JP5866755B2 - 仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法 - Google Patents

仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレベーター等が設けられる、建物の中空空間を仕切る仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法に関する。
建物の中空空間としては、たとえば鉛直方向に長い内部空間内を乗りかごが上下昇降するように構成されたエレベーターシャフトがある。エレベーターには、複数台の乗りかごが左右に並列配置された、いわゆる多連式のエレベーターがあり、多連式のエレベーターのエレベーターシャフト内には、乗りかご毎に、互いに独立して昇降動作を行えるように昇降空間が設けられている。
また、エレベーターシャフト内には、鉄骨架構の耐火被覆目的で施工されたアスベストがそのまま鉄骨に付着状態で残存していることがあり、このようなアスベストは、飛散前に一刻も早く除去等の無害化処理を施す必要がある。
エレベーターシャフト内の付着物を取る方法として、例えば、付着物として綿ゴミ等の塵埃を清掃する方法は知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−145448号公報
ところで、一般に、建屋内のアスベストを処理する際には、養生シート等により隔離密閉された作業空間を形成し、その中で処理作業を行うことが義務付けられている。ところが、上述のような多連式のエレベーターの場合にエレベーターシャフト全体を隔離密閉すると、全てのエレベーターが使えなくなってしまい著しく不便となる。このため、少なくとも1台のエレベーターは稼働状態のままで処理作業ができるように昇降空間毎に隔離密閉することが望ましい。
しかしながら、多連式のエレベーターの場合に、左右方向に隣接する昇降空間の間に複数の中間ビームが設けられている場合があり、中間ビームに遮られて、隣接する昇降空間の間を隔離密閉することが難しい場合があるという課題がある。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、中間ビームが設けられた中空構造体内を複数の空間に区分けして密閉することが可能な仕切り壁、この仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法を提供することにある。
かかる目的を達成するために本発明の仕切り壁は、
物体を上下昇降する複数の昇降空間が中間ビームを挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁であって、
前記中間ビームは、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
複数の前記中間ビームに架け渡され、当該中間ビームの側面に前記水平方向における一方側から当接されて固定された軽量形鋼材と、
前記軽量形鋼材に固定され、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材と、を備えており、
前記壁部材は、
複数枚の板材が、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べられ、前記中空構造体の内周面との間に空隙を備えて配置された壁面材と、
前記中空構造体の内周面に当接されて前記壁面材に固定され、前記空隙を閉塞する複数の中継部材と、を有することを特徴とする仕切り壁である。
このような仕切り壁によれば、中空構造体内を仕切る仕切り壁は、互いに隣り合う昇降空間の間に位置する中間ビームの側面に、水平方向における一方側から当接されて固定された軽量形鋼材に壁部材が固定されているので、互いに隣り合う昇降空間の間に中間ビームが設けられている構造であっても、中間ビームに遮られることなく上下方向に繋がった壁面にて中空構造体内を仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間の間を仕切る仕切り壁が上下方向に繋がった壁面を形成するので、付着物の処理をするための空間を密閉することが容易である。さらに、壁部材は、上下方向に間隔を隔てて複数設けられた中間ビームに架け渡された軽量形鋼材に固定されているので、壁部材により形成された壁面に、隣接する昇降空間にて物体が昇降し風圧が作用しても撓みにくい剛性を備えることが可能である。
また、仕切り壁を構成する壁面材は、壁面材を構成し互いに隣接する複数の板材の端部同士が重なるように配置されているので、より高い密閉性を備えた仕切り壁を提供することが可能である。また、壁面材と中空構造体の内周面との間を繋ぐ中継部材が設けられているので、壁面材と中空構造体の内周面との間も密閉することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記中間ビームは、H型鋼でなり、前記H型鋼が有する2つのフランジが前記左右に位置するように配置されており、前記壁面材は、上下に隣り合う前記中間ビームの前記フランジにおける前記一方側の側面に固定され上下方向に沿って配置された前記軽量形鋼材に取り付けられていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、2つのフランジが左右に位置するように配置されたH型鋼でなる中間ビームのフランジに、当該フランジの一方側の側面に固定されて、上下方向に沿って配置された軽量形鋼材に壁面材が取り付けられているので、中間ビームに遮られることなく上下方向に繋がった壁面にて中空構造体内を仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間の間を仕切る仕切り壁が上下方向に繋がった壁面を形成するので、付着物の処理をするための空間を密閉することが容易である。
かかる仕切り壁であって、前記中空構造体内の前記付着物が付着している箇所は、当該付着物の表面に設けられた飛散防止シートが前記内周面をなしていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、中空構造体内の付着物が付着している箇所は、付着物の表面に飛散防止シートが設けられているので、付着物が付着している箇所に中継部材を設けることによる付着物の飛散を防止することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記中継部材と前記内周面との間にシール材が充填されていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、複数設けられた中継部材と内周面との間にシール材が充填されているので、中継部材と内周面との間も確実に密閉することが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記壁部材を覆う気密性シートが設けられていることが望ましい。
このような仕切り壁によれば、壁部材が気密性シートにて覆われているので、壁部材を構成する壁面材と中継部材との間及び壁面材を構成し隣接する複数の板材間をより確実に密閉することが可能である。
また、物体を上下昇降する複数の昇降空間が中間ビームを挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁であって、
前記中間ビームは、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
複数の前記中間ビームに架け渡され、当該中間ビームの側面に前記水平方向における一方側から当接されて固定された軽量形鋼材と、
前記軽量形鋼材に固定され、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材と、を備えており、
前記壁部材を覆う気密性シートが設けられており、
前記気密性シートは、前記壁部材の両面にそれぞれ設けられていることを特徴とする仕切り壁である。
このような仕切り壁によれば、壁部材の両面が気密性シートにて覆われているので、壁部材を構成する壁面材と中継部材との間及び壁面材を構成し隣接する複数の板材間を両面からより確実に密閉することが可能である。また、仕切り壁により仕切られた空間の一方側の処理が終了した後に一方側の気密性シートを取り外しても、仕切り壁の密閉性を維持したままで他方側の処理を行うことが可能である。
かかる仕切り壁であって、前記壁面材は、鋼板であることが好ましい。
このような仕切り壁によれば、壁面材が剛板なので、より高い剛性を備えた仕切り壁を提供することが可能である。例えば、仕切るべき空間が広く、仕切り壁が大きい場合であっても、壁面材が撓んだり変形することを防止することが可能である。また、例えば、並設された昇降空間にて物体が高速にて昇降して高い風圧が仕切り壁に作用する場合であっても、壁面材が撓んだり変形し難い仕切り壁を提供することが可能である。
また、物体を上下昇降する複数の昇降空間が中間ビームを挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁の設置方法であって、
