従来から板ガラスなどの脆性基板の切断は、一般的にはその片面に、切断する線に沿って傷(スクライブ)を付けて、この傷を付けた線(スクライブライン)に沿って該板ガラスを折ることにより行っている。
ところで、液晶表示装置の液晶パネルなどを構成するパネル基板は、2枚のガラス板を貼り合わせた構造となっており、このため、このようなパネル基板を、2枚のガラス板を貼り合わせてなる貼合せ材料基板から切り出す場合は、貼合せ材料基板の表面および裏面の両面にスクライブラインを形成する必要がある。
従来は、このような貼合せ基板材料に対しては、片面ずつスクライブラインを形成する加工を行っている。
例えば、図11は、従来の液晶パネル分断ライン1を示すブロック図である。
この液晶パネル分断ライン1は、脆性材料基板である液晶パネル基板Wをそのストック部(図示せず)からこの液晶パネル分断ライン1に供給するローダ10と、該ローダ10の下流側に設けられ、該液晶パネル基板Wの表面にスクライブラインを形成する第1のスクライブ装置20と、該第1のスクライブ装置20の下流側に設けられ、表面にスクライブラインが形成された液晶パネル基板Wを表裏反転させる反転装置30と、該反転装置30の下流側に設けられ、反転された液晶パネル基板Wの裏面にスクライブラインを形成する第2のスクライブ装置40と、該第2のスクライブ装置40の下流側に設けられ、該液晶パネル基板Wを個々のパネル基板に分断して搬出する分断搬出機構50とを備えている。
ここで、上記ローダ10は、液晶パネル基板Wをそのストック部から上記第1のスクライブ装置20の近傍まで搬送するコンベア12と、該コンベア12を支持するコンベア支持基台11とを有している。このローダ10と第1のスクライブ装置20との間には、ローダ10のコンベア終端部からスクライブ装置20の搬入部20aへ液晶パネル基板Wを搬送する第1の搬送機構70が設けられている。
図12はこの第1の搬送機構70を説明する斜視図である。
この第1の搬送機構70は、図12に示すように、液晶パネル基板Wを吸着支持する支持アーム72と、該支持アーム72をコンベア終端部とスクライブ装置20の搬入領域20aとの間で移動可能に支持するアームガイド71とを有し、該支持アーム72の先端には、液晶パネル基板Wを吸着する吸着パッド73が昇降可能に取り付けられており、この支持アーム72の根元側端部は、ガイド71に形成された支持溝71aにスライド可能に嵌合装着されている。ここでは、上記吸着パッド73は、支持アーム72の先端に取り付けられたシリンダ74により昇降するようになっている。
また、上記第1のスクライブ装置20は、上記液晶パネル基板Wを載置する可動テーブル24を有し、該可動テーブル24が、上記液晶パネル基板Wが搬入される搬入領域20a、上記液晶パネル基板Wをスクライブ基台21上で位置調整する位置調整領域20b、及び該液晶パネル基板Wにスクライブラインを形成するスクライブ領域20cの各領域に移動するよう構成されている。このスクライブ装置20のスクライブ基台21には、その上面に一対のガイドレール21a及び21bが上記各領域に跨るよう取り付けられており、上記可動テーブル24が該ガイドレール21a及び21bにスライド可能に取り付けられている。該スクライブ基台21の位置調整領域20bには支持フレーム22が設けられており、該支持フレーム22には、該可動テーブル24上に載置されている液晶パネル基板Wの位置を該可動テーブル24に対して調整するアクチュエータ(図示せず)が取り付けられている。また、上記スクライブ基台21のスクライブ領域20cには、該テーブル24上の載置された液晶マザーパネルWにスクライブラインを形成するためのスクライブ機構23が設けられている。
図13は、上記スクライブ基台21上に設けられたスクライブ機構23を説明する図である。
上記スクライブ機構23は、上記テーブル支持基台21の両側に取り付けられた一対の支柱23aおよび23bと、該両支柱23aおよび23bの間に取り付けられたガイドバー23cとを有し、該ガイドバー23cには、複数のスクライブヘッド23dが該スクライブ基台21を横断するようスライド可能に取り付けられている。このようなスクライブ機構23では、ガイドバー23cに取り付けられている複数のスクライブヘッド23dを一定間隔で配置し、該ガイドバー23cの下側を、液晶パネル基板Wを載置した可動テーブル24を通過させることにより、該スクライブヘッド23dの先端に取り付けられているカッターチップ(図示せず)が該液晶パネル基板Wの表面に接触して該液晶マザーパネルWにスクライブラインが形成される。
また、この可動テーブル24は、水平面内でその中心を回転軸として回転可能に構成されており、該可動テーブル24では、液晶マザーパネルの表面に第1の方向に沿って第1のスクライブラインを形成し、その後、該可動テーブル24を90度回転させて、上記スクライブヘッドの下側を通過させることにより、上記第1のスクライブラインと垂直な方向の第2のスクライブラインを形成することができる。
また、上記第1のスクライブ装置20の下流側には、縦横のスクライブラインが形成された液晶パネル基板Wを反転する反転装置30が配置されており、さらに該反転装置30の下流側には、該液晶パネル基板Wの裏面側にスクライブラインを形成する第2のスクライブ装置40が配置されている。
ここで、反転装置30は、一対の支持支柱31a及び31bと、該支持支柱間に配置され、液晶パネル基板Wを収容する基板ホルダ33と、該基板ホルダ33を回転可能に支持支柱31a及び31bに対して支持する支持軸32とを有している。なお、反転装置30は、図11及び図14では模式的に示しており、その上流側から搬送されてくる液晶パネル基板Wを表裏反転できるものであれば、どのような構成のものでもよい。
