JP5725205B2 - 高周波信号線路及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波信号線路及び電子機器に関し、より特定的には、可撓性を有する素体に信号線が設けられてなる高周波信号線路及び電子機器に関する。
高周波回路間を接続するための高周波線路としては、同軸ケーブルが一般的に用いられる。同軸ケーブルは、曲げ等の変形が容易であり、かつ、安価であることから広く用いられている。
ところで、近年、移動体通信端末等の高周波機器の小型化が進んでいる。そのため、高周波機器において、円形の断面形状を有する同軸ケーブルを配置するスペースを確保することが困難になってきている。
そこで、特許文献1に記載の信号線路が提案されている。特許文献1に記載の信号線路では、可撓性材料からなる複数の絶縁シートが積層された本体内に、信号線及び2つのグランド導体が設けられている。2つのグランド導体は、信号線を積層方向の両側から挟んでいる。すなわち、信号線及び2つのグランド導体は、ストリップライン構造をなしている。以上のような信号線路の積層方向の厚みは、同軸ケーブルの直径よりも小さい。そのため、信号線路は、同軸ケーブルの収容が不可能である小さなスペースに収容されることが可能である。
しかしながら、特許文献1に記載の信号線路では、折り曲げて用いることが困難である。信号線路に用いられているグランド導体は、変形しにくい銅箔により作製されている。そのため、信号線路が折り曲げられることによりグランド導体に強い力が加わると、グランド導体が破損するおそれがある。
特開2011−71403号公報
そこで、本発明の目的は、折り曲げて用いることが容易な高周波信号線路及び電子機器を提供することである。
本発明の一形態に係る高周波信号線路は、可撓性を有する複数の絶縁体層が積層されて構成されている素体と、前記素体に設けられている線状の信号線と、前記素体に設けられている第1のグランド導体であって、前記信号線の一部を含む第1の領域において該信号線と対向せず、かつ、該第1の領域に隣接する第2の領域において該信号線と対向している第1のグランド導体と、前記第1の領域において前記信号線に沿うように、該信号線が設けられている前記絶縁体層上に設けられている第2のグランド導体と、を備え、前記第2のグランド導体の少なくとも一部は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体と対向しておらず、前記素体は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体が前記信号線よりも外周側に位置するように曲げられること、を特徴とする。
本発明の一形態に係る電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されている高周波信号線路と、を備えており、前記高周波信号線路は、可撓性を有する複数の絶縁体層が積層されて構成されている素体と、前記素体に設けられている線状の信号線と、前記素体に設けられている第1のグランド導体であって、前記信号線の一部を含む第1の領域において該信号線と対向せず、かつ、該第1の領域に隣接する第2の領域において該信号線と対向している第1のグランド導体と、前記第1の領域において前記信号線に沿うように、該信号線が設けられている前記絶縁体層上に設けられている第2のグランド導体と、を備え、前記第2のグランド導体の少なくとも一部は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体と対向しておらず、前記素体は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体が前記信号線よりも外周側に位置するように曲げられること、を特徴とする。
本発明によれば、高周波信号線路を折り曲げて用いることが容易となる。
本発明の一実施形態に係る高周波信号線路の外観斜視図である。 図1の高周波信号線路の誘電体素体の分解図である。 図1の高周波信号線路の断面構造図である。 高周波信号線路の断面構造図である。 高周波信号線路のコネクタの外観斜視図及び断面構造図である。 高周波信号線路が用いられた電子機器をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。 図6(a)のCにおける断面構造図である。 第1の変形例に係る高周波信号線路の誘電体素体の分解図である。 第2の変形例に係る高周波信号線路の誘電体素体の分解図である。 第3の変形例に係る高周波信号線路の誘電体素体の分解図である。 第4の変形例に係る高周波信号線路の誘電体素体の分解図である。 第5の変形例に係る高周波信号線路の誘電体素体の分解図である。
以下に、本発明の実施形態に係る高周波信号線路及び電子機器について図面を参照しながら説明する。
(高周波信号線路の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る高周波信号線路10の外観斜視図である。図2は、図1の高周波信号線路10の誘電体素体12の分解図である。図3は、図1の高周波信号線路10の断面構造図である。図4は、高周波信号線路10の断面構造図である。図5は、高周波信号線路10のコネクタ100bの外観斜視図及び断面構造図である。図1ないし図5において、高周波信号線路10の積層方向をz軸方向と定義する。また、高周波信号線路10の長手方向をx軸方向と定義し、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。
高周波信号線路10は、例えば、携帯電話等の電子機器内において、2つの高周波回路を接続するために用いられる。高周波信号線路10は、図1ないし図3に示すように、誘電体素体12、外部端子16(16a,16b)、信号線20、グランド導体22,24,26,28、ビアホール導体b1,b2,B1〜B16及びコネクタ100a,100bを備えている。
誘電体素体12は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、線路部12a、接続部12b,12cを含んでいる。誘電体素体12は、図2に示す保護層14及び誘電体シート(絶縁体層)18(18a〜18c)がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている積層体である。以下では、誘電体素体12のz軸方向の正方向側の主面を表面(第1の主面)称し、誘電体素体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面(第2の主面)と称す。
線路部12aは、x軸方向に延在している。接続部12b,12cはそれぞれ、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部及びx軸方向の正方向側の端部に接続されており、矩形状をなしている。接続部12b,12cのy軸方向の幅は、線路部12aのy軸方向の幅よりも広い。