前記中間ビームは、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
複数の前記中間ビームの、前記水平方向における一方側に、軽量形鋼材を掛け渡して固定する軽量形鋼材架け渡し工程と、
掛け渡された前記軽量形鋼材に、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材を固定して壁面を形成する壁形成工程と、を有し、
前記壁部材は、前記壁面を形成する複数の板材でなる壁面材と、前記壁面材と前記中空構造体の内周面とを繋ぐ複数の中継部材とを有し、
前記壁形成工程は、
前記複数の板材を、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べるとともに前記中空構造体の内周面との間に空隙を形成して前記壁面を形成する壁面形成工程と、
前記複数の中継部材を、前記中空構造体の内周面に当接させて前記壁面材に固定し、前記空隙を閉塞する閉塞工程と、を有することを特徴とする仕切り壁の設置方法である。
このような仕切り壁の設置方法によれば、中空構造体内を仕切る仕切り壁を、互いに隣り合う昇降空間の間に位置する中間ビームの、水平方向における一方側に設けた軽量形鋼材に壁部材を固定して形成するので、互いに隣り合う昇降空間の間に中間ビームが設けられている構造であっても、中間ビームに遮られることなく上下方向に繋がった壁面にて中空構造体内を容易に仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間の間に仕切り壁の上下方向に繋がった壁面を形成するので、付着物の処理をするための空間を密閉することが容易である。さらに、壁部材を、上下方向に間隔を隔てて複数設けられた中間ビームに架け渡した軽量形鋼材に固定するので、上下方向に架け渡された軽量形鋼材に壁部材を固定することにより上下方向に繋がった壁面を容易に形成することが可能であり、隣接する昇降空間にて物体が昇降し風圧が壁面に作用しても撓みにくい剛性を備えることが可能である。
また、壁部材の壁面材を構成する複数の板材を互いに隣接する板材の端部同士が重なるように配置するので、より高い密閉性を備えた仕切り壁を形成することが可能である。また、壁面材と中空構造体の内周面との空隙に合わせて中継部材を取り付けることにより、単に壁面材のみにて壁部材を形成する場合より、調整代を確保することが可能であり、壁面材と中空構造体の内周面との間を中継部材にてより確実に塞ぐことが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記中空構造体内の前記付着物が付着している箇所は、前記中継部材が当接される位置の当該付着物の表面に飛散防止シートを設けて前記内周面を形成することが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、中空構造体内の付着物が付着している箇所は、中継部材が当接される位置の当該付着物の表面に飛散防止シートを設けて内周面とするので、中継部材を設ける際に、中継部材と付着物とが直接接しないので中継部材を取り付けることによる付着物の飛散を防止することが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記壁面形成工程では、前記壁部材を覆うための気密性シートを前記軽量形鋼材の、前記付着物が先に処理される先作業空間側の面に設けることが好ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、壁部材を覆う気密性シートが軽量形鋼材と壁部材との間に設けられるので、壁部材の軽量形鋼材側の面を気密性シートにて覆い密閉空間を形成することが可能である。また、壁部材の平坦な面を気密性シートにて覆うので、より高い気密性を確保することが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記閉塞工程では、前記壁部材の前記気密性シートと反対側の面に、新たな気密性シートを設けることが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、壁部材は両面から気密性シートに覆われるので、さらに高い気密性を確保することが可能である。
かかる仕切り壁の設置方法であって、前記中継部材と前記飛散防止シートとの間にシール材を充填することが望ましい。
このような仕切り壁の設置方法によれば、中継部材と飛散防止シートとの間にシール材を充填するので、中継部材と飛散防止シートとの間も隙間なく密閉することが可能である。
また、上記仕切り壁を用いた付着物の処理方法であって、
前記中空構造体内は、前記壁部材にて、前記付着物が先に処理される先作業空間と、後で処理される後作業空間とに区画され、
前記壁部材は、前記先作業空間側に設けられ、前記中継部材は前記壁面材に前記後作業空間側から固定されており、
前記先作業空間側にて前記付着物を除去し、除去した部位に飛散防止剤を塗装し、
前記飛散防止シートに当接された前記中継部材を取り外した場合に前記先作業空間と前記後作業空間とが連通される部位を覆うカバー部材を、前記先作業空間側から前記壁面材に固定し、
前記先作業空間側にて前記飛散防止剤が塗装された部位の前記カバー部材より前記先作業空間側に前記付着物と異なる新設付着物を付着させた後に、
前記後作業空間側から固定された前記中継部材を取り外して前記後作業空間において前記付着物を除去することを特徴とする付着物の処理方法である。
このような付着物の処理方法によれば、壁部材により先作業空間と後作業空間とに密閉区画された後に、先作業空間側の付着物が除去されるので、除去された付着物が外部に飛散することを確実に防止することが可能である。このとき、除去された付着物は後作業空間にも飛散しないので、後作業空間は先作業空間での付着物の除去処理に拘わらず使用することが可能である。また、付着物が除去された部位には飛散防止剤を塗装するので、付着物の飛散をより確実に防止することが可能である。さらに、カバー部材を取り付けてから飛散防止シートに当接されている中継部材を取り外すので、先作業空間内を密閉区画した状態を保ったままで、即ち、先作業空間と後作業空間とが連通されることなく、中継部材を取り外すことが可能である。また、カバー部材を取り付けた後に、カバー部材より先作業空間側に付着物と異なる新設付着物を付着させる処理を実行するので、付着物が付着していた部位のカバー部材より先作業空間側を新設付着物で覆うことが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記カバー部材を、前記先作業空間にて前記飛散防止剤が塗装された部位に当接して前記壁面材に固定することが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、カバー部材を先作業空間にて飛散防止剤が塗装された部位に当接するので、付着物が確実に飛散防止処理された領域にて先作業空間側と後作業空間とを区画することが可能である。このため、カバー部材を取り付けた後に中継部材を取り外しても先作業空間側に付着物が残存することを確実に防止することが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記カバー部材は、前記飛散防止剤が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部を当接させることが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、カバー部材を、飛散防止剤が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部にて飛散防止剤が塗装された部位に当接するので、カバー部材の内周面との接触面積を小さくすることが可能であり、より広い領域に新設付着物を付着させることが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記カバー部材は、前記後作業空間にて前記付着物が除去された後に、前記付着物が除去された部位の、前記カバー部材の前記後作業空間側に前記新設付着物を付着させ、その後、前記カバー部材が当接された部位と直交する方向に引き抜かれて取り外されることが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、先作業空間にて飛散防止剤が塗装された部位に当接されたカバー部材の後作業空間側にて付着物を除去した後に、飛散防止剤を塗装するので、付着物が付着していた部位の全域に余すことなく飛散防止剤を塗装することが可能である。そして、カバー部材が当接していた部位、すなわち、カバー部材の板厚分を除いた領域に新設付着物を付着させることが可能である。また、カバー部材を当該カバー部材が当接された部位と直交する方向に引き抜いて取り外すので、カバー部材を取り外してもカバー部材の板厚分の隙間が形成されるだけで、新設付着物を剥がすことなくカバー部材を取り外すことが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記カバー部材を引き抜いた部位に、前記新設付着物を充填することが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、カバー部材を引き抜いて形成された隙間にも新設付着物を充填することが可能である。このため、付着物が付着していた部位の全域に新設付着物を充填することが可能である。
