JP6177119B2 - 酸化セルロース繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化セルロース繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、ナノフィラーとして好適に使用し得る酸化セルロース繊維を作製する方法に関する。
従来、有限な資源である石油由来のプラスチック材料が多用されていたが、近年、環境に対する負荷の少ない技術が脚光を浴びるようになり、かかる技術背景の下、天然に多量に存在するバイオマスであるセルロース繊維を用いた材料が注目されている。特にセルロース繊維を樹脂中に分散させ、ナノフィラーとして使用する試みが行われている。ナノフィラーを樹脂中に分散させることで、耐熱性、難燃性の向上、弾性率、ガスバリア性能の強化など、様々な特性の向上が確認されている。
ナノフィラーとしては、一般的にガラス繊維やカーボンナノファイバーなどの研究が盛んに行われている。その中でも、セルロース繊維をミクロフィブリル化した材料は強度が高く、また生分解性が良好で、幅広い分野への応用が期待される。
近年、木材パルプ等の天然セルロース繊維を、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)触媒の下で酸化処理し、得られた酸化セルロース繊維の分散液をミキサー等で解繊処理することにより、従来のナノファイバーと呼ばれる繊維よりもさらに微小な繊維径を有する微細セルロース繊維が得られることが報告されている。本件出願人は、先に、この微細セルロース繊維として、平均繊維径200nm以下且つカルボキシ基含有量0.1〜2mmol/gの微細セルロース繊維を用いて、ポリ乳酸と混合することにより、高い弾性率、引張強度、及び透明性を有する複合材料が得られることを報告している(特許文献1参照)。
また特許文献2においては、耐熱性が良好で、かつ樹脂との密着性、樹脂中への分散性が改善された微細セルロースエステル繊維を提供するため、天然セルロースに、酸触媒としてN−オキシル化合物、及び共酸化剤を作用させ、溶媒中に分散させた後、有機オニウム化合物で処理し、アルキル化剤を反応させてエステル化を行い、微細セルロース繊維の表面を疎水化する手法が報告されている。
また非特許文献1には、TEMPO触媒の下で酸化処理して得られた酸化セルロース繊維を、オクタデシルアミン(ODA)で表面処理することにより疎水化した誘導体が開示されている。
また特許文献3では、セルロース系の繊維原料から、十分に微細化されたナノファイバーを効率よく製造する方法として、セルロース系の繊維原料を湿式で離解し、予備解繊工程を実施した後、蒸煮処理、微細繊維化を行う手法が報告されている。
特開2011−140632号公報 特開2010−59571号公報 特開2008−75214号公報
Richard K. Johnson,et al.,Cellulose,18,1599−1609,2011
微細セルロース繊維の分散性をさらに高めて、特許文献1に開示されている複合材料よりも高い弾性率、及び引張強度を有する複合材料が望まれている。しかし、特許文献2に記載の方法では、アルキル化剤を添加することで、反終品に残存するこれら成分を除去する必要がある。非特許文献1に記載の方法で使用している1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩/N−ヒドロキシスクシンイミド試薬は大変高価で、工業化は困難であると考えられる。特許文献3に記載の方法は、酸化処理を施していないセルロース原料に関するものであり、酸化処理を施しているセルロース原料の分散性に関しては何ら開示していない。
本発明は、樹脂への分散性が高く、樹脂へ分散させることで、引張弾性率を向上し、かつ破断伸度の高い酸化セルロース繊維の製造方法に関する。また、さらに着色の少ない酸化セルロース繊維の製造方法に関する。
本発明は、カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上、3mmol/g以下の酸化セルロース繊維を、水存在下で、100℃以上、250℃以下で加熱し、該セルロース繊維のカルボキシ基含有量を、加熱前の含有量から0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下減少させる、熱変性させた酸化セルロース繊維の製造方法、に関する。
また、本発明は、以下の工程(a)〜(d)を含む、シート状の樹脂成形体の製造方法、に関する。
(a)酸化セルロース繊維を、水存在下、100℃以上、250℃以下で加熱し、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量を、加熱前の含有量から0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下減少させて熱変性させた酸化セルロース繊維を調製する工程
(b)工程(a)で得られた熱変性させた酸化セルロース繊維を溶媒へ微細分散させて酸化セルロース繊維微細分散液を得る工程
(c)工程(b)で得られた酸化セルロース繊維微細分散液を樹脂と混練する工程
(d)工程(c)で得られた混練物をシート化する工程
本発明により製造した酸化セルロース繊維は、樹脂への分散性が高く、樹脂へ分散させることで、引張弾性率を向上し、かつ破断伸度の高いシート状の樹脂成形体を作製することができる。
以下、実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る酸化セルロース繊維の製造方法は、熱変性させた酸化セルロース繊維を製造する工程(a):
(a)酸化セルロース繊維を、水存在下、100℃以上、250℃以下で加熱し、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量を、加熱前の含有量から0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下減少させて熱変性させた酸化セルロース繊維を調製する工程
からなる。
さらに、以下の工程(b)〜(d)を行うことにより、工程(a)で得られた酸化セルロース繊維(熱変性させた酸化セルロース繊維)が混練された樹脂組成物からなるシート状の樹脂成形体が得られる。
(b)工程(a)で得られた熱変性させた酸化セルロース繊維を溶媒へ微細分散させて酸化セルロース繊維微細分散液を得る工程
(c)工程(b)で得られた酸化セルロース繊維微細分散液を樹脂と混練する工程
(d)工程(c)で得られた混練物をシート化する工程
工程(a)で熱変性させて得られた酸化セルロース繊維が、樹脂への分散性が高まり、樹脂へ分散させることで引張弾性率を向上し、かつ破断伸度の高いシート状の樹脂成形体を作成することができる理由は定かではないが、次のように考えている。加熱処理前の酸化セルロース繊維の表面は親水性のカルボキシル基が存在しており、水には良く分散するが樹脂への分散性が低い。そこで、該酸化セルロース繊維に対して特定の熱処理を行うことで、表面のカルボキシル基が一部脱離するために、得られた熱変性された酸化セルロース繊維は疎水側へ傾くことになる。また酸化セルロース繊維に対して、熱を加えることにより、繊維間の水素結合を和らげる効果もあると考えており、これらの効果によって樹脂への分散性が改善されたと考えている。
〔工程(a)〕
工程(a)では、酸化セルロース繊維を、水存在下、100℃以上、250℃以下で加熱して熱変性させることにより、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量を、加熱前のカルボキシ基含有量から0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下減少させる。以下、工程(a)で得られる熱変性させた酸化セルロース繊維を、熱変性酸化セルロース繊維という。
<酸化セルロース繊維>
工程(a)で原料として用いる酸化セルロース繊維は、ピラノース環中の6位炭素のみが酸化されカルボキシ基に変換した構造を有している。例えば、木材パルプ等の天然セルロース繊維を、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)触媒の下で酸化処理することにより得られる。
工程(a)で原料として用いる酸化セルロース繊維は、金属塩型のカルボキシ基を有するものであっても良く、酸型のカルボキシル基(COOH)を有するものであっても良い。工業的な取扱の観点から酸型が好ましく、金属塩型は塩酸等の酸により酸型に変換することが望ましい。なお、かかる酸化セルロース繊維は、公知の方法、例えば、特開2011−140632号公報に記載の方法に従って調製して用いてもよい。
(平均繊維径)
工程(a)で原料として用いる酸化セルロース繊維は、平均繊維径が、均一な繊維径を持つ熱変性酸化セルロース繊維を製造する観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは1.3nm以上、さらに好ましくは1.6nm以上、さらに好ましくは1.8nm以上、よりさらに好ましくは2nm以上である。また、樹脂中に含有させてシート状の樹脂成形体とした時の機械的強度を十分に向上させる観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下、よりさらに好ましくは10nm以下である。また、熱変性酸化セルロース繊維を樹脂に含有させて得られる複合材料の機械的強度を向上させる観点から、平均繊維径は好ましくは1nm以上、200nm以下、より好ましくは1.3nm以上、100nm以下、さらに好ましくは1.6nm以上、50nm以下、さらに好ましくは1.8nm以上、20nm以下、よりさらに好ましくは2nm以上、10nm以下である。該平均繊維径が1nm以上であると、繊維径を揃えることが容易であり、また該平均繊維径が200nm以下であると、工程(a)で得られる熱変性させた酸化セルロース繊維を樹脂に配合した際の機械的強度の向上効果が良好である。なお、酸化セルロースの平均繊維径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
