JP2011256772A - 内燃機関のバルブタイミング可変装置 - Google Patents
内燃機関のバルブタイミング可変装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011256772A JP2011256772A JP2010131503A JP2010131503A JP2011256772A JP 2011256772 A JP2011256772 A JP 2011256772A JP 2010131503 A JP2010131503 A JP 2010131503A JP 2010131503 A JP2010131503 A JP 2010131503A JP 2011256772 A JP2011256772 A JP 2011256772A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- timing
- rotating body
- valve
- valve timing
- vane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
Landscapes
- Valve Device For Special Equipments (AREA)
- Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
Abstract
【課題】内燃機関のバルブタイミング可変装置にあって、最遅角時期や最進角時期が予め設定された本来の時期から変動してしまうことを抑制することにある。
【解決手段】バルブタイミング可変装置は、クランクシャフト11に駆動連結されるスプロケット30とカムシャフト13と一体に回転するベーンロータ60とスプロケット30に螺合されるボルト80が貫通孔45に挿入されることによりスプロケット30と締結されるハウジング40とを含み、スプロケット30に対するベーンロータ60の相対回転位相を変更することにより機関バルブのバルブタイミングを変更する可変機構20を備え、この可変機構20は複数のベーン62のうち少なくとも1つがボルト80及びスプロケット30のいずれか一方に当接してスプロケット30に対するベーンロータ60の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とする。
【選択図】図1
【解決手段】バルブタイミング可変装置は、クランクシャフト11に駆動連結されるスプロケット30とカムシャフト13と一体に回転するベーンロータ60とスプロケット30に螺合されるボルト80が貫通孔45に挿入されることによりスプロケット30と締結されるハウジング40とを含み、スプロケット30に対するベーンロータ60の相対回転位相を変更することにより機関バルブのバルブタイミングを変更する可変機構20を備え、この可変機構20は複数のベーン62のうち少なくとも1つがボルト80及びスプロケット30のいずれか一方に当接してスプロケット30に対するベーンロータ60の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを変更する内燃機関のバルブタイミング可変装置に関する。
以下、一般的な内燃機関のバルブタイミング可変装置の構成例及び動作例について図9を参照して説明する。なお、「先端側」は可変機構の軸方向においてカバーが配置される側(図9(a)参照)、「RA」はカムシャフトの回転方向(図9(b)参照)、「C」はカムシャフトの回転軸(図9(a),(b)参照)、「進角側」は可変機構の周方向において回転方向RA側(図9(b)参照)、「遅角側」は可変機構の周方向において回転方向RAの反対側(図9(b)参照)を示すこととする。
可変機構200は、カムシャフト400の先端側に配設され、大きくはクランクシャフト300とチェーン310を介して駆動連結されるスプロケット700と、ボルト520により同スプロケット700と一体回転可能に締結されるハウジング800及びカバー600と、センターボルト510及び図示しない圧入ピンによってカムシャフト400の先端側に一体回転可能に固定されているベーンロータ900とを備えている。
ベーンロータ900には、その中心に位置するボス910と同ボス910からカムシャフト400の回転軸Cの径方向外側に延伸する3つのベーン920が設けられている。そして、このベーンロータ900に外嵌されるハウジング800には、回転軸Cの径方向内側に延伸してそのボス910の外周面に当接する3つの区画部810が設けられている。そして、これら区画部810により各ベーン920をそれぞれ収容する複数の収容室820が区画形成されている。
ハウジング800の区画部810には、回転軸Cに沿って延伸する貫通孔830が設けられている。この貫通孔830にボルト520を挿入するとともに、同ボルト520をスプロケット700に螺合することにより、スプロケット700及びハウジング800が締結されている。このようにそれぞれの回転体が締結されることにより、スプロケット700及びハウジング800がカムシャフト400に対して一体となって相対回転する。なお、ハウジング800は、組み付け性を考慮して、貫通孔830の内周面とボルト520の外周面との間にわずかなクリアランスが存在する状態でスプロケット700に締結されている。
収容室820内の空間は、ベーン920によって進角室821及び遅角室822に区画される。これら進角室821及び遅角室822に対する作動油の給排状態を制御することにより、ハウジング800に対するベーンロータ900の回転位相、すなわちクランクシャフト300に対するカムシャフト400の相対回転位相が変更されて、そのカムシャフト400によって開閉される吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングが変更される。
例えば、進角室821に対して作動油を供給する一方で遅角室822の作動油を排出することにより、ベーンロータ900がハウジング800に対して回転方向RAに回転すると、バルブタイミングが進角される。そして、ベーンロータ900がハウジング800に対して回転方向RAに更に回転し、ベーン920の少なくとも一つが遅角室822の壁面に当接してそれ以上回転できない状態となると、バルブタイミングはその可変領域における最進角時期となる。一方、遅角室822に対して作動油を供給する一方で進角室821の作動油を排出することにより、ベーンロータ900がハウジング800に対して回転方向RAの反対方向に回転すると、バルブタイミングは遅角される。そして、ベーンロータ900がハウジング800に対して回転方向RAの反対方向に更に回転し、ベーン920の少なくとも一つが進角室821の壁面に当接してそれ以上回転できない状態となると、バルブタイミングはその可変領域における最遅角時期となる。
ところで、上記特許文献1に記載したものも含め、従来の内燃機関のバルブタイミング可変装置にあっては、バルブタイミングをその可変領域において最進角時期又は最遅角時期とする場合に以下のような不都合が生じるおそれがある。すなわち、可変機構に対して給排される作動油の供給源には、クランクシャフトの回転に基づいて駆動される機関駆動式のオイルポンプが採用されているため、例えば内燃機関の運転を停止してから長時間が経過し、可変機構の収容室をはじめ、その油圧系に作動油がほとんど残留していない状況となり得る。そしてこうした状況下で機関始動を行う場合には、ハウジングに対してベーンロータを所定の位相に保持するための油圧を十分に確保することができない。このため、カムシャフトに作用するトルク変動により、ベーンロータが不必要に揺動し、それに伴ってベーンが揺動することにより同ベーンが収容室を区画形成するハウジングの壁面に衝突することがある。また、上述したように、油圧系に作動油が十分に供給されている状況下でベーンが収容室を区画形成する壁面に当接することにより、バルブタイミングがその可変領域における最進角時期又は最遅角時期となる場合、同壁面とベーンとが大きな力で当接する場合もある。
ここで上述したように、ハウジングにおける貫通孔の内周面とボルトとの外周面との間にはわずかながらクリアランスが存在している。このため、ベーンが収容室を区画形成するハウジングの壁面に当接したときには、そのベーンとの当接によりスプロケットに対してハウジングの相対回転位相がクリアランスの大きさだけ変化するようになる。そして、このような位相ずれが生じた場合には、予め設定された位相から変化した位相においてハウジングの壁面とベーンとが当接したときにバルブタイミングが最遅角時期又は最進角時期となる。すなわち、ハウジングの位相ずれが生じた場合におけるバルブタイミングの最遅角時期又は最進角時期は、予め設定された最遅角時期又は最進角時期とは異なるものとなる。
例えば特許文献1に記載の可変機構では、このような収容室を区画形成するハウジングの壁面とベーンとが当接することに起因して打音が生じることを問題とし、収容室を区画形成するハウジングの壁面に対向するベーンの付根部に緩衝体を設けることにより、この問題を解消するように提案されている。しかし、確かに緩衝体の機能によりベーンの当接力がハウジングに対して急激に作用することを回避することができるとはいえ、その当接力そのものが低減されるわけではないため、この当接力が大きいときには、依然としてスプロケットに対するハウジングの相対回転位相の位相ずれが生じることとなる。
尚、チェーンを介してスプロケットがクランクシャフトに駆動連結される可変機構を例に説明したが、こうした不都合は、例えばカムシャフトと一体回転するプーリがベルトを介してクランクシャフトに駆動連結される可変機構や、カムシャフトと一体回転する歯車が複数の歯車機構を介してクランクシャフトに駆動連結される可変機構にあっても同様に発生し得る。
