JP2020083946A - 修飾セルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents

修飾セルロースナノファイバーの製造方法 Download PDF

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JP2020083946A JP2018216289A JP2018216289A JP2020083946A JP 2020083946 A JP2020083946 A JP 2020083946A JP 2018216289 A JP2018216289 A JP 2018216289A JP 2018216289 A JP2018216289 A JP 2018216289A JP 2020083946 A JP2020083946 A JP 2020083946A
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Yoshikazu Nakayama
芳和 中山
井上 秀明
Hideaki Inoue
秀明 井上
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Abstract

【課題】種々の樹脂に、より均一に分散させることができる修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)を製造する新しい技術の提供。【解決手段】(1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程を含み、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、ことを特徴とする、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、修飾セルロースナノファイバーの製造方法に関する。
セルロースナノファイバー(CNF)は、植物由来の天然原料であるセルロース繊維を解繊して得られるナノフィラーである。CNFは低比重、且つ高強度な樹脂用複合材料として注目されている。CNFを樹脂中に添加することで、樹脂の強度を向上させることが試みられている。一方、CNFは親水性であり、水との親和性が強いので、疎水性の樹脂中で均一に分散させることには工夫が必要である。
本出願人は、修飾セルロース繊維を、油、蝋、可塑剤、エポキシ樹脂用希釈剤及び液状樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の媒体中で解繊することを特徴とする、修飾CNFの製造方法を開発している(特許文献2)。この技術により、種々の樹脂に均一に分散させることができる修飾CNFを製造することができる。この技術により、修飾セルロース繊維を疎水性の不活性な液状又は半固形のワックス状の媒体中で解繊することができ、修飾CNFとそれら媒体との混合物を得ることができる。この技術により、経済的に安価に、セルロース繊維をナノレベルまで解繊することができる。
特開2017-165956号公報
本発明の目的は、種々の樹脂に、より均一に分散させることができる修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)を製造する新しい技術を提供することである。
本発明の目的は、経済的に安価に、セルロース繊維をナノレベルまで解繊する技術、より実用的な修飾CNFを製造する技術を提供することである。
本発明者は、上記課題を考慮し鋭意検討を行なった。
その結果、修飾セルロース繊維を、特定のアルコールを含む媒体中で解繊することにより、種々の樹脂に均一に分散させることができる修飾CNFを製造することができることを見出した。並びに、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物を製造することができることを見出した。
本発明は、以下の修飾CNFの製造方法を提供するものである。
項1.
修飾セルロースナノファイバーの製造方法であって、
(1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程を含み、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、
ことを特徴とする、製造方法。
項2.
前記修飾セルロース繊維は、セルロース繊維の水酸基がエステル化及びエーテル化からなる群から選ばれる少なくとも一種の方法により修飾された修飾セルロース繊維である、前記項1に記載の製造方法。
項3.
前記(1)解繊する工程は、修飾セルロース繊維及びアルコールを含む媒体の合計重量に対して、修飾セルロース繊維が1〜60重量%含まれる条件で行われる、前記項1又は2に記載の製造方法。
項4.
樹脂組成物の製造方法であって、
(1)前記項1〜3のいずれかの製造方法で得られる修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物に、樹脂を添加する工程を含む
ことを特徴とする、製造方法。
項5.
前記樹脂は、エポキシ樹脂である、前記項4に記載の製造方法。
項6.
前記(1)樹脂を添加する工程は、樹脂組成物において、修飾セルロースナノファイバーとアルコールを含む媒体との混合物の含有割合を1〜50重量%とし、樹脂の含有割合を50〜99重量%とする条件で行われる、前記項4又は5に記載の製造方法。
項7.
修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、
ことを特徴とする、混合物。
項8.
前記修飾セルロースナノファイバーは、混合物中に1〜60重量%含まれる、前記項7に記載の混合物。
項9.
修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであり、
(1)混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾セルロースナノファイバーの含有率を5重量%〜60重量%に調整する工程を含む
ことを特徴とする、濃縮方法。
項10.
前記(1)工程で混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、前記項9に記載の濃縮方法。
項11.
修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであり、
(1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊し、修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物を調製する工程、及び、
(2)工程(1)で得られた混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾セルロースナノファイバーの含有率を5重量%〜60重量%に調整する工程を含む
ことを特徴とする、濃縮方法。
項12.