また、上記第2のスクライブ装置40は、上記第1のスクライブ装置20と同一の構成を有しており、つまり、スクライブ基台41上には搬入領域40a、位置調整領域40b、及びスクライブ領域40cが設定されており、上記可動テーブル41がスクライブ基台41の各領域に移動可能な構成となっている。また、このスクライブ装置40のスクライブ基台41の位置調整領域40bには支持フレーム42が取り付けられ、該支持フレーム42には、可動テーブル44上に載置された液晶パネル基板Wの位置調整を行うアクチュエータ(図示せず)が取り付けられている。
また、上記スクライブ基台41のスクライブ領域40cには、該可動テーブル44上に載置された液晶パネル基板Wにスクライブラインを形成するためのスクライブ機構43が設けられている。なお、このスクライブ機構43は、上記第1のスクライブ装置20のスクライブ機構23と同一の構成となっている。
また、第1のスクライブ装置20、反転装置30、及び第2のスクライブ装置40に跨って、第2の搬送機構80が設けられており、この第2の搬送機構80は、第1のスクライブ装置20でスクライブラインが形成された液晶パネル基板Wを反転装置30に搬送し、該反転装置30で表裏逆転された液晶パネル基板Wを第2のスクライブ装置40に搬送するものである。なお、この第2の搬送機構80も、図12に示す上記第1の搬送機構70と同一の構成を有している。つまり、液晶マザーパネルを吸着する吸着パッド83と、該吸着パッド83を支持する支持アーム82と、該支持アーム82を移動可能に支持するアームガイド81と、吸着パッド83の昇降を行うシリンダ(図示せず)とを有している。
また、上記第2のスクライブ装置40の下流側には、表面及び裏面側にそれぞれ縦横のスクライブラインが形成された液晶パネル基板Wを分断搬出する分断搬出装置50が設けられている。
この分断搬出装置50の分断搬出基台51には、搬入領域50a、分断領域50b及び搬出領域50cが設けられており、該分断搬出基台51の搬入領域50aには、その上流側の第2のスクライブ装置40から液晶パネル基板Wが搬入される。また、該分断搬入基台51の分断領域50bには、該搬入領域50aに搬入された液晶パネル基板Wのスクライブラインにスチームをあてて、急激な温度上昇による熱歪を利用してか液晶パネル基板Wを個々の液晶パネルDWに分断するスチーム分断部(図示せず)が設けられている。ここで、搬入領域50aおよびスチーム分断領域50bへの液晶パネル基板Wの搬送は、コンベア52により行われ、また搬出領域50cには液晶パネルの搬出用コンベア53a及び53bが設けられている。
第2のスクライブ装置40のスクライブ領域40c及び該分断搬出部50の搬入部50aに沿って第3の搬送機構90が設けられている。この第3の搬送機構90は、スクライブ装置40のスクライブ領域40cに位置する可動テーブル44上の液晶パネル基板Wを、分断搬出装置50の搬入領域50aに搬送するものであり、図12に示す上記第1の搬送機構70と同一の構成を有している。つまり、この搬送機構90は、液晶パネル基板Wを吸着する吸着パッド93と、該吸着パッド93を支持する支持アーム92と、該支持アームを移動可能に支持するアームガイド91と、吸着パッド93の昇降を行うシリンダ(図示せず)とを有している。
次に動作について説明する。
図14は従来の基板分断システム(加工システム)1の動作を説明する図であり、図11における液晶パネル基板Wが上記各搬送機構により下流側に移動した状態を示している。
まず、ストック部(図示せず)に格納されている液晶パネル基板Wがローダ10により第1のスクライブ装置20の近傍まで搬送される。具体的には、液晶パネル基板Wがローダ10のローダ基台11上をコンベア12により搬送されて、該ローダ基台11の下流側端に到達する。
次に、液晶パネル基板Wは、第1の搬送機構70によりローダ10から第1のスクライブ装置20へ移送される。具体的には、ローダ基板11の下流側端まで搬送されてきた液晶マザーパネルWは、第1の搬送機構70の吸着パッド73により吸着され、さらに該吸着パッド73がシリンダ74の収縮動作により上昇することでローダ基板11上から浮上する。この状態で、図14に示すように第1の搬送機構70の支持アーム72がアームガイド71に沿って下流側に移動することにより、液晶パネル基板Wが第1のスクライブ装置20のスクライブ基台21の搬入領域20a上まで移動する。その後、吸着パッド73がシリンダ74の伸長動作により下降して液晶パネル基板Wが、スクライブ基台21の搬入領域20aに位置する可動テーブル24上に載置される(図12参照)。
次に、第1のスクライブ装置20では、可動テーブル24がスクライブ基台21の搬入領域20aから位置調整領域20bに移動し、ここで、可動テーブル24に対してその上に載置された液晶パネル基板Wの位置調整が行われる。具体的には、可動テーブル24は、スクライブ基台21の位置調整領域20bで一旦停止し、支持フレーム22に取り付けられているアクチュエータ(図示せず)により、可動テーブル24上の液晶パネル基板Wが該可動テーブル24に対して位置調整される。
この位置調整が終わると、可動テーブル24がスクライブ領域20cに移動することで、可動テーブル24上に配置されている液晶パネル基板Wが、該スクライブ領域20cに配置されているスクライブ機構23によりスクライブされる。