誘電体シート18は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、誘電体素体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18は、ポリイミドや液晶ポリマー等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されている。誘電体シート18aの厚さT1は、図4に示すように、誘電体シート18bの厚さT2よりも厚い。例えば、誘電体シート18a〜18cの積層後において、厚さT1は50〜300μmである。本実施形態では、厚さT1は150μmである。また、厚さT2は10〜100μmである。本実施形態では、厚さT2は50μmである。以下では、誘電体シート18のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
また、誘電体シート18aは、線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cにより構成されている。誘電体シート18bは、線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cにより構成されている。誘電体シート18cは、線路部18c−a及び接続部18c−b,18c−cにより構成されている。線路部18a−a,18b−a,18c−aは、線路部12aを構成している。接続部18a−b,18b−b,18c−bは、接続部12bを構成している。接続部18a−c,18b−c,18c−cは、接続部12cを構成している。
外部端子16aは、図1及び図2に示すように、接続部18a−bの表面の中央近傍に設けられている矩形状の導体である。外部端子16bは、図1及び図2に示すように、接続部18a−cの表面の中央近傍に設けられている矩形状の導体である。外部端子16a,16bは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16a,16bの表面には、金めっきが施されている。
信号線20は、図2に示すように、誘電体素体12内に設けられている線状導体であり、誘電体シート18bの表面をx軸方向に延在している。信号線20の両端はそれぞれ、z軸方向から平面視したときに、外部端子16a,16bと重なっている。信号線20の線幅は、例えば100〜500μmである。本実施形態では、信号線20の線幅は240μmである。信号線20は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
ここで、誘電体素体12は、3つの領域E1〜E3に区分されている。領域E1は、信号線20の一部を含む領域であり、信号線20に沿ってx軸方向に延在している。領域E2,E3は、領域E1をx軸方向の両側から挟んでいる。領域E2は、領域E1のx軸方向の負方向側に隣接しており、信号線20に沿ってx軸方向に延在している。領域E3は、領域E1のx軸方向の正方向側に隣接しており、信号線20に沿ってx軸方向に延在している。
グランド導体22(第1のグランド導体)は、図2に示すように、誘電体素体12内において信号線20よりもz軸方向の正方向側に設けられ、より詳細には、誘電体素体12の表面に最も近い誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体22は、誘電体シート18aの表面においてx軸方向に延在しており、誘電体シート18aを介して信号線20と対向している。グランド導体22は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体22は、線路部22a−1,22a−2,端子部22b,22cにより構成されている。線路部22a−1は、領域E2において線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に延在している。これにより、線路部22a−1は、領域E2において信号線20と対向している。線路部22a−2は、領域E3において線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に延在している。これにより、線路部22a−2は、領域E3において信号線20と対向している。また、領域E1には、グランド導体22は設けられていない。これにより、グランド導体22は、領域E1において信号線20と対向していない。
端子部22bは、接続部18a−bの表面に設けられ、外部端子16aの周囲を囲む矩形状の環をなしている。端子部22bは、線路部22a−1のx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22cは、接続部18a−cの表面に設けられ、外部端子16bの周囲を囲む環状の矩形状をなしている。端子部22cは、線路部22a−2のx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
グランド導体24(第4のグランド導体)は、図2に示すように、誘電体素体12内において信号線20よりもz軸方向の負方向側に設けられ、より詳細には、誘電体シート18cの表面に設けられている。これにより、グランド導体24は、誘電体シート18b,18c間に設けられている。グランド導体24は、誘電体シート18cの表面においてx軸方向に延在しており、誘電体シート18bを介して信号線20と対向している。すなわち、グランド導体24は、信号線20を挟んでグランド導体22と対向している。グランド導体24は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体24は、線路部24a−1,24a−2,端子部24b,24cにより構成されている。線路部24a−1は、領域E2において線路部18c−aの表面に設けられ、x軸方向に延在している。これにより、線路部24a−1は、領域E2において信号線20と対向している。線路部24a−2は、領域E3において線路部18c−aの表面に設けられ、x軸方向に延在している。これにより、線路部24a−2は、領域E3において信号線20と対向している。また、領域E1には、グランド導体24は設けられていない。これにより、グランド導体24は、領域E1において信号線20と対向していない。
端子部24bは、接続部18c−bの表面に設けられ、端子部22bと同じ形状をなしている。端子部24bは、線路部24a−1のx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24cは、接続部18c−cの表面に設けられ、端子部22cと同じ形状をなしている。端子部24cは、線路部24a−2のx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
以上のように、信号線20は、z軸方向の両側から誘電体シート18a,18bを介してグランド導体22,24によって挟まれている。すなわち、信号線20及びグランド導体22,24は、領域E2,E3において、トリプレート型のストリップライン構造をなしている。また、信号線20とグランド導体22との間隔は、図4に示すように誘電体シート18aの厚さT1と略等しく、例えば、50μm〜300μmである。本実施形態では、信号線20とグランド導体22との間隔は、150μmである。一方、信号線20とグランド導体24との間隔は、図4に示すように誘電体シート18bの厚さT2と略等しく、例えば、10μm〜100μmである。本実施形態では、信号線20とグランド導体24との間隔は、50μmである。すなわち、厚みT1は厚みT2よりも大きくなるように設計されている。
