JP6668071B2 - 繊維強化複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、軽量であり熱時剛性及び外観に優れた繊維強化複合体に関する。
繊維で強化された繊維強化合成樹脂は、軽量で且つ高い機械的強度を有していることから、近年、自動車分野、船舶分野、航空分野、医療分野等の軽量性及び高い機械的強度が求められている分野において、使用が拡大されている。
上述の要求を満たすものとして、芯材に発泡体を用い、芯材の表面に繊維強化樹脂を積層一体化させてなる繊維強化複合体が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2015−83365号公報 特開2005−313613号公報
しかしながら、繊維強化複合体の使用される自動車分野等においては、エンジンルーム周辺等のさらなる高温環境下における使用に耐え得る繊維強化複合体の要求が増えてきており、特許文献1、2に開示されている繊維強化複合体では、上記要求を満たすことができていない。
例えば、ポリプロピレン樹脂からなる発泡体の芯材を有する複合体では、100℃環境下における熱時剛性が不良であり、芯材と表層材との剥離が発生するため、複合体は十分な強度を得ることができない。また、ポリスチレン樹脂やポリウレタン樹脂からなる発泡体の芯材を有する複合体では、100℃環境下においては、芯材の発泡体に収縮が発生する。ポリメタクリルイミド樹脂からなる発泡体の芯材を有する複合体では、芯材の発泡体は耐熱性に優れるものの、その製法が特殊であるため、発泡体の形状が平板に限られ、所望の形状とすることができず、複合体の外観が悪い。
そこで、本発明は、100℃環境下での剛性と美的な外観とを両立することが可能な繊維強化複合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、特定の樹脂の発泡体からなる芯材を含む複合体を用いることによって、100℃となる高温の環境下における優れた剛性と美的な外観とを両立できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)発泡樹脂からなる芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体であり、
ここで、前記発泡樹脂は、前記発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含み、
100℃環境下でJIS−K7221に準拠して測定される曲げ弾性率が、1〜50GPaであり、
見かけ密度が、0.05〜1g/cm である
ことを特徴とする、繊維強化複合体。
(2)前記発泡樹脂における脂肪族炭化水素系ガスの濃度が、500体積ppm以下である、(1)に記載の繊維強化複合体。
(3)前記曲げ弾性率が25〜50GPaであり、
前記芯材の表面において、前記繊維の目付量が50〜400g/m である、(1)又は(2)に記載の繊維強化複合体。
(4)前記繊維が、炭素繊維である、(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化複合体。
)前記芯材と前記表皮材とを加熱・加圧することによって同時成型することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化複合体の製造方法。
本発明の繊維強化複合体は、100℃環境下でも優れた剛性を有し、美的な外観に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(繊維強化複合体)
本実施形態の繊維強化複合体は、発泡樹脂からなる芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体である。
ここで、後述するように、本実施形態の繊維強化複合体における発泡樹脂は、発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含み、そして、本実施形態の繊維強化複合体では、100℃環境下でJIS−K7221に準拠して測定される曲げ弾性率が、1〜50GPaである。
本実施形態の繊維強化複合体では、芯材の表面のうち表皮材を配置する部分は、芯材の形状に応じて適宜定められてよく、例えば、シート状の場合(後述の実施例参照)には、片面又は両面の全部又は一部としてよく、塊状の場合には、静置状態で特定方向から見える面の全部又は一部としてもよく、線状の場合には、一端から延在方向に所定長さについての表面の全部又は一部としてよい。
−芯材−
本実施形態の繊維強化複合体における芯材は、発泡樹脂からなるものである。但し、芯材には、目的や用途に応じて、発泡樹脂以外の部材が含まれていてもよい。
−−発泡樹脂−−
発泡樹脂は、樹脂成分を含み、任意選択的に、微量のガス、添加剤等を含む。
−−−樹脂成分−−−
樹脂成分は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含み、任意選択的に、ポリフェニレンエーテル系樹以外の樹脂(以下、「他の樹脂」ともいう。)を含む。
−−−−ポリフェニレンエーテル系樹脂−−−−
