JP5125380B2 - エレベーターシャフト内の付着物処理方法 - Google Patents

エレベーターシャフト内の付着物処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレベーターシャフト内からアスベスト等の付着物を除去等する付着物処理方法に関する。
建物に装備されるエレベーターは、通常、エレベーターシャフトと呼ばれる鉛直方向に長い内部空間(昇降路)を備え、このエレベーターシャフト内を乗りかごが上下昇降するように構成されている。
このエレベーターシャフト内には、その昔に、鉄骨架構の耐火被覆目的で施工されたアスベストが今もそのまま鉄骨に付着状態で残存していることがあり、このようなアスベストは、飛散前に一刻も早く除去等の無害化処理を施す必要がある。
ここで、エレベーターシャフト内の付着物を取る方法として、例えば、特許文献1が開示されている。但し、この付着物は綿ゴミであり、アスベストではない。つまり、現時点においては、エレベーターシャフト内でアスベストを処理する具体的方法について公開されていない。
特開2007−145448号
ところで、一般に、建屋内のアスベストを処理する際には、養生シート等により隔離密閉された作業空間を形成し、その中で処理作業を行うとともに、更に、その作業空間内において換気を行うことが義務付けられている。
そして、このことは、エレベーターシャフト内のアスベストを処理する場合も例外ではなく、例えば、エレベーターシャフト全体を隔離密閉養生し、かつ、その近傍に集塵機を配置して、作業空間であるところのエレベーターシャフト内の空気を、例えば1時間当たり4回の頻度に相当するボリュームで入れ替える必要がある。
しかしながら、超高層ビル等の場合には、その全長が長いこと等からエレベーターシャフトの容積は膨大であり、その換気を行うには大型の集塵機を何台も設置しなければならず、コストが嵩んでしまう。
他方、エレベーターシャフトの周壁(側壁)には、各階フロアーの乗り場出入口が開口形成されているとともに、各乗り場出入口には開閉扉が設けられているが、ここで、所謂三方枠等の如き前記開閉扉の周囲部位に付着したアスベストを処理する際には、乗り場出入口の開閉扉を全開にするか又は同開閉扉をエレベーターから取り外す必要があって、その場合には、前記乗り場出入口を介して、エレベーターシャフト内がエレベーターホールと連通してしまい、もって、エレベーターシャフト内の前記作業空間の密閉性を確保できず、上述した作業空間の換気に支障を来す。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、エレベーターシャフト内の前記作業空間の密閉性を確保するとともに、前記作業空間の換気量を低減可能な付着物処理方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1に示すエレベーターシャフト内の付着物処理方法は、エレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、
作業ゴンドラを前記エレベーターシャフトに設置する作業ゴンドラ設置ステップと、
前記エレベーターシャフト内を第1仕切り部材で仕切ることにより、前記処理のための作業空間を区画する作業空間区画ステップと、
前記作業空間内に位置する全てのエレベーター乗り場出入口を、第2仕切り部材によってエレベーターホール側から囲うことにより、前記作業空間をエレベーターホール側の空間から密閉隔離する作業空間隔離ステップと、
前記第1仕切り部材と前記第2仕切り部材とで密閉された前記作業空間内において、前記付着物を処理する付着物処理ステップと、を備えるエレベーターシャフト内の付着物処理方法であり、
前記作業空間区画ステップでは、上下一対の前記第1仕切り部材によって、前記エレベーターシャフト内を鉛直方向に仕切って、前記作業空間を区画し、
上側の前記第1仕切り部材は、前記作業ゴンドラの吊りワイヤーを上下に通す孔部材を有するとともに、当該孔部材に対応する位置において分割可能であり、
上側の前記第1仕切り部材は、前記作業ゴンドラ設置ステップの後に設置され、当該上側の前記第1仕切り部材が設置される際に、前記孔部材が前記吊りワイヤーを側方から覆うように、分割された上側の前記第1仕切り部材が連結されることを特徴とする。
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の付着物処理方法であって、
前記作業空間が形成された位置での前記処理の終了の度に、前記作業空間を順次未処理の位置へと鉛直方向に移動することを特徴とする。
上記請求項2に示す発明によれば、同時に前記作業空間を複数形成せずに済み一つだけ形成すれは良いので、前記第1又は第3仕切り部材としては上下に対で、つまり2つだけ有していれば事足りる。よって、前記第1又は第3仕切り部材の準備数を減らすことができて、処理コストを低減可能となる。
請求項3に示す発明は、請求項2に記載の付着物処理方法であって、
前記作業空間は、上から下へと一方向に順次移動していくことを特徴とする。
上記請求項3に示す発明によれば、前記エレベーターシャフト内の上から下へと順番に処理していくことになるので、処理済みの位置に、処理中の位置から付着物が落下して再度汚損されることを防止できて、もって、処理効率を高めることができる。
請求項4に示す発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の付着物処理方法であって、
前記乗り場出入口が具備する開閉扉が全開状態又は取り外された状態で、前記処理が行われることを特徴とする。
上記請求項4に示す発明によれば、前記開閉扉の周囲部位の付着物の処理の際に障害となり得る前記開閉扉は、全開状態又は取り外された状態になっているので、前記開閉扉の周囲部位の付着物の処理を行い易くなる。
請求項5に示す発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の付着物処理方法であって、
前記エレベーターシャフトが具備する前記乗り場出入口のなかで、前記作業空間内に位置する全ての乗り場出入口のみを、前記第2仕切り部材によって囲うことを特徴とする。
上記請求項5に示す発明によれば、前記作業空間は、確実に、エレベーターホール側の空間から隔離密閉され、前記作業空間の密閉性が向上する。
また、前記作業空間内に位置する乗り場出入口のみに対して第2仕切り部材を囲って設け、当該作業空間の外に位置する乗り場出入口については設けないので、乗り場出入口の全数に対して第2仕切り部材を準備せずに済み、コスト削減を図れる。ちなみに、作業空間の外の乗り場出入口については、そもそも前記作業空間と連通していないため、第2仕切り部材で囲わなくても前記処理に伴って付着物がエレベーターホールへと飛散することはない。
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の付着物処理方法であって、
前記作業空間から吸気口を介して吸い込んだ空気をフィルターに通すことにより前記空気中の異物を捕集するとともに、前記フィルターを通過後の空気を前記作業空間の外側へ排気することにより、前記作業空間の気圧を、前記作業空間の外側の気圧よりも低くする集塵機を用いることを特徴とする。