(カルボキシ基含有量)
工程(a)で原料として用いる酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量は、酸化セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の中で、酸塩基滴定されるものの量を意味する。本実施形態においては、前記カルボキシ基含有量は、工程(a)で得られる熱変性させた酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度の観点から、0.1mmol/g以上であり、好ましくは0.4mmol/g以上、より好ましくは0.6mmol/g以上、さらに好ましくは0.8mmol/g以上である。また、酸化セルロース繊維の調製時における洗浄性と収率を向上させる観点から、3mmol/g以下であり、好ましくは2mmol/g以下、より好ましくは1.8mmol/g以下、さらに好ましくは1.6mmol/g以下である。また、カルボキシ基含有量は、熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度並びに酸化セルロース繊維の調製時における洗浄性と収率を向上させる観点から、0.1mmol/g以上、3mmol/g以下であり、好ましくは0.4mmol/g以上、2mmol/g以下、より好ましくは0.6mmol/g以上、1.8mmol/g以下、さらに好ましくは0.8mmol/g以上、1.6mmol/g以下である。その詳細な理由は明確ではないが、工程(a)で原料として用いる酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量が上記範囲内であれば、工程(a)において得られる熱変性酸化セルロース繊維が、酸化セルロース繊維の微細構造を保持し、かつ加熱処理後に樹脂中への分散性を向上させるのに適した状態になると考えられる。そのため、当該熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体は引っ張り強度及び破断伸度が高いと考えられる。なお、本発明で用いられる酸化セルロース繊維に、カルボキシ基含有量がかかる範囲外である酸化セルロース繊維が、意図せずに不純物として含まれることもあり得る。なお、酸化セルロースのカルボキシ基含有量は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
<溶媒>
工程(a)では溶媒として水を使用する。水には、メタノール、エタノール、プロパノール等の好ましくは炭素数1以上、6以下、より好ましくは炭素数1以上、3以下のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3以上、6以下のケトン;直鎖又は分岐状の炭素数1以上、6以下の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が混合されていても構わない。これらの水以外の溶媒の含有量は、水を含めた全溶媒中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であればよい。尚、溶媒は液体だけでなく、蒸気として供給することも可能である。
<加熱温度>
工程(a)では酸化セルロース繊維を100℃以上、250℃以下の温度範囲内で加熱する。工程(a)における加熱温度は、処理効率並びに工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度の観点から、100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上である。また、酸化セルロース繊維の分解防止の観点から、250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。また、同様の観点から、工程(a)における加熱温度は、100℃以上、250℃以下であり、好ましくは120℃以上、200℃以下、より好ましくは140℃以上、180℃以下である。
<処理圧力>
工程(a)における処理圧力は、処理効率並びに工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度の観点から、好ましくは使用する溶媒の飽和蒸気圧以上である。また、工程(a)における処理圧力は、好ましくは0.1MPa[gage]以上、より好ましくは0.2MPa[gage]以上、さらに好ましくは0.3MPa[gage]以上であり、好ましくは10MPa[gage]以下、より好ましくは5MPa[gage]以下、さらに好ましくは3MPa[gage]以下、さらに好ましくは1MPa[gage]以下である。なお、工程(a)における処理圧力は密閉条件で行う場合は温度と溶媒の蒸気圧に応じた値となる。
<処理時間>
工程(a)における処理時間は、処理効率並びに工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度の観点から、好ましくは1分間以上であり、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下である。なお、処理時間とは、加熱温度に到達した時刻を0時間として、当該加熱温度を維持している時間を表すこととする。また、加熱処理が不連続で行われる場合には、処理時間とは前記加熱温度を維持している時間の合計時間を意味する。
<攪拌>
工程(a)において、攪拌をせずに加熱処理を行ってもなんら問題はないが、攪拌を行うことで加熱処理の均一性を保つことができ、製品の品質を向上することができるため、適切な攪拌を行うことができる。攪拌の形態は特に制限は無く、一般的に用いられる混合攪拌装置を使用することができる。例えば、攪拌羽根やマグネティックスターラー等による攪拌を用いることができる。攪拌羽根に関しては、公知のものを使用でき、例えばタービン翼、プロペラ翼、スクリュー翼、ディスクタービン翼、ファウドラー翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などである。固形分濃度が高い場合には処理液の流動性が低く高粘度となるため、リボンミキサー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー等の攪拌装置を利用することが好ましい。
<固形分濃度>
工程(a)において、処理時の固形分濃度の下限値は、生産性の観点から、好ましくは0.1質量%、より好ましくは1質量%、さらに好ましくは5質量%である。上限値は、出発原料に含まれる水分除去の負荷を低減できる観点から、好ましくは50質量%、より好ましくは40質量%、さらに好ましくは30質量%、さらに好ましくは15質量%である。なお、固形分濃度とは、処理液全体の内の処理前の酸化セルロース繊維の濃度(質量%)を意味する。
<加熱後の酸化セルロース繊維>
(カルボキシ基減少量)
工程(a)における酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量の減少量は、工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度の観点から、0.05mmol/g以上、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.15mmol/g以上である。また、酸化セルロース繊維の分解防止の観点から、0.7mmol/g以下、好ましくは0.65mmol/g以下である。また、同様の観点から、工程(a)における前記カルボキシ基含有量の減少量は、0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下であり、好ましくは0.1mmol/g以上、0.65mmol/g以下、より好ましくは0.15mmol/g以上、0.65mmol/g以下である。なお、前記減少量は、加熱温度の上昇及び/又は処理時間の増加により多く調整することが可能であり、加熱温度の低下及び/又は処理時間の減少により少なく調整することが可能である。本発明において、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量の減少量は、酸化セルロース繊維の熱変性の程度、即ち、熱負荷の程度を表す指標の一つである。
(カルボキシ基含有量)
工程(a)における加熱後の酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量は、酸化セルロース繊維の分解防止の観点から、好ましくは0.05mmol/g以上、より好ましくは0.1mmol/g以上、さらに好ましくは0.2mmol/g以上である。また、工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維を含有するシート状の樹脂成形体の引っ張り強度及び破断伸度の観点から、好ましくは2.95mmol/g以下、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。また、同様の観点から、工程(a)における加熱後のカルボキシ基含有量は、好ましくは0.05mmol/g以上、2.95mmol/g以下、より好ましくは0.1mmol/g以上、2.95mmol/g以下、さらに好ましくは0.2mmol/g以上、2.0mmol/g以下、さらに好ましくは0.2mmol/g以上、1.5mmol/g以下である。
〔洗浄工程〕
