JP5445635B2 - 付着物処理設備、及び付着物処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレベーターシャフト等からアスベスト等の付着物を除去等する際に用いられる付着物処理設備、及び付着物処理方法に関する。
建物に装備されるエレベーターは、通常、エレベーターシャフトと呼ばれる鉛直方向に長い内部空間(昇降路)を備え、このエレベーターシャフト内を乗りかごが上下昇降するように構成されている。
このエレベーターシャフト内には、その昔に、鉄骨架構の耐火被覆目的で施工されたアスベストが今もそのまま鉄骨に付着状態で残存していることがあり、このようなアスベストは、飛散前に一刻も早く除去等の無害化処理を施す必要がある。
ここで、エレベーターシャフト内の付着物を取る方法として、例えば、特許文献1が開示されている。但し、この付着物は綿ゴミであってアスベストにあらず、つまり、現時点においては、エレベーターシャフト内でアスベスト等の有害付着物を処理する具体的方法について公開されていない。
特開2007−145448号
ところで、一般に、建屋内のアスベストを処理する際には、養生シート等により隔離密閉された作業空間を形成し、その中で処理作業を行うとともに、更に、その作業空間内において換気を行うことが義務付けられている。
そして、このことは、エレベーターシャフト内のアスベストを処理する場合にも例外ではなく、例えば、エレベーターシャフト全体を隔離密閉養生し、かつ、その近傍に集塵機を配置して、作業空間であるところのエレベーターシャフト内の空気を、例えば1時間当たり4回の頻度に相当するボリュームで入れ替える必要がある。
しかしながら、超高層ビル等の場合には、その全長が長いこと等からエレベーターシャフトの容積は膨大であり、その換気を行うには大型の集塵機を何台も設置しなければならず、コストアップの要因となる。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、エレベーターシャフト等に付着するアスベスト等の付着物の処理コストを低減可能な付着物処理設備、及び付着物処理方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために主たる付着物処理設備は、
中空構造体の内部の付着物を処理する際に、該付着物の飛散を防ぐべく前記中空構造体に取り付けられる設備であって、
前記中空構造体の鉛直方向に長い内部空間を鉛直方向の上下に仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する仕切り部材を備えており、
前記仕切り部材は、前記中空構造体の互いに水平方向に対向する一対の側壁に突っ張って両端部が当接固定される水平な支持材と、前記支持材に支持されて水平方向に延出する補強部材と、前記補強部材に面接触しつつ接着固定されて水平方向に延出する気密性シートと、を備えており、
前記気密性シートの外周縁は、前記中空構造体の側壁の全周に亘って、密着固定されていることを特徴とする。
前記仕切り部材が、上下に対で配置されることにより、これら上下の仕切り部材同士の間に、前記作業空間が密閉区画されることとしてもよい
前記作業空間から吸気口を介して吸い込んだ空気をフィルターに通すことにより前記空気中の異物を捕集するとともに、前記フィルターを通過後の空気を前記作業空間の外側へ排気することにより、前記作業空間の気圧を、前記作業空間の外側の気圧よりも低くする集塵機を備えていることとしてもよい
前記付着物の処理は、前記付着物に向けてドライアイス粒を噴射して衝突させることにより前記付着物を剥がす処理であり、前記集塵機の吸気口は、前記作業空間内における下部に配置されていることとしてもよい
上記のいずれかの付着物処理設備を用いて、前記中空構造体の内部の付着物を処理することを特徴とする付着物処理方法
前記作業空間が区画された位置での前記処理の終了の度に、前記作業空間を順次未処理の位置へと鉛直方向に移動することとしてもよい
前記作業空間は、前記内部空間内を上から下へと一方向に順次移動していくこととしてもよい
本発明に係る付着物処理設備、及び付着物処理方法によれば、エレベーターシャフト等に付着するアスベスト等の付着物の処理コストを低減可能になる。