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体をいい、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体等が挙げられる。
Figure 0006668071
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;アルキル基;アルコキシ基;フェニル基;ハロゲン原子と一般式(1)中のベンゼン環との間に少なくとも2個の炭素原子を有するハロアルキル基又はハロアルコキシ基で第3α−炭素を含まない基;からなる群から選択される一価の基である。]
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−ジフェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−クロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも、特に、上記一般式(1)において、R1及びR2が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R3及びR4が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である繰り返し単位を含む重合体が好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の重量平均分子量としては、20,000〜60,000が好ましい。
本実施形態におけるポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は、発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、40〜80質量%であり、好ましくは40〜70質量%である。PPE含有量を40質量%以上とすれば、優れた耐熱性を得ることができ、また、PPE含有量を80質量%以下とすれば、優れた加工性を得ることができる。
−−−−ポリフェニレンエーテル系樹脂以外の樹脂(他の樹脂)−−−−
他の樹脂としては、熱可塑性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂;AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂;ポリスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;セルロース系樹脂;スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の熱可塑性エラストマー;ポリアミド系、ポリアセタール系、ポリエステル系、フッ素系の熱可塑性エンジニアリングプラスチック;等が挙げられる。また本発明の目的を損なわない範囲で、変性、架橋された樹脂を用いてもよい。中でも、相溶性の観点から、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体、スチレン及び/又はスチレン誘導体を主成分とする共重合体等が挙げられる。
スチレン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジフェニルエチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリクロロスチレン等が挙げられる。
スチレン及び/又はスチレン誘導体を主成分とする共重合体としては、例えば、スチレン−α−オレフィン共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体;スチレン−アクリロニトリル共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;スチレン−マレイミド共重合体;スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体;スチレン−N−アルキルマレイミド共重合体;スチレン−N−アルキル置換フェニルマレイミド共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−メタクリル酸共重合体;スチレン−メチルアクリレート共重合体;スチレン−メチルメタクリレート共重合体;スチレン−n−アルキルアクリレート共重合体;スチレン−n−アルキルメタクリレート共重合体;エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体;ABS、ブタジエン−アクリロニトリル−α−メチルベンゼン共重合体等の三元共重合体;スチレングラフトポリエチレン、スチレングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、(スチレン−アクリル酸)グラフトポリエチレン、スチレングラフトポリアミド等のグラフト共重合体;等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、ポリスチレン系樹脂には、必要に応じて、ブタジエン等のゴム成分を添加して使用してもよい。
ゴム成分の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量%に対して、1.0〜20質量%であることが好ましく、例えば、6質量%としてよい。
