JP2005350055A - 自動車内装材用発泡積層シ−ト - Google Patents

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Abstract

【課題】 無機材料を用いることなくプラスチック材料のみで構成されており、軽量で寸法安定性に優れ、且つ環境適合性に優れた自動車内装材用発泡積層シート、及び該シートを用いた自動車内装材を提供する。
【解決手段】 有機繊維の間隙を多量の熱可塑性樹脂で埋めることにより、繊維の自由な動きを抑制する。更に、低線膨張率を有する有機繊維により、熱可塑性樹脂の寸法変化を抑制する。この二つの材料を複合化することにより、無機繊維を用いることなく寸法安定性に優れた基材を作り出すことができ、本来持っている特性である軽量性と環境適合性を併せ持った自動車内装材を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車内装材用発泡積層シ−トおよび該シ−トを用いた自動車内装材に関する。詳しくは、軽量で寸法安定性に優れ、かつ、環境適合性に優れた自動車内装材用発泡シ−トおよび該シ−トを用いた自動車内装材に関する。
従来、自動車天井材として、スチレン−無水マレイン酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した発泡積層シ−トを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車天井材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れているという特徴がある。
しかしながら、上記のような従来の自動車天井材は、高温に長時間さらされると、材料の寸法が変化し、フロント部が自重で垂れ下がる(ヒ−トサグ)、変形を生じるなどの問題を発生することがあった。
そこで、これらの問題を解決するために、無機質のガラス繊維とプラスチックとの複合材料をベ−スとした自動車天井材が使用されるようになってきた。しかし、この複合材料では、寸法安定性は維持できるものの、軽量化が図れない上に、ガラス繊維を使用しているため、リサイクル性が悪く、またコスト高になるという問題があった。
更に、ウレタン系発泡シ−トの両面に、無機質のガラス繊維強化層が積層された自動車天井材が使用されている(例えば、特許文献1または2)。発泡シ−トを用いることで軽量化ははかれているものの、ウレタン樹脂およびガラス繊維を用いることから、焼却における廃ガスを発生する、または炉を傷める等の環境適合性に問題が残されている。
最近の自動車天井材に対する市場からの要求品質として、従来からの軽量化と寸法安定性を維持するだけでなく、環境規制に対応できることが強く要請されている。
一方、ウレタン系発泡シートの両面に積層される繊維強化層におけるガラス繊維の代替として、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂繊維の織布や不織布を積層する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、前記の方法では、該複合材料における寸法安定性の改善が未だ不十分であった。
また、変性ポリフェニレンエーテル系発泡シートに天然繊維と熱可塑性樹脂繊維からなるシートを接着剤層で一体化する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、接着剤は剛性が小さく、特に高温における剛性が小さいために、高温下でも品質維持することが要求されている自動車内装材においては要求を充分に満足できるものではなかった。
以上のように、これらの要求品質をすべて満足できる材料が見出されていないのが現状であり、新しい材料の出現が待望されている。
特開平5−96697号公報 特開平8−25563号公報 特表2002−535179号公報 特開2005−28593号公報
本発明は、無機材料を用いることなくプラスチック材料のみで構成されており、軽量で寸法安定性に優れ、かつ環境適合性に優れた自動車内装材用発泡シ−ト、および該シ−トを用いた自動車内装材を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の耐熱性樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、熱可塑性樹脂および有機繊維を複合化した非発泡層を積層することにより、非発泡層中での、有機繊維の間隙を多量の熱可塑性樹脂で埋めることによる繊維の自由な動きの抑制、更に、低線膨張率を有する有機繊維による熱可塑性樹脂の寸法変化の抑制によって、無機繊維を用いることなく寸法安定性に優れた基材を作り出すことができ、本来持っている特性である軽量性と環境適合性を併せ持った自動車内装材が見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の自動車内装材用発泡積層シ−トは、耐熱性樹脂を基材とする発泡層の両面に、有機繊維成分を包含した熱可塑性樹脂を基材とする非発泡層が積層された発泡積層シ−トを用いることを特徴とする自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第2の自動車内装材用発泡積層シ−トは、非発泡層を構成する有機繊維成分が、繊維同士が立体的に交絡した構造を持っていることを特徴とする第1の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第3の自動車内装材用発泡積層シ−トは、非発泡層を構成する有機繊維成分が、不織布であることを特徴とする第1または第2に記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第4の自動車内装材用発泡積層シ−トは、非発泡層を構成する有機繊維成分が、天然繊維が包含されていることを特徴とする第1〜3のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第5の自動車内装材用発泡積層シ−トは、 