JP5783073B2 - ハイドロフォーム加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車部品などに使用される中空部材を、ハイドロフォーム加工によって所定の形状に成形するための方法に関するものである。
ハイドロフォーム加工は、成形用素材として、鋼管やステンレス鋼管、あるいはアルミ管などの中空管状の素材(素材管)を用い、その素材管を金型のキャビティ内にセットして、素材管内に水などの加圧用液体を充填し、素材管内に高圧の液圧を加えると同時に、素材管の両端部からその軸線方向に沿って圧縮(軸押し)して、金型の内面形状に沿った形状に成形する加工法であり、複雑な形状の中空部材を一体に形成することができるため、近年、自動車などの各種部品の製造に適用されるようになっている。
素材管に対してハイドロフォーム加工を行う場合の一般的な状況について、図6を参照して説明する。
図6において、金型1は、上下に分離可能な上型3と下型5によって構成されており、その上型3と下型5との間に成形用空間(キャビティ)7が形成されている。
素材管11は、その長さ方向の中央部分がキャビティ7内に位置するように金型1内に配置され、その素材管11の両端(管端部13A、13B)が金型1の素材管端部支持部位1A、1Bに支持されている。またその素材管11の管端部13A、13Bは、管内の空間を密閉するための管端封止部材15A、15Bによってシールされている。これらの管端封止部材15A、15Bは、単に素材管11を密閉するばかりでなく、素材管11をその軸線方向に沿って圧縮する(軸押しする)ための軸押し部材を兼ねており、その少なくとも一方は、図示しない油圧シリンダなどの軸押し駆動装置に連結されている。またこれらの管端封止部材15A、15Bのうち、一方の管端封止部材15Aには、素材管11内に加圧用液体、例えば水を導入して加圧するための導入路17が形成されており、他方の管端封止部材15Bには、素材管11内の空気を排除するための排出路19が、必要に応じて形成されている。
ハイドロフォーム加工を行うにあたっては、上型3と下型5とを離隔させた状態(金型開放状態)で素材管11を上型3と下型5との間に配置して、管端部13A、13Bを素材管端部支持部位1A、1Bに支持させ、上型3と下型5を閉じて型締めした後、シール部材15A、15Bを素材管11の管端部13A、13Bへ駆動して、その管端部13A、13Bをシールし、素材管11の一端側の導入路17から素材管11内に加圧用液体を導入し(矢印A)、その加圧用液体により素材管11内の空気を排出路19から追い出し(矢印B)ながら、素材管11内を加圧用液体で満たし、引き続き排出路19を閉じて、加圧用液体により素材管11内を高圧に加圧し、同時に軸押し部材を兼ねた管端封止部材15A、15Bによって、素材管11にその軸線方向に沿った荷重(矢印C、E)を加えて圧縮する。これによって素材管11が塑性変形して、キャビティ7の内面に沿った形状に成形される。
なお、排出路19を設けない場合は、素材管11とシール部材15A、15Bに間隙を持たせた状態で加圧用液体を導入し、この間隙から空気を十分に追い出した後、シール部材15A、15Bを管軸方向に移動して間隙を閉じる。
ここで、管端封止部材15A、15Bは、液圧印加・軸押し時には、加圧用液体が漏洩しないように、確実に素材管11の両端を密閉しておく必要がある。すなわち、管端封止部材15A、15Bによるシールが不充分で、管端封止部材15A、15Bの周囲と素材管11の端部との間で加圧用液体が漏洩した場合、素材管11の内側に高圧の液圧が充分に作用せず、そのため素材が塑性変形に至らず、その結果、金型内面に沿った形状に成形できずに、成形不良が発生してしまう。
従来一般のハイドロフォーム加工における素材管両端のシール方法としては、いくつかの方法が採用されており、その代表的な三つの例を、素材管11の一端側の管端部13A及びそれをシールするための一方の管端封止部材15Aについて、図7〜図9にそれぞれ示す。
図7に示す例においては、管端封止部材15Aは、大径の円柱状をなす基体部20の軸方向の一端側から、同一軸線上において突出する小径の円柱状の挿入用突出部22を一体に形成し、さらに大径の基体部20と小径の突出部22との境界の段差面26に、階段状をなす中間径の階段状突起部28を形成した構成とされている。そしてその管端封止部材15Aの突出部22を素材管11の管端部13Aに挿入するに当たって、管端封止部材15Aを加圧して、階段状突起部28を、管端部13Aの端面に押し当てて塑性変形させ、これにより階段状突起部28を素材に密着させて、シールするものである(例えば特許文献1の図10の(c)、特許文献2の図13(c)参照)。
また図8に示す例においては、管端封止部材15Aは、前記同様な大径の基体部20と小径の挿入用突出部22との境界の段差面26に、環状突起部30を形成した構成としている。そして管端封止部材15Aの挿入用突出部22を素材管11の管端部13Aに挿入するに当たって、環状突起部30を、管端封止部材15Aに与える加圧力によって素材管11の端面に押し当てて食い込ませ、シールするものである(例えば特許文献3の第1図もしくは第4図、特許文献2の図13(b)など)。
これらの図7に示す方法や、図8に示す方法では、簡単かつ安価に管端部をシールすることができるが、図7に示す例の場合、シール時に階段状突起部28によって素材管11の端面を塑性変形させるところから、成形後の製品(成形品)の端面に変形部分がそのまま残り、外観品質や内面精度に劣ってしまう問題がある。そのため通常は、変形した端面付近の部分を切断除去せざるを得ず、その場合には材料歩留まりが低くなってしまう問題が生じる。また図8に示した例の場合も、成形品の端面に、環状突起部30が食い込んだ凹部が残り、この場合も、外観や内面精度の点から、成形後に成形品の端面付近を切断、除去せざるを得ないことが多く、やはり材料歩留まりの点で問題があった。
