JP5719780B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、防振装置に関するものであり、詳しくは、自動車のエンジンマウント等として用いられる自動車用の防振装置に関するものである。
従来から、自動車や鉄道車両等においては、剛性部品への振動・衝撃の伝達防止を目的とした各種形態の防振装置が用いられている。そのような防振装置としては、金属材料からなる支持部材にゴムを加硫接着した金属材料・ゴム複合体よりなるものが数多く研究、開発され、実際に採用されている。しかし、最近では、特にエンジンマウント等の自動車用防振装置において、その軽量化および製造コストの低減等を目的とし、これまでの金属製支持部材(金属ブラケット等)に代えて、樹脂材料よりなる軽量の樹脂製支持部材(樹脂ブラケット等)を用いた、樹脂・ゴム複合体よりなる防振装置(エンジンマウント等)が多く採用されている。
上記樹脂・ゴム複合体よりなる防振装置において、軽量の樹脂製支持部材(樹脂ブラケット等)を構成する樹脂としては、各種の樹脂材料の中でも、特に耐熱性、耐久性等の優れているものが選択され、用いられることとなるが、現在では、ガラス繊維による補強性、加工時の射出成形性および耐薬品性に優れており、さらに生産コストを低く抑えることができる等の点から、ポリアミド樹脂の採用が有効とされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−214494号公報
ところで、自動車のエンジンマウントでは、エンジンの高出力化や大型化に伴って、高温および高荷重に対応できるものが要請されている。このため、熱による劣化を見越して、また強度向上のため、樹脂ブラケットは厚肉に設計されている。しかしながら、樹脂ブラケットを厚肉化すると、樹脂の結晶化や大きな成形収縮(ひけ)等によりボイドやクラック等の内部欠陥が生じ易く、また高い残留応力が発生したりすることもあり、防振装置全体の強度が低下するという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、全体の強度に優れた防振装置の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の防振装置は、防振機能を持つ加硫ゴム成形体と、上記加硫ゴム成形体を支持した状態で基体に固定する樹脂成形体とが一体化されてなる防振装置であって、上記樹脂成形体は、コア層がスキン層によって挟持されてなるサンドイッチ成形体からなり、上記樹脂成形体を形成するスキン層の一方は、上記加硫ゴム成形体と密着するように配置され、上記スキン層を構成する樹脂組成物(A)が第1の熱可塑性樹脂および無機充填材を含有するとともに、上記コア層を構成する樹脂組成物(B)が第2の熱可塑性樹脂および無機充填材を含有し、上記スキン層の曲げ弾性率をE1,スキン層の曲げ最大歪をε1,上記コア層の曲げ弾性率をE2,コア層の曲げ最大歪をε2としたとき、下記の式(1)および(2)の関係を満たし、かつ上記スキン層の体積比率がサンドイッチ成形体全体の40〜70%であるという構成をとる。
1<(E1/ε1)<(E2/ε2)<10 …(1)
ε1/ε2>1 …(2)
すなわち、本発明者は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂組成物(B)からなるコア層が、特定の樹脂組成物(A)からなるスキン層によって挟持されたサンドイッチ成形体であって、上記スキン層の体積比率が特定の範囲であるサンドイッチ成形体からなる樹脂成形体(樹脂ブラケット)を使用することにより、防振装置全体の強度が向上することを見出し、本発明に到達した。
本発明の防振装置は、特定の樹脂組成物(B)からなるコア層が、特定の樹脂組成物(A)からなるスキン層によって挟持されたサンドイッチ成形体であって、上記スキン層の体積比率が特定の範囲であるサンドイッチ成形体からなる樹脂成形体(樹脂ブラケット)を使用しているため、防振装置全体の強度が向上するという効果を得ることができる。また、本発明の防振装置は、耐熱性にも優れている。
そして、第1の熱可塑性樹脂および第2の熱可塑性樹脂が、いずれもポリアミド樹脂であると、防振装置全体の強度がさらに向上する。
また、無機充填材が、ガラス繊維および炭素繊維の少なくとも一方であると、防振装置全体の強度が特に向上する。
さらに、スキン層が平均繊維長100〜500μmのガラス繊維(x)を含有し、コア層が平均繊維長0.5〜5mmで、ガラス繊維(x)の平均繊維長よりも長いガラス繊維(y)を含有する場合には、防振装置全体の強度がより一層向上する。
本発明の防振装置の一実施の形態を示す外観斜視図である。 上記防振装置を示す正面図である。 図2の防振装置において、丸で囲ったA部を矢符α方向に切断しそれを拡大して示す部分断面図である。 本発明の防振装置の製法の一部を示す模式図である。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