非発泡層を構成する有機繊維が、85℃における引張弾性勾配0.5MPa・mm以上の剛性を保持していることを特徴とする第1〜4のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第6の自動車内装材用発泡積層シ−トは、非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、有機繊維成分に対して重量比率で2〜10倍含まれていることを特徴とする第1〜5のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第7の自動車内装材用発泡積層シ−トは、非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度Tgが85℃以上であることを特徴とする第1〜6のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第8の自動車内装材用発泡積層シ−トは、非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が包含されていることを特徴とする第1〜7のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の第9の自動車内装材用発泡積層シ−トは、発泡層を構成する耐熱樹脂が変性ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする第1〜8のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−トに関する。
本発明の自動車内装材は、無機材料を用いることなくプラスチック材料のみで構成されており、軽量で寸法安定性および曲げ剛性に優れ、かつ、環境適合性に優れた自動車内装材用発泡シ−トおよび該シ−トを用いた自動車用内装材提供する。
本発明の自動車内装材用発泡積層シ−トおよび自動車内装材を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用発泡積層シ−トの構成を示すものであり、耐熱性樹脂を基材樹脂とする発泡層(11)の両面に、有機繊維を包含した熱可塑性樹脂を基材とする非発泡層(12、13)が積層されている。また、必要に応じて、更に、非発泡層の片側の表面に接着層(14)を介して異音防止用の不織布(15)を、また、反対側の非発泡層の表面に接着層(14)を介して表皮材(16)を積層しても良い。
本発明の発泡層11の基材樹脂として使用される耐熱性樹脂は、耐熱性を有するとして当業者に知られるいずれの樹脂をも用いることができる。該耐熱性樹脂の具体例としては、例えば、(i)スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体等の耐熱ポリスチレン系樹脂、(ii)ポリスチレンあるいは耐熱ポリスチレンとポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略す)とのブレンド体、PPEへのスチレングラフト重合物などのスチレン・フェニレンエーテル共重合体、等の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、変性PPE系樹脂と略す)、(iii)ポリカーボネート樹脂および(iv)ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートで例示されるポリエステル樹脂などがあげられる。これらの樹脂は、1種あるいは2種以上を用いることもできる。
これらのうちでも、変性PPE系樹脂が、耐熱性および剛性等の品質に優れているうえに、加工性および製造が容易である点から、好ましい。
変性PPE系樹脂に使用されるPPEとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレンー1,4−エーテル)、 ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。
変性PPE系樹脂において、PPE系樹脂との混合樹脂を形成するポリスチレン系樹脂(以下、PS系樹脂と略す場合がある)は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等を主成分とする樹脂である。したがって、PS系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず、他の単量体と共重合することによって得られた共重合体であってもよい。
また、前記PPE系樹脂に重合、好ましくはグラフト重合させるスチレン系単量体の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コストの点から好ましい。
本発明の発泡層11に使用される基材樹脂として、変性PPE系樹脂を使用する場合は、フェニレンエーテル成分として、通常25〜70重量部、スチレン成分として75〜30重量部が好ましく、更に好ましくは、フェニレンエーテル成分として35〜60重量部、スチレン成分として65〜40重量部、特に好ましくは、フェニレンエーテル成分として38〜58重量部、スチレン成分として62〜42重量部がよい。変性PPE系樹脂中のフェニレンエーテル成分が25重量部より少ないと、耐熱性が劣る傾向にあり、フェニレンエーテル成分が70重量部より多いと、加熱流動時の粘度が上昇し発泡成形が困難になる傾向がある。
