JP5743619B2 - サンドイッチ成形体 - Google Patents
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Description
(1)コア部がスキン部によって挟持されてなるサンドイッチ成形体であって、スキン部を構成する第1の熱可塑性樹脂とコア部を構成する第2の熱可塑性樹脂とがいずれも結晶性樹脂からなり、かつ無機充填材を含有し、スキン部の曲げ弾性率をE1,スキン部の曲げ最大歪をε1,コア部の曲げ弾性率をE2,コア部の曲げ最大歪をε2としたとき、
1<E1/ε1<5
5<E2/ε2<10
ε1/ε2>1
の式を満たし、スキン部の体積比率が40〜70%であり、23℃で測定した曲げ強さが300MPa以上であることを特徴とするサンドイッチ成形体。
コア部に上記添加剤が含有される場合、当該添加剤の合計含有量はコア部を構成する樹脂組成物全量に対して5質量%以下が適当である。
1<E1/ε1<5
5<E2/ε2<10
ε1/ε2>1
ただし、E1はスキン部を構成する第1の熱可塑性樹脂の曲げ弾性率、
E2はコア部を構成する第2の熱可塑性樹脂の曲げ弾性率、
ε1はスキン部を構成する第1の熱可塑性樹脂の最大曲げ強度時の歪(曲げ最大歪)、
ε2はコア部を構成する第2の熱可塑性樹脂の最大曲げ強度時の歪(曲げ最大歪)を示す。
上記関係式の有する詳細な力学的意義は明らかとはされていないが、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、サンドイッチ成形体が以下の傾向を示すことを見出した。
具体的なサンドイッチ成形法としては、射出成形法、押出成形法によるサンドイッチ成形法を選択することができる。
例えば、サンドイッチ成形体が図1(a)および図2に示すような平板形状を有する場合の断面積Sk(斜線領域)、中心線m(破線)、中心線mの長さp、厚みtを図1(b)に示す。
また例えば、サンドイッチ成形体が図3(a)〜(b)に示すような凸型形状を有する場合の断面積Sk(斜線領域)、中心線m(破線)を図4(c)に示す。
また例えば、サンドイッチ成形体が図4(a)〜(c)に示すようなダンベル形状を有する場合の断面積Sk(斜線領域)、中心線m(破線)を図4(d)に示す。
(A)熱可塑性樹脂
・PA66:ポリアミド66 ユニチカ社製 E2000。
・PA6:ポリアミド6 ユニチカ社製 A1030BRL。
・PBT:ポリブチレンテレフタレート ウィンテックポリマー社製 2002。
・PPS:ポリフェニレンサルファイド 東レ社製 A900 B1。
・PA12:ポリアミド12 アルケマ社製 AESN TL。
・PA6T/6I:ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー エムスケミー・ジャパン社製 G21。
・PA6T:変性ポリヘキサメチレンテレフタルアミド 三井化学社製 A3000。
・SPS:シンジオタクチックポリスチレン 出光興産社製 130Z。
・PPE:ポリフェニレンエーテル 旭化成ケミカル社製 S202A。
・MA−PPE:無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル。ポリフェニレンエーテル(S202A)95質量部と無水マレイン酸(試薬特級)5質量部とラジカル発生剤2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂社製 パーヘキシン25B−40)0.05質量部を混合し、同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BSを用い、シリンダー温度280℃で溶融混錬し、ダイスから吐出量15kg/hにてストランド状に引き取り、冷却水槽を通して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングしてペレット長3mmのペレットMA−PPEを得た。
・ガラス繊維:日本電気硝子社製 CS03T275H、繊維径10μm。
・炭素繊維:三菱レーヨン社製 TR06NEB4J、繊維径7μm。
・タルク:日本タルク社製 ミクロエースK−1、平均粒径8μm。
・ワラストナイト:NYCO社製 NYGLOS8、繊維径8μm。
(1)曲げ弾性率Eと最大曲げ強度時の歪ε
ISO178に準じて、サンドイッチ成形体の一次材または二次材として用いるペレットの試験片を作製し、作製した試験片について曲げ試験を行い測定した。
