JP5779868B2 - 仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法 - Google Patents

仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレベーター等が設けられる、建物の中空空間を仕切る仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法に関する。
建物の中空空間としては、たとえば鉛直方向に長い内部空間内を乗りかごが上下昇降するように構成されたエレベーターシャフトがある。エレベーターには、複数台の乗りかごが左右に並列配置された、いわゆる多連式のエレベーターがあり、多連式のエレベーターのエレベーターシャフト内には、乗りかご毎に、互いに独立して昇降動作を行えるように昇降空間が設けられている。
また、エレベーターシャフト内には、鉄骨架構の耐火被覆目的で施工されたアスベストがそのまま鉄骨に付着状態で残存していることがあり、このようなアスベストは、飛散前に一刻も早く除去等の無害化処理を施す必要がある。
エレベーターシャフト内の付着物を取る方法として、例えば、付着物として綿ゴミ等の塵埃を清掃する方法は知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−145448号公報
ところで、一般に、建屋内のアスベストを処理する際には、養生シート等により隔離密閉された作業空間を形成し、その中で処理作業を行うことが義務付けられている。ところが、上述のような多連式のエレベーターの場合にエレベーターシャフト全体を隔離密閉すると、全てのエレベーターが使えなくなってしまい著しく不便となる。このため、少なくとも1台のエレベーターは稼働状態のままで処理作業ができるように昇降空間毎に隔離密閉することが望ましい。
しかしながら、多連式のエレベーターの場合に、左右方向に隣接する2つの昇降空間の間隔が狭く、また、それら2つの昇降空間の間に複数の中間ビームが設けられている場合もある。このように隣接する2つの昇降空間の間にてエレベーターシャフト全体を隔離密閉しなければ、隣接する昇降空間の一方にて付着物を処理し、他方にてエレベーターを稼働することができないという課題がある。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、外周部が付着物に覆われた本設梁が設けられた中空構造体内であっても複数の空間に区分けして密閉することが可能な仕切り壁、この仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法を提供することにある。
かかる目的を達成するために本発明の仕切り壁は、物体を上下昇降する複数の昇降空間が、外周部が付着物に覆われた本設梁を挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、前記付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁であって、互いに隣り合う前記昇降空間の間に位置し、上下方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の前記本設梁の間に設けられた軽量形鋼材と、前記軽量形鋼材に固定され、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材と、を備えていることを特徴とする仕切り壁である。
このような仕切り壁によれば、付着物の処理をする際に中空構造体を仕切る仕切り壁は、互いに隣り合う昇降空間の間に位置し、上下方向に互いに間隔を隔てて配置された本設梁の間に設けられた軽量形鋼材に壁部材が固定されて構成されているので、本設梁の、水平方向におけるいずれかの側に設けられた軽量形鋼材に壁部材が固定される場合より、水平方向において仕切り壁に占有される領域が狭い。このため、互いに隣り合う昇降空間の間が狭い中空構造体内であっても、作業空間を密閉することが可能な仕切り壁を提供することが可能である。また、本設梁が設けられた中空構造体内であっても複数の空間に区分けして密閉することが可能な仕切り壁を提供することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記本設梁は、前記中空構造体内に前記左右と交差する前後方向に沿って設けられており、前記壁部材は、前記複数の本設梁と、前記中空構造体の内周面とにより囲まれた空間に設けられるとともに、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面との間に空隙を備えて配置された壁面材と、前記壁面材に固定され、前記空隙を閉塞する複数の中継部材と、を有することが望ましい。
このような仕切り壁によれば、複数の本設梁と、中空構造体の内周面とにより囲まれた空間に設けられる壁面材と、各々の本設梁及び中空構造体の内周面との間の空隙を、複数の中継部材にて閉塞するので、複数の本設梁と、中空構造体の内周面とにより囲まれた空間を、より確実に密閉する仕切り壁を提供することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記壁面材と前記付着物との間を閉塞する場合には、当該付着物の表面に設けられた飛散防止シートが前記内周面をなし、前記飛散防止シートに前記中継部材が当接されて前記空隙が閉塞されていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、壁面材と付着物との間を閉塞する場合には、中継部材が、飛散防止シートを介して付着物側に当接されるので、中継部材を取り付けることにより付着物が飛散することを防止することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記軽量形鋼材は、前記本設梁に前記前後方向に互いに間隔を隔てて複数設けられ、各々の前記軽量形鋼材は、上下に対向する前記本設梁にそれぞれ設けられ、当該本設梁を覆う前記付着物とともに前記本設梁を囲む枠部材に、上下の端部が固定されていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、本設梁に前後方向に互いに間隔を隔てて複数設けられた軽量形鋼材は、その上下端部が本設梁を覆う付着物を囲んで当該本設梁に取り付けられた枠部材に固定されているので、軽量形鋼材は、直接付着部に接触しない。このため、軽量形鋼材を、2本の本設梁の間に設ける際に、付着物が飛散することを防止することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記枠部材は、前記本設梁を覆う前記付着物に設けられた飛散防止シート上に取り付けられていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、本設梁を覆う付着物を囲む枠部材は、付着物との間に飛散防止シートを介して取り付けられるので、枠部材を取り付ける際に、付着物が飛散することを防止することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記処理は、前記付着物を除去する処理であり、前記枠部材は、前記本設梁を覆う前記付着物が除去されて前記枠部材と前記本設梁との間に隙間が生じた際に、当該枠部材が移動することを規制する規制部を有することが望ましい。
このような仕切り壁によれば、枠部材は、本設梁を覆う付着物が除去されて枠部材と本設梁との間に隙間が生じても、規制部により枠部材の移動が規制される。このため本設梁と枠部材との間の付着物を除去しても、枠部材、枠部材に取り付けられた軽量形鋼材、及び壁部材にて密閉された状態を維持することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記枠部材が有する前記規制部は、前記枠部材に螺合されて前記本設梁に向かって進退方向に移動可能に設けられたボルトであることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、枠部材は、本設梁に対して進退方向に移動可能なボルトにより移動が規制されるので、ボルトを回転させることにより、枠部材からのボルトの突出量を容易に調整できるので、付着物の厚みに係わらず使用可能な枠部材を実現することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記ボルトは、前記枠部材の前記本設梁を左右方向から挟む部位からそれぞれ突出されて複数設けられていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、規制部をなすボルトが、本設梁を左右方向から挟む部位からそれぞれ突出されているので、本設梁を挟むように設けられたボルトにより、本設梁を挟持して、枠部材の位置を維持させることが可能である。また、ボルトは先端が小さいので、付着物に当接される面積が小さく、枠部材が取り付けられた状態にてより多くの付着物を除去することが可能である。また、ボルトは左右方向からからそれぞれ突出されて複数設けられているので、あるボルトと本設梁の間に設けられている付着物を除去する際には、他のボルトにて枠部材の位置を規制できるので、本設梁を覆う付着部を余すことなく除去することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記壁面材は、複数枚の板材が、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べられて壁面が形成されていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、壁面材は、複数枚の板材が、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べられて壁面が形成されているので、2本の本設梁及び2本の柱等にて囲まれる領域をより確実に密閉する仕切り壁を提供することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記壁部材を覆う気密性シートが設けられていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、壁部材が気密性シートにて覆われているので、壁部材を構成する壁面材と中継部材との間及び壁面材を構成し隣接する複数の板材間をより確実に密閉することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記気密性シートは、前記壁部材の両面にそれぞれ設けられていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、壁部材の両面が気密性シートにて覆われているので、壁部材を構成する壁面材と中継部材との間及び壁面材を構成し隣接する複数の板材間を両面からより確実に密閉することが可能である。また、仕切り壁により仕切られた空間の一方側の処理が終了した後に一方側の気密性シートを取り外しても、仕切り壁の密閉性を維持したままで他方側の処理を行うことが可能である。