この発明はこうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関のバルブタイミング可変装置にあって、最遅角時期や最進角時期が予め設定された本来の時期から変動してしまうことを抑制することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、同一の回転軸を中心に回転する回転体として、クランクシャフトに駆動連結される第1の回転体と、前記回転軸の径方向に延伸する複数のベーンを有してカムシャフトと一体に回転する第2の回転体と、前記回転軸に沿って伸びる貫通孔を有し前記第1の回転体に螺合されるボルトが同貫通孔に挿入されることにより前記第1の回転体と締結されて前記ベーンを収容する収容室を同第1の回転体とともに区画形成する第3の回転体とを含み、作動油供給機構から前記収容室に供給される作動油の油圧に基づいて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回転位相を変更することにより前記カムシャフトにより開閉駆動される吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミングを変更する可変機構を備えた内燃機関のバルブタイミング可変装置において、前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものであることを要旨としている。
請求項1に記載の発明は、同一の回転軸を中心に回転する回転体として、クランクシャフトに駆動連結される第1の回転体と、前記回転軸の径方向に延伸する複数のベーンを有してカムシャフトと一体に回転する第2の回転体と、前記回転軸に沿って伸びる貫通孔を有し前記第1の回転体に螺合されるボルトが同貫通孔に挿入されることにより前記第1の回転体と締結されて前記ベーンを収容する収容室を同第1の回転体とともに区画形成する第3の回転体とを含み、作動油供給機構から前記収容室に供給される作動油の油圧に基づいて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回転位相を変更することにより前記カムシャフトにより開閉駆動される吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミングを変更する可変機構を備えた内燃機関のバルブタイミング可変装置において、前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものであることを要旨としている。
この発明によれば、可変機構のベーンがボルト及び第1の回転体のいずれか一方に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期又は最進角時期となるため、バルブタイミングを変更する際やカムシャフトに作用するトルクの変動により第2の回転体が回動し、それに伴ってベーンが揺動する場合であっても、収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接することが抑制される。一方、第1の回転体はクランクシャフトに駆動連結され、更にこの第1の回転体に対してボルトが螺合されているため、第2の回転体の回動に伴ってベーンがボルトや第1の回転体と当接したとしても、第2の回転体と第1の回転体との位相関係が変化することはない。
従って、第2の回転体の回動に伴ってベーンが第3の回転体の壁面と当接することに起因して、第1の回転体に対してボルトにより締結された第3の回転体が予め設定された位相からずれることはなく、最遅角時期や最進角時期が予め設定された時期から変動してしまうことを抑制することができる。なお、ベーンが当接する「第1の回転体」には、同回転体そのものの他、これにクリアランスのない態様で固定された部材も含まれることとする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置において、前記可変機構は吸気バルブのバルブタイミングを変更する吸気側可変機構と排気バルブのバルブタイミングを変更する排気側可変機構とを各別に備え、前記吸気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより吸気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期とするものであり、前記排気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより排気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最進角時期とするものであることを要旨としている。
内燃機関においては、吸気バルブのバルブタイミングを進角させるとともに、排気バルブのバルブタイミングを遅角させることにより、バルブオーバーラップを増大させて内部EGR量を増やしポンピングロスの低減、ひいては燃費の向上を図るようにしている。
ここで、吸気側可変機構について、第2の回転体の回動に伴ってベーンが収容室を区画形成する第3の回転体の壁面と当接してバルブタイミングが最遅角時期となる構成にあっては、そのベーンとの当接により第1の回転体に対して第3の回転体の相対回転位相が遅角側に変化することがある。また、排気側可変機構について、第2の回転体の回動に伴ってベーンが収容室を区画形成する第3の回転体の壁面と当接してバルブタイミングが最進角時期となる構成にあっては、そのベーンとの当接により第1の回転体に対して第3の回転体の相対回転位相が進角側に変化することがある。このため、バルブオーバーラップを例えば最大とする要求があっても、吸気バルブは本来の最進角時期に達する前に収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接し、また排気バルブは本来の最遅角時期に達する前に収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接するようになり、バルブオーバーラップの最大値はその本来の値よりも小さくなるおそれがある。
この発明によれば、吸気側可変機構においてはベーンがボルト及び第1の回転体のいずれか一方に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期となるため、第2の回転体の回動に伴ってベーンが揺動する場合であっても、収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接する頻度を低減することができるため、こうした当接により、第3の回転体が予め設定された位相から遅角側に変化することを抑制することができる。また、排気側可変機構においてもベーンがボルト及び第1の回転体のいずれか一方に当接したときにはじめてバルブタイミングが最進角時期となるため、第2の回転体の回動に伴ってベーンが揺動する場合であっても、収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接する頻度を低減することができるため、こうした当接により、第3の回転体が予め設定された位相から進角側に変化することを抑制することができる。このため、吸気バルブのバルブタイミングを予め設定された最進角時期まで進角させることができる一方、排気バルブのバルブタイミングを予め設定された最遅角時期まで遅角させることができる。その結果、バルブオーバーラップの最大値を予め定められた値に維持することができ、ポンピングロスの低減、ひいては燃費の向上を図ることが可能になる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置において、前記可変機構は吸気バルブのバルブタイミングを変更する吸気側可変機構と排気バルブのバルブタイミングを変更する排気側可変機構とを各別に備え、前記吸気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより吸気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最進角時期とするものであり、前記排気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより排気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期とするものであることを要旨としている。
内燃機関においては、吸気バルブのバルブタイミングを遅角させるとともに、排気バルブのバルブタイミングを進角させることにより、バルブオーバーラップを減少させて排気の吹き返しを抑えることにより、例えば暖機完了前のような冷間時、特に冷間低負荷時における機関燃焼の安定性を確保するようにしている。
ここで、吸気側可変機構について、第2の回転体の回動に伴ってベーンが収容室を区画形成する第3の回転体の壁面と当接してバルブタイミングが最進角時期となる構成にあっては、そのベーンとの当接により第1の回転体に対して第3の回転体の相対回転位相が進角側に変化することがある。また、排気側可変機構についても、第2の回転体の回動に伴ってベーンが収容室を区画形成する第3の回転体の壁面と当接してバルブタイミングが最遅角時期となる構成にあっては、そのベーンとの当接により第1の回転体に対して第3の回転体の相対回転位相が遅角側に変化することがある。このため、バルブオーバーラップを例えば最小とする要求があっても、吸気バルブは本来の最遅角時期に達する前に収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンの壁面とが当接し、また排気バルブは本来の最進角時期に達する前に収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンの壁面とが当接するようになり、バルブオーバーラップの最小値はその本来の値よりも大きくなるおそれがある。
