JP5466057B2 - 強化ポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法 - Google Patents

強化ポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車エンジンルーム内のような高温高湿環境下において部品として使用することのできるポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂は、その成形品が優れた機械的性質を有することから、金属代替材料として幅広く利用されている。ポリアミド成形品に高剛性、耐熱性を付与させる場合には、通常は繊維状強化材を充填したポリアミド樹脂組成物が用いられており広く普及している。しかしながら繊維状強化材を用いた場合は、射出成形法で得られる成形体には樹脂の流れ方向に応じた繊維状強化材の配向が起き、成形品の強度の異方性が大きいうえに、寸法安定性が低下する。
成形品の寸法安定性を高めることを目的として、繊維状強化材の他に、球状フィラー、板状フィラー等の非繊維状強化材を併用する方法が用いられているが、配合する強化材の量が多く、得られる成形体の重量が増し問題があった。前記問題に対し、特許文献1では熱可塑性樹脂にホウ珪酸ガラス等の中空粒子を充填して軽量化を図る方法が行われ、特許文献2ではポリアミド樹脂にガラスバルーンを充填し軽量化を図るとともに制振性、断熱性を付与している。このような樹脂組成物は、充填する中空粒子の破壊を抑制するため、緩やかな混練条件で樹脂組成物の製造を行い、軽量性、制振性、断熱性に優れる樹脂組成物とすることができる。前記特性を生かして、自動車の軽量化を目的とし、従来の金属部品に置き換え、中空粒子を充填した樹脂組成物を、エンジン周りの機構部品(たとえば、マウント部品)とし採用することが検討されたが、エンジンの重み、また走行に伴う振動により、成形品が割れてしまい、自動車部品として長期にわたって使用するには問題があった。
特開平6−256569号公報 特開2007−119669号公報
本発明は、異方性やボイドが少なく、機械的特性および寸法安定性に優れ、かつ引張荷重が付与された環境での疲労特性に優れた強化ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂とガラス繊維、中空フィラーとを含有したポリアミド樹脂組成物において、中空フィラーを適度な破砕状態とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)、中空フィラー(B)、及びガラス繊維(C)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、(B)および(C)を合わせて30〜70質量%含み、(C)/(B)=3〜140(質量比)で
あり、中空フィラー(B)の破壊率が70〜95質量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)(B)中空フィラー(B)がガラスバルーン、セラミックバルーン、シラスバルーンから選ばれる少なくとも一種であり、真密度が0.4g/cm以下、耐圧強度が2.0〜50MPaであることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂(A)が脂肪族ポリアミドであって、数平均分子量が8000〜25000であることを特徴とする(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)L/D≧30の二軸押出機を用いて、1〜3条を有するフライトスクリューエレメントおよび/または擬楕円型ディスクを3枚以上有するニーディングエレメントを配置したスクリューディメンジョンを1箇所以上に設け、中空フィラーを破砕しながら混練することを特徴とする(1)〜(3)のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(5)(1)〜(3)のポリアミド樹脂組成物を成形してなる平均厚み5mm以上の成形体。
本発明によれば、異方性やボイドは少なく、機械的特性および寸法安定性に優れ、かつ引張荷重が付与された環境での疲労特性に優れた強化ポリアミド樹脂組成物を提供することができ、特に自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿環境下で使用される自動車用エンジンマウントブラケットのような部品に好適に使用できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形体の一例であるエンジンマウントブラケットを模した成形体を示す概略図である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリアミド樹脂は主鎖中にアミド結合を有する重合体であって、ポリε-カプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、
ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリドデカナミド(ナイロン12)などの脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)などの半芳香族ポリアミドや、これらのうち少なくとも2種類の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、あるいは、これらの混合物などである。なかでも、脂肪族ポリアミドが本発明の効果を得られやすく、特に、ナイロン6、ナイロン66が経済的な観点からも好ましい。
本発明で用いるポリアミド樹脂の分子量は特に制限はないが、後述のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出される、数平均分子量(Mn)が8000〜25000の範囲、特に9000〜21000の範囲にあることが好ましい。Mnが8000未満のものは成形品が脆く機械物性およびに劣る傾向があり、25000を越えるものは強度が低く異方性の低減効果が乏しいうえに、成形性が著しく低下する傾向がある。
本発明で用いる中空フィラーとは、たとえばガラスバルーン、セラミックバルーン、シラスバルーンなどの微小中空球、ポーラス(多孔性)ガラス、バイコールガラス、多孔性セラミックスなどの多孔性の無機粒子があげられ、中でも組成物の強度を考慮すればガラスバルーンが好ましい。いずれも一般に市販されている平均粒径5〜200μmの物を好ましく用いることができる。中空フィラーの真密度は0.4g/cm以下であることが好ましく、0.35g/cm以下であることがさらに好ましい。真密度が0.4g/cmを越えると中空フィラーの耐圧強度が高くなり、樹脂成分と混合し溶融する際に、押出成形機や射出成形機の圧力やせん断力、および結晶性樹脂の固化時の収縮圧力により中空フィラーの破砕をさせることができず機械的特性の向上が得られない。
本発明で用いる中空フィラーの耐圧強度は2.0〜50MPaであることが好ましく、3.0〜40MPaであることがさらに好ましい。耐圧強度が2.0MPaを下回ると中空フィラーの強度が低いため機械的性能の向上が得られず、35MPaを越えると樹脂成分と混合し溶融する際に、押出成形機や射出成形機の圧力やせん断力、および結晶性樹脂の固化時の収縮圧力により中空フィラーを破砕させることができず機械的性質の向上が得られない。
本発明で用いる中空フィラーは、ポリアミド樹脂との接着を改善する目的で、予め表面処理剤で処理してもよい。表面処理剤として、たとえば、シラン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系などが挙げられ、処理剤の使用量はフィラーの0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがさらに好ましい。処理方法としては、例えば、希釈によるスプレー法や溶液中への浸漬法などが挙げられる。
ポリアミド樹脂組成中に存在する中空フィラーの内、中空体形状が破壊されている割合(破壊率)は70〜95質量%であることが必要であり、好ましくは80〜95質量%である。破壊率が70質量%未満である場合には、異方性は低減されるものの、強度や疲労特性に劣るものとなり、破壊率が95質量%を超える場合には、それを達成するために、相対的に溶融混錬時のせん断を大きくする必要があり、ガラス繊維も大幅に破損してしまい、強度が低くなってしまうため好ましくない。破壊率は後述する方法で測定できる。
本発明において、ガラス繊維は公知のものを使用できる。ガラス繊維表面には、マトリックス樹脂との密着性、均一分散性の向上のためシラン系、チタン系、ジルコニア系などのカップリング剤を少なくとも1種類、帯電防止剤、及び皮膜形成剤などを含んだ樹脂に適した公知の集束剤により集束され、集束されたガラス繊維ストランドを集めて一定の長さに切断したチョップドストランドの形態で使用される。また、ガラス繊維の材質は、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)、及び耐アルカリガラス等を用いることができる。ガラス繊維の繊維長は1〜10mm、好ましくは1.5〜6mmである。1mm未満ではペレット中の残存繊維長が短く、成形品強度が低くなり、繊維長が10mmを超える場合は溶融混錬する際に定量供給が不安定となり、操業性が悪化する傾向にある。また、繊維径は4〜15μm、好ましくは7〜13μmである。繊維径が4μm未満ではガラス繊維自体の生産が困難であるばかりか溶融混錬する際に定量供給が困難となる傾向があり、15μmを超えると、補強効果が小さくなるため好ましくない。
中空フィラー、およびガラス繊維を合わせた配合量は、ポリアミド樹脂組成物全体に対して30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。配合量が30質量%未満では、強度と引張荷重が付与された環境での疲労特性に乏しくなる。70質量%を超えるとポリアミド樹脂組成物の製造が困難である。