図1および図2は、本発明の防振装置の一実施の形態を示すが、本発明の防振装置はこの実施の形態に何ら限定されるものではない。この防振装置は、防振機能を持つゴム弾性体(加硫ゴム成形体)3が、樹脂ブラケット(樹脂成形体)2で支持されたエンジンマウントである。すなわち、このエンジンマウントは、円筒状金具4の外周面に密着接合した略円筒状のゴム弾性体3と、このゴム弾性体3の外周面に密着接合しゴム弾性体3の外周面を被覆する樹脂ブラケット2とを備えており、この樹脂ブラケット2を利用して車体等の基体に取着される。
本発明においては、上記樹脂ブラケット2が、図3〔図2において丸で囲ったA部を矢符α(図1参照)方向に切断した部分断面図〕に示すように、コア層2aがスキン層2bによって挟持されてなるサンドイッチ成形体からなる。この樹脂ブラケット2は、いずれの個所も、図2において、その表面側(外周側)Xから内周面側Yにかけての断面形状が、図3に示すような、コア層2aを両側からスキン層2bで挟んだ断面サンドイッチ構造に形成されている。
より詳しく述べると、この実施の形態では、図1および図2に示すように、上記樹脂ブラケット2の左右両側の斜面部には、厚肉化による内部欠陥の防止のために、凹部1が設けられ、この部分の厚肉化が防がれている。また、上記樹脂ブラケット2の底部(図2では、下部)の4隅部には、ナット5が埋設されている。また、上記ゴム弾性体3は、円筒状金具4に密着接合する内側筒部3aと,樹脂ブラケット2に密着接合する外側筒部3bと,これらを2ヶ所で連結する連結部3cとからなっており、それらで囲まれている部分は、中空部3dとなっている。
上記エンジンマウントは、車体(図示せず)とエンジン(振動体、図示せず)との間に介装される。すなわち、上記樹脂ブラケット2の一部(図2では、樹脂ブラケット2の底部)が車体(基体)に固定〔樹脂ブラケット2に埋設されたナット5にボルト(図示せず)を螺合させることにより固定〕され、上記円筒状金具4がエンジン側ブラケット(図示せず)に固定され介装される。そして、エンジンの振動が、上記円筒状金具4に密着接合したゴム弾性体3により減衰され、車体に伝達されにくくなるという防振機能が発揮される。
本発明の防振装置は、上記スキン層2bの曲げ弾性率をE1,スキン層2bの最大歪(最大曲げ強度時の歪)をε1,上記コア層2aの曲げ弾性率をE2,コア層2aの曲げ最大歪(最大曲げ強度時の歪)をε2としたとき、下記の式(1)および(2)の関係を満たすことが最大の特徴である。なお、詳細については後述する。
1<(E1/ε1)<(E2/ε2)<10 …(1)
ε1/ε2>1 …(2)
つぎに、上記エンジンマウントの形成材料等について説明する。
まず、上記樹脂ブラケット2(サンドイッチ成形体)の形成材料について説明する。
上記樹脂ブラケット2のスキン層2bの形成材料としては、第1の熱可塑性樹脂および無機充填材を含有する樹脂組成物(A)が用いられる。
一方、上記樹脂ブラケット2のコア層2aの形成材料としては、第2の熱可塑性樹脂および無機充填材を含有する樹脂組成物(B)が用いられる。
上記第1の熱可塑性樹脂,第2の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート等があげられる。中でも、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等の結晶性樹脂が好ましく、成形加工性、耐熱性、経済性、耐薬品性の観点からポリアミド樹脂が特に好ましい。
なお、上記第1の熱可塑性樹脂および第2の熱可塑性樹脂は、スキン層2bとコア層2aとの界面の接着性を得るために、同種の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド116、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド92、ポリアミド99、ポリアミド912、ポリアミド1010、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6/6T、ポリアミド6/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I、およびこれらのポリアミド樹脂を構成するポリアミド成分(モノマー)のうち少なくとも2種類の構造が異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、ならびにこれらの混合物等があげられる。中でも、強度、成形性、経済性の観点からポリアミド6またはポリアミド66を単独でまたは組み合わせて用いることが特に好ましい。
また、上記無機充填材は、熱可塑性樹脂を強化するために使用できるものを適用でき、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維、さらにはタルク、カオリン、雲母、合成フッ素雲母、モンモリロナイト、バーミキュライト、スメクタイト、ゼオライト、ハイドロタルサイト等の層状ケイ酸塩等をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。この中でも、ガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩が優れた補強効果が得られるため好ましく、特に好ましくはガラス繊維、炭素繊維である。