この発明によれば、吸気側可変機構においてはベーンがボルト及び第1の回転体のいずれか一方に当接したときにはじめてバルブタイミングが最進角時期となるため、第2の回転体の回動に伴ってベーンが揺動する場合であっても、収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接する頻度を低減することができるため、こうした当接により、第3の回転体が予め設定された位相から進角側に変化することを抑制することができる。また、排気側可変機構においてはベーンがボルト及び第1の回転体のいずれか一方に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期となるため、第2の回転体の回動に伴ってベーンが揺動する場合であっても、収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンとが当接する頻度を低減することができるため、こうした当接により、第3の回転体が予め設定された位相から遅角側に変化することを抑制することができる。このため、吸気バルブのバルブタイミングを予め設定された最遅角時期まで遅角させることができる一方、排気バルブのバルブタイミングを予め設定された最進角時期まで進角させることができる。その結果、バルブオーバーラップの最小値を予め定められた値に維持することができ、冷間低負荷時等、燃焼状態が不安定になる傾向があるときであっても排気の吹き返しを抑制して安定した燃焼状態を確保することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置において、前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルトに当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものであり、前記ベーンには前記収容室を区画形成する前記第3の回転体の壁面に対向する壁面に前記ボルトに当接する凸部が形成される一方、同第3の回転体の前記壁面には前記凸部を嵌めることが可能であって同凸部側に前記ボルトが露呈する態様にて凹部が形成されることを要旨としている。
この発明によれば、第2の回転体のベーンに形成された凸部が、ボルトにおいて凹部から露呈する部分に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期又は最進角時期となるため、第2の回転体の回動に伴ってベーンが揺動する場合であっても、収容室を区画形成する第3の回転体の壁面とベーンの凸部とが当接する頻度を低減することができるため、こうした当接により第3の回転体が予め設定された位相から変化することを抑制することができる。このため、最進角時期や最遅角時期が予め設定された時期から変動してしまうことを抑制することができる。
また、第1の回転体と第3の回転体とを締結するボルトにベーンを当接させるようにしているため、第1の回転体と第3の回転体とを締結する機能の他、バルブタイミングの可変領域を規定する機能をボルトに持たせることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のバルブタイミング可変装置において、前記貫通孔は、前記第3の回転体の前記凹部が形成されない部分において前記回転軸の軸方向の全体にわたり形成されるものであり、前記凹部は前記貫通孔を画成する前記第3の回転体の内壁を切り欠く態様にて前記ボルトを前記第3の回転体から部分的に露呈させるように形成されることを要旨としている。
第3の回転体において凹部が形成されている部分はその分、他の部分と比較して剛性が低下する。このため、例えば、凹部においてボルト全体が完全に露呈している構成の場合には、第1の回転体と第3の回転体とを締結する締結力によって、第3の回転体における凹部が形成されている部分、すなわち剛性の低い部分に変形が生じるおそれがある。
この点、本発明によれば、凹部はボルトが貫通孔から部分的に露呈するように形成されるため、凹部においてボルトの全体が完全に露呈している構成と比較して、ボルトの締結力によって第3の回転体に変形が生じること抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置において、前記可変機構は前記第1及び第2の回転体の相対回動を規制して最遅角時期又は最進角時期を基準時期として最遅角時期又は最進角時期を含めそれらの間の所定時期にバルブタイミングを固定するロック機構を備え、前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものであることを要旨としている。
ロック機構においては、バルブタイミングが最遅角時期又は最進角時期となっているときを基準時期として、最遅角時期又は最進角時期を含めそれらの間の所定時期にバルブタイミングを固定する、すなわちロック機構をロック状態とするようにしている。
このようなロック機構が設けられた可変機構では、第2の回転体の回動に伴ってベーンが収容室を区画形成する第3の回転体の壁面と当接することに起因して、第1の回転体に対する第3の回転体の相対回転位相が予め設定された位相から変化した状況下で、バルブタイミングを最遅角時期又は最進角時期を含めそれらの間の所定時期に固定する要求が生じると、ロック機構をロック状態とすることができないおそれがある。
この点、本発明によれば、上述したような第1及び第2の回転体の相対的な回動を規制することでバルブタイミングをその可変領域における最進角時期とするものであれば、少なくともバルブタイミングが最進角時期となることによって生じる第1及び第3の回転体の相対回転位相の変化については抑制することができる。また第1及び第2の回転体の相対的な回動を規制することでバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期とするものであれば、少なくともバルブタイミングが最遅角時期となることによって生じる第1及び第3の回転体の相対回転位相の変化については抑制することができる。このため、ベーンが収容室を区画形成する第3の回転体の壁面に当接する頻度を低減することができ、ロック機構を通じて最遅角時期や最進角時期を基準時期とした所定時期にバルブタイミングを固定する可能性を高めることができる。その結果、ロック機構をロック状態とすることができないといった状況が発生する頻度を低減させることができる。
図1〜図4を参照して、本発明の内燃機関のバルブタイミング可変装置として、これを吸気バルブのバルブタイミングを変更するものとして具体化した一実施形態について説明する。なお、以下において特に明示しない限り単に「バルブタイミング」と記載した場合は、吸気バルブのバルブタイミングを意味することとする。
図1に示されるように、内燃機関10の下部には油圧駆動式の各種補機を駆動するための作動油を貯留するオイルパン101が取り付けられている。一方、内燃機関10の上部には吸気バルブ(図示略)を開閉駆動するためのカムシャフト13が設けられるとともに、このカムシャフト13にはそのバルブタイミングを変更するための可変機構20が設けられている。吸気バルブのカムシャフト13にはクランクシャフト11の回転力がチェーン12から可変機構20を介して伝達される。そしてこのように、クランクシャフト11の回転力によってカムシャフト13が回転することにより、同カムシャフト13に形成されたカム(図示略)により吸気バルブが開閉駆動される。なお、オイルパン101に貯留される作動油は、可変機構20を駆動するための油圧を発生する機能の他、内燃機関10の各部を潤滑するための潤滑油としての機能も併せ有している。
また、バルブタイミング可変装置は、バルブタイミングを特定の時期に固定するためのロック機構90と、可変機構20及びロック機構90に作動油を供給する作動油供給機構100と、この作動油供給機構100を通じて可変機構20の作動状態、すなわちバルブタイミングを制御する制御装置120とを備えている。
作動油供給機構100は、オイルパン101と可変機構20及びロック機構90との間で作動油を給排する複数の油路からなる作動油回路110と、オイルパン101の作動油を汲み上げて作動油回路110に供給する機関駆動式のオイルポンプ102とを含む。この作動油回路110の途中には、可変機構20及びロック機構90に対する作動油の給排状態を制御する流量制御弁103が設けられている。
作動油回路110は、供給油路111、排出油路112、進角油路113、遅角油路114、及び解除用油路115により構成されている。供給油路111は、オイルポンプ102から吐出される作動油を流量制御弁103に対して供給する。一方、排出油路112は、可変機構20から流量制御弁103に排出された作動油をオイルパン101に戻す。なお、この排出油路112は、実際には管や孔等の一定の形状を有するものではなく、作動油をオイルパン101に導く上で適した形状を有する内燃機関10の内壁(例えばチェーンケースの内壁等)により構成されている。
また、進角油路113及び遅角油路114及び解除用油路115は、それぞれ流量制御弁103と各進角室43及び各遅角室44及び解除室92Aとの間で作動油を流通する。進角油路113及び遅角油路114及び解除用油路115はそれぞれ、進角室43及び遅角室44及び解除室92Aに対してそれぞれ独立して接続されている。
また、制御装置120は、クランク角センサ121及びカム角センサ122を含む各種センサの検出信号を取り込み、それら検出信号に基づき機関運転状態に適したバルブタイミングにかかる目標角を設定するとともに、この目標角と実際のバルブタイミングとが一致するように可変機構20を制御する。
次に図1及び図2を併せ参照して、可変機構20の構成について説明する。なお、図1の可変機構20は、図2のDA−DA線に沿う断面構造を示している。また、図2は、可変機構20から図1に示されるカバー50(図1参照)を取り外した状態の同可変機構20の平面構造を示す。なお、カムシャフト13及びスプロケット30は同図2に示す回転方向RAに回転するものとする。以下では、可変機構20の軸方向においてカバー50が配置される側を「先端側」、その反対側を「基端側」とし、同機構20の周方向において、回転方向RA側を「進角側」、その反対側を「遅角側」とする。