本発明に用いられる発泡シートは、1層の発泡層でもよいが、2層以上の発泡層を積層してシート状にしたものであってもよい。
本発明における発泡層11を形成する一次発泡層[本発明の発泡積層シートを自動車内装材として成形する際に加熱による発泡(二次発泡)が生ずることから、成形前の発泡層を一次発泡層と呼ぶことがある]の厚みは、1〜5mmが好ましく、1.5〜3.5mmがより好ましい。1次発泡層の厚みが1mm未満では、強度および断熱性に劣り自動車内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、厚みが5mmを超える場合、成形加熱時に熱が発泡層11の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加熱が行えず、成形性が悪くなる場合がある。また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルに破泡等が生じ、製品として許容できるものが得られ難くなる場合がある。
本発明における発泡層11を形成する一次発泡層の発泡倍率は3〜20倍が好ましく、5〜15倍がより好ましい。一次発泡倍率が3倍未満では、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易く、軽量化の効果が少ない傾向がある。一次発泡倍率が20倍を越える場合、強度が低下し、中心部まで加熱されにくいため成形性が低下する傾向がある。
本発明における発泡層11を形成する一次発泡層のセル径は0. 05〜0. 9mmが好ましく、0.1〜0.7mmがより好ましい。セル径が0.05mm未満では、充分な強度が得られ難い傾向があり0.9mmを超える場合、表面性の不良や断熱性が低下する場合がある。
本発明における発泡層11を形成する一次発泡層の独立気泡率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。独立気泡率が70%未満では、断熱性、剛性に劣るとともに、成形加熱によって目的とする二次発泡倍率を得ることが困難となり、成形性に劣る傾向がある。
本発明における発泡層11を形成する一次発泡層中の残存揮発成分量は、発泡層全重量に対して1〜5重量%が好ましく、2〜4重量%がより好ましい。残存揮発成分量が1重量%を下回る場合は、二次発泡倍率が低くなりすぎ、良好な成形性を得るのに影響を与える場合がある。また、残存揮発成分量が5重量%を超える場合は、非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなる傾向がある。
なお、残存揮発成分量は、ガスクロマトグラフ法により測定しても良いが、通常、発泡層試験片を変性PPE系樹脂が軟化し始める温度以上かつ分解温度以下の温度範囲で加熱して、揮発成分を充分に揮発させ、加熱前後の重量差により測定することができる。
本発明において使用される発泡層11の基材樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を添加してもよい。
本発明に係る自動車内装材用積層発泡シートは、耐熱性樹脂を基材樹脂とする発泡層11の両面に、有機繊維成分を包含した熱可塑性樹脂を基材とする非発泡層12および17が積層される。本発明においては、非発泡層12および13の積層により、耐熱時の変形制御、成形時の成形体形状の安定化を図る目的に対して、発泡層11の寸法変化を車内外非発泡層12および13で制御することができる。
本発明において、熱可塑性樹脂に有機繊維成分が包含された状態とは、有機繊維の間隙が熱可塑性樹脂にて埋められている状態である。ただし、樹脂内部に繊維成分が一部でも入り込んでいる状態でもよいが、繊維成分の表層部のみの接着であると、寸法安定性および曲げ剛性の改善効果は得られない傾向にある。
本発明における非発泡層12または13に用いられる熱可塑性樹脂としては、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)系樹脂、ポリアミド(以下、ナイロンと略す場合がある)系樹脂などが挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いられる。ただし、発泡層11として変性PPE系樹脂を使用する場合は、非発泡層12または13に用いられる熱可塑性樹脂としては、該樹脂層との接着性および寸法安定性の観点から、変性PPE系樹脂が好ましく使用される。
非発泡層12または13の熱可塑性樹脂として用いられる変性PPE系樹脂としては、上述の発泡層11の場合と同様に、PPE系樹脂とスチレン系化合物を主体とする単量体またはその重合体で重合または混合による変性を行ったものであり、例えば、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたPPE−スチレン共重合体、この共重合体とPS系樹脂またはPPE系樹脂との混合物、その共重合体とPPE系樹脂とPS系樹脂との混合物などがあげられる。これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂が、製造が容易であるなどの点から、好ましい。
本発明における非発泡層12または13に用いられる熱可塑性樹脂としての、PPE系樹脂、PS系樹脂またはスチレン系単量体の具体例や好ましいものの例示や、PS系樹脂やスチレン単量体と重合可能な単量体の具体例、それを使用する理由などは、発泡層11において説明した場合と同様である。ただし、PS系樹脂の好ましい具体例として、ハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略す場合がある)で代表されるスチレン−ブタジエン共重合体が、非発泡層12または13の耐衝撃性改善効果が大きいという点から好ましい。