かかる付着物の処理方法であって、前記中空構造体が並設された3つ以上の作業空間を有する場合には、最も端に位置する最端作業空間を前記先作業空間とし、前記最端作業空間と隣接する前記作業空間側を前記後作業空間として前記先作業空間から前記付着物の処理を実行し、前記先作業空間にて前記処理が終了した後に、隣接する前記作業空間を前記先作業空間として、順次、隣接する前記作業空間へ移動して処理することが望ましい。
このような付着物の処理方法によれば、中空構造体内に作業空間が3つ以上存在する場合には、先作業空間を密閉するために設置した仕切り壁を、後作業空間の仕切り壁として流用できるので、仕切り壁の設置及び取り外し作業を省略できて、効率良く作業を進めることが可能である。
本発明によれば、中間ビームが設けられた中空構造体内を複数の空間に区分けして密閉することが可能な仕切り壁、この仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法を提供することが可能である。
本実施形態の仕切り壁が設けられたエレベーターシャフトを説明するためのイメージ図である。 本実施形態の仕切り壁が設けられる中空構造体を説明するための平断面の概略図である。 本実施形態の仕切り壁の正面図である。 本実施形態の仕切り壁の縦断面図である。 本実施形態の仕切り壁の平断面図である。 アスベストの表面に貼り付けられた飛散防止シートを示す図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は縦断面図、図6(c)は平断面図を示している。 中間ビームに取り付けた軽量形鋼材と軽量形鋼材に取り付けられた気密性シート及び壁面材を示す図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は縦断面図、図7(c)は平断面図を示している。 中継部材を説明するための図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は縦断面図、図8(c)は平断面図を示している。 飛散防止シートを囲むように取り付けられる中継部材の配置を説明するための図である。 先作業空間側の気密性シート及び中継部材と飛散防止シートとの間に充填されるシール材を説明するための図であり、図10(a)は正面図、図10(b)は縦断面図、図10(c)は平断面図を示している。 先作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図11(a)は縦断面図、図11(b)は平断面図を示している。 カバー部材を取り付けた状態を示す図であり、図12(a)は正面図、図12(b)は縦断面図、図12(c)は平断面図を示している。 先作業空間側にて鉄骨梁にロックウールの被覆を施す処理を説明するための図であり、図13(a)は縦断面図、図13(b)は平断面図を示している。 カバー部材が設けられた範囲の中継部材を取り外した状態を示す図であり、図14(a)は縦断面図、図14(b)は平断面図を示している。 後作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図15(a)は正面図、図15(b)は縦断面図、図15(c)は平断面図を示している。 カバー部材を取り外した後に形成されるロックウールの隙間を示す図であり、図16(a)は正面図、図16(b)は縦断面図、図16(c)は平断面図を示している。
以下、本実施形態の仕切り壁、この仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法の一例について図を用いて詳細に説明する。
本実施形態においては、処理すべき付着物が付着した中空構造体の内部空間の一例として、エレベーターシャフトを例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態の仕切り壁が設けられたエレベーターシャフトを説明するためのイメージ図である。図2は、本実施形態の仕切り壁が設けられる中空構造体を説明するための平断面の概略図である。
本実施形態の仕切り壁30は、中空構造体10の内部空間の一例としてのエレベーターシャフトEVS内において、鉄骨梁21aに耐火被覆として既に吹き付けられている付着物としてのアスベスト31に対し除去等の無害化処理を施し、さらに、アスベスト31と異なる新設付着物としてのロックウール46を耐火被覆として鉄骨梁21aに施す耐火被覆処理をする際に用いられるものである。なお、以下の説明では、図に示すように、互いに直交する三方向をそれぞれ、エレベーターシャフト内を乗りかごが昇降する方向を上下方向(鉛直方向)、乗りかごに乗り降りするための開口が設けられた壁面に沿う方向を左右方向(水平方向)、及び、乗りかごに対して奥行き方向となる方向を前後方向(水平方向)と言う。
===エレベーターEVについて===
エレベーターEVは、図1に示すように、ビル等の建物の一部に区画されたエレベーターシャフトEVSと、このエレベーターシャフトEVS内を鉛直方向に沿って上下昇降可能に案内された乗りかご13と、エレベーターシャフトEVSの上方の機械室MR内に配置されて、つり合い重りWを備えた吊りロープRを用いて前記乗りかご13を吊り下げつつ上下昇降する巻き上げ機19と、を備えている。このエレベーターEVは所謂3連式のエレベーターEVであり、エレベーターシャフトEVS内には、3つの乗りかご13が左右に並列して設けられている。そして、各乗りかご13は、それぞれに対応して機械室MRに設置された各巻き上げ機19によって、各昇降空間TRに沿って独立に昇降動作をする。
エレベーターシャフトEVSは、鉛直方向に長い直方体形状の空間である。詳しくは、鉄骨梁21aと鉄骨柱21bとが鉛直方向に長い略直方体形状に組まれてエレベーターシャフトEVSの柱梁架構21が構築されている。また、左右に並列して設けられた3つの乗りかご13の各昇降空間TRの間には、各階床間の鉄骨梁21aに前後方向に架け渡して中間ビーム24が設けられている。ここで、鉄骨梁21a、鉄骨柱21b、中間ビーム24は、いずれもH型鋼であるが、中間ビーム24は、鉄骨梁21a、鉄骨柱21bよりも断面形状が小さなH型鋼にて形成されている。このため、鉄骨梁21aはフランジが上下に配置されてウェブが鉛直方向に沿うように配置されているが、中間ビーム24は側方からの風圧に対する剛性を高めるためにフランジが左右に配置されてウェブが水平をなすように配置されている。
また、上下に隣り合う鉄骨梁21a同士の間にはALC(気泡コンクリート)版等のコンクリートパネルが配置され、このコンクリートパネルにより、エレベーターシャフトEVSの側壁28が前後左右の四方を囲って形成されている。また、これら四方の側壁28の上端及び下端には、それぞれ、天井面10a及び床面10bが形成されており、これにより、エレベーターシャフトEVS内は、概ね上下前後左右の六方の全てが閉じた略閉空間になっている。
なお、四方の側壁28のうちの前方の側壁28には、各乗りかご13及び建物の各階フロアーに対応させてエレベーターEVの乗り場出入口28aが開口形成されているとともに、各乗り場出入口28aには、左右にスライドする開閉扉25が設けられている。よって、乗りかご13の無い状態において前記開閉扉25が開くと、エレベーターシャフトEVS内は、建物側の空間であるエレベーターホールEVHと連通状態になる。
ところで、上述からわかるように、一般にエレベーターシャフトEVS内には、柱梁架構21の鉄骨梁21aが部分的に露出している。このような鉄骨露出部位に対しては建築基準法上耐火被覆が必須であり、以前はその素材としてアスベストが使用されていた。このため、現在も既存のエレベーターシャフトEVS内にはアスベストが露出していることがある。
このようなアスベストに対しては、例えば、既存エレベーターEVの設備更新工事等に併せて、無害化処理が行われる。無害化処理としては、アスベストを剥がす等の物理的に取り除く除去処理や、薬液塗布等により塗布部位の表面を固めてその場にアスベストを封じ込める封じ込め処理、更には、板材等でアスベストの付着部位を囲って外に露出しないようにする囲い込み処理等が挙げられる。
そして、何れの処理を行うにせよ、その処理作業時には、周囲にアスベストが飛散しないように、その作業空間WSを隔離密閉養生することが義務付けられている。
しかし、上述したような3連式等の多連式エレベーターEVの場合にエレベーターシャフトEVS全体を隔離密閉養生すると、全てのエレベーターEVが使えなくなり著しく不便となるので、少なくとも1台のエレベーターEVを稼働状態としたままで無害化処理が実施できることが望ましい。
そこで、本実施形態の仕切り壁は、エレベーターシャフトEVS内を水平方向の左右に仕切って、前記作業空間WSを乗りかご13単位、つまり昇降空間TR単位(エレベーターEV単位)で密閉区画するように設置され、この仕切り壁により前記作業空間WS外の乗りかご13(昇降空間TR、エレベーターEV)の稼働を確保している。