本発明においては、スキン層2b側に、平均繊維長100〜500μmのガラス繊維(x)を含有させ、コア層2a側に、平均繊維長0.5〜5mmで、ガラス繊維(x)の平均繊維長よりも長いガラス繊維(y)を含有させることが好ましい。
まず、ガラス繊維(x)について説明する。
上記ガラス繊維(x)としては、例えば、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)、耐アルカリガラス等のガラス材料から構成されるガラス繊維があげられる。
上記ガラス繊維(x)は、公知のガラス繊維の製造方法により製造され、例えば、上記Eガラス等のガラス材料を溶融紡糸して得ることができる。
上記ガラス繊維(x)の平均繊維長(L)は100〜500μmが好ましく、特に好ましくは150〜500μm、最も好ましくは200〜500μmである。
ガラス繊維(x)の平均繊維長が短すぎると、ガラス繊維(x)による補強効果が低下し、得られる成形体の、常温および高温環境下での曲げ強さが低下する傾向がみられる。ガラス繊維(x)の平均繊維長が長すぎると、曲げ最大歪が小さくなる傾向がみられる。
なお、ガラス繊維(x)の平均繊維長は、成形体とした際の、スキン層2bにおけるガラス繊維の平均繊維長である。
ガラス繊維(x)の平均繊維長は、後述するサンドイッチ成形体の製造方法において、熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂)およびガラス繊維(x)を溶融混練して樹脂組成物を得るに際し、所定の溶融粘度下、溶融混練時のスクリューディメンジョン、スクリュー回転、吐出量等の混練条件を調整することにより制御できる。
ガラス繊維(x)は、必要に応じて、集束剤により集束され、集束されたガラス繊維ストランドを集めて一定の長さに切断した、いわゆるチョップドストランドの形態で使用されることが好ましい。
集束剤としては、マトリックス樹脂との密着性、均一分散性の観点から、例えば、カップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤等があげられる。なかでも、シランカップリング剤を用いることが好ましく、特にアミノシランカップリング剤、グリシジルシランカップリング剤を用いることが好ましい。
ガラス繊維(x)の繊維径(D)は、常温および高温環境下で曲げ強度をより効果的に維持する観点から、4〜13μmであることが好ましく、特に好ましくは7〜11μmである。なお、繊維径とは、ガラスフィラメント(単繊維)1本あたりのガラス繊維径を示す。
ガラス繊維(x)の、平均繊維長/繊維径(L/D)は、低温環境下における耐衝撃性、常温および高温環境下で機械的強度をさらに向上させ、成形体の歪みを抑制する観点から、8〜125であることが好ましく、13〜60であることがより好ましい。
つぎに、ガラス繊維(y)について説明する。
コア層2a中のガラス繊維(y)の平均繊維長は、スキン層2b中のガラス繊維(x)の平均繊維長より長いことが必要である。このようにすることで、コア層2a中において、スキン層2bとの界面で長繊維ガラスが流れ方向に配向しやすくなるとともに、スキン層2bは柔軟性が向上し、コア層2aは剛性が向上する。その結果、得られる成形体は柔軟性に優れ、かつ外部からの力がかかっても応力を低下させることができ、その負荷に充分耐えうるものとなる。その結果、常温および高温環境下における曲げ強度の低下を抑制することが可能になる。
ガラス繊維(y)の平均繊維長(L)は、0.5〜5mmが好ましく、特に好ましくは1〜4mmである。ガラス繊維(y)の平均繊維長が短すぎると、100℃以上の高温環境下において機械的性質が低下し、特に曲げ強さの低下が大きくなる傾向がみられる。ガラス繊維(y)の平均繊維長が長すぎると、成形時の流動性が劣ることから、得られる成形体中にボイドやクラックが発生し、得られる成形体の曲げ強度が低下する傾向がみられる。
なお、ガラス繊維(y)の平均繊維長は、成形体のコア層2aにおけるガラス繊維の平均繊維長である。
ガラス繊維(y)の平均繊維長は、後述するサンドイッチ成形体の製造方法において、コア層2aに含有される各種成分を溶融混練してなるコア層形成用ペレットの、ペレット長を調整することによって制御することができる。例えば、コア層形成用ペレット長を長くすると、コア層2aにおけるガラス繊維(y)の平均繊維長は長くなる。コア層形成用ペレット長を短くすると、コア層2aにおけるガラス繊維(y)の平均繊維長は短くなる。