上記請求項6に示す発明によれば、前記集塵機によって、前記作業空間内の付着物等の異物は捕集されるとともに、前記作業空間内の気圧は、その外側の気圧よりも低くされる。よって、前記仕切り部材等の取り合いにおいて意図せず隙間が形成されてしまうような場合であっても、その隙間から外部空間への異物の漏出は有効に抑制されて、前記作業空間は、高度な密閉隔離状態に維持される。
請求項7に示す発明は、請求項6に記載の付着物処理方法であって、
前記付着物の処理は、前記付着物に向けてドライアイス粒を噴射して衝突させることにより前記付着物を剥がす処理であり、
前記集塵機の吸気口は、前記作業空間内における下部に配置されていることを特徴とする。
上記請求項7に示す発明によれば、ドライアイス粒の昇華により生じる二酸化炭素ガスは、前記作業空間の下方に溜まるが、当該作業空間の下部には前記集塵機の吸気口が配置されている。よって、発生した二酸化炭素ガスは速やかに作業空間から排気されるため、作業空間において作業者は安全に前記処理作業を行うことができる。
請求項8に示す発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の付着物処理方法であって、
前記エレベーターシャフト内に具備する乗りかごの屋根面を、前記処理のための作業床として用いることを特徴とする。
上記請求項8に示す発明によれば、作業者は乗りかごの屋根面に乗ってエレベーターシャフト内を上下昇降することにより、前記付着物の処理対象部位の近傍まで接近することができる。よって、作業足場を組まずに済み、もって、処理コストや処理期間の削減を図ることができる。
本発明に係るエレベーターシャフト内の付着物処理方法によれば、エレベーターシャフト内の前記作業空間の密閉性を確保するとともに、前記作業空間の換気量を低減可能となる。
===第1実施形態の付着物処理方法について===
図1A及び図1Bは、第1実施形態の付着物処理方法の適用対象であるエレベーターEVの側断面図及び平断面図(図1A中のB−B断面図)である。また、図1Cは、エレベーターホールEVH側からエレベーターEVの乗り場出入口23aを斜視した図である。
この付着物処理方法は、エレベーターシャフトEVS内において、以前に鉄骨等に耐火被覆として吹き付けられたアスベストに対し除去等の無害化処理をする際に用いられるものである。なお、以下の説明では、図に示すように、互いに直交する三方向をそれぞれ、上下方向(鉛直方向)、左右方向(水平方向)、及び、前後方向(水平方向)と言う。
<<<エレベーターEVについて>>>
エレベーターEVは、ビル等の建物BLDGの一部に区画されたエレベーターシャフトEVSと、このエレベーターシャフトEVS内を上下昇降可能に案内された乗りかご13と、エレベーターシャフトEVSの上方の機械室MR内に配置されて、つり合い重りWを備えた吊りロープRにより前記乗りかご13を吊り下げつつ上下昇降する巻き上げ機19と、を備えている。なお、この第1実施形態に係るエレベーターEVは、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13を一台だけ具備した単式エレベーターである。
エレベーターシャフトEVSは、鉛直方向に長い直方体形状の空間である。詳しくは、鉄骨梁21aと鉄骨柱21bとが鉛直方向に長い略直方体形状に組まれてエレベーターシャフトEVSの柱梁架構21が構築され、また、上下に隣り合う鉄骨梁21a,21a同士の間にはALC(気泡コンクリート)版等のコンクリートパネル23が配置され、これにより、エレベーターシャフトEVSの側壁23が前後左右の四方を囲って形成されている。また、これら四方の側壁23の上端部及び下端部には、それぞれ、天井部26a及び床部26bが形成されており、これにより、エレベーターシャフトEVS内は、概ね上下前後左右の六方の全てが閉じた略閉空間になっている。
なお、四方の側壁23のうちの前方の側壁23には、建物BLDGの各階フロアーに対応させてエレベーターEVの乗り場出入口23aが開口形成されているとともに、各乗り場出入口23aには、左右にスライドする開閉扉25が設けられている。よって、乗りかご13の無い状態において前記開閉扉25が開くと、エレベーターシャフトEVS内は、建物BLDG側の空間であるエレベーターホールEVHと連通状態になる。ちなみに、各乗り場出入口23aには、当該乗り場出入口23aを左右及び上の三方から囲む鉄骨製の三方枠24が配置されている。この三方枠24は、図1Cに示すように、左右一対の竪枠24a,24aと、これら竪枠24a,24aの上端部に架け渡された上枠24bとから構成される。
ところで、上述からわかるように、一般にエレベーターシャフトEVS内には、柱梁架構21の鉄骨梁21aや前記三方枠24の鉄骨が部分的に露出している。また、エレベーターEVによっては鉄骨柱21bも露出し、更には側壁23よりも内側において前記柱梁架構21に鋼製のブレース(不図示)が掛け渡し補強されている場合もある。そして、このような鉄骨露出部位に対しては建築基準法上耐火被覆が必須であり、以前はその素材としてアスベストが使用されていた。そのため、現在も既存のエレベーターシャフトEVS内にはアスベストが露出していることがある。
このようなアスベストに対しては、例えば、既存エレベーターEVの設備更新工事等に併せて、無害化処理が行われる。この無害化処理としては、アスベストを剥がす等の物理的に取り除く除去処理や、薬液塗布等により塗布部位の表面を固めてその場にアスベストを封じ込める封じ込め処理、更には、板材等でアスベストの付着部位を囲って外に露出しないようにする囲い込み処理等が挙げられる。
そして、何れの処理を行うにせよ、その処理作業時には、周囲にアスベストが飛散しないように、その作業空間WSを隔離密閉養生するとともに、更に、その作業空間WS内において換気を行うことが義務付けられている。
しかし、超高層ビルのエレベーターシャフトEVSの場合には、その全長が例えば200mにも及び非常に長いことからその容積は膨大であり、エレベーターシャフトEVS全体を作業空間WSにすると、その換気量が膨大になって大型の集塵機を何台も要し、コストアップの要因となる。
また、エレベーターシャフトEVSの前方の側壁23には、前述の乗り場出入口23aが各階フロアー毎に開口形成されているとともに、各乗り場出入口23aには開閉扉25が設けられているが、ここで、前記三方枠24に代表される前記開閉扉25の周辺部位への耐火被覆用アスベストを処理する場合には、当該周辺部位が開閉扉25の裏側に隠された状態を解消すべく、開閉扉25を全開にするか又はエレベーターEVから取り外す必要がある。
但し、そのようにすると、乗り場出入口23aを介して、エレベーターシャフトEVS内の作業空間WSがエレベーターホールEVHと連通してしまい、作業空間WSの密閉性を確保できなくなり、もって、上述した作業空間WSの換気に支障を来す。
そこで、以下で説明する第1実施形態の付着物処理方法では、後述のシャフト内仕切り部材51a,51bによってエレベーターシャフトEVS内を鉛直方向の上下に仕切って、前記作業空間WSを小容積に区画する一方、後述のホール側仕切り部材91によって、前記エレベーターEVの乗り場出入口23aをエレベーターホールEVH側から囲うことにより、前記作業空間WSを前記エレベーターホールEVHから隔離するようにしている。そして、これにより、前記作業空間WSの密閉性を確保し、前記作業空間WSの換気量の大幅な低減を図っている。
