JP5786846B2 - ソレノイド - Google Patents
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Description
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動子に作用する磁気吸引力の低下を抑制し、またモールド部材の劣化を抑制することができるソレノイドを提供することである。
したがって、ヨークとモールド部材との間にシール部材を設けることなく、ソレノイド内部の油がモールド部材とボビンとの界面を通じてコイルに浸入することを防止可能である。コイルへの油の浸入を防止することにより、油がコイルからターミナルを通じて電子制御装置に伝わることを回避可能である。
また、溶着突起が通孔よりも外側にあるため、通孔内の油がボビンの第1鍔部とモールド部材との界面を通ってコイルに浸入することを防止可能である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるソレノイドが適用されたバルブタイミング調整装置を図1に示す。バルブタイミング調整装置90は、図示しない内燃機関のクランクシャフトと一体に回転するケース91内の油圧室92に作動油を供給することによって、カムシャフト93と一体に回転するベーンロータ94をケース91に対して相対回動させ、図示しない吸排気バルブの開閉タイミングを調整する。油圧室92には、オイルポンプ95により汲み上げられた作動油が油圧制御弁96を通じて供給される。油圧制御弁96のスプール97は、スリーブ98内で軸方向に往復移動可能に設けられ、スプリング99により軸方向の一方側に付勢されている。ソレノイド10は、スプール97をスプリング99の付勢力に抗して軸方向の他方側に駆動する駆動部である。
ソレノイド10は、可動子15、第1固定子20、第2固定子25、カラー29、ヨーク30、コイル35、ボビン40およびモールド部材50を備えている。
可動子15は、軸状であり、出力ロッド16および可動子コア17から構成されている。可動子コア17は、磁性材料からなり、出力ロッド16に固定されている。
第2固定子25は、磁性材料からなり、出力ロッド16の他端部を軸方向に往復移動可能に支持している支持部26と、環状突部23との間にエアギャップ28を隔てる環状突部27とを形成している。第1固定子20および第2固定子25は、特許請求の範囲に記載の「固定子」を構成している。
モールド部材50は、ヨーク30等をモールドしている本体部51と、コイル35に電気的に接続されたターミナル57を内包しているコネクタ部56と、図1のエンジンカバー89に取り付けるときに用いられるブラケット部58とを形成している。
ボビン40は、コイル35が巻かれた筒状の巻部41、巻部41のうち第1固定子20側の一端部に位置する第1鍔部42、巻部41の他端部に位置する第2鍔部44、および、巻部41の他端部からヨーク30の底部32に向けて軸方向へ突き出す突出部46を形成している。突出部46は、ヨーク30の底部32に当接している。第1鍔部42の先端部は第1溶着突起43を形成し、第2鍔部44の先端部は第2溶着突起45を形成している。
続いて、金型60内部のキャビティに溶融樹脂が充填される。成形機のノズルから射出された溶融樹脂は、ヨーク30の底部32側に位置するゲートから孔33を経由してヨーク30の内側に流れ込む。ヨーク30の内側に流れ込んだ溶融樹脂は、ヨーク30の底部32と第2鍔部44との隙間61、および、ヨーク30の筒部31とコイル35との隙間62を経由して、第1鍔部42の外側の隙間63に流動する。このとき、溶融樹脂は、ボビン40の第1溶着突起43および第2溶着突起45の表層部を溶かしながら流動する。また、金型60のうち、ボビン40の第1鍔部42に向かって軸方向へ突き出すピン64は、ボビン40の第1鍔部42をコイル35とは反対側から押さえ、隙間62から隙間63に向かう溶融樹脂の流れにより第1鍔部42が変形することを抑制する。
続いて、金型60内部に充填された樹脂を冷却して固化させる。このとき、ボビン40の第1溶着突起43および第2溶着突起45は、モールド部材50を形成する樹脂に溶着する。
また、第1溶着突起43が通孔55よりも外側にあるため、通孔55内の作動油がボビン40の第1鍔部42とモールド部材50の第1モールド部52との界面を通ってコイル35に浸入することを防止可能である。
また、第1実施形態では、通孔55は、モールド部材50の第1モールド部52のうち外周部に設けられている。したがって、通孔55を可及的に多く設けることができ、放熱性が向上する。
本発明の第2実施形態によるソレノイドを図8に基づき説明する。
ソレノイド65では、モールド部材50の第1モールド部52は、径方向において第1溶着突起よりも内側で軸方向へ貫通する通孔66を有している。通孔66は、横断面形状が径方向へ延びる長円であり、可動子15の軸心まわりで等角度間隔に複数設けられている。
第2実施形態によれば、通孔66に入り込む作動油にコイルの熱を放熱することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の第3実施形態によるソレノイドを図9に基づき説明する。
ソレノイド70では、モールド部材50の第1モールド部52は、径方向において第1溶着突起よりも内側で軸方向へ貫通する通孔71を有している。通孔71は、横断面形状が周方向へ延びる長円であり、可動子15の軸心まわりで等角度間隔に複数設けられている。
第3実施形態によれば、通孔71に入り込む作動油にコイルの熱を放熱することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の第4実施形態によるソレノイドを図10に基づき説明する。