また、ガラス繊維と中空フィラーの配合比は、ガラス繊維/中空フィラー3〜140(質量比)で用いる必要があり、好ましくは4〜120、さらに好ましくは6〜60である。ガラス繊維/中空フィラーの質量比が3未満であると、引張荷重が付与された環境
での疲労強度に劣り、140を超えると、ガラス繊維の異方性を緩和することができず、ボイドが多く、寸法精度に劣るものとなる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物には、上記中空フィラー以外にも、方沸石(立方晶系)、魚眼石(正方晶系)、菱沸石(六方晶系)、グリメン沸石(六法晶系)、ソーダ沸石(斜方晶系)、輝沸石(単斜晶系)、束沸石(単斜晶系)、濁沸石(単斜晶系)、イネサイト(三斜晶系)等のゼオライト、ホウケイ酸ガラス、セラミックフォーム、セラミックハニカム、ペロブスカイト型酸化物、アルミナシリカセラミックス等を配合することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、所定の二軸押出機を用いて製造することができるが、配合する中空フィラーのうち70〜95質量%が破砕していることが必要であるため、二軸押出機に用いるスクリューのディメンジョンと、混練に際して、二軸押出機のどの位置から中空フィラーを投入するかが重要である。中空フィラーの破壊率を高めるためには、二軸押出機に用いるスクリューのディメンジョンを混練度の高いエレメントを用いて構成すること、二軸押出機の上流側より中空フィラーの投入を行うことで達成できる。反対に、中空フィラーの破壊率を低めるためには、二軸押出機に用いるスクリューのディメンジョンを混練度の高いエレメントを用いないこと、二軸押出機の下流に近い投入口、例えば、サイドフィーダーで途中より中空フィラーを投入することで達成できる。中空フィラーの破壊率を70〜95質量%とするためには、上記を適宜組み合わせて調整を行うことで達成が可能である。また、二軸押出機は、L/D≧30の二軸押出機を用いることが適当である。L/D<30の二軸押出機では、中空フィラーの破砕が不十分になるばかりか、ポリアミド樹脂組成物の混練も不十分になり、ポリアミド樹脂組成物としての特性が低下する。
配合する中空フィラーのうち70〜95質量%を破砕する方法としては、スクリューエレメントとして、フライトスクリューエレメント、ニーディングエレメントを用いて混練度を高めることが好ましい。フライトスクリューエレメントとは、ネジ構造が連続したスクリューエレメントであって、条数(フライト数)によって混練度を変えることができ、好ましい条数としては1〜3条である。ニーディングエレメントとは、複数の擬楕円形ディスクが回転軸に対して連続して一定間隔でずれながら配置されたエレメントであり、擬楕円形ディスクの枚数によって混練度を変えることができ、好ましい擬楕円形ディスクの枚数としては3枚以上である。擬楕円形ディスクのディスク幅(W)とスクリュー径(D)の比W/Dによって混合状態を制御することができる。W/D=0.15〜1.5では分散性が高く、中空フィラーの破砕に適しており、W/D=0.02〜0.15では分配性が高く、破砕された中空フィラーをポリアミド樹脂組成物中に均一に分散させることに適している。本発明においては、W/D=0.15〜1.5であるニーディングディスクと、W/D=0.02〜0.15であるニーディングディスクを組み合わせて用いることで、効率よく中空フィラーの破砕を行い、かつポリアミド樹脂組成物中に均一分散させることができる。
また、フライトスクリューエレメントは右ネジ方向を順方向フライトスクリューエレメント、ニーディングエレメントは右回転に擬楕円形ディスクがずれたものを順方向ニーディングエレメントとし、それぞれが順方向の回転によって、混練時の樹脂組成物が進行方向に搬送される。一方、回転方向が逆の逆方向フライトスクリューエレメント、逆方向ニーディングエレメントを用いた場合は、混練時のポリアミド樹脂組成物が、進行方向とは逆向きに搬送される。
以上のフライトスクリューエレメント、ニーディングエレメントを組合わせることで、好ましいポリアミド樹脂組成物の混練、中空フィラーの破砕を行うことができる。これらエレメントは、通常、二軸押出機の混練の上流部(混練ゾーン)に配置し、フィード孔(トップフィード)より、ポリアミド樹脂、中空フィラーからなる樹脂配合物をそれぞれ供給し、混練ゾーンを通過させ、ポリアミド樹脂の十分な混練および中空フィラーの十分な破砕を行った後、フィード孔(サイドフィード)から、ガラス繊維を供給し、ポリアミド樹脂組成物の混練を完了させることができる。フライトスクリューエレメント、ニーディングエレメントの組み合わせからなる混練ゾーンは1箇所に設けても良いし、混練度を増すためには、小分けにして、複数箇所に配置しても良い。ポリアミド樹脂組成物の混練において、フライトスクリューエレメント、ニーディングエレメントの組み合わせからなる混練ゾーンに対して、上流側からガラスバルーンを供給し、下流側からガラス繊維を供給することが重要である。