さらに、図7や図8に示す方法では、管端封止部材15Aの段差面26に微細な突起部(階段状突起部28もしくは環状突起部30)を形成させる微細な加工が必要となり、そのため管端封止部材の製造コストがかさみ、また微細に加工された突起部が、シール時に加えられる加圧力によって欠損してしまうことも多く、その場合には加圧用液体の漏洩が生じて成形不良が発生してしまう危険性があり、またこのような欠損が頻繁に生じれば、管端封止部材の交換頻度も高くなり、これらの結果として、コストアップを招かざるを得なかったのが実情である。
なお、図7に示す方法では、管端封止部材15Aの挿入用突出部22と金型1の内面との間に挟まれた素材管端部13Aの端面を確実に変形させてシールするためには、管端部13Aの外周面が金型1の内面に密着すると同時に、管端部13Aの内周面が管端封止部材15Aの挿入用突出部22の外周面に密着していることが必要とされる。また図8の例の場合も、管端部13Aの端面に環状突起部30を確実に食い込ませるためには、管端部13Aの外周面が金型1の内面に密着すると同時に、管端部13Aの内周面が管端封止部材15Aの挿入用突出部22の外周面に密着していることが必要とされる。
一方、図9に示す例では、管端封止部材15Aは、大径の円柱状をなす基体部20の軸方向の一端側の面から、同一軸線上において突出する小径の円柱状の挿入用突出部22を一体に形成した構成とされている。そして、挿入用突出部22の外周面と管端部13Aの内周面との間にゴムなどからなるOリング24を介在させた状態で、小径の挿入用突出部22を管端部13Aにその開口端側から挿入し、Oリング24によって、突出部22の外周面と管端部13Aの内周面との間をシールすることとしている(例えば特許文献1の図9、特許文献2の図13(d)、特許文献3の第5図など参照)。
このようなOリングによるシール方法は、簡単かつ確実にシールすることができるが、管端部13Aの内周面とOリング24がシール毎に摺動するため、Oリング24の耐久性に問題が生じ、頻繁にOリングを交換しなければならなくなる。また、成形の途中でOリング24が切断した場合、その時点で加圧用液体を加圧できなくなり、成形不良となって成形品を廃棄しなければならなくなる、という問題もあった。
特開2006−255726号公報 特開2004−202571号公報 特開平2−229626号公報
本発明は、前記事情を背景としてなされたもので、ハイドロフォーム加工において素材管の端部をシールするに当たって、高圧を加えて複雑な形状に加工する場合などにおいても、加圧用液体の漏洩が生じないように確実にシールすることができると同時に、成形品の外観不良を招くおそれが少なく、しかも管端封止部材について素材管に当接する部分の微細加工を不要として、管端封止部材の加工コストの上昇を招いたり、微細加工部分の欠損による問題が生じたりしないようにしたハイドロフォーム加工方法を提供することを課題としている。
本発明者は、上述の課題を解決するため、種々実験・検討を重ねた結果、管端封止部材における突出部(素材管の管端部に挿入される部分)の外周面と素材管の管端部内周面との間に、積極的にクリアランスを持たせておけば、管端封止部材の突出部を素材管の管端部に挿入して管端封止部材の段差面を素材管の端面に押し当て、さらに軸線方向に加圧することによって、素材管の管端部をその内面側(クリアランスの側)に塑性変形させて、管端封止部材の突出部の外周面に密着させることができ、これによって確実にシールすることが可能となることを見出した。またその場合、管端の外観や内面の不良の発生を回避して、材料歩留まりの向上を図ることができ、さらに、管端封止部材における素材管に当接する部分に、微細な突起などの微細加工部分を必要としないため、管端封止部材の加工コストの低減を図り得るのみならず、微細加工部分の折損による交換頻度の上昇やコストアップを回避し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
したがって本発明の要旨とするところは、下記の通りである。
すなわち、
(1)中空管状をなす素材管を金型内に配置して、その素材管の両端部を、軸押し部材を兼ねる管端封止部材によりシールして、素材管の内側空間に液圧を加えるとともに、素材管の両端部からその軸線に沿った方向に加圧して、素材管を金型のキャビティ内面に沿った形状に成形するハイドロフォーム加工方法において、
前記管端封止部材として、外径が素材管の外径に等しい基体部と、その基体部から突出するとともに、少なくとも一部の領域の外径が素材管の管端部の内径より小さく、しかも最大外径が素材管の管端部の内径を超えない挿入用突出部と、前記基体部の外周面と挿入用突出部の外周面との間に形成された、前記素材管の軸線方向に対して直交する平面に沿う段差面とを有する段差面とを有する封止部材を用い、
素材管内に成形のための液圧を加える以前の段階で、前記管端封止部材の突出部を素材管の管端部内に挿入するとともに、前記段差面を素材管管端部の端面に当接させ、かつ素材管を、その管端部の外周面が金型の素材管端部支持部位の内面に接するように金型内に配置した状態で、管端封止部材を介して管端部の端面に軸線方向に沿う加圧力を与え、これにより、前記挿入用突出部の前記領域の外周面と素材管管端部の内周面との間の空間内において、素材管の管端部の少なくとも一部の肉厚の増大により素材管の管端部内周面の少なくとも一部が隆起するように、素材管管端部を塑性変形させ、その隆起部分を挿入用突出部の前記領域の外周面に密着させることによって管端部を封止した後、素材管内に成形のための液圧を加えるとともに、素材管に軸線方向に沿った加圧力を加えることを特徴とするハイドロフォーム加工方法、
(2)前記管端封止部材として、前記挿入用突出部の外径が、その挿入用突出部の基端部分から先端部分まで、素材管の管端部の内径より小さい均一な径とされたものを用いることを特徴とする(1)のハイドロフォーム加工方法、