==本実施形態に係る仕切り壁、仕切り壁の設置方法、及び、付着物の処理方法===
<<仕切り壁>>
図3は、本実施形態に係る仕切り壁を示す正面図であり、図4は、本実施形態に係る仕切り壁の縦断面図、図5は、本実施形態に係る仕切り壁の平断面図である。
仕切り壁30は、例えば、鉛直方向に沿って配置され、中間ビーム24に固定されて仕切り壁30の下地となる複数本の軽量形鋼材32と、軽量形鋼材32に固定されエレベーターシャフトEVS内を作業空間と昇降空間とに仕切る壁部材34と、壁部材34を作業空間側及び昇降空間側からそれぞれ覆う気密性シート40と、を有している。
軽量形鋼材32は、例えば断面がC字状をなすチャンネル材である。軽量形鋼材32は、階層間においてエレベーターEVの前後にそれぞれ配置され左右方向に沿って配置された鉄骨梁21aに、前後方向に架け渡された中間ビーム24の側面に水平方向における一方側から当接されて固定されている。また、軽量形鋼材32は、左右方向に互いに間隔を隔てて複数本(ここでは3本)がほぼ平行に設けられている。
壁部材34は、複数枚の板材35aが、各々の端部同士が重ねられて配置されて壁面を構成する壁面材35と、壁面材35の端部とエレベーターシャフトEVSを形成している中空構造体10の内周面との間を繋ぐ複数の中継部材36と、を有している。ここで、中空構造体10の内周面とは、中空構造体10の前後の側壁28、天井面10a及び床面10bと、各階床間にてエレベーターシャフトEVS内に露出しているスラブ12の端部及び鉄骨梁21aを被覆するアスベスト31の表面が相当するが、中継部材36により壁面材35と繋がれる内周面においては、側壁28、天井面10a、床面10b、スラブ12の端部は同じであるが、アスベスト31の表面ではなく、中継部材36を取り付ける際にアスベスト31が飛散することを防止するためにアスベスト31の表面に貼着された耐火性を有する飛散防止シート38の表面に相当する。
板材35aは、例えばW300mm×L3000mmのガルバリウム鋼板であり、1つの辺に沿う複数の溝が等間隔にて溝の方向と直交する方向に平行に形成されている。そして、複数のガルバリウム鋼板の、互いに隣接するガルバリウム鋼板の端部同士が重なるように並べられて軽量形鋼材32に固定されている。このとき、隣接するガルバリウム鋼板は、互いに有する溝が重なり合って嵌り込むように配置されて、エレベーターシャフトEVS内を左右方向に仕切る1枚の壁面が形成されて壁面材35をなす。また、壁面材35の周端部と中空構造体の内周面との間は全周に渡って僅かに間隔が隔てられて空隙10c(図7(a)参照)が設けられている。
中継部材36は、断面がL字状をなす鋼板であり、L字をなす一方の板部が壁面材35の一方の面に当接されてボルトにて固定される固定板部36bであり、他方の板部が中空構造体10の内周面に当接される当接板部36aをなしている。アスベスト31は鉄骨梁21aの表面に吹き付けられているので、鉄骨梁21aの表面を覆うように湾曲した曲面をなしており、その表面に貼り付けられた飛散防止シート38の表面も湾曲している。即ち、飛散防止シート38の表面は、側壁28等とは相違して平坦ではなく、また、鉄骨梁21aをなすH型鋼のフランジが突き出しているので、L字状の鋼板でなる中継部材36は、可及的に飛散防止シート38の表面に沿って当接板部36aが当接されるように、鉄骨梁21aの周りに配置される。このため、飛散防止シート38に当接される中継部材36は幅が狭く形成されており、複数の中継部材36にて鉄骨梁21aの周囲を覆うように壁面材35に取り付けられる。そして、複数の中継部材36の隣接する中継部材36と飛散防止シート38との間には、それらの隙間を埋めるようにシール材39が充填されている。
気密性シート40は、例えば、ポリエチレンシートやPETシート等であり、壁部材34の両面に設けられ、壁面材35の全面と周端部に固定された複数の中継部材36の固定板部36bに架け渡すように貼り付けられている。具体的には、気密性シート40は粘着テープ等により面接触状態に貼り付けられている。
<<仕切り壁の設置方法及びアスベストの処理方法>>
本実施形態では、3つの乗りかご13が左右に並列して設けられた3連式のエレベーターEVのエレベーターシャフトEVS内にて、最も右側の昇降空間TRRからアスベスト31の処理を行うこととして説明する。ここでアスベスト31の処理には、既存のアスベスト31を除去する除去処理と、アスベスト31を除去した部位に新たな耐火被覆としてロックウール46を施す耐火被覆処理とが含まれる。
エレベーターシャフトEVSの最も右側の昇降空間TRR(最端昇降空間)にてアスベスト31の除去処理を行う場合には、まず、最も右側の昇降空間TRRと中央の昇降空間TRCとの間に仕切り壁30を設置する。仕切り壁30は、最も右側の昇降空間TRRと中央の昇降空間TRCとの間にて各階床間に設けられた鉄骨梁21a間に掛け渡されている複数の中間ビーム24を利用して設置する。以下の説明では、仕切り壁の設置方法を明確にすべく鉄骨梁21aの周辺を主に説明する。また、右側の昇降空間TRRを先に処理を行う先作業空間WSBといい、中央側の昇降空間TRCを先作業空間WSBより後に処理を行う後作業空間WSAという。
仕切り壁30を設置する際には、まず、処理対象の昇降空間TR(ここでは先作業空間WSB)に位置する乗りかご13や吊りロープR等を取り外す。そして、図1に示すように中空構造体10の天井面10aから、処理対象の昇降空間TR内に吊りワイヤー73を垂下する。また、エレベーターシャフトEVSの床面10b上に、作業ゴンドラ71を搬入するとともに、吊りワイヤー73の下端を作業ゴンドラ71の巻き上げ機75にセットする。そして、これにより、作業ゴンドラ71は、処理対象のエレベーターEVの昇降空間TRにおいて使用可能状態となる。作業者はこの作業ゴンドラ71を移動させつつアスベスト31の除去処理及び耐火被覆処理を実行する。また、エレベーターシャフトEVS内には作業空間内を換気すべく作業空間内の空気を吸い込む集塵機を備えておく。
図6は、アスベストの表面に貼り付けられた飛散防止シートを示す図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は縦断面図、図6(c)は平断面図を示している。仕切り壁30を設置する際には、まず、図6に示すように、仕切り壁30を形成する壁部材34が固定されたときの位置を想定し、壁部材34の周縁部に位置する中継部材36が当接される位置、即ち、エレベーターシャフトEVSに露出する、鉄骨梁21aを被覆しているアスベスト31の表面に飛散防止シート38を貼着する。この作業は、飛散防止シート38が貼着される箇所に、HEPAフィルター付きの掃除機の吸引口を向けて吸引しつつ作業を進める。このとき貼着する飛散防止シート38の幅は、中継部材36の当接板部36aの左右方向の幅より広くしておく。
図7は中間ビームに取り付けた軽量形鋼材と軽量形鋼材に取り付けられた気密性シート及び壁面材を示す図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は縦断面図、図7(c)は平断面図を示している。
次に、図7に示すように、上下方向に間隔を隔てて配置されている複数の中間ビーム24間に掛け渡して、エレベーターシャフトEVSの上端から下端に至るように、下地となる軽量形鋼材32を中間ビーム24に固定する(軽量形鋼材架け渡し工程)。このとき、軽量形鋼材32は、中間ビーム24の先作業空間WSB側に配置し、C字状をなす断面において開放された側が前後方向における一方を向くように中間ビーム24に当接される。より具体的には、溝状をなす軽量形鋼材32の底に相当する底部32aが左右方向に沿うように配置されて溝の側壁に相当する側壁部32bの一方が中間ビーム24の、先作業空間WSB側の側面となるフランジの外側の面に、一方側としての先作業空間WSB側から当接されるように配置する。このとき、軽量形鋼材32は、取付金具33を用いて中間ビーム24に取り付けられる。
取付金具33は、中間ビーム24のフランジに係合されるブロック状の部材であり、後作業空間WSA側に位置するフランジに係合された状態にて、フランジより上下方向における外側に突出する突出部33aを有し、突出部33aには、ボルト60が貫通されるボルト孔(不図示)とボルト頭部(不図示)が収容される頭部収容部(不図示)が形成されている。
軽量形鋼材32の中間ビーム24への取り付けは、後作業空間WSA側のフランジに係合された取付金具33のボルト孔に先作業空間WSB側に向けて貫通させたボルト60を、先作業空間WSB側のフランジに当接された軽量形鋼材32の、後作業空間WSA側に位置する側壁部32bに設けられたタップ孔(不図示)に螺合して固定する。このとき、取付金具33は、各中間ビーム24の後作業空間WSA側のフランジにおける上端と下端とにそれぞれ係合するように2つ設けられ、各取付金具33に係合されたボルト60を中間ビーム24の上及び下を通して軽量形鋼材32を締結する。軽量形鋼材32が中間ビーム24に締結された状態では、軽量形鋼材32の、先作業空間WSB側の側壁部32bの先作業空間WSBに臨む面には何ら突出する物はなく平面をなしている。
