JP2019157138A - ゴム組成物 - Google Patents

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Takuma Tsuboi
拓磨 坪井
恭平 大和
Kyohei Yamato
恭平 大和
吉晃 熊本
Yoshiaki Kumamoto
吉晃 熊本
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Abstract

【課題】高温下においても優れた強度を維持し、かつ、伸縮性にも優れるゴム組成物、及び該ゴム組成物の製造方法に関すること。【解決手段】ゴム、微細セルロース繊維又はその改質物、及び可塑剤を含有してなるゴム組成物であって、該微細セルロース繊維の平均繊維径が0.1nm以上200nm以下であり、該微細セルロース繊維を構成するセルロースがカルボキシ基を有するものである、ゴム組成物、ならびに、可塑剤と微細セルロース繊維又はその改質物の分散液とを混合した後、溶媒の一部を除去して、微細セルロース繊維又はその改質物/可塑剤の混合物を得る工程、及び、前記工程で得られた混合物とゴムとを混合する工程、を含むゴム組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物に関する。更に詳しくは、工作機械部品、家電部品、自動車部品
等として好適に使用し得るゴム組成物及び該ゴム組成物の製造方法に関する。
ゴム組成物は工業用途に広く用いられているが、ゴム組成物を使用した成形品の使用条
件は一段と厳しくなっており、高性能のゴム材料の開発が急務である。
例えば、特許文献1には、ニトリルゴム100重量部に対して、カーボンブラック5〜
50重量部、平均粒子径5μm以下のグラファイト5〜60重量部及びこれら以外の導電
性カーボン5〜50重量部を含有してなるニトリルゴム組成物が開示されており、自動車
などの転がり軸受用オイルシールに求められる耐泥水性、シール性を満足し、さらには低
トルク性を達成しうることが示されている。
特許文献2には、ヨウ素価が11mg/100mg以下の水素化ニトリルゴムを含有す
るゴム成分と、ゴム成分に配合される短繊維とを含むゴム層により形成されていると共に
、短繊維がニトリル基を含む共重合体を含有する接着処理剤で表面処理されているゴム製
歯付ベルトが開示されており、自動車等の内燃機関内やオイルポンプの駆動・伝動ベルト
として使用され、耐油性を高めてベルト寿命を向上できることが示されている。
一方、特許文献3には、N−オキシル化合物によるセルロースの表面酸化反応を利用し
、数平均繊維径が2〜150nmであり、セルロースの水酸基の一部がカルボキシル基や
アルデヒド基に酸化されており、且つセルロースI型結晶構造を有する、各種機能性添加
剤や構造材として使用できる微細セルロース繊維が開示されている。
特開2012−97213号公報 特開2012−197857号公報 特開2008−001728号公報
しかしながら、各種用途への適用が試みられるゴム組成物としてはさらなる改良が必要
である。即ち、常温において良好な機械的強度を示すだけでなく、高温下で強度が低下す
ることなく、かつ、伸縮性にも優れるゴム組成物の開発が望まれている。
本発明は、高温下においても優れた強度を維持し、かつ、伸縮性にも優れるゴム組成物
、及び該ゴム組成物の製造方法に関する。
本発明者らは、特定のセルロース繊維を可塑剤と共にゴムに配合することにより、加工
性を低下させずに、常温下だけでなく高温下においても強度が高く、また引張り強度も向
上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記〔1〕〜〔2〕に関する。
〔1〕 ゴム、微細セルロース繊維又はその改質物、及び可塑剤を含有してなるゴム組成
物であって、該微細セルロース繊維の平均繊維径が0.1nm以上200nm以下であり
、該微細セルロース繊維を構成するセルロースがカルボキシ基を有するものである、ゴム
組成物。
〔2〕 下記工程(I)及び(II)を有する、前記〔1〕記載のゴム組成物の製造方法。
工程(I):可塑剤と微細セルロース繊維又はその改質物の分散液とを混合した後、溶媒
の一部を除去して、微細セルロース繊維又はその改質物/可塑剤の混合物を得る工程
工程(II):前記工程(I)で得られた混合物とゴムとを混合する工程
本発明のゴム組成物は、常温において良好な機械的強度を示すだけでなく、高温下でも
強度が低下することなく、かつ、伸縮性にも優れるという優れた効果を奏する。
従来、ゴム組成物はゴム弾性を要する用途に多用されているところ、機械的強度を向上
させる目的で、セルロース繊維を配合する試みもなされている。しかし、その分散性が十
分ではないことから可塑剤の配合が検討されている。しかし、可塑剤を配合することによ
り高温下での強度が低くなりすぎることから、高温下での強度を維持する更なるゴム組成
物が要求される。また、ゴム弾性を要する用途への適用の観点から、さらなる高い伸縮性
が要求される。そこで、本発明者らが検討した結果、驚くべきことに、ゴムに可塑剤と特
定の微細セルロース繊維を配合したところ、常温下だけでなく高温下での強度にも優れる
ものとなり、また、伸縮性も向上することが判明した。その詳細な理由は不明であるが、
特定の繊維径の微細セルロース繊維を可塑剤と共に配合することにより、疎水性の高いゴ
ムにおいても良好に分散することが可能となって、比較的熱に強いセルロース繊維がゴム
中に均一に分散することにより、ゴム組成物の高温領域での強度を向上させることが可能
になると推察される。また、可塑剤がゴムの分子間に割り込んで分子間の接近を妨げ、そ
こに微細セルロース繊維も共存することで、セルロース繊維との相乗効果により伸縮性が
向上すると推察される。なお、本明細書において、「高温下での強度」は後述の「100
℃における貯蔵弾性率」により、「常温下での強度(機械的強度)」は後述の「20℃に
おける貯蔵弾性率」により評価される特性のことを意味する。
〔ゴム組成物〕
本発明のゴム組成物は、ゴム、微細セルロース繊維又はその改質物、及び可塑剤を含有
する。
[ゴム]
本発明において使用するゴムは特に限定されないが、補強性の観点からジエン系ゴムが
好ましい。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポ
リブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム
(IIR)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム
(CR)及び変性ゴム等が挙げられる。変性ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム、水素化天
然ゴム、水素化ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム(HNBR)等が挙げられる。
これらの中では、ゴム組成物の良好な加工性と高反発弾性を両立させる観点から、天然ゴ
ム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブ
タジエン共重合体ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)及び変性ゴムから選ばれる1
種又は2種以上が好ましく、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(S
BR)、クロロプレンゴム(CR)及び変性ゴムから選ばれる1種又は2種以上がより好ま
しい。ジエン系ゴムは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[微細セルロース繊維又はその改質物]
本発明で用いられる微細セルロース繊維又はその改質物としては、公知の微細セルロー
ス繊維、当該微細セルロース繊維に修飾基が導入された微細セルロース繊維改質物が挙げ
られる。なお、本明細書において、微細セルロース繊維に修飾基が導入されているとは、
微細セルロース繊維表面のカルボキシ基に修飾基がイオン結合及び/又はアミド結合によ
って結合している状態のことを意味する。より詳しくは、微細セルロース繊維のカルボキ
シ基が脱プロトン化したところに、修飾基を有するアミンがイオン結合した状態、あるい
は、アミド基の炭素原子が微細セルロース繊維のセルロース骨格に共有結合し、窒素原子
に直接にあるいは連結基を介して修飾基が共有結合した状態を意味する。
<微細セルロース繊維>
(平均繊維径)
本発明における微細セルロース繊維は、平均繊維径が0.1nm以上200nm以下で
あるが、平均繊維径が均一な繊維径を持つ微細セルロース繊維改質物を製造する観点から
、好ましくは0.2nm以上、より好ましくは0.5nm以上、更に好ましくは0.8n
m以上、より更に好ましくは1nm以上である。また、ゴムに含有させてゴム組成物(複
合材料ともいう)とした時の機械的強度を十分に向上させると共に高温下での強度を向上
する観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、更に好ましく
は20nm以下、更に好ましくは10nm以下、より更に好ましくは5nm以下である。
なお、本明細書において、セルロース繊維の平均繊維径は、原子間力顕微鏡(AFM)を
用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定される。一
般に、高等植物から調製されるセルロースナノファイバーの最小単位は6×6の分子鎖が
ほぼ正方形の形でパッキングされていることから、AFMによる画像で分析される高さを
繊維の幅と見なすことができる。
(カルボキシ基含有量)
微細セルロース繊維のカルボキシ基含有量は、安定な微細化及び修飾基導入の観点から
、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.4mmol/g以上、更に好
ましくは0.6mmol/g以上、更に好ましくは0.8mmol/g以上である。また
、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2
mmol/g以下、更に好ましくは1.8mmol/g以下である。本発明で用いられる
微細セルロース繊維に、カルボキシ基含有量がかかる範囲外である微細セルロース繊維が
、意図せずに不純物として含まれることもあり得る。なお、「カルボキシ基含有量」とは
、微細セルロース繊維を構成するセルロース中のカルボキシ基の総量を意味し、具体的に
は後述の実施例に記載の方法により測定される。
(平均アスペクト比)
微細セルロース繊維の平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、ゴムに含有させて複合
材料とした時の機械的強度を十分に向上させる観点から、好ましくは10以上、より好ま
しくは20以上、更に好ましくは50以上、より更に好ましくは100以上である。また
、ゴム組成物中の分散性低下に伴う機械的強度の低下を抑制する観点から、好ましくは1
000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは400以下、より更に好ましく
は350以下である。平均アスペクト比が上記範囲にある微細セルロース繊維は、ゴムに
配合した際にゴム中での分散性に優れ、機械的強度が高く、脆性破壊し難いゴム組成物が
得られる。なお、本明細書において、平均アスペクト比は、分散液中のセルロース繊維濃