前記(2)工程で混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、前記項11に記載の濃縮方法。
本発明の製造方法により、種々の樹脂に、より均一に分散させることができる修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)を製造する新しい技術を提供することができる。
本発明の製造方法により、経済的に、より安価に、セルロース繊維をナノレベルまで解繊する技術、より実用的な修飾CNFを製造する技術を提供することができる。
本発明の製造方法では、修飾セルロース繊維を、特定のアルコールを含む媒体中で解繊することにより、種々の樹脂に均一に分散させることができる修飾CNF、並びに、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物を製造することができる。
修飾CNFマスターバッチの工程を表す図である。(1)予備混合:2軸ミキサー等の混合機中で、修飾セルロース繊維とアルコールを含む媒体とを均一に分散させる。(2)押出:プレス等を用いて混合ペーストを解繊機に供給する。(3)解繊:グラインドミル等を用いて修飾セルロース繊維をナノサイズまで解繊する。修飾CNFマスターバッチを供給する。ホッパーで滞留させることが可能である。 修飾CNFマスターバッチと樹脂とのブレンドを表す図である。樹脂と修飾CNFマスターバッチとをブレンドし、樹脂製品を供給することができる。
以下に、発明を実施するための形態を詳細に記載する。
(1)修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)の製造方法
本発明は、修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)の製造方法であって、
(1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程を含み、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、
ことを特徴とする、製造方法である。
前記修飾セルロース繊維は、セルロース繊維の水酸基がエステル化及びエーテル化からなる群から選ばれる少なくとも一種の方法により修飾された修飾セルロース繊維である、ことが好ましい。
前記(1)解繊する工程は、修飾セルロース繊維及びアルコールを含む媒体の合計重量に対して、修飾セルロース繊維が1〜60重量%含まれる条件で行われる、ことが好ましい。
本発明の修飾CNFの製造方法により、修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(マスターバッチ、MB)を製造することができる。得られた修飾CNFは、種々の樹脂に均一に混合することができる。前記解繊の条件は樹脂の性質の違いを考慮する必要が無く、樹脂毎に解繊条件を検討する必要も無い。修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、種々の樹脂と混合する成分として非常に汎用的なマスターバッチ(MB)となる。修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、量産化の見込みが大きく、大幅なコストダウンが図れる。
本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体は、いずれか一種の媒体中で解繊しても良いし、これらの媒体から選ばれる2種以上の媒体中で解繊してもよい。アルコールを含む媒体は、目的とする組成物に対して許容される薬品類の中から選ぶことができる。
本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体は、解繊後に留去する等して、除去することできる。これにより、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物中の修飾CNFの含有量を高めることができる。
(1-1)セルロース繊維及び修飾セルロース繊維
修飾CNFは、セルロース繊維を修飾して、微細化(解繊)することで得られる。修飾CNFは、樹脂に含有させることで、樹脂の破壊靭性等を強化できる。
セルロース繊維は、パルプ、綿、紙、再生セルロース繊維、動物由来セルロース等を利用することができる。
パルプとして、木材パルプ、非木材パルプ双方を好適に使用できる。木材パルプとして、機械パルプと化学パルプとあり、リグニン含有量の少ない化学パルプの方が好ましい。化学パルプにはサルファイドパルプ、クラフトパルプ、アルカリパルプ等があり、いずれも好適に使用できる。非木材パルプとしては、藁、バガス、ケナフ、竹、葦、楮、亜麻等があり、いずれも利用可能である。
セルロース繊維中に広葉樹由来のリグニンが多く残留する場合、セルロース繊維を公知の漂白処理を施すことリグニンを除去することが好ましい。
綿は、主に衣料用繊維に用いられる植物であり、綿花、綿繊維、綿布等があり、いずれも利用可能である。
紙は、パルプから繊維を取り出し漉いたもので、新聞紙や廃牛乳パック、コピー済み用紙等の古紙も好適に利用できる。
再生セルロース繊維は、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、アセテート等である。
動物由来セルロースは、バクテリア産生セルロース、ホヤ等である。
修飾セルロース繊維は、セルロース繊維の表面が化学修飾処理されたセルロース繊維である。
修飾セルロース繊維は、セルロース繊維の水酸基がエステル化及びエーテル化からなる群から選ばれる少なくとも一種の方法により修飾された修飾セルロース繊維である、ことが好ましい。
修飾セルロース繊維は、セルロース繊維の水酸基をエステル化処理、エーテル化処理等により修飾する方法として、セルロース繊維をアニオン変性する方法、セルロース繊維を、四級アンモニウム基を含有する化合物でカチオン変性する方法、セルロース系原料を2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(TEMPO)と次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で酸化処理(TEMPO酸化)する(酸化変性する)方法等がある。これにより、アニオン変性されたセルロース繊維、カチオン変性されたセルロース、TEMPO酸化セルロース繊維等を調製することができる。