工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維は、処理溶媒中にてブロック状で分散又は凝集分散した状態で得られ、加熱処理により脱離した低分子のカルボン酸やその他着色成分が含まれる。よって、そのまま固液分離を行って次工程を行ってもよいが、洗浄工程を行って純度の高い熱変性酸化セルロース繊維を得ることもできる。
洗浄工程としては、加熱処理における溶媒の種類、生成物の着色の程度、洗浄の程度により最適な方法を採用することができる。例えば、前記工程(a)で得られる熱変性セルロース繊維の分散液を固液分離し、得られた固形分を洗浄液を用いて洗浄を行うことができる。ここで固液分離としては、濾過、遠心分離、圧搾等が挙げられ、設備の簡便性や洗浄操作の容易さから濾過が好ましい。具体的には、前記工程(a)で得られる熱変性セルロース繊維の分散液から固形分をフィルター上に濾別し、フィルター上の固形分に対して、洗浄液として水;メタノール、エタノール、プロパノール等の好ましくは炭素数1以上、6以下、より好ましくは炭素数1以上、3以下のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3以上、6以下のケトン;直鎖又は分岐状の炭素数3以上、6以下の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素を通液させることによる濾過洗浄を行うことができる。また、濾過性と着色物質の除去しやすさから、水と、炭素数が1以上、6以下のアルコール、炭素数が3以上、6以下のケトン、直鎖若しくは分岐状の炭素数が3以上、6以下の飽和炭化水素若しくは不飽和炭化水素、及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる溶媒との混合溶媒での濾過が好ましく、水とエタノール、アセトン、イソプロパノール等との混合溶媒での濾過がより好ましい。混合溶媒における水の割合としては、着色物質の除去のしやすさの観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。そして、濾過性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。また、着色物質の除去のしやすさの観点から、1〜90質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、25〜90質量%がさらに好ましい。また、濾過性の観点から、1〜90質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、1〜30質量%がさらに好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。濾過性と着色物質の除去のしやすさの観点から、1〜90質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。また、工程(a)で得られる熱変性酸化セルロース繊維の分散液から固形分をフィルター上に濾別し、濾別した固形分を上記洗浄液中に分散させて、分散液から固形分をフィルター上に濾別する操作を繰り返すこともできる。着色物質の除去のしやすさの観点から、工程(a)で得られる熱変性セルロース繊維の分散液からフィルター上に濾別した固形分を、上記洗浄液中に分散させて固形分をフィルター上に濾別する操作を1回又は2回以上繰り返すことにより洗浄を行うことが好ましい。
洗浄時の洗浄液の使用量は、濾過性、操作性の観点から、固形分1質量部に対して好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。また、経済性の観点から、固形分1質量部に対して好ましくは1000質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。
また次工程において、水、アルコールの混入が樹脂への加水分解の進行を促進することが懸念されるため、最後にアセトン等、若しくは次工程で使用する分散媒への置換を行うことが望ましい。
〔工程(b)〕
工程(b)では、工程(a)で得られた熱変性酸化セルロース繊維をそのまま、又は前記洗浄工程の後、溶媒中に微細分散する。ここで得られる微細分散液を、工程(c)にて樹脂と混練することで、熱変性酸化セルロース繊維が樹脂中で分散され、引張弾性率及び破断伸度の高いシート状の樹脂成形体が得られると考えられる。なお、ここでいう微細分散とは、熱変性酸化セルロース繊維を溶媒中で剪断処理することで、凝集物を繊維ごとに分散させ、熱変性酸化セルロース繊維の微細分散液を得ることを意味する。
<溶媒>
工程(b)における分散媒としての溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール等の好ましくは炭素数1以上、6以下、より好ましくは炭素数1以上、3以下のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3以上、6以下のケトン;直鎖又は分岐状の炭素数3以上、6以下の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;炭素数2以上、5以下の低級アルキルエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、コハク酸メチルトリグリコールジエステル、ビス(メチルトリエチレングリコール)サクシネート等の樹脂の可塑剤等が例示される。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、微細化処理の操作性の観点から、水、炭素数1以上、6以下のアルコール、炭素数3以上、6以下のケトン、炭素数2以上、5以下の低級アルキルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、コハク酸メチルトリグリコールジエステル、ビス(メチルトリエチレングリコール)サクシネート等の樹脂の可塑剤が好ましく、その後樹脂中へ分散させる工程へ移行する観点から、コハク酸メチルトリグリコールジエステル、ビス(メチルトリエチレングリコール)サクシネート等がより好ましい。
溶媒の使用量は、熱変性酸化セルロース繊維を分散できる有効量であればよいが、熱変性酸化セルロース繊維の分散性向上の観点から、熱変性酸化セルロース繊維1質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、そして得られるシートの物性の観点から、好ましくは500質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。
<分散装置>
工程(b)の微細分散処理で使用する装置としては公知の分散機が好適に使用される。例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。
なかでも、高圧ホモジナイザーが分散処理装置として好ましい。このタイプの装置としては吉田機械興業社製のナノヴェイタがあげられる。高圧ホモジナイザーによる分散強度の度合いは、圧送する圧力と分散液を通過させる回数(パス回数)によって決定される。圧送圧力は、好ましくは30MPa[gage]以上、より好ましくは100MPa[gage]以上、さらに好ましくは150MPa[gage]以上であり、好ましくは300MPa[gage]以下、より好ましくは250MPa[gage]以下、さらに好ましくは200MPa[gage]以下である。パス回数は、好ましくは1回以上、より好ましくは2回以上、さらに好ましくは5回以上であり、好ましくは20回以下、より好ましくは15回以下、さらに好ましくは10回以下である。
〔工程(c)〕
工程(c)では工程(b)で得られた酸化セルロース繊維微細分散液を樹脂と混練し樹脂組成物の作製を行う。使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂が主に用いられる。熱変性酸化セルロース繊維の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、得られる樹脂組成物の機械的強度の観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.08質量部以上である。また、得られる樹脂組成物の機械的強度の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下である。また、好適な含有量範囲としては、好ましくは0.01質量部以上、5質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上、1質量部以下、さらに好ましくは0.08質量部以上、0.5質量部以下、さらに好ましくは0.08質量部以上、0.2質量部以下である。
<ポリエステル樹脂>
ポリエステル樹脂としては、特に限定はないが、生分解性を有していることが好ましく、生分解性ポリエステル樹脂が好ましい。具体的には、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル樹脂;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル樹脂;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と上記の脂肪族ポリエステル樹脂あるいは脂肪族芳香族コポリエステル樹脂との混合物等が挙げられる。これらのなかでも、加工性、経済性、入手性、及び物性に優れることから、ポリブチレンサクシネート及びポリ乳酸樹脂が好ましく、ポリ乳酸樹脂がより好ましい。なお、本明細書において「生分解性」とは、自然界において微生物によって低分子化合物に分解され得る性質のことであり、具体的には、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性のことを意味する。
