JP5757779B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物、及びその製造方法、並びに当該樹脂組成物を用いた成形材料及び成形体に関する。
従来、樹脂に用いられる補強材料として、炭素繊維やガラス繊維等が広く一般的に使用されている。しかしながら、炭素繊維は燃え難いため、サーマルリサイクルに不向きで、かつ価格が高い。また、ガラス繊維は、比較的安価であるが、サーマルリサイクルにおいては廃棄に問題がある。
一方、植物繊維から得られるセルロースナノファイバーは比較的安価であり、かつサーマルリサイクルに優れている。また、鋼鉄の5分の1の軽さで同等の強度を有することから、繊維補強樹脂用の充填剤として注目されている。
しかしながらセルロースナノファイバーは、樹脂や、硬化剤との反応性や樹脂中での分散性が低いため、樹脂にセルロースナノファイバーを加えると、セルロースナノファイバーと樹脂との間の界面で、接着強度が落ちるという問題がある。それにより、セルロースナノファイバーの補強効果が発現せず、逆に曲げ強度等の機械的強度が低下する原因となる。
このような課題に対して、セルロースナノファイバーを変性剤等によって変性処理し、セルロースナノファイバーにカルボキシル基等の置換基を導入させ、樹脂中での分散性を向上させようとする試みがなされている。
例えば特許文献1及び2では、セルロースナノファイバーとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(以下、TEMPOともいう)等のN−オキシル化合物を用いて、セルロースナノファイバーの表面の水酸基をカルボキシル基に置換した変性セルロースナノファイバーを、樹脂中に含有させることが検討されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、特許文献1及び2のTEMPOのような変性化剤によって変性される変性セルロースナノファイバーは、十分に置換することが難しく、置換基度も低いものとなる。また、セルロースナノファイバーの変性化剤として用いられるTEMPOが樹脂組成物中に残存すると、環境の点からも好ましくない。
また特許文献3では、変性セルロース繊維として、セルロースの水酸基の一部に多塩基酸無水物を半エステル化してカルボキシル基を導入し、得られたセルロース繊維を微細繊維化させたものを樹脂の補強材料として用いることが記載されている。
このようなセルロース繊維を変性化させ、その後に微細繊維化した場合、セルロース中に存在するカルボキシル基は局在化するため、樹脂中で良好に分散されない。また、特許文献3の変性された微細セルロース繊維が配合される樹脂は、微細セルロース繊維に存在するカルボキシル基と反応するような官能基を有しない樹脂と混合しているため、樹脂と微細セルロース繊維との接着強度が弱く、機械的強度が十分に得られないという問題があった。
このように、TEMPOのような変性化剤を用いずに、カルボキシル基を導入した変性セルロースナノファイバーを樹脂補強材料として用い、成形材料に適用させ、機械的強度を得ることは非常に困難であった。
特開2010−116477号公報 特開2010−59304号公報 特開2009−293167号公報
本発明は、カルボキシル基を有する置換基によって変性された変性セルロースナノファイバーを含み、樹脂中で均一に分散された樹脂組成物、及び得られる成形材料において、曲げ強度及び弾性率等の機械的強度を向上させることのできる、樹脂組成物及びその製造方法、並びに該樹脂組成物を用いた成形材料、及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、セルロースナノファイバーと樹脂との界面での接着強度を向上させるために、樹脂と反応性の高く、セルロースナノファイバーの再凝集を防ぐ官能基として、カルボキシル基を有する置換基をセルロースナノファイバーに導入させることにより、樹脂中における変性セルロースナノファイバーが樹脂中で均一に分散されることを見出した。
本発明はこのような知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねて完成した発明である。すなわち、本発明は下記項に示す樹脂組成物、及びその製造方法、並びに当該樹脂組成物を用いた成形材料及び成形体を提供する。
項1.セルロースナノファイバーの水酸基の一部が、カルボキシル基を有する置換基で変性された変性セルロースナノファイバー(A)、及び樹脂(B)を含む樹脂組成物。
項2.変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基が、樹脂(B)と一部又は全て反応している項1に記載の樹脂組成物。
項3.前記変性セルロースナノファイバー(A)の水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性されている部分が、式(I):
Figure 0005757779
(式(I)中、Rは、炭素数8以下の芳香環、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基を示す。また、Rは、1〜2個のカルボキシル基を有していてもよく、カルボキシル基が2個である場合、酸無水物を形成していてもよい)