本実施形態における他の樹脂の含有量は、発泡樹脂の加工性の観点から、発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、20〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜60質量%である。
−−−ガス−−−
ガスとは、発泡樹脂の製造過程(後述)において含まれることとなるものである。
ガスとしては、特に限定されないが、空気、炭酸ガス、発泡剤として用いられる各種ガス、脂肪族炭化水素系ガス等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ガスとしては、具体的には、ブタン、ペンタン等が挙げられる。
本実施形態では、芯材の発泡樹脂における脂肪族炭化水素系ガスの含有量は、発泡樹脂の体積を基準として、500体積ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200体積ppm以下である。
なお、脂肪族炭化水素系ガスの含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
脂肪族炭化水素系ガスの含有量を500体積ppm以下とすれば、優れた表面平滑性、接着性、強度を得ることができ、また、後膨れ(浮)を抑制することができる。
−−−添加剤−−−
添加剤としては、例えば、難燃剤、ゴム成分、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、染料、耐光性改良剤、帯電防止剤、耐衝撃改質剤、タルク等の核剤、ガラスビーズ、無機充填剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
難燃剤としては、臭素化合物等のハロゲン系化合物、リン系化合物やシリコーン系化合物等の非ハロゲン系化合物等の有機系難燃剤;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムに代表される金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンに代表されるアンチモン系化合物等の無機系難燃剤;等が挙げられる。
以下、本実施形態の芯材の発泡樹脂の物性について記載する。
芯材の発泡樹脂の発泡倍率、特には限定されないが、1.5cm3/g以上であることが好ましく、2cm3/g以上であることが好ましく、また、より好ましくは25cm3/g以下であることが好ましく、より好ましくは40cm3/g以下である。この範囲であると、軽量化のメリットを活かしつつ、優れた耐熱性を維持しやすくなる。
発泡樹脂の形状は、特に限定されることなく、目的や用途に応じて適宜定めることができ、例えば、成形品、粒子状、シート状、線状(糸状)、塊状等が挙げられる。
−表皮材−
本実施形態の繊維強化複合体における表皮材は、繊維及び樹脂を含み、任意選択的に、添加剤等を含む。
−−繊維−−
繊維としては、高強度、高弾性率の繊維が挙げられ、具体的には、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、米国デュポン(株)社製の「ケブラー(登録商標)」に代表されるポリアラミド繊維)、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維等が挙げられる。
中でも、高い剛性を保持したまま軽量性を確保するために、弾性率と密度の比である比弾性率が高いもの、具体的には、炭素繊維が好ましい。
これら繊維は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における繊維の、JIS−K7127に準拠して測定される引張弾性率は、高い剛性を確保する観点から、200〜850GPaであることが好ましい。
本実施形態における繊維の含有量は、表皮材100質量%に対して、40〜80質量%であることが好ましい。
本実施形態における繊維の目付量は、剛性を高め、軽量化を図る観点から、発泡樹脂からなる芯材の表面において、50〜4000g/m2が好ましく、より好ましくは100〜1000g/m2である。
−−樹脂−−
樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。
中でも、熱、光、電子線等の外部からのエネルギー付加により硬化する熱硬化性樹脂が好ましく、具体的には、エポキシ樹脂が好ましい。
これら樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂のガラス転移温度は、芯材との接着性、変形や反りの観点から、80〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、80〜180℃である。
なお、ガラス転移温度は、ASTM−D−3418に準拠して中点法により測定することができる。
樹脂が熱硬化性樹脂である場合、その硬化温度は、芯材との接着性、変形や反りの観点から、80〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、80〜150℃である。