以上のように、厚みT1が厚みT2よりも大きいことで、グランド導体22と信号線20間に発生する静電容量が小さくなり、所定のインピーダンス(例えば50Ω)とするための信号線20の線幅が広くなる。これにより、伝送ロスが小さくなるので、高周波信号線路の電気特性の向上が図られる。本実施形態では、グランド導体22と信号線20の間に発生する静電容量がインピーダンス設計の主であり、グランド導体24は信号の輻射を小さくするためのグランド導体としてインピーダンス設計されている。すなわち、グランド導体22と信号線20とで特性インピーダンスを高く設定(例えば70Ω)し、グランド導体24を付加することによって高周波信号線路の一部に低インピーダンスが低くなる領域(例えば30Ω)を設けることにより、高周波信号線路全体のインピーダンスが所定のインピーダンス(例えば50Ω)になるように設計している。
グランド導体26(第2のグランド導体)は、領域E1において信号線20に沿うように、信号線20が設けられている誘電体シート18bの表面上に設けられている。より詳細には、グランド導体26は、誘電体シート18bの表面上において、信号線20よりもy軸方向の正方向側に設けられ、信号線20と平行に延在している長方形状をなしている。また、グランド導体26のx軸方向の両端はそれぞれ、z軸方向から平面視したときに、領域E2,E3に位置することによって線路部22a−1,22a−2,24a−1,24a−2と重なっている。ただし、領域E1には、グランド導体22が設けられていないので、グランド導体26は、z軸方向から平面視したときに、領域E1においてグランド導体22と対向していない。
グランド導体28(第3のグランド導体)は、領域E1において信号線20に沿うように、信号線20が設けられている誘電体シート18bの表面上に設けられている。より詳細には、グランド導体28は、誘電体シート18bの表面上において、信号線20よりもy軸方向の負方向側に設けられ、信号線20と平行に延在している長方形状をなしている。これにより、グランド導体28は、グランド導体26と共に信号線20を挟んでいる。すなわち、信号線20及びグランド導体26,28は、コプレーナ構造をなしている。また、グランド導体28のx軸方向の両端はそれぞれ、z軸方向から平面視したときに、領域E2,E3に位置することによって線路部22a−1,22a−2,24a−1,24a−2と重なっている。ただし、領域E1には、グランド導体22が設けられていないので、グランド導体28は、z軸方向から平面視したときに、領域E1においてグランド導体22と対向していない。
ビアホール導体b1は、誘電体シート18aの接続部18a−bをz軸方向に貫通しており、外部端子16aと信号線20のx軸方向の負方向側の端部とを接続している。ビアホール導体b2は、誘電体シート18aの接続部18a−cをz軸方向に貫通しており、外部端子16bと信号線20のx軸方向の正方向側の端部とを接続している。これにより、信号線20は、外部端子16a,16b間に接続されている。ビアホール導体b1,b2は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
ビアホール導体B1は、領域E2の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B1は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。ビアホール導体B2は、領域E2の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B2は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。そして、ビアホール導体B1,B2は、互いに接続されることにより1本のビアホール導体を構成しており、線路部22a−1と線路部24a−1とを接続している。ビアホール導体B1,B2は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
ビアホール導体B3は、領域E2の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B3は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。ビアホール導体B4は、領域E2の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B4は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。そして、ビアホール導体B3,B4は、互いに接続されることにより1本のビアホール導体を構成しており、線路部22a−1と線路部24a−1とを接続している。ビアホール導体B3,B4は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
ビアホール導体B5は、領域E2の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。ビアホール導体B5は、線路部22a−1とグランド導体26のx軸方向の負方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体22とグランド導体26とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B6は、領域E2の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。ビアホール導体B6は、線路部24a−1とグランド導体26のx軸方向の負方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体24とグランド導体26とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B7は、領域E2の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。ビアホール導体B7は、線路部22a−1とグランド導体28のx軸方向の負方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体22とグランド導体28とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B8は、領域E2の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。ビアホール導体B8は、線路部24a−1とグランド導体28のx軸方向の負方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体24とグランド導体28とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B9は、領域E3の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B9は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。ビアホール導体B10は、領域E3の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B10は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。そして、ビアホール導体B9,B10は、互いに接続されることにより1本のビアホール導体を構成しており、線路部22a−2と線路部24a−2とを接続している。ビアホール導体B9,B10は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