で表される
項1又は項2に記載の樹脂組成物。
項4.変性セルロースナノファイバー(A)におけるセルロースナノファイバーに相当する含有量が、樹脂(B)100質量部に対して、0.5〜150質量部である項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
項5.変性セルロースナノファイバー(A)のエステル置換度が、0.1〜1.0である項1〜4の何れかに記載の樹脂組成物。
項6.前記樹脂(B)がエポキシ樹脂である項1〜5の何れかに記載の樹脂組成物。
項7.(1)植物繊維を解繊し、セルロースナノファイバーを得る工程、
(2)工程(1)によって得られたセルロースナノファイバーを無水多塩基酸でエステル化し、セルロースナノファイバーの水酸基の一部が、カルボキシル基を有する置換基で変性された変性セルロースナノファイバー(A)を得る工程、及び
(3)工程(2)によって得られた変性セルロースナノファイバー(A)と樹脂(B)を混合し、かつ樹脂(B)と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させる工程、
を含む
項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
項8.前記変性セルロースナノファイバー(A)の水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性されている部分が、式(I):
Figure 0005757779
(式(I)中、Rは、炭素数8以下の芳香環、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基を示す。また、Rは、1〜2個のカルボキシル基を有していてもよく、カルボキシル基が2個である場合、酸無水物を形成していてもよい)
で表される
項7に記載の樹脂組成物の製造方法。
項9.無水多塩基酸が環状無水物である項7又は項8に記載の樹脂組成物の製造方法。
項10.無水多塩基酸が式(II):
Figure 0005757779
(式(II)中、Rは、前記式(I)と同様である)
で表される項7〜9の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
項11.変性セルロースナノファイバー(A)の配合量が、樹脂(B)100質量部に対して、0.5〜150質量部である項7〜10の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
項12.樹脂(B)がエポキシ樹脂である項7〜11の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
項13.項1〜6の何れかに記載の樹脂組成物からなる樹脂成形材料。
項14.項7〜12の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法によって得られる樹脂組成物からなる樹脂成形材料。
項15.項13又は項14に記載の樹脂成形材料を成形してなる樹脂成形体で、変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基が、樹脂(B)と一部又は全て反応している樹脂成形体。
本発明の樹脂組成物は、セルロースナノファイバー中の水酸基の一部が、カルボキシル基を有する置換基によって変性されているため、セルロース繊維同士の再凝集を抑制することができる。そのため、当該変性セルロースナノファイバーが樹脂中で均一に分散された樹脂組成物を得ることができる。また、置換基のカルボキシル基は、樹脂と一部又は全て反応しているため、本発明の樹脂組成物を用いて得られる成形体は、曲げ強度及び弾性率が向上するという効果を奏する。
以下、本発明の樹脂組成物、及び該樹脂組成物の製造方法、並びに該樹脂組成物を用いた成形材料及び成形体について、詳述する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、カルボキシル基を有する置換基によって変性された変性セルロースナノファイバー(A)、及び樹脂(B)を含む。
本発明の樹脂組成物に含まれる変性セルロースナノファイバー(A)の原料となる植物繊維は、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物、布、紙等に含まれる植物由来の繊維である。木材としては、例えば、シトカスプルース、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等が挙げられ、紙としては、脱墨古紙、段ボール古紙、雑誌、コピー用紙等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。植物繊維は、1種単独でも用いてもよく、これらから選ばれた2種以上を用いてもよい。
植物繊維としては、前記植物繊維含有材料から得られるパルプ、マーセル化を施したセルロース繊維、レーヨンやセロファン等の再生セルロース繊維等を含むものも挙げられる。
