JP2019116560A - 熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】単一の充填材により、機械強度及び寸法精度の双方ともに優れる、熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる射出成形品を提供する。【解決手段】熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラー破砕物と、を含む熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形してなる成形品であって、成形品中に含有される、球状フィラー破砕物と、破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計量に占める、破砕されていない球状フィラーの比率により表される球状フィラー残存率が20質量%以下である成形品である。【選択図】なし
Description
本発明は、充填材を含む熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品及びその製造方法に関する。
樹脂組成物において、機械的特性等の性能の向上を目的として種々の形状の充填材が添加される。そのような充填材としては、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材や、ガラスフレークやタルク等の板状充填材、ガラスビーズ等の球状充填材などが挙げられる。繊維状充填材は、機械強度向上の目的で使用される傾向にあり、板状充填材及び球状充填材は寸法精度向上(異方性の低減)の目的で使用される傾向にある。
板状充填材と球状充填材とを比較すると、成形品の機械強度向上の目的には、板状充填材の方が球状充填材よりも適している。また、成形品の寸法精度向上の目的には、球状充填材の方が板状充填材よりも適している。つまり、板状充填材及び球状充填材は、それぞれにおいて特長が異なり、単独では機械強度及び寸法精度のいずれの性能にも優れているとは言い難い。単一の充填材で、成形品の機械強度及び寸法精度の双方ともに優れるものがあれば有用である。そこで、板状充填材及び球状充填材の中間的な形状として、曲面形状を有する充填材が、その形状を考慮すると板状充填材及び球状充填材の中間的な性能を有すると予想される。つまり、機械強度も寸法精度も、板状充填材と球状充填材との間の性能となることが予想される。
上記のような曲面形状を有する充填材として、湾曲部を含み、かつ、非環状であるフィラーが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィラーは、中空球体(球殻)を分割(粉砕)して作製されたものである。特許文献1においては、ELパネルの基板と封止プレートとを接着する接着剤(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂)中に上記形状のフィラーを添加し、水、CO2、O2等の系外成分の進行を遅延化させている。つまり、特許文献1に記載のフィラーは、それを添加する接着剤の強度及び寸法精度の向上を目的として添加されるものではない。このことは、上記の通り特許文献1は熱硬化性樹脂からなる接着剤を想定したものであること、すなわち、射出成形時の流動による分子鎖や充填材の配向が、強度や収縮率の異方性に影響を及ぼすような、熱可塑性結晶性樹脂の射出成形品を想定したものではないことから明らかである。
一方、中空球体状の充填材として、ガラスバルーンを用いた樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。これらにおいては、軽量化及び低誘電率化等を目的として中空のガラスバルーンを用いたものであり、いずれもガラスバルーンの破壊を抑制するための工夫がなされている。つまり、特許文献2及び3においてはいずれも、樹脂組成物中にガラスバルーンを添加し、その残存率の低下を抑えることを目的としており、ガラスバルーンはその形状の維持が図られている。
以上のように、樹脂組成物中に、曲面形状を有する充填材を添加することは知られているが、射出成形品を構成する熱可塑性結晶性樹脂を含む組成物中において、機械強度及び寸法精度の双方ともに向上させることを目的として曲面形状を有する非球状の充填材を添加することは知られていない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、単一の充填材により、機械強度及び寸法精度の双方ともに優れる、熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品及びその製造方法を提供することにある。
上記の通り、曲面形状を有する充填材は、樹脂組成物の機械強度及び寸法精度において、板状充填材及び球状充填材の中間的な性能を有すると予想される。ところが、本発明者らは、所定の曲面形状を有する充填材は、実際には、機械強度においては板状充填材と同等であり、寸法精度においては球状充填材と同等であることを見出した。つまり、樹脂組成物において、所定の曲面形状の充填材を用いることで、機械強度も寸法精度も優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決する本発明の一態様は以下の通りである。
