弁または切替弁が必要となる。本実施例はこのような場合に、ロック機構6を制御する切替弁を油路切替弁50に統合した統合制御弁51を使用し、部品点数の削減を図ったものである。
本実施形態においては、ロック機構6を油圧制御するための作動油を供給するロック機構油路13が設けられている。統合制御弁51は、開閉弁油路12及びロック機構油路13からの作動油の排出を許可する第1の位置51Aと、開閉弁油路12からの作動油の排出を許可し、ロック機構油路13への作動油の供給を許可する第2の位置51Bと、開閉弁油路12及びロック機構油路13への作動油の供給を許可する第3の位置51Cとを備えている。
統合制御弁51のスプール52の一端(図8中右側)には、開閉弁油路12からドレン56へ作動油を排出するための作動油排出孔54が形成されており、スプール52の他端
(図8中左側)には、ロック機構油路13からドレン56へ作動油を排出するための作動油排出孔55が形成されている。外周面に凹凸を有したスプール52の移動によって、各油路への作動油の給排の許可及び禁止を切替えることができる。
次に、統合制御弁51の作動について説明する。なお、進遅角制御弁24及び開閉弁32の動作や、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31への作動油の供給については、第1の実施形態と同じであるので説明は省略する。
エンジンが停止している時は、統合制御弁51が第1の位置51A、すなわち図8(a)の状態となっている。この時、開閉弁油路12は作動油排出孔54と連通し、作動油は開閉弁油路12からドレン56に排出されるため、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31は相対回転位相の変位を固定しない。ロック機構油路13も作動油排出孔55と連通し、作動油はロック機構油路13からドレン56に排出されるため、ロック体6Aが内部ロータ4のロック溝6Eに没入し、外部ロータ5と内部ロータ4との相対回転が規制されている。
エンジンが始動すると、オイルポンプ23が駆動され、オイルポンプ23から作動油が吐出される。ECU25が、相対回転位相を変更すると判断した場合に、統合制御弁51を第2の位置51Bに切替える。この時、統合制御弁51のスプール52は図8(b)の位置にあり、開閉弁油路12は作動油排出孔54と連通し、作動油は開閉弁油路12からドレン56に排出されるため、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31は相対回転位相の変位を固定しない。ロック機構油路13は供給油路27と連通し、作動油がロック機構油路13に供給されるため、作動油の油圧によりスプリング6Cの付勢力に抗して、ロック体6Aが退避溝6Bに移動しロックが解除される。
一方、ECU25が、相対回転位相を固定すると判断した場合に、統合制御弁51を第3の位置51Cに切替える。この時、統合制御弁51のスプール52は図8(c)の位置にあり、開閉弁油路12は供給油路27と連通し、作動油が開閉弁油路12に供給されるため、進角位相保持室30及び遅角位相保持室31は相対回転位相の変位を固定する。ロック機構油路13は供給油路27と連通し、作動油がロック機構油路13に供給されるため、作動油の油圧によりスプリング6Cの付勢力に抗して、ロック体6Aが退避溝6Bに移動しロックが解除された状態を維持する。
次に、本発明の第5の実施形態を図9に基づいて説明する。
本実施形態は、進遅角制御弁240及び2つの連通防止用逆止弁200、201により、トルク変動による内部ロータ4の回転方向の振動を抑制する構成例を説明する。
オイルポンプ23から吐出され、供給油路27に供給された作動油は、進遅角制御弁240により、進角油路10、遅角油路11への供給を許可もしくは禁止される。また、オイルパン26に連通する排出油路28は、進角油路10、遅角油路11から排出された作動油をオイルパン26へ排出する。
更に、進遅角制御弁240から連通防止用逆止弁200を介して進角油路10へ作動油を供給する油路202及び進遅角制御弁240から連通防止用逆止弁201を介して遅角油路11へ作動油を供給する油路203を備えている。連通防止用逆止弁200は、オイルポンプ23から進角油路10への供給を許可し、進角油路10からオイルパン26への排出を禁止する。同様に、連通防止用逆止弁201は、オイルポンプ23から遅角油路11への供給を許可し、遅角油路11からオイルパン26への排出を禁止する。