(3)前記管端封止部材として、前記挿入用突出部の外径が、その挿入用突出部の先端部分では素材管の管端部の内径と実質的に同一の径とされるとともに、先端部分を除く基端部分では、素材管の管端部の内径より小さい径とされたものを用い、素材管の成型後に管端封止部材の挿入用突出部を素材管の管端部からその軸線方向に沿って引き抜くことにより、挿入用突出部の先端部分によって前記隆起部分に塑性変形もしくはせん断を与え、これにより管端部の内周面を実質的に面一にすることを特徴とする(1)のハイドロフォーム加工方法、
(4)前記管端封止部材として、前記挿入用突出部の外径が、その挿入用突出部の先端部分および基端部分では素材管の管端部の内径と実質的に同一の径とされるとともに、前記先端部分と基端部分の中間の部分では、素材管の管端部の内径より小さい径とされたものを用い、素材管の成型後に管端封止部材の挿入用突出部を素材管の管端部からその軸線方向に沿って引き抜くことにより、挿入用突出部の先端部分によって前記隆起部分に塑性変形もしくはせん断を与え、これにより管端部の内周面を実質的に面一にすることを特徴とする請求項1に記載のハイドロフォーム加工方法、
にある。
本発明によれば、管端封止部材における突出部を素材管の管端部の挿入した状態で、管端封止部材の突出部の少なくとも一部の領域の外周面と素材管の管端部内周面との間に、積極的に空間(クリアランス)が与えられるように管端封止部材の突出部の外径を設定しておくことより、管端封止部材の突出部を素材管の管端部に挿入して管端封止部材の段差面を素材管の端面に押し当て、さらに管端封止部材を軸線方向に加圧した段階で、素材管の管端部の少なくとも一部を、その内面側が隆起するように塑性変形させることができ、さらにその隆起部分を、管端封止部材の突出部の前記領域の外周面に密着させることによって、管端部を確実にシールすることが可能となった。またその場合、管端部は内面側のみに変形することから、管端部の外観不良の発生を回避して、材料歩留まりの向上を図ることが可能となる。さらに管端封止部材における素材管に当接する部分(段差面)に突起などの微細な加工部分を必要としないため、素材管の封止部材と当接する部分が平滑となって寸法精度が良好となり、また管端封止部材の加工コストの低減を図ることができ、さらに使用中における微細加工部分の折損により加圧用液体の漏洩が生じて成形不良が発生する危険を回避できるとともに、管端封止部材の交換頻度の上昇によるコストアップを回避することができる。
したがって本発明によれば、複雑な形状の中空成形品を確実かつ安定して製造できるため、自動車・建設機械など、複雑な形状の成形部品が要求される分野でその工業的意義は大きい。
本発明のハイドロフォーム加工方法の第1の実施形態について、素材管の管端部と管端封止部材との関係を示す図で、管端封止部材の段差面を素材管の端面に当接させた段階における模式的な断面図である。 前記第1の実施形態について、管端封止部材に加圧力を加えて素材管の管端部を変形させたシール段階を示す模式的な断面図である。 本発明のハイドロフォーム加工方法の第2の実施形態について、素材管の管端部と管端封止部材との関係を示す図で、管端封止部材の段差面を素材管の端面に当接させた段階における模式的な断面図である。 前記第2の実施形態について、管端封止部材に加圧力を加えて素材管の管端部を変形させたシール段階を示す模式的な断面図である。 前記第2の実施形態について、管端封止部材を素材管の管端部から引き抜く過程での状況を示す模式的な断面図である。 図2Aの要部を拡大して示す模式的な断面図である。 本発明のハイドロフォーム加工方法の第3の実施形態について、素材管の管端部と管端封止部材との関係を示す図で、管端封止部材の段差面を素材管の端面に当接させた段階における模式的な断面図である。 前記第3の実施形態について、管端封止部材に加圧力を加えて素材管の管端部を変形させたシール段階を示す模式的な断面図である。 前記第3の実施形態について、管端封止部材を素材管の管端部から引き抜く過程での状況を示す模式的な断面図である。 図4Aの要部を拡大して示す模式的な断面図である。 一般的なハイドロフォーム加工方法を実施している状況の一例を示す模式的な断面図である。 従来のハイドロフォーム加工方法における管端シール手段の第1の例を示す模式的な断面図である。 従来のハイドロフォーム加工方法における管端シール手段の第2の例を示す模式的な断面図である。 従来のハイドロフォーム加工方法における管端シール手段の第3の例を示す模式的な断面図である。
次に本発明について詳細に説明する。
図1A,図1Bには、本発明の第1の実施形態として、ハイドロフォーム加工における管端シールの状況を示す。なおハイドロフォーム加工における全体的な構成は、既に説明した図6に示したものと同様であり、図1A、図1Bにおいて、図6に示した要素と同一の要素については図6と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
素材管11にハイドロフォーム加工を実施するにあたっては、図6に示したように、その素材管11の両端(管端部13A、13B)に、予め、軸押し部材を兼ねた管端封止部材15A、15Bを取り付けておく。管端封止部材15A、15Bのうち、一方の管端封止部材15Aには、液圧付与のための液体を導入する導入路17が形成されており、他方の管端封止部材15Bには、排出路19が形成されている。これらの管端封止部材15A、15Bのうち、一方の管端封止部材15Aと、それに対応する素材管11の管端部13Aの部分の状況を、図1A、図1Bに拡大して示しており、これについて、次に詳細に説明する。