度と分散液の水に対する比粘度との関係から、下記式(1)によりセルロース繊維のアス
ペクト比を逆算して求める。なお、下記式(1)は、The Theory of Pol
ymer Dynamics,M.DOI and D.F.EDWARDS,CLARE
NDON PRESS・OXFORD,1986,P312に記載の剛直棒状分子の粘度
式(8.138)と、Lb×ρ=M/Nの関係〔式中、Lは繊維長、bは繊維幅(セ
ルロース繊維断面は正方形とする)、ρはセルロース繊維の濃度(kg/m)、Mは分
子量、Nはアボガドロ数を表す〕から導き出されるものである。また、上記の粘度式(
8.138)において、剛直棒状分子をセルロース繊維とする。下記式(1)中、ηSP
は比粘度、πは円周率、lnは自然対数、Pはアスペクト比(L/b)、γ=0.8、ρ
は分散媒の密度(kg/m)、ρはセルロース結晶の密度(kg/m)、Cはセ
ルロースの質量濃度(C=ρ/ρ)を表す。
Figure 2019157138
(結晶化度)
微細セルロース繊維の結晶化度は、ゴムに含有させて複合材料とした時の機械的強度を
向上させる観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましく
は40%以上、より更に好ましくは45%以上である。また、反応効率を向上させる観点
から、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは85%以下、
より更に好ましくは80%以下である。なお、本明細書において、セルロースの結晶化度
は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化
度であり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×1
00 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°
)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を
示す〕
なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶
化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。
<微細セルロース繊維の改質物(微細セルロース繊維複合体)>
本発明で用いられる微細セルロース繊維の改質物は、上記の微細セルロース繊維表面に
修飾基が結合しているものを示すが、これは、例えば、微細セルロース繊維表面に既に存
在するカルボキシ基を選択して、修飾基を有するアミンをイオン結合及び/又はアミド結
合させることにより得られる。なお、本明細書において、微細セルロース繊維の改質物の
ことを、微細セルロース繊維複合体と記載することもある。
(修飾基を有するアミン)
修飾基を有するアミンとしては、後述の修飾基を有するものであればよく、イオン結合
の場合は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれでもよいが、反応性の観
点から、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミ
ド結合の場合は、第1級アミン、第2級アミンのいずれでもよいが、反応性の観点から、
第1級アミンが好ましい。
本発明における修飾基としては、高温下での強度を向上させる観点から、炭化水素基、
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部等を用いることがで
きる。これらは単独で又は2種以上が組み合わさって微細セルロース繊維に導入されても
よい。
炭化水素基としては、例えば、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環式飽和
炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が挙げられ、副反応を抑制する観点及び安定性の観点
から、鎖式飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、及び芳香族炭化水素基であることが好
ましい。
鎖式飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。鎖式飽和炭化水素基の炭素
数は、高温下での強度維持、伸縮性の観点から、1以上が好ましく、3以上がより好まし
く、5以上が更に好ましく、10以上が更に好ましく、15以上が更に好ましい。また、
同様の観点から、30以下が好ましく、24以下がより好ましく、18以下が更に好まし
い。
鎖式飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、ペン
チル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、オクタコサニル基等が挙げられ、
高温下での強度維持、伸縮性の観点から、好ましくはプロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、tert-ペ
ンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2
−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基
、オクタデシル基、ドコシル基、オクタコサニル基であり、より好ましくはプロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、ペ
ンチル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、オクタデシル基である。これらは、単独で又は2種以上が任意
の割合でそれぞれ導入されていてもよい。
鎖式不飽和炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。鎖式不飽和炭化水素基の
炭素数は、取り扱い性の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が
更に好ましい。また、入手容易性の観点から、30以下が好ましく、18以下がより好ま
しく、12以下が更に好ましく、8以下がより更に好ましい。
鎖式不飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブテン
基、イソブテン基、イソプレン基、ペンテン基、ヘキセン基、ヘプテン基、オクテン基、
ノネン基、デセン基、ドデセン基、トリデセン基、テトラデセン基、オクタデセン基が挙
げられ、ゴムとの親和性の観点から、好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブテン基、
イソブテン基、イソプレン基、ペンテン基、ヘキセン基、ヘプテン基、オクテン基、ノネ
ン基、デセン基、ドデセン基であり、より好ましくはヘキセン基、ヘプテン基、オクテン
基、ノネン基、デセン基、ドデセン基である。これらは、単独で又は2種以上が任意の割
合でそれぞれ導入されていてもよい。
環式飽和炭化水素基の炭素数は、取り扱い性の観点から、3以上が好ましく、4以上が
より好ましく、5以上が更に好ましい。また、入手容易性の観点から、20以下が好まし
く、16以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、8以下がより更に好ましい。
環式飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、シクロプロパン基、シクロブチル基、
シクロペンタン基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノ
ニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル
基、シクロオクタデシル基等が挙げられ、ゴムとの親和性の観点から、好ましくはシクロ
プロパン基、シクロブチル基、シクロペンタン基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基
、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基であり、より
好ましくはシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、
シクロデシル基、シクロドデシル基である。これらは、単独で又は2種以上が任意の割合
でそれぞれ導入されていてもよい。
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ば
れる。アリール基及びアラルキル基としては、芳香族環そのものが置換されたものでも非
置換のものであってもよい。
前記アリール基の総炭素数は6以上であればよく、ゴムとの親和性の観点から、好まし
くは24以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは12
以下、更に好ましくは10以下である。
前記アラルキル基の総炭素数は7以上であり、ゴムとの親和性の観点から、好ましくは
8以上であり、また、同様の観点から、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、
更に好ましくは14以下、更に好ましくは13以下、更に好ましくは11以下である。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリ
ル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ターフェニル基、及びこれらの基が後述する置換
基で置換された基が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ
導入されていてもよい。なかでも、ゴムとの親和性の観点から、フェニル基、ビフェニル
基、ターフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フ
ェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、及
びこれらの基の芳香族基が後述する置換基で置換された基などが挙げられ、これらは1種
単独で又は2種以上が任意の割合でそれぞれ導入されていてもよい。なかでも、ゴムとの
親和性の観点から、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル
基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基が好ましく、ベンジル基、フェネチル基、
フェニルプロピル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基がより好ましく、ベンジ
ル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルペンチル基が更に好ましい。
前記炭化水素基を有するアミンは、公知の方法に従って調製することができる。また、
市販品を用いてもよく、鎖式飽和炭化水素基を有するアミンとしては、例えば、プロピル
アミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert-ブチル
アミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、tert-ペンチルアミン、イソペンチル
アミン、ヘキシルアミン、イソヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−
エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミ
ン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコシルアミン、オクタコサニルアミン
を用いることができる。鎖式不飽和炭化水素基を有するアミンとしては、エチレンアミン
、プロピレンアミン、ブテンアミン、イソブテンアミン、イソプレンアミン、ペンテンア
ミン、ヘキセンアミン、ヘプテンアミン、オクテンアミン、ノネンアミン、デセンアミン
、ドデセンアミンを用いることができる。環式飽和炭化水素基を有するアミンとしては、
シクロプロパンアミン、シクロブチルアミン、シクロペンタンアミン、シクロヘキシルア
ミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、シクロノニルアミン、シクロデシ
ルアミン、シクロドデシルアミンを用いることができる。芳香族炭化水素基を有するアミ
ンとしては、例えば、アニリン、4−ビフェニリルアミン、ジフェニルアミン、2−アミ
ノナフタレン、p−テルフェニルアミン、2−アミノアントラセン、2-アミノアントラ
キノン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、5−フェニ
ルペンチルアミン、6−フェニルヘキシルアミン、7−フェニルヘプチルアミン、8−フ
ェニルオクチルアミンを用いることができる。
微細セルロース繊維複合体における炭化水素基の平均結合量(mmol/g)は、鎖式
飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素基については、前記微細
セルロース繊維に対して、炭化水素基の結合量の制御が容易であることから、好ましくは
0.001mmol/g以上、より好ましくは0.005mmol/g以上、更に好まし
くは0.01mmol/g以上である。また、反応性の観点から、好ましくは3mmol
/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、更に好ましくは1mmol/g以下であ
る。また、芳香族炭化水素基については、炭化水素基の平均結合量は、ゴムに配合した際
に機械的強度等に優れるゴム組成物を得る観点から、好ましくは0.1mmol/g以上
、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.5mmol/g以上、更
に好ましくは0.7mmol/g以上、更に好ましくは0.9mmol/g以上、更に好
ましくは1.0mmol/g以上である。また、反応性の観点から、好ましくは3mmo
l/g以下、より好ましくは2mmol/g以下、更に好ましくは1.5mmol/g以
下である。ここで、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素
基から選ばれる炭化水素基と、芳香族炭化水素基とが同時に導入されている場合であって
も、個々の平均結合量は前記範囲内であることが好ましい。
また、炭化水素基の導入率は、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式
飽和炭化水素基については、得られるゴム組成物の機械的強度の観点から、好ましくは1
0%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは60
%以上、更に好ましくは70%以上であり、反応性の観点から、好ましくは99%以下、
より好ましくは97%以下、更に好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下であ
る。また、芳香族炭化水素基については、炭化水素基の導入率は、ゴムに配合した際に機
械的強度に優れるゴム組成物を得る観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは3
0%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、更に好ましくは70
%以上、更に好ましくは80%以上であり、反応性の観点から、好ましくは99%以下、
より好ましくは97%以下、更に好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下であ
る。ここで、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、及び環式飽和炭化水素基から
選ばれる炭化水素基と、芳香族炭化水素基とが同時に導入されている場合には、導入率の
合計が上限の100%を超えない範囲において、前記範囲内となることが好ましい。
EO/PO共重合部とは、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO
)がランダム又はブロック状に重合した構造を意味する。例えば、EO/PO共重合部を
有するアミンが後述する式(i)で表される場合は、エチレンオキサイド(EO)とプロ
ピレンオキサイド(PO)はランダム又はブロック状の連鎖構造となるが、該アミンが後
述する式(ii)で表される構造を有するアミンである場合は、(EO)a(PO)b、
(EO)c(PO)d、(EO)e(PO)fは、連鎖している必要はない。
EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、機械的強度に優れるゴム組成物を
得る観点から、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは
7モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、同様の観点から、好ましくは10
0モル%以下、より好ましくは90モル%以下、更に好ましくは85モル%以下、更に好
ましくは75モル%以下、更に好ましくは60モル%以下、更に好ましくは50モル%以
下、更に好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。なお、PO
の含有率が100モル%とは、EO/PO共重合部がPOのみで構成されているものであ
り、本発明においてはPO重合部が導入されていても構わない。
EO/PO共重合部の分子量は、機械的強度に優れるゴム組成物を得る観点から、好ま
しくは500以上、より好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,500以上であ
り、同様の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは7,000以下、更
に好ましくは5,000以下、更に好ましくは4,000以下、更に好ましくは3,50
0以下、より更に好ましくは2,500以下である。例えば、後述する式(ii)で表さ
れる構造を有するアミンである場合は、(EO)a(PO)b+(EO)c(PO)d+
(EO)e(PO)fの合計の分子量を、EO/PO共重合部の分子量とする。EO/P
O共重合部中のPOの含有率(モル%)、EO/PO共重合部の分子量は、アミンを製造
する際の平均付加モル数から計算して求めることができる。
EO/PO共重合部とアミンとは、直接に又は連結基を介して結合しているものが好ま
しい。連結基としては炭化水素基が好ましく、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましく
は1〜3のアルキレン基が用いられる。例えば、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
かかるEO/PO共重合部を有するアミンとしては、例えば、下記式(i):
Figure 2019157138
〔式中、Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、−CH
H(CH)NH基、又は下記式(ii)で表される基を示し、EO及びPOはランダ
ム又はブロック状に存在し、aはEOの平均付加モル数を示す正の数、bはPOの平均付
加モル数を示す正の数である〕
で表される化合物が挙げられる。
式(ii):
Figure 2019157138
〔式中、nは0又は1であり、Rはフェニル基、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖も
しくは分岐鎖のアルキル基を示し、EO及びPOはランダム又はブロック状に存在し、c
及びeは、EOの平均付加モル数を示し、独立して0〜50の数であり、d及びfはPO
の平均付加モル数を示し、独立して1〜50の数である〕
式(i)におけるaはEOの平均付加モル数を示し、機械的強度に優れるゴム組成物を
得る観点から、好ましくは11以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上
、更に好ましくは25以上、更に好ましくは30以上であり、同様の観点から、好ましく
は100以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは60以下、更に好ましくは50
以下、より更に好ましくは40以下である。
式(i)におけるbはPOの平均付加モル数を示し、機械的強度に優れるゴム組成物を
得る観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり
、同様の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30
以下、更に好ましくは25以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下、更
に好ましくは10以下である。
また、EO/PO共重合部中のPOの含有率(モル%)は、アミンが前記式(i)で表
される場合は、前記aとbより、共重合部におけるPOの含有率を計算することが可能で
あり、式:b×100/(a+b)より求めることができ、アミンが前記式(i)及び式
(ii)で表される場合は、同様に、式:(b+d+f)×100/(a+b+c+d+
e+f)より求めることができる。好ましい範囲は、前述のとおりである。
式(i)におけるRは水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、
−CHCH(CH)NH基、又は前記式(ii)で表される基を示すが、機械的強
度に優れるゴム組成物を得る観点から、水素原子が好ましい。炭素数1〜6の直鎖もしく
は分岐鎖のアルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、イソ又はノルマルの
プロピル基である。
また、式(i)におけるRが式(ii)で表される基である場合、式(ii)におけ
るRの炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基としては、好ましくはメチル基
、エチル基である。Rがメチル基又はエチル基である場合、nが1であることが好まし
く、Rが水素原子である場合、nが0であることが好ましい。また、式(ii)におけ