本発明の修飾CNFの製造方法では、グラインドミル等を用いて、修飾セルロース繊維を機械的に解繊することで、高速で連続的に、しかも効率良く解繊(加工)することできる。本発明の修飾CNFの製造方法では、安定して修飾セルロース繊維を解繊することができる。
(1-2)解繊で使用する媒体
本発明の修飾CNFの製造方法は、(1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程を含み、前記アルコールとして、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールを用いる。
アルコールを含む媒体に含まれるアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種を用いる。アルコールを用いることで、修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾CNFの含有率を5〜60重量%に調整することができる。アルコールを用いることで、混合物中の修飾CNFの含有率を5〜60重量%に高めることができる。
アルコールを含む媒体は、目的とする組成物の群に対して許容される薬品類の中から選ぶことができる。アルコールを含む媒体は、目的の樹脂と馴染み、種々の樹脂に対して相分離しない広い相溶性を示すことが好ましい。
本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体を用いることで、修飾セルロース繊維の解繊を、安定的に進めることができる。本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体は、解繊後に留去する等して、除去することできる。これにより、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物(MB)中の修飾CNFの含有量を高めることができる。
アルコールを含む媒体は、樹脂成分の間に入り、潤滑の作用をして分子間の流動性を増加させる。アルコールを含む媒体は、分子間内部摩擦を減少させ、可塑性を与え、素練り、配合、押出し等、種々の成型加工時の発熱を減少させる。更に添加剤の分散を助長し、加工性の向上と同時に、例えば樹脂(加硫ゴム等)の弾性、屈曲性等を改善させ、引張り強さや耐摩耗性を向上させる。アルコールを含む媒体は、樹脂組成物の樹脂に分散する。
アルコールを含む媒体の含有量
解繊する工程で、修飾セルロース繊維に添加するアルコールを含む媒体は、その合計重量に対して、アルコールの含有量は5〜100重量%含まれる条件で行われることが好ましい。
アルコールを含む媒体は、その合計重量に対して、アルコールの含有量は100重量%であっても良い。この場合、媒体はアルコールのみからなる。アルコールを含む媒体は、その合計重量に対して、アルコールの含有量は10〜100重量%がより好ましく、15〜90重量%が更に好ましく、60重量%程度とすることが特に好ましい。
アルコールを含む媒体に含まれるアルコール以外の媒体として、水を用いることが好ましい。アルコールを含む媒体に水を含めることで、アルコールを含む媒体全体の引火点を上げることができる。アルコールを含む媒体に水を含めることで、使用するアルコールによっては、アルコールを含む媒体を用いる作業において、作業の安全性を上げることに繋がる。
アルコールを含む媒体は、その合計重量に対して、アルコールの含有量は10〜90重量%である時、水の含有量は90〜10重量%であることが好ましい。アルコールを含む媒体は、その合計重量に対して、アルコールの含有量は15〜90重量%である時、水の含有量は85〜10重量%であることが好ましい。アルコールを含む媒体は、その合計重量に対して、アルコールの含有量は60重量%である時、水の含有量は40重量%であることが好ましい。
アルコールを含む媒体を使用する場合の好ましい特性
(1)樹脂組成物の樹脂(ゴム)材料との相溶性が良好でブルーミングがないこと。
(2)配合後の樹脂組成物(ゴム)は、可塑性が適度で加工性が良いことや、練り生地が適度の粘着性を持ち、樹脂組成物(ゴム)の成型操作を容易にする軟化性があること。
(3)樹脂組成物(ゴム)材料や充てん剤とよく馴染み、充てん剤の分散を助けて均質な油添ゴムとすること。
(4)加硫後の物性に悪影響がないこと。
(5)酸素、オゾン、光、熱に対して安定であること。
(6)品質が安定していて、安価であること。
修飾セルロース繊維に、アルコールを含む媒体を添加して解繊すると、得られる修飾CNFは、低温特性、加工性が改善する。アルコールを含む媒体は、解繊後に留去する等して除くことできる。配合物(樹脂組成物)の修飾CNFの含有量を高めることが可能である。
アルコールを含む媒体、若しくはアルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1-3)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程
アルコールを含む媒体中で修飾セルロース繊維を解繊(微細化)することで、修飾CNFを作製する。
修飾セルロース繊維と媒体とを含む混合物に、機械的に箭断力を与えることで、修飾セルロース繊維を解繊する。解繊は、グラインドミル(グラインダー)、リファイナー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、一軸又は多軸混練機、ビーズミル、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等による機械的な摩砕により解繊する方法、又は叩解することにより解繊する方法等が好ましい。
必要に応じて、前記解繊方法を組み合わせて処理してもよい。混練機等を用いることで、混合物に剪断力を与えることができる。解繊は、グラインドミル(グラインダー)用いることがより好ましい。