コア層2aを形成するに際し、ペレットを調製することもできる。ここで、コア層形成用ペレットのペレット長は、成形体中のガラス繊維長を長く保つ観点から、3〜20mmであることが好ましく、より好ましくは5〜15mmである。通常、ペレット長とペレット中に含有されるガラス繊維(y)の平均繊維長とはほぼ同じ長さである。より具体的には、ペレットにおけるガラス繊維(y)の平均繊維長は、ガラス繊維(y)がペレット中において上記ペレットの長手方向に平行して配列した場合は、ペレット長と等しくなる。また、ガラス繊維(y)が上記ペレットの長手方向に対して斜めに配列した場合は、ペレット長よりも少し長くなる。また、ガラス繊維(y)が上記ペレット中で折損した場合はペレット長よりも少し短くなる。
なお、ペレット長とはペレットの最大長を意味するものである。本発明においては、任意に選ばれた30個のペレットにおいて、ノギスを用いて計測したさらに任意10点のペレット長さのうち、最長の長さの上位3点の測定値を平均することによって求めることができる。
ガラス繊維(y)は、繊維長を長く保つ観点から、コア層形成用ペレットの製造に際し、ガラスロービングの形態で使用されることが好ましい。ガラスロービングとしては、100〜200本のガラスフィラメント(単繊維)を集束したストランドを数十本合糸したもの、または数千本を収束したストランドを円筒状に巻き取ったもの等があげられる。
ガラス繊維(y)を構成する材料としては、例えば、上述のガラス繊維(x)と同様の材料があげられる。ガラス繊維(y)は、平均繊維長やその他のサイズが異なること以外は、ガラス繊維(x)と同様の方法によって製造することができる。
ガラス繊維(y)の繊維径(D)は、常温および高温環境下での曲げ強度をより効果的に維持する観点から、11〜23μmであることが好ましく、特に好ましくは11〜17μmである。
ガラス繊維(y)の平均繊維長/繊維径(L/D)は、低温環境下での耐衝撃性、常温および高温環境下での機械的強度をより効果的に維持する観点から、40〜800であることが好ましく、特に好ましくは60〜600である。
ガラス繊維(y)は、カップリング剤により表面処理されていることが好ましい。表面処理により、ガラス繊維(y)への熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂)の含浸が比較的容易に達成されるという利点がある。
上記カップリング剤としては、上述のガラス繊維(x)の集束剤に含まれるカップリング剤と同様のカップリング剤を使用することができる。
なお、本発明においては、スキン層2bを構成する樹脂組成物(A)、コア層2aを構成する樹脂組成物(B)には、熱可塑性樹脂および無機充填材に加えて、さらに熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、可塑剤、離型剤、滑剤等の添加剤を必要に応じて含有しても差し支えない。これらの添加剤はそれぞれ独立して、スキン層形成用ペレットに含有させてもよいし、コア層形成用ペレットに含有させてもよいし、または成形加工時にそれらペレットと混合して用いても良い。
上記熱安定剤や酸化防上剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物等があげられる。また、上記結晶核材としては、例えば、クルク等があげられる。
スキン層2bを構成する樹脂組成物(A)に上記添加剤を含有させる揚合、添加剤の合計含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下であることが好ましい。また、コア層2aを構成する樹脂組成物(B)に上記添加剤を含有させる揚合、添加剤の合計含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下であることが好ましい。
本発明の防振装置は、先に述べたように、上記スキン層2bの曲げ弾性率をE1,スキン層2bの最大歪(最大曲げ強度時の歪)をε1,上記コア層2aの曲げ弾性率をE2,コア層2aの曲げ最大歪(最大曲げ強度時の歪)をε2としたとき、下記の式(1)および(2)の関係を満たすことが必要である。
1<(E1/ε1)<(E2/ε2)<10 …(1)
ε1/ε2>1 …(2)
〈式(1)について〉
(E1/ε1)の値が小さすぎると、サンドイッチ成形体全体の機械的強度が低くなり、特に100℃以上の環境下でのサンドイッチ成形体全体の機械的強度が大きく低下する。(E2/ε2)の値が大きすぎると、サンドイッチ成形体全体の機械的強度が低下する。
(E1/ε1)および(E2/ε2)は、下記の式の関係を満たすことが好ましい。(E1/ε1)の値が大きすぎると、サンドイッチ成形体全体の機械的強度が低下する傾向がみられる。また、(E2/ε2)の値が小さすぎると、サンドイッチ成形体全体の機械的強度が低くなる傾向がみられる。
1<(E1/ε1)<7
3≦(E2/ε2)<10
〈式(2)について〉
(ε1/ε2)の値が小さすぎると、サンドイッチ成形体に外力が加わった際に、コア層2aを挟持しているスキン層2bが破断しやすくなり、サンドイッチ成形体全体の機械的強度が低下する。
本発明において、上記スキン層2bの最大歪ε1は、2.0〜6.0%が好ましく、特好ましくは2.5〜5.0%である。また、上記コア層2aの最大歪ε2は、1.5〜5.0%が好ましく、特に好ましくは1.5〜4.0%である。