前記パルプとしては、植物原料を化学的、若しくは機械的に、又は両者を併用してパルプ化することで得られるケミカルパルプ(クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(SP))、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。
植物繊維は、セルロース繊維の間を埋めているリグニン及びヘミセルロースから構成された構造を有し、セルロースミクロフィブリル束の周囲の一部又は全部をヘミセルロース及び/又はリグニンが被覆された構造を有する。特に、セルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束の周囲をヘミセルロースが覆い、さらにこれをリグニンが覆った構造を有していると推測される。当該リグニンによってセルロース繊維間は、強固に接着しており、植物繊維を形成している。そのため、植物繊維中のリグニンはあらかじめ除去されていることが、植物繊維中のセルロース繊維の凝集を防ぐことができるという点で好ましい。具体的には、植物繊維含有材料中のリグニン含有量は、通常40質量%程度以下、好ましくは10質量%程度以下である。また、リグニンの除去率の下限は、特に限定されるものではなく、0質量%に近いほど好ましい。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により測定することができる。
植物の細胞壁の中では、幅4nm程のセルロースミクロフィブリル(シングルセルロースナノファイバー)が最小単位として存在する。これが、植物の基本骨格物質(基本エレメント)である。そして、このセルロースミクロフィブリルが集まって、植物の骨格を形成している。本発明において、「セルロースナノファイバー」とは、植物繊維を含む材料(例えば、木材パルプ等)をその繊維をナノサイズレベルまで解きほぐしたものである。
セルロースナノファイバーの製造方法としては、例えば後述する<樹脂組成物の製造方法>の工程(1)における植物繊維を解繊する工程によって得られるものが好ましい。
セルロースナノファイバーの比表面積としては、70〜300m/g程度が好ましく、70〜250m/g程度がより好ましく、100〜200m/g程度がさらに好ましい。セルロースナノファイバーの比表面積を高くすることで樹脂組成物の強度が向上するため、好ましい。また、比表面積が極端に高いと樹脂中での凝集が起こりやすくなり、目的とする高強度材料が得られないことがある。そのため、セルロースナノファイバーの比表面積は上記の範囲とすることが好ましい。
セルロースナノファイバーの繊維径は、平均値が通常4〜200nm程度、好ましくは4〜150nm程度、特に好ましくは4〜100nm程度である。なお、セルロースナノファイバーの繊維径の平均値(平均繊維径)は、電子顕微鏡の視野内の変性セルロースナノファイバーの少なくとも50本以上について測定した時の平均値である。
変性セルロースナノファイバー(A)は、セルロースナノファイバーの水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性され、カルボキシル基を有する。
前記変性セルロースナノファイバー(A)の水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性されている部分が、式(I)で表される構造であることが好ましい。
Figure 0005757779
式(I)中、Rは、炭素数8以下の芳香環、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基を示す。Rにおける、炭素数が9以上である場合には、樹脂(B)との接着性が低下するという傾向がある。なお、Rの炭素数の下限は、1である。また、Rは、1〜2個のカルボキシル基を有していてもよく、カルボキシル基が2個である場合、酸無水物を形成していてもよい。
式(I)におけるRの芳香環としては、炭素数6以上のものが好ましい。Rがアルキレン基、又はアルケニレン基である場合の炭素数としては、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。Rが環状アルキレン基又は環状アルケニレン基である場合の炭素数としては、好ましくは7以下、より好ましくは6であり、また、Rが環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基である場合の炭素数の下限としては6である。
前記置換基を有する変性セルロースナノファイバー(A)は、カルボキシル基を有するため、後述する樹脂(B)と一部又は全て反応させることが可能となり、セルロースナノファイバー(A)と樹脂(B)との接着性を向上させることができる。
前記置換基を付与するための変性化剤としては、無水多塩基酸が挙げられ、後述する<樹脂組成物の製造方法>で用いられる無水多塩基酸が好ましい。
変性化剤によって変性された前記変性セルロースナノファイバー(A)のエステル置換度(D.S.)は、0.1〜1.0程度が好ましく、0.1〜0.8程度がより好ましく、0.1〜0.6程度がさらに好ましい。D.S.を0.1程度以上に設定することによって、カルボキシル基と樹脂(B)とを十分に反応させることができ、接着性を向上させ、得られる成形材料の機械強度を向上させることができるという効果、また、樹脂(B)中の再凝集を防ぐことができるという効果が得られる。また、D.S.を1.0程度以下に設定することによって、セルロースナノファイバー内部まで余剰に水酸基が置換されることを防ぎ、水素結合力の低下を抑制することができる。そのため、セルロースの強度の低下を抑制することができ、期待される補強効果が得られる。