ビアホール導体B11は、領域E3の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B11は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。ビアホール導体B12は、領域E3の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、x軸方向に等間隔に一列に並ぶように複数個設けられている(図2では、1つだけ図示)。ビアホール導体B12は、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。そして、ビアホール導体B11,B12は、互いに接続されることにより1本のビアホール導体を構成しており、線路部22a−2と線路部24a−2とを接続している。ビアホール導体B11,B12は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
ビアホール導体B13は、領域E3の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。ビアホール導体B13は、線路部22a−2とグランド導体26のx軸方向の正方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体22とグランド導体26とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B14は、領域E3の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の正方向側に位置している。ビアホール導体B14は、線路部24a−2とグランド導体26のx軸方向の正方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体24とグランド導体26とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B15は、領域E3の線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。ビアホール導体B15は、線路部22a−2とグランド導体28のx軸方向の正方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体22とグランド導体28とは、電気的に接続されている。
ビアホール導体B16は、領域E3の線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線20よりもy軸方向の負方向側に位置している。ビアホール導体B16は、線路部24a−2とグランド導体28のx軸方向の正方向側の端部とを電気的に接続している。これにより、グランド導体24とグランド導体28とは、電気的に接続されている。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている。これにより、保護層14は、グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
また、保護層14は、図2に示すように、線路部14a及び接続部14b,14cにより構成されている。線路部14aは、線路部18a−aの表面の全面を覆うことにより、線路部22a−1,22a−2を覆っている。
接続部14bは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−bの表面を覆っている。ただし、接続部14bには、開口Ha〜Hdが設けられている。開口Haは、接続部14bの略中央に設けられている矩形状の開口である。外部端子16aは、開口Haを介して外部に露出している。また、開口Hbは、開口Haのy軸方向の正方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hcは、開口Haのx軸方向の負方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hdは、開口Haのy軸方向の負方向側に設けられている矩形状の開口である。端子部22bは、開口Hb〜Hdを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14cは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−cの表面を覆っている。ただし、接続部14cには、開口He〜Hhが設けられている。開口Heは、接続部14cの略中央に設けられている矩形状の開口である。外部端子16bは、開口Heを介して外部に露出している。また、開口Hfは、開口Heのy軸方向の正方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hgは、開口Heのx軸方向の正方向側に設けられている矩形状の開口である。開口Hhは、開口Heのy軸方向の負方向側に設けられている矩形状の開口である。端子部22cは、開口Hf〜Hhを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
コネクタ100a,100bはそれぞれ、接続部12b,12cの表面上に実装される。コネクタ100a,100bの構成は同じであるので、以下にコネクタ100bの構成を例に挙げて説明する。
コネクタ100bは、図1及び図5に示すように、コネクタ本体102、外部端子104,106及び中心導体108及び外部導体110により構成されている。コネクタ本体102は、矩形状の板に円筒が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子104は、コネクタ本体102の板のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子106は、コネクタ本体102の板のz軸方向の負方向側の面において、開口Hf〜Hhを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体108は、コネクタ本体102の円筒の中心に設けられており、外部端子104と接続されている。中心導体108は、高周波信号が入力又は出力する信号端子である。外部導体110は、コネクタ本体102の円筒の内周面に設けられており、外部端子106と接続されている。外部導体110は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ100bは、外部端子104が外部端子16bと接続され、外部端子106が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線20は、中心導体108に電気的に接続されている。また、グランド導体22,24は、外部導体110に電気的に接続されている。