また、物体を上下昇降する複数の昇降空間が、外周部が付着物に覆われた本設梁を挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、前記付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁の設置方法であって、前記本設梁は、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、上下に対向する一対の前記本設梁に、複数の軽量形鋼材を、各々の前記軽量形鋼材の上端部と下端部とをそれぞれ固定させて立設させる軽量形鋼材立設工程と、前記一対の本設梁間に設けられ、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材を、立設された前記軽量形鋼材に固定して壁面を形成する壁形成工程と、を有することを特徴とする仕切り壁の設置方法である。
このような仕切り壁の設置方法によれば、中空構造体内を仕切る仕切り壁を、上下に対向する一対の本設梁間に立設させた複数の軽量形鋼材に壁部材を固定して上下に対向する一対の本設梁間に壁面を形成するので、互いに隣り合う昇降空間の間に設けられた本設梁からの突出量を抑えて、上下方向に繋がった壁面を形成して中空構造体内を仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間の間に仕切り壁の上下方向に繋がった壁面を形成するので、付着物の処理をするための空間を密閉することが容易である。さらに、壁部材を、上下に対向する一対の本設梁に、上端部と下端部とがそれぞれ固定された複数の軽量形鋼材に壁部材を固定することにより、隣接する昇降空間にて物体が昇降し風圧が壁面に作用しても撓みにくい剛性を備えることが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記本設梁は、前記中空構造体内に前記左右と交差する前後方向に沿って設けられており、前記壁部材は、前記複数の本設梁と、前記中空構造体の内周面とにより囲まれた空間に設けられるとともに、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面との間に空隙を備えて配置された壁面材と、前記壁面材に固定され、前記空隙を閉塞する複数の中継部材と、を有し、前記壁形成工程は、前記複数の板材を、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べ、前記壁面材を、前記各々の複数の本設梁と、前記中空構造体の内周面との間に空隙を形成して前記壁面を形成する壁面形成工程と、前記複数の中継部材を、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面側に当接させて前記壁面材に固定し、前記空隙を閉塞する閉塞工程と、を有することが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、壁部材の壁面材を構成する複数の板材を互いに隣接する板材の端部同士が重なるように並べるので、より高い密閉性を備えた仕切り壁を形成することが可能である。また、壁面材と、各々の本設梁及び中空構造体の内周面との間の空隙を、複数の中継部材を取り付けることにより閉塞するので、単に壁面材のみにて壁部材を形成する場合より、調整代を確保することが可能であり、壁面材と、各々の本設梁及び中空構造体の内周面との間の空隙を中継部材にてより確実に塞ぐことが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記中空構造体内の前記付着物が付着している箇所は、前記中継部材が当接される位置の当該付着物の表面に飛散防止シートを設け、前記飛散防止シートを介して前記中継部材を、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面側に当接させることが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、中空構造体内の付着物が付着している箇所は、中継部材が当接される位置の当該付着物の表面に飛散防止シートを設けているので、中継部材を設ける際に、中継部材と付着物とが直接接しないため中継部材を取り付けることによる付着物の飛散を防止することが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記軽量形鋼材立設工程は、上下に対向する一対の前記本設梁の各々に、当該本設梁を覆う前記付着物とともに前記本設梁を囲む枠部材を取り付ける枠材取付工程と、前記一対の本設梁に取り付けられた前記枠部材に前記軽量形鋼材を取り付ける軽量形鋼材取付工程と、を有することが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、付着物に覆われて上下に対向する一対の本設梁であっても、本設梁を囲む枠部材を設けることにより、軽量形鋼材を取り付けることが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記枠部材が取り付けられる位置の前記付着物の表面に飛散防止シートを設けることが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、枠部材が取り付けられる部位も付着物に覆われているので、枠部材が取り付けられる位置の付着物の表面にも飛散防止シートを設けることにより、枠部材を取り付けることによる付着物の飛散を防止することが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記壁面形成工程では、前記壁部材を覆うための気密性シートを前記軽量形鋼材と前記壁部材との間に設けることが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、壁部材を覆う気密性シートが軽量形鋼材と壁部材との間に設けられるので、壁部材の軽量形鋼材側の面を気密性シートにて覆い密閉空間を形成することが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記閉塞工程では、前記壁部材の前記気密性シートと反対側の面に、新たな気密性シートを設けることが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、壁部材は両面から気密性シートに覆われるので、さらに高い気密性を確保することが可能である。
また、上記仕切り壁を用いた付着物の処理方法であって、
前記中空構造体内は、前記壁部材にて、前記付着物が先に処理される先作業空間と、後で処理される後作業空間とに区画され、
前記壁部材は、前記先作業空間側に設けられ、前記中継部材は前記壁面材に前記先作業空間側から固定されており、
前記先作業空間側にて前記付着物を除去し、除去した部位に飛散防止剤を塗装し、
前記飛散防止シートに当接された前記中継部材を取り外した場合に前記先作業空間と前記後作業空間とが連通される部位を覆う覆い部材を、前記先作業空間側から前記壁面材に固定し、
前記先作業空間側にて前記飛散防止剤が塗装された部位の前記覆い部材より前記先作業空間側に前記付着物と異なる新設付着物を付着させた後に、
前記後作業空間側から固定された前記中継部材を取り外して前記後作業空間において前記付着物を除去することを特徴とする付着物の処理方法である。
このような付着物の処理方法によれば、壁部材により先作業空間と後作業空間とに密閉区画された後に、先作業空間側の付着物が除去されるので、除去された付着物が外部に飛散することを確実に防止することが可能である。このとき、除去された付着物は後作業空間にも飛散しないので、後作業空間は先作業空間での付着物の除去処理に拘わらず使用することが可能である。また、付着物が除去された部位には飛散防止剤を塗装するので、付着物の飛散をより確実に防止することが可能である。さらに、覆い部材を取り付けてから飛散防止シートに当接されている中継部材を取り外すので、先作業空間内を密閉区画した状態を保ったままで、即ち、先作業空間と後作業空間とが連通されることなく、中継部材を取り外すことが可能である。また、覆い部材を取り付けた後に、覆い部材より先作業空間側に前記付着物と異なる新設付着物を付着させる処理を実行するので、付着物が付着していた部位の覆い部材より先作業空間側を新設付着物で覆うことが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記覆い部材を、前記先作業空間にて前記飛散防止剤が塗装された部位に当接して前記壁面材に固定することが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、覆い部材を先作業空間にて飛散防止剤が塗装された部位に当接するので、付着物が確実に飛散防止処理された領域にて先作業空間側と後作業空間とを区画することが可能である。このため、覆い部材を取り付けた後に中継部材を取り外しても先作業空間側に付着物が残存することを確実に防止することが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記覆い部材は、前記飛散防止剤が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部を当接させることが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、覆い部材を、飛散防止剤が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部にて飛散防止剤が塗装された部位に当接するので、覆い部材の内周面との接触面積を小さくすることが可能であり、より広い領域に新設付着物を付着させることが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記覆い部材は、前記後作業空間にて前記付着物が除去された後に、前記付着物が除去された部位の、前記覆い部材の前記後作業空間側に前記新設付着物を付着させ、その後、前記覆い部材が当接された部位と直交する方向に引き抜かれて取り外されることが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、先作業空間にて飛散防止剤が塗装された部位に当接された覆い部材の後作業空間側にて付着物を除去した後に、飛散防止剤を塗装するので、付着物が付着していた部位の全域に余すことなく飛散防止剤を塗装することが可能である。そして、覆い部材が当接していた部位、すなわち、覆い部材の板厚分を除いた領域に新設付着物を付着させることが可能である。また、覆い部材を当該覆い部材が当接された部位と直交する方向に引き抜いて取り外すので、覆い部材を取り外しても覆い部材の板厚分の隙間が形成されるだけで、新設付着物を剥がすことなく覆い部材を取り外すことが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記覆い部材を引き抜いた部位に、前記新設付着物を充填することが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、覆い部材を引き抜いて形成された隙間にも新設付着物を充填することが可能である。このため、付着物が付着していた部位の全域に新設付着物を付着させることが可能である。