本発明における非発泡層を形成している熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度Tgが85〜150℃であることが好ましく、100〜150℃であることがより好ましい。熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが85℃未満では、有機繊維と複合化されても、目的とする高温時の寸法安定性が得られない傾向がある。また、ガラス転移温度Tgが150℃を超えると、PPE系樹脂が分解するために、有機繊維との複合化の加工が困難となる傾向がある。
なお、本発明におけるガラス転移温度Tgは、JIS K7121に準じ、セイコー電子工業(株)製DSC200を用いて、昇降速度10℃/minより測定したものである。
本発明における非発泡層に包含されている有機繊維は、一定の寸法安定性(特に、低線膨張係数)を保持していれば、種類は特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維由来の繊維である再生繊維などのいずれをも用いることができる。そして、これら繊維は、1種または2種以上の繊維を混合して用いることもできる。具体的には、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維が挙げられるが、これらのうちでも、ポリエステル繊維がより好ましく、寸法安定性に優れたポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましい。また、天然繊維由来の繊維としては、綿、羊毛、麻等の本来の天然繊維のみでなく、天然素材からの繊維体、例えば、セルロース系の再生繊維であるレーヨン等も含む概念として表している。これらの天然繊維において、加工性およびコストの面からレーヨンが最も好ましく用いられる。
本発明における非発泡層に包含されている有機繊維は、繊維同士が立体的に交絡することにより、繊維構成自身が一定の高温剛性を保持していることが好ましい。
本発明における非発泡層に包含されている有機繊維は、繊維の高温剛性として、85℃における引張弾性勾配が0.5MPa・mm以上に保持されていることが好ましく、更に、引張弾性勾配が1.0MPa・mm以上であることが、寸法安定性に対する寄与が大きく、より好ましい。
なお、引張弾性勾配は、非発泡層に包含される有機繊維の厚みd(mm)をマイクロダイヤルゲージ(ピーコック(株)製)にて測定し、他方、85℃雰囲気下においてJIS K7127に準じ、引張速度2mm/minにて引張試験を行うことにより引張弾性率Em(Pa)を求め、引張弾性勾配(Pa・mm)=引張弾性率Em×厚みdにより算出した値である。
繊維の立体的な交絡状態は、種々の方法で作成できる。例えば、繊維は、熱プレスや接着剤を介して交絡させることもできるが、成形加工における熱や応力により交絡状態が崩れ、不安定であり好ましくない。繊維同士が物理的に交絡した状態が、成形加工に影響されないため、最も好ましい形態である。
繊維同士の交絡状態は使用される繊維の繊度に影響されるため、繊維の繊度は適宜選択されるが、1〜20デニ−ル(1.1〜22dtex)が好ましい。更に、繊維同士の交絡の容易性から1〜7デニ−ル(1.1〜7.7dtex)がより好ましい。繊維の繊度が1デニ−ル(1.1dtex)未満では、極細の特殊繊維を用いた上で、繊維同士の交絡に特殊な加工が必要となり、コストアップとなる傾向がある。20デニ−ル(22dtex)を超えると、嵩高くなり、空間を埋めるために多量の熱可塑性樹脂が必要となり、重量の増加を引き起こす傾向がある。
非発泡層に包含されている有機繊維として用いられる材料は、繊維同士が立体的に交絡していれば、種類は特に限定されずに使用できる。繊維同士が立体的に交絡している材料の具体例としては、織布、不織布等を挙げることができるが、成形加工の容易性から、不織布が好ましい。不織布の種類としては、その製造方法により種々の種類があるが、繊維の立体的な交絡性および成形加工性から、ニ−ドルパンチ布またはウォ−タ−ニ−ドル布が好ましい。
本発明における非発泡層12または17の目付けは、50〜300g/m2が好ましく、75〜200g/m2がより好ましい。非発泡層の目付けが50g/m2より少ない場合には、強度、剛性が低下するとともに、寸法安定性が得られない傾向がある。一方、300g/m2より大きい場合には、基材の軽量化効果が減少する傾向があると共に、成形性に問題を発生する場合がある。
本発明における非発泡層においては、繊維同士が立体的に交絡結束していること、および、繊維間の空隙を熱可塑性樹脂で埋めることにより、非発泡層の動きが拘束され、際立った寸法安定性および曲げ剛性を発揮することができる。
本発明における非発泡層を形成している熱可塑性樹脂は、包含される有機繊維成分に対して重量比率で2〜10倍が好ましい。熱可塑性樹脂/有機繊維の重量比率が2倍未満では、繊維間隙を熱可塑性樹脂により充分に埋めることができず、寸法安定性および曲げ剛性が得られない傾向がある。また、重量比率が10倍を超えると、繊維成分の働きが発揮されず、複合化の効果が薄れると共に、全体の基材軽量化に対する効果が減少する傾向がある。
本発明における非発泡層を形成する熱可塑性樹脂に対しては、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、安定剤、臭気低減剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明に係る自動車内装材においては、図1に例示するように、室外側の非発泡層13の表面に、異音防止用の不織布層15を設けることができる。異音防止材15は、自動車に装着した場合、車内をクーラー等で急冷した際、また、凹凸のある路面での走行中や急カ−ブでの走行中に発生する異音を防止するのに効果を発揮する。