23℃、50%RH雰囲気で十分に調湿した、長さ127mm、幅10mm、厚み10mmの角棒のサンドイッチ成形体の試験片を用い、23℃下でスパン間100mmで2点支持の曲げ試験を行い測定した。サンドイッチ成形体の試験片は長手方向が成形時の樹脂流れ方向であり、測定は当該サンドイッチ成形体の試験片を長手方向で2点を支持して行った。曲げ強さAは、300MPa以上(○)が実用上問題のない範囲であり、特に350MPa以上(◎)であることが好ましい。300MPa未満(×)が実用上問題のある範囲である。
曲げ強さBは、100℃空気中の高温環境下で測定を行ったこと以外、曲げ強さAの試験と同様の曲げ試験を行い測定した。曲げ強さBは、200MPa以上(○)が実用上問題のない範囲であり、特に215MPa以上(◎)であることが好ましい。200MPa未満(×)が実用上問題のある範囲である。
曲げ強さAの試験片を成形するときに、射出成形機によりサンドイッチ成形体の一次材の射出体積および二次材の射出体積を計測した。
スキン部(一次材)の体積比率は、射出成形機により計測された一次材の射出体積と二次材の射出体積を加算し、この加算した総体積に対する一次材の射出体積の比率により求めた。なお、一次材の射出体積および二次材の射出体積はそれぞれ、(射出成形時のスクリュー移動距離)と(シリンダー断面積)との積により算出した。また射出成形時のスクリュー移動距離は、(計量完了時のスクリュー位置)と(射出完了時のスクリュー位置)との差により算出した。
スキン部の体積比率は、40〜70%であることが必要である。
<製造例1>
ペレットの作製には、同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)を用いた。この同方向二軸押出機には、上流部に主原料投入用の主ホッパーおよび主ホッパーに主原料を定量供給する連続定量供給装置(クボタ社製)が設けられ、中間部に副原料投入用のサイドフィーダーを設け、下流部に冷却水槽およびペレタイザーが設けられている。
同方向二軸押出機の押出温度を270〜300℃に設定し、同方向二軸押出機の上流部の位置より、連続定量供給装置により主ホッパーから同方向二軸押出機へ、主原料として、熱可塑性樹脂であるPA66を、(樹脂組成物100質量%の内、)65質量%となるように供給し、一方で、同方向二軸押出機の中間部の位置より、サイドフィーダーにより、副原料として、無機充填材であるガラス繊維を(樹脂組成物100質量%の内、)35質量%となるように供給し、PA66とガラス繊維をスクリュー回転数250rpmにて溶融混練した。PA66とガラス繊維の配合比率は、連続定量供給装置による主原料のフィード速度とサイドフィーダーによる副原料のサイドフィード速度の比率で調整した。その後、PA66とガラス繊維を含有する樹脂組成物をダイスから吐出量35kg/hにてストランド状に引き取り、冷却水槽を通して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングしてペレット長3mmのペレットPAG35を得た。ダイスから出た樹脂組成物の樹脂温度は290℃であった。このカッティングしたペレットPAG35を乾燥し、シリンダー温度290℃、金型温度90℃の射出成形機(ファナック社製S−2000i 100B)で射出成形し、ペレットPAG35の試験片を作製した。作製したPAG35の試験片についてISO178の曲げ試験を行ったところ、曲げ弾性率Eが10GPa、最大曲げ強度時の歪εが4.0%であった。結果を表1に示す。なお、PAG35との名称は、PA:ポリエチレン,G:ガラス繊維,35;ガラス繊維を配合する質量%の数値を示す。
所定の熱可塑性樹脂、所定の無機充填材を所定の配合比率で用いたこと以外、製造例1と同様の方法により、ペレットを得た。結果を表1にまとめて示す。
<実施例1>
一次側と二次側の2基のシリンダーを有し、先端部の合流ノズルで連結されたサンドイッチ成形機(JSW社製 J180AD−2M)を用いて、PA66を65質量%含有し、ガラス繊維を35質量%含有するペレットPAG35を一次材として、一次側のシリンダーに投入し、PA66を40質量%含有し、ガラス繊維を60質量%含有するペレットPAG60を二次材として、二次側のシリンダーに投入し、どちらもシリンダー温度300℃、金型温度100℃の条件下、一次材の射出と同時に二次材の射出も行われるようなシーケンス制御のもと、射出成形して物性測定用のサンドイッチ成形体の試験片を作成した。なお、サンドイッチ成形体の成形時において、一次材がスキン部を形成し、二次材がコア部を形成するように物性測定用のサンドイッチ成形体の試験片(長さ127mm、幅35mm、厚み12mm)の射出成形を行い、成形したサンドイッチ成形体の試験片について、各種評価試験(曲げ強さAの試験,曲げ強さBの試験)を行った。
また、別途分析により、スキン部の平均厚みは1.5mm、コア部の平均厚みは9mmであった。スキン部の体積比率は50%であり、スキン部の厚みはサンドイッチ成形体の厚みの25%を占めていた。