本発明によれば、外周部が付着物に覆われた本設梁が設けられた中空構造体内であっても複数の空間に区分けして密閉することが可能な仕切り壁、この仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法を提供するが可能である。
本実施形態の仕切り壁が設けられたエレベーターシャフトを説明するためのイメージ図である。 本実施形態の仕切り壁が設けられる中空構造体を説明するための平断面の概略図である。 本実施形態の仕切り壁の正面図である。 本実施形態の仕切り壁の縦断面図である。 本実施形態の仕切り壁の平断面図である。 鉄骨梁及び鉄骨柱を覆うアスベストの表面に貼り付けられた飛散防止シートを示す図であり、図6(a)は縦断面図、図6(b)は平断面図である。 鉄骨梁に取り付けられた枠部材を示す図であり、図7(a)は縦断面図、図7(b)は平断面図である。 枠部材が有する規制部を説明するための平断面図である。 上下の鉄骨梁間に設けられた軽量形鋼材及び壁部材を示す図であり、図9(a)は縦断面図、図9(b)は平断面図である。 壁部材を説明するための図であり、図10(a)は縦断面図、図10(b)は平断面図である。 先作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図11(a)は縦断面図、図11(b)は平断面図である。 突当部材を取り付けた状態及び先作業空間側にてロックウールの被覆を施す処理を説明するための図であり、図12(a)は縦断面図、図12(b)は平断面図である。 後作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図13(a)は縦断面図、図13(b)は平断面図である。 後作業空間側にて鉄骨梁にロックウールの被覆を施す処理を説明するための図であり、図14(a)は縦断面図、図14(b)は平断面図である。 突当部材を取り外した後に形成されるロックウールの隙間を示す図であり、図15(a)は縦断面図、図15(b)は平断面図である。
以下、本実施形態の仕切り壁、この仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法の一例について図を用いて詳細に説明する。
本実施形態においては、処理すべき付着物が付着した中空構造体の内部空間の一例として、エレベーターシャフトを例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態の仕切り壁が設けられたエレベーターシャフトを説明するためのイメージ図である。図2は、本実施形態の仕切り壁が設けられる中空構造体を説明するための平断面の概略図である。
本実施形態の仕切り壁30は、中空構造体10の内部空間の一例としてのエレベーターシャフトEVS内において、本設梁としての鉄骨梁22及び鉄骨柱23に耐火被覆として既に吹き付けられている付着物としてのアスベスト31に対し除去等の無害化処理を施し、さらに、アスベスト31と異なる新設付着物としてのロックウール46を耐火被覆として鉄骨梁22及び鉄骨柱23に施す耐火被覆処理をする際に用いられるものである。なお、以下の説明では、図に示すように、互いに直交する三方向をそれぞれ、エレベーターシャフト内を乗りかごが昇降する方向を上下方向(鉛直方向)、乗りかごに乗り降りするための開口が設けられた壁面に沿う方向を左右方向(水平方向)、及び、乗りかごに対して奥行き方向となる方向を前後方向(水平方向)と言う。
===エレベーターEVについて===
エレベーターEVは、図1に示すように、ビル等の建物の一部に区画されたエレベーターシャフトEVSと、このエレベーターシャフトEVS内を鉛直方向に沿って上下昇降可能に案内された乗りかご13と、エレベーターシャフトEVSの上方の機械室MR内に配置されて、つり合い重りWを備えた吊りロープRを用いて前記乗りかご13を吊り下げつつ上下昇降する巻き上げ機19と、を備えている。このエレベーターEVは所謂2連式のエレベーターEVであり、エレベーターシャフトEVS内には、2つの乗りかご13が左右に並列して設けられており、各乗りかご13は、それぞれに対応して機械室MRに設置された各巻き上げ機19によって、各昇降空間TRに沿って独立に昇降動作をする。
エレベーターシャフトEVSは、鉛直方向に長い直方体形状の空間である。詳しくは、鉄骨梁22と鉄骨柱23と中間ビームとが組まれて構築された柱梁架構20の一部が階床間に設けられている鉄骨梁22と、鉄骨梁22間に鉛直方向に設けられた間柱(不図示)と、間柱間に前後方向に架け渡された中間ビーム(不図示)とで鉛直方向に長い略直方体形状に区画されてエレベーターシャフトEVSの柱梁架構20が構築されている。また、このエレベーターシャフトEVSには左右に並列して設けられた2つの乗りかご13の各昇降空間TRの中間に、エレベーターシャフトEVSの前後に鉄骨柱23が設けられており、前後の鉄骨柱23に架け渡して鉄骨梁22が設けられている。ここで、鉄骨梁22はH形鋼であり、鉄骨柱23は断面が正方形状の角形鋼管である。
また、上下に隣り合う鉄骨梁22同士の間には本設鉄骨柱、ALC(気泡コンクリート)版等のコンクリートパネルが配置され、この鉄骨柱、コンクリートパネルにより、エレベーターシャフトEVSの鉄骨柱23、側壁28等が前後左右の四方を囲って形成されている。また、これら四方の側壁28の上端及び下端には、それぞれ、天井面10a及び床面10bが形成されており、これにより、エレベーターシャフトEVS内は、概ね上下前後左右の六方の全てが閉じた略閉空間になっている。
なお、四方の側壁28のうちの前方の側壁28には、各乗りかご13及び建物の各階フロアーに対応させてエレベーターEVの乗り場出入口28aが開口形成されているとともに、各乗り場出入口28aには、左右にスライドする開閉扉25が設けられている。よって、乗りかご13の無い状態において前記開閉扉25が開くと、エレベーターシャフトEVS内は、建物側の空間であるエレベーターホールEVHと連通状態になる。
ところで、上述からわかるように、一般にエレベーターシャフトEVS内には、柱梁架構20の前後に設けられた鉄骨柱23の一部と鉄骨柱23に掛け渡された鉄骨梁22が露出している。このような鉄骨露出部位に対しては建築基準法上耐火被覆が必須であり、以前はその素材としてアスベストが使用されていた。このため、現在も既存のエレベーターシャフトEVS内にはアスベストが露出していることがある。
このようなアスベストに対しては、例えば、既存エレベーターEVの設備更新工事等に併せて、無害化処理が行われる。無害化処理としては、アスベストを剥がす等の物理的に取り除く除去処理や、薬液塗布等により塗布部位の表面を固めてその場にアスベストを封じ込める封じ込め処理、更には、板材等でアスベストの付着部位を囲って外に露出しないようにする囲い込み処理等が挙げられる。
そして、何れの処理を行うにせよ、その処理作業時には、周囲にアスベストが飛散しないように、その作業空間WSを隔離密閉養生することが義務付けられている。
しかし、上述したような2連式等の多連式エレベーターEVの場合にエレベーターシャフトEVS全体を隔離密閉養生すると、全てのエレベーターEVが使えなくなり著しく不便となるので、少なくとも1台のエレベーターEVを稼働状態としたままで無害化処理が実施できることが望ましい。
このため、エレベーターシャフトEVS内を水平方向の左右に仕切って、前記作業空間WSを乗りかご13単位、つまり昇降空間TR単位(エレベーターEV単位)で密閉区画することが求められている。しかしながら、エレベーターシャフトEVS内の隣接する昇降空間の間は狭く、特に本実施形態のエレベーターシャフトEVSのように鉄骨梁22が設けられている場合には、水平方向において鉄骨梁22の外側には、昇降空間を密閉区画する、例えば隔壁を設けるスペースを確保することが難しい。また、隣接する昇降空間TRの間に配置された鉄骨梁22が処理すべき付着物で覆われているため、鉄骨梁22に隔壁を取り付けることが難しい。
そこで、本実施形態の仕切り壁30は、鉄骨梁22が設けられた中空構造体10内であっても複数の空間に密閉区画することが可能な仕切り壁30により前記作業空間WS外の乗りかご13(昇降空間TR、エレベーターEV)の稼働を確保している。
==本実施形態に係る仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法===
<<仕切り壁>>
図3は、本実施形態に係る仕切り壁を示す正面図であり、図4は、本実施形態に係る仕切り壁の縦断面図、図5は、本実施形態に係る仕切り壁の平断面図である。
仕切り壁30は、例えば、鉛直方向に沿って配置され、上下に隣り合う各鉄骨梁22間に介在されて仕切り壁30の下地となる複数本の軽量形鋼材32と、軽量形鋼材32に固定され上下に隣り合う各鉄骨梁22間に設けられてエレベーターシャフトEVS内を作業空間WSと昇降空間TRとに仕切る壁部材34と、壁部材34を作業空間WS側及び昇降空間TR側からそれぞれ覆う気密性シート40と、を有している。
軽量形鋼材32は、例えば断面が正方形状をなす角パイプ材である。軽量形鋼材32は、各々の軽量形鋼材32に対し、上下に隣り合う2本の鉄骨梁22に枠部材50を介して固定されている。