混練ゾーンに用いる好ましいフライトスクリューエレメント、ニーディングエレメントの組み合わせとしては、フライトスクリューエレメント(順)/ニーディングエレメント(順)/ニーディングエレメント(逆)、フライトスクリューエレメント(順)/ニーディングエレメント(順)/フライトスクリューエレメント(逆)がある。これらは、二軸押出機のL/Dに応じて、用いるエレメントの数と、用いるエレメントの条数、擬楕円形ディスクの枚数、順/逆エレメントの組み合わせを調整することができる。例えば、条数、擬楕円形ディスクの枚数の多いエレメントを用いて、かつ逆エレメントを多用した場合は、短い混練ゾーンにおいて、急激に樹脂組成物に剪断を与え、混練度を増すことができる。その混練度は、中空フィラーの破砕度を確認しながら、適宜スクリューエレメントを組み替えて、所望する中空フィラーの破壊率を得ることができる。
混練条件としては、樹脂を十分可塑化できる温度設定でバレルを加熱し、スクリュー回転100〜700rpmで混練を行うことが好ましい。スクリュー回転100rpm未満であると、混練が不十分になるばかりか、中空フィラーの破砕が不十分になる。スクリュー回転700rpmを越えると、混練が過剰となり、吐出が増えるものの、剪断によりガラス繊維も大幅に破損してしまい、強度が低くなり好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造するに当たっては、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等を添加してもよい。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。結晶核剤としては、タルク、シリカ、グラファイト、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、カプロラクタム2量体などが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常の成形加工方法で目的の成形品とすることができ、例えば射出成形、押出成形、吹き込み成形等の熱溶融成形法によって各種の成形品にしたり、有機溶媒溶液からの流延法により薄膜とすることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に厚肉で成形する際の軽量安定性に優れ、また得られる成形体の合成、耐熱性が高いために、特に平均厚み5mm以上の成形体で好適に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂成形体の用途は特に限定されないが、100℃を超える高温高湿度条件下で使用される部品、例えば、自動車用部品、電気部品、家庭用品等に適している。自動車部品としては具体的には自動車のエンジン周りで使用される部品があり、特にエンジンマウント、インテークマニホールド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、トルクロッド等に好適に用いられる。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた原料および物性測定方法は次の通りである。
1.測定方法
(1)ポリアミド樹脂の数平均分子量 Mn
示差屈折率計を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(Waters社製 ALC/GPC150C型)により、標準サンプルとしてポリスチレンを用い、カラム温度100℃で、溶出液としてメタクレゾールを用い、流速 0.4ml/min、試料濃度0.1重量%で測定した。
(2)中空フィラーの真密度
ベックマンの空気比較式比重計を用いてASTM D2840に準拠して測定した。なお、真密度とは空気を排除した粉体密度を意味する。
(3)中空フィラーの耐圧強度
静水圧体積減少法(体積減少率が容積で10%の静水圧力)に準拠して測定した。
(4)中空フィラーの平均粒子径
レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて測定した。累積重量平均値(D50)を平均粒子径とした。
(5)引張強さ A
180mm×180mm×4mmtのフィルムゲートを有するプレートから、樹脂の流動方向にそって試験片を切り出し、ISO527−1 527−2に準拠して測定した。200MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは215MPa以上である。
(6)引張強さ B
180mm×180mm×4mmtのフィルムゲートを有するプレートから、樹脂の流動方向に対して直角方向にそって試験片を切り出し、ISO527−1 527−2に準拠して測定した。140MPaであることが好ましく、さらに好ましくは150MPa以上である。また、A/Bの比は1.5以下であることが異方性が少なく好ましい。
(7)引張強さ C