ソレノイド75では、モールド部材50の第1モールド部52は、径方向において第1溶着突起よりも内側で軸方向へ貫通する通孔76を有している。通孔76は、横断面形状が周方向へ延びる円弧状であり、可動子15の軸心まわりで等角度間隔に複数設けられている。
第4実施形態によれば、通孔76に入り込む作動油にコイルの熱を放熱することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の第5実施形態によるソレノイドを図11に基づき説明する。
ソレノイド80では、モールド部材50の第1モールド部52は、径方向において第1溶着突起よりも内側で軸方向へ貫通する通孔81および通孔82を有している。通孔81は、横断面形状が円であり、第1モールド部52の外周部に設けられるとともに、可動子15の軸心まわりで等角度間隔に複数設けられている。通孔82は、横断面形状が円であり、第1モールド部52の内周部に設けられるとともに、可動子15の軸心まわりで等角度間隔に複数設けられている。
第5実施形態によれば、通孔81および通孔82に入り込む作動油にコイルの熱を放熱することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明の第6実施形態によるソレノイドを図12および図13に基づき説明する。
ソレノイド85では、モールド部材50の第1モールド部86は、径方向において第1溶着突起43よりも内側で軸方向へ貫通する通孔87を有している。通孔87は、可動子15と同軸上に設けられ、直径が第1鍔部42よりも小さく且つ巻部41よりも大きい。
第6実施形態によれば、通孔87に入り込む作動油にコイル35の熱を放熱することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、通孔87の横断面積を可及的に大きくすることができ、放熱性が向上する。
本発明の他の実施形態では、モールド部材の通孔の横断面形状は、円、長穴、および円弧穴に限らず、どのような形状であってもよい。要するに、通孔は、第1溶着突起よりも内側の位置でモールド部材の第1モールド部を軸方向に貫通する孔であればよい。
本発明の他の実施形態では、モールド部材の各通孔は、周方向で等間隔に形成されなくてもよい。また、各通孔の大きさはそれぞれ異なっていてもよい。
本発明の他の実施形態では、モールド部材の通孔は1つであってもよい。
本発明の他の実施形態では、モールド部材は、コイルおよびボビンのみをモールドする部材であってもよい。その際、ハウジングは、ヨークが兼ねてもよいし、ヨークおよびモールド部材とは別に設けられてもよい。
本発明の他の実施形態では、第1固定子および第2固定子は、同一部材から構成されてもよい。第1固定子と第2固定子との間には、磁気抵抗が相対的に低い部分が形成されていればよい。
本発明の他の実施形態では、ソレノイドは、バルブタイミング調整装置の油圧制御弁の駆動部に限らず、往復移動可能な被駆動部材を有する種々の機能品の駆動部として適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
15・・・可動子
20、25・・・固定子
30・・・ヨーク
31・・・筒部
32・・・底部
35・・・コイル
40・・・ボビン
41・・・巻部
42・・・第1鍔部
43・・・溶着突起
44・・・第2鍔部
50・・・モールド部材
55、66、71、76、81、82、87・・・通孔
Claims (5)
- 軸状の可動子(15)と、
前記可動子を軸方向へ往復移動可能に支持している固定子(20、25)と、
前記固定子の径方向外側に位置し当該固定子の一端部に接触する筒部(31)、および、前記固定子の他端部に接触する底部(32)を形成しているヨーク(30)と、
前記ヨークの前記筒部と前記固定子との間に位置している環状のコイル(35)と、
前記コイルが巻かれた筒状の巻部(41)、当該巻部のうち前記底部とは反対側の一端部に位置する第1鍔部(42)、および、前記巻部の他端部に位置する第2鍔部(44)を形成しているボビン(40)と、
前記コイルと前記ボビンの前記第1鍔部および前記第2鍔部とをモールドしているモールド部材(50)と、
を備え、少なくとも前記モールド部材と前記固定子との隙間に油が入り込むソレノイドにおいて、
前記ボビンの前記第1鍔部は、前記モールド部材に溶着している溶着突起(43)を形成し、
前記モールド部材は、径方向において前記溶着突起よりも内側で軸方向へ貫通する通孔(55、66、71、76、81、82、87)を有し、
前記通孔は、一端が前記隙間に向けて開口し、他端が前記第1鍔部に面することで、前記隙間に入り込んだ油を前記第1鍔部に接触させることを特徴とするソレノイド(10、65、70、75、80、85)。 - 前記通孔は、周方向に間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
- 前記通孔は、等角度間隔に複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のソレノイド。
- 前記通孔(55、66、71、76、81、87)は、第一鍔部の外周部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のソレノイド。
- エンジンの吸気バルブまたは排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置(90)に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のソレノイド。
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