本実施形態における樹脂の含有量は、芯材との接着性、変形や反りの観点から、表皮材100質量%に対して、20〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは、30〜50質量%である。
(繊維強化複合体の製造方法)
以下、本実施形態の繊維強化複合体の製造方法について記載する。
本実施形態の繊維強化複合体の製造方法は、芯材と表皮材とを加熱・加圧することによって同時成型する方法である。
本実施形態における一例の繊維強化複合体の製造方法は、
ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含む樹脂成分からなる芯材と、発泡剤とを、予備発泡機内に加えて予備発泡を行うことによって、予備発泡粒子を得て、次いで、得られた予備発泡粒子を成型機内に加えて成型を行うことによって、発泡体を得て、続いて、得られた発泡体と、繊維と樹脂とを含む表皮材とを、成型機内に加えて成型を行うことによって、繊維強化複合体を得る方法である。
なお、予備発泡粒子とは、最終段階の発泡を行っていない発泡性を有する粒子をいう。
本実施形態では、芯材として、発泡成形品、ビーズ粒子、発泡シート等を用いてよい。
より具体的には、本実施形態の繊維強化複合体の製造方法は、
ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含む樹脂成分を含む混合物を調製する、混合物調製工程、
上記混合物に発泡剤を添加して、発泡剤含有混合物を調製する、発泡剤添加工程、
上記発泡剤含有混合物を蒸気導入ラインを備えた予備発泡機内に投入し、蒸気を供給しながら、上記発泡剤含有混合物を予備発泡させて、予備発泡粒子を得る、予備発泡工程、
上記予備発泡粒子を成型機内投入し、蒸気を供給しながら、上記予備発泡粒子を発泡・成型して、発泡体を得る、発泡体調製工程、
樹脂に繊維を含浸させて、表皮材を得る、表皮材調製工程、
上記発泡体と、上記表皮材とを、成型機内に充填して、上記予備発泡粒子及び上記表皮材を成型して、繊維強化複合体を得る、成型工程
のうちの1つ又は複数を含むことが好ましい。
以下、各工程の詳細について記載する。
((混合物調製工程))
混合物調製工程では、混合物の樹脂成分に、40〜80質量%のポリフェニレンエーテル系樹脂以外に、任意選択的に、他の樹脂(前述)を含めてもよい。また、混合物には、樹脂成分以外に、添加剤(前述)等を含めてもよい。
樹脂成分(100質量%)中のポリフェニレンエーテル系樹脂、他の樹脂、添加剤の含有量は、それぞれ、本実施形態の繊維強化複合体について記載した通りとしてよい。
((発泡剤添加工程))
発泡剤添加工程では、気体の発泡剤を注入したり、固体の発泡剤を混合したりして、混合物に発泡剤を添加(含浸)することによって、発泡剤含有混合物を得ることが好ましい。
発泡剤としては、特には限定されることなく、空気やガスとし得る化合物等が挙げられる。
ガスとし得る化合物としては、例えば、二酸化炭素、窒素、酸素、アンモニア、水素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の無機化合物;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245fa、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−225ca等のフルオロカーボン;プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン等の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類;等が挙げられる。
これらの空気やガスとし得る化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
中でも、発泡剤としては、安全性の観点から、無機化合物が好ましい。無機化合物のガスは、炭化水素等の有機化合物のガスと比較して、樹脂に溶けにくく、後述の成型工程の後に樹脂から抜けやすいため、成型体の経時での寸法安定性をより優れたものとすることができる。さらに、無機化合物のガスを用いた場合、残存ガスによる樹脂の可塑化も起こりにくく、後述の成形工程の後に成型体がより早い段階から優れた耐熱性を発現することが可能になる。
特に、無機化合物の中でも、樹脂への溶解性、及び取り扱いの容易さの観点から、二酸化炭素がより好ましい。
発泡剤添加工程において、混合物に発泡剤を添加(含浸)する方法としては、特には限定されず、一般的に行われている方法が適用できる。
発泡剤を添加(含浸)させる方法としては、例えば、水等の懸濁系を利用して水性媒体で行う方法(懸濁含浸法)、重炭素水素ナトリウム等の熱分解型発泡剤を用いる方法(発泡剤分解法)、発泡剤を臨界圧力以上の雰囲気で液相状態にして混合物に接触させる方法(液相含浸法)、気相状態の発泡剤を臨界圧力未満の高圧雰囲気下で混合物に接触させる方法(気相含浸法)等が挙げられる。
上記方法のうち、特に、気相含浸が好ましい。
気相含浸では、高温条件下で実施される懸濁含浸の場合と比較して、ガスの樹脂への溶解度がより高く、発泡剤の含有量を高くしやすい。そのため、気相含浸では、高発泡倍率を達成しやすく、樹脂内の気泡サイズも均一になりやすい。