具体的には、エレベーターシャフトEVSの左右方向におけるほぼ中央の前後にそれぞれ鉛直方向に沿って鉄骨柱23が設けられておりに、各階床間において前後の鉄骨柱23に複数の鉄骨梁22が架け渡されている。鉄骨梁22及び鉄骨柱23は外周部がアスベスト31により被覆されており、被覆しているアスベスト31はエレベーターシャフトEVS内にも露出している。
アスベスト31が被覆されている鉄骨梁22には、複数の枠部材50が前後方向に間隔を隔てて取り付けられている。枠部材50は、4本の山形鋼52、53、54、55がボルト60とナットにて矩形状に組み立てられた枠部51と、各枠部51の各山形鋼52、53、54、55に螺合されて、螺合された山形鋼52、53、54、55に対して直交する方向に進退移動可能に設けられたボルト65でなる規制部56とを有している。
枠部51は、4本の山形鋼52、53、54、55が有する直交する各々2つの板部52a、52b、53a、53b、54a、54b、55a、55bのいずれか一方の板部52a、53a、54a、55aの両端に貫通孔がそれぞれ設けられており、左右方向に沿って配置される山形鋼(以下、横山形鋼という)52、53の他方の板部52b、53bには、2つの長ナット63が設けられており、鉛直方向に沿って配置される山形鋼(以下、縦山形鋼という)54、55の他方の板部54b、55bには、4つの長ナット63が設けられている。これら、横山形鋼52、53と縦山形鋼54、55に設けられている長ナット63は、ねじ穴の貫通方向の長さが、例えば、山形鋼52、53、54、55が有する板部52a、52b、53a、53b、54a、54b、55a、55bの幅とほぼ同じに形成されており、他方の板部52b、53b、54b、55bの、一方の板部52a、53a、54a、55aと反対側に溶着されている。また、枠部材50が取り付けられた状態にて、横山形鋼52、53に設けられた長ナット63は螺合されたボルト65が鉛直方向に沿って進退移動可能であり、縦山形鋼54、55に設けられた長ナット63は螺合されたボルト65が水平方向に沿って進退移動可能である。
また、各々の山形鋼52、53、54、55の一方の板部52a、53a、54a、55aの両端に設けられた貫通孔のいずれか一方は、各山形鋼52、53、54、55の長手方向に沿って設けられた長孔52c、53c、54c、55cである。そして、横山形鋼52、53と縦山形鋼54、55の一方の板部52a、53a、54a、55aの片方の端部同士を対向させて、両者の貫通孔にボルト60を挿通させナットにて固定し矩形状に組み立てる。このとき、矩形状の枠部51の、上下に位置する横山形鋼52、53の間と左右に位置する縦山形鋼54、55の間にアスベスト31に覆われた鉄骨梁22を介させるとともに、各山形鋼52、53、54、55の他方の板部52b、53b、54b、55bをアスベスト31の表面と対向させて配置し、長孔52c、53c、54c、55cにより対面する2つの山形鋼52、53、54、55の間隔を調整してアスベスト31を囲むように枠部51を取り付ける。このとき、枠部材50が取り付けられる位置近傍のアスベスト31の表面には飛散防止シート38が、貼り付けられており、各山形鋼52、53、54、55の他方の板部52b、53b、54b、55bはアスベスト31との間に飛散防止シート38が介在されている。
アスベスト31にて覆われた鉄骨梁22は、H形鋼なので上側のフランジ22aの上側及び下側のフランジ22bの下側は、アスベスト31がほぼ平坦なので、横山形鋼52、53は他方の板部52b、53bのほぼ全面がアスベスト31の表面に貼り付けられた飛散防止シート38に当接されている。一方、縦山形鋼54、55の他方の板部54b、55bは、上端側と下端側とが、鉄骨梁22のフランジ22a、22bの側縁を覆うアスベスト31表面の飛散防止シート38に当接されるが、それらの間は飛散防止シート38と間隔が隔ててられている。このため、縦山形鋼54、55には、他方の板部54b、55bに設けられた2つの長ナット63に螺合された2本のボルト65に山形鋼でなり長ナット63が溶着されたガイド部材58が取り付けられている。この長ナット63には、鉄骨梁22のウェブ22cに向かって進退可能にボルト65が螺合されている。
ガイド部材58は、枠部材50が囲んでいる鉄骨梁22にアスベスト31が付着しているときには、アスベスト31の表面の飛散防止シート38に当接されており、アスベスト31が除去されるとガイド部材58から突出されたボルト65が鉄骨梁22のウェブ22cに当接されるように構成されている。すなわち、枠部51が鉄骨梁22に取り付けられた際には、2本の縦山形鋼54、55に各々設けられたガイド部材58が、アスベスト31にて覆われた鉄骨梁22を挟むように配置されている。
縦山形鋼54、55には、ガイド部材58に螺合されるボルト65が螺合される長ナット63の他に、2箇所に長ナット63が溶着されており、横山形鋼52、53には、2箇所に長ナット63が溶着されている。縦山形鋼54、55に設けられた2箇所の長ナット63は、鉄骨梁22に枠部材50が取り付けられた際に、鉄骨梁22の上下のフランジ22a、22bと同じ高さに配置され、水平方向において鉄骨梁22に向かって進退可能にボルト65が螺合されている。横山形鋼52、53に設けられた2箇所の長ナット63は、鉄骨梁22に枠部材50が取り付けられた際に、鉄骨梁22のウェブ22cを中心としてほぼ左右に振り分けた位置に配置され、鉛直方向において鉄骨梁22に向かって進退可能にボルト65が螺合されている。以下の説明では、ガイド部材58に螺合されるボルト65をウェブ当接ボルト65aといい、各山形鋼52、53、54、55のみに螺合されて鉄骨梁22のフランジ22a、22bに向けられたボルト65をフランジ当接ボルト65bという。
ウェブ当接ボルト65aは、後述するアスベスト31の除去の際に、アスベスト31が除去されて生じる枠部51と鉄骨梁22のウェブ22cとの間隔を維持するものであり、フランジ当接ボルト65bは、後述するアスベスト31の除去の際に、アスベスト31が除去されて生じる枠部51と鉄骨梁22のフランジ22a、22bとの間隔を維持するものである。ウェブ当接ボルト65a、フランジ当接ボルト65b、及び、ガイド部材58が規制部56に相当する。
上下に間隔を隔てて設けられた各鉄骨梁22には、上下に対向する位置に枠部材50が取り付けられている。そして、軽量形鋼材32には、左右方向の中央にて、上下の横山形鋼52、53の鉛直方向に起立する一方の板部52a、53aにボルトにて、他方の板部52b、53bと反対側に固定されている。
壁部材34は、上下に位置する2本の鉄骨梁22と、前後に位置する2本の鉄骨柱23とにより囲まれた空間に設けられるとともに、2本の鉄骨梁22、2本の鉄骨柱23、及び、中空構造体10の内周面をなす天井面10a及び床面10bとの間に空隙10c(図9)を備えて配置された壁面材35と、壁面材35に固定されて前記空隙10cを閉塞する複数の中継部材36と、を有している。壁面材35は、例えばW300mm×L3000mmのガルバリウム鋼板でなる複数枚の板材35aが、各々の端部同士が重なるように並べられ、上鉄骨梁22と下鉄骨梁22との間の空間を仕切るべく設けられて軽量形鋼材32に固定されている。各板材35aには、1つの辺に沿わせて複数の溝が、溝の方向と直交する方向に等間隔に設けられており、互いに隣接する板材35aは、端部側に設けられた溝が重なり合って嵌り込むように配置されている。そして、壁面材35と2本の鉄骨梁22、2本の鉄骨柱23、天井面10a及び床面10b、との間の空隙10cは、中継部材36にて塞がれている。
中継部材36は、断面がL字状をなす鋼板であり、L字をなす一方の板部が壁面材35の一方の面に当接されてビスにて固定される固定板部36bであり、他方の板部が2本の鉄骨梁22及び2本の鉄骨柱23を覆うアスベスト31の表面に設けられた飛散防止シート38、天井面10a及び床面10b、に当接される当接板部36aをなしている。
アスベスト31は鉄骨梁22及び鉄骨柱23の表面に吹き付けられているが、2本の鉄骨梁22及び2本の鉄骨柱23にて囲まれた空間、1本の鉄骨梁22と2本の鉄骨柱23と天井面10aまたは床面10bにて囲まれた空間は、鉄骨梁22及び鉄骨柱23の外面が内側に臨んでいるので、アスベスト31に設けられた飛散防止シート38の表面もほぼ平坦である。また、天井面10aまたは床面10bも平坦なので、L字状をなす中継部材36の当接板部36aをアスベスト31上の飛散防止シート38、天井面10a、床面10bに並べて当接させて壁面材35に固定することにより、2本の鉄骨梁22及び2本の鉄骨柱23にて囲まれた空間、及び、1本の鉄骨梁22と2本の鉄骨柱23と天井面10aまたは床面10bにて囲まれた空間が閉塞される。
気密性シート40は、例えば、ポリエチレンシートやPETシート等であり、壁部材34の両面に設けられ、壁面材35の全面と周端部に固定された複数の中継部材36の固定板部36bに架け渡すように貼り付けられている。具体的には、気密性シート40は粘着テープ等により面接触状態に貼り付けられている。
<<仕切り壁の設置方法及びアスベストの処理方法>>
本実施形態では、2つの乗りかご13が左右に並列して設けられた2連式のエレベーターEVのエレベーターシャフトEVS内にて、右側の昇降空間TRRからアスベスト31の処理を行うこととして説明する。ここでアスベスト31の処理には、既存のアスベスト31を除去する除去処理と、アスベスト31を除去した部位に新たな耐火被覆としてロックウール46を施す耐火被覆処理とが含まれる。
エレベーターシャフトEVSの右側の昇降空間TRRにてアスベスト31の除去処理を行う場合には、まず、右側の昇降空間TRRと左側の昇降空間TRLとの間に仕切り壁30を設置する。仕切り壁30は、右側の昇降空間TRRと左側の昇降空間TRLとの間にて前後にそれぞれ配置されている鉄骨柱23間に掛け渡されている複数の鉄骨梁22を利用して設置する。以下の説明では、仕切り壁30の設置方法を明確にすべく鉄骨梁22の周辺を主に説明する。また、右側の昇降空間TRRを先に処理を行う先作業空間WSBといい、左側の昇降空間TRLを先作業空間WSBより後に処理を行う後作業空間WSAという。