また、本発明の防振装置においては、スキン層2bの体積比率が樹脂ブラケット2(サンドイッチ成形体)全体の40〜70%であることが必要であり、好ましくは45〜65%である。スキン層2bの体積比率が低すぎると、機械的強度が低下し、スキン層2bの体積比率が高すぎると、特に100℃以上の高温環境下での機械的強度が大きく低下する。上記のように、スキン層2bの体積比率を40〜70%とすることにより、樹脂ブラケット2を構成するスキン層2b、コア層2aを好ましい厚みや均一の厚みにすることができるようになる。
本発明において、樹脂ブラケット2等のサンドイッチ成形体は、スキン層形成用ペレットおよびコア層形成用ペレットをそれぞれ、いわゆるサンドイッチ成形法における一次材および二次材として供給することによって製造することができる。
スキン層形成用ペレットまたはコア層形成用ペレットを製造する方法は、例えば、二軸押出混練機を用いて混練する方法が好適に用いられる。詳しくは、シリンダーの上流から熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂等)を供給し、シリンダーの中間部で無機充填材(ガラス繊維等)をサイドフィードする。その後、ダイスから樹脂組成物をストランド状に引き取り、冷却固化し、ペレタイザーでカッティングしてペレットを得ることができる。このような方法が経済的に好適である。また、上述の添加剤を添加する場合、添加剤は、予め、それぞれ独立して、スキン層形成用ペレットに含有させてもよいし、コア層形成用ペレットに含有させてもよいし、または成形時においてそれらのペレットと混合して用いても良い。
上記サンドイッチ成形法としては、例えば、射出成形法によるサンドイッチ成形法等があげられる。
射出成形法によるサンドイッチ成形法において、スキン層形成用ペレットを一次材として用い、コア層形成用ペレットを二次材として用いる場合について具体的に説明する。すなわち、まず、溶融させた一次材を金型内に射出する。ついで、時間差をおいて溶融させた二次材を当該金型内に射出する。このとき、一次材の射出は停止してもよいし、停止されずに二次材とともに射出されていてもよい。ついで、二次材を停止し、一次材を再び射出し、一次材でゲートを閉じる。このようにすることで、当該金型内で溶融している一次材の中を二次材が流動し、一次材が押し広げられスキン層2bを形成し、ゲートも一次材で閉じられているので、すべての表面に一次材が形成される。最後に、金型内の材料を充分に冷却/固化して、サンドイッチ成形体を得ることができる。このようにして得られたサンドイッチ成形体は、二次材(コア層2a)が一次材(スキン層2b)に挟み込まれた、または包み込まれたサンドイッチ構造を有する。
つぎに、本発明の防振装置における、上記ゴム弾性体3の形成材料について説明する。
上記ゴム弾性体3を形成するためのゴム弾性体用材料(ゴム組成物)としては、防振機能に優れたものが好ましく、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル変性NBR、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、マレイン酸変性EPM、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化IIR、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
なお、上記ゴム組成物には、必要に応じて、カーボンブラック等の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、滑剤、助剤、可塑剤、老化防止剤等を適宜に配合しても差し支えない。
つぎに、前記図1〜図3に示した防振装置(エンジンマウント)の製法について説明する。すなわち、まず、円筒状金具4を準備し、その外周面(ゴム弾性体3と密着する部分に対応する部分)に接着剤等を塗布した後、その円筒状金具4をゴム弾性体3用の成形金型内の所定位置にセットする。そして、その成形金型内にゴム弾性体用材料を注入した後、所定の条件(例えば、150℃×30分間)で加硫することにより、円筒状金具4が一体化したゴム弾性体3を得ることができる。
ついで、図4の構成図に示すように、樹脂ブラケット2成形用の成形機(サンドイッチ成形用射出成形機)17を準備する。この成形機17は、コア層用ノズル11の外側に、スキン層用ノズル12が同心円状に配置された二重構造のノズルを備えている。そして、図2における、上記ゴム弾性体3の外周部分(樹脂ブラケット2と密着する部分に対応する部分)に接着剤等を塗布した後、ナット5とともにこれらを図4の成形金型15,16内の所定位置にそれぞれセットする。なお、図において、15は固定金型、16は可動金型を示す。つぎに、スキン層用材料である樹脂組成物(A)のペレットを用い、スキン層用シリンダー14からスキン層用ノズル12を介して成形金型15,16のキャビティ(成形空間)内に射出する。それによって、成形金型15,16のキャビティを構成する内壁面およびゴム弾性体3の外周部分にスキン層2bが形成される。その後直ちに、コア層用材料である樹脂組成物(B)のペレットを用い、コア層用シリンダー13からコア層用ノズル11を介して金型15,16のキャビティ内に射出し、コア層2aを形成すると同時に、両層を一体化させて成形を完了する。ついで、固定金型15から可動金型16を脱型する。このようにして、図2に示すようなエンジンマウントが得られる。このエンジンマウントの樹脂ブラケット2は、図3に示すように、コア層2aの外周がスキン層2bで被覆されてなる断面サンドイッチ構造になっている。