<<<付着物処理設備について>>>
図2Aは、第1実施形態の付着物処理方法に供する付着物処理設備を模式的に示す斜視図であり、図2Bは、同付着物処理設備の側断面図である。なお、図2Aでは、エレベーターシャフトEVS及び機械室MRの輪郭線のみをそれぞれ二点鎖線及び三点鎖線で示し側壁23は透視して示している。
この例では、当該アスベスト処理作業が、エレベーターEVの設備更新工事と併せてなされるものとする。よって、エレベーターEVの乗りかご13は新規の乗りかごに交換されるべく、既にエレベーターシャフトEVSから取り外されていてエレベーターシャフトEVS内には乗りかご13が無い状態になっている。
図2A及び図2Bに示すように、付着物処理設備は、エレベーターシャフトEVS内を上下に仕切って作業空間WSを密閉区画するシャフト内仕切り部材51a,51bと、前記作業空間WS内に位置する乗り場出入口23aをエレベーターホールEVH側から囲って、エレベーターホールEVH側の空間から前記作業空間WSを隔離するホール側仕切り部材91と、前記作業空間WS内を換気すべく作業空間WS内の空気を吸い込む集塵機61(図2B)と、エレベーターシャフトEVSの天井部26aから吊下された吊りワイヤー73により上下昇降可能に吊り下げられて作業者が搭乗可能な作業ゴンドラ71と、ドライアイス粒をアスベストの付着部位に向けて噴射してアスベストを除去するドライアイスブラスト装置(不図示)と、を備えている。
(1)シャフト内仕切り部材51a,51b
図3A及び図3Bは、シャフト内仕切り部材51a,51bの説明図であり、図3Aには斜視図を示し、図3Bには正面断面図を示している。なお、図3Aでは、エレベーターシャフトEVS及び機械室MRの輪郭線のみをそれぞれ二点鎖線及び三点鎖線で示し側壁23は透視して示している。
シャフト内仕切り部材51a,51bは、例えば、上下に対で配置され、これら上下の仕切り部材51a,51b同士の間に作業空間WSが密閉区画される。ここでは、略2階の階高分の作業空間WSが密閉区画されているが(図2Bを参照)、この作業空間WSの大きさは、集塵機61の吸気能力や施工日数等に応じて適宜決められる。なお、エレベーターシャフトEVSの上端部又は下端部に作業空間WSを区画する際において、エレベーターシャフトEVSの天井部26a又は床部26bがシャフト内仕切り部材51a,51bの代わりとなり得る場合には、上側の仕切り部材51a又は下側の仕切り部材51bを適宜省略可能である。
上下一対の仕切り部材51a,51bは、何れも概ね同構造であり、図3Bに示すように、エレベーターシャフトEVSの互いに対向する一対の側壁23,23に突っ張って両端部53a,53aが圧接固定される水平な前後一対の支持棒53と、これら支持棒53に紐54等で支持されて水平方向に延出する補強シート55と、前記補強シート55に面接触しつつ粘着テープ56等で接着固定されて水平方向に延出する気密性シート57と、を有する。そして、気密性シート57の外周縁が、エレベーターシャフトEVSの前後左右の四方の側壁23に、全周に亘って粘着テープ56等により密着固定されることによって、前記作業空間WS内は高度な密閉状態に区画される。なお、ここで、上側及び下側の仕切り部材51a,51bの何れの気密性シート57も、その外周縁の先端部は作業空間WS側を向くように曲げられているので、作業空間WS内の作業者は当該気密性シート57の外周縁を側壁23に確実に密着固定可能となる。
上記の支持棒53としては、例えば、その長手方向の両端に吸盤の如き圧接密着部53aを備え、これら圧接密着部53aが送りねじ機構53b等にて長手方向に進退することにより全長を伸縮可能な棒部材等を例示できる。また、補強シート55としては、テント地の布材や不織布、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等を例示でき、更には、気密性シート57としては、ポリエチレンシートやPETシート等を例示できる。
なお、図3Aに示すように、上下一対のシャフト内仕切り部材51a,51bのうちで上側の仕切り部材51aには、作業ゴンドラ71の吊りワイヤー73を上下に通す一対の孔部材58が設けられている。すなわち、図4に示すように、当該孔部材58に対応する位置において、補強シート55及び気密性シート57は、それぞれに分割可能になっており、そして、各分割位置に前記孔部材58を挟みつつ、孔部材58に、補強シート55及び気密性シート57の各分割片55a,55a、57a,57aが粘着テープ等で接続されることにより一体に連結されるようになっている。ここで、一対の孔部材58は、それぞれに、外周面から水平フランジ部58bが延出するパイプ体58をその管軸方向に沿って2分割してなる一対のパイプ分割体58aからなる。そして、作業ゴンドラ71が吊り下がった状態において、その吊りワイヤー73を側方から覆うように一対のパイプ分割体58a,58aがその内周面を互いに対向させつつ重ね合わせられて粘着テープ等により接合されるとともに、水平フランジ部58bに、前記補強シート55及び気密性シート57の分割片55a,55a、57a,57aが上下に重ね合わせられて粘着テープ等で連結されることにより、吊りワイヤー73が存在する条件下においても何等問題無く仕切り部材51aを取り付け可能となっている。ちなみに、パイプ分割体58aの内周面には、吊りワイヤー73に密着して吊りワイヤー73との隙間を埋める弾性ゴム等の閉塞部材(不図示)が固定されている。
(2)ホール側仕切り部材91
図5A乃至図5Dは、ホール側仕切り部材91の説明図である。図5AにはエレベーターホールEVH側から見た斜視図を示し、図5Bには側断面図、図5Cには平断面図、図5Dには正面断面図を示している。
ホール側仕切り部材91は、図5Aに模式的に示すように、乗り場出入口23aの全体をエレベーターホールEVH側から囲うものであり、これにより、エレベーターシャフトEVS内の前記作業空間WSは、乗り場出入口23aの開閉扉25の状態によらずに、エレベーターホールEVH側の空間から確実に隔離される。なお、図5B乃至図5Dの例では、開閉扉25は取り外されている。
また、この例では、当該ホール側仕切り部材91は、エレベーターEVが具備する複数の乗り場出入口23aの中で、特に前記作業空間WSに面する(作業空間WS内に位置する)乗り場出入口23aに対してのみ選択的に設けられる(図2A及び図2Bを参照)。よって、作業空間WSの上下方向の移動の度に、ホール側仕切り部材91も、対応する乗り場出入口23aに移設されることになるが、このようにすれば、乗り場出入口23aの全数に対してホール側仕切り部材91を準備せずに済み、特に階数の多い高層ビルにおいては大幅なコスト削減を図れる。