仕切り壁30を設置する際には、まず、処理対象の昇降空間TR(ここでは先作業空間WSB)に位置する乗りかご13や吊りロープR等を取り外す。そして、図1に示すように中空構造体10の天井面10aから、処理対象の昇降空間TR内に吊りワイヤー73を垂下する。また、エレベーターシャフトEVSの床面10b上に、作業ゴンドラ71を搬入するとともに、吊りワイヤー73の下端を作業ゴンドラ71の巻き上げ機75にセットする。そして、これにより、作業ゴンドラ71は、処理対象のエレベーターEVの昇降空間TRにおいて使用可能状態となる。作業者はこの作業ゴンドラ71を移動させつつアスベスト31の除去処理及び耐火被覆処理を実行する。また、エレベーターシャフトEVS内には作業空間内を換気すべく作業空間内の空気を吸い込む集塵機を備えておく。
図6は、鉄骨梁及び鉄骨柱を覆うアスベストの表面に貼り付けられた飛散防止シートを示す図であり、図6(a)は縦断面図、図6(b)は平断面図を示している。
仕切り壁30を設置する際には、まず、図6に示すように、仕切り壁30を形成する壁部材34が固定されたときの位置を想定し、壁部材34の周縁部に取り付けられる中継部材36が当接される位置、即ち、エレベーターシャフトEVSに露出する、鉄骨梁22及び鉄骨柱23を被覆しているアスベスト31の表面に飛散防止シート38を貼着する。この作業は、飛散防止シート38が貼着される箇所に、HEPAフィルター付きの掃除機の吸引口を向けて吸引しつつ作業を進める。このとき貼着する飛散防止シート38の幅は、中継部材36の当接板部36aの左右方向の幅より広くしておく。
次に、2本のボルト65を螺合したガイド部材58を取り付けた2本の縦山形鋼54、55と、上横山形鋼52とを2本のボルト60とナット61にてコ字状をなすように緩めに締結し、一方の縦山形鋼54の下端側に下横山形鋼53をボルト60とナット61にて緩めに締結した複数の枠部材50を用意しておく。
図7は、鉄骨梁に取り付けられた枠部材を示す図であり、図7(a)は縦断面図、図7(b)は平断面図を示している。図8は、枠部材が有する規制部を説明するための平断面図である。
次に、下横山形鋼53が連結されていない枠部材50を、鉄骨梁22の飛散防止シート38が設けられた位置にて上方から、上横山形鋼52が鉄骨梁22上に位置し、2本の縦山形鋼54、55が鉄骨梁22の左右に位置するように、各鉄骨梁に22に前後方向に間隔を隔てて載置する。そして、図7に示すように、鉄骨梁22上に載置した枠部材50の下横山形鋼53を縦山形鋼55の下端と連結してほぼ矩形状にするとともに、各山形鋼52、53、54、55が有する長孔52c、53c、54c、55cにより、上下の横山形鋼52、53及び左右の縦山形鋼54、55の上下端部側を、鉄骨梁22を覆うアスベスト31に貼着した飛散防止シート38に当接させる(枠材取付工程)。その後、図8に示すように、ガイド部材58の長ナット63に螺合されたウェブ当接ボルト65aを回して、ガイド部材58を、ウェブ22cを覆うアスベスト31に貼着した飛散防止シート38に当接させる。このとき、上下に位置する鉄骨梁22においては、図3に示すように枠部材50を上下に対向する位置に配置しておく。また、このとき、8本のフランジ当接ボルト65bは、長ナット63に螺合しておいても良いが、ここでは取り外しておく。
図9は、上下の鉄骨梁間に設けられた軽量形鋼材及び壁部材を示す図であり、図9(a)は縦断面図、図9(b)は平断面図を示している。
次に、上下に位置する鉄骨梁22取り付けられ、上下に対向する位置に配置された2つの枠部材50間に、鉛直方向に沿って配置した軽量形鋼材32の上下端部を固定する(軽量形鋼材立設工程)。このとき、軽量形鋼材32の上端部は、上側に位置する鉄骨梁22に取り付けられた枠部材50の下横山形鋼53の他方の板部53bにボルト60とナット61とにて固定し、軽量形鋼材32の下端部は、下側に位置する鉄骨梁22に取り付けられた枠部材50の上横山形鋼52の他方の板部52bにボルト60とナット61とにて固定する(軽量形鋼材取付工程)。上下に位置する鉄骨梁22間に設けられた各軽量形鋼材32は、枠部材50の左右方向におけるほぼ中央に固定されて、各軽量形鋼材32の先作業空間WSBに臨む面がほぼ直線状をなすように配置される。このとき、前後方向において鉄骨梁22に固定する軽量形鋼材32の数及び間隔は、後作業空間WSAを昇降する乗りかご13により生じる風圧に応じて適宜設定される。具体的には、後作業空間WSAを昇降する乗りかご13の昇降速度が速い場合には大きな風圧が仕切り壁30に作用するので、前後方向に隣り合う軽量形鋼材32の間隔が狭く、使用する軽量形鋼材32の数は多く設定する。一方、後作業空間WSAを昇降する乗りかご13の昇降速度が遅い場合には仕切り壁30に作用する風圧は小さいので、前後方向に隣り合う軽量形鋼材32の間隔が広く、使用する軽量形鋼材32の数は少なく設定する。
次に、鉄骨梁22間に設けられた軽量形鋼材32の先作業空間WSBに臨む面に、形成される仕切り壁30の全面を覆うように気密性シート40を貼り付ける。そして、貼り付けられた気密性シート40の後作業空間WSA側からガルバリウム鋼板でなる板材35aを当接させてビスにて固定する(壁面形成工程)。このとき、1枚の板材35aは、上下に隣り合う鉄骨梁22間の領域より狭いため、隣接する板材35aの端部同士が互いに重なり合うように配置しつつビスにて固定していく。具体的には、隣接する各板材35aの端部側の溝状の凹部同士が重なり合って嵌り込むように重ね合わせた状態にてビスにて固定して壁面をなす壁面材35を形成する。
形成された壁面材35の上縁は、上側の鉄骨梁を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間に空隙10cを有し、壁面材35の下縁は下側の鉄骨梁22を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間に空隙10cを有し、壁面材35の前後の縁は、鉄骨梁22が架け渡されている鉄骨柱23を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間に空隙10cを有している。また、最も上に位置する壁面材35の上縁は、エレベーターシャフトEVSの天井面10aと、最も下に位置する壁面材35の下縁は、エレベーターシャフトEVSの床面10bとの間に間隔が隔てられて空隙10cが設けられている。
図10は壁部材を説明するための図であり、図10(a)は縦断面図、図10(b)は平断面図を示している。
次に、図10に示すように、上下の鉄骨梁22を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38、鉄骨柱23を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38に中継部材36の当接板部36aを当接させ、固定板部36bを壁面材35の周端部に後作業空間WSA側から重ねるとともにビスにて固定する(閉塞工程)。また、エレベーターシャフトEVSの天井面10a及び床面10bは平坦なので、水平方向に沿わせた各々1本の中継部材36の当接板部36aをエレベーターシャフトEVSの天井面10a及び床面10bに当接させた状態にて中継部材36の固定板部36bを壁面材35に後作業空間WSA側から固定する。ここで、エレベーターシャフトEVSの天井面10a及び床面10bに当接させる中継部材36は1本に限るものではないが、1本であれば継ぎ目が発生しないので気密状態が確保し易い。ここで、壁面形成工程と閉塞工程とが壁形成工程に含まれる。
中継部材36により、壁面材35と、上下の鉄骨梁22を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間の空隙10c、鉄骨柱23を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間の空隙10c、天井面10a及び床面10bとの間の空隙10cを閉塞した後に、後作業空間WSA側から壁面材35に、壁面材35の先作業空間WSB側と同様に覆う気密性シート40を貼り付ける。この状態にて、先作業空間WSBと後作業空間WSAとを仕切り密閉区画する仕切り壁30が完成する。ここで、先作業空間WSB側から壁部材34を覆う気密性シート40の貼着も壁形成工程に含まれる。
仕切り壁30により先作業空間WSBと後作業空間WSAとが密閉状態に仕切られた後に、後作業空間WSAでは乗りかご13を昇降させてエレベーターEVを稼働させつつ先作業空間WSBにてドライアイスブラスト工法によりアスベスト31の除去処理を実行する。
アスベスト31の除去処理は、以下の手順にて行われる。
図11は、先作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図11(a)は縦断面図、図11(b)は平断面図を示している。
まず、先作業空間WSBに対する乗り場出入口28a等の隙間をポリエチレンシート等で密閉養生する。また、床面10bには、その全面に亘り養生シートを敷いて覆っておく。
次に、集塵機を稼働させ、作業空間WS内を負圧状態にする。
作業者は、作業ゴンドラ71に乗りながら先作業空間WSB内を上下昇降することにより鉄骨梁22を被覆しているアスベスト31の付着部位へと接近し、飛散防止シート38より先作業空間WSB側のアスベスト31をけれん棒等により掻き落とし、残ったアスベスト31を、ドライアイスブラスト装置を用いて除去していく。このとき、鉄骨梁22の、枠部材50が取り付けられている部位の周辺は、アスベスト31が除去されることにより枠部材50と飛散防止シート38との間に空隙が生じる。このため、枠部材50の周辺では、アスベスト31を除去しつつ、ガイド部材58に螺合されているウェブ当接ボルト65aを鉄骨梁22側に進入させてウェブ当接ボルト65aの先端を鉄骨梁22のウェブ22cに当接させる。また、鉄骨梁22のフランジ22a、22bには、枠部材50が有する上下の横山形鋼52、53及び左右の縦山形鋼54、55に設けた長ナット63にフランジ当接ボルト65bを螺合させ、螺合されたフランジ当接ボルト65bを進入させてフランジ当接ボルト65aの先端を鉄骨梁22のフランジ22a、22bに当接させる。これらのウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bは、アスベスト31が除去された部位から順次鉄骨梁22に当接させることにより、枠部材50が鉄骨梁22から外れることを防止している。
このとき、図11に示すように、鉄骨柱23側は、アスベスト31の表面に貼り付けた飛散防止シート38の際までアスベスト31を除去しておく。また、鉄骨梁22側は、設けられた壁部材34の際までアスベスト31を除去しておく。このとき、鉄骨梁22側に設けられた飛散防止シート38は、必要に応じて剥がしてアスベスト31を除去する。ここで、ドライアイスブラスト装置から噴射したドライアイス粒は、アスベストに衝突後に昇華して二酸化炭素ガスとなり作業空間WS中の下部に溜まるが、溜まった二酸化炭素ガスは、集塵機の吸気口から吸い込まれて速やかに外部空間に排気される。