具体的には、可動テーブル24がスクライブ領域20cに移動する前に、複数のスクライブヘッド23dが、ガイドバー23c上で予め決められた間隔に配置され、この状態で、スクライブヘッド23dの下端に取り付けられているカッターチップがスクライブ位置、つまり可動テーブル上に載置された液晶パネル基板Wの表面に接する位置まで下降する。この状態で、可動テーブル24がスクライブヘッド23dの下側を通過することにより、該可動テーブル24上に載置されている液晶パネル基板Wの表面に、上記各スクライブヘッド23dのカッターチップにより、一定間隔で第1のスクライブラインが複数形成される。その後、スクライブヘッド23dのカッターチップが、非スクライブ位置、つまり可動テーブル24上の液晶パネル基板Wの表面に接触しない位置まで上昇し、この状態で、可動テーブル24が一旦位置調整領域20bまで戻り、該可動テーブル24は90度回転する。その後、必要に応じて可動テーブル24上の液晶パネル基板Wの位置調整、さらに、複数のスクライブヘッド23dの配置間隔の設定が行われ、再度、可動テーブル24がスクライブヘッド23dの下側を通過することにより、該可動テーブル24上に載置されている液晶パネル基板Wの表面に、上記各スクライブヘッド23dのカッターチップにより、上記第1のスクライブラインに直交する第2のスクライブラインが形成される。
次に、液晶パネル基板Wは、第2の搬送機構80により、スクライブ基台21のスクライブ領域20cに位置する可動テーブル24上から反転装置30へ搬送される。この第2の搬送機構80による液晶パネル基板Wの搬送は、上記第1の搬送機構70による搬送と同様、第2の搬送機構80の吸着パッド83により液晶パネル基板Wを吸着して可動テーブル24から浮上させた状態で、支持アーム82がアームガイド81に沿って下流側に移動することにより、図11に示すように、液晶パネル基板Wが反転装置30に搬送される。
次に、反転装置30では、第2の搬送機構80により搬送されてきた液晶パネル基板WWが、水平状態で保持されているパネルホルダ33内に収容されると、該パネルホルダ33が、該支持軸32を回転軸として180度回転することにより、該パネルホルダ内の液晶パネル基板Wが表裏反転させられる。その後、さらに、上記第2の搬送機構80により、液晶パネル基板Wが該反転装置30のパネルボルダ32から第2のスクライブ装置40に搬送される。この第2の搬送機構80による液晶パネル基板Wの第2のスクライブ装置への搬送は、上記第1の搬送機構70による第1のスクライブ装置への搬送と同様、第2の搬送機構80の吸着パッド83により液晶パネル基板Wを吸着した状態で、支持アーム82がアームガイド81に沿って下流側に移動することにより、図14に示すように、液晶パネル基板Wが第2のスクライブ装置40のスクライブ基台41の搬入領域40a上まで移動する。その後、吸着パッド83がシリンダ(図示せず)の伸長動作により下降して液晶パネル基板Wが、スクライブ基台41の搬入領域40aに位置する可動テーブル44上に載置される(図14参照)。
次に、第2のスクライブ装置40では、可動テーブル44がスクライブ基台41の搬入領域40aから位置調整領域40bに移動し、ここで、可動テーブル44に対してその上に載置された液晶パネル基板Wの位置が調整される。具体的には、可動テーブル44は、スクライブ基台41の位置調整領域40bで一旦停止し、支持フレーム42に取り付けられているアクチュエータ(図示せず)により、可動テーブル44上の液晶パネル基板Wが該可動テーブル44に対して位置調整される。
この位置調整が終わると、可動テーブル44がスクライブ領域40cに移動することで、可動テーブル44上に配置されている液晶パネル基板Wが、該スクライブ領域40cに配置されているスクライブ機構43によりスクライブされる。この第2のスクライブ装置40では、液晶パネル基板Wの裏面にスクライブラインが形成される点以外は、第1のスクライブ装置20で液晶パネル基板Wにスクライブラインが形成されるのと全く同様に、液晶パネル基板Wのスクライブが行われ、該液晶パネル基板Wの裏面側に、複数の第1のスクライブラインとこれに直交する第2のスクライブラインとが形成される。
次に、液晶マザーパネルWは、第3の搬送機構90により、スクライブ基台41のスクライブ領域40cに位置する可動テーブル44上からパネル分断搬出装置50へ移送される。なお、この第3の搬送機構90による液晶マザーパネルWの搬送は、上記第1及び第2の搬送機構70及び80による搬送と同様、第3の搬送機構90の吸着パッ93により液晶パネル基板Wを吸着して可動テーブル44から浮上させた状態で、支持アーム92がアームガイド91に沿って下流側に移動することにより、図14に示すように、液晶パネル基板Wがパネル分断搬出装置50の搬入領域50aに搬送される。
このパネル分断搬出装置50では、搬入領域50aに液晶パネル基板Wが搬入されると、コンベア52により液晶パネル基板Wが分断領域50bに搬送される。ここでは、液晶パネル基板Wの、スクライブラインが形成された部分に、ビーム状スチームが当てられて、このスチームの当てられた部分の急激な温度上昇による熱歪により、液晶マザーパネルWが、スクライブラインに沿って複数の液晶パネルDWに分断される。その後、液晶パネル基板Wの分断により得られた液晶パネルDWは、該一対のコンベア53a及び53bなどの搬送機構によりこの基板分断システム1から搬出される。