なおD.S.は、洗浄により原料として用いた変性化剤や、それらの加水分解物等の副生成物を除去した後、重量増加率、元素分析、中和滴定法、FT−IR、H−NMR等の各種分析方法により分析することができる。
変性セルロースナノファイバー(A)の比表面積及び平均繊維径は、前記のミクロフィブリル化植物繊維の比表面積及び平均繊維径と同様の範囲のものを用いることができる。
変性セルロースナノファイバー(A)の含有量としては、樹脂100質量部に対して変性セルロースナノファイバー(A)含有量のうちセルロースナノファイバーに相当する量が、0.5〜150質量部程度となることが好ましく、1〜100質量部程度がより好ましく、1〜80質量部程度がさらに好ましい。変性セルロースナノファイバー(A)含有量のうちセルロースナノファイバーに相当する量が0.5質量部程度以上に設定することによって、セルロースナノファイバー(A)による補強効果を十分に得ることができる。また、変性セルロースナノファイバー(A)含有量のうちセルロースナノファイバーに相当する量が150質量部程度以下に設定することによって、成形体の耐水性の悪化を抑制することができ、性能の低下を抑制することができる。
樹脂(B)としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂等が挙げられ、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、トリアセチル化セルロース、ジアセチル化セルロース等のセルロース系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上の混合樹脂として用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ユリア樹脂;メラミン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ジアリルフタレート樹脂;ポリウレタン樹脂;ケイ素樹脂;ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記樹脂(B)の中で、変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基と良好に反応し得る点からエポキシ樹脂が好ましい。
前記樹脂(B)にエポキシ樹脂を用いる場合は、硬化剤(C)を使用することが好ましい。硬化剤(C)を配合することによって、樹脂組成物から得られる成形材料をより強固に成形することができ、機械的強度を向上させることができる。
硬化剤(C)としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等のアミン系硬化剤;ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水ヘッド酸等の酸無水物系硬化剤;ノボラック型フェノール樹脂等のポリフェノール系硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル等のポリメルカプタン系硬化剤;イソシアネートプレポリマー等のイソシアネート系硬化剤;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン系硬化剤;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤;BFモノエチルアミン、BFピペラジン等のルイス酸系硬化剤等が挙げられる。
なお、硬化剤の含有量は、使用する硬化剤の種類により適宜設定すればよい。
また、上記樹脂組成物中に含まれる各成分に加え、例えば、相溶化剤;界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;着色剤;可塑剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤等の添加剤を配合してもよい。
任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されてもよいが、例えば、樹脂組成物中10質量%程度以下が好ましく、5質量%程度以下がより好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は、(1)植物繊維を解繊し、セルロースナノファイバーを得る工程、(2)工程(1)によって得られたセルロースナノファイバーを無水多塩基酸でエステル化し、セルロースナノファイバーの水酸基の一部が、カルボキシル基を有する置換基で変性された変性セルロースナノファイバー(A)を得る工程、(3)工程(2)によって得られた変性セルロースナノファイバー(A)と樹脂(B)を混合し、かつ樹脂(B)と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させる工程を含むものである。