そして、アスベスト31が除去されて露出した部位に液体状の飛散防止剤42を吹き付ける。このとき、除去により床面10bの養生シート上に落下等したアスベスト31は掃除機等で吸い込んで先作業空間WSB内から排出しておく。
図12は、突当部材を取り付けた状態及び先作業空間側にてロックウールの被覆を施す処理を説明するための図であり、図12(a)は縦断面図、図12(b)は平断面図を示している。
飛散防止剤42を吹き付けた後に、図12に示すように、壁面材35と、上下の鉄骨梁22を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間の空隙10c、鉄骨柱23を覆うアスベスト31に貼着された飛散防止シート38との間の空隙10cを先作業空間WSB側から覆い、飛散防止剤42が吹き付けられた鉄骨梁22及び鉄骨柱23に対し突き当てられる覆い部材としての突当部材44を先作業空間WSB側から壁面材35に取り付ける。突当部材44は、平板状の部材である。
突当部材44は、壁面材35に固定されると、壁面材35より先作業空間WSB側に位置し、飛散防止シート38より右側(先作業空間WSB側)にて飛散防止剤42が吹き付けられた鉄骨梁22及び鉄骨柱23に突き当てられた状態にて、壁面材35と平行に突き当てられる。即ち、突当部材44は当接面に対しほぼ直交するように、飛散防止シート38及び鉄骨梁22側にてアスベスト31と対向する中継部材36より右側にて壁面材35に突き当てられる。
突当部材44を取り付けた後に、図12に示すように、先作業空間WSBの飛散防止剤42が吹き付けられた部位に、新たな耐火被覆材としてロックウール46を吹き付けて先作業空間WSBでのアスベスト除去処理が完了する。
次に、後作業空間WSA側のアスベスト除去処理を実行する。
まず、右側の昇降空間TRLの場合と同様に左側の昇降空間TRLの乗りかご13や吊りロープR等を取り外す。そして、既にアスベスト31の除去処理が完了した右側の昇降空間TRRから吊りワイヤー73、作業ゴンドラ71、作業ゴンドラ71の巻き上げ機75、集塵機等を取り外して左側の昇降空間TRLにセットする。また、右側の昇降空間TRRには、乗りかご13や吊りロープR等をセットして、エレベーターEVを稼働させる。
左側の昇降空間TRLに対する乗り場出入口28a等の隙間をポリエチレンシート等で密閉養生すると、左側の昇降空間TRLが密閉された作業空間WSとなる。また、床面10bには、その全面に亘り養生シートを敷いて覆い、集塵機を稼働させ、作業空間WS内を負圧状態にする。
図13は、後作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図13(a)は縦断面図、図13(b)は平断面図を示している。
後作業空間WSAのアスベスト除去処理は、まず、図13に示すように、先作業空間WSB側に突当部材44が設けられている空隙10cを後作業空間WSA側から覆っている中継部材36を後作業空間WSA側から撤去する。突当部材44と対向する位置に設けられた中継部材36を取り外した状態であっても、後作業空間WSAの密閉状態は維持されている。
図13に示すように、中継部材36が当接されていた飛散防止シート38を撤去し、後作業空間WSA内のアスベスト31の除去処理を実行する。アスベスト31の除去処理は、右側の昇降空間TRRの場合と同様である。
図14は、後作業空間側にて鉄骨梁にロックウールの被覆を施す処理を説明するための図であり、図14(a)は縦断面図、図14(b)は平断面図を示している。
後作業空間WSAにてアスベスト31の除去が終了したら、図14に示すように、アスベスト31が除去されて露出した部位に液体状の飛散防止剤42を吹き付け、飛散防止剤42が吹き付けられた部位に、新たな耐火被覆材としてロックウール46を吹き付ける。
図15は、突当部材を取り外した後に形成されるロックウールの隙間を示す図であり、図15(a)は縦断面図、図15(b)は平断面図を示している。
ロックウール46の吹き付けが終了した後、壁面材35、気密性シート40、軽量形鋼材32、突当部材44、即ち、仕切り壁30と枠部材50を撤去する。このとき突当部材44は、先作業空間WSBにて吹き付けたロックウール46と、後作業空間WSAにて吹き付けたロックウール46との間から引き抜くように撤去する。また、枠部材50に螺合され鉄骨梁22に当接されていたボルト65も撤去する。突当部材44及び枠部材50の規制部56を構成するボルト65を撤去した後には、図15に示すように、先作業空間WSBにて吹き付けたロックウール46と、後作業空間WSAにて吹き付けたロックウール46との間に突当部材44の厚み分の隙間46aと、ボルト65が取り除かれた孔が生じるので、この隙間46a及び孔にロックウール46を充填して補修する。ロックウール46の補修が完了すると、左側の昇降空間TRLと、右側の昇降空間TRRにおけるアスベスト31の除去処理が完了する。
本実施形態の仕切り壁30によれば、アスベスト31の処理をする際に中空構造体10を仕切る仕切り壁30が、互いに隣り合う昇降空間TRの間に位置し、上下方向に互いに間隔を隔てて配置された鉄骨梁22の間に設けられた軽量形鋼材32に壁部材34が固定されて構成されているので、鉄骨梁22の、水平方向におけるいずれかの側に設けられた軽量形鋼材32に壁部材34が固定される場合より、水平方向において仕切り壁30に占有される領域が狭い。このため、互いに隣り合う昇降空間TRの間が狭い中空構造体10内であっても、作業空間を密閉することが可能な仕切り壁30を提供することが可能である。また、鉄骨梁22が設けられた中空構造体10内であっても複数の空間に区分けして密閉することが可能な仕切り壁30を提供することが可能である。
また、上下に位置する2本の鉄骨梁22と、前後に位置する2本の鉄骨柱23とにより囲まれた空間に、設けられた壁部材34と2本の鉄骨梁22と2本の鉄骨柱23との間の空隙10cを、複数の中継部材36にて閉塞するので、2本の鉄骨梁22と2本の鉄骨柱23とにより囲まれた空間をより確実に密閉する仕切り壁30を提供することが可能である。
また、中継部材36は、飛散防止シート38を介して2本の鉄骨梁22及び2本の鉄骨柱23のアスベスト31側に当接されるので、中継部材36を取り付けることによるアスベスト31の飛散を防止することが可能である。
また、鉄骨梁22に前後方向に互いに間隔を隔てて複数設けられた軽量形鋼材32は、その上下端部がアスベスト31に覆われた鉄骨梁22を囲むように取り付けられた枠部材50に固定されているので、軽量形鋼材32は、直接アスベスト31に接触しない。このため、軽量形鋼材32を、2本の鉄骨梁22の間に設ける際に、アスベスト31が飛散することを防止することが可能である。
また、鉄骨梁22を覆うアスベスト31を囲む枠部材50は、アスベスト31との間に飛散防止シート38を介して取り付けられるので、枠部材50を取り付ける際に、アスベスト31が飛散することを防止することが可能である。
また、枠部材50は、鉄骨梁22を覆うアスベスト31が除去されて枠部材50と鉄骨梁22との間に隙間が生じても、規制部56により枠部材50の移動が規制される。このため鉄骨梁22と枠部材50との間のアスベスト31を除去しても、壁部材34にて密閉された状態を維持することが可能である。
また、枠部材50は、鉄骨梁22に対して進退方向に移動可能なウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bにより移動が規制されるので、ウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bを回転させることにより、枠部材50からのウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bの突出量を容易に調整できる。このため、アスベスト31の厚みに係わらず使用可能な汎用性の高い枠部材50を実現することが可能である。
また、規制部56をなすウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bが、鉄骨梁22を左右方向及び上下方向から挟む部位からそれぞれ突出されるので、鉄骨梁22を挟むように設けられたウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bにより、鉄骨梁22を挟持して、枠部材50の位置を維持させることが可能である。また、鉄骨梁22を狭持する、ウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bは先端が小さいので、アスベスト31に当接される面積が小さく、枠部材50が取り付けられた状態であっても、より多くのアスベスト31を除去することが可能である。また、ウェブ当接ボルト65a及びフランジ当接ボルト65bは、上下方向及び左右方向からからそれぞれ突出されて複数設けられているので、あるボルト65と鉄骨梁22との間に設けられているアスベスト31を除去する際には、他のボルト65にて枠部材50の位置を規制できるので、鉄骨梁22を覆うアスベスト31を余すことなく除去することが可能である。
また、壁面材35は、複数枚の板材35aが、互いに隣接する当該板材35aの端部同士が重なるように並べられて壁面が形成されているので、2本の鉄骨梁22及び2本の鉄骨柱23にて囲まれる領域をより確実に密閉する仕切り壁30を提供することが可能である。また、壁部材34が気密性シート40にて覆われているので、壁部材34を構成する壁面材35と中継部材36との間及び壁面材35を構成し隣接する複数の板材35a間をより確実に密閉することが可能である。さらに、壁部材34の両面が気密性シート40にて覆われているので、壁部材34を構成する壁面材35と中継部材36との間及び壁面材35を構成し隣接する複数の板材35a間を両面からより確実に密閉することが可能である。また、仕切り壁30により仕切られた空間の一方側の処理が終了した後に一方側の気密性シート40を取り外しても、仕切り壁30の密閉性を維持したままで他方側の処理を行うことが可能である。