なお、図11〜図14で説明した基板分断システムは、2枚のガラス基板を貼り合せた液晶パネル基板Wの表面及び裏面に片面毎にスクライブラインを形成し、その後、該液晶マザーパネルを分断するものであるが、特許文献1などには、2枚のガラス基板を貼り合せた液晶マザーパネルを分断する際に、該液晶マザーパネルを反転させて片面毎にスクライブとブレークとを行う液晶マザーパネル分断ラインが開示されている。この文献記載の液晶マザーパネル分断ラインでは、分断装置により液晶マザーパネルの表面側基板を分断した後、該液晶マザーパネルは、搬送機構により、該分断装置から液晶マザーパネルの裏面をスクライブするスクライブ装置に搬送される。
ところで、従来のガラス板加工装置には、ガラス板を搬送するベルトコンベア上で、該ガラス板をスクライブするものもあり(例えば、特許文献2)、このガラス板加工装置は、図11〜図14で説明したスクライブ装置として用いることができる。
このガラス板加工装置では、ベルトコンベアのベルトは、ガラス板を載置するテーブルとしての箱状部材の表面を走行するよう配置されている。このベルトには多数の通気孔が形成され、また、該箱状部材(テーブル)の天井板部にも、ベルトに形成した多数の通気孔の配列に合せて複数の吸引孔が形成されている。これにより、該ベルト上のガラス板が真空吸引により、該テーブルに固定されるようになっている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図10は、本発明に係る脆性基板搬送ユニットを含む基板分断システムを説明する図であり、図1は、該基板分断システムを構成する加工ラインを模式的に示す平面図である。
この基板分断システム1000は、脆性材料基板である液晶パネル基板Wをそのストック部(図示せず)からこの基板分断システム1000の加工ラインに供給するローダ100と、該ローダ100の下流側に設けられ、該液晶パネル基板Wの表面にスクライブラインを形成する第1のスクライブ装置200と、該第1のスクライブ装置200の下流側に設けられ、表面にスクライブラインが形成された液晶パネル基板Wを表裏反転させる反転装置300と、該反転装置300の下流側に設けられ、反転された液晶パネル基板Wの上面(裏面)にスクライブラインを形成する第2のスクライブ装置400と、該第2のスクライブ装置400の下流側に設けられ、該液晶パネル基板Wを個々の液晶パネルDWに分断して搬出する分断搬出装置500とを備えている。
ここで、上記ローダ100は、ローダ基台110と、該ローダ基台110に取り付けられ、液晶パネル基板Wをそのストック部から上記第1のスクライブ装置200の近傍まで搬送するコンベア120とを有しており、従来の基板分断システム1におけるローダ10と同一構成を有している。
また、上記第1のスクライブ装置200は、その設置面に固定されるスクライブ基台210と、該スクライブ基台210上をスライド可能に設けられた可動テーブル240と、該スクライブ基台210の位置調整領域200aに固定されたフレーム部材220に取り付けられ、該可動テーブル240に対してその上に載置された液晶パネル基板Wの位置を調整する位置調整装置260(図5参照)と、該スクライブ基台210のスクライブ領域200bに設けられ、上記可動テーブル240上に載置された液晶パネル基板Wの表面にスクライブラインを形成するスクライブ機構230とを有している。
以下まず、この第1のスクライブ装置200について詳述する。
図2及び図3は、上記ローダの下流側に配置された第1のスクライブ装置200を説明する斜視図であり、図2は、該第1のスクライブ装置の位置調整領域200aの構成を模式的に示し、図3は、該第1のスクライブ装置のスクライブ領域200bの構成を模式的に示している。また、図5及び図6は、上記スクライブ装置の位置調整領域及びスクライブ領域の構成を説明する平面図及び側面図である。図7(a)は、該スクライブ装置に搭載されている可動テーブル及びこれに装着されたコンベアベルトの構造を示す断面図であり、図7(b)は、該可動テーブルの表面の構造を示す平面図である。さらに、図8は、該システムのスクライブ装置によりスクライブラインが形成された液晶パネル基板Wを示している。なお、説明の都合上、図2ではスクライブ機構は省略し、図3では位置調整機構は省略している。
この第1のスクライブ装置200のスクライブ基台210上には、相対向する一対のレール210aおよび210bが、上記加工ライン上で液晶パネル基板Wの搬送される方向と平行に配置されている。これらの一対のガイドレール210aおよび210bには、可動ブロック243がスライド可能に取り付けられており、該可動ブロック243には回転支持機構242が取り付けられている。この回転支持機構242は、図6に示すように、コンベアテーブル240aを固定するテーブル取付具246を回転可能に支持する回転支持軸242aを有し、該回転支持機構242の内部の駆動手段(図示せず)により該回転支持軸242aを回転させて、上記テーブル取付具246に取り付けられたコンベアテーブル240aを回動させるものである。