本実施形態の付着物処理設備及び同方法の適用対象であるエレベーターEVの側断面図である。 同エレベーターEVの平断面図(図1A中のB−B断面図)である。 本実施形態に係る付着物処理設備の説明用の斜視図である。 同側断面図である。 同正面断面図である。 上側の仕切り部材51aを説明するための斜視図である。
本明細書及び図面には、以下の事項も開示されている
第1に示す付着物処理設備は、
中空構造体の内部の付着物を処理する際に、該付着物の飛散を防ぐべく前記中空構造体に取り付けられる設備であって、
前記中空構造体の鉛直方向に長い内部空間を鉛直方向の上下に仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する仕切り部材を備えていることを特徴とする
上記第1に示す発明によれば、前記仕切り部材によって、前記内部空間を鉛直方向の上下に仕切って前記作業空間を密閉区画する。よって、前記内部空間の容積よりも小さい容積の作業空間を区画できて、もって、作業空間の換気量を少なくでき、結果、付着物の処理コストを低減可能となる
第2に示す発明は、第1に記載の付着物処理設備であって、
前記仕切り部材が、上下に対で配置されることにより、これら上下の仕切り部材同士の間に、前記作業空間が密閉区画されることを特徴とする
上記第2示す発明によれば、前記内部空間の天井部や床部が、前記作業空間を設けるべき高さの近くに無い場合であっても、前記上下の仕切り部材によって所望の大きさの作業空間を密閉区画することができて、便利である
第3に示す発明は、第1又は2に記載の付着物処理設備であって、
前記処理の作業者が搭乗し、前記作業空間を上下昇降する作業ゴンドラを備えていることを特徴とする
上記第3に示す発明によれば、作業者は、作業ゴンドラに乗って上下に移動することにより前記付着物の処理対象部位の近傍まで接近することができる。よって、作業足場を組まずに済み、もって、処理コストや処理期間の削減を図ることができる
また、前記仕切り部材を前記中空構造体に取り付ける作業も、上記の作業ゴンドラに乗って行うことができるので、作業足場を組まずに済み便利である
第4に示す発明は、第3に記載の付着物処理設備であって、
前記作業ゴンドラには、前記内部空間の天井部から吊下されたワイヤーを巻き上げる巻き上げ機が搭載固定され、前記ワイヤーの巻き上げ量の調整により、前記作業ゴンドラは上下昇降し、
前記作業ゴンドラの上方に位置する前記仕切り部材には、前記ワイヤーを上下に通す孔部が形成されているとともに、前記孔部の内周には、前記ワイヤーとの間の隙間を塞ぐ閉塞部材が設けられていることを特徴とする
上記第4に示す発明によれば、前記作業ゴンドラは、前記ワイヤーのみによって吊り下げられているので、当該作業ゴンドラの上方に位置する前記仕切り部材には、前記ワイヤーを通すための孔部のみを形成すれば事足りて、もって、前記仕切り部材の構造を簡素化することができる
また、前記孔部の内周には、前記閉塞部材が設けられているので、作業空間の付着物が前記孔部を通じて外部空間へ漏出することを有効に防ぐことができる
第5に示す発明は、第1乃至4のいずれかに記載の付着物処理設備であって、
前記作業空間から吸気口を介して吸い込んだ空気をフィルターに通すことにより前記空気中の異物を捕集するとともに、前記フィルターを通過後の空気を前記作業空間の外側へ排気することにより、前記作業空間の気圧を、前記作業空間の外側の気圧よりも低くする集塵機を備えていることを特徴とする
上記第5に示す発明によれば、前記集塵機によって、作業空間内の付着物等の異物は捕集されるとともに、作業空間内の気圧は、その外側の気圧よりも低くされる。よって、前記仕切り部材等の取り合いにおいて意図せず隙間が形成されてしまうような場合であっても、その隙間から外部空間への異物の漏出は有効に抑制されて、作業空間は高度な密閉隔離状態に維持される
第6に示す発明は、第5に記載の付着物処理設備であって、
前記付着物の処理は、前記付着物に向けてドライアイス粒を噴射して衝突させることにより前記付着物を剥がす処理であり、
前記集塵機の吸気口は、前記作業空間内における下部に配置されていることを特徴とする
上記第6に示す発明によれば、ドライアイス粒の昇華により生じる二酸化炭素ガスは、作業空間の下方に溜まるが、作業空間の下部には前記集塵機の吸気口が配置されている。よって、発生した二酸化炭素ガスは速やかに作業空間から排気されるため、当該作業空間において作業者は安全に前記処理作業を行うことができる