なお、上記製造工程において、各部材の作製順序は上記の製造例に限定されるものではなく、例えば、樹脂ブラケット2を成形した後、接着剤を塗布してから、ゴム弾性体3を加硫成形してもよい。
本発明の防振装置において、上記樹脂ブラケット2に係るコア層2aの厚みは、通常、2〜20mmであり、好ましくは2.5〜12mmであり、上記スキン層2bの厚みは、通常、0.5〜8mmであり、好ましくは1〜6mmである。
本発明の防振装置について、上記実施の形態では、エンジンマウントについて説明したが、本発明の防振装置は、それ以外の用途で用いてもよく、例えば、自動車等の車両用のミッションマウント、ボディマウント、キャブマウント、メンバーマウント、デフマウント、コンロッド、トルクロッド、ストラットバークッション、センタベアリングサポート、トーショナルダンパー、ステアリングラバーカップリング、テンションロッドブッシュ、ブッシュ、バウンドストッパー、FFエンジンロールストッパー、マフラーハンガー、スタビライザーリンクロッド、ラジエータサポート、コントロールアーム、サスペンションアーム等に用いてもよい。また、自動車等の車両以外のものにおける防振装置として用いても差し支えない。そして、それに伴って、防振装置の形状も、適宜変更しても差し支えない。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、樹脂ブラケット用のスキン層用材料、コア層用材料として、下記に示す材料を準備した。
〔熱可塑性樹脂〕
〈PA66(ポリアミド66)〉
ユニチカ社製、E2000
〈PA12(ポリアミド12)〉
アルケマ社製、AESNTL
〈PA6T(変性ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)〉
三井化学社製、A3000
〔無機充填材〕
〈ガラス繊維(x)(短繊維)〉
チョップドストランド(日本電気硝子社製、商品名「CS03T275H」)、(繊維径:10μm、平均繊維長:3mm)(アミノシランカップリング剤による表面処理品)
〈ガラス繊維(y)(長繊維)〉
ガラスロービング(試験品)(繊維径:13μm、繊維巻長:3500m)(アミノシランカップリング剤による表面処理品)
〈炭素繊維〉
三菱レーヨン社製、TR06NEB4J(繊維径7μm)
つぎに、上記材料を用いて、スキン層用材料のペレットおよびコア層用材料のペレットをそれぞれ作製した。
〔製造例1〕
ペレットの作製には、同方向二軸押出機(東芝機械社製、TEM37BS)を用いた。この同方向二軸押出機には、上流部に主原料投入用の主ホッパーおよび主ホッパーに主原料を定量供給する連続定量供給装置(クボタ社製)が設けられ、中間部に副原料投入用のサイドフィーダーを設け、下流部に冷却水槽およびペレタイザーが設けられている。
同方向二軸押出機の押出温度を270〜300℃に設定し、同方向二軸押出機の上流部の位置より、連続定量供給装置により主ホッパーから同方向二軸押出機へ、主原料として熱可塑性樹脂であるPA66を65質量部となるように供給し、―方で、同方向二軸押出機の中間部の位置より、サイドフィーダーにより、ガラス繊維(x)を35質量部となるように供給し、PA66とガラス繊維(x)をスクリュー回転数300rpmにて溶融混練した。PA66とガラス繊維(x)の配合比率は、連続定量供給装置による主原料のフィード速度とサイドフィーダーによる副原料のサイドフィード速度の比率で調整した。その後、PA66とガラス繊維(x)を含有する樹脂組成物をダイスから吐出量35kg/hにてストランド状に引き取り、冷却水槽を通して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングしてペレット長3mmのペレットを得た。なお、ダイスから出た樹脂組成物の樹脂温度は290℃であった。
〔製造例2〜7,9〕
下記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合する以外は、製造例1に準じてペレットを作製した。
〔製造例8〕
先端部に含浸ダイボックスを取り付けた同方向二軸押出機(東芝機械社製、「TEM37BS」)を用いた。温度設定280〜300℃で昇温した後、同方向二軸押出機で溶融したポリアミド66をスクリュー回転数200rpm、供給量15kg/hで含浸ダイボックスに送った。溶融したポリアミド66は含浸ダイボックスで溶融状態を保ったまま加温した。