前記課題を解決する本発明の一態様は以下の通りである。
(1)熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラー破砕物と、を含む熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形してなる成形品であって、前記成形品中に含有される、前記球状フィラー破砕物と、破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計量に占める、破砕されていない球状フィラーの比率により表される球状フィラー残存率が20質量%以下である成形品。
(2)破砕前の球状フィラーが中空フィラーである前記(1)に記載の成形品。
(3)破砕前の球状フィラーがガラスからなる前記(1)又は(2)に記載の成形品。
(4)球状フィラー破砕物の比誘電率が10以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の成形品。
(5)レーザー回折/散乱式粒度分布測定により求められる、破砕前の球状フィラーのメジアン径(d50)が10〜100μmである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の成形品。
(6)球状フィラー破砕物及び破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計含有量が、熱可塑性結晶性樹脂100質量部に対して、5〜80質量部である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の成形品。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の成形品を製造する製造方法であって、
熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラーとを混合し、溶融押出しにより熱可塑性結晶性樹脂組成物を得る工程と、前記熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形する工程とを含み、前記成形品中に含有される前記球状フィラーのうち、破砕されていない状態で残存している球状フィラー残存率が20質量%以下となるように、溶融押出及び/又は射出成形における溶融混練により球状フィラーを破砕する、成形品の製造方法。
熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラーとを混合し、溶融押出しにより熱可塑性結晶性樹脂組成物を得る工程と、前記熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形する工程とを含み、前記成形品中に含有される前記球状フィラーのうち、破砕されていない状態で残存している球状フィラー残存率が20質量%以下となるように、溶融押出及び/又は射出成形における溶融混練により球状フィラーを破砕する、成形品の製造方法。
本発明によれば、単一の充填材により、機械強度及び寸法精度の双方ともに優れる、熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品及びその製造方法を提供することができる。
<成形品>
本実施形態の成形品は、熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラー破砕物と、を含む熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形してなる成形品であって、成形品中に含有される、球状フィラー破砕物と、破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計量に占める、破砕されていない球状フィラーの比率により表される球状フィラー残存率が20質量%以下であることを特徴としている。以下にまず、本実施形態の成形品を構成する熱可塑性結晶性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と呼ぶことがある。)中の各成分について説明する。
本実施形態の成形品は、熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラー破砕物と、を含む熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形してなる成形品であって、成形品中に含有される、球状フィラー破砕物と、破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計量に占める、破砕されていない球状フィラーの比率により表される球状フィラー残存率が20質量%以下であることを特徴としている。以下にまず、本実施形態の成形品を構成する熱可塑性結晶性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と呼ぶことがある。)中の各成分について説明する。