また、このとき、前後方向において中間ビーム24に固定する軽量形鋼材32の数及び間隔は、後作業空間WSAを昇降する乗りかご13により生じる風圧に応じて適宜設定される。具体的には、後作業空間WSAを昇降する乗りかご13の昇降速度が速い場合には大きな風圧が仕切り壁30に作用するので、前後方向に隣り合う軽量形鋼材32の間隔が狭く、使用する軽量形鋼材32の数は多く設定する。一方、後作業空間WSAを昇降する乗りかご13の昇降速度が遅い場合には仕切り壁30に作用する風圧は小さいので、前後方向に隣り合う軽量形鋼材32の間隔が広く、使用する軽量形鋼材32の数は少なく設定する。
次に、中間ビーム24に固定された軽量形鋼材32の先作業空間WSB側の面に、形成される仕切り壁30の全面を覆うように気密性シート40を貼り付ける。そして、貼り付けられた気密性シート40の先作業空間WSB側から当接させたガルバリウム鋼板でなる板材35aをビスにて取り付ける(壁面形成工程)。このとき、1枚の板材35aは、仕切り壁30全体の大きさより小さいため、隣接する板材35aの端部同士が互いに重なり合うように配置しつつビスにて固定していく。具体的には、隣接する各板材35aの端部側の溝状の凹部同士が重なり合って嵌り込むように重ね合わせた状態にてビスにて固定して壁面をなす壁面材35を形成する。形成された壁面材35の周縁部は、中空構造体10の内周面、即ち、側壁28の内面やスラブ12の端部と、鉄骨梁21aを被覆しエレベーターシャフトEVS側に露出するアスベスト31に貼り付けられた飛散防止シート38の表面との間に間隔が隔てられて空隙10cが設けられている。また、形成された壁面材35の周縁部は、エレベーターシャフトEVSの天井面10aと床面10bとの間にも間隔が隔てられて空隙10cが設けられている。
図8は中継部材を説明するための図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は縦断面図、図8(c)は平断面図を示している。
次に、図8に示すように、中空構造体10の内周面に中継部材36の当接板部36aを当接させ、固定板部36bを壁面材35の周端部に後作業空間WSA側から重ねるとともにビスにて固定する(閉塞工程)。このとき、上下に隣り合う鉄骨梁21a間に設けられた側壁28の内面、エレベーターシャフトEVSの天井面10a及び床面10bは平坦なので、上下方向または水平方向に沿わせた各々1本の中継部材36の当接板部36aを側壁28の内面、エレベーターシャフトEVSの天井面10a及び床面10bに当接させた状態にて中継部材36の固定板部36bを壁面材35に後作業空間WSA側から固定する。ここで、上下に隣り合う鉄骨梁21a間の側壁28の内面、エレベーターシャフトEVSの天井面10a及び床面10bに当接させる中継部材36は1本に限るものではないが、1本であれば継ぎ目が発生しないので気密状態が確保し易い。また、各階床を形成するスラブ12の端部は、スラブ12の上面における側壁28より内側及びスラブ12の端面においてアスベスト31に覆われていない部位がエレベーターシャフトEVS内に露出しているが、スラブ12の上面にて露出している左右方向の幅及びスラブ12の端面にて露出している上下方向の幅に渡るとともに、隣接する中継部材36同士が重なるようなサイズに形成された中継部材36をそれぞれスラブ12の上面及びスラブ12の端面に当接させて壁面材35に後作業空間WSA側から固定する。ここで、壁面形成工程と閉塞工程とが壁形成工程に含まれる。
図9は、飛散防止シートを囲むように取り付けられる中継部材の配置を説明するための図である。
飛散防止シート38は鉄骨梁21aを被覆しているアスベスト31上に貼り付けられているので、表面は、平坦ではなく曲面をなしている。このため、飛散防止シート38と壁面材35の周縁部との間に設ける中継部材36は、まず、飛散防止シート38の曲面に拘わらず、中継部材36の当接板部36aが鉛直または水平に沿う状態にて飛散防止シート38に当接させる。即ち、当接板部36aを側壁28の内面と対向する方向及び上方、下方に向けて飛散防止シート38に当接させて固定板部36bを壁面材35に後作業空間WSA側から固定する。この状態では、飛散防止シート38の曲面部分に、互いに隣り合っている中継部材36間に、繋がらない部位が形成されてしまう。このため、この時点で互いに隣り合っている中継部材36の当接板部36a間にて間隔が空いている部分を覆うように、さらに中継部材36を壁面材35に後作業空間WSA側から固定する。具体的には、当接板部36aが側壁28の内面と対向する方向及び当接板部36aが上方、下方に向けられた中継部材36が鉛直または水平に配置される複数の中継部材36のうち、互いに隣り合う中継部材36の当接板部36aの各縁部に、さらに設ける中継部材36cの当接板部36aの縁部が接触するように中継部材36cを配置して壁面材35に後作業空間WSA側から固定する。図9の例では、隣接する中継部材36間を塞ぐために設けられる中継部材36cは、当接板部36aが、鉛直及び水平方向とほぼ45度をなすように配置されている。
図10は先作業空間側の気密性シート及び中継部材と飛散防止シートとの間に充填されるシール材を説明するための図であり、図10(a)は正面図、図10(b)は縦断面図、図10(c)は平断面図を示している。
アスベスト31上に貼り付けられた飛散防止シート38と、隣接する中継部材36間を塞ぐために設けられた中継部材36cとの間には空隙が生じているので、図9、図10に示すように、飛散防止シート38と、隣接する中継部材36間を塞ぐために設けられた中継部材36cの当接板部36aとの間にシール材39を充填する。そして、シール材39を充填した後に、先作業空間WSB側から壁面材35及び中継部材36の固定板部36bに渡る範囲に、壁面材35の後作業空間WSA側と同様に覆う気密性シート40を貼り付ける。この状態にて、先作業空間WSBと後作業空間WSAとを仕切り密閉区画する仕切り壁30が完成する。ここで、シール材39の充填、及び、先作業空間WSB側から壁部材34を覆う気密性シート40の貼着も壁形成工程に含まれる。
仕切り壁30により先作業空間WSBと後作業空間WSAとが密閉状態に仕切られた後に、後作業空間WSAでは乗りかご13を昇降させてエレベーターEVを稼働させつつ先作業空間WSBにてドライアイスブラスト工法によりアスベスト31の除去処理を実行する。
アスベスト31の除去処理は、以下の手順にて行われる。
図11は、先作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図11(a)は縦断面図、図11(b)は平断面図を示している。
まず、先作業空間WSBに対する乗り場出入口28a等の隙間をポリエチレンシート等で密閉養生する。また、床面10bには、その全面に亘り養生シートを敷いて覆っておく。
次に、集塵機を稼働させ、作業空間WS内を負圧状態にする。
作業者は、作業ゴンドラ71に乗りながら先作業空間WSB内を上下昇降することにより鉄骨梁21aを被覆しているアスベスト31の付着部位へと接近し、飛散防止シート38より先作業空間WSB側のアスベスト31をけれん棒等により掻き落とし、残ったアスベスト31を、ドライアイスブラスト装置を用いて除去していく。このとき、図11に示すように、アスベスト31の表面に貼り付けた飛散防止シート38の際までアスベスト31を除去しておく。ここで、ドライアイスブラスト装置から噴射したドライアイス粒は、アスベストに衝突後に昇華して二酸化炭素ガスとなり作業空間WS中の下部に溜まるが、溜まった二酸化炭素ガスは、集塵機の吸気口から吸い込まれて速やかに外部空間に排気される。
そして、アスベスト31が除去されて露出した部位に液体状の飛散防止剤42を吹き付ける。このとき、除去により床面10bの養生シート上に落下等したアスベスト31は掃除機等で吸い込んで先作業空間WSB内から排出しておく。
図12は、カバー部材を取り付けた状態を示す図であり、図12(a)は正面図、図12(b)は縦断面図、図12(c)は平断面図を示している。
飛散防止剤42を吹き付けた後に、図12に示すように、仕切り壁30と内周面との取り合いの部位にて、アスベスト31にて被覆されていた部位よりも上下方向に広い領域を覆うカバー部材44を先作業空間WSB側から取り付ける。カバー部材44は、後作業空間WSA側の未処理のアスベスト31の先作業空間WSB側の端部を囲むように設けられた部材である。カバー部材44は、壁面材35の先作業空間WSB側の面に当接される壁面材当接板部44aと、先端がアスベスト31上に貼り付けた飛散防止シート38より先作業空間WSB側にて飛散防止剤42が吹き付けられた鉄骨梁21aとその上下の部位に突き当てられた突当板部44bと、壁面材当接板部44aと突当板部44bとを壁面材35と直交する部位にて繋ぐ中間板部44cと、カバー部材44と中継部材36と側壁28等にて囲まれて上下方向に連通する空間の上下の小口を塞ぐ閉塞板部44dとを有している。
壁面材当接板部44aは、壁面材35に沿って設けられ、壁面材35の周縁部とほぼ同じ位置まで設けられている。中間板部44cは、壁面材当接板部44aの、壁面材35の周縁部とほぼ同じ位置の端部から右側(先作業空間WSB側)に、壁面材当接板部44aとほぼ直交するように延出されて、その先端が突当板部44bと繋がっている。