第7に示す発明は、第1乃至6のいずれかに記載の付着物処理設備であって、
前記仕切り部材は、
前記中空構造体の互いに水平方向に対向する一対の側壁に突っ張って両端部が当接固定される水平な支持材と、
前記支持材に支持されて水平方向に延出する補強シートと、
前記補強シートに面接触しつつ固定支持されて水平方向に延出する気密性シートと、を備えており、
前記気密性シートの外周縁は、前記中空構造体の側壁の全周に亘って、密着固定されていることを特徴とする
上記第7に示す発明によれば、前記補強シート及び気密性シートを支持する前記支持材は、前記側壁に突っ張って取り付けられるので、前記仕切り部材を簡単に前記中空構造体に取り付けることができる
第8に示す発明は、第1乃至7のいずれかに記載の付着物処理設備を用いて、前記中空構造体の内部の付着物を処理することを特徴とする付着物処理方法である
上記第8に示す発明によれば、上述の第1乃至7と同様の作用効果を奏することができる
第9に示す発明は、第8に記載の付着物処理方法であって、
前記作業空間が区画された位置での前記処理の終了の度に、前記作業空間を順次未処理の位置へと鉛直方向に移動することを特徴とする
上記第9に示す発明によれば、同時に前記作業空間を複数形成せずに済み一つだけ形成すれは良いので、仕切り部材としては上下に対で、つまり2つだけ有していれば事足りる。よって、仕切り部材の準備数を減らすことができて、処理コストを低減可能となる
第10に示す発明は、第9に記載の付着物処理方法であって、
前記作業空間は、前記内部空間内を上から下へと一方向に順次移動していくことを特徴とする
上記第10に示す発明によれば、前記内部空間内の上から下へと順番に処理していくことになるので、処理済みの位置に、処理中の位置から付着物が落下して再度汚損されることを防止できて、もって、処理効率を高めることができる
図1A及び図1Bは、本実施形態の付着物処理設備及び同方法の適用対象であるエレベーターEVの側断面図及び平断面図(図1A中のB−B断面図)である。すなわち、この付着物処理設備は、中空構造体の内部空間の一例としてのエレベーターシャフトEVS内において、以前に鉄骨等に耐火被覆として吹き付けられたアスベストに対し除去等の無害化処理をする際に用いられるものである。なお、以下の説明では、図に示すように、互いに直交する三方向をそれぞれ、上下方向(鉛直方向)、左右方向(水平方向)、及び、前後方向(水平方向)と言う。
===エレベーターEVについて===
エレベーターEVは、ビル等の建物BLDGの一部に区画されたエレベーターシャフトEVSと、このエレベーターシャフトEVS内を上下昇降可能に案内された乗りかご13と、エレベーターシャフトEVSの上方の機械室MR内に配置されて、つり合い重りWを備えた吊りロープRにより前記乗りかご13を吊り下げつつ上下昇降する巻き上げ機19と、を備えている。
エレベーターシャフトEVSは、鉛直方向に長い直方体形状の空間である。詳しくは、鉄骨梁21aと鉄骨柱21bとが鉛直方向に長い略直方体形状に組まれてエレベーターシャフトEVSの柱梁架構21が構築され、また、上下に隣り合う鉄骨梁21a,21a同士の間にはALC(気泡コンクリート)版等のコンクリートパネル23が配置され、これにより、エレベーターシャフトEVSの側壁23が前後左右の四方を囲って形成されている。また、これら四方の側壁23の上端部及び下端部には、それぞれ、天井部26a及び床部26bが形成されており、これにより、エレベーターシャフトEVS内は、概ね上下前後左右の六方の全てが閉じた略閉空間になっている。
なお、四方の側壁23のうちの前方の側壁23には、建物BLDGの各階フロアーに対応させてエレベーターEVの乗り場出入口23aが開口形成されているとともに、各乗り場出入口23aには、左右にスライドする開閉扉25が設けられている。よって、乗りかご13の無い状態において前記開閉扉25が開くと、エレベーターシャフトEVS内は、建物BLDG側の空間であるエレベーターホールEVHと連通状態になる。