また、発泡剤分解法も、懸濁含浸と同様に高温条件下で実施される点で不都合がある。また、この方法では、加えた熱分解型発泡剤全てがガスになるわけではないため、ガス発生量が相対的に少なくなりやすい。そのため、気相含浸では、発泡剤含有量を高くしやすいという利点がある。
さらに、気相含浸では、液相含浸の場合と比較して、耐圧装置や冷却装置等の設備がよりコンパクトになりやすく、設備費を低減しやすい。
気相含浸法の条件としては、特には限定されることなく、例えば、ガスの樹脂への溶解をより効率的に進める観点から、雰囲気圧力としては、0.5〜6.0MPaであることが好ましく、雰囲気温度としては、5〜30℃であることが好ましい。
また、含浸されるガスの樹脂に対する割合は、2〜10質量%であることが好ましい。
((予備発泡工程))
予備発泡工程において、発泡剤を含有(含浸)させたポリフェニレンエーテル系樹脂に発泡を生じさせる方法としては、特に限定されないが、例えば、発泡剤含有混合物を高圧雰囲気下から低圧雰囲気下に一気に持ち込むことによって、発泡剤含有混合物中に溶解している発泡剤としてのガスを膨張させて、発泡を生じさせる方法や、圧力蒸気等を用いて加熱することによって、発泡剤含有混合物中のガスを膨張させて、発泡を生じさせる方法等を用いることができ、特に、生成物である成形体内部の気泡の大きさ(セルサイズ)を均一にするという利点、及び発泡倍率を制御して低発泡倍率の成形体の作製を容易にするという利点が得られるため、後者の加熱・発泡を行う方法を用いることが好ましい。
ここで、予備発泡粒子を所望の発泡倍率になるまで発泡させる際、一段階の発泡を行ってもよく、二次発泡、三次発泡等からなる多段階の発泡を行ってもよい。なお、多段階の発泡を行った場合、高発泡倍率の予備発泡粒子を調製しやすく、成形に用いられる予備発泡粒子は、単位体積当たりに使用される樹脂量を低減する観点から、多段階の発泡を行った予備発泡粒子であることが好ましい。
特に、多段階の発泡の場合、各段階での発泡前に予備発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理に用いるガスとしては、樹脂に対して不活性である限り、特には限定されないが、ガスの安全性が高く、ガスの地球温暖化係数の小さい、無機ガスやハイドロフルオロオレフィンが好ましい。無機ガスとしては、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等が挙げられ、また、ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO−1234y、HFO−1234ze(E)等が挙げられ、特に、取り扱い容易性及び経済性の観点から、空気や炭酸ガスが好ましい。加圧処理の手法としては、特には限定されないが、予備発泡粒子を加圧タンク内に充填し、該タンク内にガスを供給する手法等が挙げられる。
予備発泡工程において、発泡剤含有混合物を予備発泡させる際、予備発泡機へと供給する蒸気の導入圧力は6.0〜15.0kg/cm2Gが好ましく、より好ましくは6.1〜12.0kg/cm2Gである。導入圧力が低いと、予備発泡機を加熱する能力が低くなるので、予備発泡する際、所定の温度まで昇温するのに必要な時間が長くなる。これにより、予備発泡粒子表面が一旦溶けて、隣の予備発泡粒子と一体化する「ブロッキング」と呼ばれる現象が起きやすくなる。導入蒸気圧が6.0kg/cm2G以上の場合、予備発泡機内の蒸気圧力が速やかに上昇し、ブロッキングしていない良好な予備発泡粒子を得やすくなる。
予備発泡工程で得られる予備発泡粒子の形状は、特に限定されないが、例えば、円柱状、直方体状、球状、不定型の粉砕品等が挙げられる。
予備発泡粒子の大きさ(粒径)は、0.2〜3mmが好ましい。大きさがこの範囲にあると、予備発泡後の粒子が適度な大きさになり、取り扱い易く、また、成形時の充填がより密になりやすくなる。
なお、予備発泡粒子の大きさは、ノギスにより測定することができる。
予備発泡工程で得られる予備発泡粒子の発泡倍率は、特には限定されないが、1.5〜30cm3/gが好ましく、2〜20cm3/gがより好ましい。この範囲であると、軽量化のメリットを活かしつつ、優れた耐熱性を有する発泡体が得られる。多段階で所望の倍率に調整する際には、一次発泡倍率は1.4〜10cm3/gが好ましい。この範囲であると、発泡体中のセルサイズが均一になりやすく、二次発泡能を付与しやすくなる。
なお、予備発泡粒子の発泡倍率とは、予備発泡粒子の重量Wpに対する、予備発泡粒子の体積Vpの割合(Vp/Wp)をいう。また、本明細書において、予備発泡粒子の体積は、水没法で測定した体積をいう。
((発泡体調製工程))
発泡体調製工程では、最終的に所望する繊維強化複合体の形状に応じて、成型時に使用する型を選択してよい。
予備発泡粒子を発泡・成型するときの諸条件は、特に限定されない。
発泡体調製工程においては、特に限定されないが、例えば、予備発泡粒子を成形用金型内に充填し、加熱することによって、発泡を生じさせると同時に予備発泡粒子同士を融着させた後、冷却により生成物を固化し、成形することができる。ここで、予備発泡粒子の充填方法は、特には限定されないが、例えば、金型を多少開けた状態で予備発泡粒子を充填するクラッキング法、金型を閉じたままの状態で加圧圧縮した予備発泡粒子を充填する圧縮法、金型に加圧圧縮した予備発泡粒子を充填した後に上記クラッキング法を行う圧縮クラッキング法等が挙げられる。