カバー部材44は、突当板部44bが、飛散防止シート38より右側(先作業空間WSB側)にて飛散防止剤42が吹き付けられた鉄骨梁21aとその上下の部位に渡って突き当てられた状態にて、壁面材当接板部44aが、壁面材35に先作業空間WSB側からビス止めされている。カバー部材44が取り付けられた状態では、後作業空間WSA側にて鉄骨梁21aを被覆するアスベスト31の近傍に設けられた中継部材36、36cを取り外しても密閉状態が維持されるように構成されている。カバー部材44の突当板部44bの先端側の先作業空間WSB側の面、即ち右側の面を、ガムテープ45にて養生しておく。このとき、ガムテープ45による養生は、カバー部材44を固定するビスを外して前後方向における中央側に引っ張ったときにカバー部材44が容易に外れるように養生しておく。
図13は、先作業空間側にて鉄骨梁にロックウールの被覆を施す処理を説明するための図であり、図13(a)は縦断面図、図13(b)は平断面図を示している。
カバー部材44を取り付けた後に、図13に示すように、先作業空間WSBの飛散防止剤42が吹き付けられた部位に、新たな耐火被覆材としてロックウール46を吹き付け、壁面材35の先作業空間WSB側の面に貼り付けた気密性シート40を剥がして先作業空間WSBでのアスベスト除去処理が完了する。
次に、後作業空間WSA側のアスベスト除去処理を実行する。このとき、本実施形態は、3連式のエレベーターEVなので、後作業空間WSA側には、左側の昇降空間TRLと中央の昇降空間TRCとがあるが、次にアスベスト31の除去処理は中央の昇降空間TRCにて行う。
まず、右側の昇降空間TRRの場合と同様に中央の昇降空間TRCの乗りかご13や吊りロープR等を取り外す。そして、既にアスベスト31の除去処理が完了した右側の昇降空間TRRから吊りワイヤー73、作業ゴンドラ71、作業ゴンドラ71の巻き上げ機75、集塵機等を取り外して中央の昇降空間TRCにセットする。また、右側の昇降空間TRRには、乗りかご13や吊りロープR等をセットして、エレベーターEVを稼働させる。
中央の昇降空間TRCと左側の昇降空間TRLとの間には、前述した仕切り壁30を設置する。中央の昇降空間TRCと左側の昇降空間TRLとの間に仕切り壁30が設置され、中央の昇降空間TRCに対する乗り場出入口28a等の隙間をポリエチレンシート等で密閉養生すると、中央の昇降空間TRCが密閉された作業空間WSとなる。また、床面10bには、その全面に亘り養生シートを敷いて覆い、集塵機を稼働させ、作業空間WS内を負圧状態にする。
図14は、カバー部材が設けられた範囲の中継部材を取り外した状態を示す図であり、図14(a)は縦断面図、図14(b)は平断面図を示している。
後作業空間WSAのアスベスト除去処理は、まず、図14に示すように、カバー部材44が取り付けられた部位を後作業空間WSA側から覆っている中継部材36を後作業空間WSA側から撤去する。カバー部材44に覆われた領域の中継部材36を取り外した状態であっても後作業空間WSAの密閉状態は維持されている。
図15は、後作業空間のアスベスト除去処理及び飛散防止剤の塗装処理を説明するための図であり、図15(a)は正面図、図15(b)は縦断面図、図15(c)は平断面図を示している。
図15に示すように、中継部材36が当接されていた飛散防止シート38を撤去し、後作業空間WSA内のアスベスト31の除去処理を実行する。アスベスト31の除去処理は、右側の昇降空間TRRの場合と同様であるが、アスベスト31はカバー部材44側の飛散防止シート38を撤去した部位から、左側の昇降空間TRLとの間に設けられた飛散防止シート38の際まで除去する。
後作業空間WSAにてアスベスト31の除去が終了したら、カバー部材44の突当板部44bにおける左側の面を、ガムテープ45にて養生する。このときも、ガムテープ45による養生は、カバー部材44を固定するビスを外して前後方向の中央側に引っ張ったときにカバー部材44が容易に外れるように養生しておく。
そして、アスベスト31が除去されて露出した部位に液体状の飛散防止剤42を吹き付け、飛散防止剤が吹き付けられた部位に、新たな耐火被覆材としてロックウール46を吹き付ける。
図16は、カバー部材を取り外した後に形成されるロックウールの隙間を示す図であり、図16(a)は正面図、図16(b)は縦断面図、図16(c)は平断面図を示している。
ロックウール46の吹き付けが終了した後、壁面材35、側壁28、天井面10a、床面10bに当接されている中継部材36、気密性シート40、軽量形鋼材32、カバー部材44、即ち、仕切り壁30を撤去する。このときカバー部材44は、先作業空間WSBにて吹き付けたロックウール46と、後作業空間WSAにて吹き付けたロックウール46との間から引き抜くように撤去する。カバー部材44を撤去した後には、図16に示すように、先作業空間WSBにて吹き付けたロックウール46と、後作業空間WSAにて吹き付けたロックウール46との間にカバー部材44の厚み分の隙間46aが生じるので、この隙間46aにロックウール46を充填して補修する。ロックウール46の補修が完了すると、右側の昇降空間TRRと、中央の昇降空間TRCにおけるアスベストの除去処理が完了する。その後、中央の昇降空間TRCと、左側の昇降空間TRLとの間に設置した仕切り壁30にて左側の昇降空間TRLを密閉し、右側及び中央の昇降空間TRと同様にアスベスト除去処理を実行する。
本実施形態の仕切り壁によれば、中空構造体10内を仕切る仕切り壁30は、互いに隣り合う昇降空間TRの間に位置する中間ビーム24の、水平方向における一方(先作業空間WSB)側に設けられた軽量形鋼材32に固定されているので、互いに隣り合う昇降空間TRの間に中間ビーム24が設けられている構造であっても、中間ビーム24に遮られることなく上下方向に繋がった壁面にて中空構造体10内を仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間TRの間を仕切る仕切り壁30が上下方向に繋がった壁面を形成するので、アスベスト31の処理をするための作業空間WSを密閉することが容易である。さらに、壁部材34は、上下方向に間隔を隔てて複数設けられた中間ビーム24に架け渡された軽量形鋼材32に固定されているので、壁部材34により形成された壁面に、昇降空間TRにて乗りかご13が昇降し風圧が作用しても撓みにくい剛性を備えることが可能である。
また、仕切り壁30を構成する壁面材35は、壁面材35を構成し互いに隣接する複数の板材35aの端部同士が重なるように配置されているので、より高い密閉性を備えた仕切り壁30を提供することが可能である。また、各板材35aは互いに有する溝が重なり合うように配置されて、エレベーターシャフトEVS内を左右方向に仕切る1枚の壁面が形成されて壁面材35をなすので、より高い密閉性を備えることが可能である。
また、壁面材35と、中空構造体10の内周面をなす天井面10a、床面10b、側壁28の内面及び鉄骨梁21aを被覆するアスベスト31の表面に貼着された飛散防止シート38との間を繋ぐ中継部材36、36cが設けられているので、壁面材35と中空構造体10の内周面との間も密閉することが可能である。
また、中空構造体10内のアスベスト31が付着している箇所は、アスベスト31の表面に飛散防止シート38が設けられているので、アスベスト31が付着している箇所に中継部材36、36cを設けることによるアスベスト31の飛散を防止することが可能である。
また、鉄骨梁21aを被覆するアスベスト31に貼着された飛散防止シート38の表面は曲面なので、L字状をなす中継部材36、36cの平面をなす当接板部36aにて飛散防止シート38の表面を覆っても空隙が生じてしまう。このため、中継部材36、36cの当接板部36aと飛散防止シート38の間にシール材39を充填することにより、より密閉性を向上させることが可能である。
また、壁部材34が気密性シート40にて覆われているので、壁部材34を構成する壁面材35と中継部材36との間及び壁面材35を構成し隣接する複数の板材35a間をより確実に密閉することが可能である。さらに、本実施形態の壁部材34は、両面が気密性シート40にて覆われているので、壁部材34を構成する壁面材35と中継部材36との間及び壁面材35を構成し隣接する複数の板材35a間を両面からより確実に密閉することが可能である。また、仕切り壁30により仕切られた作業空間である先作業空間WSBの処理が終了した後に先作業空間WSB側の気密性シート40を取り外しても、仕切り壁30の密閉性を維持したままで後作業空間WSA側の処理を行うことが可能である。
また、仕切り壁30により仕切られた作業空間の一方となる先作業空間WSB側の処理が終了した後に先作業空間WSB側の気密性シート40を取り外しても、次いで他方側となる後作業空間WSA側の処理を行うことが可能である。
また、本実施形態の仕切り壁30の設置方法によれば、中空構造体10内を仕切る仕切り壁30を、互いに隣り合う昇降空間TRの間に位置する中間ビーム24の、水平方向における先作業空間WSB側に設けた軽量形鋼材32に壁部材34を固定して形成するので、互いに隣り合う昇降空間TRの間に中間ビーム24が設けられている構造であっても、中間ビーム24に遮られることなく上下方向に繋がった壁面にて中空構造体10内を容易に仕切ることが可能である。また、互いに隣り合う昇降空間TRの間に仕切り壁30の上下方向に繋がった壁面を形成するので、アスベスト31の処理をするための空間を密閉することが容易である。さらに、壁部材34は、上下方向に間隔を隔てて複数設けられた中間ビーム24に架け渡した軽量形鋼材32に固定するので、上下方向に架け渡された軽量形鋼材32に壁部材34を固定することにより上下方向に繋がった壁面を容易に形成することが可能であり、隣接する昇降空間TRにて物体が昇降し風圧が壁面に作用しても撓みにくい剛性を備えることが可能である。