ところで、上述からわかるように、一般にエレベーターシャフトEVS内には、柱梁架構21の鉄骨梁21aが部分的に露出している。また、エレベーターEVによっては鉄骨柱21bも露出し、更には側壁23よりも内側において前記柱梁架構21に鋼製のブレース(不図示)が掛け渡し補強されている場合もある。そして、このような鉄骨露出部位に対しては建築基準法上耐火被覆が必須であり、以前はその素材としてアスベストが使用されていた。そのため、現在も既存のエレベーターシャフトEVS内にはアスベストが露出していることがある。
このようなアスベストに対しては、例えば、既存エレベーターEVの設備更新工事等に併せて、無害化処理が行われる。この無害化処理としては、アスベストを剥がす等の物理的に取り除く除去処理や、薬液塗布等により塗布部位の表面を固めてその場にアスベストを封じ込める封じ込め処理、更には、板材等でアスベストの付着部位を囲って外に露出しないようにする囲い込み処理等が挙げられる。
そして、何れの処理を行うにせよ、その処理作業時には、周囲にアスベストが飛散しないように、その作業空間WSを隔離密閉養生するとともに、更に、その作業空間WS内において換気を行うことが義務付けられている。
しかし、超高層ビルのエレベーターシャフトEVSの場合には、その全長が例えば200mにも及び非常に長いことからその容積は膨大であり、エレベーターシャフトEVS全体を作業空間WSにすると、その換気量が膨大になって大型の集塵機を何台も要し、コストアップの要因となる。
そこで、以下で説明する本実施形態の付着物処理設備及び付着物処理方法では、仕切り部材51a,51bによってエレベーターシャフトEVS内を鉛直方向の上下に仕切って、前記作業空間WSを小容積に密閉区画し、これにより、前記作業空間WSの換気量の大幅な削減を図っている(図2B)。
===本実施形態に係る付着物処理設備及び同方法について===
<<<付着物処理設備>>>
図2Aは、本実施形態に係る付着物処理設備の説明用の斜視図であり、図2Bは同側断面図である。なお、図2Aでは、エレベーターシャフトEVS及び機械室MRの輪郭線のみをそれぞれ二点鎖線及び三点鎖線で示し側壁23は透視して示している。
この例では、当該アスベスト処理作業が、エレベーターEVの設備更新工事と併せてなされるものとする。よって、エレベーターEVの乗りかご13は新規の乗りかごに交換されるべく、既にエレベーターシャフトEVSから取り外されていてエレベーターシャフトEVS内には乗りかご13が無い状態になっている。
図2A及び図2Bに示すように、付着物処理設備は、エレベーターシャフトEVS内を上下に仕切って作業空間WSを密閉区画する仕切り部材51a,51bと、作業空間WS内を換気すべく作業空間WS内の空気を吸い込む集塵機61(図2B)と、前記天井部26aから吊下された吊りワイヤー73により上下昇降可能に吊り下げられて作業者が搭乗可能な作業ゴンドラ71と、ドライアイス粒をアスベストの付着部位に向けて噴射してアスベストを除去するドライアイスブラスト装置(不図示)と、を備えている。
(1)仕切り部材51a,51b
仕切り部材51a,51bは、例えば、上下に対で配置され、これら上下の仕切り部材51a,51b同士の間に作業空間WSが密閉区画される。ここでは、略2階の階高分の作業空間WSが密閉区画されているが、この作業空間WSの大きさは、集塵機61の吸気能力や施工日数等に応じて適宜決められる。なお、エレベーターシャフトEVSの上端部又は下端部に作業空間WSを区画する際において、エレベーターシャフトEVSの天井部26a又は床部26bが仕切り部材51a,51bの代わりとなり得る場合には、上側の仕切り部材51a又は下側の仕切り部材51bを適宜省略可能である。
上下一対の仕切り部材51a,51bは、何れも概ね同構造であり、図3の正面断面図に示すように、エレベーターシャフトEVSの互いに対向する一対の側壁23,23に突っ張って両端部53a,53aが圧接固定される水平な前後一対の支持棒53と、これら支持棒53に紐54等で支持されて水平方向に延出する補強シート55と、前記補強シート55に面接触しつつ粘着テープ56等で接着固定されて水平方向に延出する気密性シート57と、を有する。そして、気密性シート57の外周縁が、エレベーターシャフトEVSの前後左右の四方の側壁23に、全周に亘って粘着テープ56等により密着固定されることによって、前記作業空間WS内は高度な密閉状態に区画される。なお、上側及び下側の仕切り部材51a,51bの何れの気密性シート57も、その外周縁の先端部は作業空間WS側を向くように曲げられているので、作業空間WS内の作業者は当該気密性シート57の外周縁を側壁23に確実に密着固定可能となる。