以上のように構成された高周波信号線路10には、グランド導体22,24が設けられていない領域E1が1箇所だけ設けられているが、領域E1は複数個所設けられていてもよい。以下では、高周波信号線路10が電子機器に用いられた例を示すが、該高周波信号線路10は2箇所の領域E1を有しているものとする。図6は、高周波信号線路10が用いられた電子機器200をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。図7は、図6(a)のCにおける断面構造図である。
電子機器200は、高周波信号線路10、回路基板202a,202b、レセプタクル204a,204b、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
筐体210は、回路基板202a,202b、レセプタクル204a,204b及びバッテリーパック206を収容している。回路基板202aには、例えば、アンテナを含む送信回路又は受信回路が設けられている。回路基板202bには、例えば、給電回路が設けられている。バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び回路基板202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。
レセプタクル204a,204bはそれぞれ、回路基板202a,202bのz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル204a,204bにはそれぞれ、コネクタ100a,100bが接続される。これにより、コネクタ100a,100bの中心導体108には、回路基板202a,202b間を伝送される例えば2GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204a,204bを介して印加される。また、コネクタ100a,100bの外部導体110には、回路基板202a,202b及びレセプタクル204a,204bを介して、グランド電位に保たれる。これにより、高周波信号線路10は、回路基板202a,202b間を接続している。
ここで、高周波信号線路10は、図6(a)及び図7に示すように、2箇所の領域E1において折り曲げられてバッテリーパック206の表面に貼り付けられている。そして、保護層14とバッテリーパック206とが接着剤等により固定されることにより、高周波信号線路10はバッテリーパック206に貼り付けられている。
(高周波信号線路の製造方法)
以下に、高周波信号線路10の製造方法について図2を参照しながら説明する。以下では、一つの高周波信号線路10が作製される場合を例にとって説明するが、実際には、大判の誘電体シートが積層及びカットされることにより、同時に複数の高周波信号線路10が作製される。
まず、表面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18を準備する。誘電体シート18の銅箔の表面は、例えば、防錆のための亜鉛鍍金が施されることにより、平滑化されている。誘電体シート18は、20μm〜80μmの厚みを有する液晶ポリマーである。また、銅箔の厚みは、10μm〜20μmである。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す外部端子16及びグランド導体22を誘電体シート18aの表面に形成する。具体的には、誘電体シート18aの銅箔上に、図2に示す外部端子16(16a,16b)及びグランド導体22と同じ形状のレジストを印刷する。そして、銅箔に対してエッチング処理を施すことにより、レジストにより覆われていない部分の銅箔を除去する。その後、レジストを除去する。これにより、図2に示すような、外部端子16及びグランド導体22が誘電体シート18aの表面に形成される。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線20を誘電体シート18bの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示すグランド導体24を誘電体シート18cの表面に形成する。なお、これらのフォトリソグラフィ工程は、外部端子16及びグランド導体22を形成する際のフォトリソグラフィ工程と同様であるので、説明を省略する。
次に、誘電体シート18a,18bのビアホール導体b1,b2,B1〜B16が形成される位置に対して、裏面側からレーザービームを照射して、ビアホールを形成する。その後、誘電体シート18a,18bに形成したビアホールに対して、導電性ペーストを充填する。
次に、グランド導体22、信号線20及びグランド導体24がストリップライン構造をなすように、誘電体シート18a〜18cをz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積み重ねる。そして、誘電体シート18a〜18cに対してz軸方向の正方向側及び負方向側から熱及び圧力を加えることにより、誘電体シート18a〜18cを軟化させて圧着・一体化するとともに、ビアホールに充填された導電性ペーストを固化して、図2に示すビアホール導体b1,b2,B1〜B16を形成する。なお、各誘電体シート18は、熱圧着に代えてエポキシ系樹脂等の接着剤を用いて一体化されてもよい。また、ビアホール導体b1,b2,B1〜B16は、誘電体シート18を一体化した後に、貫通孔を形成し、貫通孔に導電性ペーストを充填するかめっき膜を形成することによって形成されてもよい。
最後に、樹脂(レジスト)ペーストを塗布することにより、誘電体シート18a上に保護層14を形成する。これにより、図1に示す高周波信号線路10が得られる。
(効果)
以上のように構成された高周波信号線路10によれば、折り曲げて用いることが可能である。より詳細には、特許文献1に記載の信号線路を折り曲げようとすると、折り曲げた部分において、外周側に位置するグランド導体には引っ張り応力がかかり、内周側に位置するグランド導体には圧縮応力がかかる。銅箔からなるグランド導体は変形しにくいので、グランド導体は信号線路が折り曲げられることを妨げる。更に、大きな引っ張り応力がグランド導体にかかった場合には、外周側に位置するグランド導体が破損するおそれがある。