また、平面略正方形形状のコンベアテーブル240aを構成する基板載置板(テーブル本体)241の相対向する側辺部分には、上下一対のローラ部材242a及び242bと、ローラ部材243a及び243bとがそれぞれ取り付けられており、これらのローラ部材242a、242b、243a及び243bにはコンベアベルト245がテーブル本体241を覆うように掛けられている。ここで、テーブル本体241は、図7(b)に示すように、アルミなどの金属製板状部材の表面に、空気流を噴出すあるいは吸引するための空気穴(通気孔)241aを一定間隔で形成してなるものである。また、上記コンベアベルト245は、図7(a)に示すように、表面側のウレタン層245aと裏面側の布地層245bとからなり、該布地層245bの下面側は波板形状となっている。ここで、表面側のウレタン層245aと裏面側の布地層245bとの接合部分では、布地層245bとウレタン層245aとが一体になっている。ここで、布地層245bは目の粗い布材からなるものが望ましい。また、コンベアベルト245にも、上記テーブル本体241と同様、空気の流通穴(通気孔)245a1が所定のピッチでベルトの走行方向及びこれに垂直な方向に沿って形成されている。ただし、コンベアベルト245に形成されている空気孔245a1のピッチと、テーブル本体241の表面に形成されている空気孔241aのピッチとは同一である必要はない。このような構造のコンベアベルト245では、該コンベアベルトの裏面には、布地層245bの下面側の波板形状などにより、該テーブル表面の空気孔(通気孔)241aと該ベルトの流通孔(通気孔)245a1とを通気する通気層が形成されており、テーブル表面の空気孔241aで発生した空気流により、該コンベアベルトの流通孔245a1と該テーブル表面の空気孔241aとの位置関係に関係なく、該ベルト上に配置された脆性基板が該テーブル上で浮上あるいは吸着固定されることとなる。また、テーブル本体241には、その空気孔241aからの噴出空気流、あるいは該空気孔241aへの吸入空気流が発生するよう、該空気孔241aに空気を送り込む、あるいは空気孔241aから空気流を吸引する空気流発生装置(図示せず)が設けられている。
また、上記テーブル取付具246には部品取付ステー247が固定されており、該部品取付ステー247には、モータの回転軸などの回転駆動軸247dが回転可能に取付られており、さらに、上記コンベアベルト245を走行させる駆動ローラ247eが回転可能に取り付けられている。ここで、上記回転駆動軸247dと駆動ローラ247eとは、ベルト部材247cにより連結されている。また、上記テーブル本体241には、上記コンベアベルト245を該駆動ローラ247eに導き、かつ該コンベアベルト245に一定のテンションをかける一対のテンションガイドローラ247a及び247bが軸受け部材(図示せず)を介してか部品取付ステー247により取付られている。
なお、上記可動ブロック243は、上記位置調整領域200aとスクライブ領域200bとの間で移動可能であり、ガイドレール210a及び210bに沿って配置されたリニアモータ(図示せず)などの駆動手段により駆動されるものである。上記可動テーブル240は、上記可動ブロック243、上記回転支持機構242、及びコンベアテーブル240aとを有している。
また、上記スクライブ基台210の位置調整領域200aには、相対向する一対の側面コ字型フレーム220a及び220bが、上記一対のガイドレール210aおよび210bを跨ぐよう取り付けられており、該コ字型フレーム220a及び220b間にはこれらを補強する相対向する一対の補強フレーム220c及び220dが取り付けられている。そして、これらの各フレームには、これらのフレームにより形成される四角領域内に位置するよう2つの位置調整装置260が一定間隔を空けて取り付けられている。
この位置調整装置260は、図5及び図6に示すように、上記フレームの内側面に取付フランジ265により固定された昇降シリンダ261と、該昇降シリンダのシリンダロッド下端に固定された水平方向シリンダ262と、該水平方向シリンダ262のシリンダロッドの内側端に固定された部品取付ブラケット263と、該部品取付ブラケット263の下面に取り付けられた湾曲アーム264と、該湾曲アーム264の両端に取り付けられ、液晶パネル基板Wの側端面に当接して該パネルを移動させる当接円板264aとを有している。
また、上記スクライブ基台210のスクライブ領域200bにはスクライブ機構230が設けられている。このスクライブ機構230は、上記一対のガイドレール210a及び210bを挟んで対向するよう配置された一対の固定支柱230a及び230bと、該一対の固定支柱230a及び230bに跨るよう該両支柱に取り付けられた横支柱230cと、該横支柱230cの側面に固定されたガイド部材232にスライド可能に取り付けられた複数のスクライブヘッド250a〜250dとを有している。ここで、上記横支柱230cには、リニアモータを構成するコイル231が組み込まれており、このリニアモータにより上記スクライブヘッド250a〜250dが、液晶パネル基板Wから切り出す液晶パネルDWの大きさに応じて、横支柱230cに沿った方向における所定位置に移動させられるようになっている。
例えば、スクライブヘッド250bは、図6に示すように、該ガイド部材232にスライド可能に取り付けられたスライドブロック252と、該スライドブロック252に取り付けられ、カッターチップ253を上下動させるアクチュエータ251と、該アクチュエータの筐体に取り付けられた位置決めカメラ256とを有している。なお、上記スクライブヘッド250a〜250dはいずれも同一の構成を有している。
また、このような第1のスクライブ装置200の下流側には、該スクライブ装置200でスクライブされた液晶パネル基板Wの表裏を反転させる反転装置300が設けられている。
図4は、該反転装置300及びその下流側に設けられた第2のスクライブ装置400を説明する斜視図であり、該反転装置300及び該第2のスクライブ装置400の上流側部分を示している。