カムシャフト13の先端側に配設された可変機構20は、クランクシャフト11とチェーン12を介して駆動連結されるスプロケット30及びボルト80により同スプロケット30と一体回転可能に締結されるハウジング40及びカバー50を備えている。
吸気バルブを開閉駆動するカムシャフト13の先端側には、センターボルト70及び図示しない圧入ピンによってベーンロータ60が一体回転可能に固定されている。このベーンロータ60には、その中心に位置するボス61と同ボス61からカムシャフト13の回転軸Cの径方向外側に延伸する3つのベーン62が設けられている。またこのベーンロータ60に外嵌されるハウジング40には、回転軸Cの径方向内側に延伸してそのボス61の外周面に当接する3つの区画部41が設けられている。このハウジング40の内径には、区画部41により各ベーン62をそれぞれ収容する3つの収容室42が区画形成されている。
ハウジング40の各区画部41には、回転軸Cの軸方向に沿って、同区画部41の全体にわたり延伸する貫通孔45がそれぞれ設けられている。この貫通孔45にボルト80を挿入するとともに、同ボルト80をスプロケット30に螺合することにより、スプロケット30及びハウジング40及びカバー50が締結されている。このようにそれぞれの回転体が締結されることにより、スプロケット30及びハウジング40及びカバー50がカムシャフト13に対して一体となって相対回転する。なお、ハウジング40は、組み付け性を考慮して、貫通孔45の内周面とボルト80との外周面との間に僅かながらクリアランスが存在する状態でスプロケット30に締結されている。
収容室42内の空間は、カバー50及びスプロケット30により密閉されるとともに、同収容室42に収容されたベーン62によって進角室43及び遅角室44に区画されている。これら進角室43及び遅角室44に対する作動油の給排状態が流量制御弁103を通じて制御されることにより、ハウジング40に対するベーンロータ60の回転位相、すなわちクランクシャフト11に対するカムシャフト13の相対回転位相が変更されて、そのカムシャフト13によって開閉される吸気バルブのバルブタイミングが変更される。
次に、可変機構20によるバルブタイミングの変更方法について説明する。
進角室43に対して作動油を供給する一方で遅角室44の作動油を排出することにより、ベーンロータ60がハウジング40に対して上記回転方向RAに回転すると、バルブタイミングが進角される。そして、ベーンロータ60がハウジング40に対して回転方向RAに更に回転してそれ以上回転できない状態となると、バルブタイミングはその可変領域における最進角時期となる。
進角室43に対して作動油を供給する一方で遅角室44の作動油を排出することにより、ベーンロータ60がハウジング40に対して上記回転方向RAに回転すると、バルブタイミングが進角される。そして、ベーンロータ60がハウジング40に対して回転方向RAに更に回転してそれ以上回転できない状態となると、バルブタイミングはその可変領域における最進角時期となる。
一方、遅角室44に対して作動油を供給する一方で進角室43の作動油を排出することにより、ベーンロータ60がハウジング40に対して回転方向RAと反対方向に回転すると、バルブタイミングは遅角される。そして、ベーンロータ60がハウジング40に対して回転方向RAと反対方向に更に回転してそれ以上回転できない状態となると、バルブタイミングはその可変領域における最遅角時期となる。
また、可変機構20には、バルブタイミングを最遅角時期と最進角時期との間の特定時期に固定するロック機構90が設けられている。以下、ロック機構90の構成について説明する。
ロック機構90は、ベーンロータ60に形成された3つのベーン62のうちの一つに設けられて、ロックピン91が収容される収容空間92が形成されるとともに、同収容空間92にはロックピン91の端部が同収容空間92から突出するようにこれをスプロケット30側(基端側)に向けて付勢するロックばね93が収容されている(図1参照)。また、収容空間92においてロックピン91を挟んでロックばね93と反対側に位置する部分には作動油が供給される解除室92Aが形成されている(図1参照)。この解除室92Aの油圧に基づいてロックピン91はロックばね93の付勢力と反対方向に付勢される。一方、スプロケット30には、バルブタイミングが特定時期となったときに、ロックピン91が嵌脱可能なロック穴94が形成されている(図1参照)。
こうしたロック機構90にあっては、バルブタイミングが最遅角時期となっているときをベーンロータ60の基準位相とし、作動油供給機構100を通じて遅角室44に供給される油圧に基づいてベーンロータ60を基準位相から所定位相だけ進角させる。その後、解除室92Aから作動油が排出されて、その油圧が低下するとロックピン91はロックばね93の付勢力により収容空間92から突出してロック穴94に嵌合する。すなわち、ロック機構90がロック状態となる。このようにロック機構90がロック状態にある場合には、バルブタイミングが最遅角時期と最進角時期との間の特定時期に固定される。なお、機関始動時等、進角室43や遅角室44といった油圧系に十分な量の作動油が残留していない場合や作動油の供給油圧が低い場合には、進角室43及び遅角室44の作動油によってベーン62の揺動を抑えることが困難であるため、カムトルク変動等によりベーンロータ60が不必要に揺動し、それに応じてバルブタイミングが変動してしまうことがある。ロック機構90は、機関始動時等におけるこうしたベーンロータ60の不必要な揺動を抑制するために設けられている。
一方、ロック機構90がロック状態にあるときに、解除室92Aに作動油を供給して、その油圧を増加させると、その油圧によりロックピン91は付勢され、ロック穴94から抜脱して収容空間92に収容される。すなわち、ロック機構90がアンロック状態となる。このようにロック機構90がアンロック状態にある場合には、進角室43及び遅角室44に対する作動油の給排状態に基づいてバルブタイミングを任意の時期に変更することができる。
ところで一般に、機関始動時等においてロック機構90によりバルブタイミングが特定時期に固定されていない場合に、ベーンロータ60が不必要に揺動してベーン62の壁面が区画部41の壁面に当接したり、ベーン62が収容室42を区画形成する壁面に当接することによりバルブタイミングが最進角時期となる場合や最遅角時期となる場合に大きな力で当接したりする際に、ハウジング40が予め設定された位相からクリアランスの大きさだけ変化することに起因して生じる問題については上述したとおりである。
そこで、本実施形態では、ベーン62がハウジング40に当接することを回避すべく、ベーン62をボルト80に当接させてベーンロータ60の回動を規制することにより、バルブタイミングを最遅角時期とするようにしている。同じく、他のベーンを他のボルト80に当接させてベーンロータ60の回動を規制することにより、バルブタイミングを最進角時期とするようにしている。
以下、これに関連する構成について図2及び図3を参照して説明する。なお、図3(a)は、3つのベーン62のうち周方向において遅角側の壁面62Aとこれに対向する区画部41の壁面41Aとの間の距離が最も短いベーン62(図2では左上のベーン62)について図2に示す領域Aの一部破断断面図であり、図3(b)は、このベーン62の遅角側の壁面62Aに対向するハウジング40(図2では左下の区画部41)について図2に示す領域Bの一部破断断面図である。
図3(a)に示されるように、図2に示す区画部41のA領域では、その基端側の部分において、貫通孔45を画成する区画部41の内壁を切り欠く態様にてボルト80を区画部41から進角側に部分的に露呈させるようにして凹部47が形成されている。また、凹部47は、区画部41の径方向において全体にわたり切り欠かれている。凹部47が形成されない区画部41の部分においては、当然ながらボルト80は貫通孔45から露呈していない。
一方、図3(b)に示されるように、図2に示すベーン62のB領域では、その先端側の半分がベーン62の径方向の長さの全体にわたり切り欠かれることにより、その基端側の半分に先の凹部47に嵌めることが可能な凸部63が形成されている。凸部63の周方向における長さは、ベーンロータ60の回動によりベーン62と区画部41とが近接して凸部63が凹部47に嵌まった際、ベーン62の遅角側の壁面62Aが区画部41の進角側の壁面41Aに当接する前に、凸部63がボルト80に当接するように設定されている。
このように形成された区画部41及びベーン62にあっては、ベーンロータ60が遅角側に回動すると、ベーン62の凸部63がハウジング40の凹部47に嵌まった後、最終的に凸部63の壁面63Aがボルト80に当接することにより、バルブタイミングが最遅角時期となる。
同様に、3つのベーン62のうち、周方向におけるベーン62の進角側の壁面62Bと、これに対向する区画部41の壁面41Bとの間の距離が最も短いベーン62(図2の右上のベーン62)には、凸部63が形成されている。また、このベーン62の進角側の壁面62Bに対向するハウジング40(図2の右下の区画部41)には、凹部47が形成されている。
このように形成された区画部41及びベーン62にあっては、ベーンロータ60が進角側に変位し続けると、ベーン62の凸部63がハウジング40の凹部47に嵌まった後、凸部63の壁面63Bがボルト80に当接することにより、バルブタイミングが最進角時期となる。
次に図4を参照して、このようにベーン62の凸部63がボルト80に当接する態様のうち、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングが最遅角時期となる態様について詳細に説明する。なお、図4(a)は、ハウジング40とベーンロータ60との相対回転位相が油圧により制御されてバルブタイミングを任意の時期に変更可能な状態を示している。また、図4(b)は、そうした変更を通じてバルブタイミングが最遅角時期となった状態を示している。