また、壁部材34の壁面材35を構成する複数の板材35aを互いに隣接する板材35aの端部同士が重なるように配置するので、より高い密閉性を備えた仕切り壁30を形成することが可能である。また、壁面材35と中空構造体10の内周面との空隙10cに合わせて中継部材36、36cを取り付けることにより、単に壁面材35のみにて壁部材34を形成する場合より、調整代を確保することが可能であり、壁面材35と中空構造体10の内周面との間を中継部材36にてより確実に塞ぐことが可能である。
また、壁部材34を覆う気密性シート40が軽量形鋼材32と壁部材34との間に設けられるので、壁部材34の軽量形鋼材32側の面を気密性シート40にて覆い密閉空間を形成することが可能である。また、気密性シート40は、壁部材34を軽量形鋼材32より壁部材34側で覆うので、軽量形鋼材32を覆わない。このため壁部材34のほぼ平坦な面を覆うことにより、より高い気密性を確保することが可能である。
また、壁部材34は両面から気密性シート40に覆われるので、さらに高い気密性を確保することが可能である。
また、鉄骨梁21aを被覆するアスベスト31は、中継部材36、36cが当接される位置の当該アスベスト31の表面に飛散防止シート38を貼着したので、アスベスト31を飛散させることなく中継部材36、36cを取り付けることが可能である。また、鉄骨梁21aを被覆するアスベスト31に貼着された飛散防止シート38の表面は曲面なので、L字状をなす中継部材36、36cの平面をなす当接板部36aにて飛散防止シート38の表面を覆っても空隙が生じてしまう。このため、中継部材36、36cの当接板部36aと飛散防止シート38の間にシール材39を充填することにより、より密閉性を向上させることが可能である。
また、本実施形態のアスベスト31の処理方法によれば、壁部材34により先作業空間WSBと後作業空間WSAとに密閉区画された後に、先作業空間WSB側のアスベスト31が除去されるので、除去されたアスベスト31が外部に飛散することを確実に防止することが可能である。このとき、除去されたアスベスト31は後作業空間WSAにも飛散しないので、後作業空間WSAは先作業空間WSBでのアスベスト31の除去処理に拘わらず使用することが可能である。また、アスベスト31が除去された部位には飛散防止剤42を塗装するので、アスベスト31の飛散をより確実に防止することが可能である。さらに、カバー部材44を取り付けてから飛散防止シート38に当接された中継部材36、36cを取り外すので、先作業空間WSB内を密閉区画した状態を保ったままで、即ち、先作業空間WSBと後作業空間WSAとが連通されることなく、中継部材36、3cを取り外すことが可能である。また、カバー部材44を取り付けた後に、カバー部材44より先作業空間WSB側に新設付着物であるロックウールを吹き付けて被覆するので、アスベスト31が付着していた部位のカバー部材44より先作業空間WSB側をロックウール46にて覆うことが可能である。このため、鉄骨梁21aの耐火性を確保することが可能である。
また、カバー部材44が先作業空間WSBにて飛散防止剤42が塗装された部位に当接されるので、カバー部材44によりアスベスト31が確実に飛散防止処理された領域より先作業空間WSB側と後作業空間WSAとを区画することが可能である。このため、カバー部材44を取り付けた後に中継部材36を取り外しても後作業空間WSA側にアスベスト31が残存することを確実に防止することが可能である。
また、カバー部材44が、飛散防止剤42が塗装された部位と直交する平板状の突当板部44bの縁部にて当接されるので、カバー部材44と内周面との接触面積を小さくすることが可能であり、より広い領域にロックウール46を付着させることが可能である。
また、カバー部材44は、後作業空間WSAにてアスベスト31が除去された後に、アスベスト31が除去された部位の、カバー部材44の後作業空間WSA側にロックウール46を付着させ、その後、前記カバー部材44が当接された部位と直交する方向に引き抜かれて取り外されるので、アスベスト31が付着していた部位の全域に飛散防止剤42を塗装することができ、さらに、カバー部材44の板厚を除いた領域にロックウール46を付着させることが可能である。そして、カバー部材44を当該カバー部材44が当接された部位と直交する方向に引き抜いて取り外すので、カバー部材44の板厚分の隙間46aが形成されるだけで、付着したロックウール46を剥がすことなくカバー部材44を取り外すことが可能である。さらに、カバー部材44を引き抜いて形成された隙間46aにもロックウール46を充填するので、アスベスト31が付着していた部位の全域にロックウール46を付着させることが可能である。
さらに、本実施形態のように中空構造体10内に昇降空間TRが3つ以上存在する場合には、先作業空間WSBを密閉するために設置した仕切り壁30を、後作業空間WSAの仕切り壁30として流用できるので、仕切り壁30の設置及び取り外し作業を省略できて、効率良く作業を進めることが可能である。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、中空構造体10の内部空間の一例としてエレベーターシャフトEVSを示したが、何等これに限るものではなく、多連式のタワーパーキング(立体駐車場とも言い、タワー状構造物の内部空間に、複数の自動車を上下昇降するための無端の周回軌道を設けたもの)を中空構造体として、これに適用しても良い。すなわち、タワーパーキングの内部空間には、複数の周回軌道が水平方向の左右に並列に設けられており、各周回軌道は、それぞれ独立に周回運動可能である。
上記実施形態においては、中間ビーム24をH形鋼としたが、これに限るものではなく、例えば、断面形状がC形をなすチャンネル材他その他の鋼材であっても構わない。
上述の実施形態では、気密性シート40は一枚ものであるように説明したが、これに限らず、気密性シート40を適宜なサイズの複数のシートから構成し、これらを粘着テープ等によって繋ぎ合わせて上記の仕切り壁30の大きさまで大きくしても良い。また、壁部材を重ね合わせただけで十分な密閉空間が形成できれば、気密性シートは必ずしも設けなくてもよい。また、重ね合わせた壁部材の継ぎ目にシール材を充填しても良い。
上記実施形態においては、アスベスト31の表面に貼着する飛散防止シートを耐火性を有するシートとしたが、必ずしも耐火性を有していなくても良い。
上記実施形態においては、壁面材35をガルバリウム鋼板としたが、これに限るものではなく、設置するエレベーターシャフトEVSに合わせた板材であれば構わない。例えば、隣接する昇降空間にて乗りかごが高速にて昇降するエレベーターの場合には、仕切り壁が高い風圧を受けるので、壁面材として剛性の高い板材を用いることが望ましい。また、軽量形鋼材32を断面がC字状をなすチャンネル材としたが、これに限るものではなく、設置するエレベーターシャフトEVSに合わせた鋼材であれば構わない。この場合にも、隣接する昇降空間にて乗りかごが高速にて昇降するエレベーターの場合には、仕切り壁が高い風圧を受けるので、下地材として剛性の高い鋼材を用いることが望ましい。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が無い状態でアスベスト処理を行う場合を例示したが、エレベーターシャフトEVS内に乗りかご13が在る状態でアスベスト処理を行っても良い。なお、この場合には、乗りかご13は、アスベストの処理作業の邪魔にならないように、エレベーターシャフトEVSの上端又は下端へ移動されており、上端又は下端の無害化処理をする際には、乗りかご13は処理済みの位置へ移動されるのは言うまでもない。
上述の実施形態では、エレベーターシャフトEVS内に作業ゴンドラ71を持ち込んでアスベストの処理作業を行っていたが、各エレベーターEV(昇降空間TR)が具備する乗りかご13を作業ゴンドラ71の代わりに使用しても良い。すなわち、乗りかご13の屋根面に作業者が乗って処理作業を行っても良い。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
10 中空構造体、10a 天井面、10b 床面、10c 空隙、
12 スラブ、13 乗りかご、19 巻き上げ機、21 柱梁架構、
21a 鉄骨梁、21b 鉄骨柱、24 中間ビーム、25 開閉扉、
28 側壁、28a 乗り場出入口、30 仕切り壁、31 アスベスト、
32 軽量形鋼材、32a 底部、32b 側壁部、33 取付金具、
33a 突出部、34 壁部材、35 壁面材、35a 板材、
36 中継部材、36a 当接板部、36b 固定板部、36c 中継部材、
38 飛散防止シート、39 シール材、40 気密性シート、
42 飛散防止剤、44 カバー部材、44a 壁面材当接板部、