上記の支持棒53としては、例えば、その長手方向の両端に吸盤の如き圧接密着部53aを備え、これら圧接密着部53aが送りねじ機構53b等にて長手方向に進退することにより全長を伸縮可能な棒部材等を例示できる。また、補強シート55としては、テント地の布材や不織布、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等を例示でき、更には、気密性シート57としては、ポリエチレンシートやPETシート等を例示できる。
なお、図2Aに示すように、上下一対の仕切り部材51a,51bのうちで上側の仕切り部材51aには、作業ゴンドラ71の吊りワイヤー73を上下に通す一対の孔部材58が設けられている。すなわち、図4に示すように、当該孔部材58に対応する位置において、補強シート55及び気密性シート57は、それぞれに分割可能になっており、そして、各分割位置に前記孔部材58を挟みつつ、孔部材58に、補強シート55及び気密性シート57の各分割片55a,55a、57a,57aが粘着テープ等で接続されることにより一体に連結されるようになっている。ここで、一対の孔部材58は、それぞれに、外周面から水平フランジ部58bが延出するパイプ体58をその管軸方向に沿って2分割してなる一対のパイプ分割体58aからなる。そして、作業ゴンドラ71が吊り下がった状態において、その吊りワイヤー73を側方から覆うように一対のパイプ分割体58a,58aがその内周面を互いに対向させつつ重ね合わせられて粘着テープ等により接合されるとともに、水平フランジ部58bに、前記補強シート55及び気密性シート57の分割片55a,55a、57a,57aが上下に重ね合わせられて粘着テープ等で連結されることにより、吊りワイヤー73が存在する条件下においても何等問題無く仕切り部材51aを取り付け可能となっている。ちなみに、パイプ分割体58aの内周面には、吊りワイヤー73に密着して吊りワイヤー73との隙間を埋める弾性ゴム等の閉塞部材(不図示)が固定されている。
ところで、作業空間WS内に乗り場出入口23a等の開口部や隙間が位置している場合には、これら開口部や隙間もポリエチレンシート等の養生シートによって閉塞される。例えば、乗り場出入口23aの場合には、その開閉扉25が全閉状態にされるとともに、開閉扉25の周囲の隙間等が養生シートにより覆われて、作業空間WSにおける外部空間への空気の流路がほぼ遮断される。なお、前記開閉扉25を全閉にできない場合、つまり、エレベーターシャフトEVSから開閉扉25を取り外したり全開状態にする必要のある場合には、乗り場出入口23aはその全面に亘り養生シートで覆われて密閉される。
(2)集塵機61
図2Bに示すように、集塵機61は、エレベーターシャフトEVSの外側の1階フロアー等に配置される集塵機本体62と、集塵機本体62の空気吸込口62aに連結されて、エレベーターシャフトEVS内の上下の全長に亘り側壁23に沿って敷設されるダクト63と、から主に構成される。
ダクト63は、例えばフレキシブルホースを本体とし、その鉛直方向に適宜ピッチで複数の扉付き開口部63aを有している。そして、これら複数の扉付き開口部63aのなかで、作業空間WS内に位置する扉付き開口部63aの扉のみが選択的に開けられて、それ以外の扉付き開口部63aの扉が閉じられるように使用され、これにより、前記作業空間WS内の空気のみを選択的に集塵機本体62に取り込むようになっている。そして、この集塵機本体62に取り込まれた空気は、その内部のフィルター(不図示)に通されて当該空気中の異物が捕集されるとともに、前記フィルターを通過後の浄化空気は、集塵機本体62の排気口62bから外部空間へ排気され、これにより、前記作業空間WS内の気圧を、前記作業空間WSの外側(外気)の気圧よりも低い負圧状態にする。よって、前記仕切り部材51a,51b等の取り合いにおいて意図せずに隙間が形成されて、前記作業空間WS内の密閉性が多少悪くても、そのような隙間からのアスベストの外部漏出は有効に防止される。