ここで周方向において、区画部41の壁面41Aとベーン62の壁面62Aとの間の距離を「L1」とし、ボルト80と凸部63の壁面63Aとの間の距離を「L2」とし、ボルト80よりも進角側の区画部41の長さを「L3」とし、凸部63の長さを「L4」とする。
図4(a)に示されるように、可変機構20は、ハウジング40(区画部41)及びベーンロータ60(ベーン62)及びボルト80が以下の式により示される関係を満たすようにその形状が設定されている。
L1>L2且つL4>L3
このように構成された可変機構20では、ベーンロータ60が遅角側に向けて変位すると、ベーン62の凸部63がハウジング40の凹部47に嵌まる。そして、図4(b)に示されるように、凸部63の壁面63Aがボルト80に当接することにより、バルブタイミングが最遅角時期となるとき、すなわち、ボルト80と凸部63の壁面63Aとの間の距離L2が「0」となるときであっても、ハウジング40とベーン62とが(L1>L2)なる関係を満たすように構成されているため、区画部41の壁面41Aとベーン62の壁面62Aとが当接することはない。
換言すれば、ハウジング40とベーンロータ60とはそれらの形状について(L4>L3)なる関係が満たされているため、ベーン62が最も区画部41に近接する位置に変位する場合であっても、ベーン62の壁面62Aが区画部41の壁面41Aに当接するよりも前に、凸部63の壁面63Aがボルト80に当接するようになる。従って、ベーン62の壁面62Aが区画部41の壁面41Aに当接することに起因して、スプロケット30に対してボルト80により締結されたハウジング40が予め設定された位相から遅角側にずれることを回避することができる。
同様に、凸部63の壁面63Bがボルト80に当接してバルブタイミングが最進角時期となるため、従って、ベーン62の壁面62Bが区画部41の壁面41Bに当接することに起因して、スプロケット30に対してボルト80により締結されたハウジング40が予め設定された位相から進角側にずれることを回避することができる。
ここで、スプロケット30はチェーン12を介してクランクシャフト11に駆動連結され、更にこのスプロケット30に対してボルト80が螺合されているため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62がボルト80やスプロケット30と当接したとしても、ベーンロータ60とスプロケット30との位相関係が変化することはない。
また、ロック機構90によりバルブタイミングを特定時期に固定する際には、凸部63の壁面63Aがボルト80に当接してバルブタイミングが最遅角時期となっているときをベーンロータ60の基準位相とし、ベーンロータ60を進角側に変化させてロック機構90をロック状態とする。すなわち、上述したようにバルブタイミングの最遅角時期が変化することはないため、ベーンロータ60の基準位相が変化することに起因してロックピン91がロック穴94に円滑に嵌合できない、といった状況に至ることを抑制することができる。
本実施形態の内燃機関のバルブタイミング可変装置によれば以下の効果を奏することができる。
(1)凸部63の遅角側の壁面63Aがボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期となるとともに、凸部63の進角側の壁面63Bがボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最進角時期となる構成とした。このため、ベーン62が揺動する場合であっても、凸部63に対向する区画部41の遅角側の壁面41A及び進角側の壁面41Bとベーン62とが当接することはない。一方、スプロケット30はクランクシャフト11に駆動連結され、更にこのスプロケット30に対してボルト80が螺合されているため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62がボルト80やスプロケット30と当接したとしても、ベーンロータ60とスプロケット30との位相関係が変化することはない。従って、ハウジング40が予め設定された位相からずれることがなく、最遅角時期及び最進角時期が予め設定された時期から変動してしまうことを回避することができる。
(1)凸部63の遅角側の壁面63Aがボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期となるとともに、凸部63の進角側の壁面63Bがボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最進角時期となる構成とした。このため、ベーン62が揺動する場合であっても、凸部63に対向する区画部41の遅角側の壁面41A及び進角側の壁面41Bとベーン62とが当接することはない。一方、スプロケット30はクランクシャフト11に駆動連結され、更にこのスプロケット30に対してボルト80が螺合されているため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62がボルト80やスプロケット30と当接したとしても、ベーンロータ60とスプロケット30との位相関係が変化することはない。従って、ハウジング40が予め設定された位相からずれることがなく、最遅角時期及び最進角時期が予め設定された時期から変動してしまうことを回避することができる。
(2)吸気バルブのバルブタイミングを変更する可変機構20を備えたバルブタイミング可変装置とした。すなわち、吸気バルブのバルブタイミングにおける最進角時期や最遅角時期がベーン62の揺動に伴って変化してしまうことがなく、そうした変化によって機関出力が低下してしまう等、吸気流入態様が本来とは異なる状態になることに起因する悪影響を回避することができるようになる。
(3)スプロケット30とハウジング40とを締結するボルト80にベーン62を当接させるようにした。すなわち、スプロケット30とハウジング40とを締結する機能の他、バルブタイミングの可変領域を規定する機能をボルト80に持たせることができる。
(4)区画部41の基端側の半分を径方向において全体にわたり切り欠くことにより凹部47を形成するとともに、ベーン62の先端側の半分を径方向において全体にわたり切り欠くことにより凸部63を形成した。このため、区画部41及びベーン62を部分的に切り欠くことによりそれぞれ凹部47及び凸部63を形成する場合と比較して、より少ない加工工程及び加工時間でそれらを形成することができる。
(5)凹部47はボルト80が貫通孔45から部分的に露呈するように形成されるため、凹部47においてボルト80の全体が完全に露呈している構成と比較して、ボルト80の締結力によってハウジング40に変形が生じること抑制することができる。
(6)ベーンロータ60が進角側及び遅角側のいずれの方向に回動した場合であっても、そのベーン62がボルト80と当接することでバルブタイミングの最進角時期及び最遅角時期が決定される構成を採用した。このため、バルブタイミングが最遅角時期となっているときのベーンロータ60の相対回転位相(基準位相)が変動することがない。従って、この基準位相から所定位相だけベーンロータ60を変化させることにより、ロックピン91とロック穴94とが嵌合可能な状態となるため、ロックピン91がロック穴94に円滑に嵌合しない状況に至ることを抑制することができる。
(7)ベーン62の遅角側の壁面がこの壁面に対向する区画部41の壁面に当接することを回避するためにベーン62に形成される凸部63と、ベーン62の進角側の壁面がこの壁面に対向する区画部41の壁面に当接することを回避するためにベーン62に形成される凸部63とをそれぞれ別々のベーン62に形成するようにした。このため、1つのベーン62の遅角側及び進角側の壁面にそれぞれ凸部63が形成されるものに比べて、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングが最遅角時期又は最進角時期となる際にこれらが当接することに起因して、ベーン62とボス61とが接する部分に繰返し応力が生じることによる繰返し疲労、更にはそれに起因する疲労破壊の発生を回避することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示す態様をもって実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示す態様をもって実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施形態では、区画部41の基端側の半分を切り欠いて凹部47を形成するとともに、ベーン62の先端側の半分を切り欠いて凸部63を形成したが、区画部41及びベーン62を切り欠く部分はこれに限られない。例えば、区画部41の先端側の半分を切り欠くことにより、その基端側に凸部を形成するとともに、ベーン62の基端側の半分を切り欠くことにより凹部を形成することもできる。この場合には、ボルト80は、区画部41の基端側の半分を締結するとともに、その先端側の半分は、ボルト80の進角側に位置する一部分を露呈させる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、区画部41をその径方向において全体にわたり切り欠いて凹部47を形成するとともに、ベーン62をその径方向において全体にわたり切り欠いて凸部63を形成するようにしたが、凹部47及び凸部63の形状はこれに限られない。例えば、ベーン62に径方向においてベーン62の長さよりも短い長さの凸部140を形成するとともに、区画部41に凸部140を嵌めることが可能となる程度の長さを切り欠いて凹部130を形成することもできる。こうした構成について、図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は、可変機構20からカバー50を取り外した状態の同機構20の平面構造の一部を示し、図6(a)は、図5の領域Cの断面構造を示す一部破断断面図であり、(b)は図5の領域Dの断面構造を示す一部破断断面図である。