予備解繊は、2軸ミキサーを用いることが好ましい。
セルロース繊維とアルコールを含む媒体との混合比率は任意に変更できる。解繊は、修飾セルロース繊維と媒体との合計重量に対して、修飾セルロース繊維が1〜60重量%程度含まれる条件で行われることが好ましい。修飾セルロース繊維とアルコールを含む媒体との混合物中の修飾セルロース繊維が1〜50重量%程度含まれることがより好ましく、1〜30重量%程度含まれることが更に好ましい。修飾セルロース繊維を十分に解繊できる。修飾セルロース繊維とアルコールを含む媒体との合計重量に対して、修飾セルロース繊維は5重量%程度以上含まれる条件で行われることが好ましい。解繊後に、修飾CNFと媒体との混合物(マスターバッチ、MB)と、樹脂とを混合した時に、樹脂の強度を向上できる。
グラインドミルを用いて、修飾セルロースを機械的に解繊することで、高速で連続的に、しかも効率良く解繊(加工)することできる。一般に、グラインドミルによる処理は発熱を伴う。そのため、グラインドミルによる処理では、反応性の高いポリマー等を媒体が変質又は分解等を引き起こす危険性が有る。
本発明の修飾CNFの製造方法では、安定して修飾セルロース繊維を解繊できる。
(1-4)修飾セルロースナノファイバー(修飾CNF)
修飾CNFは、アルコールを含む媒体中で修飾セルロース繊維を微細化(解繊)することにより製造することができる。修飾CNFは、媒体中でセルロース繊維を微細化(解繊)した後、得られたCNFを修飾(変性)することにより製造することができる。
微細化方法(解繊処理)により、例えば、長軸方向に100nm〜1mm程度、短軸方向に3nm〜5μm程度に微細化された修飾CNFを調製することが可能である。
本発明の修飾CNFの製造方法により、修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)を製造することができる。この修飾CNFと媒体との混合物は、アルコールを含む媒体中に修飾CNFを分散させたものである。
(2)修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物
本発明は、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、
ことを特徴とする、混合物である。
前記修飾CNFは、混合物中に1〜60重量%含まれる、ことが好ましい。
修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、マスターバッチ(MB)として、種々の樹脂に混合することが可能である。これにより、CNFが持つ特性を樹脂に十分に付与でき、その結果、樹脂が持つ特性を高めることが可能である。
修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、マスターバッチ(MB)として、このマスターバッチ(MB)に新たに樹脂を追加して、成形品を作製することも可能である。
修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、マスターバッチ(MB)として、このマスターバッチ(MB)から、新たに樹脂を追加することなく、直接、成形品を作製することも可能である。この成形品は、アルコールを含む媒体が除去されており、マスターバッチ(MB)に含まれる修飾CNFから成るので、修飾CNFから成る成形品となる。この成形品は、修飾CNFから成るので、良好な撥水性を示したり、また、吸湿性が抑えられたりする成形品である。
本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は液状の組成物であることが好ましい。修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物との混合物(MB)に、必要に応じて好ましい成分を添加することで、樹脂組成物を作製することができる。
エポキシ樹脂接着剤等、液状の樹脂組成物の機能性を向上させることができる。樹脂組成物の製造現場や、施工で使用される常温硬化樹脂を提供することができる。エポキシ樹脂に、修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)を添加することで、成分が均一に分散されたエポキシ樹脂接着剤を製造することができる。このエポキシ樹脂接着剤の硬化物は、修飾CNFにより補強されており、接着力や圧縮力が向上している。
このエポキシ樹脂接着剤には、必要に応じて、その他の薬品を添加することができる。
常温硬化タイプのエポキシ樹脂接着剤(樹脂組成物)は、一般に液状であり、建築、土木等の多くの現場で使用される。これらの現場での施工に用いられるエポキシ樹脂接着剤の特性を上げることができる。
本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)では、油、蝋等の媒体、可塑剤、エポキシ樹脂用希釈剤、変成シリコーン樹脂、キシレン樹脂用希釈剤等を含むことが可能である。
本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は、修飾CNFが1〜60重量%含まれることが好ましく、1〜50重量%程度含まれることがより好ましく、1〜30重量%程度含まれることが更に好ましい。
得られた修飾CNFは、マスターバッチ(MB)として、種々の樹脂に均一に混合することができる。また、解繊の条件は樹脂の性質の違いを考慮する必要が無く、樹脂毎に解繊条件を検討する必要も無い。修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、種々の樹脂と混合する成分として非常に汎用的なマスターバッチ(MB)である。修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、量産化の見込みが大きく、大幅なコストダウンが図れる。
(3)樹脂組成物の製造方法
本発明は、樹脂組成物の製造方法であって、
(1)前記修飾CNFの製造方法で得られる修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物に、樹脂を添加する工程を含む