そこで、高周波信号線路10では、グランド導体22,24は、信号線20の一部を含む領域E1において信号線20と対向していない。すなわち、領域E1には、グランド導体22,24が設けられていない。そのため、高周波信号線路10が領域E1で折り曲げられた場合に信号線20よりも外周側及び内周側に位置するグランド導体22,24が設けられていない。よって、高周波信号線路10が折り曲げられることが、グランド導体22,24によって阻害されない。更に、外周側に位置するグランド導体22又はグランド導体24が破損することが抑制される。以上より、高周波信号線路10によれば、容易に折り曲げることが可能である。
また、高周波信号線路10では、領域E1において、グランド導体26,28が、領域E1において信号線20に沿うように、信号線20が設けられている誘電体シート18b上に設けられている。これにより、領域E1における高周波信号線路10の特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスに保たれている。また、信号線20に近接するグランド導体26,28によって、信号線20からの不要輻射を抑制することができる。
ここで、以下に説明するように、グランド導体26,28がグランド導体22,24の代わりに領域E1に設けられたとしても、高周波信号線路10を容易に折り曲げることが可能である。グランド導体26,28は、信号線20が設けられている誘電体シート18bに設けられている。そのため、高周波信号線路10が領域E1で折り曲げられた場合に、グランド導体26,28には大きな圧縮応力又は大きな引っ張り応力がかかりにくい。そのため、グランド導体26,28は、高周波信号線路10が折り曲げられることを大きく阻害せず、破損する可能性も低い。以上より、高周波信号線路10を折り曲げて用いることが可能である。
また、高周波信号線路10では、折り曲げられた際に、特性インピーダンスが所定の特性インピーダンス(例えば、50Ω)からずれることが抑制される。より詳細には、特許文献1に記載の信号線路では、銅箔からなるグランド導体は、誘電体シートよりも伸び縮みしにくい。そのため、信号線路が折り曲げられると、外周側に位置するグランド導体は、引っ張り応力によって十分に延びることができない。一方、内周側に位置するグランド導体は、圧縮応力によって十分に縮むことができない。そのため、2つのグランド導体に挟まれた誘電体シートは、積層方向に圧縮される。その結果、信号線と2つのグランド導体との距離が小さくなり、信号線路の特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスからずれてしまう。
一方、高周波信号線路10では、領域E1にはグランド導体22,24が設けられていない。グランド導体22,24の代わりに、グランド導体26,28が、領域E1おいて信号線20に沿うように、信号線20が設けられている誘電体シート18b上に設けられている。これにより、高周波信号線路10が領域E1において折り曲げられた場合に、領域E1の誘電体シート18がグランド導体22,24により圧縮されることがない。また、高周波信号線路10が領域E1において折り曲げられた場合であっても、信号線20及びグランド導体26,28は同じ誘電体シート18b上に設けられているので、これらの間隔は殆ど変動しない。よって、高周波信号線路10では、折り曲げられた際に、特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスからずれることが抑制される。
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図8は、第1の変形例に係る高周波信号線路10aの誘電体素体12の分解図である。
高周波信号線路10aと高周波信号線路10との相違点は、グランド導体24に開口30が設けられている点である。より詳細には、高周波信号線路10aでは、線路部24aは、導体層が形成されていない部分である複数の開口30と導体層が形成されている部分である複数のブリッジ部60とが交互に信号線20に沿って設けられることにより、はしご状をなしている。開口30は、図8に示すように、z軸方向から平面視したときに、長方形状をなしており、信号線20と重なっている。これにより、信号線20は、z軸方向から平面視したときに、開口30とブリッジ部60と交互に重なっている。また、開口30は、等間隔に並んでいる。
ここで、高周波信号線路10aの特性インピーダンスは、主に、信号線20と基準グランド導体22との対向面積及び距離、並びに、誘電体シート18a〜18cの比誘電率に基づいて定まる。そこで、高周波信号線路10aの特性インピーダンスを50Ωに設定する場合には、例えば、信号線20と基準グランド導体22によって高周波信号線路10aの特性インピーダンスが50Ωよりもやや高めの55Ωとなるように設計する。そして、信号線20と基準グランド導体22と補助グランド導体24によって高周波信号線路10aの特性インピーダンスが50Ωとなるように、後述する補助グランド導体24の形状を調整する。
補助グランド導体24は、シールドとしても機能するグランド導体である。また、補助グランド導体24は、前記の通り、高周波信号線路10aの特性インピーダンスが50Ωとなるように最終的な調整を行うために設計されている。更に、補助グランド導体24のブリッジ部60のx軸方向の間隔は、使用帯域内において輻射ノイズが発生しないように設計される。以下では、補助グランド導体24のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、補助グランド導体24のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
以上のように構成された高周波信号線路10aでは、開口30が設けられているので、グランド導体24が変形しやすくなる。また、高周波信号線路10では、領域E2,E3において、高周波信号線路10aを所定のインピーダンス(例えば50Ω)に合わせる必要があることから、信号線20とグランド導体22,24間に発生する浮遊容量が大きくなることを防ぐために誘電体シート18の薄型化に限界があった。
一方、高周波信号線路10aでは、開口30により、グランド導体24と信号線20との間に形成される浮遊容量が小さくなることから、誘電体シート18を薄型化することができる。その結果、高周波信号線路10aを曲げることが更に容易となる。また、開口30が設けられることにより、信号線20のy軸方向の線幅を広くすることができるので、高周波抵抗値を小さくすることができる。
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図9は、第2の変形例に係る高周波信号線路10bの誘電体素体12の分解図である。
高周波信号線路10aと高周波信号線路10bとの相違点は、開口30の形状である。以下に、かかる相違点を中心に、高周波信号線路10bの構成について説明する。
高周波信号線路10bでは、グランド導体24は、複数の開口30と複数のブリッジ部60とが交互に信号線20に沿って設けられることにより、はしご状をなしている。ただし、開口30は、図9に示すように、z軸方向から平面視したときに、十字型をなしている。