図5及び図6(a)に示されるように、区画部41は、周方向においてボルト80と同一周上の部分に、ボルト80の径方向における長さよりもわずかかに長い長さ、且つ軸方向における基端側の半分の部分が切り欠かれた凹部130が形成されている。
図5及び図6(b)に示されるように、ベーン62は、周方向においてボルト80と同一周上の部分に、凹部130の径方向における長さよりもわずかかに短い長さ、且つ軸方向における先端側の半分の部分が切り欠かれた凸部140が形成されている。
このように形成された区画部41及びベーン62にあっては、ベーンロータ60が遅角側に変位し続けると、ベーン62の凸部140がハウジング40の凹部130に嵌まった後、凸部140の壁面140Aがボルト80に当接することにより、バルブタイミングが最遅角時期となる。
同様に、可変機構20は、ベーン62の凸部140がボルト80に当接してバルブタイミングが最進角時期となるように構成されているため、ベーン62がハウジング40に当接することにより、ハウジング40が進角側にずれることを回避することができる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(3)及び(5)〜(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、3つのベーン62のうち、ベーン62の遅角側の壁面62Aと、これに対向する区画部41の壁面41Aとの間の距離が最も短くなるベーン62のみに凸部63を形成するとともに、凸部63に対向する区画部41に凹部47を形成した。同様に、ベーン62の進角側の壁面62Bと、これに対向する区画部41の壁面41Bとの間の距離が最も短くなるベーン62のみに凸部63を形成したが、凸部63及び凹部47を形成するベーン62の数はこれに限れられない。例えば、上記実施形態において、凸部63及び凹部47を設けたベーン62及び区画部41以外のベーン62及び区画部41の全てにそれぞれ凸部63及び凹部47を形成することもできる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(6)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、3つのベーン62のうち、バルブタイミングが最遅角時期となるときにボルト80に当接する凸部63と、バルブタイミングが最進角時期となるときにボルト80に当接する凸部63とをそれぞれ別々のベーン62に形成するようにしたが、凸部63を形成するベーン62はこれに限られない。すなわち、1つのベーン62にバルブタイミングが最遅角時期及び最進角時期となるときにボルト80に当接する凸部63を形成することもできる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(6)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、可変機構20として、バルブタイミングを最遅角時期と最進角時期との間にある特定時期に固定するロック機構90を備えるものを採用したが、ロック機構90により固定されるバルブタイミングは特定時期に限られるものではない。例えば、バルブタイミングを最遅角時期に固定するロック機構とすることもできる。また、バルブタイミングを最進角時期に固定するロック機構とすることもできる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(5)及び(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、バルブタイミングを最遅角時期と最進角時期との間にある特定時期に固定するロック機構90を備えるバルブタイミング可変装置に対して本発明を適用したが、ロック機構を備えない可変機構に対しても本発明を適用することができる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(5)及び(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態のロック機構90は、ベーン62に設けられるロックピン91がロックばね93の弾性力によりスプロケット30に向けて突出して、同スプロケット30に設けられるロック穴94に嵌合することによりバルブタイミングが特定時期に固定される構成としたが、これを次のように変更することもできる。すなわち、スプロケット30にロックピン91が径方向に往復動可能に設けるとともに、ベーン62には径方向に凹設されたロック穴94を形成し、これらを嵌脱するようにしたロック機構90を採用することもできる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、バルブタイミングが最遅角時期となっているときをベーンロータ60の基準位相とし、ベーンロータ60を基準位相から所定位相だけ変化させた後にロックピン91をロック穴94に嵌合させるロック機構90としたが、バルブタイミングが最進角時期となっているときをベーンロータ60の基準位相とし、ベーンロータ60を基準位相から所定位相だけ変化させた後にロックピン91をロック穴94に嵌合させるロック機構90とすることもできる。こうした構成であっても、上述した(1)〜(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、吸気バルブのバルブタイミングを変更する可変機構20に対して本発明を適用したが、排気バルブのバルブタイミングを変更する可変機構に対しても上記実施形態に準じた態様をもって、本発明を適用することはできる。
例えば、ベーン62の凸部63がボルト80に当接したときにはじめて排気バルブのバルブタイミングが最進角時期となる構成とする。こうした構成にあっては、上述した(1)及び(3)〜(7)に加えて、以下の効果を奏することができる。
すなわち、排気バルブのバルブタイミングにおける最進角時期や最遅角時期がベーン62の揺動に伴って変化してしまうことがなく、そうした変化によって排気性状が悪化してしまう等、排気の排出態様が本来とは異なる状態になることに起因する悪影響を回避することができるようになる。
・上記実施形態では、吸気バルブのバルブタイミングを変更する可変機構20を備えたバルブタイミング可変装置に対して本発明を適用したが、吸気バルブのバルブタイミングを変更する吸気側可変機構及び排気バルブバルブタイミングを変更する排気側可変機構を各別に備えるバルブタイミング可変装置に対して本発明を適用することができる。
例えば、吸気側可変機構について、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最遅角時期とするとともに、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最進角時期とするものとする。また、排気側可変機構について、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最進角時期とするとともに、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最遅角時期とする。こうした構成にあっては、上述した(1)及び(3)〜(7)に加えて、以下の効果を奏することができる。
すなわち、吸気側可変機構においてはベーン62がボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期となるため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62が揺動する場合であっても、区画部41の壁面41Aとベーン62とが当接しないため、こうした当接により、ハウジング40が予め設定された位相から遅角側に変化することを回避することができる。また、排気側可変機構においてもベーン62がボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最進角時期となるため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62が揺動する場合であっても、区画部41の壁面41Bとベーン62とが当接しないため、こうした当接により、ハウジング40が予め設定された位相から進角側に変化することを回避することができる。このため、吸気バルブのバルブタイミングを予め設定された最進角時期まで進角させることができる一方、排気バルブのバルブタイミングを予め設定された最遅角時期まで遅角させることができる。その結果、バルブオーバーラップの最大値を予め定められた値に維持することができ、ポンピングロスの低減、ひいては燃費の向上を図ることが可能になる。
・また、吸気側可変機構について、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最進角時期とするとともに、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最遅角時期とするものとする。また、排気側可変機構について、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最遅角時期とするとともに、ベーン62の凸部63がボルト80に当接してバルブタイミングを最進角時期とする。こうした構成にあっては、上述した(1)及び(3)〜(7)に加えて、以下の効果を奏することができる。