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、Nature Works社製:商品名 Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D、トヨタ自動車社製:商品名 エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等)の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂として、樹脂組成物の強度と可撓性の両立、耐熱性及び透明性の向上の観点から、ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を用いてもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂は、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるポリ乳酸樹脂であり、ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90モル%以上100モル%以下、D体を含むその他の成分0モル%以上10モル%以下を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90モル%以上100モル%以下、L体を含むその他の成分0モル%以上10モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の質量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90以上、90/10以下が好ましく、20/80以上、80/20以下がより好ましく、40/60以上、60/40以下がさらに好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂以外の生分解性ポリエステル樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂とポリ乳酸樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂における、ポリ乳酸樹脂の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%である。
また、ポリエステル樹脂の含有量は、樹脂組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
工程(c)で得られる樹脂組成物には、前記ポリエステル樹脂及び熱変性酸化セルロース繊維以外に、さらに、可塑剤、結晶核剤を含有することができる。
<可塑剤>
可塑剤としては、従来からの可塑剤であるフタル酸エステルやコハク酸エステル、アジピン酸エステルといった多価カルボン酸エステル、グリセリン等脂肪族ポリオールの脂肪酸エステル等が挙げられる。なかでも、分子内に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したアルコールであるエステル化合物が好ましく、具体的には、特開2008−174718号公報及び特開2008−115372号公報に記載の可塑剤が例示される。なお、本発明では、熱変性酸化セルロース繊維を良好に分散させる観点から、好ましくは熱変性酸化セルロース繊維の分散媒として可塑剤と予め熱変性酸化セルロース繊維とを混合させて含有させる。
可塑剤の含有量は、樹脂組成物からなるシート状の樹脂成形体の耐熱性、透明性、成形性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、50質量部以下、より好ましくは5質量部以上、30質量部以下、さらに好ましくは6質量部以上、15質量部以下である。
<結晶核剤>
結晶核剤としては、天然又は合成珪酸塩化合物、酸化チタン、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ソーダ等の金属塩やカオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、マイカ等の無機系結晶核剤の他、エチレンビス脂肪酸アミドやプロピレンビス脂肪酸アミド、ブチレンビス脂肪酸アミド等や、フェニルホスホン酸金属塩等の有機系結晶核剤が挙げられる。これらのなかでも、透明性向上の観点から、有機系結晶核剤が好ましく、アルキレンビス脂肪酸アミド又はヒドロキシアルキレンビス脂肪酸アミドがより好ましく、ヒドロキシアルキレンビス脂肪酸アミドがさらに好ましい。また、透明性向上の観点からアルキレンビス脂肪酸アミド又はヒドロキシアルキレンビス脂肪酸アミドのアルキレン基はエチレン基、プロピレン基又はブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。具体的には、エチレンビスステアリン酸アミドやエチレンビスオレイン酸アミド等のエチレンビス脂肪酸アミド、プロピレンビス脂肪酸アミド、ブチレンビス脂肪酸アミド等のアルキレンビス脂肪酸アミド、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド等のアルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
結晶核剤の含有量は、シート状の樹脂成形体の透明性向上の観点から、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、1.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上、0.5質量部以下がより好ましい。
工程(c)で得られた樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、加水分解抑制剤、難燃剤、酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。
工程(c)で得られた樹脂組成物は、ポリエステル樹脂及び熱変性酸化セルロース繊維を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、ポリエステル樹脂及び熱変性酸化セルロース繊維、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。なお、樹脂組成物を調製する際にポリエステル樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。
溶融混練温度は、樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上する観点から、ポリエステル樹脂の融点(Tm)以上であり、好ましくはTm℃以上、Tm+100℃以下の範囲であり、より好ましくはTm℃以上、Tm+50℃以下の範囲である。例えば、好ましくは170℃以上、240℃以下であり、より好ましくは170℃以上、220℃以下であり、さらに好ましくは170℃以上、190℃以下である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15秒間以上900秒間以下が好ましい。
得られた溶融混練物は、結晶化速度をより向上させる観点から、溶融混練後に、溶融混練物を冷却してもよい。冷却温度は、10℃以上、120℃以下が好ましく、10℃以上、100℃以下がより好ましい。冷却時間は、2秒間以上、90秒間以下が好ましく、5秒間以上、60秒間以下がより好ましい。なお、該冷却に際して、溶融混練物を公知の方法に従って成形してから冷却してもよい。
〔工程(d)〕
工程(d)では工程(c)で得られた樹脂組成物をシート化して、シート状の樹脂成形体の作製を行う。
<シート状の樹脂成形体>
本発明のシート状の樹脂成形体は、工程(c)で得られた樹脂組成物を押出成形、射出成形、又はプレス成形することによって調製することができる。
押出成形では、加熱した押出機に充填された本発明の樹脂組成物を溶融させた後にTダイから押出すことで、シート状の樹脂成形体を得ることができる。また、このシート状の樹脂成形体を直ぐに冷却ロールに接触させ、シートを樹脂組成物のTg以下に冷却することでシートの結晶性を調整し、その後、冷却ロールから引き離し、それらを巻き取りロールにて巻き取り、シート状の樹脂成形体としてもよい。一方、シートの結晶化度を向上する観点からは、上記シート成形工程において、シートをTg以下に冷却した後に、Tg+10℃〜Tg+80℃に加熱した金属ロールに接触させるか、及び/又は赤外線ヒーター等の装置でシート温度がTg+10℃〜Tg+80℃の温度になるように加熱し、アニーリングを行うことが好ましい。なお、押出機に充填する際に、本発明の樹脂組成物を構成する原料、例えば、ポリエステル樹脂及び熱変性酸化セルロース繊維、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を充填して溶融混練後、押出し成形してもよい。
押出機の温度は、樹脂組成物を均一に混合し、且つポリエステル樹脂の劣化を防止する観点から、170℃以上、240℃以下が好ましく、175℃以上、220℃以下がより好ましく、180℃以上、210℃以下がさらに好ましい。また冷却ロールの温度は、樹脂組成物の結晶性を調整する観点から、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。また、アニーリングを行う場合のシート温度は、具体的には50〜120℃が挙げられ、透明性の観点から60〜110℃が好ましく、65〜105℃がより好ましく、70〜100℃がさらに好ましい。加熱時間は高い結晶化度を得る観点から、1〜30秒が好ましく、3〜25秒がより好ましく、5〜20秒がさらに好ましい。