以上のように構成された高周波信号線路10bでは、開口30のy軸方向の幅は、x軸方向の両端において小さく、x軸方向の中央(すなわち開口30の中央付近)では大きい。これにより、信号線20を流れる電流によって生じる強い磁界がブリッジ部60に直接伝わりにくくなる。そのため、ブリッジ部60のグランド電位が安定し、グランド導体24のシールド効果が保たれる。これにより不要輻射の発生が抑制される。その結果、高周波信号線路10bでは、信号線20とグランド導体22,24との距離を小さくしたとしても、所定の特性インピーダンスを保ったまま、信号線20からの不要輻射の小さい高周波信号線路10bを得ることができる。また、高周波信号線路10bの薄型化を図ることが可能となり、高周波信号線路10bを更に容易に折り曲げることが可能となる。また、開口30が設けられることにより、信号線20のy軸方向の線幅を広くすることができるので、高周波抵抗値を小さくすることができる。
(第3の変形例)
以下に、第3の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図10は、第3の変形例に係る高周波信号線路10cの誘電体素体12の分解図である。
高周波信号線路10cと高周波信号線路10aとの相違点は、開口30の形状である。高周波信号線路10cでは、開口30は、x軸方向に延在するスリットである。すなわち、高周波信号線路10cでは、ブリッジ部60が存在しない。
以上のように構成された高周波信号線路10cでは、開口30が設けられているので、グランド導体24が変形しやすくなる。その結果、高周波信号線路10cを曲げて用いることが容易となる。また、グランド導体24が信号線20と重なる領域を有していないので、信号線20の線幅を広げることができる。したがって、信号線20の伝送ロスを小さくすることができる。
(第4の変形例)
以下に、第4の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図11は、第4の変形例に係る高周波信号線路10dの誘電体素体12の分解図である。
高周波信号線路10dと高周波信号線路10との相違点は、接続部(接続導体部)22d,22e,24d,24eが設けられている点である。
高周波信号線路10dでは、グランド導体22は、接続部22d,22eを更に含んでいる。また、グランド導体24は、接続部24d,24eを更に含んでいる。
接続部22d,22eは、線路部22a−1,22a−2のy軸方向の幅よりも細い線幅を有しており、領域E1においてx軸方向に延在している。ただし、接続部22d,22eは、z軸方向から平面視したときに、信号線20には重なっていない。そして、接続部22d,22eはそれぞれ、線路部22a−1と線路部22a−2とを接続している。高周波信号線路10dを曲げやすくする観点から、接続部22d,22eは、領域E1において平面視でグランド導体26,28と重ならないようにしている。
また、接続部24d,24eは、線路部24a−1,24a−2のy軸方向の幅よりも細い線幅を有しており、領域E1においてx軸方向に延在している。ただし、接続部24d,24eは、z軸方向から平面視したときに、信号線20には重なっていない。そして、接続部24d,24eはそれぞれ、線路部24a−1と線路部24a−2とを接続している。高周波信号線路10dを曲げやすくする観点から、接続部24d,24eは、領域E1において平面視でグランド導体26,28と重ならないようにしている。
高周波信号線路10dのように、領域E1には、接続部22d,22e,24d,24eが設けられていてもよい。ただし、接続部22d,22e,24d,24eの線幅は、領域E1において高周波信号線路10dが折り曲げられることを大きく阻害しない程度が好ましく、例えば、線路部22a−1,22a−2のy軸方向の幅よりも細いことが好ましい。
高周波信号線路10dによれば、線路部22a−1と線路部22a−2とが電気的に接続されているので、グランド導体22の電位が安定して接地電位に保たれるようになる。同様に、線路部24a−1と線路部24a−2とが電気的に接続されているので、グランド導体24の電位が安定して接地電位に保たれるようになる。
(第5の変形例)
以下に、第5の変形例に係る高周波信号線路の構成について図面を参照しながら説明する。図12は、第5の変形例に係る高周波信号線路10eの誘電体素体12の分解図である。
高周波信号線路10eと高周波信号線路10との相違点は、浮遊導体40、42が設けられている点である。
高周波信号線路10eでは、浮遊導体40,42は、領域E1において、信号線20と対向していると共に、無数の開口が設けられているメッシュ状の導体であって、グランド導体22,24及び信号線20に対して電気的に接続されていない。具体的には、浮遊導体40は、領域E1において、誘電体シート18aの表面上に設けられており、グランド導体22とは接続されていない。また、浮遊導体42は、領域E1において、誘電体シート18cの表面上に設けられており、グランド導体24とは接続されていない。これにより、浮遊導体42の電位は、浮遊電位となる。
以上のように構成された高周波信号線路10eは、電子機器200に用いられた際に、領域E1において、特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスからずれることを抑制できる。より詳細には、高周波信号線路10が電子機器200に用いられると、図7に示すように、領域E1では、信号線20とバッテリーパック206との間には、グランド導体等の導体が存在しない。そのため、信号線20とバッテリーパック206とが容量結合し、高周波信号線路10の特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスからずれるおそれがある。
そこで、高周波信号線路10eでは、浮遊導体40,42が設けられている。これにより、信号線20とバッテリーパック206との間には浮遊導体40が存在するようになる。その結果、信号線20とバッテリーパック206とが容量結合することが抑制され、高周波信号線路10の特性インピーダンスが所定の特性インピーダンスからずれることが抑制される。
また、高周波信号線路10eでは、信号線20と浮遊導体40,42とが重なっているので、信号線20が発生する電磁界が不要輻射として高周波信号線路10e外に放射されることが抑制される。
なお、浮遊導体40,42は、領域E1において高周波信号線路10が折り曲げられることを大きく阻害してはいけない。よって、浮遊導体40,42は、開口が設けられていないベタ状の導体層ではなく、比較的に変形し易い、開口が設けられている導体層であることが好ましい。
更に、曲げ性を確保するために、領域E1における誘電体シート18の導体密度(導体形成領域の総面積/誘電体シートの総面積)は、領域E2および領域E3と比較して小さくする必要がある。
(その他の実施形態)
本発明に係る高周波信号線路は、前記実施形態に係る高周波信号線路10,10a〜10eに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
高周波信号線路10,10a〜10eでは、保護層14が設けられているが、保護層14の代わりに誘電体シート18が更に積層されていてもよい。