管端封止部材15Aは、図1A、図1Bに示すように、外径Dを有する大径の円柱状をなす基体部20と、相対的に小径の外径Dの円柱状をなす挿入用突出部22とを、炭素鋼やダイス鋼などの硬質金属によって一体に形成したものである。ここで、挿入用突出部22は、基体部20の軸線と同一軸線上において、基体部20の端面(段差面26に相当)から突出するように形成されている。そして基体部20の外周面と挿入用突出部22の外周面との間には、軸線方向に対して直交する平面に沿う段差面26が形成されている。
前記管端封止部材15Aの基体部20は、その外径Dが、金型1(上型3及び下型5)における素材管支持部位1Aの内径(型締め時の内径)および素材管11の管端部13Aの外径Dと実質的に同径となるように定められている。一方、挿入用突出部22は、その外径Dが、素材管11の管端部13Aの内径Dよりも若干小さい径となるように定められている。したがって、管端封止部材15Aの挿入用突出部22を素材管11の管端部13Aに挿入して、金型1を型締めした状態では、図1Aに示しているように、金型1の素材管端部支持部位1Aの内面に、管端封止部材15Aの基体部20の一部(段差面26に近い部分)の外周面と、素材管11の管端部13Aの外周面とが密着すると同時に、管端封止部材15Aの挿入用突出部22の外周面と管端部13Aの内周面との間に、クリアランス(空間)32が存在することになる。このクリアランス32の寸法(間隔)Sは、
=(D−D)/2
となる。
上述のような管端封止部材15Aを用いて、素材管11の管端部13A,13Bを封止し、さらにハイドロフォーム加工を実施する状況について、以下に説明する。
なお以下の説明では、素材管11の両端の管端部13A、13Bのうち、主として一方の管端部13Aの封止についてのみ説明するが、他方の管端部13Bの封止も同時に行なうのが通常であり、その管端部13Bの封止についての図示および説明は省略する。
予め、適宜予備加工などが施された素材管11を、その管端部13Aが金型1の下型5の所定位置(素材管端部支持部位1A)に位置するようにセットし、素材管11の管端部13Aに管端封止部材15Aの挿入用突出部22を挿入して、段差面26を素材管11の端面に当接させ、続いて上型3を降下させ、型締めを行なう。あるいはまた、適宜予備加工などが施された素材管11の管端部13Aに、管端封止部材15Aの挿入用突出部22を挿入し、段差面26を素材管11の端面に当接させ、続いて素材管11を、その管端部13Aが金型1の下型5上に位置するようにセットし、上型3を降下させ、型締めを行なっても良い。
このように型締めした段階では、図1Aに示すように、金型1における素材管端部支持部位1Aの内面に、管端封止部材15Aの基体部20の一部(段差面26に近い側の部分)の外周面と、素材管11の管端部13Aの外周面とが密着する。一方、管端封止部材15Aの挿入用突出部22の外周面と素材管11の内周面との間には、寸法S のクリアランス32が保たれている。
型締め後、管端封止部材15Aに、その軸線方向に沿った加圧力を加え、管端封止部材15Aの段差面26によって、素材管11の端面を軸線方向に沿って押圧する。この加圧力によって、素材管11の管端部13Aは、図1Bに示しているように、長さ方向の一部分もしくは数箇所において、軸線方向に圧縮され、肉厚が増加する。このとき、管端部13Aの外周面は、金型1の内面により拘束されているから、管端部13Aは、その内周面が内側に隆起する方向に変形する。そして、その隆起部分34の高さが、前記クリアランス32の寸法S に達すれば、隆起部分34が、管端封止部材13Aの挿入用突出部22の外周面に接する状態となる。さらに管端封止部材15Aに対する軸線方向加圧を継続すれば、管端部13Aの内側の隆起部分34が挿入用突出部22の外周面に密着する。この隆起部分34は、管端部13Aの周方向に沿って環状に連続しているから、隆起部分34と挿入用突出部22の外周面との密着によって、素材管11の管端部13Aが、その全周にわたって封止される。
上述のような素材管11の一方の管端部13Aについての管端封止部材15Aによる封止と同時に、素材管11の他方の管端部13Bについての管端封止部材15Bによる封止を行い、両端の管端部13A、13Bの封止が完了した後には、素材管11内に、加圧用液体、例えば水を、一方の管端封止部材15Aの導入路17を介して導入する。なおこの段階では、他方の管端封止部材の導出路19は開放しておき、素材管内への加圧用液体の導入に伴って、素材管11内に存在していた空気を導出路19から外部へ追い出すのが通常である。
素材管11内に加圧用液体を充填した後には、導出路19を閉止して、加圧用液体に、液圧成形のための高圧を加えるとともに、管端封止部材15A、15Bに、図示しない油圧装置などによって、軸線方向に沿う加圧力を加え(軸押しし)、金型1内の素材管11を、その外面が金型1の内面形状に沿うように塑性変形させる。
このようにして金型1内で成形した後には、常法に従って液圧付与を停止させるとともに、軸押し加圧力を解除し、金型1を開放する。またそれに前後して素材管11内の加圧用液体を排出し、成形品を金型1から取り出して、管端封止部材15A、15Bを素材管11から取り外せば、一連のハイドロフォーム加工プロセスが終了する。
ここで、管端封止のために管端部13Aの端面を軸線方向に沿って加圧して、管端部13Aを塑性変形させたときの変形は、提灯座屈に似た形態となるが、通常の提灯座屈は、管がその軸線方向に沿った加圧によって、蛇腹状に変形することを指称している。すなわち、一般的な提灯座屈は、蛇腹状の変形によって内周面と外周面との両面側に管壁が交互に突出、陥没する変形態様となる。しかしながら、本発明の場合、素材管11の管端部13Aの外周面は、金型1の素材管端部支持部位1Aの内面によって拘束されているため、通常の提灯座屈とは異なり、管端部13Aの外周面の変形はほとんど発生せず、もっぱら内面側へ隆起する変形のみが生じる。したがって、管端部13Aの外周面は平滑な状態を保ち、成形後の成形品として、管端部13Aの外周面の外観不良が生じるおそれは少ない。