ことを特徴とする、製造方法である。
前記樹脂は、エポキシ樹脂である、ことが好ましい。
前記(1)樹脂を添加する工程は、樹脂組成物において、修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物の含有割合を1〜50重量%とし、樹脂の含有割合を50〜99重量%とする条件で行われる、ことが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法では、前記樹脂はエポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法では、前記樹脂組成物において、修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物の含有割合が1〜50重量%とし、樹脂の含有割合を50〜99重量%とすることが好ましい。樹脂組成物中の樹脂の含有量は、50〜99重量%程度が好ましく、70〜99重量%程度が好ましい。樹脂組成物中の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)の含有量は、1〜50重量%程度が好ましく、1〜30重量%程度が好ましい。樹脂の配合量を調整することにより、得られる硬化物(エポキシ樹脂接着剤等)は機械的強度に優れる。
本発明の修飾CNFの製造方法により得られる修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、マスターバッチ(MB)として、種々の樹脂に混合することが可能である。これにより、修飾CNFが持つ特性を樹脂に十分に付与でき、また樹脂が持つ特性を高めることもできる。
樹脂組成物は、液状の樹脂組成物が好ましい。この液状の樹脂組成物は、樹脂に加えて、数種類の成分を混合してなる組成物である。好ましい成分、及び修飾CNFと不活性な媒体との混合物(MB)を含む組成物を作製することができる。
樹脂として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリエチルメタクリレート(PEMA)等のアクリル樹系脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂、アクリロニトリル-エチレンゴム-スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル-スチレン樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン樹脂等のスチレン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ナイロン等のポリアミド樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、アイオノマー樹脂、ポリアクリルニトリル、エチレン-酢酸ビニル樹脂、エチレン-アクリル酸樹脂、エチレン-エチルアクリレート樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、メチルペンテン樹脂、セルロース樹脂等の樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂等が好ましい。フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等がより好ましい。
熱硬化性樹脂は、FRP製品に用いられ、使用場所及び成形方法により様々な樹脂がある。化粧板用樹脂、連続成形用樹脂、レジンインジェクション用樹脂、加圧成形用樹脂、注型用樹脂、積層用樹脂、難燃用樹脂、トップコート用樹脂、特殊用樹脂、ゲルコートベース用樹脂、ゲルコート用樹脂等がある。
熱硬化性樹脂は、1種単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂に修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)を添加することで、成分が均一に分散されたエポキシ樹脂接着剤を製造することができる。このエポキシ樹脂接着剤の硬化物は、修飾CNFにより補強されており、接着力や圧縮力が向上している。
エポキシ樹脂として、エポキシ基を分子中に2個以上含有するものが好ましい。例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用することもできる。
エポキシ樹脂は、液状のエポキシ樹脂がこのましい。固形のエポキシ樹脂である場合、別の液状樹脂と加熱混合して液状としても良い。液状樹脂として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂等が好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、50〜99重量%程度が好ましく、70〜99重量%程度が好ましい。樹脂組成物中の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)の含有量は、1〜50重量%程度が好ましく、1〜30重量%程度が好ましい。エポキシ樹脂の配合量を調整することにより、得られる硬化物(エポキシ樹脂接着剤)は機械的強度に優れる。
修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は、エポキシ樹脂接着剤等、液状の樹脂組成物の機能性を向上させることができる。現場施工で使用される常温硬化樹脂を提供することができる。このエポキシ樹脂接着剤には、必要に応じて、その他の薬品を添加することができる。
常温硬化タイプのエポキシ樹脂接着剤(樹脂組成物)は、一般に液状であり、建築、土木等の多くの現場で使用される。これらの現場での施工に用いられるエポキシ樹脂接着剤の特性を上げることができる。
修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)と、エポキシ樹脂との混合後に行われる硬化方法、つまりエポキシ樹脂接着剤の硬化方法は、更に硬化剤を加える方法が好ましい。架橋反応である。