前記変性セルロースナノファイバー(A)の水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性されている部分が、式(I)で表される構造であることが好ましい。
Figure 0005757779
式(I)中、Rは、炭素数8以下の芳香環、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基を示す。Rにおける、炭素数が9以上である場合には、樹脂(B)との接着性が低下するという傾向がある。なお、Rの炭素数の下限は、1である。また、Rは、1〜2個のカルボキシル基を有していてもよく、カルボキシル基が2個である場合、酸無水物を形成していてもよい。
式(I)におけるRの芳香環としては、炭素数6以上のものが好ましい。Rがアルキレン基、又はアルケニレン基である場合の炭素数としては、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。Rが環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基である場合の炭素数としては、好ましくは7以下、より好ましくは6であり、また、Rが環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基である場合の炭素数の下限としては6である。
式(I)中、Rは、炭素数6以下、好ましくは炭素数4以下のアルキレン基を示す。Rは、炭素数が7以上のアルキレン基では、樹脂(B)との接着性が低下するという傾向がある。なお、Rの炭素数の下限は、1であり、2以上が好ましい。
植物繊維としては、前記<樹脂組成物>で挙げられたものと同様のものを用いることができる。工程(1)における植物繊維の解繊する方法としては、公知の方法が採用でき、例えば、前記セルロース繊維含有材料の水懸濁液又はスラリーをリファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機、ビーズミル等による機械的な摩砕、ないし叩解することにより解繊する方法が使用できる。必要に応じて、上記の解繊方法を組み合わせて処理してもよい。
工程(1)の解繊する工程において、分散媒として水を用いた場合には、工程(2)の前に、別の溶媒に置換させ、セルロースナノファイバーを当該溶媒にて分散させておくことが好ましい。別の溶媒としては、両親媒性の溶媒であることが好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール系のアルコール系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;n−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。これらの中で、アセトンが系中の水を除去しやすい点、及びCNFが非常に分散しやすい点から好ましい。
工程(1)によって得られたセルロースナノファイバーは、工程(2)によって無水多塩基酸とエステル化し、カルボキシル基を有する置換基で変性された変性セルロースナノファイバー(A)が得られる。
無水多塩基酸としては、環状無水物であることが、セルロースナノファイバーを効率よく変性でき、触媒を用いなくてもセルロースナノファイバーをエステル化することができるという点から好ましく、反応性や変性セルロースナノファイバー(A)と樹脂(B)との接着性から式(II)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0005757779
式(II)中、Rは、前記式(I)と同様である。
無水多塩基酸としては、無水マロン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、無水セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アルケニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸等が挙げられ、これらの中で、無水マロン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸等が好ましい。
無水多塩基酸の配合量は、セルロースナノファイバー中の水酸基1モルに対して0.1モル程度以上が好ましく、0.3モル程度以上がより好ましい。無水多塩基酸の配合量を上記の範囲に設定することにより、所望のエステル置換度を有する変性セルロースナノファイバー(A)を得ることができる。
工程(2)におけるセルロースナノファイバーを無水多塩基酸でエステル化する際の反応溶媒としては、例えば、NMP、DMF、DMAc等の非プロトン性溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒の中で、NMP、アセトンが、CNFの分散性の観点から好ましい。また、反応後、未反応の無水多塩基酸を除去しない場合は、次の工程(3)で溶媒が除去されやすいようにアセトンを使用することが特に望ましい。
工程(2)におけるセルロースナノファイバーを無水多塩基酸でエステル化する際の反応温度としては、特に限定されるものではないが、例えば、30〜200℃程度が好ましく、50〜150℃程度がより好ましい。