また、本実施形態の仕切り壁30の設置方法によれば、中空構造体10内を仕切る仕切り壁30を、上下に対向する一対の鉄骨梁22間に立設させた複数の軽量形鋼材32に壁部材34を固定して上下に対向する一対の鉄骨梁22間に壁面を形成するので、互いに隣り合う昇降空間TRの間に設けられた鉄骨梁22からの突出量を抑えて、上下方向に繋がった壁面を形成して中空構造体10内を仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間TRの間に仕切り壁30の上下方向に繋がった壁面を形成するので、アスベスト31の処理をするための空間を密閉することが容易である。さらに、壁部材34を、上下に対向する一対の鉄骨梁22に、上端部と下端部とがそれぞれ固定された複数の軽量形鋼材32に壁部材34を固定することにより、隣接する昇降空間TRにて物体が昇降し風圧が壁面に作用しても撓みにくい剛性を備えることが可能である。
また、壁部材34の壁面材35を構成する複数の板材35aを、互いに隣接する板材35aの端部同士が重なるように並べるので、より高い密閉性を備えた仕切り壁30を形成することが可能である。また、壁面材35と、上下に位置する鉄骨梁22、前後に位置する鉄骨柱23、及び、中空構造体10の天井面10a及び床面10b、との間に形成された空隙10cを、複数の中継部材36を取り付けることにより閉塞するので、単に壁面材35のみにて壁部材34を形成する場合より、調整代を確保することが可能であり、壁面材35と、上下に位置する鉄骨梁22、前後に位置する鉄骨柱23、及び、中空構造体10の天井面10a及び床面10b、との間の空隙10cを中継部材36にて、より確実に塞ぐことが可能である。
また、中空構造体10内のアスベスト31が付着している箇所は、中継部材36が当接される位置のアスベスト31の表面に飛散防止シート38が設けられているので、中継部材36を設ける際に、中継部材36とアスベスト31とが直接接しないため中継部材36を取り付けることによるアスベスト31の飛散を防止することが可能である。
また、アスベスト31に覆われて上下に対向する一対の鉄骨梁22であっても、鉄骨梁22を囲む枠部材50を設けることにより、軽量形鋼材32を取り付けることが可能である。
また、枠部材50が取り付けられる部位もアスベスト31に覆われているので、枠部材50が取り付けられる位置のアスベスト31の表面にも飛散防止シート38を設けることにより、枠部材50を取り付けることによるアスベスト31の飛散を防止することが可能である。
また、壁部材34を覆う気密性シート40が軽量形鋼材32と壁部材34との間に設けるので、壁部材34の軽量形鋼材32側の面を気密性シート40にて覆い密閉空間を形成することが可能である。さらに、壁部材は両面から気密性シートに覆われるので、さらに高い気密性を確保することが可能である。
また、上記仕切り壁30を用いたアスベスト31の処理方法によれば、壁部材34により先作業空間WSBと後作業空間WSAとに密閉区画された後に、先作業空間WSB側の付着物が除去されるので、除去されたアスベスト31が外部に飛散することを確実に防止することが可能である。このとき、除去されたアスベスト31は後作業空間WSAにも飛散しないので、後作業空間WSAは先作業空間WSBでのアスベスト31の除去処理に拘わらず使用することが可能である。また、アスベスト31が除去された部位には飛散防止剤42を塗装するので、アスベスト31の飛散をより確実に防止することが可能である。さらに、突当部材44を取り付けてから飛散防止シート38に当接されている中継部材36を取り外すので、先作業空間WSB内を密閉区画した状態を保ったままで、即ち、先作業空間WSBと後作業空間WSAとが連通されることなく、中継部材36を取り外すことが可能である。また、突当部材44を取り付けた後に、突当部材44より先作業空間WSB側にロックウール46を付着させる処理を実行するので、アスベスト31が付着していた部位の突当部材44より先作業空間WSB側をロックウール46にて覆うことが可能である。
また、突当部材44を先作業空間WSBにて飛散防止剤42が塗装された部位に当接するので、アスベスト31が確実に飛散防止処理された領域にて先作業空間WSB側と後作業空間WSAとを区画することが可能である。このため、突当部材44を取り付けた後に中継部材36を取り外しても先作業空間WSB側にアスベスト31が残存することを確実に防止することが可能である。
また、突当部材44を、飛散防止剤42が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部にて、飛散防止剤42が塗装された部位に当接するので、突当部材44の、上下に位置する鉄骨梁22、前後に位置する鉄骨柱23、及び、中空構造体10の天井面10a及び床面10bとの接触面積を小さくすることが可能であり、より広い領域にロックウール46を付着させることが可能である。
また、先作業空間WSBにて飛散防止剤42が塗装された部位に当接された突当部材44の後作業空間WSA側にてアスベスト31を除去した後に、飛散防止剤42を塗装するので、アスベスト31が付着していた部位の全域に余すことなく飛散防止剤42を塗装することが可能である。そして、突当部材44が当接していた部位、すなわち、突当部材44の板厚分を除いた領域にロックウール46を付着させることが可能である。また、突当部材44を当該突当部材44が当接された部位と直交する方向に引き抜いて取り外すので、突当部材44を取り外しても突当部材44の板厚分の隙間が形成されるだけで、付着されたれたロックウール46を剥がすことなく突当部材44を取り外すことが可能である。
また、突当部材44を引き抜いて形成された隙間46aにもロックウール46を充填することが可能である。このため、アスベスト31が付着していた部位の全域をロックウール46にて覆うことが可能である。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、中空構造体10の内部空間の一例としてエレベーターシャフトEVSを示したが、何等これに限るものではなく、多連式のタワーパーキング(立体駐車場とも言い、タワー状構造物の内部空間に、複数の自動車を上下昇降するための無端の周回軌道を設けたもの)を中空構造体として、これに適用しても良い。すなわち、タワーパーキングの内部空間には、複数の周回軌道が水平方向の左右に並列に設けられており、各周回軌道は、それぞれ独立に周回運動可能である。
上記実施形態においては、エレベーターシャフトEVSの前後に鉄骨柱23が設けられており、前後の鉄骨柱23に架け渡して鉄骨梁22が設けられている例について説明したが、鉄骨柱は必ずしもエレベーターシャフトEVSの前後に設けられていなくてもよい。例えば、鉄骨梁22が設けられている2本の鉄骨柱23がいずれもエレベーターシャフトEVSの外側に設けられており、鉄骨梁22のみがエレベーターシャフトEVSに設けられていたり、前後のいずれか一方の鉄骨柱23のみがエレベーターシャフトEVSに設けられていてもよい。
上述の実施形態では、気密性シート40は一枚ものであるように説明したが、これに限らず、気密性シート40を適宜なサイズの複数のシートから構成し、これらを粘着テープ等によって繋ぎ合わせて上記の仕切り壁30の大きさまで大きくしても良い。また、壁部材を重ね合わせただけで十分な密閉空間が形成できれば、気密性シートは必ずしも設けなくてもよい。また、重ね合わせた壁部材の継ぎ目にシール材を充填しても良い。
上記実施形態においては、アスベスト31の表面に貼着する飛散防止シートを耐火性を有するシートとしたが、必ずしも耐火性を有していなくても良い。
上記実施形態においては、壁面材35をガルバリウム鋼板としたが、これに限るものではなく、設置するエレベーターシャフトEVSに合わせた板材であれば構わない。例えば、隣接する昇降空間にて乗りかごが高速にて昇降するエレベーターの場合には、仕切り壁が高い風圧を受けるので、壁面材として剛性の高い板材を用いることが望ましい。また、軽量形鋼材32を角パイプ材としたが、これに限るものではなく、設置するエレベーターシャフトEVSに合わせた鋼材であれば構わない。この場合にも、隣接する昇降空間にて乗りかごが高速にて昇降するエレベーターの場合には、仕切り壁が高い風圧を受けるので、下地材として剛性の高い鋼材を用いることが望ましい。その他の使用材についても同様である。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が無い状態でアスベスト処理を行う場合を例示したが、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が在る状態でアスベスト処理を行っても良い。なお、この場合には、乗りかご13は、アスベストの処理作業の邪魔にならないように、エレベーターシャフトEVSの上端又は下端へ移動されており、上端又は下端の無害化処理をする際には、乗りかご13は処理済みの位置へ移動されるのは言うまでもない。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に作業ゴンドラ71を持ち込んでアスベストの処理作業を行っていたが、各エレベーターEV(昇降空間TR)が具備する乗りかご13を作業ゴンドラ71の代わりに使用しても良い。すなわち、乗りかご13の屋根面に作業者が乗って処理作業を行っても良い。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
10 中空構造体、10a 天井面、10b 床面、10c 空隙、
13 乗りかご、19 巻き上げ機、20 柱梁架構、22 鉄骨梁、
22a フランジ、22b フランジ、22c ウェブ、23 鉄骨柱、
25 開閉扉、28 側壁、28a 乗り場出入口、30 仕切り壁、
31 アスベスト、32 軽量形鋼材、34 壁部材、35 壁面材、
35a 板材、36 中継部材、36a 当接板部、36b 固定板部、
36c 中継部材、38 飛散防止シート、40 気密性シート、
42 飛散防止剤、44 突当部材(覆い部材)、46 ロックウール、
46a 隙間、50 枠部材、51 枠部、52 上横山形鋼、
52a 一方の板部、52b 他方の板部、53 下横山形鋼、
53a 一方の板部、53b 他方の板部、54 縦山形鋼、
54a 一方の板部、54b 他方の板部、55 縦山形鋼、
55a 一方の板部、55b 他方の板部、56 規制部、
58 ガイド部材、60 ボルト、61 ナット、63 長ナット、
65 ボルト、65a ウェブ当接ボルト、65b フランジ当接ボルト、
71 ゴンドラ、73 ワイヤー、75 巻き上げ機、
EV エレベーター、EVH エレベーターホール、
EVS エレベーターシャフト、TR 昇降空間、
TRL 左側の昇降空間、TRR 右側の昇降空間、
WS 作業空間、WSA 後作業空間、WSB 先作業空間