るc及びeとしては、独立して、10〜30が好ましく、d及びfとしては、独立して、
5〜25が好ましい。
かかる式(i)で表されるEO/PO共重合部を有するアミンは、公知の方法に従って
調製することができる。例えば、プロピレングリコールアルキルエーテルにエチレンオキ
シド、プロピレンオキシドを所望量付加させた後、水酸基末端をアミノ化すればよい。必
要により、アルキルエーテルを酸で開裂することで末端を水素原子とすることができる。
これらの製造方法は、特開平3−181448号を参照することができる。
また、市販品も好適に用いられ、具体例としては、HUNTSMAN社製のJeffa
mine M−2070、Jeffamine M−2005、Jeffamine M
−1000、Surfoamine B200、Surfoamine L100、Su
rfoamine L200、Surfoamine L207,Surfoamine
L300、XTJ−501、XTJ−506、XTJ−507、XTJ―508;BA
SF社製のM3000、Jeffamine ED−900、Jeffamine ED
−2003、Jeffamine D−2000、Jeffamine D−4000、
XTJ−510、Jeffamine T−3000、JeffamineT−5000
、XTJ−502、XTJ−509、XTJ−510等が挙げられる。これらは、単独で
又は2種以上を組み合わせてもよい。
微細セルロース繊維複合体におけるEO/PO共重合部の平均結合量(mmol/g)
は、機械的強度に優れるゴム組成物を得る観点から、好ましくは0.01mmol/g以
上、より好ましくは0.05mmol/g以上、更に好ましくは0.1mmol/g以上
、更に好ましくは0.3mmol/g以上、更に好ましくは0.5mmol/g以上、更
に好ましくは0.8mmol/g以上、更に好ましくは1mmol/g以上である。また
、反応性の観点から、好ましくは3mmol/g以下、より好ましくは2mmol/g以
下、更に好ましくは1.5mmol/g以下である。
また、微細セルロース繊維複合体におけるEO/PO共重合部の導入率は、機械的強度
に優れるゴム組成物を得る観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上
、更に好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、
更に好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上であ
り、機械的強度に優れるゴム組成物を得る観点から、好ましくは95%以下である。
なお、前記修飾基は置換基を有するものであってもよく、例えば、置換基を含めた炭化
水素基全体の総炭素数が前記範囲内となるものが好ましい。置換基としては、例えば、メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基
、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ
基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキ
シカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカル
ボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブト
キシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基等の
アルコキシ基の炭素数が1〜6のアルコキシ−カルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭
素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1〜6の
アシル基;アラルキル基;アラルキルオキシ基;炭素数1〜6のアルキルアミノ基;アル
キル基の炭素数が1〜6のジアルキルアミノ基が挙げられる。なお、前記した炭化水素基
そのものが置換基として結合していてもよい。
なお、本明細書において、修飾基の平均結合量は、アミン添加量、アミンの種類、反応
温度、反応時間、溶媒などによって調整することができる。また、微細セルロース繊維複
合体における修飾基の平均結合量(mmol/g)及び導入率(%)とは、微細セルロー
ス繊維表面のカルボキシ基に修飾基が導入された量及び割合のことであり、微細セルロー
ス繊維のカルボキシ基含有量を公知の方法(例えば、滴定、IR測定等)に従って測定す
ることで算出することができる。
<微細セルロース繊維複合体の製造方法>
微細セルロース繊維複合体は、微細セルロース繊維に修飾基を導入できるのであれば、
特に限定なく公知の方法に従って製造することができる。例えば、予め調製された微細セ
ルロース繊維に修飾基を導入する反応を行ってもよいし、微細セルロース繊維を調製する
際に修飾基を導入する反応を行ってもよい。なお、微細セルロース繊維は、公知の方法、
例えば、特開2011−140632号公報に記載の方法により製造することができる。
修飾基の微細セルロース繊維への導入態様によって、以下の2態様が挙げられる。即ち
、修飾基をイオン結合によって微細セルロース繊維に結合させる態様(態様A)、修飾基
をアミド結合によって微細セルロース繊維に結合させる態様(態様B)が挙げられる。
〔態様A〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基
含有セルロース繊維を得る工程
工程(2A):工程(1)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維と、修飾基を有す
るアミンとを混合する工程
〔態様B〕
工程(1):天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキシ基
含有セルロース繊維を得る工程
工程(2B):工程(1)で得られたカルボキシ基含有セルロース繊維と、修飾基を有す
るアミンとをアミド化反応させる工程
なお、前記好適な製造方法としては、工程(1)の後に後述する微細化工程を行い、カ
ルボキシ基含有微細セルロース繊維とした後に工程(2A又は2B)を行う方法(第1の
製造形態)、及び、工程(1)の後に工程(2A又は2B)を行い、その後に微細化工程
を行う方法(第2の製造形態)が挙げられる。
以下、態様Aの第1の製造形態に基づいて、微細セルロース繊維複合体の製造方法を説
明する。
〔工程(1)〕
工程(1)は、天然セルロース繊維をN−オキシル化合物存在下で酸化して、カルボキ
シ基含有セルロース繊維を得る工程である。
工程(1)では、まず、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。
スラリーは、原料となる天然セルロース繊維(絶対乾燥基準:150℃にて30分間加熱
乾燥させた後の天然セルロース繊維の質量)に対して約10〜1000倍量(質量基準)
の水を加え、ミキサー等で処理することにより得られる。天然セルロース繊維としては、
例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットン
リントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリ
アセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。天然セルロース繊維は、叩解等の表面積を高める処理が施されていてもよい
。また、前記市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常80%以上である。
(酸化処理工程)
次に、上記天然セルロース繊維を、N−オキシル化合物の存在下で酸化処理して、カル
ボキシ基含有セルロース繊維を得る(以下、単に「酸化処理」と称する場合がある)。
N−オキシル化合物としては、炭素数1又は2のアルキル基を有するピペリジンオキシ
ル化合物、ピロリジンオキシル化合物、イミダゾリンオキシル化合物、及びアザアダマン
タン化合物から選ばれる1種以上の複素環式のN−オキシル化合物が好ましい。これらの
中では、反応性の観点から、炭素数1又は2のアルキル基を有するピペリジンオキシル化
合物が好ましく、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル(TEMP
O)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4
−アルコキシ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾ
イルオキシ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−
2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン−1−オキシル等のジ−tert−アルキル
ニトロキシル化合物、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4
−ホスフォノキシ−TEMPO等が挙げられる。これらのピペリジンオキシル化合物の中
では、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−ヒ
ドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2
,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルが好ましく、2,2,6,6テト
ラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)がより好ましい。
N−オキシル化合物の量は、触媒量であればよく、天然セルロース繊維(絶対乾燥基準
)に対して、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜9質量%、
更に好ましくは0.1〜8質量%、より更に好ましくは0.5〜5質量%である。
天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤を使用することができる。酸化剤と
しては、溶媒をアルカリ性域に調整した場合の溶解度や反応速度等の観点から、酸素又は
空気、過酸化物;ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸及びそれらの
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;ハロゲン酸化物、窒素酸化物等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましく、具体的には、次亜塩素酸ナ
トリウムや次亜臭素酸ナトリウムが例示される。酸化剤の使用量は、天然セルロース繊維
のカルボキシ基置換度(酸化度)に応じて選択すればよく、また反応条件によって酸化反
応収率が異なるため一概には決められないが、原料である天然セルロース繊維(絶対乾燥
基準)に対し、好ましくは約1〜100質量%となる範囲である。
また、酸化反応をより一層効率よく行うため、助触媒として、臭化ナトリウム、臭化カ
リウム等の臭化物や、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化物等を用いることが