一方で、ガラス繊維の繊維径13μm、単繊維数800本からなるガラス繊維(ガラスロービング)であるガラス繊維(y)を、所定の比率で含浸ダイボックス側方よりボックス内に導入し、含浸ローラでガラスロービングを挟みながら溶融樹脂中を引抜き、ガラスロービングへの溶融樹脂の含浸を行った。含浸ダイボックスから出た樹脂含浸ロービングの樹脂温度は280℃であった。
その後、樹脂槽の下流に位置するフィードローラーにてストランドとして引き取り、水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでペレット長が10mmになるようにカッターの回転数を調整してペレットを得た。
なお、ペレットの調製においては、含浸、および引取条件を調整し、ポリアミド66が65質量部、ガラス繊維(y)が35質量部の配合となるように設定した。得られたペレット中のガラス平均繊維長はペレット長と同じ10mmであった。
上記のようにして得られた製造例1〜9の各ペレットを用い、下記の基準に従い、各物性の測定を行った。これらの結果を、下記の表1に併せて示した。
〔曲げ弾性率E、曲げ最大歪(最大曲げ強度時の歪)εの測定〕
カッティングした各ペレットを乾燥し、シリンダー温度290℃、金型温度90℃の射出成形機(ファナック社製、S−2000i 100B)で射出成形し、試験片を作製した。作製した試験片について、ISO178に準じて曲げ試験を行い、曲げ弾性率Eおよび曲げ最大歪εを測定した。
〔ペレット中のガラス繊維の平均繊維長〕
ペレット10gを秤量瓶に入れ、炭化炉中で600℃にて3時間焼却処理した。焼却完了した秤量瓶を室温で充分に冷却した後、秤量瓶中の残渣よりガラス繊維を取り出し、マイクロスコープ(キーエンス社製、「VH−500型」)にて任意400本のそれぞれのガラス繊維の繊維長を計測し、次式によりガラス繊維の平均繊維長を求めた。
ガラス繊維の平均繊維長=Σ(L1+・・・・+L400)/400
但し、Lnは、1本当たりのガラス繊維の繊維長である。
Figure 0005719780
つぎに、上記樹脂ブラケット形成用の材料となる、スキン層用材料のペレットおよびコア層用材料のペレットを用い、以下のようにして、ゴム弾性体(加硫ゴム成形体)と樹脂ブラケット(樹脂成形体)とが一体化されてなる防振装置(エンジンマウント)を作製した。
〔実施例1〕
(ゴム弾性体用材料の調製)
天然ゴム100質量部に対して、HAFカーボンブラック(東海カーボン社製、シースト3)35質量部、酸化亜鉛(堺化学工業社製、酸化亜鉛1種)5質量部、ステアリン酸(花王社製、ルーナックS−30)2質量部、加硫促進剤(住友化学社製、ソクシノールCZ)0.7質量部、および硫黄(鶴見化学工業社製、サルファックス200S)2質量部を配合し、ニーダーおよび練りロール機を用いて混練することにより、ゴム弾性体用材料(ゴム組成物)を調製した。
(防振装置の作製)
前記図1〜図3に示した防振装置(エンジンマウント)を作製するに際し、円筒状金具として外径24mm,内径12mm,長さ60mmの鉄製のものを準備した。この円筒状金具の外周面(ゴム弾性体と密着する部分に対応する部分)に接着剤を塗布した後、その円筒状金具をゴム弾性体用の成形金型内の所定位置にセットした。そして、その成形金型内にゴム弾性体用材料を注入した後、150℃×30分間加硫することにより、円筒状金具が一体化したゴム弾性体を得た。つぎに、前記図4に示した樹脂ブラケット成形用の成形機(サンドイッチ成形用射出成形機)(JSW社製、J180AD−2M)を準備し、上記ゴム弾性体の外周面(樹脂ブラケットと密着する部分に対応する部分)に接着剤を塗布した後、ナットとともにこれらを上記成形金型内の所定位置にそれぞれセットした。つぎに、スキン層用材料であるペレット(製造例1)を、スキン層用シリンダーからスキン層用ノズルを介して金型のキャビティ内に射出した。続いて、コア層用材料であるペレット(製造例2)を、コア層用シリンダーからコア層用ノズルを介して金型のキャビティ内に射出して成形した(シリンダー温度:290℃,金型温度:80℃)。このようにして、ゴム弾性体(加硫ゴム成形体)と樹脂ブラケット(樹脂成形体)とが一体化された防振装置(エンジンマウント)を作製した。
この防振装置(エンジンマウント)の樹脂ブラケット(縦50mm×横120mm×高さ100mm)は、前記図3に示したように、コア層(厚み4mm)の外周がスキン層(厚み3mm)で被覆されてなる断面サンドイッチ構造になっている。
〔実施例2〜8、比較例1〜6〕
(ゴム弾性体用材料の調製)
実施例1と同様にして、ゴム弾性体用材料(ゴム組成物)を調製した。
(防振装置の作製)
下記の表2および表3に示す、スキン層用材料のペレット、コア層用材料のペレットの組み合わせに変更する以外は、実施例1に準じて、防振装置を作製した。
この防振装置(エンジンマウント)の樹脂ブラケット(縦50mm×横120mm×高さ100mm)は、コア層(厚み4mm)の外周がスキン層(厚み3mm)で被覆されてなる断面サンドイッチ構造になっている。
Figure 0005719780
Figure 0005719780
このようにして得られた実施例および比較例の防振装置を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表2および表3に併せて示した。