また押出速度は、樹脂組成物の結晶性を調整する観点から、0.5m/分以上、200m/分以下が好ましく、1m/分以上、150m/分以下がより好ましく、2m/分以上、100m/分以下がさらに好ましい。
射出成形では、例えば、本発明の樹脂組成物を、シリンダー温度を好ましくは180℃以上、220℃以下、より好ましくは180℃以上、210℃以下に設定した射出成形機を用いて、所望の形状の金型内に充填し、シート状に成形することができる。
プレス成形では、例えば、シート形状を有する枠で本発明の樹脂組成物を囲みプレス成形して調製することができる。
プレス成形の温度と圧力としては、例えば、好ましくは170℃以上、240℃以下の温度、5MPa[abs]以上、30MPa[abs]以下の圧力の条件下、より好ましくは175℃以上、220℃以下の温度、10MPa[abs]以上、25MPa[abs]以下の圧力の条件下、さらに好ましくは180℃以上、200℃以下の温度、15MPa[abs]以上、25MPa[abs]以下の圧力の条件下でプレスすることができる。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、1分間以上、10分間以下が好ましく、1分間以上、5分間以下がより好ましく、1分間以上、3分間以下がさらに好ましい。
また前記条件でプレスした後直ぐに、好ましくは0℃以上、40℃以下の温度、0.1MPa[abs]以上、30MPa[abs]以下の圧力の条件下、より好ましくは10℃以上、30℃以下の温度、0.2MPa[abs]以上、10MPa[abs]以下の圧力の条件下、さらに好ましくは10℃以上、20℃以下の温度、0.3MPa[abs]以上、1MPa[abs]以下の圧力の条件下でプレスして冷却することが好ましい。この温度条件によるプレスにより、本発明の樹脂組成物をそのTg以下に冷却して結晶性を調整するため、プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、1分間以上、10分間以下が好ましく、1分間以上、7分間以下がより好ましく、1分間以上、5分間以下がさらに好ましい。
シート状の樹脂成形体は、加工性の観点から、その厚さは0.1mm以上、1.5mm以下が好ましく、0.2mm以上、1.4mm以下がより好ましく、0.3mm以上、1.2mm以下がさらに好ましい。
かくして得られた本発明のシート状の樹脂成形体は、引張弾性率及び破断伸度に優れ、各種用途、例えば、各種日用品包装用フィルム(パウチ、ピロー)、シート(ブリスターパック)に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。
〔酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量の測定方法〕
乾燥質量0.3gの酸化セルロース繊維を100mLビーカーにとり、脱イオン水又はメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、酸化セルロース繊維が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量を算出する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/酸化セルロース繊維の質量(0.3g)
〔酸化セルロース繊維のカルボキシ基減少量の算出方法〕
前記のカルボキシ基含有量の測定により測定された原料の酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量をカルボキシ基含有量(1)、熱変性された酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量をカルボキシ基含有量(2)として、次式により、固形分1gあたりのカルボキシ基の減少量(以下カルボキシ基減少量)を算出する。
カルボキシ基減少量(mmol/g)=カルボキシ基含有量(1)(mmol/g)−カルボキシ基含有量(2)(mmol/g)
〔酸化セルロース繊維の平均繊維径〕
酸化セルロース繊維又は熱変性酸化セルロース繊維に水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Probe (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定する。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、酸化セルロース繊維又は熱変性酸化セルロース繊維を5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。
酸化セルロース繊維の調製例1−1(天然セルロースにN−オキシル化合物を作用させて得られるカルボキシ基含有酸化セルロース繊維の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(WEST FRASER MILLS LTD社製、商品名「Hinton Hi−Brite」、カナダ標準濾水度(CSF)750ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPO触媒としては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムは、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナトリウムは、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gに9900gの脱イオン水を加えて攪拌した。その後、さらに該漂白クラフトパルプ繊維100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッド(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持しながら、反応を120分行った。水酸化ナトリウムの滴下を停止し反応を終了し、酸化セルロース繊維の分散液を得た。次に得られた酸化セルロース繊維を、脱イオン水を用いて十分に洗浄し、次いでガラスフィルター(孔径 平均約40μm)を用いて吸引濾過により脱水処理を行った。なお、酸化セルロース繊維の洗浄は、洗浄脱水された水の電気伝導度が0.3mS/m以下、さらにpHが5.5程度になるまで繰り返し行った。
得られた酸化セルロース繊維(有効分20質量%、含水率80質量%)に9900gの脱イオン水を加えて十分に攪拌した後、1M塩酸を滴下して攪拌をしながらpHを2に保持しつつさらに30分攪拌を行った。これにより、酸化セルロース繊維中のカルボキシ基はナトリウム塩型から酸型のカルボキシル基に変換させた。
次に脱イオン水を用いて得られた酸化セルロース繊維を十分に洗浄し、次いでガラスフィルター(孔径 平均約40μm)を用いて吸引濾過により脱水処理を行った。なお、酸化セルロース繊維の洗浄は、洗浄脱水された水の電気伝導度が0.3mS/m以下、さらにpHが5.5程度になるまで繰り返し行った。この酸化セルロース繊維の有効分は30質量%(含水率70質量%)、カルボキシ基含有量は1.36mmol/g、平均繊維径は3nmであった。以下、この酸型に変換された酸化セルロース繊維を酸型酸化セルロース繊維(1−1)と呼称する。
酸化セルロース繊維の調製例1−2(天然セルロースにN−オキシル化合物を作用させて得られるカルボキシ基含有酸化セルロース繊維の分散液)
原料は、酸化セルロース繊維の調製例1−1と同じものを用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gに9900gの脱イオン水を加えて十分に攪拌した。その後、さらに該漂白クラフトパルプ繊維100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム14.2質量%をこの順で添加した。pHスタッド(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持しながら、反応を120分行った。水酸化ナトリウムの滴下を停止し反応を終了し、酸化セルロース繊維の分散液を得た。次に得られた酸化セルロース繊維を、脱イオン水を用いて十分に洗浄し、次いでガラスフィルター(孔径 平均約40μm)を用いて吸引濾過により脱水処理を行った。なお、酸化セルロース繊維の洗浄は、洗浄脱水された水の電気伝導度が0.3mS/m以下、さらにpHが5.5程度になるまで繰り返し行った。
得られた酸化セルロース繊維(有効分20質量%、含水率80質量%)に9900gの脱イオン水を加えて十分に攪拌した後、1M塩酸を滴下して攪拌をしながらpHを2に保持しつつさらに30分攪拌を行った。これにより、酸化セルロース繊維中のカルボキシ基はナトリウム塩型から酸型のカルボキシル基に変換させた。
次に脱イオン水を用いて得られた酸化セルロース繊維を十分に洗浄し、次いでガラスフィルター(孔径 平均約40μm)を用いて吸引濾過により脱水処理を行った。なお、酸化セルロース繊維の洗浄は、洗浄脱水された水の電気伝導度が0.3mS/m以下、さらにpHが5.5程度になるまで繰り返し行った。この酸化セルロース繊維の有効分は36質量%(含水率64質量%)、カルボキシ基含有量は0.66mmol/g、平均繊維径は3nmであった。以下、この酸型に変換された酸化セルロース繊維を酸型酸化セルロース繊維(1−2)と呼称する。
酸化セルロース繊維の調製例1−3(天然セルロースにN−オキシル化合物を作用させて得られるカルボキシ基含有酸化セルロース繊維の分散液)