架橋反応、加熱による硬化、UV照射による硬化等により、硬化を促進できる。加熱による硬化は、作業性が容易であるという点から、好ましい。加熱により硬化する場合の加熱温度は、所望の硬化物が得られる範囲において特に限定されるものではない。加熱温度は、50〜150℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましく、100〜150℃程度が更に好ましい。
エポキシ樹脂には常温で液状の物から固形状のものまで、分子量或いは化学構造の違いにより種々のタイプがある。一般にエポキシ樹脂といった場合にはビスフェノールAのジグリシジルエーテル型で、これは常温で高粘度を有し、作業性に劣る。従って適当な作業性を有する粘度まで希釈する必要がある。
不飽和ポリエステル
不飽和ポリエステル樹脂は、FRP(繊維強化プラスチック)に代表されるプラスチック製品の原料として、身の回りの用途で幅広く使用されている。
ポリエステル樹脂は、構成分子の中にエステル結合を含んだ高分子化合物である。不飽和ポリエステル樹脂は、主要原料の酸(飽和ニ塩基酸/不飽和ニ塩基酸)とグリコールとの重縮合により生成した不飽和ポリエステルに、主としてスチレン等の反応性モノマーを希釈溶解して、製造される。不飽和ポリエステルは、一般的に、多価アルコールを不飽和多塩基酸及び/又は飽和多塩基酸と重縮合(エステル化)させて得られた化合物である。
ビニルエステル樹脂
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応により生成したビニルエステルに、主としてスチレン等の反応性モノマーを希釈溶解して、製造される。
熱硬化性エポキシアクリレート樹脂
熱硬化性エポキシアクリレート樹脂としては、2官能タイプでビスフェノールA型構造を有するもの、2官能タイプで変性ビスフェノールA型又はF型構造を有するもの、2官能タイプで臭素化ビスフェノールA型構造を有するもの、2官能タイプで特殊ポリフェニレンエーテル型構造を有するもの、多官能タイプで変性ビスフェノールA型構造を有するもの、多官能タイプでビスフェノールF型構造を有するもの、多官能タイプでフェノールノボラック型構造を有するもの、多官能タイプで窒素含有特殊型構造を有するもの等が挙げられる。
また、ビスフェノールA型構造を有するもの、ノボラック型構造を有するもの、臭素化ビスフェノールA型構造を有するもの等がある。
熱硬化性ウレタンアクリレート樹脂
熱硬化性ウレタンアクリレート樹脂としては、2官能で芳香族タイプ、2官能で脂肪族及び脂環タイプ等がある。
熱硬化性ハーフエステル樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂
ゲルコート用樹脂、トップコート用樹脂、注形用樹脂等がある。
本発明の樹脂組成物は、前記修飾CNFと媒体との混合物の含有割合が1〜50重量%であり、前記樹脂の含有割合が50〜99重量%であることが好ましい。
樹脂組成物中の樹脂(エポキシ樹脂等)の含有量は、50〜99重量%程度が好ましく、70〜99重量%程度が好ましい。樹脂組成物中の修飾CNFと媒体との混合物(マスターバッチ)の含有量は、1〜50重量%程度が好ましく、1〜30重量%程度が好ましい。樹脂(エポキシ樹脂等)の配合量を調整することにより、得られる硬化物(エポキシ樹脂接着剤)は機械的強度に優れる。
(4)修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法
本発明は、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであり、
(1)混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾CNFの含有率を5重量%〜60重量%まで高める工程を含む
ことを特徴とする、濃縮方法である。
前記(1)工程で混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、ことが好ましい。
本発明は、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであり、
(1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊し、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物を調製する工程、及び、
(2)工程(1)で得られた混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾CNFの含有率を5〜60重量%に調整する(まで高める)工程を含む
ことを特徴とする、濃縮方法である。
前記(2)工程で混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、ことが好ましい。
本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体を用いることで、修飾セルロース繊維の解繊を、安定的に進めることができる。本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体は、解繊後に留去する等して、除去することできる。これにより、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物中の修飾CNFの含有量を高めることができる。
(4-1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊し、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物を調製する工程
上記(1-3)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程と同じである。アルコールを含む媒体中で修飾セルロース繊維を解繊(微細化)することで、修飾CNFを作製する。