〔破壊強度〕
防振装置を治具に固定し、防振装置の円筒状金具内に金属の丸棒を挿入した状態で、丸棒を、図2において上方向に、防振装置が破壊するまで20mm/minの速度で引っ張った。そして、常温(20℃)の環境下にて、引張試験装置(島津製作所社製、オートグラフAG−IS)を使用して破壊時の荷重を測定した。
〔スキン層の体積比率〕
射出成形機によりサンドイッチ成形体のスキン層(一次材)の射出体積およびコア層(二次材)の射出体積を計測した。スキン層(一次材)の体積比率は、射出成形機により計測された一次材の射出体積と二次材の射出体積を加算し、この加算した総体積に対する一次材の射出体積の比率により求めた。
なお、一次材の射出体積および二次材の射出体積はそれぞれ、(射出成形時のスクリュー移動距離)と(シリンダー断面積)との積により算出した。また、射出成形時のスクリュー移動距離は、(計量完了時のスクリュー位置)と(射出完了時のスクリュー位置)との差により算出した。スキン層の体積比率は、サンドイッチ成形体全体の40〜70%であることが必要である。
上記表2および表3の結果から、実施例は、特定の樹脂組成物からなるコア層が、特定の樹脂組成物からなるスキン層によって挟持されたサンドイッチ成形体であって、上記スキン層の体積比率が特定の範囲であるサンドイッチ成形体からなる樹脂ブラケットを用いているため、いずれも破壊強度が優れていた。
なお、実施例で使用した熱可塑性樹脂(PA66、PA12、PA6T)に代えて、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、MA−PPE(無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル)等の熱可塑性樹脂を使用した場合も、ポリアミド樹脂(PA66等)を使用した実施例と略同等の優れた効果が得られることを、本発明者は実験により確認している。
これに対して、比較例1,6は、E1/ε1がE2/ε2を上回るため、破壊強度が劣っていた。
比較例2は、スキン層の体積比率が規定値を下回るため、破壊強度が劣っていた。
比較例3は、スキン層の体積比率が規定値を上回るため、破壊強度が劣っていた。
比較例4は、E2/ε2が規定値を上回るため、破壊強度が劣っていた。
比較例5は、E1/ε1が規定値を下回るため、破壊強度が劣っていた。
なお、上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。また、請求の範囲の均等範囲に属する変更は、全て本発明の範囲内である。
本発明の防振装置は、自動車等の車両に使用されるエンジンマウント、ミッションマウント、ボディマウント、キャブマウント、メンバーマウント、デフマウント、コンロッド、トルクロッド、ストラットバークッション、センタベアリングサポート、トーショナルダンパー、ステアリングラバーカップリング、テンションロッドブッシュ、ブッシュ、バウンドストッパー、FFエンジンロールストッパー、マフラーハンガー、スタビライザーリンクロッド、ラジエータサポート、コントロールアーム、サスペンションアーム等の自動車等の車両用防振装置として好適に使用されるが、自動車等の車両以外のものにおける防振装置として用いても差し支えない。
2 樹脂ブラケット
2a コア層
2b スキン層
3 ゴム弾性体

Claims (4)

  1. 防振機能を持つ加硫ゴム成形体と、上記加硫ゴム成形体を支持した状態で基体に固定する樹脂成形体とが一体化されてなる防振装置であって、上記樹脂成形体は、コア層がスキン層によって挟持されてなるサンドイッチ成形体からなり、上記樹脂成形体を形成するスキン層の一方は、上記加硫ゴム成形体と密着するように配置され、上記スキン層を構成する樹脂組成物(A)が第1の熱可塑性樹脂および無機充填材を含有するとともに、上記コア層を構成する樹脂組成物(B)が第2の熱可塑性樹脂および無機充填材を含有し、上記スキン層の曲げ弾性率をE1,スキン層の曲げ最大歪をε1,上記コア層の曲げ弾性率をE2,コア層の曲げ最大歪をε2としたとき、下記の式(1)および(2)の関係を満たし、かつ上記スキン層の体積比率がサンドイッチ成形体全体の40〜70%であることを特徴とする防振装置。
    1<(E1/ε1)<(E2/ε2)<10 …(1)
    ε1/ε2>1 …(2)
  2. 第1の熱可塑性樹脂および第2の熱可塑性樹脂が、いずれもポリアミド樹脂である請求項1記載の防振装置。
  3. 無機充填材が、ガラス繊維および炭素繊維の少なくとも一方である請求項1または2記載の防振装置。
  4. スキン層が平均繊維長100〜500μmのガラス繊維(x)を含有し、コア層が平均繊維長0.5〜5mmで、ガラス繊維(x)の平均繊維長よりも長いガラス繊維(y)を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の防振装置。
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