この反転装置300は、その設置面に固定される反転装置の基台310と、該基台310上に、液晶パネル基板Wの搬送経路を挟むよう対向して固定された一対の支持支柱310aおよび310bと、該支持支柱310a及び310bの間に、相対向するよう近接して配置された上下一対の搬送コンベア320b及び320aと、該一対の搬送コンベア320a及び320bを、これらの相対的な配置を保持して該支持支柱310a及び310bに対して回転可能に支持する支持軸320とを有している。また、この搬送コンベア320a及び320bは、いずれも可動テーブル240を構成するコンベアテーブル240aと同一の構成となっている。つまり、搬送コンベア320a及び320bは、基板載置板(テーブル本体)と同様の、表面部分に空気穴を形成した金属製平板部材に、空気穴を形成し、かつ裏面を波型形状としたコンベアベルトを走行可能に取り付けた構造となっており、また上記コンベアテーブル240aと同様に、該コンベアベルトを走行させる駆動手段、並びに該テーブル本体241の表面の空気孔に吸入空気流及び噴出空気流を発生させる空気流発生装置を備えている。またこの反転装置300の下流側には、該反転装置300で、表裏逆転された液晶パネル基板Wの裏面にスクライブラインを形成する第2のスクライブ装置400が設けられている。
この第2のスクライブ装置400は、上記第1のスクライブ装置200と同一の構成を有している。簡単に説明すると、図1及び図4に示すように、第2のスクライブ装置400は、その設置面に固定されるスクライブ基台410と、該スクライブ基台410上をスライド可能に設けられた可動テーブル440と、該スクライブ基台410の位置調整領域400aに固定されたフレーム部材420に取り付けられ、該可動テーブル440に対してその上に載置された液晶パネル基板Wの位置を調整する位置調整機構と、該スクライブ基台410のスクライブ領域400bに設けられ、上記可動テーブル440上に載置された液晶パネル基板Wの表面にスクライブラインを形成するスクライブ機構430とを有している。
また、この第2のスクライブ装置400の下流側には、分断搬出装置500が設けられており、その分断搬出基台510には、搬入分断領域500a及び搬出領域500bが設けられており、該分断搬出基台501の搬入分断領域500aには、その上流側の第2のスクライブ装置400から液晶パネル基板Wが搬入され、かつ該搬入分断領域500aに搬入された液晶パネル基板Wのスクライブラインにスチームをあてて、急激な温度上昇による熱歪を利用してか液晶パネル基板Wを個々の液晶パネルDWに分断する領域となっている。さらに、分断搬出基台510の搬出領域500bには、該分断された液晶パネルDWを搬出する搬出機構520、530a及び530bが形成されている。なお、これらの搬出機構には、コンベアが用いられている。
次に、動作について説明する。
図9及び図10は、上記基板分断システムの動作を説明する図であり、図9は、図1における液晶マザーパネルが下流側に移動した状態を示し、図10は、スクライブ装置の位置調整領域で可動テーブルが回転する様子を示す平面図である。
まず、ローダ100では、ストック部(図示せず)に格納されている液晶パネル基板Wが、ローダ基台11に取り付けられたコンベア120により、第1のスクライブ装置200の近傍まで搬送される(図1参照)。このとき、第1のスクライブ装置200では、その可動テーブル240は、スクライブ基台210の上流側の位置調整領域200aに位置しており、可動テーブル240のコンベアテーブル240aでは、コンベアベルト245が、該ローダ100のコンベアベルトと同じ速度で同一方向に走行している。このため、ローダ100のコンベアにより第1のスクライブ装置200の近傍まで搬送されてきた液晶パネル基板Wは、そのまま、ローダ100のコンベア120上から第1のスクライブ装置200の可動テーブル240上に移動することとなる(図9参照)。
このように第1のスクライブ装置200の可動テーブル240上に液晶パネル基板Wが完全に移動すると、可動テーブル240のコンベアベルトは走行を停止し、その後、該可動テーブル240は、その上に載置されている液晶パネル基板Wが、上記コ字型フレーム220a及び220bと補強フレーム220c及び220dとに囲まれた領域の中央に位置するよう移動する(図5及び図6参照)。
その後、各フレームに取り付けられた位置調整装置260により、可動テーブル240のコンベアテーブル240aに対する液晶パネル基板Wの位置調整が行われる。
具体的には、可動テーブル240では、テーブル本体241の空気孔241aからの噴出空気流により、液晶パネル基板Wがコンベアテーブル240a上で若干浮上させられる。その後、昇降シリンダ261の伸長により、当接円板264aの側面が液晶パネル基板Wの端面に対向する位置まで水平シリンダ263が下降する。さらに水平シリンダ263の伸長により湾曲アーム264が、上記当接円板264aが液晶パネル基板Wの側面を押すように移動する。これにより、コンベアテーブル240a上での液晶パネル基板Wの位置が微調整される。
このようにして、コンベアテーブル240a上での液晶パネル基板Wの位置調整が完了すると、可動テーブル240では、テーブル本体241の空気孔241aからの吸入空気流により、液晶パネル基板Wがコンベアテーブル240aに吸着された状態にする。