進遅角制御弁240は、進角油路10への作動油の供給を許可し、遅角油路11からの作動油の排出を許可し、油路202及び油路203への作動油の供給を禁止する第1の位置240Aと、遅角油路11への作動油の供給を許可し、進角油路10からの作動油の排出を許可し、油路202及び油路203への作動油の供給を禁止する第2の位置240Bと、進角油路10及び遅角油路11への作動油の直接の給排を禁止し、油路202及び油路203を介して進角油路10及び遅角油路11への作動油の供給を許可する第3の位置240Cとを有している。進遅角制御弁240は、所謂3位置6ポート切替弁である。
次に、第5の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の作動について説明する。
エンジンが停止している時は、オイルポンプ23が停止しており、油圧室1、には作動油(油圧)が供給されていない。この時、ロック体6Aが内部ロータ4のロック溝6Eに没入し、外部ロータ5と内部ロータ4との相対回転が規制されている。
エンジンが始動すると、オイルポンプ23が駆動され、オイルポンプ23から作動油が吐出される。この時、ECU25が、相対回転位相を進角方向S1に変更すると判断した場合に、進遅角制御弁240を第1の位置240Aに切替える。すると、内部ロータ4へ供給される作動油は、進角室2に供給される。
同様に、ECU25が、相対回転位相を遅角方向S2に変更すると判断した場合に、進遅角制御弁240を第2の位置240Bに切替える。すると、内部ロータ4へ供給される作動油は、遅角室3に供給される。
一方、ECU25が、相対回転位相の変位を固定すると判断した場合に、進遅角制御弁240を第3の位置240Cに切替える。すると、内部ロータ4へ供給される作動油は連通防止用逆止弁200、201を介して進角室2及び遅角室3の両方に供給される。しかし、2つの連通防止用逆止弁200、201があるため、進角油路10及び遅角油路11は連通していない。
相対回転位相の変位の固定時に、進角室2及び遅角室3の両方に作動油が供給されることにより、ベーン7には進角方向S1の油圧と遅角方向S2の油圧とが同時に作用する。よって、内部ロータ4の回転方向の振動(所謂バタツキ)を抑制できる。また、相対回転位相の変位の固定時に、進角室2及び遅角室3の外部に作動油がリークしても、オイルポンプ23から常に作動油が供給可能なため、リークした油量を補給できる。
相対回転位相の変位固定時に、意図せず進角室または遅角室の外部へ作動油がリークして気体が混入したり、進角室から遅角室もしくは遅角室から進角室へ作動油がリークしたりしても、従動側回転部材の回転方向の振動(所謂バタツキ)を抑制できる弁開閉時期制御装置を提供する。
1・・・油圧室
2・・・進角室
3・・・遅角室
4・・・内部ロータ(従動側回転部材)
5・・・外部ロータ(駆動側回転部材)
10・・・進角油路
11・・・遅角油路
12・・・開閉弁油路(振動抑制手段)
13・・・ロック機構油路
24、240・・・進遅角制御弁(振動抑制手段)
30・・・進角位相保持室(振動抑制手段)
31・・・遅角位相保持室(振動抑制手段)
32・・・開閉弁(振動抑制手段)
50・・・油路切替弁(振動抑制手段)
51・・・統合制御弁
100・・・進角位相保持室用逆止弁
101・・・遅角位相保持室用逆止弁
110・・・開閉弁油路用逆止弁
200、201・・・連通防止用逆止弁

Claims (9)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、
    前記駆動側回転部材に対して同軸上に配置され、内燃機関の吸気弁または排気弁の弁開閉用のカムシャフトに同期回転する従動側回転部材と、
    前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、作動油が供給されることにより前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を進角方向に変更させる進角室及び前記相対回転位相を遅角方向に変更させる遅角室と、
    前記進角室に作動油を給排する進角油路及び前記遅角室に作動油を給排する遅角油路と、
    前記進角油路及び前記遅角油路に作動油を供給可能なオイルポンプと、
    前記オイルポンプから供給される作動油の前記進角油路及び前記遅角油路への給排の許可及び禁止を切替える進遅角制御弁と、を備え、
    前記進角室及び前記遅角室の両方に作動油が満たされ、前記相対回転位相の変位が固定される時に、前記吸気弁または前記排気弁の開閉駆動に伴う変動トルクによる前記従動側回転部材の回転方向の振動を抑制する振動抑制手段を設け