セルロースナノファイバーを無水多塩基酸でエステル化した後、未反応の無水多塩基酸はそのままでも良いし、必要に応じて除去しても良い。また、次の工程(3)で溶媒が除去されやすいようにするために、別の溶媒で洗浄し、工程(2)で用いた溶媒を除去していてもよい。工程(2)の後に洗浄に用いる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール系のアルコール系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;NMP、DMF、DMAc等の非プロトン性溶媒が挙げられる。これらの中で、溶媒の除去が容易であり、変性セルロースナノファイバー(A)を良好に分散させることができるという点から、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が好ましい。
工程(2)によって得られた変性セルロースナノファイバー(A)は、工程(3)において樹脂(B)と混合し、かつ樹脂(B)と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させる。
変性セルロースナノファイバー(A)の配合量としては、前記<樹脂組成物>で例示した樹脂組成物に含まれる変性セルロースナノファイバー(A)の含有量となるように設定すればよく、当該含有量と同等の配合量を配合すればよい。
ここで、「樹脂(B)と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させる」とは、樹脂(B)中に存在する、エポキシ基、水酸基、アミノ基等の置換基と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させることをいう。
工程(3)において、変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基は、全て樹脂(B)と反応していてもよく、また、一部が反応していてもよい。
工程(3)において、混合する温度としては、40℃程度以上が好ましく、50℃程度以上がより好ましく60℃程度以上がさらに好ましい。混合温度を60℃程度以上に設定することにより、変性セルロースナノファイバー(A)と樹脂(B)を均一に混合することができ、かつ、樹脂(B)と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させることができる。
また、工程(3)において、任意の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、前記で挙げられたものを用いることができる。
樹脂(B)がエポキシ樹脂である場合、工程(3)の後、さらに、(4)硬化剤(C)を配合する工程を行ってもよい。工程(4)における硬化剤としては、前記<樹脂組成物>で例示したものが使用できる。
変性セルロースナノファイバー(A)、樹脂(B)、及び硬化剤(C)を混合する方法としては、ベンチロール、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー等の混練機により混練する方法、攪拌羽により混合する方法、公転・自転方式の攪拌機により混合する方法等が挙げられる。
混合温度としては、硬化剤と樹脂とが反応しない温度であれば、特に限定されない。
<成形材料及び成形体>
本発明は、前記の樹脂組成物を用いた成形材料にも関する。
前記樹脂組成物は、所望の形状に成形され成形材料として用いることができる。成形材料の形状としては、例えば、シート、ペレット、粉末等が挙げられる。これらの形状を有する成形材料は、例えば金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等を用いて得られる。
さらに本発明は、前記成形材料を成形してなる成形体にも関する。成形の条件は樹脂の成形条件を必要に応じて適宜調整して適用すればよい。
本発明の成形体は、セルロースナノファイバー含有樹脂成形物が使用されていた繊維強化プラスチック分野に加え、より高い機械強度(引っ張り強度等)が要求される分野にも使用できる。例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器の内装材、外装材、構造材等;パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等;携帯電話等の移動通信機器等の筺体、構造材、内部部品等;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等;建築材;文具等の事務機器等、容器、コンテナー等として有効に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
・実施例1〜5
<1.植物繊維のナノファイバー(CNF)化>
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)(リファイナー処理済み、王子製紙(株)製、固形分25質量%)200gを水4800gに分散させ、パルプ濃度1質量%の分散液を調整した。この分散液をセレンディピターMKCA6−3(増幸産業(株)製)で一回処理し、セルロースナノファイバー(CNF)の濃度1質量%の分散液を得た。得られたCNFの窒素ガス吸着法による比表面積は、196m/gであった。