ただし、本発明においては、例外的に非発泡層13に使用される熱可塑性樹脂の積層方法を変更したり、熱可塑性樹脂量を減量したりすることにより、不織布の一部表面を残すことが可能であり、新たに不織布を積層することなく非発泡層13が異音防止層としての機能も兼ねることもある。
本発明における異音防止用の不織布層15としては、不織布を構成する基本の原料繊維を、接着剤(バインダー樹脂)を用いて接合させた、あるいは機械的方法により交絡させた布状物であれば、いずれの種類でも用いることができる。
この場合の不織布の基本を構成する原料繊維の種類は特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維由来の繊維である再生繊維などのいずれをも用いることができる。具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維が挙げられるが、その中でも、ポリエステル繊維がより好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましい。また、天然繊維由来の繊維としては、綿、羊毛、麻等の本来の天然繊維のみでなく、天然素材からの繊維体、例えばセルロース系の再生繊維であるレーヨン等も用いることができる。綿または再生繊維であるレーヨンが、経済性の面で好ましい。そして、これら天然繊維由来の繊維と合成繊維と2種以上を混合して用いることもできる。
本発明における異音防止用の不織布層15は、品質およびコストを考慮すると、10〜50g/m2の目付けを有していることが好ましく、20〜40g/m2の目付けを有していることがより好ましい。異音防止用の不織布層15の目付けが10g/m2未満の場合には、不織布層15を設けた箇所において、非発泡層13が部分的に露出してしまい、有効な異音防止効果を得られない場合がある。一方、目付けが50g/m2を超える場合には、軽量性に劣り、コストが無駄に増加する場合がある。
本発明の自動車内装材は、図1に示すように、室内側の非発泡層12の表面に接着剤層14を介して表皮材16を積層することができる。
本発明における表皮材16は、自動車内の衣装性を付与するため、発泡積層シ−ト表面に積層される。表皮材としては、一般的に、原料繊維を、接着剤、溶融繊維あるいは機械的方法により接合させた布状物が用いられている。原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維のいずれをも用いることができる。原料繊維としては、具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、木綿、セルロース等の天然繊維を使用することができ、これらを組み合わせて使用することもできる。中でも、ポリエステル繊維が汎用性から好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が最も好ましい。
本発明における表皮材16としては、織布、不織布、等が挙げられることができるが、コストおよび成形加工性から不織布が好ましい。不織布の種類として、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンポンド布、スプレファイバー布、あるいはステッチボンド布等が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。
本発明において表皮材16として不織布を用いる場合、品質およびコストを考慮すると、不織布は100〜300g/m2の目付けを有していることが好ましく、130〜180g/m2の目付けを有していることがより好ましい。表皮材16として不織布の目付けが100g/m2未満の場合には、内装材としての充分な感触を得ることができない場合がある。一方、目付けが300g/m2超える場合には、コストアップとなるだけでなく、表皮材の成形歪みが耐熱性に影響を与える場合がある。
本発明における接着層14としては、ホットメルト接着剤を使用することができる。ホットメルト接着剤の具体例としては、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性ゴム系、スチレン−ブタジエン共重合体系(以下、SBR系と略す)、スチレン−イソプレン共重合体系等などの樹脂を成分とする物があげられる。コストの点からポリオレフィン系のホットメルト接着剤が好ましい。
基材と表皮材16の間にホットメルト接着剤を仮止めし、成形加工の段階で加熱圧縮され結合一体化する方法が、一般に実施されている。
また、接着層14を介して基材と表皮材を種々の接着剤を用いて、前もって積層する場合がある。この場合に使用される接着剤としては、少なくとも分子間力、水素結合、共有結合等の化学的な結合力を有するものを用いることができる。
本発明における接着層14に用いられる接着剤の具体例としては、加工性の容易性から、例えば、酢酸ビニル系、セルロース系、アクリル系、ポリアミド系、ポリビニルアセテート系等の熱可塑性接着剤を挙げることができる。また、接着の安定性および耐熱性の点から、ウレタン系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の熱硬化性接着剤を挙げることができる。更に、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、シリコーンゴム系等のゴム系接着剤、でんぷん、たん白質、天然ゴム等の天然物系接着剤を挙げることができる。