原料は、酸化セルロース繊維の調製例1−1と同じものを用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gに9900gの脱イオン水を加えて十分に攪拌した。その後、さらに該漂白クラフトパルプ繊維100gに対し、さらにTEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム36.3質量%をこの順で添加した。pHスタッド(東亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持しながら、反応を120分行った。水酸化ナトリウムの滴下を停止し反応を終了し、酸化セルロース繊維の分散液を得た。次に得られた酸化セルロース繊維を、脱イオン水を用いて十分に洗浄し、次いでガラスフィルター(孔径 平均約40μm)を用いて吸引濾過により脱水処理を行った。なお、酸化セルロース繊維の洗浄は、洗浄脱水された水の電気伝導度が0.3mS/m以下、さらにpHが5.5程度になるまで繰り返し行った。
得られた酸化セルロース繊維(有効分20質量%、含水率80質量%)に9900gの脱イオン水を加えて十分に攪拌した後、1M塩酸を滴下して攪拌をしながらpHを2に保持しつつさらに30分攪拌を行った。これにより、酸化セルロース繊維中のカルボキシ基はナトリウム塩型から酸型のカルボキシル基に変換させた。
次に脱イオン水を用いて得られた酸化セルロース繊維を十分に洗浄し、次いでガラスフィルター(孔径 平均約40μm)を用いて吸引濾過により脱水処理を行った。なお、酸化セルロース繊維の洗浄は、洗浄脱水された水の電気伝導度が0.3mS/m以下、さらにpHが5.5程度になるまで繰り返し行った。この酸化セルロース繊維の有効分は27質量%(含水率73質量%)、カルボキシ基含有量は1.70mmol/g、平均繊維径は3nmであった。以下、この酸型に変換された酸化セルロース繊維を酸型酸化セルロース繊維(1−3)と呼称する。
可塑剤の調製例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(mgKOH/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル(以下、可塑剤Aと記す)を得た。得られたジエステルは、酸価0.2(mgKOH/g)、鹸化価276(mgKOH/g)、水酸基価1以下(mgKOH/g)、色相APHA200であった。
なお、酸価は、滴定溶媒としてトルエン/エタノール=2/1(体積比)を用いる他はJIS K 0070の試験方法に従って分析を行い求めた。また水酸基価はアセチル化試薬として無水酢酸/ピリジン=1/4(体積比)を用い、添加量を3mLとする他はJIS K 0070の試験方法に従って分析を行い求めた。またケン化価は水浴の温度を95℃に、加熱温度を1時間にする他は、JIS K 0070の試験方法に従って分析を行い求めた。
実施例1−1
酸型酸化セルロース繊維(1−1)16.7g(固形分5g)と脱イオン水33.3gを金属製圧力機器(耐圧硝子工業株式会社製、商品名:「ポータブルリアクターTVS−N2型」)へ入れ、0.4MPa[gage]の窒素ガスで金属製圧力機器内部を加圧した後、大気圧(101kPa[abs])に戻した(以下、この操作を窒素置換という)。さらに4回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で180℃に加熱したオイルバスで槽内温度が150℃となるまで加熱し、その後槽内温度が150℃を維持するようにオイルバス温度を調整して5時間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。
冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、アセトンを120g加えて攪拌した後、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、型番:「T020A047A」を使用)を用いて濾過分離を行った。その後濾過残渣に対して90質量%アセトン水溶液120gを加えて攪拌し懸濁させて、固形分を濾別する操作を2回行った。さらに、フィルター上の濾過残渣に対して、アセトン120gを通液する操作(以下、置換処理という)を2回行い、フィルター上に黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を21.2g得た。その内4.3gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.86gであった(固形分全体量4.2g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基量を測定すると1.09mmol/gであった。
実施例1−2
酸型酸化セルロース繊維(1−1)16.7g(固形分5g)と脱イオン水33.3gを金属製圧力機器へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で210℃に加熱したオイルバスで槽内温度が180℃となるまで加熱し、その後槽内温度が180℃を維持するようにオイルバス温度を調整して1分間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、実施例1−1に示した洗浄工程を行い、黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−2)を37.5g得た。その内5.2gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.74gであった(固形分全体量5.3g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基含有量を測定すると1.21mmol/gであった。
実施例1−3
酸型酸化セルロース繊維(1−1)16.7g(固形分5g)と脱イオン水33.3gを金属製圧力機器へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で150℃に加熱したオイルバスで槽内温度が120℃となるまで加熱し、その後槽内温度が120℃を維持するようにオイルバス温度を調整して5時間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、実施例1−1に示した洗浄工程を行い、黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−3)を27.6g得た。その内5.6gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.97gであった(固形分全体量4.8g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基含有量を測定すると1.27mmol/gであった。
実施例1−4
酸型酸化セルロース繊維(1−1)16.7g(固形分5g)と脱イオン水33.3gを金属製圧力機器へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で180℃に加熱したオイルバスで槽内温度が150℃となるまで加熱し、その後槽内温度が150℃を維持するようにオイルバス温度を調整して10時間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、実施例1−1に示した濾過洗浄工程を行い、黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−4)を26.0g得た。その内6.1gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.88gであった(固形分全体量3.8g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基含有量を測定すると1.00mmol/gであった。
実施例1−5
酸型酸化セルロース繊維(1−2)13.7g(固形分5g)と脱イオン水36.3gを金属製圧力機器へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で180℃に加熱したオイルバスで槽内温度が150℃となるまで加熱し、その後槽内温度が150℃を維持するようにオイルバス温度を調整して5時間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、実施例1−1に示した濾過洗浄工程を行い、黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−5)を26.3g得た。その内5.3gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.89gであった(固形分全体量4.5g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基含有量を測定すると0.23mmol/gであった。
実施例1−6
酸型酸化セルロース繊維(1−3)18.3g(固形分5g)と脱イオン水31.7gを金属製圧力機器へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で180℃に加熱したオイルバスで槽内温度が150℃となるまで加熱し、その後槽内温度が150℃を維持するようにオイルバス温度を調整して5時間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、実施例1−1に示した濾過洗浄工程を行い、黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−6)を24.4g得た。その内4.9gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.72gであった(固形分全体量3.6g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基含有量を測定すると1.08mmol/gであった。