できる。助触媒の量は、その機能を発揮できる有効量であればよく、特に制限はない。
酸化処理における反応温度は、反応の選択性、副反応の抑制の観点から、好ましくは5
0℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは20℃以下であり、その下限は、
好ましくは−5℃以上である。
また、反応系のpHは酸化剤の性質に合わせることが好ましく、例えば、酸化剤として
次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合、反応系のpHはアルカリ側とすることが好ましく、
pH7〜13が好ましく、pH10〜13がより好ましい。また、反応時間は1〜240
分間が望ましい。
上記酸化処理を行うことにより、カルボキシ基含有量が好ましくは0.1mmol/g
以上の、カルボキシ基含有セルロース繊維が得られる。
(精製工程)
前記酸化反応で得られるカルボキシ基含有セルロース繊維は、触媒として用いるTEM
PO等のN−オキシル化合物や副生塩を含む。そのまま次工程を行ってもよいが、精製を
行って純度の高いカルボキシ基含有セルロース繊維を得ることもできる。精製方法として
は、酸化反応における溶媒の種類、生成物の酸化の程度、精製の程度により最適な方法を
採用することができる。例えば、良溶媒として水、貧溶媒としてメタノール、エタノール
、アセトン等を用いた再沈殿、ヘキサン等の水と相分離する溶媒へのTEMPO等の抽出
、及び塩のイオン交換、透析等による精製等が挙げられる。
(微細化工程)
第1の製造形態では、前記精製工程後、工程(1)で得られたカルボキシ基含有セルロ
ース繊維を微細化する工程を行う。微細化工程では、前記精製工程を経たカルボキシ基含
有セルロース繊維を溶媒中に分散させ、微細化処理を行うことが好ましい。この微細化工
程を行うことにより、平均繊維径が前記範囲にある微細セルロース繊維が得られる。
分散媒としての溶媒は、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1
〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン等の炭素数3〜6のケトン;直鎖又は分岐状の炭素数1〜6の飽和炭化水
素又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロ
ホルム等のハロゲン化炭化水素;炭素数2〜5の低級アルキルエーテル;N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、コハク酸とト
リエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル等の極性溶媒等が例示される。
これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、微細化処理の操作性の
観点から、水、炭素数1〜6のアルコール、炭素数3〜6のケトン、炭素数2〜5の低級
アルキルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、コハク酸メチルトリグリコールジエステル等の極性溶媒が好ましく
、環境負荷低減の観点から、水がより好ましい。溶媒の使用量は、カルボキシ基含有セル
ロース繊維を分散できる有効量であればよく、特に制限はないが、カルボキシ基含有セル
ロース繊維に対して、好ましくは1〜500質量倍、より好ましくは2〜200質量倍使
用することがより好ましい。
また、微細化処理で使用する装置としては公知の分散機が好適に使用される。例えば、
離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミ
ル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジュー
サーミキサー等を用いることができる。また、微細化処理における反応物繊維の固形分濃
度は50質量%以下が好ましい。
微細化工程後に得られるカルボキシ基含有微細セルロース繊維の形態としては、必要に
応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状(目視的に無色透明又は不透明な液)、あるいは乾
燥処理した粉末状(但し、微細セルロース繊維が凝集した粉末状であり、セルロース粒子
を意味するものではない)とすることもできる。なお、懸濁液状にする場合、分散媒とし
て水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール類)
や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
このような天然セルロース繊維の酸化処理及び微細化処理により、セルロース構成単位
のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシ基へと選択的に酸化され、前記カ
ルボキシ基含有量が好ましくは0.1mmol/g以上のセルロースからなる、平均繊維
径が0.1nm以上200nm以下に微細化された、好ましくは30%以上の結晶化度を
有するセルロース繊維を得ることができる。ここで、前記カルボキシ基含有微細セルロー
ス繊維は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、本発明で用いるカルボキシ基
含有微細セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料が表面
酸化され微細化された繊維であることを意味する。なお、工程(1)において、天然セル
ロース繊維の酸化処理後に、さらに酸(例えば、塩酸)を反応させてカルボキシ基含有量
を調整することができ、該反応は微細化処理前、微細化処理後のいずれに行ってもよい。
〔工程(2A)〕
第1の製造形態において、工程(2A)は、前記微細化工程を経て得られたカルボキシ
基含有微細セルロース繊維と、修飾基を有するアミンとを混合して、微細セルロース繊維
複合体を得る工程である。具体的には、前記カルボキシ基含有微細セルロース繊維と、修
飾基を有するアミンとを溶媒中で混合する。
工程(2A)で用いられる、修飾基を有するアミンとしては、微細セルロース繊維複合
体において前記した前述のものが挙げられる。
前記アミンの使用量は、微細セルロース繊維複合体における所望のアミン塩の結合量に
より決めることができるが、反応性の観点から、カルボキシ基含有微細セルロース繊維に
含有されるカルボキシ基1molに対して、アミン基が、好ましくは0.01mol以上
、より好ましくは0.1mol以上、更に好ましくは0.5mol以上であり、製品純度
の観点から、好ましくは50mol以下、より好ましくは20mol以下、更に好ましく
は10mol以下となる量用いる。なお、前記範囲に含まれる量のアミンを一度に反応に
供しても、分割して反応に供してもよい。アミンが、モノアミンの場合は、上記のアミン
基とアミンとは同じである。
溶媒としては、用いるアミンが溶解する溶媒を選択することが好ましく、例えば、エタ
ノール、イソプロパノール(IPA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(
THF)、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、アセ
トン、メチルエチルケトン(MEK)、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム
、トルエン、酢酸、水等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。これらの極性溶媒の中でも、コハク酸とトリエチレングリコールモ
ノメチルエーテルとのジエステル、エタノール、DMF、水が好ましい。
混合時の温度は、アミンの反応性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5
℃以上、更に好ましくは10℃以上である。また、複合体の着色の観点から、好ましくは
50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。混合時間は
、用いるアミン及び溶媒の種類に応じて適宜設定することができるが、アミンの反応性の
観点から、好ましくは0.01時間以上、より好ましくは0.1時間以上、更に好ましく
は1時間以上であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下である。
前記塩形成後、未反応のアミン等を除去するために、適宜後処理を行ってもよい。該後
処理の方法としては、例えば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
また、態様Bの製造方法については、工程(1)は態様Aと同様に行うことができるの
で、以下に第1の製造形態における工程(2B)について記載する。また、例えば、特開
2013−151661号公報に記載の方法により製造することができる。
〔工程(2B)〕
第1の製造形態において、工程(2B)は、前記微細化工程を経て得られたカルボキシ
基含有微細セルロース繊維と、修飾基を有するアミンとをアミド化反応させて、微細セル
ロース繊維複合体を得る工程である。前記混合方法としては、原料が反応する程度のもの
であれば特に問題なく、具体的には、前記原料を縮合剤の存在下で混合し、カルボキシ基
含有微細セルロース繊維に含有されるカルボキシ基と、修飾基を有するアミンのアミノ基
とを縮合反応させてアミド結合を形成する。
工程(2B)で用いられる、修飾基を有するアミンとしては、微細セルロース繊維複合
体において前記した前述のものが挙げられる。
工程(2B)では、カルボキシ基含有微細セルロース繊維と、修飾基を有するアミンと
を縮合剤の存在下でアミド化させる。
前記アミンの使用量は、反応性の観点から、カルボキシ基含有微細セルロース繊維に含
有されるカルボキシ基1molに対して、アミンが、好ましくは0.1mol以上、より
好ましくは0.5mol以上であり、製品純度の観点から、好ましくは50mol以下、
より好ましくは20mol以下、更に好ましくは10mol以下となる量用いる。なお、
前記範囲に含まれる量のアミンを一度に反応に供しても、分割して反応に供してもよい。
縮合剤としては、特には限定されないが、合成化学シリーズ ペプチド合成(丸善社)
P116記載、又はTetrahedron,57,1551(2001)記載の縮合剤
などが挙げられ、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イ
ル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(以下、「DMT−MM」と称する場合があ
る。)等が挙げられる。
上記アミド化反応においては、前記微細化工程における溶媒が挙げられ、用いるアミン
が溶解する溶媒を選択することが好ましい。
前記アミド化反応における反応時間及び反応温度は、用いるアミン及び溶媒の種類等に
応じて適宜選択することができるが、反応率の観点から、好ましくは1〜24時間、より
好ましくは10〜20時間である。また、反応温度は、反応性の観点から、好ましくは0
℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上である。また、複合体の着