また、高周波信号線路10,10a〜10eにおいて、誘電体シート18bの表面上に信号線20及びグランド導体26,28が設けられ、誘電体シート18bの裏面にグランド導体24が設けられていてもよい。これにより、2層の誘電体シート18により高周波信号線路10,10a〜10eを作製することが可能となる。また、信号線20とグランド導体24とが同じ誘電体シート18bに形成されているので、誘電体シート18a,18bの積層時に発生する積層ずれによって、信号線20とグランド導体24との位置関係がずれることがない。
また、グランド導体26,28は、いずれか一方のみが設けられていてもよい。ただし、信号線20の特性インピーダンスの調整の観点及び信号線20からの不要輻射の低減の観点から、グランド導体26,28の両方が設けられていることが好ましい。
また、グランド導体26,28は、領域E1において、グランド導体22と対向していない。しかしながら、グランド導体26,28の少なくとも一部が、グラン導体22と領域E1において対向していなければよい。よって、高周波信号線路10dにおいて、グランド導体26,28の一部が、領域E1において、接続部22d,22eと重なっていてもよい。ただし、グランド導体22とグランド導体26,28とが重なると高周波信号線路10dが曲げにくくなる可能性がある。したがって、グランド導体22は、領域E1において、z軸方向から平面視したときに、グランド導体26,28と重ならないようにすることが好ましい。
なお、高周波信号線路10では、図7に示すように、高周波信号線路10の表面が谷折りされているが、高周波信号線路10の裏面が谷折りされてもよい。
なお、高周波信号線路10,10a〜10eにおいて、複数の領域E1が設けられていてもよい。
なお、高周波信号線路10,10a〜10eは、アンテナフロントエンドモジュールなどRF回路基板における高周波信号線路として用いられてもよい。
以上のように、本発明は、高周波信号線路及び電子機器に有用であり、特に、折り曲げて用いることができる点において優れている。
B1〜B16,b1,b2 ビアホール導体
10,10a〜10e 高周波信号線路
12 誘電体素体
12a 線路部
12b,12c 接続部
14 保護層
18a〜18c 誘電体シート
20 信号線
22,24,26,28 グランド導体
22a,24a 線路部
22b,22c,24b,24c 端子部
22d,22e,24d,24e 接続部
26,28 グランド導体
40,42 浮遊導体
E1〜E3 領域

Claims (9)

  1. 可撓性を有する複数の絶縁体層が積層されて構成されている素体と、
    前記素体に設けられている線状の信号線と、
    前記素体に設けられている第1のグランド導体であって、前記信号線の一部を含む第1の領域において該信号線と対向せず、かつ、該第1の領域に隣接する第2の領域において該信号線と対向している第1のグランド導体と、
    前記第1の領域において前記信号線に沿うように、該信号線が設けられている前記絶縁体層上に設けられている第2のグランド導体と、
    を備え、
    前記第2のグランド導体の少なくとも一部は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体と対向しておらず、
    前記素体は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体が前記信号線よりも外周側に位置するように曲げられること、
    を特徴とする高周波信号線路。
  2. 前記第1の領域において前記信号線に沿い、かつ、前記第2のグランド導体と共に該信号線を挟むように、該信号線が設けられている前記絶縁体層上に設けられている第3のグランド導体を、
    更に備え、
    前記第3のグランド導体の少なくとも一部は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体と対向していないこと、
    を特徴とする請求項1に記載の高周波信号線路。
  3. 前記素体に設けられている第4のグランド導体であって、前記信号線を挟んで前記第1のグランド導体と対向し、かつ、前記第1の領域において該信号線と対向していない第4のグランド導体を、
    更に備えていること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の高周波信号線路。
  4. 前記第2のグランド導体及び前記第3のグランド導体は、前記第1のグランド導体及び前記第4のグランド導体と電気的に接続されていること、
    を特徴とする請求項3に記載の高周波信号線路。
  5. 前記第1のグランド導体と前記第2のグランド導体とは、ビアホール導体により電気的に接続されていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の高周波信号線路。
  6. 前記第1のグランド導体は、実質的に前記第1の領域には設けられていないこと、
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の高周波信号線路。
  7. 前記第1のグランド導体は、
    前記第2の領域及び該第2の領域と共に前記第1の領域を挟んでいる第3の領域のそれぞれに設けられている第1のグランド導体部及び第2のグランド導体部と、
    前記第1のグランド導体部と前記第2のグランド導体部とを接続し、かつ、該第1のグランド導体部及び該第2のグランド導体部よりも細い線幅を有している接続導体部と、
    含んでいること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の高周波信号線路。
  8. 前記高周波信号線路は、
    前記第1の領域において、前記信号線と対向していると共に、開口が設けられている浮遊導体であって、前記第1のグランド導体及び前記信号線に対して電気的に接続されていない浮遊導体を、
    更に備えていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の高周波信号線路。
  9. 筐体と、
    前記筐体に収容されている高周波信号線路と、
    を備えており、
    前記高周波信号線路は、
    可撓性を有する複数の絶縁体層が積層されて構成されている素体と、
    前記素体に設けられている線状の信号線と、
    前記素体に設けられている第1のグランド導体であって、前記信号線の一部を含む第1の領域において該信号線と対向せず、かつ、該第1の領域に隣接する第2の領域において該信号線と対向している第1のグランド導体と、
    前記第1の領域において前記信号線に沿うように、該信号線が設けられている前記絶縁体層上に設けられている第2のグランド導体と、
    を備え、
    前記第2のグランド導体の少なくとも一部は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体と対向しておらず、
    前記素体は、前記第1の領域において、前記第1のグランド導体が前記信号線よりも外周側に位置するように曲げられること、
    を特徴とする電子機器。
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