[熱可塑性結晶性樹脂]
本実施形態に係る熱可塑性結晶性樹脂としては特に制限はなく、種々のものを用いることができる。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT樹脂」とも呼ぶ。)、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマー、ポリアミド樹脂などが挙げられる。以下に、PBT樹脂を挙げて説明するが、本実施形態においてはそれに限定されるものではない。
本実施形態に係る熱可塑性結晶性樹脂としては特に制限はなく、種々のものを用いることができる。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT樹脂」とも呼ぶ。)、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマー、ポリアミド樹脂などが挙げられる。以下に、PBT樹脂を挙げて説明するが、本実施形態においてはそれに限定されるものではない。
(ポリブチレンテレフタレート樹脂)
PBT樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られる樹脂である。PBT樹脂は、ホモポリブチレンテレフタレートに限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
PBT樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られる樹脂である。PBT樹脂は、ホモポリブチレンテレフタレートに限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されない。PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、30meq/kg以下が好ましく、25meq/kg以下がより好ましい。
PBT樹脂の固有粘度(IV)は、0.65〜1.20dL/gであることが好ましい。かかる範囲の固有粘度のPBT樹脂を用いる場合には、得られる樹脂組成物が特に機械的特性と流動性に優れたものとなる。逆に固有粘度0.65dL/g未満では優れた機械的特性が得られず、1.20dL/gを超えると優れた流動性が得られないことがある。
また、固有粘度が上記範囲のPBT樹脂は、異なる固有粘度を有するPBT樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度0.9dL/gのPBT樹脂と固有粘度0.7dL/gのPBT樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.8dL/gのPBT樹脂を調製することができる。PBT樹脂の固有粘度(IV)は、例えば、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
また、固有粘度が上記範囲のPBT樹脂は、異なる固有粘度を有するPBT樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度0.9dL/gのPBT樹脂と固有粘度0.7dL/gのPBT樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.8dL/gのPBT樹脂を調製することができる。PBT樹脂の固有粘度(IV)は、例えば、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
PBT樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸がより好ましい。
PBT樹脂において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2−6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に使用できるコモノマー成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−カルボキシ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(ε−カプロラクトン等)等のC3−12ラクトン;これらのコモノマー成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体、酸ハロゲン化物、アセチル化物等)が挙げられる。
[球状フィラー破砕物]
本実施形態の成形品を構成する樹脂組成物に含まれる球状フィラー破砕物は、球状フィラーを破砕して得られ、球状フィラーの残存率が20質量%以下のものである。本実施形態の成形品は、このような球状フィラー破砕物を含むことで、機械強度及び寸法精度の双方ともに優れる。
本実施形態の成形品を構成する樹脂組成物に含まれる球状フィラー破砕物は、球状フィラーを破砕して得られ、球状フィラーの残存率が20質量%以下のものである。本実施形態の成形品は、このような球状フィラー破砕物を含むことで、機械強度及び寸法精度の双方ともに優れる。