色の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは3
0℃以下である。
前記反応後、未反応のアミンや縮合剤等を除去するために、適宜後処理を行ってもよい
。該後処理の方法としては、例えば、ろ過、遠心分離、透析等を用いることができる。
なお、態様A及び態様Bのいずれにおいても、第2の製造形態では、前記した各工程を
、工程(1)、工程(2A)又は工程(2B)、微細化工程の順で行うこと以外は、第1
の製造形態と同様の方法で行うことができる。
また、態様A及び態様Bを組み合せて得られる微細セルロース繊維複合体であってもよ
く、即ち、イオン結合を介して連結した修飾基とアミド結合を介して連結した修飾基を有
する微細セルロース繊維複合体であってもよい。この場合、工程(2A)と工程(2B)
のいずれを先に行ってもよい。
かくして、微細セルロース繊維に修飾基がイオン結合及び/又はアミド結合を介して連
結した、微細セルロース繊維複合体を得ることができる。本発明においては、得られるゴ
ム組成物の強度と弾性のバランスの観点から、修飾基がアミド結合を介して連結した微細
セルロース繊維複合体が好ましい。
得られた微細セルロース繊維複合体は、上記後処理を行った後の分散液の状態で使用す
ることもできるし、あるいは乾燥処理等により該分散液から溶媒を除去して、乾燥した粉
末状の微細セルロース繊維複合体を得て、これを使用することもできる。ここで「粉末状
」とは、微細セルロース繊維複合体が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味する
ものではない。
粉末状の微細セルロース繊維複合体としては、例えば、前記微細セルロース繊維複合体
の分散液をそのまま乾燥させた乾燥物;該乾燥物を機械処理で粉末化したもの;前記微細
セルロース繊維複合体の分散液を公知のスプレードライ法により粉末化したもの;前記微
細セルロース繊維複合体の分散液を公知のフリーズドライ法により粉末化したもの等が挙
げられる。前記スプレードライ法は、前記微細セルロース繊維複合体の分散液を大気中で
噴霧し、乾燥させる方法である。
微細セルロース繊維複合体は、平均繊維径が、得られるゴム組成物の高温下での強度を
向上する観点から、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは0.2nm以上、更に好
ましくは0.5nm以上、更に好ましくは0.8nm以上、更に好ましくは1nm以上で
ある。また、得られるゴム組成物の高温下及び常温下での強度の観点から、好ましくは2
00nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、更に好ま
しくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下である。
なお、微細セルロース繊維複合体は、工程(2A)又は工程(2B)の反応により結晶
性が低下することがないことから、前記微細セルロース繊維の結晶化度と同程度の結晶化
度を有することが好ましい。
本発明のゴム組成物に含有される微細セルロース繊維複合体としては、前記のように平
均繊維径が0.1nm以上200nm以下である微細セルロース繊維に炭化水素基及び/
又はEO/PO共重合部がイオン結合及び/又はアミド結合を介して連結したものである
ことから、平均繊維径が0.1nm以上200nm以下のものが好ましい。
[可塑剤]
可塑剤としては、特に限定されず、一般のゴム組成物に用いられる可塑剤が挙げられる
。例えば、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピ
ン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイ
ン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリット酸誘導体、クエン酸
誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導
体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、グリコール誘導体、グリセ
リン誘導体、パラフィン誘導体、ポリエステル誘導体、エポキシ誘導体、ポリエーテル誘
導体等が挙げられる。好ましくは、ポリエーテルエステル系可塑剤、フタル酸エステル系
可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、セバシン酸エ
ステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。具体例としては、セバシン
酸ジ2−エチルヘキシル、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、トリクレジルホスフ
ェート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレートなどが挙げられる。可塑剤は、単一種だ
けを用いてもよく、また、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物における各成分の含有量は、下記のとおりである。
本発明のゴム組成物中のゴムの含有量は、組成物の成形加工性の観点から、好ましくは
30質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり
、微細セルロース繊維複合体や可塑剤等を含有させる観点から、好ましくは80質量%以
下、より好ましくは75質量%以下である。
本発明のゴム組成物中の微細セルロース繊維又はその改質物の含有量は、ゴム100質
量部に対して、得られる組成物の機械的強度、伸縮性を向上させる観点から、好ましくは
1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、更に好まし
くは8質量部以上であり、製造時の操作性の観点から、好ましくは20質量部以下、より
好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。なお、ここでの微細
セルロース繊維の含有量とは、修飾基が導入されていない微細セルロース繊維の含有量の
ことである。
また、本発明のゴム組成物が微細セルロース繊維の改質物を含有する場合、微細セルロ
ース繊維の含有量(換算量)は、ゴム100質量部に対して、得られる組成物の機械的強
度、伸縮性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以
上、更に好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、製造時の操作性
の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましく
は12質量部以下である。
本発明のゴム組成物中の微細セルロース繊維又はその改質物の含有量は、得られる組成
物の機械的強度、伸縮性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましく
は2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、更に好ま
しくは5質量%以上であり、製造時の操作性の観点から、好ましくは15質量%以下、よ
り好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
本発明のゴム組成物中の可塑剤の含有量は、ゴム100質量部に対して、得られる組成
物の高温下及び常温下での強度、ならびに成形性を向上させる観点から、好ましくは1質
量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、更に好ましくは
8質量部以上であり、微細セルロース繊維複合体等を含有させ、機械的強度を維持する観
点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは3
5質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下、更に好
ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
本発明のゴム組成物中の可塑剤の含有量は、得られる組成物の高温下及び常温下での強
度、ならびに成形性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3
質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、微細セルロース繊維複合体等を含有さ
せ、機械的強度を維持する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質
量%以下、更に好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好まし
くは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、
更に好ましくは10質量%以下である。
[添加剤]
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、ゴム工業
界で通常用いられる補強用充填材、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、老化防止剤、プロ
セスオイル、植物油脂、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、酸化マグネシウム、ワ
ックス等のタイヤ用、その他一般ゴム用に配合されている各種添加剤を従来の一般的な量
で配合させることができる。
補強用充填材としてはカーボンブラックやシリカ等が好適に用いられ、カーボンブラッ
クとしては、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−
351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラッ
ク;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。カーボン
ブラックは、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
加硫剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミ
ン、有機過酸化物等が挙げられる。加硫剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種
を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤としては、例えば、グァニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−ア
ンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカル
バメート系、ザンテート系のもの等が挙げられる。加硫促進剤は、単一種だけを用いても
よく、また、複数種を組み合わせて用いてもよい。
加硫遅延剤としては、例えば、サリチル酸、無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸
、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジ
ハイドロキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミン等のニトロソ化合物等が挙
げられる。加硫遅延剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を組み合わせて用い
てもよい。
老化防止剤としては、例えば、アミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェ
ノール系、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダート・フェノール系、亜リ
ン酸エステル系のもの等が挙げられる。老化防止剤は、単一種だけを用いてもよく、また
、複数種を組み合わせて用いてもよい。
プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、
芳香族系プロセスオイルなどが挙げられる。プロセスオイルは、単一種だけを用いてもよ
く、また、複数種を組み合わせて用いてもよい。
植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし
油、落下生油、木ろう、ロジン、パインオイルなどが挙げられる。植物油脂は、単一種だ
けを用いてもよく、また、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、ゴム、前記微細セルロース繊維又はその改質物、及び可塑剤を
含有するものであれば特に限定なく調製することができるが、ゴムにセルロース繊維を直
接混合するとセルロース繊維が凝集しやすいため、ゴムと混和性の高い可塑剤中に微細セ
ルロース繊維又はその改質物を予め分散させた後、ゴムと混合することによりセルロース
繊維の分散性が向上し、高温下での強度の維持と伸縮性が向上したゴム組成物が得られる
と考えられる。よって、本発明はまた、本発明のゴム組成物の製造方法として、以下の工
程(I)及び(II)を含む製造方法を提供する。
工程(I):可塑剤と微細セルロース繊維又はその改質物の分散液とを混合した後、溶媒
の一部を除去して、微細セルロース繊維又はその改質物/可塑剤の混合物を得る工程
工程(II):前記工程(I)で得られた混合物とゴムとを混合する工程
工程(I)における可塑剤と微細セルロース繊維又はその改質物の混合質量比は、可塑
剤100質量部に対して、微細セルロース繊維又はその改質物を1〜200質量部混合す
ることが好ましく、1〜100質量部混合することがより好ましい。
混合方法としては、高い剪断力と圧力とをかけて分散を促進する観点から、ホモジナイ
ザーによる混合方法が好ましいが、プロペラ式攪拌装置、ロータリー攪拌装置、電磁攪拌
装置等による方法を用いることもできる。
混合温度としては、ハンドリングの観点から、10℃〜50℃が好ましく、15℃〜3
0℃がより好ましい。
次いで、得られた混合物を乾燥し、溶媒の一部を除去して、微細セルロース繊維又はそ
の改質物/可塑剤の混合物を得る。乾燥は、完全に溶媒を除去するまで行う必要はなく、
本発明の目的を損なわない限り溶媒を含有していてもよい。乾燥方法としては、水絞りロ
ールによって溶媒を除去した後に加熱オーブンで乾燥させる方法、パルス燃焼による衝撃
波により乾燥させる方法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、真空乾燥法等を採用することができ
る。
工程(II)において、前記工程(I)で得られた混合物(微細セルロース繊維又はその
改質物/可塑剤)とゴムとを混合する。その際の温度は通常10〜300℃であり、好ま
しくは20〜200℃である。工程(II)における混合方法は、工程(I)における混合
方法と同じ方法を用いることができる。工程(II)においては、工程(I)で得られた混
合物に前述する添加剤を予め分散した後、ゴムと混合することもできる。
本発明のゴム組成物は、上記の方法に加えて公知の方法で混練して組成物とし、加硫又
は架橋して使用することができる。例えば、ロール等の開放式混練機、バンバリーミキサ
ー等の密閉式混練機等の混練機を用いて混練し、成形加工後に加硫を行い、各種ゴム製品
用途に適用することができる。
本発明のゴム組成物は、加工性が良好で、かつ、高温下で良好な強度を示しながらも、
また、伸縮性に優れるため、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等各種用途、なかでも、
自動車用途に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明
の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部で
ある。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
〔微細セルロース繊維の平均繊維径〕
微細セルロース繊維に水を加えて、その濃度が0.0001質量%の分散液を調製し、
該分散液をマイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡
(AFM、Nanoscope III Tapping mode AFM、Digi
tal instrument社製、プローブはナノセンサーズ社製Point Pro
be (NCH)を使用)を用いて、該観察試料中のセルロース繊維の繊維高さを測定す
る。その際、該セルロース繊維が確認できる顕微鏡画像において、微細セルロース繊維を
5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。
〔微細セルロース繊維及び微細セルロース繊維複合体のカルボキシ基含有量〕
乾燥質量0.5gの微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体を100mLビ
ーカーにとり、イオン交換水もしくはメタノール/水=2/1の混合溶媒を加えて全体で
55mLとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mLを加えて分散液を調製し、
微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維複合体が十分に分散するまで該分散液を攪拌
する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整し、自動滴定装置(東
亜ディーケーケー社製、商品名「AUT−50」)を用い、0.05M水酸化ナトリウム
水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下し、1分ごとの電導度及びpHの値を測
定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水
酸化ナトリウム滴定量を求め、次式により、微細セルロース繊維又は微細セルロース繊維
複合体のカルボキシ基含有量を算出する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量×水酸化ナトリウム水
溶液濃度(0.05M)/セルロース繊維の質量(0.5g)
微細セルロース繊維の調製例1(天然セルロースにN−オキシル化合物を作用させて得ら
れるカルボキシ基含有微細セルロース繊維(長繊維)の分散液)
針葉樹の漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名「Ma
chenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPO
としては、市販品(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)を用
いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。臭化ナト
リウムとしては、市販品(和光純薬工業社製)を用いた。
まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に
攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム
12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッ
ドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を12
0分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン
交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、
酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社
製、スターバーストラボ HJP−2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を
2回行い、カルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度1.3質量%)を得
た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3nm、カルボキシ基含有量は1.4m
mol/gであった。
微細セルロース繊維の調製例2(酸型処理して得られるカルボキシ基含有微細セルロース
繊維分散液)
ビーカーに微細セルロース繊維の調製例1で得られたカルボキシ基含有微細セルロース
繊維分散液4088.75g(固形分濃度1.3質量%)及びイオン交換水4085gを
加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪
拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後
、アセトンで再沈し、ろ過、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸及び
塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにカルボキシ基含有微細セルロー
ス繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量
%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸及び塩を
除去した。アセトンで溶媒置換した後、ジメチルホルムアミド(DMF)で溶媒置換し、カ
ルボキシ基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のDMF含有酸型セルロース繊維分散
液(固形分濃度5.0質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は3.3n
m、カルボキシ基含有量は1.4mmol/gであった。
EO/PO共重合部を有するアミン(EOPOアミン)の製造例1〜4
プロピレングリコール第三級ブチルエーテル132g(1モル)を1Lのオートクレー
ブに仕込み、75℃に加熱し、フレーク状の水酸化カリウム1.2gを加え、溶解するま