44b 突当板部、44c 中間板部、44d 閉塞板部、
45 ガムテープ、 46 ロックウール、46a 隙間、60 ボルト、
71 ゴンドラ、73 ワイヤー、75 巻き上げ機、EV エレベーター、
EVH エレベーターホール、EVS エレベーターシャフト、
TR 昇降空間、TRL 左側の昇降空間、TRC 中央の昇降空間、
TRR 右側の昇降空間、 WS 作業空間、WSA 後作業空間、
WSB 先作業空間

Claims (18)

  1. 物体を上下昇降する複数の昇降空間が中間ビームを挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁であって、
    前記中間ビームは、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
    複数の前記中間ビームに架け渡され、当該中間ビームの側面に前記水平方向における一方側から当接されて固定された軽量形鋼材と、
    前記軽量形鋼材に固定され、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材と、を備えており、
    前記壁部材は、
    複数枚の板材が、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べられ、前記中空構造体の内周面との間に空隙を備えて配置された壁面材と、
    前記中空構造体の内周面に当接されて前記壁面材に固定され、前記空隙を閉塞する複数の中継部材と、を有することを特徴とする仕切り壁。
  2. 請求項1に記載の仕切り壁であって、
    前記中間ビームは、H型鋼でなり、前記H型鋼が有する2つのフランジが前記左右に位置するように配置されており、
    前記壁面材は、上下に隣り合う前記中間ビームの前記フランジにおける前記一方側の側面に固定され上下方向に沿って配置された前記軽量形鋼材に取り付けられていることを特徴とする仕切り壁。
  3. 請求項1または請求項2に記載の仕切り壁であって、
    前記中空構造体内の前記付着物が付着している箇所は、当該付着物の表面に設けられた飛散防止シートが前記内周面をなしていることを特徴とする仕切り壁。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の仕切り壁であって、
    前記中継部材と前記内周面との間にシール材が充填されていることを特徴とする仕切り壁。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の仕切り壁であって、
    前記壁部材を覆う気密性シートが設けられていることを特徴とする仕切り壁。
  6. 物体を上下昇降する複数の昇降空間が中間ビームを挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁であって、
    前記中間ビームは、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
    複数の前記中間ビームに架け渡され、当該中間ビームの側面に前記水平方向における一方側から当接されて固定された軽量形鋼材と、
    前記軽量形鋼材に固定され、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材と、を備えており、
    前記壁部材を覆う気密性シートが設けられており、
    前記気密性シートは、前記壁部材の両面にそれぞれ設けられていることを特徴とする仕切り壁。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の仕切り壁であって、
    前記壁面材は、鋼板であることを特徴とする仕切り壁。
  8. 物体を上下昇降する複数の昇降空間が中間ビームを挟んで水平方向の左右に並列して設定された内部空間を有する中空構造体内において、付着物の処理をする際に前記中空構造体を仕切る仕切り壁の設置方法であって、
    前記中間ビームは、上下方向に間隔を隔てて複数設けられており、
    複数の前記中間ビームの、前記水平方向における一方側に、軽量形鋼材を掛け渡して固定する軽量形鋼材架け渡し工程と、
    掛け渡された前記軽量形鋼材に、前記水平方向の左右に前記中空構造体内を仕切って、前記処理のための作業空間を密閉区画する壁部材を固定して壁面を形成する壁形成工程と、を有し、
    前記壁部材は、前記壁面を形成する複数の板材でなる壁面材と、前記壁面材と前記中空構造体の内周面とを繋ぐ複数の中継部材とを有し、
    前記壁形成工程は、
    前記複数の板材を、互いに隣接する当該板材の端部同士が重なるように並べるとともに前記中空構造体の内周面との間に空隙を形成して前記壁面を形成する壁面形成工程と、
    前記複数の中継部材を、前記中空構造体の内周面に当接させて前記壁面材に固定し、前記空隙を閉塞する閉塞工程と、を有することを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  9. 請求項8に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記中空構造体内の前記付着物が付着している箇所は、
    前記中継部材が当接される位置の当該付着物の表面に飛散防止シートを設けて前記内周面を形成することを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  10. 請求項8または請求項9に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記壁面形成工程では、前記壁部材を覆うための気密性シートを、前記軽量形鋼材の、前記付着物が先に処理される先作業空間側の面に設けることを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  11. 請求項10に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記閉塞工程では、前記壁部材の前記気密性シートと反対側の面に、新たな気密性シートを設けることを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  12. 請求項9に記載の仕切り壁の設置方法であって、
    前記中継部材と前記飛散防止シートとの間にシール材を充填することを特徴とする仕切り壁の設置方法。
  13. 請求項3に記載の仕切り壁を用いた付着物の処理方法であって、
    前記中空構造体内は、前記壁部材にて、前記付着物が先に処理される先作業空間と、後で処理される後作業空間とに区画され、
    前記壁部材は、前記先作業空間側に設けられ、前記中継部材は前記壁面材に前記後作業空間側から固定されており、
    前記先作業空間側にて前記付着物を除去し、除去した部位に飛散防止剤を塗装し、
    前記飛散防止シートに当接された前記中継部材を取り外した場合に前記先作業空間と前記後作業空間とが連通される部位を覆うカバー部材を、前記先作業空間側から前記壁面材に固定し、
    前記先作業空間側にて前記飛散防止剤が塗装された部位の前記カバー部材より前記先作業空間側に前記付着物と異なる新設付着物を付着させた後に、
    前記後作業空間側から固定された前記中継部材を取り外して前記後作業空間において前記付着物を除去することを特徴とする付着物の処理方法。
  14. 請求項13に記載の付着物の処理方法であって、
    前記カバー部材を、前記先作業空間にて前記飛散防止剤が塗装された部位に当接して前記壁面材に固定することを特徴とする付着物の処理方法。
  15. 請求項13または請求項14に記載の付着物の処理方法であって、
    前記カバー部材は、前記飛散防止剤が塗装された部位と直交する平板状の部位の縁部を、前記中空構造体の内周面に当接させることを特徴とする付着物の処理方法。
  16. 請求項15に記載の付着物の処理方法であって、
    前記カバー部材は、前記後作業空間にて前記付着物が除去された後に、前記付着物が除去された部位の、前記カバー部材の前記後作業空間側に前記新設付着物を付着させ、
    その後、前記カバー部材が当接された部位と直交する方向に引き抜かれて取り外されることを特徴とする付着物の処理方法。
  17. 請求項15に記載の付着物の処理方法であって、
    前記カバー部材を引き抜いた部位に、前記新設付着物を充填することを特徴する付着物の処理方法。
  18. 請求項13乃至請求項17のいずれかに記載の付着物の処理方法であって、
    前記中空構造体が並設された3つ以上の作業空間を有する場合には、最も端に位置する最端作業空間を前記先作業空間とし、前記最端作業空間と隣接する前記作業空間側を前記後作業空間として前記先作業空間から前記付着物の処理を実行し、前記先作業空間にて前記処理が終了した後に、隣接する前記作業空間を前記先作業空間として、順次、隣接する前記作業空間へ移動して処理することを特徴とする付着物の処理方法。
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