球状フィラー破砕物は、球状フィラーを破砕して得られるものであり、破砕されていない状態で残存している球状フィラー(残存率:20質量%以下)と、球状フィラーの破片とを多数含む集合物である。球状フィラーが中実の場合、各破片の主な形状としては、半球状、球欠状、球台状、それらに近似する形状、又はそれらの破片などの形状が挙げられる。球状フィラーを無秩序に破砕したものであるから、中には歪な形状の破片をも含む。
本実施形態において、樹脂組成物を射出成形してなる成形品に含まれる、球状フィラー破砕物中の未破砕球状フィラーの残存率は20質量%以下であるが、当該残存率が20質量%を超えると、成形品の強度を高くすることができない。当該残存率は15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の成形品中の球状フィラー(中実の場合)の残存率は、例えば当該成形品の任意の領域について、X線CT等の公知の方法によって、連続的な断面画像を撮影し、個々の球状フィラーを観察し、破砕物及び未破砕物をカウントすることで求めたり、当該成形品の任意の箇所から小片状試料を切削し、それをガラス板に挟んで加圧しながら樹脂の融点程度に加熱し、フィルム状に加工した上で顕微鏡観察することで、個々の球状フィラーを観察し、破砕物及び未破砕物をカウントすることで求めたりすることができる。このときのフィルムの厚さは、樹脂組成物中に含有される球状フィラーや他の充填材のサイズを考慮して観察しやすい厚さに適宜設定すればよく、例えば球状フィラーの平均粒径の1.5〜5倍程度の厚さにすればよい。
球状フィラー破砕物の由来となる球状フィラーとしては、破砕しやすい点で、中空フィラーであることが好ましい。この場合、球状フィラー破砕物は、中空フィラーを破砕したものであり、破砕されずに残存した中空フィラー(残存率:20質量%以下)と、中空フィラーの破片(形状としては球殻の一部)とを多数含む集合物である。
なお、樹脂組成物を射出成形してなる成形品中の中空フィラーの残存率は以下の式に基づき算出することができる。
ρ=100/[α/ρ1+γX/ρ2+γ(1−X)/ρ3]
α:熱可塑性結晶性樹脂の質量%
β:中空フィラーの質量%
ρ:熱可塑性結晶性樹脂組成物の比重
ρ1:熱可塑性結晶性樹脂の比重
ρ2:中空フィラーの比重
ρ3:中空フィラーの材料比重
X:中空フィラー残存率
また、熱可塑性結晶性樹脂及び中空フィラー以外の成分を含む場合、その成分の質量%(γ)をその成分の比重(ρ4)で除した項(γ/ρ4)を上記式の角括弧([])内の多項式中に加えた式に基づき算出することができる。
なお、樹脂組成物を射出成形してなる成形品中の中空フィラーの残存率は以下の式に基づき算出することができる。
ρ=100/[α/ρ1+γX/ρ2+γ(1−X)/ρ3]
α:熱可塑性結晶性樹脂の質量%
β:中空フィラーの質量%
ρ:熱可塑性結晶性樹脂組成物の比重
ρ1:熱可塑性結晶性樹脂の比重
ρ2:中空フィラーの比重
ρ3:中空フィラーの材料比重
X:中空フィラー残存率
また、熱可塑性結晶性樹脂及び中空フィラー以外の成分を含む場合、その成分の質量%(γ)をその成分の比重(ρ4)で除した項(γ/ρ4)を上記式の角括弧([])内の多項式中に加えた式に基づき算出することができる。
球状フィラーの材質としては、ガラス、セラミックなどが挙げられる。破砕しやすい点ではセラミックが好ましく、後述する比誘電率の観点ではガラスが好ましい。ガラスからなる球状フィラーとしてはガラスビーズが挙げられ、ガラスからなる中空の球状フィラーとしてはガラスバルーンが挙げられる。
本実施形態の成形品の比誘電率は、電子機器筐体やコネクタ、特に高周波通信機器部品用の材料として用いる場合、3GHzの空洞共振器摂動法において4以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.2以下であることがさらに好ましく、3以下であることが特に好ましい。このような成形品を得る方法としては、添加する球状フィラーの比誘電率を低くすることが挙げられ、上記の中空フィラーは、内部に比誘電率の低い空気が封入されている点で有効であり、成形品の比誘電率を低くするために添加される場合がある。しかし、本実施形態のように、球状フィラーを破砕して用いる場合、中空フィラーを用いても、球殻が破砕されることで内部の空気が解放されるため、成形品の比誘電率を低減する効果が得難くなる。そこで、球状フィラー破砕物の比誘電率、すなわち球状フィラー自体を構成する素材の比誘電率が、IEC60250の静電容量法において10以下のもの、好ましくは5以下、より好ましくは4以下のものを用いることで、球状フィラー(特に中空フィラー)の残存率が低い場合であっても低誘電率化を実現することができる。