図5A乃至図5Dに示すように、ホール側仕切り部材91は、例えば、乗り場出入口23aの左右両脇に立設される左右一対の矩形の側面パネル92,92と、乗り場出入口23aの前方に対向して立設され、左右の両端縁を前記一対の側面パネル92,92の各前端縁に連結固定される矩形の前面パネル94と、前記一対の側面パネル92,92の各上端縁に左右の両端縁が架け渡されて連結固定されるとともに、前端縁が前面パネル94の上端縁に連結固定される矩形の上面パネル96とを備えている。そして、これらパネル92,92,94,96とエレベーターホールEVHの床面Bとによって、乗り場出入口23a近傍の空間は上下左右及び前方の5方向から囲まれて、これにより、乗り場出入口23a近傍には、エレベーターホールEVH側から隔離された略直方体形状の隔離空間SSが区画される。
ここで、各パネル92,92,94,96の端縁が、エレベーターホールEVHの各壁面(エレベーターホールEVHの床面BやエレベーターホールEVHの正面の壁面F1(つまり乗り場出入口23aが開口形成された壁面F1))との取り合いにおいて隙間を有してしまう場合には、前記取り合いを覆って帯状の気密性の養生シート98aが敷かれるとともに、当該養生シート98aは粘着テープ99等により前記パネル92,92,94,96の端縁及び前記各面B,F1の両者に固定される。そして、これにより、前記隔離空間SSの隔離性が高められる。なお、この養生シート98aは、隔離空間SSの外側から設けても内側から設けても何れでも良いが、前者の場合には養生シート98aの敷設作業性に優れる一方、後者の場合には、養生シート98aが外観に現れないために意匠性に優れたものとなる。
側面パネル92や前面パネル94の前記床面Bへの立設固定には、例えば断面コ字型のランナー部材(図5A乃至図5Dでは不図示)が使用される。すなわち、図6の斜視図に示すように、前記床面Bには両面テープやビス止め等により前記ランナー部材101の底面101aが固定されるとともに、その底面101aの両端部から上方へ突出する一対のリブ部101b,101b同士の間の溝には、側面パネル92や前面パネル94の下端縁が嵌め込まれ、これにより側面パネル92や前面パネル94が起立状態に保持される。
また、各パネル92,94,96同士の連結固定は、例えばビス等の止め具や、又は、連結されるべき一対のパネル92,94,96の端縁が差し込まれる一対の差し込み溝等が形成された連結部材103等を用いて行われる。但し、パネル92,94,96間の取り合い(連結部位)において気密性を確保できない場合には、前記取り合いを覆って気密性の養生シート(不図示)が設けられる。なお、この場合も、上述と同様に、養生シートは隔離空間SSの内外の何れの側から覆っても良いが、それぞれに上述の長所がある。
このような側面パネル92、前面パネル94、及び上面パネル96は、何れも鋼板等の矩形平板から主に構成され、互いにサイズが異なるのみでその構造は概ね同じである。また、養生シート92aとしては、ポリエチレンシートやPETシート等を例示できる。
ところで、上述では、側面パネル92、前面パネル94、及び上面パネル96を備える構成を例示したが、エレベーターホールEVHの立体サイズに応じて、上述のパネル92,94,96のうちの幾つかを省略しても良い。
例えば、図7Aの正面断面図に示すように、エレベーターホールEVHの天井面Cが低い場合には、当該天井面Cを、前記隔離空間SSの天井として流用することにより、前記上面パネル96を省略しても良い。但し、その場合には、側面パネル92及び前面パネル94としては、床面Bに立設した状態において、その上端縁が天井面Cにほぼ達するサイズのパネルが使用される。また、前記上端縁と天井面Cとに対して、前述の床面Bの場合と同様のランナー部材101(図7Aでは不図示)が適用されて前記上端縁が天井面Cに立設固定され、更には、当該側面パネル92の上端縁の全長及び前面パネル94の上端縁の全長に亘って、天井面Cとの取り合いを覆って養生シート98aが敷設されて粘着テープ99等により接着固定される。
また、図7Bの側断面図に示すように、エレベーターホールEVHの乗り場出入口23aが狭い廊下に面していて、当該乗り場出入口23aと対向する建物BLDG側の壁面F2との間隔が狭い場合には、当該壁面F2を前記隔離空間SSの前面壁として流用することにより、前記前面パネル94を省略しても良い。但し、その場合には、側面パネル92及び上面パネル96としては、後端縁が前記壁面F1に突き合わされた状態において、前端縁が前記壁面F2にほぼ達するサイズのパネルが使用される。
ところで、上述した何れの例においても、隔離空間SS内の床面Bには、その全域に亘って気密性の養生シート(不図示)が敷設されており、これにより、粉塵等による床面Bの汚損を防止している。
また、この隔離空間SSや作業空間WS内において、乗り場出入口23a以外に、外部空間と連通し得るような開口部や隙間が存在している場合には、それら開口部や隙間もポリエチレンシート等の養生シートによって適宜閉塞され、これにより、これら空間SS,WSにおける外部空間への空気の流路はほぼ遮断される。
(3)集塵機61
図2Bに示すように、集塵機61は、エレベーターシャフトEVSの外側の1階フロアー等に配置される集塵機本体62と、集塵機本体62の空気吸込口62aに連結されて、エレベーターシャフトEVS内の上下の全長に亘り側壁23に沿って敷設されるダクト63と、から主に構成される。
ダクト63は、例えばフレキシブルホースを本体とし、その鉛直方向に適宜ピッチで複数の扉付き開口部63aを有している。そして、これら複数の扉付き開口部63aのなかで、作業空間WS内に位置する扉付き開口部63aの扉のみが選択的に開けられて、それ以外の扉付き開口部63aの扉が閉じられるように使用され、これにより、前記作業空間WS内の空気のみを選択的に集塵機本体62に取り込むようになっている。そして、この集塵機本体62に取り込まれた空気は、その内部のフィルター(不図示)に通されて当該空気中の異物が捕集されるとともに、前記フィルターを通過後の浄化空気は、集塵機本体62の排気口62bから外部空間へ排気され、これにより、前記作業空間WS内の気圧を、前記作業空間WSの外側(外気)の気圧よりも低い負圧状態にする。よって、前記仕切り部材51a,51b,91等の取り合いにおいて意図せずに隙間が形成されて、前記作業空間WS内の密閉性が多少悪くても、そのような隙間からのアスベストの外部漏出は有効に防止される。
ちなみに、図2Bに示すように、前記作業空間WS内に前記ダクト63の扉付き開口部63aが複数位置している場合には、そのなかで最も低い位置の扉付き開口部63aの扉を開けるのが望ましい。これは、この例ではアスベスト除去処理としてドライアイスブラスト法を採用しているからである。つまり、このドライアイス粒の昇華により発生する二酸化炭素ガスが、作業空間WS内の下部に溜まり易く、作業空間WS内の下部を積極的に排気する必要があるためである。
また、この二酸化炭素ガスの滞留の観点からは、作業空間WS内の上部に外気の取り入れ口を設けると良い。但し、その場合には、この取り入れ口を、例えばアスベストの通過は規制する通気性フィルターで覆い、これにより、取り入れ口からのアスベストの外部漏出を防止するのが望ましい。
また、この図2Bの例では、エレベーターシャフトEVSの後方の側壁23にダクト63を沿わせて敷設しているが、前方の側壁23に沿わせて敷設しても良い。