素材管11の管端部13A(13B)の外径Dは、通常は10.0〜300.0mm程度のことが多く、また管端部13A(13B)の肉厚T(=D/2−D/2)は、2.0〜15.0mm程度とされるのが通常である。またその場合、管端封止時における管端封止部材11の挿入用突出部22の外周面と管端部13A(13B)の内周面との間のクリアランス32の寸法Sは、特に限定されるものではないが、通常は0〜0.5mm程度とすることが好ましい。したがって管端封止部材基体部20の外径Dおよび挿入用突出部22の外径Dも、素材管11の管端部の外径Dおよび肉厚Tに応じ、適切な寸法S のクリアランス32が確保できるように定めればよい。
但し、これらの各寸法は、それぞれ独立に定めるのではなく、相互の関係の下に定めることが好ましい。
例えば、管端封止時における管端封止部材11における挿入用突出部22の外周面と素材管11の管端部13A(13B)の内周面との間のクリアランス32の寸法S(mm)と、素材管11の管端部13A(13B)の厚みT(mm)とは、
0≦S≦0.2×T・・・・・・(1)
の条件を満たすことが好ましい。
ここで、式(1)において、クリアランスの寸法Sが、0.2×Tより大きくなれば、封止のための加圧時において、管端部の内周面の隆起部分を管端封止部材の挿入用突出部の外周面に充分に密着させることが困難となり、そのため、シール効果が充分に得られなくなったり、あるいは、管端部が蛇腹状に変形したりして、管端部の外周面の外観不良が生じてしまうおそれがある。一方、クリアランスの寸法Sが、0mm未満では、管端部において素材管が変形せずに、封止すべき管端部以外の部分(管端封止部材の挿入用突出部よりも先の個所)で素材管が変形してしまい、その後の高圧の液圧付与・軸押しによる本来の成形時に、成形不良が発生してしまうおそれがある。
以上の第1の実施形態においては、挿入用突出部22はその基端から先端まで、素材管11の管端部13Aの内径Dよりも若干小さい均一の外径Dを有しているものとしたが、挿入用突出部22は、要はその基端から先端までの全突出長さのうち、少なくとも一部の領域の外径が、素材管11の管端部13Aの内径Dよりも若干小さければよい。
但し、挿入用突出部22における基端から先端までの全領域の最大外径は、素材管の管端部の内径を超えないように設定することはもちろんである。
挿入用突出部22の基端から先端までの全長さのうち、先端部分を除く一部の領域のみを、材管11の管端部13Aの内径Dよりも若干小さい均一の外径Dに設定した場合の実施形態を、第2、第3の実施形態とする。そしてこれらのうち第2の実施形態を図2A〜図2Cおよび図3に示し、この第2の実施形態について次に説明する。
第2の実施形態においては、管端封止部材15Aの基端から先端までの全領域のうち、先端部分22Aは、外径D(図3参照)が素材管の管端部13Aの内径Dとほぼ同一とされ、それ以外の部分(先端部分22Aよりも基端側の部分)22Bでは、既に述べた第1の実施形態(図1)と同様に、外径Dが素材管11の管端部13Aの内径Dよりも若干小さい径となるように定められている。したがって先端部分22Aと基端側の部分22Bとの境界位置には段差部22Cが存在する。
このような管端封止部材17Aを用いて、既に述べたと同様に、素材管11内に成形のための液圧を加える以前の段階で、管端封止部材15Aの挿入用突出部22を素材管11の管端部13A内に挿入して段差面26を素材管管端部13Aの端面に当接させ、かつ素材管11を、その外周面が金型の素材管端部支持部位1Aの内面に接するように金型1内に配置した状態(図2A参照)で、管端部13Aの端面に軸線方向に沿う加圧力を与えれば、管端部13Aは、挿入用突出部22における基端側の部分22B、すなわち挿入用突出部の外周面と管端部内周面との間に寸法Sのクリアランス32が存在する個所において内側に塑性変形して、隆起部分34が生じ、その隆起部分34が挿入用突出部22における基端側の部分22Bの外周面に密着し、管端部のシールがなされる(図2B参照)。
その後、素材管内への液圧付与および軸押しを行なって、素材管を成形した後、管端封止部材15Aを軸線方向に引き抜く際には、図2Cに示すように、先端部分22Aの後端(先端部分22Aと基端側の部分22Bとの境界の段差部分22C)が、隆起部分34を通過する際にその隆起部分34にせん断力を与えて、隆起部分34を削り取ることができる。したがって管端封止部材を抜き取った状態では、管端部13Aの内周面は、隆起部分34が存在しない面一な面となる。そのため、成形後の中空製品として、隆起部分が製品の使用の障害や機能の低下などの原因となることを防止できる。
なお、管端封止部材15Aの先端部分22Aは、外径Dが(図3)素材管管端部13Aの内径Dとほぼ同一でれば、管端封止部材15Aを抜き取る過程で上述のように管端部13Aの隆起部分34を削り取ることができるが、実際上は管端封止部材15A先端部分22Aの外周面と素材管管端部13Aの内周面との間に若干のクリアランスが存在すること(図3の状態)は許容される。ここで、管端封止部材15Aの挿入用突出部22の先端部分22Aの外周面と管端部13Aの内周面との間のクリアランスの寸法S(mm)は、
=(D−D)/2
と表わされるが、このクリアランスの寸法Sは、要求される管端部内周面の面精度にもよるが、通常は
0≦S≦0.1×T・・・・・・(2)
の条件を満たすことが望ましい。
式(2)において、クリアランスSが、0.1×Tより大きくなれば、内周面の面精度が悪くなったり、せん断加工の切り口面の状態が悪くなったりして、管端部の内周面の外観不良が生じてしまうおそれがある。一方、管端部内周面の内径Dよりも挿入用突出部の先端部分の外周面の外径Dが大きくなって、クリアランスSが0mmよりも小さくなれば、管端封止部材15Aを管端部13Aに挿入する際に、管端部13Aが塑性変形して、加圧力が過大になったり、管端封止部材が管端部13A(13B)の内周に入らず、素材管11自体を座屈させてしまったりするおそれがある。