<2.CNFアセトンスラリーの製造>
遠心分離管一本あたりに、前記<1.植物繊維のCNF化>によって得られたCNFの水分散液100gを入れ、遠心分離を行い、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。遠心分離管一本あたりに、アセトン100gを加えて、よく攪拌し、アセトン中に分散させ、遠心分離を行い、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。上記の操作(アセトンの添加、分散、遠心分離、及び上澄み液の除去)をさらに二回繰り返し、固形分5質量%のCNFアセトンスラリーを得た。
<3.カルボキシル基を有する置換基で変性された変性CNFの製造>
攪拌子が入った1Lナスフラスコに、<2.CNFアセトンスラリーの製造>で得たCNFアセトンスラリーを表1に示すCNFの配合量になるように投入した。CNF固形分濃度が0.5質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、マグネチックスターラーで攪拌しCNFをNMP中に分散させた。表1に示す無水多塩基酸、及び反応比になるように添加し、フラスコ上部にジムロート冷却機を接続した。フラスコをマグネチックスターラー機能付ホットプレート上に置いたオイルバスの中にセットし、攪拌しながらバス温度80℃で表1に示す反応時間で反応を行った。
反応終了後、遠心分離にて上澄み液とスラリー沈殿物に分離して、上澄み液を除去した。スラリー沈殿物にアセトンを添加し、変性CNFをアセトン中に分散させ、遠心分離を行い、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。上記の操作(アセトンの添加、分散、遠心分離、及び上澄み液の除去)をさらに二回繰り返し、変性CNFアセトンスラリーを得た。
得られた変性CNFアセトンスラリーの固形分濃度(N.V.)及び変性CNFのエステル置換度(D.S.)を表1に示す。なお、D.S.は、以下の方法により測定した。
変性CNFのD.S.の算出
変性CNFと変性前CNFの重量変化と無水多塩基酸の分子量から反応した無水多塩基酸のmol量を求め、変性CNFのエステル置換度(D.S.)を計算した。
<4.樹脂組成物の製造>
前記<3.カルボキシル基を有する置換基で変性された変性CNFの製造>によって得られた変性CNFアセトンスラリーとエポキシ樹脂(DIC(株)製のEPICLON850)を表2に示す配合割合で、泡とり練太郎((株)シンキー製)にて混合した。減圧下、室温でアセトンを除去した。その後、減圧下のまま温度を80℃まで上げ、2時間加熱し、樹脂混合物の重量減少がなくなるまで加熱を続けた。重量減少がなくなった後、樹脂混合物を室温まで冷やし、さらに、前記混合物に硬化剤として東京化成工業(株)製のイソホロンジアミン(IPDA)を表2の割合で添加し、泡とり練太郎((株)シンキー製)及びベンチロール(アイメクッス(株)製)にて混合し樹脂組成物を得た。
<5.樹脂成形体の製造>
金型をトランスファー試験機のステージにセットし、型締め圧力が10Mpaになるように型締めした。ステージ温度を130℃に設定した。ステージ温度が130℃になってから30分後に、トランスファー試験機のシリンダーに<4.樹脂組成物の製造>にて得られた樹脂組成物を投入し、プレート温度130℃、射出圧1.0MPa、射出時間150秒、型締圧10MPa、硬化時間30分の条件にて、1cm×10cm×3mmの試験片を作製した。
得られた試験片について、電気機械式万能試験機(インストロン社製)にて曲げ強度及び弾性率を測定した。その際、支点間距離を4.5cm、試験速度を1.5mm/分とした。測定結果を表3に示す。
・比較例1
変性CNFを配合せず、エポキシ樹脂と硬化剤を表2の配合割合で混合した樹脂組成物を、実施例1と同様の方法により、トランスファー成形機にて1cm×10cm×3mmの試験片を作製し、曲げ強度及び弾性率を測定した。測定結果を表3に示す。
・比較例2
変性CNFを配合せず、エポキシ樹脂、無水コハク酸、及び硬化剤を表2の配合割合で混合した樹脂組成物を、実施例1と同様の方法により、トランスファー成形機にて1cm×10cm×3mmの試験片を作製し、曲げ強度及び弾性率を測定した。測定結果を表3に示す。
・比較例3
前記<2.CNFアセトンスラリーの製造>によって得られたCNFアセトンスラリーとエポキシ樹脂(DIC(株)製のEPICLON850)を表2に示す配合割合で、泡とり練太郎((株)シンキー製)にて混合した。減圧下、室温でアセトンを除去した。その後、減圧下のまま温度を80℃まで上げ、樹脂混合物の重量減少がなくなるまで加熱を続けた。重量減少がなくなった後、樹脂混合物を室温まで冷やし、さらに、前記混合物に硬化剤として東京化成工業(株)製のIPDAを表2の割合で添加し、泡とり練太郎((株)シンキー製)及びベンチロール(アイメクッス(株)製)にて混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、実施例1と同様の方法により、トランスファー成形機にて1cm×10cm×3mmの試験片を作製し、曲げ強度及び弾性率を測定した。測定結果を表3に示す。