上記の通り、球状フィラー破砕物は、球状フィラーを破砕して得られるが、球状フィラーの破砕は、熱可塑性結晶性樹脂との混合前でも混合後でもよい。混合前に破砕するには、粉砕機などを用いて球状フィラーの残存率が20質量%以下となるまで粉砕すればよい。また、混合後に破砕するには、押出機により溶融押出及び/又は成形機により射出成形する過程で、熱可塑性結晶性樹脂と球状フィラーを溶融混練する際に、球状フィラーの残存率が20質量%以下となるように条件を適宜設定すればよい。当該条件としては、樹脂の溶融粘度、溶融温度、押出機のスクリュ回転数、スクリュパターン、シリンダー温度、混練時間、成形機のスクリュ回転数、シリンダー温度、射出速度、保圧力などが挙げられる。また、溶融押出によって得たペレット状の樹脂組成物を再度押出機に投入したり、射出成形によって得た成形品を粉砕等にてチップ状にしたものを押出機や成形機に投入したりして、複数回溶融混練(リラン)することでも、球状フィラーの破砕を促進することができる。
本実施形態において、破砕前の球状フィラーの平均粒径は、球状フィラーの入手性(製造しやすさ)や破砕しやすさの観点から、10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。平均粒径は、JIS Z8825−1に準じたレーザー回折/散乱式粒度分布測定によりメジアン径(d50)として求められる。また、平均粒径が異なる球状フィラーを混合して用いてもよい。
破砕前の球状フィラーの耐圧強度(90%残存)は、破砕しやすさ及び成形品の強度向上効果の点で、0.1〜200MPaのものであることが好ましく、0.5〜150MPaのものであることがより好ましく、1.0〜100MPaのものであることがさらに好ましく、1.5〜50MPaであることが好ましい。破砕前の球状フィラーが中空フィラーである場合、耐圧強度は中空フィラーの球殻の厚さに比例するため、同じく球殻の厚さに相関する真密度の値から、相対的な傾向を知ることができる。耐圧強度には、当該中空フィラーの材質自体の強度も影響するが、例えば中空フィラーがガラスからなるものである場合、真密度は0.1〜1.0g/cm3であることが好ましく、0.15〜0.8g/cm3であることがより好ましく、0.2〜0.6g/cm3であることがさらに好ましい。
本実施形態の成形品を構成する樹脂組成物において、球状フィラー破砕物及び破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計含有量は、機械強度及び寸法精度に優れる点で、熱可塑性結晶性樹脂100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、10〜45質量部であることがより好ましい。
[他の充填材]
本実施形態の成形品を構成する樹脂組成物において、球状フィラー破砕物以外の他の充填材と併用してもよい。そのような充填材としては、繊維状充填材、板状充填材、球状充填材(球状フィラー破砕物(破砕されずに残存したものを含む)とは別種のもの)、粉粒状充填材、その他不定形の充填材が挙げられる。
本実施形態の成形品を構成する樹脂組成物において、球状フィラー破砕物以外の他の充填材と併用してもよい。そのような充填材としては、繊維状充填材、板状充填材、球状充填材(球状フィラー破砕物(破砕されずに残存したものを含む)とは別種のもの)、粉粒状充填材、その他不定形の充填材が挙げられる。
[他の成分]
本実施形態においては、その効果を害さない範囲で、上記各成分の他、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、即ち、バリ抑制剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤、腐食防止剤、耐衝撃性改良剤、流動性改良剤、耐加水分解性向上剤等を配合してもよい。
本実施形態においては、その効果を害さない範囲で、上記各成分の他、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、即ち、バリ抑制剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤、腐食防止剤、耐衝撃性改良剤、流動性改良剤、耐加水分解性向上剤等を配合してもよい。
本実施形態の成形品を得る方法としては射出成形によるものであれば特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、本実施形態の熱可塑性結晶性樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化し、このペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで成形品を作製することができる。
<熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品の製造方法>
以上の本実施形態の熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品を製造する、本実施形態の熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品の製造方法は、熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラーとを混合し、溶融押出により熱可塑性結晶性樹脂組成物を得る工程と、前記熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形する工程とを含み、前記成形品中に含有される前記球状フィラーのうち、粉砕されていない状態で残存している球状フィラー残存率が20質量%以下となるように、溶融押出及び/又は射出成形における溶融混練により球状フィラーを破砕することを特徴としている。上記の通り、球状フィラーの破砕は、熱可塑性結晶性樹脂との混合前でも混合後でもよいが、本実施形態の製造方法は、熱可塑性結晶性樹脂との混合後の溶融混練により破砕する。したがって、事前にある程度破砕しておいた球状フィラーを熱可塑性結晶性樹脂と混合した上で、溶融押出及び/又は射出成形の工程における溶融混練によってさらに破砕することで、成形品中の球状フィラー残存率が20質量%以下になるようにする態様も取りうる。