発泡体調製工程においては、予備発泡粒子を成形用金型内に充填する前に、予備発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。この段階で加圧処理を施すことによって、予備発泡粒子内の気泡に一定のガス圧力を付与して、粒子内部の気泡の大きさ(セルサイズ)を均一にすることが可能となる。加圧処理に用いるガスとしては、特には限定されないが、寸法安定性の観点から、無機ガスを用いるのが好ましい。無機ガス及び加圧処理の方法については、前述の予備発泡工程において発泡前の予備発泡粒子に対して施されるガスによる加圧処理の場合と同様である。
発泡体調製工程で得られる発泡体の発泡倍率は、特には限定されないが、1.5〜40cm3/gが好ましく、2〜25cm3/gがより好ましい。この範囲であると、軽量化のメリットを活かしつつ、優れた耐熱性を有する発泡体が得られる。
なお、発泡体の発泡倍率とは、発泡体の重量Wbに対する、発泡体の体積Vbの割合(Vb/Wb)をいう。また、本明細書において、発泡体の体積は、水没法で測定した体積をいう。
((表皮材調製工程))
表皮材調製工程では、溶融状態の樹脂中に繊維を浸漬させたり、溶融状態の樹脂を繊維に吹き付けたりして、樹脂に繊維を含浸させて、表皮材を得る。表皮材は、クロスプリプレグとして調製してよい。
なお、樹脂に繊維を含浸させた後に、光や熱により樹脂の硬化を進ませておいてもよい。
特にシート状の表皮材における繊維の目付量は、50〜4000g/m2が好ましく、より好ましくは100〜1000g/m2であり、例えば200g/m2としてよい。
繊維強化複合体の形状もシート状である場合には、本実施形態の繊維強化複合体について記載した通りとしてもよい。
((成型工程))
成型工程では、発泡体と表皮材とを、所望の配置状態で、成型機内に充填して、同時に成型を行ってよい。
なお、発泡体は、成型工程においてさらに発泡されてよい。
この成型工程では、例えば、両面が表皮材で覆われたシート状の複合体を製造する場合には、2枚のシート状の表皮材の間にシート状の発泡体が位置するように、これらを成型機内に充填してよく、表皮材で覆われた塊状の複合体を製造する場合には、塊状の発泡体がシート状の表皮材で包まれるように、これらを成型機内に充填してよく、表皮材で覆われた線状の複合体を製造する場合には、線状の発泡体がシート状の表皮材で包まれるように、これらを成型機内に充填してよい。
成型工程では、初めに、圧力をかけずに、80〜150℃、好適には100〜120℃の温度で、0〜5分間、好適には1〜3分間保持して、その後、0〜3MPa、好適には0.1〜1MPaの圧力、80〜150℃、好適には100〜120℃の温度で、5〜30分間、好適には10〜20分間保持することが好ましい。
このように、加圧前に、圧力をかけずに高温条件下で保持することによって、表皮材に均一に熱を加えて、表面平滑性を得ることができる。
以下、本実施形態の繊維強化複合体の物性について記載する。
本実施形態の繊維強化複合体の、JIS−K7221に準拠して測定される、100℃環境下での曲げ弾性率は、高温環境下において優れた剛性を得る観点から、1〜50GPaであり、好ましくは1〜10GPaである。
本実施形態の繊維強化複合体の、JIS−K7221に準拠して測定される、標準温度環境下での曲げ弾性率は、優れた剛性を得る観点から、1〜100GPaであることが好ましく、より好ましくは10〜100GPaである。
本実施形態の繊維強化複合体の見かけ密度は、0.05〜1g/cmであることが好ましい。
なお、繊維強化複合体の見かけ密度とは、繊維強化複合体の重量W、繊維強化複合体の体積Vに対する割合(W/V)をいう。
本実施形態の繊維強化複合体の寸法は、目的や用途に応じて適宜定められてよい。
表皮材の厚さとしては、概して、0.1〜2mmとしてよい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
繊維強化複合体の評価方法は、以下の通りである。
(1)曲げ弾性率:標準温度
JIS−K7221に準拠し、実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の曲げ弾性率(GPa)を求めた。具体的には、標準温度として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置して状態調整した複合体を、AUTOGRAPH AG−5000D(島津製作所製)での測定に供し、JISに規定する計算式から曲げ弾性率を算出した。結果を表1に示す。
(2)曲げ弾性率:100℃
JIS−K7221に準拠し、実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の曲げ弾性率(GPa)を求めた。具体的には、標準状態として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置し、その後、恒温槽内にて100℃に1時間静置して状態調整した複合体を、100℃恒温槽内にて、AUTOGRAPH AG−5000D(島津製作所製)での測定に供し、JISに規定する計算式から曲げ弾性率を算出した。結果を表1に示す。