この可動テーブル240のコンベアテーブル240aでは、テーブル本体241にはコンベアベルト245が取り付けられており、また、テーブル本体241に形成された空気孔241aとコンベアベルト245に形成された空気孔245a1とは一致していないが、コンベアベルト245は、表面側のウレタン層245aと裏面側の布地層245bとの2層構造となっており、また、裏面側布地層245bのテーブル本体241の表面と接する下面は波型形状となっていることから、コンベアベルトの裏面を介して、コンベアベルトの下のテーブル本体241の空気孔241aからコンベアベルト245の空気孔245a1への通気が確保される。このため、テーブル本体241の空気孔241aからの噴出空気流あるいは吸入空気流により、コンベアベルト245の空気孔245a1には、テーブル本体241上で液晶パネル基板Wを浮上させたりあるいは吸着したりするのに十分な噴出空気流あるいは吸入空気流がコンベアベルト245の表面で発生することとなる。なお、このコンベアベルトの裏面側材料は、布材に限らず、可撓性を有する多孔材料であればよい。
そして、可動テーブル240がスクライブ基台210をスライド移動してスクライブ領域200bに移動することで、可動テーブル240のコンベアテーブル240a上に載置されている液晶パネル基板Wが、該スクライブ領域200bに配置されているスクライブ機構230によりスクライブされる。
具体的には、可動テーブル240がスクライブ基台210のスクライブ領域200bに移動する前に、スクライブ機構230では、複数のスクライブヘッド250a〜250dが、横支柱230cの側面に取り付けられたガイドバー232上で予め決められた間隔に配置され、この状態で、各スクライブヘッド250a〜250dの下端に取り付けられているカッターチップ253がアクチュエータ251によりスクライブ位置まで降下する。
この状態で、可動テーブル240がスクライブヘッド250a〜250dの下側を通過することにより、該可動テーブル240のコンベアテーブル240a上に載置されている液晶パネル基板Wの表面に、上記各スクライブヘッド250a〜250dのカッターチップ253により、一定間隔で第1のスクライブラインS1が複数形成される(図8参照)。その後、各スクライブヘッドのカッターチップ253が、可動テーブル240のコンベアテーブル240a上の液晶パネル基板Wの表面に接触しない位置(非スクライブ位置)まで上昇し、この状態で、可動テーブル240が一旦位置調整領域200aまで戻り、該可動テーブル240のコンベアテーブル240aは、図10に示すように、液晶パネル基板Wが90度回転するよう回動する。
その後、必要に応じて可動テーブル240のコンベアテーブル240a上で液晶パネル基板Wの位置調整が行われ、さらに、複数のスクライブヘッド250a〜250dの配置間隔の設定が行われる。この状態で、再度、可動テーブル240がスクライブヘッド250a〜250dの下側を通過することにより、該可動テーブル240のコンベアテーブル240a上に載置されている液晶パネル基板Wの表面に、上記各スクライブヘッド250a〜250dのカッターチップ253により、上記第1のスクライブラインS1に直交する第2のスクライブラインS2が複数形成される(図8参照)。
その後、可動テーブル240は、第1のスクライブ装置200のスクライブ基台210の下流側端まで移動し、この状態で、コンベアテーブル240aのコンベアベルト245を走行させる。このとき、第1のスクライブ装置200の下流側に配置されている反転装置300では、上下の搬送コンベア320a及び320bのコンベアベルト(図示せず)が、上記可動テーブル240のコンベアテーブル240aのコンベアベルト245と同一の走行速度で、該両搬送コンベア320a及び320b間に挿入された液晶パネル基板Wが下流側に搬送されるよう走行する。そして、第1のスクライブ装置200から反転装置300への液晶パネル基板Wの搬送が完了すると、該反転装置300では、上下一対のコンベアテーブル320a及び320bが、これらの間で液晶パネル基板Wを吸着保持した状態で、液晶パネル基板Wの表裏が反転するよう、回転支持軸320の周りに180度回転する。
このように液晶パネル基板Wを表裏反転した後、反転装置300の下流側に配置されている第2のスクライブ装置400の可動テーブル440をそのスクライブ基台410の上流端側に移動させた状態で、該反転装置300の上下一対のコンベアテーブル320a及び320bのコンベアベルトを走行させ、同時に該第2のスクライブ装置400の可動テーブル440のコンベアベルトを走行させる。これにより、図9に示すように、液晶パネル基板Wは、反転装置300の上下一対の搬送コンベア320a及び320bの間から第2のスクライブ装置400の可動テーブル440上に搬送される。
次に、第2のスクライブ装置400では、可動テーブル440がスクライブ基台410の、搬入領域を兼ねる位置調整領域400aで、可動テーブル440のコンベアテーブルに対してその上に載置された液晶パネル基板Wが位置調整される。具体的には、第1のスクライブ装置200での液晶パネル基板Wの位置調整と同様にして、可動テーブル440は、スクライブ基台410の位置調整領域400aで、フレーム部材420に取り付けられている位置調整装置(図示せず)により、可動テーブル440のコンベアテーブルに対して液晶パネル基板Wが位置調整される。