図1に示すようなエンジンマウントブラケットを模した円筒状上部に台座部が接合された形状を有する幅40mmの成形体を射出成形により得た。円筒状上部は外径100mm、内径80mm、厚み10mmであり、台座部は厚み10mmでボルト固定用穴2つを有する。ボルト2本を用いて成形体台座部を引張試験機に固定し、成形体円筒状上部に外径50mmの金属棒を通し、金属棒両端を支持、20mm/分で上方に引張り、成形体が破壊するときの強度を測定した。破壊強度は28kN以上、特に30kN以上であることが好ましい。
(8) 疲労強度
JIS K7118に準じて、片振り引張疲れ限度(10回までに破壊しない応力の上限値)を23℃×50%RHでの平衡吸水率まで吸水させた状態で、100℃空気中、繰り返し速度1800rpmの条件で測定した。65MPa以上であることが好ましく、さ
らに好ましくは70MPa以上である。
(9) ボイドとクラックの観察
125mm×12.5mm×12.5mmtの試験片を成形した後、125mm×6.25mm×12.5mmtに切断し、切断面を目視にてボイドとクラックの有無を観察した。ボイドまたはクラックがなければ○、あるならば×とした。
(10) 中空フィラーの破壊率
組成物ペレットを灰化した後の残渣を水中に入れ沈降物と浮遊物(中空フィラー)を分離し、浮遊した中空フィラーが組成物ペレット中に占める比率R1を算出する。組成物ペレット作成時に添加した中空フィラーの配合率R2とした場合、中空フィラーの破壊率(%)=(R2−R1)/R2×100として求めた。なお、ここで、破壊された中空体はすべて水中で沈降し、また、破壊していない中空フィラーはすべて水に浮くものとして、中空フィラーの破壊率の算出を行った。
2.原料
(A) ポリアミド樹脂
・PA−1: ユニチカナイロン6(ユニチカ社製A1012;Mn10000)
・PA−2: ユニチカナイロン66(ユニチカ社製E2001;Mn13000)
・PA−3: ユニチカナイロン66(ユニチカ社製A125;Mn20000)
・PA−4: ユニチカナイロン6(ユニチカ社製A1030BRT;Mn27000)
(B) 中空フィラー
・GB−1: ガラスバルーン(真密度0.20g/cm、耐圧強度3.5MPa、平均粒子径60μm)
・GB−2: ガラスバルーン(真密度0.32g/cm、耐圧強度31MPa、平均粒子径45μm)
・GB−3: ガラスバルーン(真密度0.125g/cm、耐圧強度1.7MPa、平均粒子径65μm)
・GB−4: ガラスバルーン(真密度0.60g/cm、耐圧強度69MPa、平均粒子径30μm)
・SB−1: セラミックバルーン(真密度0.35g/cm、耐圧強度35MPa、平均粒子径40μm)
(C) ガラス繊維
・GF−1: チョップドストランド(日東紡社製CS3DE459;繊維径7μm、繊維長3mm)
・GF−2: チョップドストランド(日東紡社製CS3H459;繊維径10μm、繊維長3mm)
実施例1
ポリアミド樹脂(PA−1)39質量%およびガラスバルーン(GB−1)1質量%をクボタ社製連続定量供給装置を用いて、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の最も上流側に位置するフィード孔(トップフィード)より供給して溶融混練し、ディスク幅(W)とスクリュー径(D)の比W/D=0.85、山数が3の楕円形のニーディングディスクを2枚有するニーディングエレメントを配置した混練ゾーンにてガラスバルーンを破砕した後、ガラス繊維(GF−2)60質量%をサイドフィードにて供給し、ダイスからストランド状に引き取った後、水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定280〜290℃で、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/h、ダイスから出たポリアミド樹脂組成物の樹脂温度290℃であった。
次いで得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いてシリンダー温度280℃、金型温度100℃の条件で射出成形して物性測定試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例2
ポリアミド樹脂(PA−2)50質量%およびガラスバルーン(GB−2)10質量%をクボタ社製連続定量供給装置を用いて、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の最も上流側に位置するフィード孔(トップフィード)より供給して溶融混練し、W/D=1.04、山数が5の多角形のニーディングディスクを3枚有するニーディングエレメントを配置した混練ゾーンにてガラスバルーンを破砕した後、ガラス繊維(GF−1)40質量%をサイドフィードにて供給し、ダイスからストランド状に引き取った後、水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定280〜290℃で、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/h、ダイスから出たポリアミド樹脂組成物の樹脂温度290℃であった。