接着層14を介して基材と表皮材が前もって積層される場合においては、成形加工により発生する応力の影響を受けるため、加熱軟化する熱可塑性接着剤が好適である。特に、PPE系の発泡積層シ−トを基材として用いる場合は、PS系またはSBR系エマルジョン接着剤がコストおよび加工性を含めて好適である。
次に、本発明の自動車内装材の製造法について説明する。
本発明において使用される発泡層11(1次発泡層)は、例えば、以下のように製造される。すなわち、各種の添加剤を加えた耐熱性基材樹脂を、押出機を用いて樹脂温度150℃〜300℃にて溶融混練する。次いで、150〜300℃および10〜30MPaの高温高圧下において、樹脂100部に対して発泡剤1〜15部を押出機中に圧入し、発泡最適温度(150〜300℃)に調節した後、サーキュラーダイなどを用いて、低圧帯(通常は大気中)に押出した後、マンドレル(冷却筒)などに接触させて、例えば、3〜30m/分の速度で引き取りながらシート状に成形し、カット後、巻き取るなどの方法により製造することができる。
本発明における発泡層11を製造する際に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタン等の炭化水素系発泡剤があげられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明における有機繊維を包含した非発泡層12または13としては、例えば、予め低目付けの不織布と熱可塑性樹脂とが複合化されたシ−トを用いることができる。不織布と熱可塑性樹脂との複合化方法の例としては、例えば、一方から熱可塑性樹脂を押出機にて溶融混練した後、Tダイスを用いてフイルム状に押出し、他方から繰り出された不織布に積層し、ロ−ル間で圧着する方法があげられる。この際、圧着ロール間の間隙を調整することにより、または、圧着ロールの温度調節を行うことにより、有機繊維の包含度合いを調整することができる。また、例えば、予め溶融状態にある熱可塑性樹脂を不織布上に流延した後、プレス機を用いて圧着する方法もあげられる。さらに、例えば、熱可塑性樹脂エマルジョンに有機繊維成分の全部または一部を漬け込み、あるいは、有機背に成分の全部または一部に塗布して、熱可塑性樹脂エマルジョンを含浸させた後、乾燥させる方法もあげられる。
本発明における発泡層11上に有機繊維を包含した非発泡層12または13を積層する方法としては、例えば、予め作製された発泡シ−トと複合化されたシ−トとの間に、Tダイスから溶融樹脂をフイルム状に押出し、冷却ロ−ルで挟みこむ形に圧着する方法があげられる。また、例えば、予め作製された発泡シ−トと複合化されたシ−トとの間に、接着性を有する熱可塑性樹脂エマルジョンを塗布し、加熱乾燥により一体化する方法もあげられる。
本発明においては、有機繊維を包含した非発泡層12または13の複合化および、発泡層11との積層化を同時に行ってもよい。
更に、例えば、発泡積層シ−トの片面に接着層を塗布し、表皮材または異音防止層を乗せてロ−ルで圧着しながら積層することにより、本発明の自動車内装材用の積層発泡シ−トを得ることができる。
次に、成形加工された自動車内装材を得る方法としては、積層発泡シ−トをクランプし、上下にヒーターを持つ加熱炉に導き、成形に適した温度(例として120〜200℃)に加熱することで2次発泡させた後、温度調節した金型にてプレス成形する。
成形方法の例としては、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法が挙げられる。
本発明において、前述の(一次)発泡シートを加熱二次発泡させる際には、一次発泡シート(発泡倍率:3〜20倍、好ましくは5〜15倍、厚さ:1〜5mm、好ましくは、1.5〜3.5mm)に対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させるのが好ましく、さらには1.5〜3倍に2次発泡させるのがより好ましい(この結果、二次発泡シートの発泡倍率は、3.6〜80倍が好ましく、7.5〜45倍がより好ましく、10〜40倍がさらに好ましい。二次発泡シートの厚さは、1.2〜20.0mmが好ましく、2.25〜10.5mmがより好ましく、3.0〜7.0mmが更に好ましい。)。
以上、本発明に係る自動車内装材用積層発泡シートの実施態様を種々説明したが、本発明は上述の態様に限定されるものではない。例えば、自動車内装材用発泡積層シートは、用途として電車などの内装材用発泡積層シートにも使用することができ、広義に解釈されるべきものである。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
実施例および比較例に用いた樹脂を、表1に示す。
Figure 2005350055
なお、表1に示した原材料に関する各符号は、以下のとおりである。
変性PPE :変性ポリフェニレンエ−テル樹脂
PS :ポリスチレン樹脂
HIPS :ハイインパクトポリスチレン樹脂
実施例および比較例に用いた材料の構成を、表2に示す。
Figure 2005350055
なお、表2に示した原材料に関する各符号は、以下のとおりである。
PET :ポリエチレンテレフタレート樹脂
SBR :スチレン−ブタジエン・ラバー。
実施例および比較例で行った評価方法を、以下に示す。
(発泡層および成形体の厚さ)
得られた一次発泡シートおよび成形体において、幅方向に20ヶ所での厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
(発泡倍率)
得られた一次発泡シートの密度dfをJIS K 7222に準じて測定し、また、変性PPE系樹脂の密度dpをJIS K 7112に準じて測定し、得られた一次発泡シートの発泡倍率は、次式により算出した。