また段差部分22Cの角度(基端側の部分22Bの外周面に対してなす角度;図3参照)θは、75〜120度の範囲内とすることが望ましい。角度θが75度未満では、隆起部分34を削り落とす際に、段差部分22Cの先端が欠損してしまうおそれがあり、一方120度を越えれば、段差部分22Cをせん断によって削り落とすことが困難となるおそれがあり、また管端封止部材引き抜き時に隆起部分22Cが塑性変形されて、表面が不均一となってしまうおそれもある。
さらに、挿入用突出部22の基端から先端までの全長さのうち、先端部分を除く一部の領域のみを、材管11の管端部13Aの内径Dよりも若干小さい均一の外径Dに設定した場合の別の実施形態(第3の実施形態)を図4A〜図4Cおよび図5に示し、この第3の実施形態について次に説明する。
第3の実施形態において、管端封止部材15Aの基端から先端までの全領域のうち、先端部分22Aは、外径D(図5参照)が素材管の管端部の内径Dとほぼ同一とされていることは、第2の実施形態と同様である、そして先端部以外の部分(先端部分22Aよりも基端側の部分)のち、最も基端側の部分(段差面26に続く部分)22Eは、その外径D(図5参照)が素材管管端部13Aの内径Dとほぼ同一とされており、その基端側部分22Eと先端部分22Aとの中間の部分(中間部分22D)は、管端部内周面の内径Dよりも小さい外径Dとされて、その中間部分22Dの外周面と管端部内周面との間に、前記寸法Sのクリアランス(空間)32が形成されている。
このような管端封止部材15Aを用いて、既に述べたと同様に、素材管11内に成形のための液圧を加える以前の段階で、管端封止部材15Aの挿入用突出部22を素材管11の管端部13A内に挿入して段差面26を素材管管端部の端面に当接させ、かつ素材管11を、その外周面が金型1の素材管端部支持部位1Aの内面に接するように金型内に配置した状態(図4A参照)で、管端部の端面に軸線方向に沿う加圧力を与えれば、管端部13Aは、挿入用突出部22における中間部分22D、すなわち挿入用突出部22の外周面と管端部13Aの内周面との間に寸法Sのクリアランス32が存在する個所において内側に塑性変形して、隆起部分34が生じ、その隆起部分が挿入用突出部中間部分22Cの外周面に密着し、管端部13Aのシールがなされる(図4B参照)。
その後、素材管内への液圧付与および軸押しを行なって、素材管を成形した後、管端封止部材15Aを軸線方向に引き抜く過程では、図4Cに示すように、先端部分22Aの後端(先端部分22Aと中間部分22Dとの境界の段差部分22C)が隆起部分34を通過する際に、その隆起部分34にせん断力を与えて、隆起部分34を削り取ることができる。したがって管端封止部材15Aを抜き取った状態では、管端部13Aの内周面は、隆起部分34が存在しない面一な面となる。
ここで、挿入用突出部22の基端部分22Eは、その外径D(図5参照)を素材管の管端部内径Dとほぼ同じとしておくことによって、基端部分22Eに対応する個所(管端部13Aの最先端部位)では、材料が塑性変形しないことになり、その結果、塑性変形による管端部内面の内側への隆起は、基端部分22Eと先端部分22Aとの間の限られた軸方向長さLの領域(中間部分22D)のみによって生じることになる。そして隆起部分34に対応する挿入用突出部22の軸方向長さLを狭めて、隆起部分34を小さい範囲に限定することによって、より少ない軸押し量でもシールが可能となってシール性が向上する。すなわち、軸押し量が同じであれば、隆起部分の幅(中間部分22Dの軸方向長さLに対応)が小さいほど、隆起部分34の高さが大きくなるから、中間部分22Dの軸方向長さLが小さければ、少ない軸押し量をもって、材料を中間部分22Dの外周面に密着する高さまで隆起させることができるのである。また、隆起部分34の軸方向長さ(中間部分22Dの軸方向長さLに対応)が小さくなれば、管端封止部材15Aを引き抜く際のせん断に対する隆起部分34の抵抗も小さくなり、その結果、引き抜き荷重も小さくて済むようになる。
なお、挿入用突出部22の中間部分22Dの軸方向長さL(mm)は、クリアランス32の間隔S(mm)に対応して、
5.0×S≦L≦10.0×S1・・・・・・(3)
の条件を満たすことが望ましい。
式(3)において、挿入用突出部22の中間部分22Dの軸方向長さLが、10.0×Sより大きくなれば、材料の隆起部分34の範囲が小さく限定されないため、シール性の向上効果や引き抜き荷重の低減効果が少なくなる。一方、挿入用突出部22の中間部分22Dの軸方向長さLが、5.0×Sよりも小さくなれば、材料をクリアランス32内で十分な高さに隆起させることが困難となり、隆起部分34が挿入用突出部22の中間部分22Dの外周面に充分に密着しないおそれがあり、その結果、シールが不十分となるおそれがある。
なお、上記の第3の実施形態において、挿入用突出部22の基端部分22Eの外径D(図5参照)は、前述のように素材管管端部13Aの内径Dと実質的に同じであればよいが、より詳細には、基端部分22Eの外周面と素材管管端部13Aの内周面との間のクリアランスの寸法S、すなわち、
=D−D
で定まる寸法S(mm)が、
0≦S≦0.5・・・・・・(4)
を満たすように定めることが望ましい。
ここで、式(4)において、クリアランスSが、0.5mmより大きくなれば、挿入用突出部22の基端部分22Eにおいて材料の隆起を抑制して隆起部分を制限する効果が充分に得られなくなり、ひいては隆起部分を制限によりシール性を向上させる効果および引き抜き荷重の低減効果が不充分となるおそれがある。一方、管端部内周面の内径Dより挿入用突出部の先端部分の外周面の外径Dが大きくなって、クリアランスSが、0mmよりも小さくなれば、管端封止部材を管端部13Aに挿入する際に、管端部13Aが塑性変形して、加圧力が過大になったり、管端封止部材が管端部13Aの内周に入らず、素材管11自体を座屈させたりするおそれがある。