この位置調整が終わると、可動テーブル440がスクライブ領域400bに移動することで、可動テーブル440上に配置されている液晶パネル基板Wが、該スクライブ領域400bに配置されているスクライブ機構430によりスクライブされる。この第2のスクライブ装置400では、液晶パネル基板Wの裏面にスクライブラインが形成される点以外は、第1のスクライブ装置200で液晶パネル基板Wにスクライブラインが形成されるのと全く同様に、液晶パネル基板Wのスクライブが行われ、該液晶パネル基板Wの裏面側に、複数の第1のスクライブラインS1とこれに直交する複数の第2のスクライブラインSとが形成される(図8参照)。
このように第2のスクライブ装置400で液晶パネル基板Wの裏面にスクライブラインを形成した後、該第2のスクライブ装置400の下流側端にその可動テーブル440を移動させた状態で、該第2のスクライブ装置400の可動テーブルのコンベアベルトを走行させ、同時に第2のスクライブ装置400の下流側に位置する分断搬出装置500のコンベア520のコンベアベルトを走行させる。これにより、図9に示すように、液晶パネル基板Wは、第2のスクライブ装置400の可動テーブル440上から分断搬出装置500の、搬入領域を兼ねる分断領域500a上に搬送される。
このパネル分断搬出装置500では、従来の加工システム1における分断搬出装置50と同様に、分断領域500aでは、液晶パネル基板Wの、スクライブラインが形成された部分に、ビーム状スチームが当てられて、このスチームの当てられた部分の急激な温度上昇による熱歪により、液晶パネル基板Wが、スクライブラインに沿って複数の液晶パネル基板DWに分断される。その後、液晶マザーパネルの分断により得られた液晶パネルDWは、該一対のコンベア530a及び530bなどの搬送機構によりこの基板分断システム(基板分断ライン)1000から搬出される。
このように本実施形態1では、液晶パネル基板Wの表面及び裏面にスクライブラインを形成して、該液晶パネル基板Wを上記スクライブラインに沿って分断する基板分断システム1000において、スクライブ装置における液晶パネル基板Wを載置する可動テーブル240を、該テーブル本体241の基板載置面にコンベアベルト245を取り付け、該可動テーブル上で液晶パネル基板Wを搬送する構造としたので、該スクライブ装置の上流側及び下流側の加工装置などで、液晶パネル基板Wの搬送機構としてベルトコンベアを用いることにより、該スクライブ装置の上流側及び下流側の加工装置との間に、別途、液晶パネル基板Wを搬入する搬送機構を用いる必要がなくなる。また、スクライブ装置では、その上流側の搬入領域や下流側の搬出領域上を開放しておく必要がなく、スクライブ装置が加工ラインで占める占有面積を削減できる。その結果、加工ラインの配置スペースを削減することができる。
また、スクライブ装置への搬入あるいは搬出がベルトコンベアにより行われるので、液晶パネル基板Wの搬送時には、液晶パネル基板の全体がコンベアにより支持された状態で行われることとなり、薄化された液晶パネル基板Wの吸着パッドによる局所的な支持が原因で表示ムラなどの不良に発展するといった不具合も解消することができる。
また、可動テーブル240のテーブル本体241に装着されているコンベアベルト245は、その裏面側が目の粗い布材で構成され、該目の粗い布材の、テーブル本体の上面に接する面が波板形状となっているので、テーブル本体241の通気孔(空気孔)241aとベルト245に形成した通気孔(空気孔)245a1とを一致させなくても、ベルトの下のテーブル本体の通気孔と、ベルトに形成した通気孔との間で、通気が確保されており、可動テーブル240のコンベアテーブル240a上での液晶パネル基板Wの浮上及び吸着を行うことができる。言い換えると、コンベアベルトの停止位置が、コンベアベルトの下のテーブル本体の空気孔の位置とコンベアベルトの空気孔の位置とが一致しない位置であっても、コンベアベルトの裏面の通気層を介して、コンベアベルトの下のテーブル本体241の通気孔241aからコンベアベルト245の通気孔245a1への通気が確保されることとなる。このため、コンベアベルトの停止位置に関わらず、常にコンベアベルト上での液晶パネル基板Wを浮上または吸着が可能となる。
また、スクライブヘッド250a〜250dでは、カッターチップを昇降させるアクチュエータとしてリニアサーボヘッドを用いることにより、基板の凹凸に対するカッターチップの追従性を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、スクライブ装置として、脆性基板を2枚貼り合せた貼合せ材料(例えば、液晶パネル基板)を載置する可動テーブルをスクライブヘッドに対して移動させて、該可動テーブル上に載置された液晶パネル基板をスクライブするものを示したが、上記スクライブ装置は、液晶パネル基板を載置する、基台に固定された固定テーブルを有し、スクライブヘッド、あるいは該スクライブヘッドを含むスクライブ機構を、固定テーブルに対して移動させて、該固定テーブル上に載置された液晶パネル基板をスクライブするものでもよく、液晶パネル基板を載置するテーブルと、該液晶パネル基板をスクライブするためのスクライブヘッドとの相対移動により、該テーブルに載置された液晶パネル基板をスクライブするものであればよい。
また、上記実施形態では、脆性基板として、ガラス板を2枚貼り合せた貼合せ基板材料(例えば、液晶パネル基板)を挙げたが、この脆性基板は単一のガラス基板などであってもよい。
また、上記実施形態では、スクライブ装置として、スクライブ機構が複数のスクライブヘッドを有するものを示したが、スクライブ装置は、単一のスクライブヘッドのみを有するスクライブ機構を備えたものでもよい。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。