以上の本実施形態の熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品を製造する、本実施形態の熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品の製造方法は、熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラーとを混合し、溶融押出により熱可塑性結晶性樹脂組成物を得る工程と、前記熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形する工程とを含み、前記成形品中に含有される前記球状フィラーのうち、粉砕されていない状態で残存している球状フィラー残存率が20質量%以下となるように、溶融押出及び/又は射出成形における溶融混練により球状フィラーを破砕することを特徴としている。上記の通り、球状フィラーの破砕は、熱可塑性結晶性樹脂との混合前でも混合後でもよいが、本実施形態の製造方法は、熱可塑性結晶性樹脂との混合後の溶融混練により破砕する。したがって、事前にある程度破砕しておいた球状フィラーを熱可塑性結晶性樹脂と混合した上で、溶融押出及び/又は射出成形の工程における溶融混練によってさらに破砕することで、成形品中の球状フィラー残存率が20質量%以下になるようにする態様も取りうる。
樹脂組成物中の球状フィラーの残存率が20質量%以下となるようにするには、樹脂の溶融粘度、溶融温度、押出機のスクリュ回転数、スクリュパターン、シリンダー温度、混練時間、成形機のスクリュ回転数、シリンダー温度、射出速度、保圧力などを適宜設定すればよい。例えば、押出機のシリンダー温度を樹脂の融点マイナス10〜30℃(例えば樹脂の融点マイナス20℃)に設定することが挙げられる。また、溶融押出により得たペレット状の樹脂組成物を再度押出機に投入することで複数回の溶融押出を行ったり、射出成形により得た成形品を粉砕等にてチップ状にしたものを、押出機または成形機に投入することで複数回の溶融押出または射出成形を行ったりするといった方法によっても、球状フィラーの破砕を促進することができる。
熱可塑性結晶性樹脂と球状フィラーとの混合割合、他の充填材、他の成分などは、既述の通りである。
以下、実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1〜3]
各実施例・比較例において、表1に示す比率(質量%)で、PBT樹脂と、ガラスバルーン(中空の球状フィラー)、タルク(板状フィラー)又はガラスビーズ(球状フィラー)とを2軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュ回転数300rpmで、吐出量20kg/hrとなるように溶融混練して押出し、PBT樹脂組成物(熱可塑性結晶性樹脂組成物)からなるペレットを得た上で、それを用いて後述する各評価に用いる試験片を射出成形した。なお、押出機のスクリュはL/D=38.5(Lはスクリュの全長、Dはスクリュ径、本実施例ではD=32mmのものを使用した)である。スクリュは上流側から下流側に向けて、供給部(L/D=4.75、順フライトを3ピース)、可塑化部(L/D=7、ニーディングエレメントを6ピース)、可塑化部と混練部との間の搬送用エレメント(L/D=14.75、順フライトを9ピース)、混練部(L/D=6.5、切り欠き付き1条逆フライト(株式会社日本製鋼所製、BMS(Backward Mixing Single flight screw))を2ピース)、混練部と吐出口の間の搬送用エレメント(L/D=5.5、順フライトを4ピース)を有する。このとき、実施例1〜2、及び比較例2〜3においては、球状フィラーを未破砕の状態でPBT樹脂と混合して溶融押出を行った上で、得られたペレット状の樹脂組成物を再度押出機に投入する回数(リラン回数)の変更をすることにより、ガラスバルーンの残存率を調整した。具体的には、実施例1と比較例2ではリランを行わず(押出回数1回)、実施例2では3回(押出回数4回)、比較例3では2回(押出回数3回)、それぞれリランを行った。なお、実施例1〜2及び比較例3におけるガラスバルーン残存率(球状フィラー残存率)は、後述する収縮率の測定に使用する平板状の試験片を用いて、既述のようにして算出した。ここで、実施例1は押出回数が1回であるにもかかわらず、押出回数4回の実施例2よりも球状フィラー残存率が低くなっているが、これは実施例1で用いた球状フィラーの耐圧強度が低く、破砕しやすいものであることによるものである。また、比較例2におけるガラスビーズは殆ど破砕しておらず、残存率はほぼ100質量%であるため「−」として表示した。