(3)表面平滑性・外観
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の表面を目視にて観察し、表皮材と芯材との接着状態を以下のように評価した。結果を表1に示す。
◎:表面平滑性、表皮材と芯材との接着性ともに良好。
○:表面平滑性は、実用上問題ないが、表皮材と芯材との間に一部浮(ウキ)が観られた。
×:芯材が収縮し、複合体の厚みが表皮材のみの厚みと同等になった。
(4)厚み
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の厚み(mm)及び表皮材の厚み(mm)をノギスを用いて測定した。結果を表1に示す。
(5)見かけ密度
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の重量W(g)を測定した後、ノギスにてシート状の繊維強化複合体の3辺を測定し、その体積V(cm)を計算した。そして、重量W体積Vに対する割合(W/V)(g/cm)を見かけ密度とした。結果を表1に示す。
(6)残存ガス濃度
実施例及び比較例で得られた発泡樹脂を試料として適量ヘッドスペースボトルに仕込み、発泡樹脂試料の軟化点以上の温度で約1時間加熱した。その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC14B)により、ヘッドスペースボトル内のガスを定量した。キャリアガスとしてヘリウム(He)を用い、定流量モード(約30mL/分)で制御した。また、カラム(Porapak Q、80/100mesh、3.2mmΦ×2.1m)を50〜150℃で昇温、保持を行い、熱伝導度型検出器(TCD)により検出を行った。検出したエリア面積と標準ガス試料で作成した検量線とから、脂肪族炭化水素系ガスの体積を算出した。そして、脂肪族炭化水素系ガスの体積を発泡樹脂試料の体積で除して、脂肪族炭化水素系ガスの濃度(体積ppm)を算出した。結果を表1に示す。
[実施例1]
引張弾性率が250GPaの炭素繊維と硬化温度が80℃であるエポキシ樹脂とで構成される、繊維目付が200g/m2、炭素繊維含有量が60質量%のクロスプリプレグを作成し、表皮材として2枚用意した。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)(旭化成ケミカルズ株式会社製、S201A)を60質量%、非ハロゲン系難燃剤(ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)(BBP))を18質量%、ゴム濃度が6質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を10質量%(基材樹脂中のゴム成分含有量は0.6質量%)、汎用ポリスチレン樹脂(PS)(PSジャパン株式会社製、GP685)を12質量%用い、これらを押出機にて加熱溶融混練の後に押し出し、芯材としての基材樹脂ペレットを作製した。
特開平4−372630号公報の実施例1に記載の方法に準じ、基材樹脂ペレットを耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.2MPa、温度11℃の条件下で3時間かけて、基材樹脂ペレットに対して二酸化炭素を7質量%含浸させた。
その後、基材樹脂ペレットを予備発泡機内で攪拌羽を77rpmにて回転させながら、加圧水蒸気により発泡させて、発泡ビーズを得た。
この発泡ビーズを0.5MPaまで1時間かけて昇圧し、その後0.5MPaで8時間保持し、加圧処理を施した。
これを、水蒸気孔を有する型内成形金型内に充填し、加圧水蒸気で加熱して発泡ビーズ相互を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出し、発泡ビーズ成形体(発泡体)を得た。
得られた発泡体の脂肪族炭化水素系ガスの濃度を測定したところ、検出限界(50体積ppm)以下であった。
得られた発泡体を芯材として用い、上述の通り用意した表皮材を芯材の上下両面に1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、100℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、15分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成型して繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
実施例1の詳細を表1に示す。
[実施例2]
表皮材の枚数を、上下両面2枚ずつとしたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例2の繊維強化複合体は、実施例1以上に優れた曲げ弾性率を示した。
実施例2の詳細を表1に示す。
[実施例3]
芯材を、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)40質量%、ポリスチレン系樹脂60質量%を、押出機にて加熱溶融混練した後に押出し、混合物を調製した。