ちなみに、図2Bに示すように前記作業空間WS内に複数の扉付き開口部63aが位置している場合には、そのなかで最も低い位置の扉付き開口部63aの扉を開けるのが望ましい。これは、この例ではアスベスト除去処理としてドライアイスブラスト法を採用しているからである。つまり、このドライアイス粒の昇華により発生する二酸化炭素ガスが、作業空間WS内の下部に溜まり易く、作業空間WS内の下部を積極的に排気する必要があるためである。
また、この二酸化炭素ガスの滞留の観点からは、作業空間WS内の上部に外気の取り入れ口を設けると良い。但し、その場合には、この取り入れ口を、例えばアスベストの通過は規制する通気性フィルターで覆い、これにより、取り入れ口からのアスベストの漏出を防止するのが望ましい。
また、この図2Bの例では、エレベーターシャフトEVSの後方の側壁23にダクト63を沿わせて敷設しているが、前方の側壁23に沿わせて敷設しても良い。
(3)作業ゴンドラ71
図2Aに示すように、作業ゴンドラ71は例えばデッキ型ゴンドラであり、エレベーターシャフトEVSの天井部26aに吊りワイヤー73を介して懸架されたケージ71を本体とする。このケージ71には、吊りワイヤー73を巻き上げる巻き上げ機75が搭載されており、ケージ71に搭乗した作業者が操作盤により巻き上げ機75のワイヤー巻き上げ量を調整することによって、ケージ71たる作業ゴンドラが上下昇降するようになっている。ちなみに、吊りワイヤー73の上端をエレベーターシャフトEVSの天井部26aに固定するための所謂突梁77は、例えば機械室MR内に取り付けられており、もって、吊りワイヤー73は、天井部26aに形成されたエレベーターEVの前記吊りロープR用挿通孔等の貫通孔Hを通してエレベーターシャフトEVS内に垂下される。
(4)ドライアイスブラスト装置
ドライアイスブラスト装置(不図示)は、作業空間WS内の空気を取り込んでコンプレッサーにより圧縮空気を生成するとともに、この圧縮空気によってドライアイス粒をホース先端のノズルから噴射するものであり、作業ゴンドラ71に搭載されている。
なお、ここでは、このドライアイスブラスト装置から噴射したドライアイス粒をアスベストに衝突させてアスベストを除去しているが、除去方法は何等これに限るものではなく、例えば、手でアスベストを掻き落として除去しても良いし、更には、この除去処理の代わりに、前述の封じ込め処理や囲い込み処理を施しても良い。
<<<付着物処理方法>>>
上述の付着物処理設備によれば、以下の手順によってエレベーターシャフトEVS内のアスベストが除去される。
(1)作業ゴンドラ71の設置
エレベーターシャフトEVSの天井部26aから吊りワイヤー73を垂下する(図2A)。また、図2BのエレベーターシャフトEVSの床部26b上に、作業ゴンドラ71のケージ71を搬入するとともに、前記吊りワイヤー73の下端を作業ゴンドラ71の巻き上げ機75にセットする。そして、これにより、ケージ71たる作業ゴンドラ71は使用可能状態となる。
(2)集塵機61の設置
図2Bに示すように、1階フロアー等の地上付近に集塵機本体62を配置するとともに、ダクト63を、エレベーターシャフトEVSの上下方向の全長に亘り側壁23に沿って敷設する。なお、このダクト63の敷設は、例えば、作業ゴンドラ71内にダクト63を持ち込んだまま作業ゴンドラ71を上方へ移動し、しかる後に、エレベーターシャフトEVSの上端部において、その側壁23の上端にダクト63の一端を支持固定するとともに、他端63cを下方に垂らすことで敷設される。そして、ダクト63の前記他端63cたる下端は、集塵機本体62の空気吸込口62aに接続され、これにより集塵機61は使用可能状態となる。
(3)アスベスト除去
この例では、図2Bに示すように、作業空間WSの区画位置を、エレベーターシャフトEVS内の上から下へと順次、間欠的且つ不可逆的に移動しながら、アスベストの除去処理をエレベーターシャフトEVSの全長に亘って行っていく。
すなわち、作業者は、先ず、エレベーターシャフトEVS内の上端部に作業空間WSを区画すべく、作業ゴンドラ71に乗って上昇する。そして、作業ゴンドラ71に乗りながら、前記上下一対の仕切り部材51a,51bをエレベーターシャフトEVSの側壁23に取り付けて、略2階の階高分の作業空間WSを区画するとともに、当該作業空間WS内に位置する乗り場出入り口23a等の各種隙間をポリエチレンシート等で密閉養生する。なお、エレベーターシャフトEVSの天井部26aを上側の仕切り部材51aとして利用可能な場合には、上側の仕切り部材51aについては省略することができる。