なお、上述のところでは、管端部が蛇腹状に変形することが好ましくないとしている。すなわち管端部の内面側のみならず外面側も凹凸状に変形することが好ましくないとしているが、これはあくまで外観品質上の点からであり、クリアランスや肉厚などの関係で管端部が蛇腹状に変形しても外観品質の点で特に問題とされないような成形製品を対象としている場合には、蛇腹状に変形することも許容される。一方、蛇腹状変形の発生により外観品質の点で懸念される場合でも、歩留まりを犠牲にするならば、その蛇腹状に変形した管端部を切断・除去して成形製品とすることも許容される。
また前述の実施形態では、素材管を金型にセットし、型締めしてから管端部の封止を行い、その後、型締め状態を維持したまま、加圧用液体の充填、さらに加圧用液体に対する高圧付与・軸押しを行なうものとしている。しかしながら、場合によっては、素材管を金型にセットして型締めし、管端部の封止を行なった後、一旦型締めを解除して、素材管を金型から取り出し、素材管に対する予備加工などを行ってから、改めて素材管を金型にセットし、型締めを行なってから、加圧用液体の充填、さらに加圧用液体に対する高圧付与・軸押しを行なっても良い。さらに、管端部の封止のための金型として、成形用の金型とは別の封止専用の金型を用意しておき、その封止専用の金型に素材管をセットして型締めし、管端部の封止を行なったのち、成形用の金型に素材管をセットし、型締め後、加圧用液体の充填、さらに加圧用液体に対する高圧付与・軸押しを行なっても良い。
以下に本発明の実施例を示す。なお以下の実施例は、本発明による作用、効果を確認するためのものであり、実施例に記載した条件が、本発明の技術的範囲を限定するものでないことはもちろんである。
実施例1:
この実施例1は、第1の実施形態に対応するものである。
ハイドロフォーム加工装置としては、その全体構成が図6に示すような装置を用いた。素材管としては、管端部の外径Dが190.7mm、肉厚Tが7.0mm、内径Dが176.7mmの、機械構造用炭素鋼鋼管:STKM13Bからなる中空管を用いた。一方管端封止部材としては、図1Aに示すような形状で、基体部の外径Dが190.7mm、挿入用突出部の外径Dが175.7mm、挿入用突出部の軸方向長さが25.0mmの寸法のダイス鋼:SKD61製のものを用いた。したがって、クリアランスの寸法Sは0.5mmとなる。
このような管端封止部材の挿入用突出部を素材管の両端に挿入して、金型にセットし、型締めを行なってから、管端封止部材に軸線方向に、1500kNの加圧力を加えて、管端部を、その外周面を拘束しながら軸線方向に沿って押圧した。これによって管端部の内周側が隆起するように塑性変形させ、その隆起部分を管端封止部材の挿入用突出部の外周面に密着させた。
以上のようにして両端を封止した素材管内に、加圧用液体として水を充填し、その後、加圧力3500kNにて軸押ししながら、素材管内の加圧用液体に50MPaの圧力を加え、ハイドロフォーム加工を行った。
液圧付加・軸押しの過程では、管端封止部材の個所からの加圧用液体の漏洩はなく、確実に封止されていることが確認された。また、成形後の成形品を調べたところ、金型のキャビティ内面に沿った形状に精確に加工されていることが確認された。さらに、管端部の外周面の外観についても、特に凹凸や皺の発生もなく、良好な外観品質を有していることが確認された。
実施例2:
この実施例2は、第2の実施形態に対応するものであり、ハイドロフォーム加工装置としては、実施例1と同様に全体構成が図6に示すような装置を用い、素材管としては、実施例1と同様のものを用いた。
一方管端封止部材としては、図2A、図3に示すような形状で、基体部の外径Dが190.7mm、挿入用突出部の先端部部分の外径Dが176.5mm、基端側の部分22Bの外径Dが175.7mmで、その外径Dを有する基端側の部分22Bの軸方向長さが30.0mmの寸法のダイス鋼:SKD61製のものを用いた。したがって、クリアランスの寸法Sは0.5mm、素材管管端部内周面と挿入用凸部の先端部分外周面との間のクリアランス寸法Sは0.1mmとなる。
このような管端封止部材の挿入用突出部を素材管の両端に挿入して、金型にセットし、型締めを行なってから、管端封止部材に軸線方向に、1500kNの加圧力を加えて、管端部を、その外周面を拘束しながら軸線方向に沿って押圧した。これによって管端部の内周側が隆起するように塑性変形させ、その隆起部分を管端封止部材の挿入用突出部の基端側部分22Bの外周面に密着させた。
以上のようにして両端を封止した素材管内に、加圧用液体として水を充填し、その後、加圧力3500kNにて軸押ししながら、素材管内の加圧用液体に50MPaの圧力を加え、ハイドロフォーム加工を行った。その後、引き抜き荷重1000kNにて、管端封止部材を素材管管端部から引き抜いた。
液圧付加・軸押しの過程では、管端封止部材の個所からの加圧用液体の漏洩はなく、確実に封止されていることが確認された。また、成形後の成形品を調べたところ、金型のキャビティ内面に沿った形状に精確に加工されていることが確認された。さらに、管端部の内周面は、隆起部分が確実に削り取られて、凹凸のない一様な面となっていることが確認された。さらに、外周面の外観についても、特に凹凸や皺の発生もなく、良好な外観品質を有していることが確認された。
実施例3:
この実施例3は、第3の実施形態に対応するものであり、ハイドロフォーム加工装置としては、実施例1と同様に全体構成が図6に示すような装置を用い、素材管としては、実施例1と同様のものを用いた。
一方管端封止部材としては、図4A、図5に示すような形状で、基体部の外径Dが190.7mm、挿入用突出部の先端部部分22Aの外径Dが176.5mm、中間部分22Dの外径Dが175.7mm、基端部分22Eの外径Dが176.5mm、中間部分22Dの軸方向長さLが32.0mmの寸法のダイス鋼:SKD61製のものを用いた。したがって、素材管管端部内周面と挿入用凸部の中間部分22Dとの間のクリアランスの寸法Sは0.5mm、素材管管端部内周面と挿入用凸部の先端部分22Aの外周面との間のクリアランス寸法Sは0.1mm、素材管管端部内周面と挿入用凸部の基端部分22Eの外周面との間のクリアランス寸法Sは0.1mmとなる。