各実施例・比較例において、表1に示す比率(質量%)で、PBT樹脂と、ガラスバルーン(中空の球状フィラー)、タルク(板状フィラー)又はガラスビーズ(球状フィラー)とを2軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュ回転数300rpmで、吐出量20kg/hrとなるように溶融混練して押出し、PBT樹脂組成物(熱可塑性結晶性樹脂組成物)からなるペレットを得た上で、それを用いて後述する各評価に用いる試験片を射出成形した。なお、押出機のスクリュはL/D=38.5(Lはスクリュの全長、Dはスクリュ径、本実施例ではD=32mmのものを使用した)である。スクリュは上流側から下流側に向けて、供給部(L/D=4.75、順フライトを3ピース)、可塑化部(L/D=7、ニーディングエレメントを6ピース)、可塑化部と混練部との間の搬送用エレメント(L/D=14.75、順フライトを9ピース)、混練部(L/D=6.5、切り欠き付き1条逆フライト(株式会社日本製鋼所製、BMS(Backward Mixing Single flight screw))を2ピース)、混練部と吐出口の間の搬送用エレメント(L/D=5.5、順フライトを4ピース)を有する。このとき、実施例1〜2、及び比較例2〜3においては、球状フィラーを未破砕の状態でPBT樹脂と混合して溶融押出を行った上で、得られたペレット状の樹脂組成物を再度押出機に投入する回数(リラン回数)の変更をすることにより、ガラスバルーンの残存率を調整した。具体的には、実施例1と比較例2ではリランを行わず(押出回数1回)、実施例2では3回(押出回数4回)、比較例3では2回(押出回数3回)、それぞれリランを行った。なお、実施例1〜2及び比較例3におけるガラスバルーン残存率(球状フィラー残存率)は、後述する収縮率の測定に使用する平板状の試験片を用いて、既述のようにして算出した。ここで、実施例1は押出回数が1回であるにもかかわらず、押出回数4回の実施例2よりも球状フィラー残存率が低くなっているが、これは実施例1で用いた球状フィラーの耐圧強度が低く、破砕しやすいものであることによるものである。また、比較例2におけるガラスビーズは殆ど破砕しておらず、残存率はほぼ100質量%であるため「−」として表示した。
以下に各成分の詳細を以下に示す。
PBT樹脂:ウィンテックポリマー(株)製、固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂
ガラスバルーン1:平均粒径35μm、耐圧強度2.8MPa、真密度0.22g/cm3のガラスバルーン
ガラスバルーン2:平均粒径35μm、耐圧強度83MPa、真密度0.6g/cm3のガラスバルーン
タルク:松村産業製、クラウンタルクPP(平均粒径約13μm、アスペクト比約8)
ガラスビーズ:平均粒径35μmのガラスビーズ
PBT樹脂:ウィンテックポリマー(株)製、固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂
ガラスバルーン1:平均粒径35μm、耐圧強度2.8MPa、真密度0.22g/cm3のガラスバルーン
ガラスバルーン2:平均粒径35μm、耐圧強度83MPa、真密度0.6g/cm3のガラスバルーン
タルク:松村産業製、クラウンタルクPP(平均粒径約13μm、アスペクト比約8)
ガラスビーズ:平均粒径35μmのガラスビーズ
[評価]
(1)曲げ強度
上記のようにして得られたペレットを用い、スクリュ回転数100rpm、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、射出速度33mm/sec、保圧力50MPaで射出成形を行い、ISO3167に準じた試験片(幅10mm、厚み4mmt)を作製し、ISO178に準じて曲げ強度を測定した。
(2)収縮率
上記のようにして得られたペレットに対し、ゲート厚み1.0mmのゲートを有する金型を用い、スクリュ回転数100rpm、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、射出速度33mm/sec、保圧力50MPaで射出成形を行い、80mm×80mm×1mmtの平板状の試験片を得た。そして、23℃・50%RHにて24時間静置したこの試験片のゲート部の厚みを測定した。測定された試験片のゲート部の厚みと、金型のゲート厚みとから、式:(金型のゲート厚み−試験片のゲート部の厚み)/金型のゲート厚み×100に従い、収縮率を求めた。結果を表1に示す。
(1)曲げ強度
上記のようにして得られたペレットを用い、スクリュ回転数100rpm、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、射出速度33mm/sec、保圧力50MPaで射出成形を行い、ISO3167に準じた試験片(幅10mm、厚み4mmt)を作製し、ISO178に準じて曲げ強度を測定した。
(2)収縮率