Claims (23)

  1. 物体を上下昇降する複数の昇降空間が、外周部が付着物に覆われた本設梁を挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、前記付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁であって、
    互いに隣り合う前記昇降空間の間に位置し、上下方向に互いに間隔を隔てて配置された複数の前記本設梁の間に設けられた軽量形鋼材と、
    前記軽量形鋼材に固定され、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材と、を備えていることを特徴とする仕切り壁。
  2. 請求項1に記載の仕切り壁であって、
    前記本設梁は、前記中空構造体内に前記左右と交差する前後方向に沿って設けられており、
    前記壁部材は、前記複数の本設梁と、前記中空構造体の内周面とにより囲まれた空間に設けられるとともに、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面との間に空隙を備えて配置された壁面材と、
    前記壁面材に固定され、前記空隙を閉塞する複数の中継部材と、を有することを特徴とする仕切り壁。
  3. 請求項2に記載の仕切り壁であって、
    前記壁面材と前記付着物との間を閉塞する場合には、
    当該付着物の表面に設けられた飛散防止シートが前記内周面をなし、前記飛散防止シートに前記中継部材が当接されて前記空隙が閉塞されていることを特徴とする仕切り壁。
  4. 請求項2または請求項3に記載の仕切り壁であって、
    前記軽量形鋼材は、前記本設梁に前記前後方向に互いに間隔を隔てて複数設けられ、
    各々の前記軽量形鋼材は、上下に対向する前記本設梁にそれぞれ設けられ、当該本設梁を覆う前記付着物とともに当該本設梁を囲む枠部材に、上下の端部が固定されていることを特徴とする仕切り壁。
  5. 請求項4に記載の仕切り壁であって、
    前記枠部材は、前記本設梁を覆う前記付着物に設けられた飛散防止シート上に取り付けられていることを特徴とする仕切り壁。
  6. 請求項4または請求項5に記載の仕切り壁であって、
    前記処理は、前記付着物を除去する処理であり、
    前記枠部材は、前記本設梁を覆う前記付着物が除去されて前記枠部材と前記本設梁との間に隙間が生じた際に、当該枠部材が移動することを規制する規制部を有することを特徴とする仕切り壁。
  7. 請求項6に記載の仕切り壁であって、
    前記枠部材が有する前記規制部は、前記枠部材に螺合されて前記本設梁に向かって進退方向に移動可能に設けられたボルトであることを特徴とする仕切り壁。
  8. 請求項7に記載の仕切り壁であって、
    前記ボルトは、前記枠部材の前記本設梁を左右方向から挟む部位からそれぞれ突出されて複数設けられていることを特徴とする仕切り壁。
  9. 請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の仕切り壁であって、
    前記壁面材は、複数枚の板材が、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べられて壁面が形成されていることを特徴とする仕切り壁。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の仕切り壁であって、
    前記壁部材を覆う気密性シートが設けられていることを特徴とする仕切り壁。
  11. 請求項10に記載の仕切り壁であって、
    前記気密性シートは、前記壁部材の両面にそれぞれ設けられていることを特徴とする仕切り壁。
  12. 物体を上下昇降する複数の昇降空間が、外周部が付着物に覆われた本設梁を挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、前記付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁の設置方法であって、
    前記本設梁は、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
    上下に対向する一対の前記本設梁に、複数の軽量形鋼材を、各々の前記軽量形鋼材の上端部と下端部とをそれぞれ固定させて立設させる軽量形鋼材立設工程と、
    前記一対の本設梁間に設けられ、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材を、立設された前記軽量形鋼材に固定して壁面を形成する壁形成工程と、を有することを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  13. 請求項12に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記本設梁は、前記中空構造体内に前記左右と交差する前後方向に沿って設けられており、
    前記壁部材は、前記複数の本設梁と、前記中空構造体の内周面とにより囲まれた空間に設けられるとともに、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面との間に空隙を備えて配置された壁面材と、
    前記壁面材に固定され、前記空隙を閉塞する複数の中継部材と、を有し、
    前記壁形成工程は、
    前記複数の板材を、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べ、前記壁面材を、前記各々の複数の本設梁と、前記中空構造体の内周面との間に空隙を形成して前記壁面を形成する壁面形成工程と、
    前記複数の中継部材を、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面側に当接させて前記壁面材に固定し、前記空隙を閉塞する閉塞工程と、を有することを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  14. 請求項13に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記中空構造体内の前記付着物が付着している箇所は、
    前記中継部材が当接される位置の当該付着物の表面に飛散防止シートを設け、前記飛散防止シートを介して前記中継部材を、各々の前記本設梁及び前記中空構造体の内周面側に当接させることを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  15. 請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記軽量形鋼材立設工程は、上下に対向する一対の前記本設梁の各々に、当該本設梁を覆う前記付着物とともに前記本設梁を囲む枠部材を取り付ける枠材取付工程と、
    前記一対の本設梁に取り付けられた前記枠部材に前記軽量形鋼材を取り付ける軽量形鋼材取付工程と、を有することを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  16. 請求項15に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記枠部材が取り付けられる位置の前記付着物の表面に飛散防止シートを設けることを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  17. 請求項13乃至請求項16に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記壁面形成工程では、前記壁部材を覆うための気密性シートを前記軽量形鋼材と前記壁部材との間に設けることを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  18. 請求項17に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記閉塞工程では、前記壁部材の前記気密性シートと反対側の面に、新たな気密性シートを設けることを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  19. 請求項4乃至請求項11のいずれかに記載の仕切り壁を用いた付着物の処理方法であって、
    前記中空構造体内は、前記壁部材にて、前記付着物が先に処理される先作業空間と、後で処理される後作業空間とに区画され、
    前記壁部材は、前記先作業空間側に設けられ、前記中継部材は前記壁面材に前記先作業空間側から固定されており、
    前記先作業空間側にて前記付着物を除去し、除去した部位に飛散防止剤を塗装し、
    前記飛散防止シートに当接された前記中継部材を取り外した場合に前記先作業空間と前記後作業空間とが連通される部位を覆う覆い部材を、前記先作業空間側から前記壁面材に固定し、
    前記先作業空間側にて前記飛散防止剤が塗装された部位の前記覆い部材より前記先作業空間側に前記付着物と異なる新設付着物を付着させた後に、
    前記後作業空間側から固定された前記中継部材を取り外して前記後作業空間において前記付着物を除去することを特徴とする付着物の処理方法。
  20. 請求項19に記載の付着物の処理方法であって、
    前記覆い部材を、前記先作業空間にて前記飛散防止剤が塗装された部位に当接して前記壁面材に固定することを特徴とする付着物の処理方法。
  21. 請求項19または請求項20に記載の付着物の処理方法であって、
    前記覆い部材は、前記飛散防止剤が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部を当接させることを特徴とする付着物の処理方法。
  22. 請求項21に記載の付着物の処理方法であって、
    前記覆い部材は、前記後作業空間にて前記付着物が除去された後に、前記付着物が除去された部位の、前記覆い部材の前記後作業空間側に前記新設付着物を付着させ、
    その後、前記覆い部材が当接された部位と直交する方向に引き抜かれて取り外されることを特徴とする付着物の処理方法。
  23. 請求項22に記載の付着物の処理方法であって、
    前記覆い部材を引き抜いた部位に、前記新設付着物を充填することを特徴する付着物の処理方法。
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