    前記振動抑制手段は、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、作動油で満たされることにより前記相対回転位相の変位を固定する進角位相保持室及び遅角位相保持室と、
    前記進角位相保持室及び前記遅角位相保持室の間に備えられ、前記進角位相保持室と前記遅角位相保持室との連通の許可及び禁止を切替える開閉弁と、
    前記開閉弁の開閉を切替えるための作動油を給排する開閉弁油路と、
    前記オイルポンプから供給される作動油の前記開閉弁油路への給排の許可及び禁止を切替える油路切替弁とで構成されることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 請求項において、
    前記進角位相保持室及び前記遅角位相保持室へは、前記開閉弁油路から作動油が供給されることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  3. 請求項において、
    前記進角位相保持室へは、前記進角油路から作動油が供給され、前記遅角位相保持室へは、前記遅角油路から作動油が供給されることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  4. 請求項において、
    前記進角油路と前記進角位相保持室とを連通する油路に、前記進角油路から前記進角位相保持室への作動油の供給を許可し、前記進角位相保持室から前記進角油路への作動油の排出を禁止する進角位相保持室用逆止弁と、
    前記遅角油路と前記遅角位相保持室とを連通する油路に、前記遅角油路から前記遅角位相保持室への作動油の供給を許可し、前記遅角位相保持室から前記遅角油路への作動油の排出を禁止する遅角位相保持室用逆止弁とが設けられていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  5. 請求項のいずれか一項において、
    前記開閉弁は、有底筒形状を呈しており、内部に前記開閉弁の軸方向に付勢する付勢部材を備え、
    前記進角位相保持室と前記開閉弁とを連通する進角位相保持室油路及び前記遅角位相保持室と前記開閉弁とを連通する遅角位相保持室油路よりも前記従動側回転部材の径内側に
    あって、前記進角位相保持室及び前記遅角位相保持室に存在する気体を前記開閉弁の外部へ排出する気体排出路が、前記開閉弁が前記付勢部材の付勢力に抗して軸方向に移動した時に開口することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  6. 請求項のいずれか一項において、
    前記開閉弁油路に、前記開閉弁油路から前記開閉弁への作動油の供給を許可し、前記開閉弁から前記開閉弁油路への作動油の排出を禁止する開閉弁油路用逆止弁が設けられていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  7. 請求項のいずれか一項において、
    前記相対回転位相を拘束するロック機構を油圧制御するための作動油を給排するロック機構油路が独立して設けられており、前記ロック機構油路及び前記開閉弁油路への作動油の給排の許可及び禁止を単体で行う統合制御弁が設けられていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  8. 請求項において、
    前記統合制御弁が、前記ロック機構油路及び前記開閉弁油路からの作動油の排出を許可する第1の位置と、前記ロック機構油路への作動油の供給を許可し、前記開閉弁油路からの作動油の排出を許可する第2の位置と、前記ロック機構油路及び前記開閉弁油路への作動油の供給を許可する第3の位置とを備えていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  9. 請求項1において、
    前記振動抑制手段は、前記進角油路への作動油の供給を許可し、前記遅角油路からの作動油の排出を許可する第1の位置と、前記進角油路からの作動油の排出を許可し、前記遅角油路への作動油の供給を許可する第2の位置と、前記進角油路及び前記遅角油路への作動油の供給を許可する第3の位置とを備えた前記進遅角制御弁と、
    前記進遅角制御弁が前記第3の位置の時に、前記進角油路と前記遅角油路との連通を禁止する少なくとも2つの連通防止用逆止弁とで構成されることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
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