次に、作業空間WS内に位置するダクト63の扉付き開口部63aのうちで、最も下方に位置する扉付き開口部63aの扉を開けるとともに集塵機61を稼働させ、作業空間WS内を負圧状態にする。
そうしたら、作業者は、作業空間WS内を作業ゴンドラ71に乗りながら上下昇降することによって、鉄骨梁21a等のアスベスト付着部位へと接近し、ドライアイスブラスト装置を用いて作業空間WS内のアスベストを除去していく。ここで、ドライアイスブラスト装置から噴射したドライアイス粒は、アスベストに衝突後に昇華して二酸化炭素ガスとなり作業空間WS中の下部に溜まるが、溜まった二酸化炭素ガスは、上記のダクト63の扉付き開口部63aから速やかに排気される。
そして、作業空間WS内のアスベストの除去が終了したら、最後に、当該除去により下側の仕切り部材51b上に落下等したアスベストを掃除機等で吸い込んで清掃する。
そうしたら、アスベスト除去が未処理の位置であるところの下方の位置へと作業空間WSを移動すべく、エレベーターシャフトEVSの側壁23から前記仕切り部材51a,51bを取り外すとともに、作業ゴンドラ71を下降させた後、側壁23に上下一対の仕切り部材51a,51bを取り付けて作業空間WSを区画するとともに、当該作業空間WS内の各種開口や隙間をポリエチレンシート等で密閉養生する。なお、この時、今回の作業空間WSの上側の仕切り部材51aの取り付け位置は、前回区画されていた作業空間WSと、今回区画される作業空間WSとが、上下の端部においてラップするように決められる。
そうしたら、この後は、この今回区画された作業空間WSに対して、前回区画されていた作業空間WSと同内容の作業が繰り返される。すなわち、集塵機61が稼働されて作業空間WS内が負圧にされた後、ドライアイスブラスト装置によってアスベストが除去され、除去後、作業空間WSの清掃が行われる。
そして、これら作業空間WSの下方への移動及びその作業空間WSでのアスベスト除去作業等を、作業空間WSが、エレベーターシャフトEVSの下端たる床部26bに到達するまで順次繰り返すことにより、エレベーターシャフトEVSの全長に亘ってアスベストの除去作業が実施される。
(4)集塵機61及び作業ゴンドラ71の解体
最後に、エレベーターシャフトEVSの側壁23からダクト63を取り外して、集塵機本体62と伴に建物BLDGから搬出する。また、エレベーターシャフトEVSの天井部26aから吊りワイヤー73を外すとともに、同床部26bに置いた作業ゴンドラ71のケージ71をエレベーターシャフトEVSから搬出する。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、中空構造体の内部空間の一例としてエレベーターシャフトEVSを示したが、何等これに限るものではなく、所謂タワーパーキング(立体駐車場とも言い、タワー状構造物の内部空間に、複数の自動車を上下昇降するための無端の周回軌道を設けたもの)を中空構造体として、これに適用しても良い。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVSの形状が直方体形状の場合を例示したが、その形状は何等これに限るものではなく、例えば円柱形状であっても良いし、三角柱や五角以上の多角柱形状であっても良い。なお、この場合には、仕切り部材51a,51bの平面外形状は、エレベーターシャフトEVSの横断面形状に応じて、円形や三角形若しくは多角形になるのは言うまでもない。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13を1台だけ備えたエレベーターEVを例示したが、これに限るものではなく、所謂2連や3連といった多連形式のエレベーターEVでも良い。つまり、エレベーターシャフトEVS内に複数の乗りかご13が水平方向の左右に並列して設けられたエレベーターEVに適用しても良い。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が無い状態でアスベスト処理を行う場合を例示したが、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が在る状態でアスベスト処理を行っても良い。なお、この場合には、乗りかご13は、アスベストの処理作業の邪魔にならないように、エレベーターシャフトEVSの上端又は下端へ移動されており、上端又は下端の無害化処理をする際には、乗りかご13は処理済みの位置へ移動されるのは言うまでもない。