(4-2)混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾CNFの含有率を5重量%〜60重量%まで高める工程
混合物中からアルコールを含む媒体を除去する方法
混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、ことが好ましい。
混合物中の修飾CNFの含有率を5〜60重量%に調整すること
混合物中の修飾CNFの含有率を5〜60重量%まで高めることができる。
本発明の修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物(MB)中の修飾CNFの含有量を高めることで、この混合物をマスターバッチ(MB)として用いて樹脂組成物に加える際に、樹脂組成物中のアルコールを含む媒体の添加量を抑えながら、樹脂組成物中の修飾CNFの添加量を多くすることが可能である。これにより、本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は、エポキシ樹脂接着剤等、液状の樹脂組成物の機能性を維持でき、これが機能性の向上に繋がる。
修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物(MB)は液状又はペースト状である。この混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾CNFの含有率を5〜60重量%に調整し、修飾CNFの含有濃度を高めることができる。この修飾CNFの含有濃度が高い混合物(MB)も、液状又はペースト状の混合物(MB)とすることができる。混合物(MB)は液状又はペースト状であることで、これを用いる後の工程では、混合物(MB)の分散性が良好である。
(5)修飾CNFの製造方法の利点
修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊することにより、修飾CNFと媒体との混合物(MB)を得ることができる。
得られた修飾CNFは、種々の樹脂に均一に混合することができる。前記解繊の条件は樹脂の性質の違いを考慮する必要が無く、樹脂毎に解繊条件を検討する必要も無い。修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、種々の樹脂と混合する成分として非常に汎用的なマスターバッチ(MB)となる。修飾CNFと前記媒体との混合物は、量産化の見込みが大きく、大幅なコストダウンが図れる。
アルコールを含む媒体は、目的とする組成物に対して許容される薬品類の中から選ぶことができる。本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体を用いることで、修飾セルロース繊維の解繊処理を、安定的に進めることができる。本発明の修飾CNFの製造方法では、アルコールを含む媒体は、解繊後に留去する等して、除去することできる。これにより、修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物中の修飾CNFの含有量を高めることができる。
例えばグラインドミルを用いて、修飾セルロース繊維を機械的に解繊することで、高速で連続的に、しかも効率良く解繊(加工)することできる。
修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物は、マスターバッチ(MB)として、種々の樹脂に混合することが可能である。これにより、修飾CNFが持つ特性を樹脂(樹脂組成物)に十分に付与でき、その結果樹脂が持つ特性を高めることが可能である。
本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は液状の樹脂組成物であることが好ましい。この液状の樹脂組成物は、樹脂に加えて、数種類の成分を混合してなる組成物である。このマスターバッチ(MB)に、必要に応じて好ましい成分を添加することで、樹脂組成物を作製することができる。
本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は、エポキシ樹脂接着剤等、液状の樹脂組成物の機能性を向上させることができる。樹脂組成物の製造現場や、施工で使用される常温硬化樹脂を提供することができる。エポキシ樹脂に修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)を添加することで、成分が均一に分散されたエポキシ樹脂接着剤を製造することができる。このエポキシ樹脂接着剤の硬化物は、修飾CNFにより補強されており、接着力や圧縮力が向上している。
本発明の修飾CNF及びアルコールを含む媒体を含む混合物(MB)中の修飾CNFの含有量を高めることで、この混合物をマスターバッチ(MB)として用いて樹脂組成物に加える際に、樹脂組成物中のアルコールを含む媒体の添加量を抑えながら、樹脂組成物中の修飾CNFの添加量を多くすることが可能である。これにより、本発明の修飾CNFとアルコールを含む媒体との混合物(MB)は、エポキシ樹脂接着剤等、液状の樹脂組成物の機能性を維持でき、これが機能性の向上に繋がる。
このエポキシ樹脂接着剤には、必要に応じて、その他の薬品を添加することができる。常温硬化タイプのエポキシ樹脂接着剤(樹脂組成物)は、一般に液状であり、建築、土木等の多くの現場で使用される。これらの現場での施工に用いられるエポキシ樹脂接着剤の特性を上げることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
修飾CNFの製造方法の結果
(1)アルコールを含む媒体の検討
修飾セルロース繊維(エステル化修飾パルプ)2重量%とアルコールを含む媒体98重量%とを、予備混合機で混合して混合液を作成した。
修飾セルロース繊維(エステル化修飾パルプ):変性パルプ(T-NP101)
混合物中にエステル化修飾パルプは2重量%含まれる。
グラインドミルを用いて解繊した。
マスコロイダー MKCA6-3 砥石:GC6-80標準
解繊後の写真(1,000倍)を示す。