で攪拌した。次いで、表1に示す量のエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(
PO)を110℃で0.34MPaにて反応させた後、Magnesol 30/40(
ケイ酸マグネシウム、ダラスグループ社製)7.14gを投入して95℃で中和し、得ら
れた生成物をジ第三級ブチル−p−クレゾール 0.16gを添加、混合した後、濾過し
て、EO/PO共重合体であるポリエーテルを得た。
一方、酸化ニッケル/酸化銅/酸化クロム(モル比:75/23/2)(和光純薬工業
社)の触媒を充填した1.250mLの管状反応容器に上記で得られたポリエーテル(8
.4mL/min)、アンモニア(12.6mL/min)及び水素(0.8mL/mi
n)をそれぞれ供給した。容器の温度を190℃に維持し、圧力を14MPaに維持した
。そして容器からの粗流出液を70℃及び3.5mmHgにて30分間留去した。得られ
たアミノ化ポリエーテル200g及び15%塩酸水溶液93.6gをフラスコに仕込み、
反応混合物を100℃にて3.75時間加熱し、第三級ブチルエーテルを酸で開裂させた
。そして生成物を15%の水酸化カリウム水溶液144gで中和した。次に中和された生
成物を112℃で一時間減圧留去して濾過し、前述の式(i)で表されるEO/PO共重
合部を有するモノアミン(EOPOアミン)を得た。なお、得られたモノアミンは、EO
/PO共重合部とアミンが直接結合しており、前記式(i)におけるRは水素原子であ
る。
なお、アミン共重合部の分子量は、例えば、製造例1のアミンの場合、
44〔EO分子量(44.03)×EO付加モル数(1)〕+522〔PO分子量(58
.04)×PO付加モル数(9)〕+58.04〔出発原料中のPO部分分子量(プロピ
レングリコール)〕=624
を四捨五入して600と算出した。
Figure 2019157138
微細セルロース繊維複合体の製造例1(実施例1〜4、7〜9)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例
2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液35g(固形分濃度5.0質量
%)を仕込んだ。続いて、表2に示す種類のアミンを表2に示すアミン基量に相当する量
、縮合剤である4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−
メチルモルホリニウムクロライド(DMT−MM)を微細セルロース繊維のカルボキシ基
1molに対して2.2〜4molに相当する量、N−メチルモルホリン(NMM)を微細
セルロース繊維のカルボキシ基1molに対して1.2〜3molに相当する量をそれぞ
れ仕込み、DMF300g中に溶解させ、反応液を室温(25℃)で14時間反応させた
。反応終了後ろ過し、イオン交換水にて洗浄、DMT−MM塩を除去し、アセトンで洗浄
及び溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、表2に示す種類のアミンがアミド結合
を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。なお、EOPOアミン以外のアミン
(C3アミン:プロピルアミン、C12アミン:ドデシルアミン、C18アミン:オクタ
デシルアミン)は市販品を購入して用いた。
微細セルロース繊維複合体の製造例2(実施例5)
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例
2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液35g(固形分濃度5.0質量
%)を仕込んだ。続いて、表2に示す種類のアミンを表2に示すアミン基量に相当する量
を仕込み、イオン交換水300g中に溶解させ、反応液を室温(25℃)で14時間反応
させた。反応終了後ろ過し、イオン交換水にて洗浄、アセトンで洗浄及び溶媒置換するこ
とで、微細セルロース繊維に、表2に示す種類のアミンがイオン結合を介して連結した微
細セルロース繊維複合体を得た。
微細セルロース繊維複合体の製造例3(実施例10)
<アミド結合によるフェニル基修飾>
マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、微細セルロース繊維の調製例
2で得られたカルボキシ基含有微細セルロース繊維分散液35g(固形分濃度5.0質量
%)を仕込んだ。続いて、アニリンを表2に示すアミン基量に相当する量、縮合剤である
DMT−MMを微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対して2.5molに相当
する量、NMMを微細セルロース繊維のカルボキシ基1molに対して1.4molに相
当する量をそれぞれ仕込み、DMF300g中に溶解させ、反応液を室温(25℃)で1
4時間反応させた。反応終了後ろ過し、イオン交換水にて洗浄、DMT−MM塩を除去し
、アセトンで洗浄及び溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、フェニル基がアミド
結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
<イオン結合によるEO/PO共重合部修飾>
得られた微細セルロース繊維複合体分散液10g(固形分濃度5.0質量%)に対し、
表2に示すEOPOアミンを表2に示すアミン基量に相当する量を仕込み、イオン交換水
100g中に溶解させ、反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過
し、イオン交換水にて洗浄、アセトンで洗浄及び溶媒置換することで、微細セルロース繊
維に、アミド結合を介してフェニル基と、イオン結合を介してEO/PO共重合部がそれ
ぞれ連結した微細セルロース繊維複合体を得た。
実施例1〜10及び比較例1
<可塑剤と微細セルロース繊維又はその改質物の混合物の製造>
微細セルロース繊維複合体の製造例1〜3で製造した微細セルロース繊維複合体の分散
液、又は、微細セルロース繊維の調製例2で製造した微細セルロース繊維の分散液に、可
塑剤(セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、田岡化学工業社製)を表2に示す配合量となるよ
う添加して超音波ホモジナイザー(US−300E、日本精機製作所社製)にて2分間攪拌
後、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ HJP−2 500
5)にて100MPaで2パス、150MPaで1パス微細処理させた(25℃)。該均
一混合物をガラスシャーレに注ぎ、2日間40℃で真空乾燥を行い、可塑剤と微細セルロ
ース繊維又はその改質物の混合物を製造した。
<ゴム組成物の調製>
ゴム成分100質量部に対して、上記で得られた可塑剤と微細セルロース繊維又はその
改質物の混合物に表2に示す添加剤を表2の配合処方に従って配合して混合したものを添
加し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調製した。
なお、表2における原料は以下の通りである。
〔ゴム〕
クロロプレンゴム:デンカクロロプレンDCR−36、電気化学工業社製
天然ゴム(NR):RSS#3、竹原ゴム加工社製
〔可塑剤〕
可塑剤:セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、DOS、田岡化学工業社製
〔添加剤〕
亜鉛華:酸化亜鉛、亜鉛華3号、三井金属鉱業社製
ステアリン酸:工業用ステアリン酸、花王社製
酸化マグネシウム:キョーワマグ150、協和化学工業社製
ワックス:ミクロクリスタリンワックス、精工化学社製
老化防止剤:アンチゲン6C、住友化学社製
硫黄:加硫剤、5%オイル処理硫黄、細井化学工業社製
ノクセラーTS:加硫促進剤、大内新興化学工業社製
サンセラーDM−G:加硫促進剤、三新化学工業社製
加硫遅延剤:リターダーCTP、東レ・ファインケミカル社製
得られたゴム組成物については、それぞれ以下の方法により加硫ゴムを作製して下記の
試験例1〜2の方法に従って評価した。結果を表2に示す。
(加硫ゴムの作製)各ゴム組成物を20cm×20cmの金型に充填後、150℃にて3
0分加熱して加硫ゴムを調製した。
試験例1(貯蔵弾性率)
動的粘弾性装置(SII社製、商品名「DMS6100」)を用いて、幅5mm、長さ
20mmの短冊型サンプルを、窒素雰囲気下、周波数1Hzで、−50℃から150℃ま
で、1分間に2℃の割合で温度を上昇させて、引張モードで計測した。貯蔵弾性率(E’
)は100℃と20℃の値を用いた。貯蔵弾性率の値が大きいほど機械的強度に優れるこ
とを示し、20℃の数値は好ましくは70MPa以上であることが機械的強度に優れ、ま
た、100℃の数値は好ましくは8.2MPa以上である場合に高温下での強度が維持さ
れていることを示す。
試験例2(破断伸度)
引張圧縮試験機(SHIMADZU社製、商品名「Autograph AGS−X」
)を用いて、JIS K7113に準拠して、成形体の破断伸度引張試験によって測定し
た。2号ダンベルで打ち抜いたサンプルを支点間距離80mmでセットし、クロスヘッド
速度10mm/minで測定した。破断伸度が50%以上の場合に伸縮性に優れているこ
とを示し、その値がより高い方が伸縮性に優れていることを示す。
Figure 2019157138
表2に示す結果から明らかなとおり、実施例で得られたゴム組成物は比較例のゴム組成
物に比べて、20℃及び100℃の貯蔵弾性率が高く、高温下においても強度を維持して
いることが分かる。また、破断伸度がいずれも高く、伸縮性に優れることが分かる。
本発明のゴム組成物は、工作機械部品、家電部品、自動車部品等として好適に使用する
ことができる。

Claims (5)

  1. ゴム、微細セルロース繊維又はその改質物、及び可塑剤を含有してなるゴム組成物であ
    って、該微細セルロース繊維の平均繊維径が0.1nm以上200nm以下であり、該微
    細セルロース繊維を構成するセルロースがカルボキシ基を有するものである、ゴム組成物
  2. 微細セルロース繊維の改質物が、微細セルロース繊維のカルボキシ基に炭化水素基又は
    エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部が導入されたもので
    ある、請求項1記載のゴム組成物。
  3. 炭化水素基又はエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部の
    導入がアミド結合及び/又はイオン結合を介したものである、請求項2記載のゴム組成物
  4. 微細セルロース繊維又はその改質物の含有量が、ゴム100質量部に対して、1質量部
    以上20質量部以下である、請求項1〜3いずれか記載のゴム組成物。
  5. 下記工程(I)及び(II)を有する、請求項1〜4いずれか記載のゴム組成物の製造方
    法。
    工程(I):可塑剤と微細セルロース繊維又はその改質物の分散液とを混合した後、溶媒
    の一部を除去して、微細セルロース繊維又はその改質物/可塑剤の混合物を得る工程
    工程(II):前記工程(I)で得られた混合物とゴムとを混合する工程
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