上述の実施形態では、気密性シート57が補強シート55の全面に亘って面接触する場合を例示したが、補強シート55が気密性を有する場合は、気密性シート57が開口を有し、その内周縁が補強シート55の外周縁と粘着テープ等により密着固定され、気密性シート57の外周縁がエレベーターシャフトEVSの前後左右の四方の側壁23に、全周に亘って粘着テープ等により密着固定されるようにしてもよい。
13 乗りかご、19 巻き上げ機、
21 柱梁架構、21a 鉄骨梁、21b 鉄骨柱、
23 側壁(コンクリートパネル)、23a 乗り場出入口、
25 開閉扉、
26a 天井部、26b 床部、
51a 上側の仕切り部材、51b 下側の仕切り部材、
53 支持棒(支持材)、53a 圧接密着部、53b 送りねじ機構、54 紐、
55 補強シート、55a 分割片、
56 粘着テープ、57 気密性シート、57a 分割片、
58 孔部材(孔部)、58a 分割体、58b 水平フランジ部、
61 集塵機、62 集塵機本体、62a 空気吸込口、62b 排気口、
63 ダクト、63a 扉付き開口部、63c 他端(下端)、
71 ケージ(作業ゴンドラ)、73 吊りワイヤー、75 巻き上げ機、
77 突梁、
EV エレベーター、MR 機械室、WS 作業空間、
EVH エレベーターホール、
EVS エレベーターシャフト(内部空間)、BLDG 建物(中空構造体)、
H 貫通孔、R 吊りロープ

Claims (7)

  1. 中空構造体の内部の付着物を処理する際に、該付着物の飛散を防ぐべく前記中空構造体に取り付けられる設備であって、
    前記中空構造体の鉛直方向に長い内部空間を鉛直方向の上下に仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する仕切り部材を備えており、
    前記仕切り部材は、前記中空構造体の互いに水平方向に対向する一対の側壁に突っ張って両端部が当接固定される水平な支持材と、前記支持材に支持されて水平方向に延出する補強部材と、前記補強部材に面接触しつつ接着固定されて水平方向に延出する気密性シートと、を備えており、
    前記気密性シートの外周縁は、前記中空構造体の側壁の全周に亘って、密着固定されていることを特徴とする付着物処理設備。
  2. 請求項1に記載の付着物処理設備であって、
    前記仕切り部材が、上下に対で配置されることにより、これら上下の仕切り部材同士の間に、前記作業空間が密閉区画されることを特徴とする付着物処理設備。
  3. 請求項1又は2に記載の付着物処理設備であって、
    前記作業空間から吸気口を介して吸い込んだ空気をフィルターに通すことにより前記空気中の異物を捕集するとともに、前記フィルターを通過後の空気を前記作業空間の外側へ排気することにより、前記作業空間の気圧を、前記作業空間の外側の気圧よりも低くする集塵機を備えていることを特徴とする付着物処理設備。
  4. 請求項3に記載の付着物処理設備であって、
    前記付着物の処理は、前記付着物に向けてドライアイス粒を噴射して衝突させることにより前記付着物を剥がす処理であり、
    前記集塵機の吸気口は、前記作業空間内における下部に配置されていることを特徴とする付着物処理設備。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の付着物処理設備を用いて、前記中空構造体の内部の付着物を処理することを特徴とする付着物処理方法。
  6. 請求項5に記載の付着物処理方法であって、
    前記作業空間が区画された位置での前記処理の終了の度に、前記作業空間を順次未処理の位置へと鉛直方向に移動することを特徴とする付着物処理方法。
  7. 請求項6に記載の付着物処理方法であって、
    前記作業空間は、前記内部空間内を上から下へと一方向に順次移動していくことを特徴とする付着物処理方法。
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