発泡倍率=dp/df。
(独立気泡率)
得られた一次発泡シートの独立気泡率は、マルチピクノメーター(ベックマン社製)を使用して、ASTMD−2859に準じて求めた。
(セル径)
得られた一次発泡シート(発泡層)の断面を光学顕微鏡で観察し、20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
(目付)
得られた一次発泡シートにおいて、押出方向の5ヶ所より、10cm×10cmの大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定した後、その平均値を算出した。
(引張弾性勾配)
実施例または比較例にて用いた不織布から、幅5cm×長さ15cmの試験片を切り出し、85℃雰囲気下において、島津(株)製オートグラフD2000を用い、JIS K7127に準じ、引張速度2mm/minにて引張試験を行い、引張弾性率Em(Pa)を求めた。
他方、有機繊維(不織布)の厚みd(mm)は、マイクロダイヤルゲージ(ピーコック(株)製)を用いて測定した。
有機繊維の引張弾性率勾配は、次式により算出した。
引張弾性勾配(Pa・mm)=引張弾性率Em×厚みd
(曲げ弾性勾配)
曲げ剛性の一指標として、曲げ弾性勾配を評価した。
得られた自動車内装材用発泡シートにおいて、長さ方向(MD方向)に150mm×50mmの試験片を採取し、85℃雰囲気下にて、島津(株)製オートグラフD2000を用い、JIS K7171に準じて、両端自由支持でスパン長100mmの中心部に、R3.2mmのくさびにて50mm/分の速度で荷重をかけていき、その荷重と歪の関係を示す曲線を得た。
得られた測定チャート曲線の加圧初期での直線部分における歪量と曲げ加重から、歪量1cm当りの曲げ荷重を算出し、曲げ弾性勾配とした。
(寸法安定性評価)
自動車内装用基材として、温度変化に対する寸法変化が重要な特性である。そこで、寸法安定性の一指標として、線膨張率を評価した。
実施例、比較例によって得られた成形体から、長さ方向(MD方向)より300mm×50mmの試験片を採取した後、85℃の恒温槽中24時間放置し、23℃および50%RHの雰囲気中で放冷し、23℃および50%RH雰囲気中にて、試験片に280mmの標線をつけ寸法を測定する。次に、この試験片を80℃恒温槽中に6時間放置後、80℃恒温槽中にて標線間寸法を測定する。次に、この試験片を自然放冷した後、0℃恒温槽中に6時間放置後、0℃恒温槽中にて標線間寸法を測定する。それぞれの試験片の標線間寸法について下記式を用いて線膨張係数を計算し、長さ方向(および巾方向の相加平均の値を算出した。
Figure 2005350055
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準じ、セイコー電子工業(株)製DSC200を用いて、昇降速度10℃/minで測定した。
(実施例1)
PPE樹脂成分40重量%およびPS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)57.1部、およびPS樹脂(B)42.9部とを混合した混合樹脂(ガラス転移温度140℃)100重量部に対して、タルク0.32重量部を添加して、押出機を用い、樹脂温度200℃にて溶融混練した後、イソブタンを主成分とする発泡剤(イソブタン/n−ブタン=85/15)3.4重量部を押出機中に圧入した。
該混練樹脂を、サーキュラーダイスを用いて大気圧下に押出発泡させ、引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻取り、一次厚み2.4mm、一次発泡倍率13倍、独立気泡率90%、セル径0.19mmおよび目付け180g/m2の発泡シートを得た。
また、PPE樹脂成分10重量%となるようにPPE樹脂(A)14.3部とHIPS樹脂(C)85.7部とを混合した混合樹脂(ガラス転移温度Tg=109℃)を、樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融混練した後、Tダイスを用いてフイルム状に押出し、他方からウォ−タ−ニ−ドル不織布(E)を長さ方向(MD方向)に繰り出して(引張弾性勾配1.0MPa・mm、目付け25g/m2)積層し、冷却ロ−ルで圧着することにより、有機繊維が包含された目付け145g/m2のシ−トを作製した。
次いで、発泡シ−トの上に上記シ−トを乗せ、165℃に加熱されたロ−ルの間を通過させることにより、発泡シ−ト表面に非発泡層を積層した。更に、同一の方法で反対面にも非発泡層を積層することにより、両面に有機繊維を包含した非発泡層を形成することで自動車内装材用基材を作製した。
採取された自動車内装材基材は、曲げ弾性勾配81N/50mm/cmと剛性にすぐれており、線膨張係数は3.1×10-5となり、無機繊維を包含せず有機材料のみで構成されている基材としては寸法安定性が改善されていることが確認された。
(実施例2)
有機繊維として、天然繊維であるレ−ヨンが混紡された不織布(F)を長さ方向(MD方向)に繰り出して(引張弾性勾配3.3MPa・mm、目付け40g/m2)使用した以外は、実施例1記載の方法により自動車内装材用基材を作製した。
採取された自動車内装材は、曲げ弾性勾配114N/50mm/cmと剛性にすぐれており、線膨張係数は1.9×10-5となり、無機繊維を包含しないものの天然繊維を用いたことおよび繊維目付けが大きくなることで、寸法安定性がより改善されていることが確認された。
(実施例3)
有機繊維として、スパンボンド不織布(G)を長さ方向(MD方向)に繰り出して(引張弾性勾配1.4MPa・mm、目付け40g/m2)使用した以外は、実施例1記載の方法により自動車内装材用基材を作製した。