更には、ダクト63の各扉付き開口部63aを、アスベストの通過を規制する網目状のプレフィルターで覆っておくと良い。このプレフィルターとしては、例えば、集塵機本体62が内部に具備するフィルターよりも目の粗い安価なフィルターが用いられる。そして、このようにすれば、アスベストはプレフィルターの網目に引っ掛かり集塵機本体62内へのアスベストの吸い込み量を低減できるので、集塵機本体62内部の目の細かい高価なフィルターの目詰まりを抑えて、その交換頻度を少なくすることができる。
(4)作業ゴンドラ71
図3Aに示すように、作業ゴンドラ71は例えばデッキ型ゴンドラであり、エレベーターシャフトEVSの天井部26aに吊りワイヤー73を介して懸架されたケージ71を本体とする。このケージ71には、吊りワイヤー73を巻き上げる巻き上げ機75が搭載されており、ケージ71に搭乗した作業者が操作盤により巻き上げ機75のワイヤー巻き上げ量を調整することによって、ケージ71たる作業ゴンドラが上下昇降するようになっている。ちなみに、吊りワイヤー73の上端をエレベーターシャフトEVSの天井部26aに固定するための所謂突梁77は、例えば機械室MR内に取り付けられており、もって、吊りワイヤー73は、天井部26aに形成されたエレベーターEVの前記吊りロープR用挿通孔等の貫通孔Hを通してエレベーターシャフトEVS内に垂下される。
(5)ドライアイスブラスト装置
ドライアイスブラスト装置(不図示)は、例えば、作業空間WS内の空気や機械室MRの空気を取り込んでコンプレッサーなどにより圧縮空気を生成するとともに、この圧縮空気によってドライアイス粒をホース先端のノズルから噴射するものであり、作業ゴンドラ71に搭載されている。
なお、ここでは、このドライアイスブラスト装置から噴射したドライアイス粒をアスベストに衝突させてアスベストを除去しているが、除去方法は何等これに限るものではなく、例えば、手でアスベストを掻き落として除去しても良いし、更には、この除去処理の代わりに、前述の封じ込め処理や囲い込み処理を施しても良い。
<<<付着物処理方法>>>
第1実施形態の付着物処理方法によれば、上述の付着物処理設備を用いながら、以下の手順を行うことによりエレベーターシャフトEVS内のアスベストが除去される。
(1)作業ゴンドラ71の設置(作業ゴンドラ設置ステップに相当)
エレベーターシャフトEVSの天井部26aから吊りワイヤー73を垂下する(図3A)。また、図2BのエレベーターシャフトEVSの床部26b上に、作業ゴンドラ71のケージ71を搬入するとともに、前記吊りワイヤー73の下端を作業ゴンドラ71の巻き上げ機75にセットする。そして、これにより、ケージ71たる作業ゴンドラ71は使用可能状態となる。
(2)集塵機61の設置
図2Bに示すように、1階フロアー等の地上付近に集塵機本体62を配置するとともに、ダクト63を、エレベーターシャフトEVSの上下方向の全長に亘り側壁23に沿って敷設する。なお、このダクト63の敷設は、例えば、作業ゴンドラ71内にダクト63を持ち込んだまま作業ゴンドラ71を上方へ移動し、しかる後に、エレベーターシャフトEVSの上端部において、その側壁23の上端にダクト63の一端を支持固定するとともに、他端63cを下方に垂らすことで敷設される。そして、ダクト63の前記他端63cたる下端は、集塵機本体62の空気吸込口62aに接続され、これにより集塵機61は使用可能状態となる。
(3)アスベスト除去
この例では、図2Bに示すように、作業空間WSの区画位置を、エレベーターシャフトEVS内の上から下へと順次、間欠的且つ不可逆的に移動しながら、アスベストの除去処理をエレベーターシャフトEVSの全長に亘って行っていく。
すなわち、作業者は、先ず、エレベーターシャフトEVS内の上端部に作業空間WSを区画すべく、作業ゴンドラ71に乗って上昇する。そして、作業ゴンドラ71に乗りながら、前記上下一対のシャフト内仕切り部材51a,51b(第1仕切り部材に相当)をエレベーターシャフトEVSの側壁23に取り付けて、略2階の階高分の作業空間WSを区画する(作業空間区画ステップに相当)。また、当該作業空間WS内に位置する乗り場出入口23aを前記ホール側仕切り部材91(第2仕切り部材に相当)で囲って隔離空間SSを区画形成し、これによりエレベーターホールEVHから作業空間WSを隔離する(作業空間隔離ステップに相当)。
なお、エレベーターシャフトEVSの天井部26aを上側のシャフト内仕切り部材51aとして利用可能な場合には、上側のシャフト内仕切り部材51aについては省略することができる。また、上記の上端部の作業空間WSを含め、その後に区画形成される全ての作業空間WSに関しては、前記乗り場出入口23aの一部が作業空間WSからはみ出さないように、つまり、図2Bに示すように作業空間WSが前記乗り場出入口23aの全体を含むように作業空間WSは設定される。
次に、ダクト63の扉付き開口部63aのうちで、作業空間WS内の最も下方に位置する扉付き開口部63aの扉を開けるとともに集塵機61を稼働させ、作業空間WS内を負圧状態にする。
そうしたら、作業者は、作業空間WS内を作業ゴンドラ71に乗りながら上下昇降することによって、鉄骨梁21a等のアスベスト付着部位へと接近し、ドライアイスブラスト装置を用いて作業空間WS内のアスベストを除去していく(付着物処理ステップに相当)。
ここで、乗り場出入口23aの前記三方枠24を被覆するアスベストについては、乗り場出入口23aの開閉扉25を全開状態、又は図2Bの如き取り外した状態において除去作業が行われ、これにより、開閉扉25の裏側に隠れていた三方枠24のアスベストが除去される。この時には、乗り場出入口23aを通じてエレベーターホールEVH側へと粉塵が飛散する虞があるが、当該飛散は、乗り場出入口23aに設置されたホール側仕切り部材91によって有効に防止される。
また、ドライアイスブラスト装置から噴射したドライアイス粒は、アスベストに衝突後に昇華して二酸化炭素ガスとなり作業空間WS中の下部に溜まるが、溜まった二酸化炭素ガスは、上記のダクト63の扉付き開口部63aから速やかに排気される。
そして、作業空間WS内のアスベストの除去が終了したら、当該除去により下側の仕切り部材51b上に落下等したアスベストや、前記隔離空間SS内の床面Bの養生シート上に堆積したアスベストを掃除機等で吸い込んで清掃する。
そうしたら、アスベスト除去が未処理の位置であるところの下方の位置へと作業空間WSを移動すべく、エレベーターシャフトEVSの側壁23から前記シャフト内仕切り部材51a,51bを取り外すとともに、作業ゴンドラ71を下降させた後、側壁23に上下一対のシャフト内仕切り部材51a,51bを取り付けて作業空間WSを区画する。また、これと並行して、新たに今回区画された作業空間WS内に位置する乗り場出入口23aへ前記ホール側仕切り部材91を移設する。ちなみに、この時、今回の作業空間WSの上側のシャフト内仕切り部材51aの取り付け位置は、前回区画されていた作業空間WSと、今回区画される作業空間WSとが、上下の端部においてラップするように決められる。
そうしたら、この後は、この今回区画された作業空間WSに対して、前回区画されていた作業空間WSと同内容の作業が繰り返される。すなわち、集塵機61が稼働されて作業空間WS内が負圧にされた後、ドライアイスブラスト装置によってアスベストが除去され、除去後、作業空間WS等の清掃が行われる。