一次材(スキン部)および二次材(コア部)として表2または表3に記載のペレットを用いたこと以外、実施例1と同様の方法によりサンドイッチ成形体の試験片を作成し、同様の各種評価試験を行った。結果を表2,表3に示す。
比較例1は実施例1の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなった。
比較例2は実施例5の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなった。
比較例3は実施例6の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなった。
比較例4はスキン部の体積比率が規定値を下回ったため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなった。
比較例5はスキン部の体積比率が規定値を上回ったため、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、特に、高温環境下での曲げ強さBが著しく低下した。
比較例6はPAG35のみで成形したため、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、十分な強度が得られなかった。
比較例7はPAG60のみで成形したため、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、強度が低下した。
比較例8はあらかじめPAG35とPAG60をブレンドして成形したため、実施例1と比べて、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、強度が低下した。
比較例9は二次材のE2/ε2が規定値を上回ったので、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、強度が低下した。
比較例10は一次材のE1/ε1が規定値を下回ったので、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、強度が低下し、特に、高温環境下における曲げ強さBが著しく低下した。
比較例11はε1/ε2が規定値を外れていたので、変形に伴う許容できる歪が小さくなり、曲げ強度Aが低下した。
比較例12は実施例7の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなった。
比較例13は実施例8の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、変形に伴う許容できる歪が小さくなり、曲げ強度Aが低下した。
比較例14は実施例9の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、変形に伴う許容できる歪が小さくなり、曲げ強度Aが低下した。
比較例15は実施例10の一次材と二次材を入れ替えたため、E1/ε1,E2/ε2,およびε1/ε2がいずれも規定値を外れ、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなった。
比較例16はε1/ε2が規定値を外れていたので、変形に伴う許容できる歪が小さくなり、曲げ強度Aが低下した。
比較例17は一次材のE1/ε1が規定値を上回ったので、高温環境下における曲げ強さBは十分であったが、曲げ強さAが低下した。
比較例18は二次材のE2/ε2が規定値を下回ったので、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも低くなり、十分な強度が得られなかった。
A;スキン部
B;コア部
Claims (3)
- コア部がスキン部によって挟持されてなるサンドイッチ成形体であって、スキン部を構成する第1の熱可塑性樹脂とコア部を構成する第2の熱可塑性樹脂とがいずれも結晶性樹脂からなり、かつ無機充填材を含有し、スキン部の曲げ弾性率をE1,スキン部の曲げ最大歪をε1,コア部の曲げ弾性率をE2,コア部の曲げ最大歪をε2としたとき、下記の式を満たし、スキン部の体積比率が40〜70%であり、23℃で測定した曲げ強さが300MPa以上であることを特徴とするサンドイッチ成形体。
1<E1/ε1<5
5<E2/ε2<10
ε1/ε2>1 - 第1および第2熱可塑性樹脂がいずれもポリアミドであることを特徴とする請求項1に記載のサンドイッチ成形体。
- 無機充填材がガラス繊維、炭素繊維もしくは、両者の混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のサンドイッチ成形体。
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