・比較例4
前記<2.CNFアセトンスラリーの製造>によって得られたCNFアセトンスラリーとエポキシ樹脂(DIC(株)製のEPICLON850)を表2に示す配合割合で、泡とり練太郎((株)シンキー製)にて混合し、減圧下、室温でアセトンを除去した。その後、減圧下のまま温度を80℃まで上げ、樹脂混合物の重量減少がなくなるまで加熱を続けた。重量減少がなくなった後、樹脂混合物を室温まで冷やし、さらに、前記混合物に硬化剤として東京化成工業(株)製のIPDA及び無水コハク酸を表2の割合で添加し、泡とり練太郎((株)シンキー製)及びベンチロール(アイメクッス(株)製)にて混合し、樹脂組成物を得た。その樹脂組成物を、実施例1と同様の方法により、トランスファー成形機にて1cm×10cm×3mmの試験片を作製し、曲げ強度及び弾性率を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 0005757779
Figure 0005757779
Figure 0005757779
・考察
表3に示すように、比較例1よりエポキシ樹脂に硬化剤を用いて硬化して得られる樹脂成形体は、曲げ強度及び弾性率のいずれにおいても低い値となった。また、比較例1の樹脂成形体に対し、さらに無水コハク酸を含む比較例2の樹脂成形体は、比較例1と比較して弾性率が若干向上したものの、曲げ強度が著しく低下した。これは、イソホロンジアミンと無水コハク酸の副反応によるものであると考えられる。
また、エポキシ樹脂を硬化剤して得られる樹脂成形体に対し、さらに未変性のCNFを配合した比較例3では、弾性率が比較例1よりも向上したものの、曲げ強度が低下した。これは、エポキシ樹脂とCNFとの間の界面が十分に接着されておらず、曲げのような負荷に対して強度が低下したものと考えられる。比較例3の樹脂成形体に対し、さらに無水コハク酸を含む比較例4の樹脂成形体(エポキシ樹脂に未変性CNFと無水コハク酸が含有してなる樹脂成形体)では、比較例1〜3と比較して弾性率が若干向上したものの、曲げ強度が著しく低下した。
一方、実施例1〜5のエポキシ樹脂、無水コハク酸又は無水グルタル酸によって変性されたCNF、及び硬化剤よりなる樹脂成形体は、曲げ強度、及び弾性率のいずれもが比較例1〜4の樹脂成形体と比較して向上していることが分かった。

Claims (7)

  1. 変性セルロースナノファイバー(A)及び樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、
    (1)植物繊維を解繊し、セルロースナノファイバーを得る工程、
    (2)工程(1)によって得られたセルロースナノファイバーを無水多塩基酸でエステル化し、セルロースナノファイバーの水酸基の一部が、カルボキシル基を有する置換基で変性された変性セルロースナノファイバー(A)を得る工程、及び
    (3)工程(2)によって得られた変性セルロースナノファイバー(A)と樹脂(B)を混合し、かつ樹脂(B)と変性セルロースナノファイバー(A)のカルボキシル基を反応させる工程、
    を含む樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記変性セルロースナノファイバー(A)の水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性されている部分が、式(I):
    Figure 0005757779

    (式(I)中、Rは、炭素数8以下の芳香環、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、環状アルキレン基、又は環状アルケニレン基を示す。また、Rは、1〜2個のカルボキシル基を有していてもよく、カルボキシル基が2個である場合、酸無水物を形成していてもよい)
    で表される
    請求項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記無水多塩基酸が環状無水物である請求項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記無水多塩基酸が式(II):
    Figure 0005757779

    (式(II)中、Rは、前記式(I)と同様である)
    で表される請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記変性セルロースナノファイバー(A)の配合量が、前記樹脂(B)100質量部に対して、0.5〜150質量部である請求項1〜4の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記樹脂(B)がエポキシ樹脂である請求項1〜5の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記変性セルロースナノファイバー(A)のエステル置換度が、0.1〜1.0である請求項1〜の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法
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