そして、これら作業空間WSの下方への移動及びその作業空間WSでのアスベスト除去作業等を、作業空間WSが、エレベーターシャフトEVSの下端たる床部26bに到達するまで順次繰り返すことにより、エレベーターシャフトEVSの全長に亘ってアスベストの除去作業が実施される。
(4)集塵機61及び作業ゴンドラ71の搬出
最後に、エレベーターシャフトEVSの側壁23からダクト63を取り外して、集塵機本体62と伴に建物BLDGから搬出する。また、エレベーターシャフトEVSの天井部26aから吊りワイヤー73を外すとともに、同床部26bに置いた作業ゴンドラ71のケージ71をエレベーターシャフトEVSから搬出する。
===第2実施形態の付着物処理方法について===
図8A及び図8Bは、第2実施形態の付着物処理方法の適用対象のエレベーターEVの平断面図及び斜視図である。なお、図8Bでは、エレベーターシャフトEVS及び機械室MRの輪郭線のみをそれぞれ二点鎖線及び三点鎖線で示し側壁23は透視して示している。
前述した第1実施形態に係るエレベーターEVは、単式、つまりエレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が1台しかないものであったが、これから説明する第2実施形態の適用対象のエレベーターEVは、多連式の一例としての3連式エレベーターである。つまり、図8Aに示すように、エレベーターシャフトEVS内には3台の乗りかご13,13,13が左右に並列して収容されている。そして、各乗りかご13は、それぞれに対応して機械室MRに設置された各巻き上げ機19により、各昇降空間UDS内を独立に昇降動作をする。
なお、上記の「昇降空間UDS」というのは、各エレベーターEVの乗りかご13が上下昇降するのに必要な最小空間のことであり、その上端はエレベーターシャフトEVSの天井部26aであり、下端は同床部26bであり、つまり、各昇降空間UDSは、鉛直方向に関してはエレベーターシャフトEVSの全長に亘っている。例えば、図示例の3連式の場合には、エレベーターシャフトEVSは3つの昇降空間UDSを有している(図8Bを参照)。
このような多連式エレベーターEVについては、その利用者数が多いこともあって、その設備更新工事中においても最低1台のエレベーターEVを稼働状態に維持する必要がある。よって、アスベスト処理に際しても、処理対象以外のエレベーターEVへとアスベストが飛散しないように隔離養生する必要があり、このことから、この第2実施形態の付着物処理方法では、図8Bに示すように、先ず、後述の仕切り部材81によってエレベーターシャフトEVS内を水平方向の左右に仕切って、処理対象のエレベーターEVの昇降空間UDSを、他のエレベーターEVの昇降空間UDSから隔離し、しかる後に、隔離された処理対象の昇降空間UDS(仮の作業空間に相当)に対して、前述の単式エレベーターEVで行ったのと同内容の付着物処理方法を行うようにしている。
すなわち、仕切り部材81により隔離区画された左端の昇降空間UDSを、前述の単式エレベーターEVのエレベーターシャフトEVS内の空間とみなして、当該昇降空間UDSに対して、前述の(1)作業ゴンドラ71の設置→(2)集塵機61の設置→(3)アスベスト除去→(4)集塵機61及び作業ゴンドラ71の搬出を順次行って、処理対象のエレベーターEVのアスベスト処理を行う。そして、処理対象のエレベーターEVのアスベスト処理が終了する度に、順次、処理対象を右隣のエレベーターEVに移して同じ付着物処理方法を繰り返し、最後に、左右方向の右端のエレベーターEVの処理が終了したら、全てのエレベーターEVに対して処理が完了する。つまり、エレベーターシャフトEVS内の全てのアスベストが除去される。
従って、前述の単式の場合との設備上の相違点としては、単式エレベーターEV用の付着物処理設備に加えて、上記の仕切り部材81を備えている点にあり、これ以外の構成についてはほぼ同じである。よって、以下の説明では、主に、この仕切り部材81について述べ、単式エレベーターEVと同内容については省略する。
図9は、仕切り部材81の説明用の平断面図である。図8B及び図9に示すように、この仕切り部材81は、左右に隣り合うエレベーターEV,EV同士の間に、エレベーターシャフトEVSの鉛直方向の上下の全長及び水平方向の前後の全幅に亘って延在して設けられ、これにより、処理対象のエレベーターEVの昇降空間UDSが、処理対象以外のエレベーターEVの昇降空間UDSから隔離されて、その結果、処理対象のエレベーターEVの昇降空間UDSが密閉区画される。
ここで、処理対象のエレベーターEVが、図9に示すように左右方向の左端又は右端のエレベーターEVの場合には、それと隣り合う稼働中のエレベーターEV(乗りかご13)は一つであるため、それとの間に仕切り部材81は一つだけ設けられるが、処理対象のエレベーターEVが、左端及び右端以外の場合には、左右の両隣りに稼働中のエレベーターEV(乗りかご13)が存在するため、その場合には、処理対象のエレベーターEVの左右両脇に仕切り部材81,81が対で設けられる。
図10は、仕切り部材81の一部を破断して示す斜視図である。仕切り部材81は、鉛直方向の上下及び水平方向の前後に延出する気密性シート87と、前記気密性シート87に粘着テープ等により面接触状態で貼り付けられて補強する補強シート85と、前記補強シート85の面の側に設けられ、前記気密性シート87及び前記補強シート85を平面形状に保持する保持部材82と、を有する。そして、気密性シート87の外周縁は、その全周に亘ってエレベーターシャフトEVSの天井部26a、床部26b、及び前後の側壁23に粘着テープ89等により密着固定されており、これによって、前記作業空間WS内は高度な密閉状態に区画される。なお、気密性シート87は、その外周縁の先端部87aが作業空間WS側を向くように曲げられているので(例えば図9を参照)、作業空間WS内の作業者は、当該気密性シート87の外周縁を前記天井部26a、床部26b、及び前後の側壁23に密着固定し易くなり、もって確実に固定可能となる。
上記の気密性シート87としては、例えば、ポリエチレンシートやPETシート等を挙げることができる。また、補強シート85としては、テント地の布材や不織布、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等を例示できる。
なお、保持部材82としては、例えば、図10に示すように、鉛直方向の上下に延びる複数の縦材83と水平方向の前後に延びる複数の横材84とが互いに直交して係合した井桁状(格子状)部材82を例示できる。そして、この井桁状部材82によれば、その井桁面が前記補強シート85に面接触状態で粘着テープ等により接着されてその平面形状を維持するので、補強シート85を介して気密性シート87の平面形状を確実に平坦に維持することができる。
また、前記縦材83の上端部83a及び下端部(不図示)は、それぞれ、前記エレベーターシャフトEVSの天井部26a及び床部26bに着脱可能に固定される一方、前記横材84の両端部84aは、それぞれ、前記エレベーターシャフトEVSの前後の側壁23,23に着脱可能に固定されている。よって、四方の全てを固定されているので、前記仕切り部材81を確実にエレベーターシャフトEVS内に支持して、その脱落を防ぐことができる。