すなわち、吸気側可変機構においてはベーン62がボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最進角時期となるため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62が揺動する場合であっても、区画部41の壁面41Bとベーン62とが当接しないため、こうした当接により、ハウジング40が予め設定された位相から進角側に変化することはない。また、排気側可変機構においてはベーン62がボルト80に当接したときにはじめてバルブタイミングが最遅角時期となるため、ベーンロータ60の回動に伴ってベーン62が揺動する場合であっても、区画部41の壁面41Aとベーン62とが当接しないため、こうした当接により、ハウジング40が予め設定された位相から遅角側に変化することを回避することができる。このため、吸気バルブのバルブタイミングを予め設定された最遅角時期まで遅角させることができる一方、排気バルブのバルブタイミングを予め設定された最進角時期まで進角させることができる。その結果、バルブオーバーラップの最小値を予め定められた値に維持することができ、冷間低負荷時等、燃焼状態が不安定になる傾向があるときであっても排気の吹き返しを抑制して安定した燃焼状態を確保することが可能となる。
・上記実施形態では、ベーン62がハウジング40に当接することを抑制すべく、ベーン62の凸部63をボルト80に当接させる構成としたが、ベーン62を当接させる部材はこれに限られない。例えば、スプロケット30に圧入される圧入ピン150にベーン62を当接させることもできる。こうした構成について、図7を参照して説明する。なお、図7(a)は、可変機構20からカバー50を取り外した状態の同機構20の平面構造の一部を示し、図7(b)及び(c)は、図7(a)のDC−DC線に沿う断面構造を平面上に展開してこれを模式的に示している。
図7(a)及び(b)に示されるように、スプロケット30には、周方向において区画部41よりも進角側にあり、且つスプロケット30から先端側に向けて突出する圧入ピン150が圧入されている。
ここで、ベーンロータ60が遅角側に回動して、ベーン62が図7(c)に示される位置まで変位すると、ベーン62の壁面62Aが圧入ピン150に当接して、ベーンロータ60の回動が規制されることにより、バルブタイミングが最遅角時期となる。このように、ベーン62の壁面62Aが区画部41の壁面41Aに当接するより前に、圧入ピン150に当接するようになるため、ハウジング40にベーン62が当接することに起因してハウジング40が遅角側にずれることを回避することができる。
同様に、スプロケット30に区画部41よりも遅角側に圧入ピン150を設けることにより、ハウジング40にベーン62が当接することに起因してハウジング40が進角側にずれることを回避することができる。こうした構成であっても、上述した(1)及び(2)及び(6)及び(7)の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、ベーン62がハウジング40に当接することを回避すべく、ベーン62の凸部63をボルト80に当接させる構成としたが、ベーン62を当接させる部材はこれに限られない。例えば、スプロケット30に形成される凸条160にベーン62を当接させることもできる。こうした構成について、図8を参照して説明する。なお、図8(a)は、可変機構20からカバー50を取り外した状態の同機構20の平面構造の一部を示し、図8(b)及び(c)は、図8(a)のDD−DD線に沿う断面構造を平面上に展開してこれを模式的に示している。
図8(a)及び(b)に示されるように、スプロケット30には、周方向において区画部41よりも進角側且つスプロケット30から先端側に向けて隆起する凸条160が形成されている。
ベーンロータ60が遅角側に変位し続けて、ベーン62が図8(c)に示される位置まで変位すると、ベーン62の壁面62Aが凸条160に当接して、ベーンロータ60の回動が規制されることにより、バルブタイミングが最遅角時期となる。このように、ベーン62の壁面62Aが区画部41の壁面41Aに当接するより前に、凸条160に当接するようになるため、ハウジング40にベーン62が当接することに起因してハウジング40が遅角側にずれることを回避することができる。
同様に、スプロケット30に区画部41よりも遅角側に凸条160を設けることにより、ハウジング40にベーン62が当接することに起因してハウジング40が進角側にずれることを回避することができる。こうした構成であっても、上述した(1)及び(2)及び(6)及び(7)の作用効果を奏することができる。
10…内燃機関、11…クランクシャフト、12…チェーン、13…カムシャフト、20…可変機構、30…スプロケット(第1の回転体)、40…ハウジング(第3の回転体)、41…区画部、42…収容室、45…貫通孔、47…凹部、60…ベーンロータ(第2の回転体)、62…ベーン、63…凸部、63A…壁面、70…センターボルト、80…ボルト、90…ロック機構、91…ロックピン、94…ロック穴。
Claims (6)
- 同一の回転軸を中心に回転する回転体として、クランクシャフトに駆動連結される第1の回転体と、前記回転軸の径方向に延伸する複数のベーンを有してカムシャフトと一体に回転する第2の回転体と、前記回転軸に沿って伸びる貫通孔を有し前記第1の回転体に螺合されるボルトが同貫通孔に挿入されることにより前記第1の回転体と締結されて前記ベーンを収容する収容室を同第1の回転体とともに区画形成する第3の回転体とを含み、作動油供給機構から前記収容室に供給される作動油の油圧に基づいて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回転位相を変更することにより前記カムシャフトにより開閉駆動される吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミングを変更する可変機構を備えた内燃機関のバルブタイミング可変装置において、
前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものである
ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング可変装置。 - 前記可変機構は吸気バルブのバルブタイミングを変更する吸気側可変機構と排気バルブのバルブタイミングを変更する排気側可変機構とを各別に備え、
前記吸気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより吸気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期とするものであり、
前記排気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより排気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最進角時期とするものである
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置。 - 前記可変機構は吸気バルブのバルブタイミングを変更する吸気側可変機構と排気バルブのバルブタイミングを変更する排気側可変機構とを各別に備え、
前記吸気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより吸気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最進角時期とするものであり、
前記排気側可変機構はその複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対回動を規制することにより排気バルブのバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期とするものである
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置。 - 前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルトに当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものであり、
前記ベーンには前記収容室を区画形成する前記第3の回転体の壁面に対向する壁面に前記ボルトに当接する凸部が形成される一方、同第3の回転体の前記壁面には前記凸部を嵌めることが可能であって同凸部側に前記ボルトが露呈する態様にて凹部が形成される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置。 - 前記貫通孔は、前記第3の回転体の前記凹部が形成されない部分において前記回転軸の軸方向の全体にわたり形成されるものであり、
前記凹部は前記貫通孔を画成する前記第3の回転体の内壁を切り欠く態様にて前記ボルトを前記第3の回転体から部分的に露呈させるように形成される
ことを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング可変装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング可変装置において、
前記可変機構は前記第1及び第2の回転体の相対回動を規制して最遅角時期又は最進角時期を基準時期として最遅角時期又は最進角時期を含めそれらの間の所定時期にバルブタイミングを固定するロック機構を備え、
前記可変機構は前記複数のベーンのうち少なくとも1つを前記ボルト及び前記第1の回転体のいずれか一方に当接させて前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の相対的な回動を規制することによりバルブタイミングをその可変領域における最遅角時期又は最進角時期とするものである
ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング可変装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010131503A JP2011256772A (ja) | 2010-06-08 | 2010-06-08 | 内燃機関のバルブタイミング可変装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010131503A JP2011256772A (ja) | 2010-06-08 | 2010-06-08 | 内燃機関のバルブタイミング可変装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011256772A true JP2011256772A (ja) | 2011-12-22 |