比較例1−1
酸型酸化セルロース繊維(1−1)16.7g(固形分5g)と脱イオン水33.3gを金属製圧力機器へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後無攪拌状態で210℃に加熱したオイルバスで槽内温度が180℃となるまで加熱し、その後槽内温度が180℃を維持するようにオイルバス温度を調整して5時間反応した(反応時の圧力は表1に示す)。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、実施例1−1に示した洗浄工程を行い、黒褐色のアセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−7)を13.17g得た。その内3.0gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.52gであった(固形分全体量2.3g)。凍結乾燥品を用いてカルボキシ基含有量を測定すると0.54mmol/gであった。
比較例1−2
酸型酸化セルロース繊維(1−1)20.72g(固形分6.2g)にアセトンを450g加えて攪拌した後、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、型番:「T020A047A」を使用)を用いて濾過分離を行った。同様の操作をさらに2回行い、フィルター上に白色のアセトンを含浸した酸化セルロース繊維(1−8)を75.5g得た。その内4.5gを凍結乾燥し、固形分量を確認した所0.40gであった(固形分全体量6.7g)。
<酸化セルロース繊維物性>
上記実施例、比較例で得られた熱変性酸化セルロース繊維及び酸化セルロース繊維の物性を表1に示す。
Figure 0006177119
シート状の樹脂成形体の製造例1−1
アセトンを含浸した熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を固形分が1gとなるように可塑剤A100gへ入れて攪拌し、得られた混合溶液を、NMII−L200−D10(吉田機械興業社製、商品名:「ナノヴェイタ」)を用いて、200MPa[gage]で湿式分散処理を10パス行い、酸化セルロース繊維可塑剤微細分散液を得た。
酸化セルロース繊維可塑剤微細分散液5.05gと、ポリ乳酸樹脂(Nature works製、商品名:NW4032D)50g(固形分換算)、結晶核剤(日本化成社製、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、商品名:スリパックスH)0.2gを順次添加し、混練機(東洋精機社製、商品名:ラボプラストミルModel 30C150)を用いて、回転数50rpm、180℃で10分間混練して樹脂組成物を得た。
該樹脂組成物を、プレス機を用いて、190℃下で、0.5MPa[abs]で2分、20MPa[abs]で2分、次いで、15℃下、0.5MPa[abs]で1分(以上、ここまでは東洋精機社製、商品名「ラボプレス(Labo Press P2−30T)を使用)、80℃下、0.1MPa[abs]で2分(東洋精機社製、商品名「Mini Test Press−10」を使用)、さらに、15℃下、0.5MPa[abs]で30秒(東洋精機社製、商品名「ラボプレス(Labo Press P2−30T)を使用)の条件で順次プレスし、厚さ約0.4mmのシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−2
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、実施例1−2で得られた熱変性酸化セルロース繊維(1−2)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−3
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、実施例1−3で得られた熱変性酸化セルロース繊維(1−3)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−4
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、実施例1−4で得られた熱変性酸化セルロース繊維(1−4)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−5
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、実施例1−5で得られた熱変性酸化セルロース繊維(1−5)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−6
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、実施例1−6で得られた熱変性酸化セルロース繊維(1−6)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−7
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、比較例1−1で得られた熱変性酸化セルロース繊維(1−7)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−8
熱変性酸化セルロース繊維(1−1)を、比較例1−2で得られた酸化セルロース繊維(1−8)に変更したこと以外は製造例1−1と同様の方法でシート状の樹脂成形体を作製した。
シート状の樹脂成形体の製造例1−9
可塑剤A5.00gと、ポリ乳酸樹脂(Nature works製、商品名:NW4032D)50g(固形分換算)、結晶核剤(日本化成社製、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、商品名:スリパックスH)0.2gを順次添加し、混練機(東洋精機社製、商品名:ラボプラストミルModel 30C150)を用いて、回転数50rpm、180℃で10分間混練して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を製造例1−1と同様にプレス成形して、厚さ約0.4mmのシート状の樹脂成形体を作製した。
得られたシート状の樹脂成形体の特性を以下の試験例1−1に基づいて評価した。結果を表2に示す。
試験例1−1<引張弾性率・破断伸度>
JIS K7113に準拠し、厚さ0.4mm、2号試験片を作製し、引張試験機(商品名/AUTOGRAPH AG−Xplus(島津製作所社製))を用いて引張速度50mm/分で試験を行い、弾性率を測定した。なお、引張弾性率の算出や破断伸度の算出にあたり、ひずみは試験片掴み具間距離の変化から求めたものを用いた。該試験片掴み具間距離については、試験開始時で80mmとした。ひずみ算出方法は以下の通りである。
ひずみ値=ΔL/L0
ΔL:試験片掴み具間距離の変化
L0:試験開始時の掴み具間の距離を表す。本試験においてはL0=80mm
また、引張弾性率の算出や破断伸度の算出に当たり用いた応力値の算出方法は下記の通りである。
応力σ[Pa]=F/S
F:試験時の引張荷重[N]
S:試験片において荷重がかかる箇所の断面積[m]、即ち、荷重がかかる箇
所の厚さ×幅(幅6mm、厚さ0.4mm)
Figure 0006177119
表2の結果から、本発明の製造方法により得られた熱変性酸化セルロース繊維を含有する製造例(1−1)から製造例(1−6)より得られるシート状の樹脂成形体は、引張弾性率及び破断伸度がいずれも高いことから、機械的強度に優れ、柔軟性にも優れることが分かる。また、カルボキシ基減少量が0.82mmol/gである熱変性酸化セルロース繊維を含有する製造例(1−7)と未処理の酸化セルロース繊維を含有する製造例(1−8)より得られるシート状の樹脂成形体は、引張弾性率は高いが、破断伸度が実施例に比べて低く、柔軟性に関して実施例に劣る結果となっている。また、酸化セルロース繊維を含有しない製造例(1−9)より得られるシート状の樹脂成形体は、破断伸度は高いが、引張弾性率が実施例に比べて低く、機械的強度に関して実施例に劣る結果となっている。
加熱処理酸化セルロース繊維の調製例2−1
酸型酸化セルロース繊維(1−1)200g(固形分60g)と脱イオン水400gを金属製圧力機器(耐圧硝子工業株式会社製、商品名:「TAS−1.5−10−200型」)へ入れ、5回窒素置換を行った後密閉した。その後攪拌状態でヒーターにより槽内温度が150℃となるまで加熱し、その後槽内温度150℃を5時間維持した。冷却後、黒褐色の内容物を取り出したのち、得られた分散液を20g(固形分2g)とりわけ、100gのアセトンを加えてアセトン分散液を得た。以下、この加熱処理された酸化セルロース繊維が分散したアセトン溶液を加熱処理酸化セルロース繊維分散液(2−1)と呼称する。
実施例2−1
加熱処理酸化セルロース繊維分散液(2−1)を、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、型番:「T020A047A」を使用)を用いて減圧濾過分離を行った。その後濾過残渣に対して脱イオン水とアセトンを質量比2:8で混合した80質量%アセトン水溶液198gを加えて攪拌し懸濁させて、固形分を濾別する操作を2回行った。第一回目の濾別の際の、濾過開始から100ccの濾液が得られるまでの時間は、45分21秒であった。濾別操作後、フィルター上に黒褐色のアセトンを含浸した加熱処理酸化セルロース繊維を6.8g得た。その内約1gを水分計(島津製作所製「MOC63u」)にて含液率を測定した所77.2質量%(固形分全体量1.55g)であった。以下、このアセトンを含浸した加熱処理された酸化セルロース繊維を、加熱処理酸化セルロース繊維(2−1)と呼称する。