図11A乃至図11Cは縦材83及び横材84を詳細に説明するための図であり、図11Aに斜視図を示し、図11Bには図11A中のB−B矢視図を示し、また、図11Cには同C−C矢視図を示している。
上記の縦材83としては、例えばワイヤーであり、その上下の両端部は、それぞれ、天井部26a及び床部26bに植設されたアイボルトやフック部材88等を介して対応する部位に係止固定される(図10)。また、上記の横材84としては、例えば、前記前後の側壁23,23に突っ張って両端部84a,84aが当接固定される棒体であり、より詳しくは、その長手方向の両端に吸盤の如き圧接密着部84aを備え、これら圧接密着部84aが送りねじ機構84b等にて長手方向に進退することにより全長を伸縮可能な棒部材である。そして、前記縦材83たるワイヤー83には、前記横材84を着脱可能に係止するフック状の係止部材83cが鉛直方向に所定ピッチで設けられている(図11A乃至図11C)。よって、前記エレベーターシャフトEVSの天井部26aから床部26bへと前記ワイヤー83を垂下しつつ張った状態で両端部を天井部26a及び床部26bに固定するとともに、前記ワイヤー83の各係止部材83cに横材84をそれぞれ係止し、しかる後に、これら横材84を伸長させて圧接密着部84aを前後の側壁23,23に固定すれば、前記保持部材82は井桁状に完成される。
ちなみに、この例では、作業者がエレベーターEVの乗りかご13の屋根面に乗るとともに、当該乗りかご13を上下昇降させることによって、昇降空間UDS内に前記仕切り部材81が取り付けられるが、当該仕切り部材81の取り付け作業に先んじて、前述の(1)の「作業ゴンドラ71の設置」作業を予め行っておけば、当該作業ゴンドラ71を用いて仕切り部材81を取り付けることもできる。
そうしたら、前述の(3)の「アスベスト除去」作業では、この仕切り部材81により隔離状態になった昇降空間UDSに対して、前述のシャフト内仕切り部材51a,51bを取り付けることになる。ここで、前述の単式の場合には、シャフト内仕切り部材51a,51bの支持棒53の取り付け方向に係る制約は、水平面内であれば前後左右を問わず特になかったが、当該多連式の場合には、図12に示すように、支持棒53の長手方向(突っ張り方向)を、前記仕切り部材81の支持棒53と同方向の前後方向に沿わせて配置することが必須となる。すなわち、支持棒53は、前方の側壁23と後方の側壁23とに突っ張った状態で固定されることになる。この理由は、左右方向の少なくとも一方側には、上記の仕切り部材81が位置していて、当該低剛性の仕切り部材81に対しては、支持棒53の取り付けに必要な突っ張り力の反力を期待できないからである。
ちなみに、シャフト内仕切り部材51a,51bの気密性シート57の外周縁のうちで、仕切り部材81に対応して近接する端辺は、粘着テープ56等により前記仕切り部材81の気密性シート87に接着固定されるのは言うまでもない。
また、この第2実施形態においては、仕切り部材81が「第1仕切り部材」に相当し、シャフト内仕切り部材51a,51bが「第3仕切り部材」に相当する。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が無い状態でアスベスト処理を行う場合を例示したが、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が在る状態でアスベスト処理を行っても良い。なお、この場合には、乗りかご13は、アスベストの処理作業の邪魔にならないように、エレベーターシャフトEVSの上端又は下端へ移動されており、上端又は下端の無害化処理をする際には、乗りかご13は処理済みの位置へ移動されるのは言うまでもない。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVSの形状が直方体形状の場合を例示したが、その形状は何等これに限るものではなく、例えば円柱形状であっても良いし、三角柱や五角以上の多角柱形状であっても良い。なお、この場合には、シャフト内仕切り部材51a,51bの平面外形状は、エレベーターシャフトEVSの横断面形状に応じて、円形や三角形若しくは多角形等に適宜変更されるのは言うまでもない。
上述の実施形態では、シャフト内仕切り部材51a,51bの気密性シート57が補強シート55の全面に亘って面接触する場合を例示したが、補強シート55が気密性を有する場合は、気密性シート57が開口を有し、その内周縁が補強シート55の外周縁と粘着テープ等により密着固定され、気密性シート57の外周縁がエレベーターシャフトEVSの前後左右の四方の側壁23又は仕切り部材81に、全周に亘って粘着テープ等により密着固定されるようにしてもよい。
上述の第2実施形態では、仕切り部材81で隔離された処理対象の昇降空間UDS内を、更にシャフト内仕切り部材51a,51bで上下に仕切って作業空間WSを区画形成したが、何等これに限るものではなく、前記昇降空間UDS内を区画しなくても良い。つまり、昇降空間UDS内全体を一つの作業空間WSとしても良く、その場合には、処理対象のエレベーターEVの全ての乗り場出入り口23aに対してホール側仕切り部材91が設けられることになる。更に、この場合には、処理対象のエレベーターEVが具備する乗りかご13を作業ゴンドラ71の代わりに使用しても良い。すなわち、乗りかご13の屋根面に作業者が乗って処理作業を行っても良い。
上述の第2実施形態では、仕切り部材81の気密性シート87は一枚ものであるように説明したが、これに限らず、補強シート85が気密性を有する場合には、気密性シート87を適宜なサイズの複数のシートから構成し、これらを粘着テープ等によって繋ぎ合わせて上記の仕切り部材81の大きさまで大きくしても良い。但し、補強シート85については、強度の観点から極力一枚ものの方が望ましい。
上述の第2実施形態では、ホール側仕切り部材91としてパネル92,94,96を用いたが、何等これに限るものではなく、例えば、シート状部材を用いても良い。すなわち、ポリエチレンシート等の気密性シートによって、乗り場出入口23aの全体をエレベーターホールEVH側から覆うとともに、当該覆った状態において気密性シートの外周縁を、その全周に亘って乗り場出入り口23aの周囲の部分に粘着テープ等にて接着固定しても良い。
上述の第2実施形態では、エレベーターシャフトEVS内のアスベスト処理を、左端の昇降空間UDSから始めて、順次その右隣の昇降空間UDSへと移っていった。つまり、アスベストの処理対象の昇降空間UDSを左から右へと一方向に移動させていたが、これとは逆に、右から左へと一方向に移動させても良いし、更には、アスベスト処理を行う昇降空間UDSの順番をランダムに決めても良い。
但し、前者2つの例の場合(一方向に移動させる場合)には、アスベスト処理した昇降空間UDSと次に処理する昇降空間UDSとの間の仕切り部材81については、当該次に処理する昇降空間UDSのアスベスト処理の際に流用可能なので、仕切り部材81の付け外し作業の負荷軽減を図れる。よって、特段の事情の無い限りは、処理順をランダムに決めずに、処理対象の昇降空間UDSを一方向に移っていくのが望ましい。なお、一方向に移動させることの作業効率の向上効果は、特に、処理された昇降空間UDSの次の処理対象の候補として2つ以上の昇降空間UDSが存在していて選択しなければならない場合、つまりエレベーターシャフトEVS内に3つ以上の昇降空間UDSが存在する場合に有効に発揮される。