アルコールを含む媒体の種類を変えて、つまり、媒体中に含まれるアルコールの種類を変えて、各種媒体中で修飾セルロース繊維を解繊することで、修飾CNFを1μm以下(ナノレベル)まで解繊することができた。純度良く修飾CNFが生成していた。本発明の修飾CNFの製造方法によれば、1μm以下(ナノレベル)の修飾CNFを、純度良く調製することが可能である。アルコールを含む媒体を用い、修飾セルロース繊維、良好に解繊することが可能である。
(2)パルプの検討
未修飾パルプを用いて、解繊実験を行った。参考例として、プロセスオイル中で、未修飾パルプ(KCフロック)を解繊し、解繊状態を確認した。グラインドミルを用いて解繊した。解繊後の写真(1,000倍)を示す。
未修飾パルプは、粉砕された(長さ10〜30μm)。
(3)アルコールと蒸留水との混合割合の検討
アルコールを含む媒体として、アルコールと蒸留水との混合割合(アルコール100重量%、90重量%、60重量%、15重量%、及び10重量%)を調整して、解繊状態を確認した。グラインドミルを用いて解繊した。解繊後の写真(1,000倍)を示す。
解繊に用いるアルコールを含む媒体として、アルコールの含有割合を変えて、各種媒体中で修飾セルロース繊維を解繊することで、修飾CNFを1μm以下(ナノレベル)まで解繊することができた。純度良く修飾CNFが生成していた。
(4)パルプ(修飾セルロース繊維)濃度の検討
アルコールを含む媒体に対するエステル化修飾パルプの濃度(パルプ2重量%、5重量%、及び10重量%)を調整して、解繊状態を確認した。これは修飾セルロース繊維とアルコールを含む媒体との合計重量に対する、修飾セルロース繊維の含有量である。グラインドミルを用いて解繊した。解繊後の写真(1,000倍)を示す。
パルプ濃度を変えて、各種媒体中で修飾セルロース繊維を解繊することで、1μm以下(ナノレベル)の修飾CNFを、純度良く調製できた。
本発明の修飾CNFの製造方法によれば、1μm以下(ナノレベル)の修飾CNFを、純度良く調製することが可能である。アルコールを含む媒体を用い、修飾セルロース繊維の含有量を2〜10重量%程度に調整することで、良好に解繊することが可能である。

Claims (12)

  1. 修飾セルロースナノファイバーの製造方法であって、
    (1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊する工程を含み、
    前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、
    ことを特徴とする、製造方法。
  2. 前記修飾セルロース繊維は、セルロース繊維の水酸基がエステル化及びエーテル化からなる群から選ばれる少なくとも一種の方法により修飾された修飾セルロース繊維である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(1)解繊する工程は、修飾セルロース繊維及びアルコールを含む媒体の合計重量に対して、修飾セルロース繊維が1〜60重量%含まれる条件で行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 樹脂組成物の製造方法であって、
    (1)請求項1〜3のいずれかの製造方法で得られる修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物に、樹脂を添加する工程を含む
    ことを特徴とする、製造方法。
  5. 前記樹脂は、エポキシ樹脂である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記(1)樹脂を添加する工程は、樹脂組成物において、修飾セルロースナノファイバーとアルコールを含む媒体との混合物の含有割合を1〜50重量%とし、樹脂の含有割合を50〜99重量%とする条件で行われる、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物であって、
    前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールである、
    ことを特徴とする、混合物。
  8. 前記修飾セルロースナノファイバーは、混合物中に1〜60重量%含まれる、請求項7に記載の混合物。
  9. 修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法であって、
    前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであり、
    (1)混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾セルロースナノファイバーの含有率を5〜60重量%に調整する工程を含む
    ことを特徴とする、濃縮方法。
  10. 前記(1)工程で混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、請求項9に記載の濃縮方法。
  11. 修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物の濃縮方法であって、
    前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、及び、tert-ブチルアルコールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであり、
    (1)修飾セルロース繊維を、アルコールを含む媒体中で解繊し、修飾セルロースナノファイバー及びアルコールを含む媒体を含む混合物を調製する工程、及び、
    (2)工程(1)で得られた混合物中からアルコールを含む媒体を除去し、混合物中の修飾セルロースナノファイバーの含有率を5〜60重量%に調整する工程を含む
    ことを特徴とする、濃縮方法。
  12. 前記(2)工程で混合物中からアルコールを含む媒体を除去することは、混合物中のアルコールを含む媒体を気化させることである、請求項11に記載の濃縮方法。
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