得られた混合物を、予備発泡機の耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.0MPa、温度10℃の条件下で3時間かけて、混合物に対して二酸化炭素を含浸させた。
その後、導入蒸気圧6kg/cm2Gで予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
この予備発泡粒子を加圧・加温装置に収容し、圧力源として空気を注入し、23℃の条件下で0.4MPaまで4時間かけて昇圧し、その後0.4MPaで4時間保持し、加圧処理を施した。
これを、水蒸気孔を有する成形金型内(内寸法312mm×312mm×10mm)に充填し、加圧水蒸気で加熱して予備発泡粒子を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出し、発泡体を得た。
芯材を上記発泡体としたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例3の繊維強化複合体は、実施例1以上に優れた曲げ弾性率を示した。
実施例3の詳細を表1に示す。
[実施例4]
表皮材の枚数を、上下両面2枚ずつとしたこと以外は実施例3と同様にして製造及び評価を行った。
実施例4の繊維強化複合体は、実施例3以上に優れた曲げ弾性率を示した。
実施例4の詳細を表1に示す。
[実施例5]
芯材を、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(フェニレンエーテル(PPE)成分:40質量%、スチレン(PS)成分:60質量%)100質量%、粉末タルク0.55質量%を含む混合物を、単軸押出機に供給し、押出機の途中から、ブタンを組成物に対して0.7質量%となるように圧入して、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の発泡体シートを製造した。
芯材を上記発泡体としたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例5の繊維強化複合体は、実用上の問題は無いが、残ガスの影響から若干の表面平滑に乱れが確認された。また、この繊維強化複合体は、標準状態では、優れた曲げ弾性率を示したが、100℃高温環境下では、実施例1〜4に比べて、曲げ弾性率の低下が確認された。
実施例5の詳細を表1に示す。
[比較例1]
芯材として、ポリプロピレン樹脂発泡体である、(株)カネカ社製エペラン−PP(登録商標)15倍品を用いたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
比較例1の複合体は、標準状態における曲げ弾性率を得たが、100℃においては、表皮材と芯材との剥離が発生し、十分な曲げ弾性率を得ることはできなかった。
比較例1の詳細を表1に示す。
[比較例2]
芯材として、ポリスチレン樹脂発泡体である、(株)カネカ社製カネパール(登録商標)10倍品を用いたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
比較例2の複合体では、芯材が溶融し、強化された複合体を得ることができなかった。
比較例2の詳細を表1に示す。
[比較例3]
炭素繊維を用いず、表皮材をポリプロピレン樹脂にしたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
比較例3の複合体では、表皮材と芯材との接着が不十分で剥離が起こり、十分な曲げ弾性率を得ることができなかった。
比較例3の詳細を表1に示す。
Figure 0006668071
本発明の繊維強化複合体は、100℃環境下でも優れた剛性を有し、美的な外観に優れる。
本発明の繊維強化複合体は、特に自動車分野で好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 発泡樹脂からなる芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体であり、
    前記発泡樹脂は、前記発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含み、
    100℃環境下でJIS−K7221に準拠して測定される曲げ弾性率が、1〜50GPaであり、
    見かけ密度が、0.05〜1g/cm である
    ことを特徴とする、繊維強化複合体。
  2. 前記発泡樹脂における脂肪族炭化水素系ガスの濃度が、500体積ppm以下である、請求項1に記載の繊維強化複合体。
  3. 前記曲げ弾性率が25〜50GPaであり、
    前記芯材の表面において、前記繊維の目付量が50〜400g/m である、請求項1又は2に記載の繊維強化複合体。
  4. 前記繊維が、炭素繊維である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化複合体。
  5. 前記芯材と前記表皮材とを加熱・加圧することによって同時成型することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化複合体の製造方法。
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