上記のようにして得られたペレットに対し、ゲート厚み1.0mmのゲートを有する金型を用い、スクリュ回転数100rpm、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、射出速度33mm/sec、保圧力50MPaで射出成形を行い、80mm×80mm×1mmtの平板状の試験片を得た。そして、23℃・50%RHにて24時間静置したこの試験片のゲート部の厚みを測定した。測定された試験片のゲート部の厚みと、金型のゲート厚みとから、式:(金型のゲート厚み−試験片のゲート部の厚み)/金型のゲート厚み×100に従い、収縮率を求めた。結果を表1に示す。
表1より、実施例1及び2においては、機械強度(曲げ強度)及び寸法精度(収縮率)のいずれも良好な結果が得られた。特に、ガラスバルーン残存率が3%の実施例1は機械強度において優れていた。これに対して、板状フィラーを用いた比較例1は、機械強度は良好であったが、寸法精度において劣っていた。また、球状フィラーを用いた比較例2及びガラスバルーン残存率が27%の比較例3は、寸法精度は良好であったが、機械強度において劣っていた。これらから、実施例1及び2において用いたガラスバルーン破砕物は、板状充填材及び球状充填材の双方の利点(それぞれ、機械強度、寸法精度)を併せ持つことが分かる。
Claims (7)
- 熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラー破砕物と、を含む熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形してなる成形品であって、
前記成形品中に含有される、前記球状フィラー破砕物と、破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計量に占める、破砕されていない球状フィラーの比率により表される球状フィラー残存率が20質量%以下である成形品。 - 破砕前の前記球状フィラーが中空フィラーである請求項1に記載の成形品。
- 破砕前の前記球状フィラーがガラスからなる請求項1又は2に記載の成形品。
- 前記球状フィラー破砕物の比誘電率が10以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形品。
- レーザー回折/散乱式粒度分布測定により求められる、破砕前の前記球状フィラーのメジアン径(d50)が10〜100μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品。
- 前記球状フィラー破砕物及び破砕されていない状態で残存している球状フィラーの合計含有量が、熱可塑性結晶性樹脂100質量部に対して、5〜80質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形品。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形品を製造する製造方法であって、
熱可塑性結晶性樹脂と、球状フィラーとを混合し、溶融押出しにより熱可塑性結晶性樹脂組成物を得る工程と、前記熱可塑性結晶性樹脂組成物を射出成形する工程とを含み、前記成形品中に含有される前記球状フィラーのうち、破砕されていない状態で残存している球状フィラー残存率が20質量%以下となるように、溶融押出及び/又は射出成形における溶融混練により球状フィラーを破砕する、成形品の製造方法。
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JP2017251283A JP2019116560A (ja) | 2017-12-27 | 2017-12-27 | 熱可塑性結晶性樹脂組成物からなる成形品及びその製造方法 |
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Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JPS61236859A (ja) * | 1985-04-12 | 1986-10-22 | Polyplastics Co | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP2001172479A (ja) * | 1999-12-16 | 2001-06-26 | Sumitomo Chem Co Ltd | 液晶ポリエステル樹脂組成物およびその成形品 |
JP2010174064A (ja) * | 2009-01-27 | 2010-08-12 | Unitika Ltd | ガラス繊維強化樹脂組成物 |
JP2010248494A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-11-04 | Unitika Ltd | 強化ポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法 |
-
2017
- 2017-12-27 JP JP2017251283A patent/JP2019116560A/ja active Pending
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