採取された自動車内装材は、曲げ弾性勾配69N/50mm/cmと剛性にすぐれており、線膨張係数は4.2×10-5となった。スパンボンド不織布は、繊維同士が立体的な交絡が少ない寸法安定性が改善されているが、効果は微小であった。
(実施例4)
有機繊維として、ウォ−タ−ニ−ドル不織布(E)を幅方向(TD方向)にて(引張弾性勾配0.03MPa・mm、目付け25g/m2)繰り出して使用した以外は、実施例1記載の方法により自動車内装材用基材を作成した。
次いで、発泡シ−トの上に、上記シ−トを乗せ、165℃に加熱されたロ−ルの間を通過させることで、発泡シ−ト表面に非発泡層を積層した。更に、同一の方法で反対面にも非発泡層を積層することで両面に有機繊維を包含した非発泡層を形成することで自動車内装材用基材を作製した。
採取された自動車内装材は、曲げ弾性勾配55N/50mm/cmと剛性にすぐれているものの、線膨張係数は、6.7×10-5となり、繊維成分を包含したものの引張弾性勾配が0.5MPa・mm未満の繊維成分を包含した為、寸法安定性はほとんど改善されなかった。
(実施例5)
実施例1記載の方法により発泡シートを得た。
次に、発泡シ−トの上に、他方から繰り出されたウォ−タ−ニ−ドル不織布(E)を長さ方向(MD方向)に繰り出して(引張弾性勾配1.0MPa・mm、目付け25g/m2)乗せ、上からSBRラテックス接着剤(K)(ガラス転移温度Tg=4℃)を面目付け70g/m2を塗布した後、100℃に設定された熱風乾燥炉を経て、発泡シートに一体化した。更に、同一の方法で反対面にも形成することにより、自動車内装材用基材を作製した。
採取された自動車内装材は、曲げ弾性勾配10N/50mm/cmと剛性が非常軟弱なものであるものの、線膨張係数は1.1×10-5となり、優れた寸法安定性が得られた。
(比較例1)
実施例1記載の方法により発泡シートを得た。
次に、非発泡層をHIPS樹脂(C)(ガラス転移温度Tg=98℃)を押出機で樹脂温度145℃にて溶融混錬を行い、Tダイを用いてフィルム状に押出しながら、圧着・積層し、発泡シ−ト表面に、厚み150μmの非発泡層を形成した。次に、発泡シート反転させ、HIPS樹脂(C)を押出機で樹脂温度145℃にて溶融混錬を行い、Tダイを用いてフィルム状に押し出しながら、発泡シ−トの反対面に厚さ120μmの非発泡層を形成することにより、自動車内装材用基材を作製した。
採取された自動車内装材基材は、曲げ弾性勾配33N/50mm/cmと剛性にすぐれているものの、線膨張係数は6.7×10-5となった。繊維成分を包含されていないため、寸法安定性には劣るものであった。
実施例および比較例の評価結果を、表3に示す。
Figure 2005350055
本発明にかかる自動車内装材の一実施態様を示す要部拡大断面模式説明図である。
符号の説明
10:自動車内装材用発泡積層シ−ト
11:発泡層
12、13:有機繊維成分を包含した非発泡層
14:接着剤層
15:異音防止材
16:表皮材

Claims (9)

  1. 耐熱性樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、有機繊維成分を包含した熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層が積層された発泡積層シ−トを用いることを特徴とする、自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  2. 非発泡層を構成する有機繊維成分が、繊維同士が立体的に交絡した構造を持っていることを特徴とする、請求項1記載の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  3. 非発泡層を構成する有機繊維成分が、不織布であることを特徴とする、請求項1または2記載の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  4. 非発泡層を構成する有機繊維成分が、天然繊維が包含されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  5. 非発泡層を構成する有機繊維の、85℃における引張弾性勾配が0.5MPa・mm以上であることを特徴とする請求項1〜4の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  6. 非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、有機繊維成分に対して重量比率で2〜10倍含まれていることを特徴とする請求項1〜5の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  7. 非発泡層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが85℃以上であることを特徴とする、請求項1〜6の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  8. 非発泡層を構成する熱可塑性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が包含されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
  9. 発泡層を構成する耐熱樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ−ト。
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