このような管端封止部材の挿入用突出部を素材管の両端に挿入して、金型にセットし、型締めを行なってから、管端封止部材に軸線方向に、1200kNの加圧力を加えて、管端部を、その外周面を拘束しながら軸線方向に沿って押圧した。これによって管端部の内周側が隆起するように塑性変形させ、その隆起部分を管端封止部材の挿入用突出部の中間部分22Dの外周面に密着させた。
以上のようにして両端を封止した素材管内に、加圧用液体として水を充填し、その後、加圧力3500kNにて軸押ししながら、素材管内の加圧用液体に50MPaの圧力を加え、ハイドロフォーム加工を行った。その後、引き抜き荷重700kNにて、管端封止部材を素材管管端部から引き抜いた。
液圧付加・軸押しの過程では、管端封止部材の個所からの加圧用液体の漏洩はなく、確実に封止されていることが確認された。ここで、実施例3では、管端封止部材に対する加圧力を実施例2の場合よりも小さくしたが、それにもにもかかわらず、実施例2の場合と同等の良好なシール性が得られることが確認された。
また、管端封止部材を引き抜く際の引き抜き荷重を実施例2の場合よりも小さくしたが、実施例2の場合と同様に、支障なく管端封止部材を引き抜くことができた。
また、成形後の成形品を調べたところ、金型のキャビティ内面に沿った形状に精確に加工されていることが確認された。さらに、管端部の内周面は、隆起部分が確実に削り取られて、凹凸のない一様な面となっていることが確認された。さらに、外周面の外観についても、特に凹凸や皺の発生もなく、良好な外観品質を有していることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、実施例に限定されないことはもちろんであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明のハイドロフォーム加工法は、自動車などに使用される中空部品の成形方法として、高圧の液圧を加えて複雑な形状を有する部品を製造する場合などに適している。
1 金型
1A、1B 素材管端部支持部位
11 素材管
13A、13B 管端部
15A、15B 管端封止部材
20 基体部
22 挿入用突出部
22A 挿入用突出部の先端部分
22B 挿入用突出部の先端部分よりも基端側の部分
22D 挿入用突出部の中間部分
22E 挿入用突出部の基端部分
26 段差面
32 クリアランス
34 隆起部分

Claims (4)

  1. 中空管状をなす素材管を金型内に配置して、その素材管の両端部を、軸押し部材を兼ねる管端封止部材によりシールして、素材管の内側空間に液圧を加えるとともに、素材管の両端部からその軸線に沿った方向に加圧して、素材管を金型のキャビティ内面に沿った形状に成形するハイドロフォーム加工方法において、
    前記管端封止部材として、外径が素材管の外径に等しい基体部と、その基体部から突出するとともに、少なくとも一部の領域の外径が素材管の管端部の内径より小さく、しかも最大外径が素材管の管端部の内径を超えない挿入用突出部と、前記基体部の外周面と挿入用突出部の外周面との間に形成された、前記素材管の軸線方向に対して直交する平面に沿う段差面とを有する封止部材を用い、
    素材管内に成形のための液圧を加える以前の段階で、前記管端封止部材の突出部を素材管の管端部内に挿入するとともに、前記段差面を素材管管端部の端面に当接させ、かつ素材管を、その管端部の外周面が金型の素材管端部支持部位の内面に接するように金型内に配置した状態で、管端封止部材を介して管端部の端面に軸線方向に沿う加圧力を与え、これにより、前記挿入用突出部の前記領域の外周面と素材管管端部の内周面との間の空間内において、素材管の管端部の少なくとも一部の肉厚の増大により素材管の管端部の内周面の少なくとも一部が隆起するように、素材管管端部を塑性変形させ、その隆起部分を挿入用突出部の前記領域の外周面に密着させることによって管端部を封止した後、素材管内に成形のための液圧を加えるとともに、素材管に軸線方向に沿った加圧力を加えることを特徴とするハイドロフォーム加工方法。
  2. 前記管端封止部材として、前記挿入用突出部の外径が、その挿入用突出部の基端部分から先端部分まで、素材管の管端部の内径より小さい均一な径とされたものを用いることを特徴とする請求項1に記載のハイドロフォーム加工方法。
  3. 前記管端封止部材として、前記挿入用突出部の外径が、その挿入用突出部の先端部分では素材管の管端部の内径と実質的に同一の径とされるとともに、先端部分を除く基端部分では、素材管の管端部の内径より小さい径とされたものを用い、素材管の成型後に管端封止部材の挿入用突出部を素材管の管端部からその軸線方向に沿って引き抜くことにより、挿入用突出部の先端部分によって前記隆起部分に塑性変形もしくはせん断を与え、これにより管端部の内周面を実質的に面一にすることを特徴とする請求項1に記載のハイドロフォーム加工方法。
  4. 前記管端封止部材として、前記挿入用突出部の外径が、その挿入用突出部の先端部分および基端部分では素材管の管端部の内径と実質的に同一の径とされるとともに、前記先端部分と基端部分の中間の部分では、素材管の管端部の内径より小さい径とされたものを用い、素材管の成型後に管端封止部材の挿入用突出部を素材管の管端部からその軸線方向に沿って引き抜くことにより、挿入用突出部の先端部分によって前記隆起部分に塑性変形もしくはせん断を与え、これにより管端部の内周面を実質的に面一にすることを特徴とする請求項1に記載のハイドロフォーム加工方法。
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