Family
ID=45473217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010131503A Pending JP2011256772A (ja) | 2010-06-08 | 2010-06-08 | 内燃機関のバルブタイミング可変装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011256772A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102013003556A1 (de) | 2012-03-02 | 2013-09-05 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable-ventil-zeit-steuervorrichtung |
JP2013209976A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-10-10 | Aisin Seiki Co Ltd | 弁開閉時期制御装置 |
JP2013209977A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-10-10 | Aisin Seiki Co Ltd | 弁開閉時期制御装置 |
CN104153838A (zh) * | 2013-05-14 | 2014-11-19 | 株式会社电装 | 气门正时控制装置 |
EP2881620A1 (en) | 2013-07-31 | 2015-06-10 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable Valve Timing Control Apparatus |
EP2891773A1 (en) | 2013-08-26 | 2015-07-08 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable valve timing control apparatus |
US9903235B2 (en) | 2014-08-29 | 2018-02-27 | Aisin Seiko Kabushiki Kaisha | Valve timing control apparatus |
-
2010
- 2010-06-08 JP JP2010131503A patent/JP2011256772A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017101682A (ja) * | 2012-03-02 | 2017-06-08 | アイシン精機株式会社 | 弁開閉時期制御装置 |
JP2013209976A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-10-10 | Aisin Seiki Co Ltd | 弁開閉時期制御装置 |
JP2013209977A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-10-10 | Aisin Seiki Co Ltd | 弁開閉時期制御装置 |
US8915222B2 (en) | 2012-03-02 | 2014-12-23 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable valve timing control apparatus |
DE102013003556A1 (de) | 2012-03-02 | 2013-09-05 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable-ventil-zeit-steuervorrichtung |
DE102013003556B4 (de) * | 2012-03-02 | 2021-03-04 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable-Ventil-Zeit-Steuervorrichtung |
CN104153838A (zh) * | 2013-05-14 | 2014-11-19 | 株式会社电装 | 气门正时控制装置 |
JP2014222061A (ja) * | 2013-05-14 | 2014-11-27 | 株式会社デンソー | バルブタイミング調整装置 |
US9260985B2 (en) | 2013-05-14 | 2016-02-16 | Denso Corporation | Valve timing control apparatus |
EP2881620A1 (en) | 2013-07-31 | 2015-06-10 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable Valve Timing Control Apparatus |
US9423011B2 (en) | 2013-07-31 | 2016-08-23 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable valve timing control apparatus |
US9574681B2 (en) | 2013-08-26 | 2017-02-21 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable valve timing control apparatus |
DE202014010674U1 (de) | 2013-08-26 | 2016-04-06 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable Ventilzeitsteuereinrichtung |
EP2891773A1 (en) | 2013-08-26 | 2015-07-08 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Variable valve timing control apparatus |
US9903235B2 (en) | 2014-08-29 | 2018-02-27 | Aisin Seiko Kabushiki Kaisha | Valve timing control apparatus |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9032923B2 (en) | Internal combustion engine with variable valve device | |
JP2011256772A (ja) | 内燃機関のバルブタイミング可変装置 | |
JP4296718B2 (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JP5739168B2 (ja) | 内燃機関のバルブタイミング制御装置 | |
JP2005061261A (ja) | 内燃機関の可変動弁装置 | |
JP2007009705A (ja) | エンジンの制御装置 | |
US9188030B2 (en) | Internal combustion engine with variable valve opening characteristics | |
KR101110993B1 (ko) | 내연 기관용 가변 밸브 장치 | |
JP3385929B2 (ja) | 内燃機関のバルブタイミング制御装置 | |
EP1422387B1 (en) | Engine variable valve timing system | |
JP2003286813A (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JP2007056811A (ja) | 内燃機関の給油構造 | |
JP2009209821A (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JP4304878B2 (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JP2013087626A (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JPWO2012086085A1 (ja) | 内燃機関の可変動弁装置 | |
JP2006063921A (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JPH10159515A (ja) | 内燃機関のバルブタイミング制御装置 | |
JP2004239164A (ja) | エンジンの可変動弁装置 | |
JP5322809B2 (ja) | バルブタイミング調整装置 | |
JP5438654B2 (ja) | 内燃機関の油圧駆動式可変動弁装置 | |
JP2012241599A (ja) | 内燃機関の可変動弁装置 | |
JP3344273B2 (ja) | 内燃機関のバルブタイミング制御装置 | |
JP2012002081A (ja) | 内燃機関の可変動弁装置 | |
JP3077633B2 (ja) | 内燃機関のバルブタイミング可変機構 |