本実施形態の付着物処理設備及び同方法の適用対象であるエレベーターEVの側断面図である。 同エレベーターEVの平断面図(図1A中のB−B断面図)である。 エレベーターホールEVH側からエレベーターEVの乗り場出入口23aを斜視した図である。 第1実施形態に係る付着物処理設備を模式的に示す斜視図である。 同付着物処理設備の側断面図である。 シャフト内仕切り部材51a,51bの説明用の斜視図である。 同正面断面図である。 上側の仕切り部材51aを説明するための斜視図である。 ホール側仕切り部材91の説明用の斜視図である。 同側断面図である。 同平断面図である。 同正面断面図である。 ランナー部材101の斜視図である。 ホール側仕切り部材91の他の設置態様を示す正面断面図である。 ホール側仕切り部材91の他の設置態様を示す側断面図である。 第2実施形態の付着物処理方法の適用対象のエレベーターEVの平断面図である。 同斜視図である。 第2実施形態に係る仕切り部材81の説明用の平断面図である。 仕切り部材81の一部を破断して示す斜視図である。 保持部材82に係る縦材83及び横材84を詳細に説明するための図であり、図11Aに斜視図を示し、図11Bには図11A中のB−B矢視図を示し、また、図11Cには同C−C矢視図を示している。 第2実施形態に係るシャフト内仕切り部材51a,51bの支持棒53の取り付け方向の説明用斜視図である。
符号の説明
13 乗りかご、19 巻き上げ機、
21 柱梁架構、21a 鉄骨梁、21b 鉄骨柱、
23 側壁(コンクリートパネル)、23a 乗り場出入口、
24 三方枠、24a 竪枠、24b 上枠、
25 開閉扉、
26a 天井部、26b 床部、
51a 上側のシャフト内仕切り部材(第1仕切り部材又は第3仕切り部材)、
51b 下側のシャフト内仕切り部材(第1仕切り部材又は第3仕切り部材)、
53 支持棒、53a 圧接密着部、53b 送りねじ機構、54 紐、
55 補強シート、55a 分割片、
56 粘着テープ、57 気密性シート、57a 分割片、
58 孔部材、58a 分割体、58b 水平フランジ部、
61 集塵機、62 集塵機本体、62a 空気吸込口、62b 排気口、
63 ダクト、63a 扉付き開口部、63c 他端(下端)、
71 ケージ(作業ゴンドラ)、73 吊りワイヤー、75 巻き上げ機、
77 突梁、
81 仕切り部材(第1仕切り部材)、82 保持部材、
83 ワイヤー(縦材)、83a 上端部、83c 係止部材、
84 横材、84a 圧接密着部(両端部)、84b 送りねじ機構、
85 補強シート、87 気密性シート、87a 先端部、
88 フック部材、89 粘着テープ、
91 ホール側仕切り部材(第2仕切り部材)、
92 側面パネル、94 前面パネル、96 上面パネル、
98a 養生シート、99 粘着テープ、
101 ランナー部材、101a 底面、101b リブ部、
103 連結部材、
EV エレベーター、MR 機械室、WS 作業空間、SS 隔離空間、
EVH エレベーターホール、B 床面、C 天井面、
F1 正面の壁面、F2 壁面、
EVS エレベーターシャフト、BLDG 建物、
H 貫通孔、R 吊りロープ

Claims (8)

  1. エレベーターシャフト内の付着物の処理方法であって、
    作業ゴンドラを前記エレベーターシャフトに設置する作業ゴンドラ設置ステップと、
    前記エレベーターシャフト内を第1仕切り部材で仕切ることにより、前記処理のための作業空間を区画する作業空間区画ステップと、
    前記作業空間内に位置する全てのエレベーター乗り場出入口を、第2仕切り部材によってエレベーターホール側から囲うことにより、前記作業空間をエレベーターホール側の空間から密閉隔離する作業空間隔離ステップと、
    前記第1仕切り部材と前記第2仕切り部材とで密閉された前記作業空間内において、前記付着物を処理する付着物処理ステップと、を備えるエレベーターシャフト内の付着物処理方法であり、
    前記作業空間区画ステップでは、上下一対の前記第1仕切り部材によって、前記エレベーターシャフト内を鉛直方向に仕切って、前記作業空間を区画し、
    上側の前記第1仕切り部材は、前記作業ゴンドラの吊りワイヤーを上下に通す孔部材を有するとともに、当該孔部材に対応する位置において分割可能であり、
    上側の前記第1仕切り部材は、前記作業ゴンドラ設置ステップの後に設置され、当該上側の前記第1仕切り部材が設置される際に、前記孔部材が前記吊りワイヤーを側方から覆うように、分割された上側の前記第1仕切り部材が連結されることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  2. 請求項1に記載の付着物処理方法であって、
    前記作業空間が形成された位置での前記処理の終了の度に、前記作業空間を順次未処理の位置へと鉛直方向に移動することを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  3. 請求項2に記載の付着物処理方法であって、
    前記作業空間は、上から下へと一方向に順次移動していくことを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の付着物処理方法であって、
    前記乗り場出入口が具備する開閉扉が全開状態又は取り外された状態で、前記処理が行われることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の付着物処理方法であって、
    前記エレベーターシャフトが具備する前記乗り場出入口のなかで、前記作業空間内に位置する全ての乗り場出入口のみを、前記第2仕切り部材によって囲うことを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の付着物処理方法であって、
    前記作業空間から吸気口を介して吸い込んだ空気をフィルターに通すことにより前記空気中の異物を捕集するとともに、前記フィルターを通過後の空気を前記作業空間の外側へ排気することにより、前記作業空間の気圧を、前記作業空間の外側の気圧よりも低くする集塵機を用いることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  7. 請求項6に記載の付着物処理方法であって、
    前記付着物の処理は、前記付着物に向けてドライアイス粒を噴射して衝突させることにより前記付着物を剥がす処理であり、
    前記集塵機の吸気口は、前記作業空間内における下部に配置されていることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の付着物処理方法であって、
    前記エレベーターシャフト内に具備する乗りかごの屋根面を、前記処理のための作業床として用いることを特徴とするエレベーターシャフト内の付着物処理方法。
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