次いで得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いてシリンダー温度280℃、金型温度100℃の条件で射出成形して物性測定試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例3〜8
表1に示す成分比率、混練時のスクリュー構成にした他は、実施例1と同様にして試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
ポリアミド樹脂(PA−2)50質量%をクボタ社製連続定量供給装置を用いて、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の最も上流側に位置するフィード孔(トップフィード)より供給して溶融混練し、ガラス繊維(GF−1)50質量%をサイドフィードにて供給し、ダイスからストランド状に引き取った後、水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定280〜290℃で、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/h、ダイスから出たポリアミド樹脂組成物の樹脂温度290℃であった。
次いで得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いてシリンダー温度290℃、金型温度100℃の条件で射出成形して物性測定試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例2〜4
表2に示す成分比率、混練時のスクリュー構成にした他は、実施例1と同様にして試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表2に示す。なお、比較例4では、同方向二軸押出機のスクリュー構成中にニーディングエレメントを配置せず溶融混練を行った。
実施例と比較例の対比からも明らかなように、中空フィラーを破砕して成るポリアミド樹脂組成物は、異方性やボイドが少なく、機械的特性および寸法安定性に優れ、かつ引張荷重が付与された環境での疲労特性に優れたものが得られた。
比較例1は、中空フィラーを用いなかったために、成形品にボイドやクラックが観察され、引張強さB、引張強さCが低かった。また、異方性は高かった。
比較例2は、(C)/(B)の比率が規定値の下限を下回ったために、引張強さA、引張強さB、引張強さC、および引張荷重が付与された環境での疲労強度が劣った。
比較例3は、(C)/(B)の比率が規定値の上限を上回ったために、ガラス繊維の異方性を緩和することができず、ボイドが多く、引張強さCが低かった。
比較例4は、中空フィラーの破壊率が規定より小さかったために、異方性は低減されるものの、引張強さA、引張強さB、引張強さCが低く、疲労特性が劣るものとなった。
比較例5は、ポリアミド樹脂組成物の混練時に、好ましいスクリュー構成を用いなかったため、中空フィラーの破壊率が規定より小さく、引張強度や疲労特性に劣るものとなった。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂(A)、中空フィラー(B)、及びガラス繊維(C)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂組成物100質量%中、(B)および(C)を合わせて30〜70質量%含み、(C)/(B)=3〜140(質量比)であり、中空フィラー(B)の破壊率が70〜95質量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. (B)中空フィラー(B)がガラスバルーン、セラミックバルーン、シラスバルーンから選ばれる少なくとも一種であり、真密度が0.4g/cm以下、耐圧強度が2.0〜50MPaであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. ポリアミド樹脂(A)が脂肪族ポリアミドであって、数平均分子量が8000〜25000であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. L/D≧30の二軸押出機を用いて、1〜3条を有するフライトスクリューエレメントおよび/または擬楕円型ディスクを3枚以上有するニーディングエレメントを配置したスクリューディメンジョンを1箇所以上に設け、中空フィラーを破砕しながら混練することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる平均厚み5mm以上の成形体。
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