実施例2−2
加熱処理酸化セルロース繊維分散液(2−1)を、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、型番:「T020A047A」を使用)を用いて減圧濾過分離を行った。その後濾過残渣に対して脱イオン水とアセトンを質量比1:9で混合した90質量%アセトン水溶液198gを加えて攪拌し懸濁させて、固形分を濾別する操作を2回行った。第一回目の濾別の際の、濾過開始から100ccの濾液が得られるまでの時間は、21分30秒であった。濾別操作後、フィルター上に黒褐色のアセトンを含浸した加熱処理酸化セルロース繊維を7.6g得た。その内約1gを水分計(島津製作所製「MOC63u」)にて含液率を測定した所75.3質量%(固形分全体量1.88g)であった。以下、このアセトンを含浸した加熱処理された酸化セルロース繊維を、加熱処理酸化セルロース繊維(2−2)と呼称する。
実施例2−3
加熱処理酸化セルロース繊維分散液(2−1)を、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、型番:「T020A047A」を使用)を用いて減圧濾過分離を行った。その後濾過残渣に対してアセトン198gを加えて攪拌し懸濁させて、固形分を濾別する操作を2回行った。第一回目の濾別の際の、濾過開始から100ccの濾液が得られるまでの時間は、3分45秒であった。濾別操作後、フィルター上に黒褐色のアセトンを含浸した加熱処理酸化セルロース繊維を9.77g得た。その内約1gを水分計(島津製作所製「MOC63u」)にて含液率を測定した所83.7質量%(固形分全体量1.59g)であった。以下、このアセトンを含浸した加熱処理された酸化セルロース繊維を、加熱処理酸化セルロース繊維(2−3)と呼称する。
実施例2−4
加熱処理酸化セルロース繊維分散液(2−1)を、PTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、型番:「T020A047A」を使用)を用いて減圧濾過分離を行った。その後濾過残渣に対して脱イオン水とアセトンを質量比3:7で混合した70質量%アセトン水溶液198gを加えて攪拌し懸濁させて、固形分を濾別する操作を2回行った。第一回目の濾別の際の、濾過開始から100ccの濾液が得られるまでの時間は、3時間6分であった。濾別操作後、フィルター上に黒褐色のアセトンを含浸した加熱処理酸化セルロース繊維を6.05g得た。その内約1gを水分計(島津製作所製「MOC63u」)にて含液率を測定した所78.3質量%(固形分全体量1.31g)であった。以下、このアセトンを含浸した加熱処理された酸化セルロース繊維を、加熱処理酸化セルロース繊維(2−4)と呼称する。
<酸化セルロース繊維の洗浄時の条件>
上記実施例で得られた熱変性酸化セルロース繊維の洗浄時の条件を表3にまとめて示す。また、得られた加熱処理酸化セルロース繊維の含液率も併せて示す。
Figure 0006177119
実施例3−1(水分散液の調製例3−1)
アセトンを含浸した加熱処理酸化セルロース繊維(2−1)を固形分が0.2質量%となるように脱イオン水へ入れて攪拌し、得られた混合溶液を、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所社製、「US−300E」)を用いて、出力80%で1分間処理を2度行い、水分散液(3−1)を得た。
実施例3−2(水分散液の調製例3−2)
加熱処理酸化セルロース繊維(2−1)を、実施例2−2で得られた加熱処理酸化セルロース繊維(2−2)に変更したこと以外は、水分散液の調製例3−1と同様の方法で処理を行い、水分散液(3−2)を得た。
実施例3−3(水分散液の調製例3−3)
加熱処理酸化セルロース繊維(2−1)を、実施例2−3で得られた加熱処理酸化セルロース繊維(2−3)に変更したこと以外は、水分散液の調製例3−1と同様の方法で処理を行い、水分散液(3−3)を得た。
実施例3−4(水分散液の調製例3−4)
加熱処理酸化セルロース繊維(2−1)を、実施例2−4で得られた加熱処理酸化セルロース繊維(2−4)に変更したこと以外は、水分散液の調製例3−1と同様の方法で処理を行い、水分散液(3−4)を得た。
<酸化セルロース繊維の洗浄時の条件>
上記実施例で得られた熱変性酸化セルロース繊維の洗浄時の条件を表4にまとめて示す。また、得られた加熱処理酸化セルロース繊維の特性を以下の試験例3−1に基づいて評価した。結果を表4に示す。
試験例3−1<ガードナー色数による色相の評価>
得られた水分散液(3−1)から(3−4)を、それぞれガードナー管に必要量量り取り、ガードナー色数標準液と比較することで色相評価を行った。ガードナー色数が小さい場合、色相が良好であると評価することができる。また、ガードナー色数の1目盛を4段階に細分化し、測定値として採用した(例えば、ガードナー色数1と2の間に1.25、1.5、1.75の値を設けて細分化した)。
Figure 0006177119
表3、表4の結果から、本発明の製造方法により得られた加熱処理酸化セルロース繊維を種々の溶剤濃度の洗浄液を用いて洗浄した実施例2−1〜2−4は、実施例2−1及び2−2が実施例2−4に対して濾過性が良好で、また、水分散液にした場合(実施例3−1〜3−4)には水分散液(3−1)及び(3−2)が水分散液(3−3)に対して色相の改善された水分散液を得ることができた。洗浄液の溶剤濃度が高くなるほど、濾過性が改善されて生産性が向上し、洗浄液の溶剤濃度が低くなるほど(水含有量が高くなるほど)、色相が改善されることが示唆される。
本発明の製造方法により得られる熱変性させた酸化セルロース繊維は、樹脂に対して高い分散性を有し、強度増強効果を発現させることができるものであり、各種充填剤等として好適である。また、該熱変性させた酸化セルロース繊維を配合した本発明の樹脂組成物は、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. カルボキシ基含有量が0.1mmol/g以上、3mmol/g以下の酸化セルロース繊維を、水存在下で、100℃以上、250℃以下で加熱し、該セルロース繊維のカルボキシ基含有量を、加熱前の含有量から0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下減少させる、熱変性させた酸化セルロース繊維の製造方法。
  2. 加熱時間が1分間以上、24時間以下である、請求項1記載の製造方法。
  3. 加熱時の処理圧力が使用する溶媒の飽和蒸気圧以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 加熱時の処理圧力が0.1MPa[gage]以上、10MPa[gage]以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 加熱後のカルボキシ基含有量が0.05mmol/g以上、2.95mmol/g以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 酸化セルロース繊維の加熱後、さらに、熱変性させた酸化セルロース繊維の洗浄を行う、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 熱変性させた酸化セルロース繊維の洗浄時に使用する洗浄液が、水と、炭素数が1以上、6以下のアルコール、炭素数が3以上、6以下のケトン、直鎖若しくは分岐状の炭素数が3以上、6以下の飽和炭化水素若しくは不飽和炭化水素、及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる溶媒との混合溶媒である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 熱変性させた酸化セルロース繊維の洗浄時に使用する洗浄液の水分含有量が1〜90質量%である、請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 以下の工程(a)〜(d)を含む、シート状の樹脂成形体の製造方法。
    (a)酸化セルロース繊維を、水存在下、100℃以上、250℃以下で加熱し、酸化セルロース繊維のカルボキシ基含有量を、加熱前の含有量から0.05mmol/g以上、0.7mmol/g以下減少させて熱変性させた酸化セルロース繊維を調製する工程
    (b)工程(a)で得られた熱変性させた酸化セルロース繊維を溶媒へ微細分散させて酸化セルロース繊維微細分散液を得る工程
    (c)工程(b)で得られた酸化セルロース繊維微細分散液を樹脂と混練する工程
    (d)工程(c)で得られた混練物をシート化する工程
  10. 工程(b)において、溶媒へ微細分散させる前に熱変性させた酸化セルロース繊維を洗浄する工程を含む、請求項9に記載のシート状の樹脂成形体の製造方法。
  11. 熱変性させた酸化セルロース繊維を洗浄する工程で使用する洗浄液が、水と、炭素数が1以上、6以下のアルコール、炭素数が3以上、6以下のケトン、直鎖若しくは分岐状の炭素数が3以上、6以下の飽和炭化水素若しくは不飽和炭化水素、及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる溶媒との混合溶媒である、請求項10に記載のシート状の樹脂成形体の製造方法。
  12. 熱変性させた酸化セルロース繊維を洗浄する工程で使用する洗浄液の水分含有量が1〜90質量%である、請求項10又は11に記載のシート状の樹脂成形体の製造方法。
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